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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111559
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】クッション体
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
A47C27/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016141
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】520265480
【氏名又は名称】株式会社太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100195718
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊規
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 伶
(72)【発明者】
【氏名】李 明光
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA04
3B096AB01
(57)【要約】
【課題】その機能性を向上させることができるクッション体を提供する。
【解決手段】ベース体3と、該ベース体3を被覆する、熱可塑性エラストマー材で形成されたカバー体2と、を備えたクッション体1であって、カバー体2は、ベース体3から着脱自在に構成され、ベース体3に装着されたときにクッション体1の上面となるドーム状に形成された上面部2aを有し、上面部2aは、平面視で三角格子状に配置された複数の壁(横架壁22や共通壁23)で形成され、該複数の壁で仕切られた空間が上面部2aの表面とベース体3との間の通気孔となり得るように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体と、該ベース体を被覆する、熱可塑性エラストマー材で形成されたカバー体と、を備えたクッション体であって、
前記カバー体は、前記ベース体から着脱自在に構成され、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の上面となるドーム状に形成された上面部を有し、
前記上面部は、平面視で三角格子状に配置された複数の壁で形成され、該複数の壁で仕切られた空間が前記上面部の表面と前記ベース体との間の通気孔となり得るように構成されることを特徴とするクッション体。
【請求項2】
前記カバー体は、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の側面となる側面部と、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の底面となる底面部と、を有し、
前記上面部、前記側面部、及び前記底面部が一体成形されることを特徴とする請求項1に記載のクッション体。
【請求項3】
前記上面部は、前記カバー体の表面側で第一層を形成する表面部と、前記カバー体の内部で第二層を形成する基体部と、を有し、
前記複数の壁は、前記基体部から前記表面部にわたって延設される共通壁と、前記表面部において横架される横架壁と、を含んで構成され、
前記共通壁は、各前記共通壁で仕切られた空間が底面視でも三角形となるように等間隔で配置されており、各前記共通壁で形成される三角形は各一辺の長さが所定長さとなるように構成され、
前記横架壁は、各前記共通壁の間に等間隔で配置されるとともに、各前記横架壁、及び前記共通壁と前記横架壁で仕切られた空間のいずれもが平面視で三角形となるように配置されており、各前記横架壁、及び前記共通壁と前記横架壁で形成される三角形は各一辺の長さが前記所定長さの半分の長さとなるように構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクッション体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の着座時や仰臥時などに使用されるクッション体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクッション体では、例えば、体圧分散性や通気性といった本来的な機能(使用感の良さ、心地良さなど)の向上が求められる。また、例えば、耐久性やメンテナンス性、あるいはデザイン性といった付加的な機能の向上も求められる。
【0003】
特許文献1には、熱可塑性エラストマーより形成された、少なくとも片面に複数の凸部を有するシート状構造体を、凸部を有する面同士で合わせて積層することで、ずれ力の緩和性や体圧分散性を高めるようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-235688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すクッション体では、上述した各種の機能をより高めるための工夫をなす余地があるものと考えられる。
【0006】
本発明は、そのような点に鑑みてなされたものであり、その機能性を向上させることができるクッション体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本実施形態では以下のような構成のクッション体を提供することができる。
【0008】
(1)本発明は、
ベース体(例えば、ベース体3)と、該ベース体を被覆する、熱可塑性エラストマー材で形成されたカバー体(例えば、カバー体2)と、を備えたクッション体(例えば、クッション体1)であって、
前記カバー体は、前記ベース体から着脱自在に構成され、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の上面となるドーム状に形成された上面部(例えば、上面部2a)を有し、
前記上面部は、平面視で三角格子状に配置された複数の壁(例えば、横架壁22や共通壁23)で形成され、該複数の壁で仕切られた空間が前記上面部の表面と前記ベース体との間の通気孔となり得るように構成されることを特徴とするクッション体である。
【0009】
(2)また、本発明は、
前記カバー体は、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の側面となる側面部(例えば、側面部2b)と、前記ベース体に装着されたときに前記クッション体の底面となる底面部(例えば、底面部2d)と、を有し、
前記上面部、前記側面部、及び前記底面部が一体成形されることを特徴とする上記に記載のクッション体である。
【0010】
(3)また、本発明は、
前記上面部は、前記カバー体の表面側で第一層を形成する表面部(例えば、表面部20)と、前記カバー体の内部で第二層を形成する基体部(例えば、基体部21)と、を有し、
前記複数の壁は、前記基体部から前記表面部にわたって延設される共通壁(例えば、共通壁23)と、前記表面部において横架される横架壁(例えば、横架壁22)と、を含んで構成され、
前記共通壁は、各前記共通壁で仕切られた空間が底面視でも三角形となるように等間隔で配置されており、各前記共通壁で形成される三角形は各一辺の長さが所定長さ(例えば、40mm)となるように構成され、
前記横架壁は、各前記共通壁の間に等間隔で配置されるとともに、各前記横架壁、及び前記共通壁と前記横架壁で仕切られた空間のいずれもが平面視で三角形となるように配置されており、各前記横架壁、及び前記共通壁と前記横架壁で形成される三角形は各一辺の長さが前記所定長さの半分の長さ(例えば、20mm)となるように構成されることを特徴とする上記に記載のクッション体である。
【発明の効果】
【0011】
上記構成のクッション体によれば、その機能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るクッション体1の斜視図である。
図2】(A)は、本実施形態に係るクッション体1の正面図であり、(B)は、本実施形態に係るクッション体1の左側面図である。
図3】(C)は、本実施形態に係るクッション体1の上面図であり、(D)は、本実施形態に係るクッション体1の底面図である。
図4】(E)は、本実施形態に係るクッション体1のベース体3を示す図であり、(F)は、本実施形態に係るクッション体1の断面図である。
図5】(G)は、図4(F)中の(イ)方向からみたときの上面部2aの模式図であって、その一部を拡大して表した図であり、(H)は、図4(F)中の(ロ)方向からみたときの上面部2aの模式図であって、その一部を拡大して表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係るクッション体(これを「クッション体1」とする)について、図1図5を用いて説明する。クッション体1は、例えば、着座時のクッションとして使用可能である。この場合、座面に置けば座布団となり得るし、背面に置けばバックサポートやランバーサポートとなり得る。また、例えば、肘置きや休憩時の卓上枕としても使用可能である。また、例えば、仰臥時に頭を載せる枕としても使用可能であるし、腰や背中に当てるマットとしても使用可能である。また、例えば、ストレッチを行う際のストレッチクッションとしても使用可能である。すなわち、その用途は多岐にわたる。なお、これらもあくまで一例であり、その用途はこれらに限定されない。
【0014】
図1は、クッション体1の斜視図である。図1では、後述のベース体3に、後述のカバー体2が装着された状態を示している。すなわち、クッション体1は、ベース体3と、該ベース体3を被覆するカバー体2と、を備えている。また、クッション体1は、カバー体2が装着された状態で半球体状の形状となるように構成されている。
【0015】
なお、図1では、クッション体1において、後述の表示部2cがある側を前側(正面側)とし、その反対側を後側(背面側)とし、向かって左側を左側(左側面側)とし、向かって右側を右側(右側面側)としている。なお、クッション体1の正面図(正面側を示す図)は図2(A)に示し、クッション体1の左側面図(左側面側を示す図)は図2(B)に示している。また、クッション体1の正面図と背面図とを比較すると、表示部2cの有無を除いてその基本的な構成は同一であるため、クッション体1の背面図はその図示を省略している。また、クッション体1の左側面図と右側面図とを比較すると、表示部2cの位置を除いてその基本的な構成は同一であるため、クッション体1の右側面図はその図示を省略している。
【0016】
また、図1では、クッション体1において、後述の上面部2aがある側を上側(上面側・平面側)とし、後述の底面部2dがある側を下側(底面側)としている。なお、クッション体1の上面図(上面側・平面側を示す図)は図3(C)に示し、クッション体1の底面図(底面側を示す図)は図3(D)に示している。
【0017】
カバー体2は、熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic elastomer)材で形成されている。なお、カバー体2に用いられる熱可塑性エラストマー材は、使用感(例えば、使用時の硬さ・柔らかさを示す硬度や反発力など)、耐久性(例えば、剛性や耐熱性、あるいは形態安定性など)、成形の容易性、あるいはコストなどの総合的な観点より、好適なものを適宜選択することができる。また、そのような観点より好適なものであれば、熱可塑性エラストマー材以外の弾性材料を用いてカバー体2を形成することも可能である。すなわち、カバー体2の材料はこれに限定されない。
【0018】
図1図3に示すように、カバー体2は、ベース体3を球冠状に被覆するように構成され、ベース体3に装着されたときにクッション体1の上面となるドーム状に形成された上面部2aと、ベース体3に装着されたときにクッション体1の側面となる側面部2bと、ベース体3に装着されたときにクッション体1の底面となる底面部2dと、を有している。なお、上面部2a、側面部2b、及び底面部2dは一体成形されている。
【0019】
上面部2aは、平面視で三角格子状に配置された複数の壁(後述の横架壁22や共通壁23)で形成されている。すなわち、これらの壁のそれぞれがドーム形状に沿った形状とされ、しかも三角格子構造にて配置されるように構成されている。また、それぞれの壁で仕切られた空間(すなわち、平面視で三角形となる領域)のそれぞれは、上面部2aの表面とベース体3との間の通気孔(符号省略)となるように構成されている。なお、上面部2aのさらなる詳細は、図4(F)~図5(H)を用いて後で説明する。
【0020】
側面部2bは、上面部2aの下端側の周囲から延設されるように形成されている。また、側面部2bは、上面部2aの複数の壁それぞれの下端に対応する位置から底面部2dに向かって縦方向に等間隔で薄肉部(符号省略)から突設された複数の縦方向のリブ(符号省略)と、この縦方向のリブに対して四角格子状に配置されるように、横方向に(側面部2bの周囲方向に)等間隔で薄肉部から突設された複数の横方向のリブ(符号省略)が設けられている。なお、薄肉部の厚みは、1.5mmに設定されている。また、それぞれのリブは、その幅が1.5mm、その高さ(薄肉部からの高さ)が3mmに設定されている。また、縦方向のリブと横方向のリブで形成される四角形は、一辺が20mmに設定されている(なお、これらはあくまで一例であり、そのサイズはこれらに限定されない)。
【0021】
このように、本実施形態では、側面部2bの形状が、複数の壁で形成された上面部2aの形状と親和性の高いものとなっている。これにより、クッション体1全体としてのデザイン性を向上させることができる。また、側面部2bにおいて、縦方向のリブと横方向のリブとが四角格子状に配置されているため、側面部2bの強度を高めることができる。すなわち、クッション体1全体としての耐久性や剛性も向上させることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、側面部2bにおいて、縦方向のリブと横方向のリブで仕切られた空間(すなわち、側面視で四角形となる領域)は、側面部2bの表面とベース体3との間の通気孔となるようには構成されていないが、その空間の少なくとも一部が通気孔となり得るように薄肉部を設けない構成としてもよい。
【0023】
また、側面部2bには、クッション体1の正面側(図2(A)参照)に、表示部2cが設けられている。なお、表示部2cは、例えば、商品名やブランド名を表示するために用いられるものであってもよいし、注意書き(メンテナンス方法や推奨される使用方法など)を表示するために用いられるものであってもよい。すなわち、その用途は限定されない。また、表示部2cは、本実施形態では長辺側が80mm、短辺側が30mm(いずれも不図示)の長方形に構成されているが、その形状も限定されない。例えば、円形やその他多角形、あるいはロゴに沿った形状などの形状とすることもできる。また、表示部2cを設けることなく、クッション体1の周囲(側面)全てが同じデザインとなるように構成することもできる。
【0024】
底面部2dは、少なくともベース体3の底面側の一部を被覆するように、側面部2bの下端側の周囲から延設されるように形成されている。なお、底面部2dの厚みは、2~3mm程度に設定して、側面部2bの薄肉部よりも厚みをもたせてもよいし、1.5mm程度に設定して、側面部2bの薄肉部と同様の厚みとしてもよい。
【0025】
また、クッション体1の底面側(図3(D)参照)には、底面部2dの終端からクッション体1の中心に向かってさらにクッション体1の底面側(換言すれば、ベース体3の底面側)を被覆するとともに、その終端(クッション体1の中心側)に設けられたゴムリング2fと底面部2dとを接合する円環状の接合部2eが設けられている。
【0026】
なお、接合部2eは、一定の弾性や伸縮性を有するように、例えば、ポリエステル、あるいはナイロンなどの合成繊維材で形成することができる。また、接合部2eの外周側(底面部2d側)には、接合部2eを底面部2dに一定幅で縫着するための縫い代(不図示)が設けられている。なお、接合部2eを底面部2dに固着させる手法はこれに限定されない。例えば、接着材を用いて圧着することでこれらを固着させてもよいし、紐状の部材を用いて繋着することでこれらを固着させてもよい。
【0027】
また、接合部2eの内周側(ゴムリング2f側)には、ゴムリング2fを通して固定するためのゴム孔(不図示)が設けられている。ゴムリング2fは、通常状態では直径200mm程度となるように形成され(図3(D)参照)、カバー体2がベース体3から離脱することを抑制する(すなわち、カバー体2がベース体3から離脱することを困難とする)。一方、これを伸張させた場合には少なくともベース体3を取り出し可能な状態までベース体3の露出面(図3(D)中の斜線部分)を拡げることが可能となっており、これによってカバー体2がベース体3から離脱することを容易としている。すなわち、カバー体2は、ベース体3から着脱自在に構成されている。
【0028】
なお、カバー体2をベース体3から着脱自在に構成する手法はこれに限定されない。例えば、図3(D)では、接合部2eを円環状に形成し、ベース体3の一部が露出するようにしているが、接合部2eをベース体3の底面全てにわたって被覆する形状とし、ベース体3を取り出し可能な位置にジッパーを設け、ジッパーを閉鎖状態としている間はカバー体2がベース体3から離脱することを困難とするが、ジッパーを開放状態とした場合にはカバー体2がベース体3から離脱することを容易とするといった手法を採用してもよい。また、例えば、ゴムリング2fに替え、対向する方向に対になるように設けられた紐同士を結ぶことにより、これらを結んでいる間はカバー体2がベース体3から離脱することを困難とするが、これらを解いた場合にはカバー体2がベース体3から離脱することを容易とするといった手法を採用してもよい。
【0029】
また、接合部2eは、本実施形態では底面部2dとは別部材となるように構成しているが、これらを一体成形で同一部材となるように構成してもよい。すなわち、接合部2eは、上面部2a、側面部2b、及び底面部2dと一体成形されるものとしてもよい。この場合、接合部2eを底面部2dとは別に設ける必要はないため、底面部2d及び接合部2eを、一連の底面部2dとして形成してもよい。
【0030】
ここで、クッション体1のサイズについて説明する。図1図3に示すように、クッション体1は、底面側(底面部2d側)の直径は300mmに設定され(図2(B)参照)、高さは180mmに設定されている(図2(A)参照)。また、側面部2bの高さは100mmに設定され、上面部2aの高さは80mmに設定されている(図2(A)参照)。上面部2aの直径(換言すれば、上面部2aの下端側の直径)は260mmに設定されている(図3(C)参照)。なお、これらはあくまで一例であり、そのサイズはこれらに限定されない。
【0031】
例えば、用途に応じて、全体的により大きなサイズとすることもできるし、直径のみ、あるいは高さのみをより大きなサイズとすることもできる。また、全体的により小さなサイズとすることもできるし、直径のみ、あるいは高さのみをより小さなサイズとすることもできる。また、直径はより大きなサイズとするが、高さはより小さなサイズとする、あるいは直径はより小さなサイズとするが、高さはより大きなサイズとするといったことも可能である。
【0032】
続いて、図4(E)を参照し、ベース体3の構成を説明する。ベース体3は、円錐台状の形状となるように構成され、クッション体1の土台として機能する。上面側の直径は、上面部2aの下端側の直径と対応するように260mmに設定され、底面側の直径は、側面部2bの下端側(及び底面部2d)の直径と対応するように300mmに設定されている。なお、図示は省略しているが、ベース体3の高さは、側面部2bの高さと対応するように100mmに設定されている。なお、これらはあくまで一例であり、そのサイズはこれらに限定されない。
【0033】
また、ベース体3は、ウレタンフォーム材で形成されている。これにより、クッション体1を熱可塑性エラストマー材のみで形成する場合よりも、クッション体1を軽量化して取り回しの良さを向上させることができる。また、例えば、硬さの異なるベース体3を複数用意し、これを購入者が選択し得るものとすれば、より好みに合致したクッション体1を提供することが可能となる。すなわち、クッション体1の嗜好性を向上させることができる。
【0034】
したがって、ベース体3に用いられるウレタンフォーム材は、使用感(例えば、使用時の硬さ・柔らかさを示す硬度や反発力など)、耐久性(例えば、剛性や耐熱性、あるいは形態安定性など)、交換の容易性、あるいはコストなどの総合的な観点より、好適なものを適宜選択することができる。また、そのような観点より好適なものであれば、ウレタンフォーム材以外の弾性材料を用いてベース体3を形成することも可能である。すなわち、ベース体3の材料はこれに限定されない。例えば、ポリエチレン樹脂などを用いたファイバー繊維材で形成されるものとしてもよい。
【0035】
続いて、図4(F)~図5(H)を参照し、カバー体2の上面部2aの構成について、より詳細に説明する。なお、図4(F)は、図2(A)に示したクッション体1の正面図におけるA-A間の断面図であり、図5(G)は、図4(F)中の(イ)方向からみたときの(すなわち、平面視における)上面部2aの模式図であって、その一部を拡大して表した図であり、図5(H)は、図4(F)中の(ロ)方向からみたときの(すなわち、底面視における)上面部2aの模式図であって、その一部を拡大して表した図である。
【0036】
図4(F)に示すように、上面部2aは、カバー体2の表面側で第一層を形成する表面部20と、カバー体2の内部で第二層を形成する基体部21と、を有している。すなわち、上面部2aは、二層構造で構成されている。なお、図4(F)では、説明の便宜のためにベース体3がカバー体2の裏面側のいずれとも当接しないように表しているが、実際には、ベース体3にカバー体2が装着されると、ベース体3の上面は上面部2aの裏面側(すなわち、基体部21の底面側)に当接し(換言すれば、ベース体3の上面に基体部21が載置され)、ベース体3の側面は側面部2bの裏面側に当接し、ベース体3の底面はその露出面(図3(D)参照)を除いて底面部2d及び接合部2eの裏面側に当接することとなる(すなわち、それらによってベース体3が被覆される)。
【0037】
また、表面部20は、もっとも高さのあるクッション体1の中心部側で20mmの高さに設定されており、基体部21は、もっとも高さのあるクッション体1の中心部側で60mmの高さに設定されている。そして、上面部2aのアールに合わせ、外縁に向かうにしたがってそれらの高さが漸減するように構成されている。なお、これらはあくまで一例であり、そのサイズはこれらに限定されない。例えば、表面部20の高さは(後述の横架壁22や共通壁23を上面部2aのアールに合わせた形状としながらも)クッション体1の表面において一定となるようにし、基体部21の高さのみを変動させるものとしてもよい。あるいは、基体部21の高さはクッション体1の内部において一定となるようにし、表面部20の高さのみを(後述の横架壁22や共通壁23を上面部2aのアールに合わせた形状として)変動させるものとしてもよい。
【0038】
ここで、上述の如く、上面部2aは、平面視で三角格子状に配置された複数の壁で形成されるものであるが、本実施形態では、これらの壁を二種類の壁を含んで構成するものとしている。図4(F)に示すように、一つは、基体部21から表面部20にわたって延設される共通壁23であり、もう一つは、表面部において横架される横架壁22である。
【0039】
共通壁23は、基体部21において三角格子構造を構成する各壁として機能するとともに、表面部20において、横架壁22とともに三角格子構造を構成する各壁として機能する。また、横架壁22は、表面部20において三角格子構造を構成する各壁として機能するとともに、表面部20において、共通壁23とともに三角格子構造を構成する各壁として機能する。
【0040】
図5(H)に示すように、共通壁23は、基体部21において、各共通壁23によって三角格子構造が形成されるように(換言すれば、各共通壁23で仕切られた空間が底面視でも三角形となるように)等間隔で配置されている。また、基体部21において形成される三角形は各一辺の長さが40mmとなるように構成されている。ここで、図5(H)では、(底面視で)手前側にみえる共通壁23を太線で示し、(底面視で)奥側にみえる横架壁22を点線で示しているが、これは説明をわかりやすくするためである。したがって、横架壁22は実在する壁であるし、また、それぞれの幅が当該図面によって限定されるものではない。
【0041】
なお、共通壁23は、基体部21においてはその幅が2mmに設定され、表面部20においてはその幅が1.5mmに設定されている(表面部20と基体部21の境目でその幅を変えている)。もっとも、共通壁23の幅はこれに限定されない。例えば、表面部20と基体部21とで同じ幅(これは1.5mmであってもよいし、2mmであってもよい)としてもよい。
【0042】
また、図5(G)に示すように、横架壁22は、表面部20において、各共通壁23の間に等間隔で配置されている(換言すれば、各共通壁23の間に架け渡されるように形成されている)。また、横架壁22は、表面部20において、各横架壁22によって三角格子構造が形成され得るとともに、横架壁22と共通壁23によっても同様の三角格子構造が形成され得るように(換言すれば、各横架壁22、及び共通壁23と横架壁22で仕切られた空間のいずれもが平面視で三角形となるように)配置されている。また、表面部20で形成される三角形は各一辺の長さが20mmとなるように構成されている。すなわち、表面部20における三角格子構造は、基体部21における三角格子構造よりも密となるように構成されている。
【0043】
また、横架壁22は、その幅が1.5mmに設定されている。ここで、図5(G)では、説明をわかりやすくするため、共通壁23を横架壁22よりも若干強調して示しているが、上述の如く、これらは表面部20において同じ幅となる。もっとも、横架壁22の幅はこれに限定されない。例えば、横架壁22と共通壁23とで同じ幅であるが、その幅はこれよりも太くしてもよいし、細くしてもよい。また、例えば、横架壁22の幅を共通壁23の幅と異ならせる場合に、横架壁22の幅のほうが、共通壁23の幅よりも太くなる(例えば、3mm程度とする)ように構成してもよい。
【0044】
なお、本実施形態では、各横架壁22が、各共通壁23の各辺と平行に、かつ、交互に配置され、しかも、平行に配置されていない各共通壁23との間で交点をもつようにすることで、各共通壁23で形成される三角形の中に、各横架壁22で形成された逆三角形が生じ、これによって各共通壁23で形成される三角形が四分割されるように構成している(図5(G)参照)が、各横架壁22と各共通壁23の配置関係はこれに限定されない。
【0045】
例えば、表面部20において、ある一方向(例えば、図5(G)における縦方向)の各辺(任意の二方向の各辺であってもよい)については、全て共通壁23のみが配置されるようにし、少なくとも表面部20においては同様の三角格子構造が形成されるように構成してもよい。
【0046】
また、例えば、各横架壁22を全て共通壁23とし、表面部20と基体部21とで、同じ三角格子構造が形成されるものとしてもよい。また、例えば、各共通壁23を、表面部20においては全て横架壁22とし、基体部21においては専用の横架壁として構成することで、表面部20と基体部21とで、それぞれ別の三角格子構造が形成されるものとしてもよい。
【0047】
すなわち、少なくとも表面部20において図5(G)に示すような三角格子構造が形成され得る限り、種々の変形や変更を行うことが可能である。また、本実施形態では、各横架壁22、各共通壁23、あるいは横架壁22と共通壁23で形成される三角格子構造は、その格子が正三角形(ないし略正三角形)となるものであったが、本実施形態において適用可能な三角格子構造はこれに限定されない。例えば、その格子が二等辺三角形(ないし略二等辺三角形)となる三角格子構造が形成されるものであってもよい。
【0048】
ここまで説明した本実施形態に係るクッション体1によれば、その構成により、例えば、以下に示すような効果を得ることができる。
【0049】
本実施形態に係るクッション体1は、例えば、ベース体3と、該ベース体3を被覆する、熱可塑性エラストマー材で形成されたカバー体2と、を備えたクッション体1であって、カバー体2は、ベース体3から着脱自在に構成され、ベース体3に装着されたときにクッション体1の上面となるドーム状に形成された上面部2aを有し、上面部2aは、平面視で三角格子状に配置された複数の壁(横架壁22や共通壁23)で形成され、該複数の壁で仕切られた空間が上面部2aの表面とベース体3との間の通気孔となり得るように構成されるものである。
【0050】
本実施形態では、カバー体2の上面部2aが、ドーム状に形成されるとともに、三角格子構造で配置された複数の壁によって形成される。ここで、三角格子構造は、他の格子構造と比較すると、二次元平面上で最も細密に点を置くことができるものである。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、ドーム形状によって接地面の体圧分散性を向上させることができるとともに、三角格子構造によって各接点の体圧分散性も向上させることができる。したがって、その機能性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、カバー体2のドーム状に形成された上面部2aにおいて、三角格子構造を形成する複数の壁で仕切られた空間は上面部2aの表面とベース体3との間の通気孔となり得る。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、上面部2aの通気性を向上させることができるとともに、高い放熱効果を得ることもできる。したがって、その機能性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、カバー体2が、熱可塑性エラストマー材で形成されるとともに、ベース体3から着脱自在に構成される。すなわち、カバー体2をベース体3から取り外してこれを丸洗いすることで、これを清潔に保つことが可能であるし、また、形態安定性に優れた素材を使用しているので、そのようなメンテナンスを行っても型崩れなどの発生を抑制することが可能である。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、そのメンテナンス性を向上させることができるとともに、その耐久性を向上させることもできる。また、カバー体2をベース体3から取り外せば、コンパクトに持ち運びできるため、その携帯性や取り回しの良さも向上させることができる。したがって、その機能性を向上させることができる。なお、丸洗いする際には、水で洗浄し、洗浄後はタオルなどで水気を拭き取り、日陰で乾燥させるといった手順を踏むことが望ましい。
【0053】
また、本実施形態では、カバー体2のみを交換することも可能であるし、ベース体3のみを交換することも可能になる。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、そのライフサイクルを長いものとすることができる。また、上述の如く、より好みに合致したクッション体1を提供することも可能となる。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、その嗜好性や汎用性を向上させることができる。したがって、そのような観点からも、その機能性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、カバー体2の上面部2aがドーム状に形成され、それによってクッション体1も半球体形状となるように構成される。すなわち、部屋やデスクに置いても、それがあたかもインテリアの一部であるような印象を与えることが可能になる。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、そのデザイン性を向上させることができる。したがって、その機能性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係るクッション体1は、例えば、カバー体2は、ベース体3に装着されたときにクッション体1の側面となる側面部2bと、ベース体3に装着されたときにクッション体1の底面となる底面部2dと、を有し、上面部2a、側面部2b、及び底面部2dが一体成形されるものである。
【0056】
本実施形態では、ベース体3を球冠上に被覆するカバー体2の各構成のうちで上面部2a、側面部2b、及び底面部2dが一体成形される。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、それら各部が離間してカバー体2に穴が開いてしまう(あるいは、ベース体3を被覆できなくなってクッション体1が使用できなくなってしまう)といった事象の発生を抑制し、その耐久性を向上させることができる。また、本実施形態に係るクッション体1によれば、使用者に視認され得る各部のデザインの一体性を高めることができるため、そのデザイン性を向上させることもできる。したがって、その機能性を向上させることができる。なお、製造時の工程を減少させることも可能となるため、コスト削減も図ることができる。したがって、そのような観点からも、その機能性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るクッション体1は、例えば、上面部2aは、カバー体2の表面側で第一層を形成する表面部20と、カバー体2の内部で第二層を形成する基体部21と、を有し、複数の壁は、基体部21から表面部20にわたって延設される共通壁23と、表面部20において横架される横架壁22と、を含んで構成され、共通壁23は、各共通壁23で仕切られた空間が底面視でも三角形となるように等間隔で配置されており、各共通壁23で形成される三角形は各一辺の長さが所定長さ(例えば、40mm)となるように構成され、横架壁22は、各共通壁23の間に等間隔で配置されるとともに、各横架壁22、及び共通壁23と横架壁22で仕切られた空間のいずれもが平面視で三角形となるように配置されており、各横架壁22、及び共通壁23と横架壁22で形成される三角形は各一辺の長さが所定長さの半分の長さ(例えば、20mm)となるように構成されるものである。
【0058】
本実施形態では、表面部20においては横架壁22と共通壁23によって、基体部21においては共通壁23によって、それぞれ三角格子構造が形成される。また、三角格子構造は、表面部20のほうが基体部21よりも密に構成される。それゆえ、本実施形態に係るクッション体1によれば、表面部20と基体部21のそれぞれで一定の剛性や強度を保ちつつ、表面部20側において、その体圧分散性をより高め、さらに、肌触りも良くしてその使用感を向上させることができる。したがって、その機能性を向上させることができる。
【0059】
また、表面部20においては、複数の壁の一部を横架壁22で構成しているため、全てを共通壁23で構成する場合と比べて、クッション体1を軽量化して取り回しの良さを向上させることもできるし、その通気性をさらに向上させることもできる。したがって、そのような観点からも、その機能性を向上させることができる。
【0060】
以上、本発明について、本実施形態を用いて説明したが、本実施形態は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。またこのような変形を行ったものも発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
本実施形態では、クッション体1は半球体形状に構成されるものとしたが、その形状はこれに限定されない。例えば、上面部2aはドーム形状であるが、ベース体3は四角錐台(底面が正方形であってもよいし、長方形であってもよい)の形状とし、側面部2b及び底面部2dをベース体3に沿った形状としてもよい。また、同様に、ベース体3の形状を円柱や四角柱、あるいはその他の多角柱の形状としてもよい。
【0062】
また、本実施形態におけるものと同様の機能性が担保される限り、例えば、上面部2aにドーム形状となる部分を二箇所設け(むろん、それ以上であってもよい)、これによって二人掛けすることが可能な(ドーム形状となる部分を設けた分の人数が同時に着座できる)クッション体1を提供することとしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、上面部2aがドーム状に形成されるものとしたが、その形状はこれに限定されない。例えば、用途に応じて、上面部2aを平面状に形成するものとしてもよいし、中心に向かって凹部が形成されるように逆ドーム状に形成するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…クッション体、2…カバー体、2a…上面部、2b…側面部、2c…表示部、2d…底面部、2e…接合部、2f…ゴムリング、3…ベース体(土台)、20…表面部(第一層)、21…基体部(第二層)、22…横架壁、23…共通壁

図1
図2
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図5