(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111560
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】タンク、衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016142
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】森田 寛之
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AA12
3B166AB42
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA16
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3B166CA11
3B166CB01
3B166CB12
3B166CB13
3B166CC04
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166FA01
3B166FA06
3B166FA12
3B166FB01
3B166FB02
3B166FB05
3B166FB08
3B166GA06
3B166GA12
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクについて、タンク内面とフィルタ部との間における隙間の形成を回避し、衣類処理剤に混入した異物がタンク内から流出することを抑制する。
【解決手段】本開示に係るタンクは、衣類処理剤を貯留する貯留空間と、貯留空間外から貯留空間内への衣類処理剤の流入口を形成する流入口側開口部と、貯留空間内から貯留空間外への衣類処理剤の流出口を形成する流出口側開口部と、を有するタンク本体部と、流出口側開口部を閉塞する閉塞部と、貯留空間内の衣類処理剤を貯留空間外に流出する流出部と、を有する閉塞部材と、貯留空間を少なくとも2つの空間に区分し、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するフィルタ部と、を備え、フィルタ部は、タンク本体部または閉塞部材に一体に設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクであって、
衣類処理剤を貯留する貯留空間と、前記貯留空間外から前記貯留空間内への衣類処理剤の流入口を形成する流入口側開口部と、前記貯留空間内から前記貯留空間外への衣類処理剤の流出口を形成する流出口側開口部と、を有するタンク本体部と、
前記流出口側開口部を閉塞する閉塞部と、前記貯留空間内の衣類処理剤を前記貯留空間外に流出する流出部と、を有する閉塞部材と、
前記貯留空間を少なくとも2つの空間に区分し、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するフィルタ部と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記タンク本体部に一体に設けられているタンク。
【請求項2】
衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクであって、
衣類処理剤を貯留する貯留空間と、前記貯留空間外から前記貯留空間内への衣類処理剤の流入口を形成する流入口側開口部と、前記貯留空間内から前記貯留空間外への衣類処理剤の流出口を形成する流出口側開口部と、を有するタンク本体部と、
前記流出口側開口部を閉塞する閉塞部と、前記貯留空間内の衣類処理剤を前記貯留空間外に流出する流出部と、を有する閉塞部材と、
前記貯留空間を少なくとも2つの空間に区分し、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するフィルタ部と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記閉塞部材に一体に設けられているタンク。
【請求項3】
前記流出口側開口部は、前記タンク本体部の側面および底面のうち少なくとも何れか一方の面を含んでいる請求項1または2に記載のタンク。
【請求項4】
前記タンク本体部は、前記流出口側開口部を形成する端部の少なくとも一部に外方に延出する延出部を有する請求項1または2に記載のタンク。
【請求項5】
前記閉塞部材は、前記流出口側開口部に溶着により固定されている請求項1または2に記載のタンク。
【請求項6】
前記フィルタ部は、衣類処理剤が通過するフィルタ面を有し、
前記フィルタ面は、前記流入口側開口部または前記流出口側開口部に対向するように設けられている請求項1または2に記載のタンク。
【請求項7】
前記タンク本体部は、外方に膨出する膨出部を有し、
前記フィルタ部は、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止する多数の孔と、前記膨出部の膨出方向に延伸する膨出方向延伸面と、を有し、
前記孔は、前記膨出方向延伸面以外の面に設けられている請求項1または2に記載のタンク。
【請求項8】
前記フィルタ部は、複数の前記膨出方向延伸面を有し、
前記孔は、複数の前記膨出方向延伸面のうち前記膨出部に最も近い膨出方向延伸面以外の膨出方向延伸面にも設けられている請求項7に記載のタンク。
【請求項9】
請求項1または2に記載のタンクと、
衣類を収容する衣類処理槽と、
前記タンク内に貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
を備える衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理剤を貯留可能に構成されるタンク、および、当該タンクを備える衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、運転複数回分の衣類処理剤をタンク内に予め貯留しておき、運転中に必要量をタンクから自動的に槽内へ投入する自動投入機能を備えた構成が考えられている。ところで、タンク内に貯留されている衣類処理剤には、例えば補充などの際に混入した異物が存在している場合がある。そのため、この種のタンクは、衣類処理剤の流入口と流出口との間にフィルタ部を備えており、仮に衣類処理剤に異物が混入していたとしても、このフィルタ部により衣類処理剤中の異物を捕獲して、タンク内から衣類処理剤を吸引するポンプなどに異物が吸い込まれてしまうことを抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、フィルタ部は、タンク内に着脱可能に取り付けられている。そのため、タンク内面とフィルタ部との間に隙間が形成されてしまうおそれがあり、このような隙間が存在すると、当該隙間から衣類処理剤とともに異物も通過してしまうことが懸念される。
【0005】
そこで、本実施形態は、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクについて、タンク内面とフィルタ部との間に隙間が形成されてしまうことを回避することができ、これにより、仮に衣類処理剤に異物が混入していたとしても、その異物がタンク内から流出してしまうことを抑制できるようにした構成を提供する。また、このように構成されたタンクを備える衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るタンクは、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクであって、衣類処理剤を貯留する貯留空間と、前記貯留空間外から前記貯留空間内への衣類処理剤の流入口を形成する流入口側開口部と、前記貯留空間内から前記貯留空間外への衣類処理剤の流出口を形成する流出口側開口部と、を有するタンク本体部と、前記流出口側開口部を閉塞する閉塞部と、前記貯留空間内の衣類処理剤を前記貯留空間外に流出する流出部と、を有する閉塞部材と、前記貯留空間を少なくとも2つの空間に区分し、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するフィルタ部と、を備え、前記フィルタ部は、前記タンク本体部に一体に設けられている。
【0007】
本実施形態に係るタンクは、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクであって、衣類処理剤を貯留する貯留空間と、前記貯留空間外から前記貯留空間内への衣類処理剤の流入口を形成する流入口側開口部と、前記貯留空間内から前記貯留空間外への衣類処理剤の流出口を形成する流出口側開口部と、を有するタンク本体部と、前記流出口側開口部を閉塞する閉塞部と、前記貯留空間内の衣類処理剤を前記貯留空間外に流出する流出部と、を有する閉塞部材と、前記貯留空間を少なくとも2つの空間に区分し、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するフィルタ部と、を備え、前記フィルタ部は、前記閉塞部材に一体に設けられている。
【0008】
本実施形態に係る衣類処理装置は、本実施形態に係るタンクと、衣類を収容する衣類処理槽と、前記タンク内に貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】第1実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
【
図3】第1実施形態に係る洗剤タンクの構成例を上方から概略的に示す斜視図
【
図4】第1実施形態に係る洗剤タンクの構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図5】第1実施形態に係る洗剤タンクの構成例を上方から概略的に示す分解斜視図
【
図6】第1実施形態に係る貯留空間の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図7】第1実施形態に係る洗剤タンクのタンク本体部内の構成例を概略的に示す斜視図
【
図8】第1実施形態に係る流出口側開口部に対する閉塞部材の取り付け部分の下部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図9】第1実施形態に係る流出口側開口部に対する閉塞部材の取り付け部分の上部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図10】第1実施形態に係る洗剤タンクのタンク本体部を所定の型を用いて製造する製造方法の一例を概略的に示す縦断側面図
【
図11】第2実施形態に係る洗剤タンクの構成例を下方から概略的に示す斜視図
【
図12】第2実施形態に係る洗剤タンクの構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図13】第3実施形態に係る閉塞部材の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図14】第3実施形態に係る貯留空間の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図15】第3実施形態に係る閉塞部材の製造方法の一例を概略的に示す縦断側面図
【
図16】本実施形態の変形例に係る洗剤タンクの構成例を概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、タンクおよび衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照ながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0012】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類を収容する衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には図示しない多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるための図示しないバッフルが設けられている。洗浄槽3の前面開口部は、外箱2の前面に設けられたドア4によって開閉可能となっている。使用者は、ドア4を開くことにより、洗浄槽3の前面開口部を通して当該洗浄槽3内に衣類を出し入れすることができる。
【0013】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部5、および、洗浄槽3内の水を機外に排出するための排水部6を備えている。給水部5は、例えば水道などといった図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、後述する給水弁ユニット10などを備えた構成となっている。また、排水部6は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁7などを備えた構成となっている。排水弁7が閉じられた状態で給水部5により洗浄槽3内に水が供給されることにより、洗浄槽3内に所定量の水が溜められる。また、排水弁7が開かれることにより、洗浄槽3内の水が排水経路を介して機外に排出される。
【0014】
図2に例示するように、給水部5は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、給水弁ユニット10、自動投入部11、注水ケース12などを備えた構成となっている。給水弁ユニット10の入口は、例えば水道などといった図示しない水源に接続されている。また、給水弁ユニット10は、少なくとも2つの給水弁10a,10bを有している。給水弁10aは、手動用給水弁の一例であり、手動用供給経路13aを介して注水ケース12に接続されている。給水弁10bは、自動用給水弁の一例であり、自動用供給経路13bを介して注水ケース12に接続されている。注水ケース12の出口は、給水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0015】
自動投入部11は、洗剤タンク100および柔軟剤タンク150を備えている。洗剤タンク100および柔軟剤タンク150は、自動投入部11に対し着脱可能に備えられている。洗剤タンク100および柔軟剤タンク150は、何れも、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を衣類処理装置に供給可能に備えられるタンクの一例である。具体的には、洗剤タンク100および柔軟剤タンク150は、給水部5を構成するタンク収容部20の内部に着脱可能に備えられている。詳しい図示は省略するが、タンク収容部20は、ほぼ矩形箱状に構成されている。また、タンク収容部20の上部には、ほぼ矩形状に開口する開口部が設けられている。洗剤タンク100および柔軟剤タンク150は、この開口部を介してタンク収容部20内に着脱可能に装着される。また、タンク収容部20には、開口部を開閉する蓋部が設けられている。
【0016】
洗剤タンク100内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内に収容されている衣類を洗浄するための洗剤を貯留可能となっている。一方、柔軟剤タンク150内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内に収容されている衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留可能となっている。この場合、洗剤および柔軟剤は、何れも液状の衣類処理剤である。
【0017】
洗剤タンク100は、洗剤用計量ポンプ17を介して自動用供給経路13bに接続されている。洗剤用計量ポンプ17は、例えば、モータやソレノイドなどといったアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ17は、洗剤タンク100内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された洗剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された洗剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、洗剤タンク100内から洗浄槽3内に洗剤が自動的に投入される。なお、洗剤用計量ポンプ17は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0018】
柔軟剤タンク150は、柔軟剤用計量ポンプ18を介して自動用供給経路13bに接続されている。柔軟剤用計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどといったアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ18は、柔軟剤タンク150内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された柔軟剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された柔軟剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、柔軟剤タンク150内から洗浄槽3内に柔軟剤が自動的に投入される。なお、柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0019】
また、注水ケース12内には、手動投入用ケース12aが出し入れ可能に収容されている。手動投入用ケース12a内には、使用者の手動によって洗剤が投入される図示しない手動洗剤投入部、および、使用者の手動によって柔軟剤が投入される図示しない手動柔軟剤投入部が設けられている。手動洗剤投入部に投入されている洗剤、あるいは、手動柔軟剤投入部に投入されている柔軟剤は、給水弁ユニット10の手動用給水弁10aから手動用供給経路13aを介して注水ケース12内に注水される水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。
【0020】
次に、上述した洗剤タンク100および柔軟剤タンク150のうち特に洗剤タンク100の構成例について、さらに詳細に説明する。
図3および
図4に例示するように、洗剤タンク100は、タンク本体部101および閉塞部材102を備えている。タンク本体部101および閉塞部材102は一体化されている。また、
図5にも例示するように、洗剤タンク100は、タンク蓋体108を着脱可能に備えている。
【0021】
タンク本体部101は、洗剤タンク100の本体部分を構成する構成要素であり、この場合、全体として上下方向に長い矩形容器状をなしている。タンク本体部101の内部は、概ね全体が衣類処理剤を貯留可能な貯留空間103となっている。タンク本体部101は、流入口側開口部104および流出口側開口部105を有している。
【0022】
流入口側開口部104は、タンク本体部101の上部において、前後方向に長い矩形の開口を形成している。流入口側開口部104は、貯留空間103外から貯留空間103内への衣類処理剤の流入口を形成する部位となっている。一方、流出口側開口部105は、タンク本体部101の後側面の下部において、上下方向に長い矩形の開口を形成している。流出口側開口部105は、貯留空間103内から貯留空間103外への衣類処理剤の流出口を形成する部位となっている。
【0023】
また、タンク本体部101は、膨出部106を有している。膨出部106は、流出口側開口部105の上方において外方、この場合、後方に向かって膨出している。膨出部106の上部は、前側から後側に向かって徐々に下降傾斜する傾斜面となっている。このような膨出部106が設けられていることにより、タンク本体部101内の容量つまり貯留空間103内の容量を大きくすることができる。
【0024】
また、タンク本体部101は、手掛け部107を有している。手掛け部107は、タンク本体部101の前側面の上部において前方に突出するように設けられている。使用者は、洗濯機1に対する洗剤タンク100の着脱の際には、この手掛け部107に手指を掛けることにより、着脱操作を容易に行うことができる。
【0025】
流入口側開口部104は、タンク蓋体108により閉塞されている。タンク蓋体108は、流入口側開口部104の開口形状に応じた前後方向に長い矩形の板状に形成されており、流入口側開口部104の全体を閉塞している。タンク蓋体108は、流入口側開口部104に着脱可能に取り付けられている。
【0026】
タンク蓋体108には、補充口108aが形成されている。補充口108aは、前後方向に長い矩形の開口を形成しており、使用者は、この補充口108aを介して、タンク本体部101内つまり貯留空間103内に衣類処理剤を補充することが可能である。
【0027】
また、タンク蓋体108には、補充口108aを開閉する補充口蓋体108bが備えられている。補充口蓋体108bは、補充口108aの後辺部において回動軸108cを中心に上下方向に回動可能に設けられている。使用者は、この補充口蓋体108bを開くことにより、開放状態の補充口108aを介して、タンク本体部101内つまり貯留空間103内に衣類処理剤を補充することができる。
【0028】
閉塞部材102は、閉塞部109および流出部110を有している。閉塞部109は、流出口側開口部105の開口形状に応じた上下方向に長い矩形の板状に形成されており、流出口側開口部105の全体を閉塞している。
【0029】
より詳細に説明すると、タンク本体部101は、流出口側開口部105が形成されている端部の少なくとも一部に鍔部111を有している。鍔部111は、流出口側開口部105が形成されている端部において外方に延出する延出部の一例である。この場合、鍔部111は、流出口側開口部105が形成されている端部の下辺部および左右の側辺部にわたって連続して設けられているが、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部には設けられていない。閉塞部109は、このように構成されている流出口側開口部105の端部に溶着により固定されている。溶着の手法としては、例えば、振動溶着や熱溶着などを適用することができる。
【0030】
流出部110は、閉塞部109の内面、つまり、当該閉塞部109が流出口側開口部105に取り付けられた状態でタンク本体部101の内部側となる面に一体に設けられている。流出部110は、横方向流路部110aおよび縦方向流路部110bを一体に備えた構成である。
【0031】
横方向流路部110aは、閉塞部109の内面から横方向に直線状に突出する筒状の構成要素であり、その内部を衣類処理剤が流通可能である。縦方向流路部110bは、横方向流路部110aの先端部の下部から縦方向に直線状に突出する筒状の構成要素であり、その内部を衣類処理剤が流通可能である。縦方向流路部110bの下端部は、タンク本体部101の底面から離間している。これにより、タンク本体部101内の衣類処理剤は、縦方向流路部110bの下端部から流出部110内に流入しやすくなっている。
【0032】
また、流出部110は、横方向流路部110aと縦方向流路部110bとの接続部分の内部に逆止弁110cを備えている。逆止弁110cは、バネ110dにより横方向流路部110aの基端部側つまり閉塞部109側に付勢されており、横方向流路部110aと縦方向流路部110bとの間を閉塞している。この閉塞状態では、貯留空間103内の衣類処理剤は、流出部110内を通過することができず、つまり、貯留空間103外へ流出することができない。
【0033】
一方、上述したタンク収容部20内には、洗剤タンク100内の衣類処理剤を吸引するための吸引口が設けられている。吸引口は、タンク収容部20の後側面から当該タンク収容部20の内方、換言すれば、洗濯機1の前方に向かって突出している。洗剤タンク100がタンク収容部20内の所定の取り付け位置に適切に取り付けられることにより、この吸引口は、横方向流路部110a内に挿入され、その先端部により逆止弁110cを横方向流路部110aの先端部側つまり閉塞部109とは反対側に押圧する。これにより、横方向流路部110aと縦方向流路部110bとの間が逆止弁110cによって閉塞されず開放された開放状態となり、この開放状態では、貯留空間103内の衣類処理剤は、吸引口からの吸引力を受けて流出部110内を通過することが可能となり、つまり、貯留空間103外へ流出することが可能となる。
【0034】
以上の通り、流出部110は、洗剤タンク100がタンク収容部20内の所定の取り付け位置に適切に取り付けられることに伴い流出部110内が閉塞状態から開放状態に切り換わることにより、貯留空間103内の衣類処理剤を貯留空間103外に流出可能な状態となる。また、流出部110は、洗剤タンク100がタンク収容部20内の所定の取り付け位置から取り外されることに伴い流出部110内が開放状態から閉塞状態に切り換わることにより、貯留空間103内の衣類処理剤を貯留空間103外に流出不能な状態となる。
【0035】
洗剤タンク100によれば、貯留空間103は、流入口側開口部104がタンク蓋体108により閉塞され、且つ、流出口側開口部105が閉塞部材102により閉塞されることによりタンク本体部101内に形成される。そして、洗剤タンク100は、さらに、その貯留空間103内にフィルタ部120を備えた構成となっている。フィルタ部120は、流入口側開口部104と流出口側開口部105との間、換言すれば、貯留空間103内においてタンク本体部101に一体成型により着脱不能に設けられている。
【0036】
図6に例示するように、フィルタ部120は、貯留空間103内を少なくとも2つの空間、この場合、流入口側空間103Aおよび流出口側空間103Bという2つの空間に区分している。流入口側空間103Aは、少なくとも流入口側開口部104を含む空間である。一方、流出口側空間103Bは、少なくとも流出口側開口部105を含む空間である。
【0037】
上述した補充口108aつまり貯留空間103外から貯留空間103内への衣類処理剤の入口となる部分は、流出口側空間103B側ではなく流入口側空間103A側に設けられている。一方、上述した流出部110つまり貯留空間103内から貯留空間103外への衣類処理剤の出口となる部分は、流入口側空間103A側ではなく流出口側空間103B側に設けられている。以上の通り、洗剤タンク100は、貯留空間103外から貯留空間103内への衣類処理剤の入口となる部分と貯留空間103内から貯留空間103外への衣類処理剤の出口となる部分が、同一の空間ではなく、それぞれ異なる空間に配置された構成となっている。
【0038】
図7にも例示するように、フィルタ部120は、タンク本体部101内つまり貯留空間103内の下部の後部に設けられている。また、フィルタ部120は、タンク本体部101の左右方向における一端側、この場合、洗濯機1に取り付けられた状態の洗剤タンク100を正面側から見て右側寄りに設けられている。つまり、フィルタ部120は、タンク本体部101の左右方向の全体にわたって設けられておらず、左右方向における他端側、この場合、洗濯機1に取り付けられた状態の洗剤タンク100を正面側から見て左側に、ある程度のスペースを有している。そのため、洗剤タンク100によれば、タンク本体部101内にフィルタ部120を備えながらも、タンク本体部101内においてフィルタ部120により囲まれた領域を最小限に抑えることができ、例えば清掃などのメンテナンス作業時において使用者が手指やブラシなどを挿入できる空間を大きく確保することができる。
【0039】
フィルタ部120は、フィルタ面121および非フィルタ面122を有している。フィルタ面121は、当該フィルタ面121を貫通する多数の孔123を有しており、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止することができる構成となっている。なお、衣類処理剤に含まれている異物は、例えば洗剤タンク100内への衣類処理剤の補充などの際に混入した塵埃やリントなどといった様々な異物が想定される。
【0040】
フィルタ部120は、複数、この場合、4つのフィルタ面121a,121b,121c,121dと、1つの非フィルタ面122を組み合わせた階段状の構成となっている。この場合、非フィルタ面122は、フィルタ面121aとフィルタ面121bとの間に介在されている。
【0041】
フィルタ面121aは、膨出部106の下端から連続して下方に延伸するように設けられている。非フィルタ面122は、フィルタ面121aの下端部から膨出部106の膨出方向である前後方向に沿って前方に延伸するように設けられている。即ち、非フィルタ面122は、膨出方向延伸面の一例として定義することができる。フィルタ面121bは、非フィルタ面122の前端部から下方に延伸するように設けられている。フィルタ面121cは、フィルタ面121bの下端部から膨出部106の膨出方向である前後方向に沿って前方に延伸するように設けられている。即ち、フィルタ面121cも、膨出方向延伸面の一例として定義することができる。また、フィルタ部120は、複数、この場合、2つの膨出方向延伸面121c,122を有した構成であると定義することができる。フィルタ面121dは、フィルタ面121cの前端部から下方に延伸するように設けられている。フィルタ面121dの下端部は、タンク本体部101の底部に接続されている。
【0042】
また、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止するための多数の孔123は、膨出方向延伸面の一例である非フィルタ面122以外のフィルタ面121a,121b,121dに設けられていると定義することができる。また、多数の孔123は、複数の膨出方向延伸面121c,122のうち膨出部106に最も近い膨出方向延伸面122以外の膨出方向延伸面である膨出方向延伸面121cにも設けられていると定義することができる。
【0043】
また、フィルタ面121a,121b,121dは、流出口側開口部105に対向するように設けられている。即ち、フィルタ面121a,121b,121dの法線方向は、流出口側開口部105の開口面の法線方向である前後方向に概ね或いは完全に一致している。また、フィルタ面121a,121b,121dに設けられている多数の孔123の指向方向も、流出口側開口部105の開口面の法線方向である前後方向に概ね或いは完全に一致している。
【0044】
また、フィルタ面121cおよび非フィルタ面122は、流入口側開口部104に対向するように設けられている。即ち、フィルタ面121cおよび非フィルタ面122の法線方向は、流入口側開口部104の開口面の法線方向である上下方向に概ね或いは完全に一致している。また、フィルタ面121cに設けられている多数の孔123の指向方向も、流入口側開口部104の開口面の法線方向である上下方向に概ね或いは完全に一致している。
【0045】
また、
図4および
図5に例示するように、洗剤タンク100は、タンク本体部101内つまり貯留空間103内にフロート130を備えている。フロート130は、フロート本体部131および回動支持アーム132を有している。フロート本体部131は、内部が空洞となっており、貯留空間103内に貯留されている衣類処理剤に浮くようになっている。また、フロート本体部131は、その内部に磁石133を備えている。回動支持アーム132は、その先端部にフロート本体部131を一体に備えている。また、回動支持アーム132は、その基端部がタンク蓋体108のうち補充口108aよりも後側の部分に回動可能に支持されている。
【0046】
このように構成されるフロート130によれば、貯留空間103内に貯留されている衣類処理剤の残量に応じて、フロート本体部131の高さ位置、換言すれば、磁石133の高さ位置が変動する。そのため、このような磁石133の高さ位置の変動を、洗剤タンク100外の例えばタンク収容部20に設けられている図示しない磁気センサにより検知することにより、貯留空間103内に貯留されている衣類処理剤の残量を特定することができる。
【0047】
以上の通り、洗剤タンク100は、貯留空間103内に衣類処理剤を貯留可能に構成されている。且つ、洗剤タンク100は、タンク収容部20内の所定の取り付け位置に適切に取り付けられることにより、貯留空間103内に貯留している衣類処理剤を洗濯機1に供給可能に備えられる。
【0048】
なお、詳細な説明は省略するが、洗濯機1によれば、柔軟剤タンク150も、上述した洗剤タンク100と同様の構成となっている。但し、洗濯機1は、柔軟剤タンク150を、上述した洗剤タンク100とは異なる構成としてもよい。また、洗濯機1は、柔軟剤タンク150を、上述した洗剤タンク100と同様の構成とし、洗剤タンク100を、上述した洗剤タンク100とは異なる構成としてもよい。
【0049】
以上に例示した第1実施形態によれば、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を洗濯機1に供給可能に備えられる洗剤タンク100について、フィルタ部120をタンク本体部101に一体成型により着脱不能に設けるようにした。この構成例によれば、フィルタ部が着脱可能である従来構成とは異なり、タンク本体部101の内面とフィルタ部120との間に隙間が形成されてしまうことを回避することができる。これにより、仮に衣類処理剤に異物が混入している場合であっても、その異物が洗剤タンク100内から流出して洗剤用計量ポンプ17や注水ケース12などに到達してしまうことを抑制することができる。
【0050】
洗剤タンク100によれば、タンク本体部101の後側面に設けられている流出口側開口部105に、流出部110を有する閉塞部材102を容易に取り付けることができる。
【0051】
洗剤タンク100によれば、タンク本体部101は、流出口側開口部105を形成する端部の少なくとも一部に外方に延出する鍔部111を有している。この構成例によれば、
図8に例示するように、流出口側開口部105を形成する端部に閉塞部材102の閉塞部109を溶着する際に、この鍔部111を押え部材140により押さえながら閉塞部109を溶着させることができ、流出口側開口部105を形成する端部に対する閉塞部材102の溶着強度を一層安定させることができる。なお、流出口側開口部105を形成する端部内には段部105aが設けられており、この段部105a内には溶着用突起105bが形成されている。閉塞部材102の閉塞部109は、主として、この溶着用突起105bに溶着される。
【0052】
また、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部に鍔部111が形成されていない理由は、次の通りである。即ち、
図9に例示するように、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部については、当該部分を、タンク本体部101内から押え部材140により押さえることができる。そのため、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部については、鍔部111を設けなくとも、溶着時における押さえを十分に行うことができる。なお、本開示は、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部に鍔部111が設けられている構成を否定するものではなく、従って、鍔部111は、流出口側開口部105が形成されている端部の上辺部に設けられていてもよい。
【0053】
洗剤タンク100によれば、衣類処理剤が通過するフィルタ面121a,121b,121dは、流出口側開口部105に対向するように設けられており、フィルタ面121a,121b,121dに設けられている多数の孔123の指向方向は、流出口側開口部105の開口面の法線方向である前後方向に概ね或いは完全に一致している。
【0054】
この構成例によれば、例えば
図10に例示する型Aを流出口側開口部105から挿入することにより、多数の孔123を有するフィルタ面121a,121b,121dを形成することができる。また、型Aは、流出口側開口部105の開口面の法線方向に沿って容易に抜き差しすることができ、これにより、フィルタ面121a,121b,121dに多数の孔123を有するタンク本体部101の製造を容易に行うことができる。
【0055】
なお、型Aは、階段状のフィルタ部120に対応する階段状部A1を有している。そして、型Aは、階段状部A1のうちフィルタ面121a,121b,121dに対応する面に多数の突起A2を有している。これら多数の突起A2により、フィルタ面121a,121b,121dに多数の孔123を形成することができる。
【0056】
また、洗剤タンク100によれば、衣類処理剤が通過するフィルタ面121cは、流入口側開口部104に対向するように設けられており、フィルタ面121cに設けられている多数の孔123の指向方向は、流入口側開口部104の開口面の法線方向である上下方向に概ね或いは完全に一致している。
【0057】
この構成例によれば、例えば
図10に例示する型Bを流入口側開口部104から挿入することにより、多数の孔123を有するフィルタ面121cを形成することができる。また、型Bは、流入口側開口部104の開口面の法線方向に沿って容易に抜き差しすることができ、これにより、フィルタ面121cに多数の孔123を有するタンク本体部101の製造を容易に行うことができる。
【0058】
なお、型Bは、フィルタ面121cに対応する面に多数の突起B2を有している。これら多数の突起B2により、フィルタ面121cに多数の孔123を形成することができる。
【0059】
また、洗剤タンク100によれば、多数の孔123は、膨出方向延伸面の一例である非フィルタ面122以外の面121a,121b,121d、および、複数の膨出方向延伸面121c,122のうち膨出部106に最も近い膨出方向延伸面122以外の膨出方向延伸面121cに設けられており、膨出部106に最も近い膨出方向延伸面である非フィルタ面122には設けられていない。即ち、非フィルタ面122は、孔や凹凸などを有さない平滑面となっている。
【0060】
この構成例によれば、例えば
図10に例示する型Cを非フィルタ面122に沿って前方から後方に向けて挿入することにより、膨出部106を無理なく形成することができる。また、型Cは、非フィルタ面122つまり膨出部106の膨出方向に沿って容易に抜き差しすることができ、これにより、外方に膨出する膨出部106を有するタンク本体部101の製造を容易に行うことができる。
【0061】
なお、型Cは、膨出部106に対応する膨出状部C1を有している。この膨出状部C12により、タンク本体部101に膨出部106を形成することができる。
【0062】
(第2実施形態)
図11および
図12に例示する洗剤タンク200は、流出口側開口部205をタンク本体部201の底面に備えた構成である。この場合、流出口側開口部205は、タンク本体部201の底面の後部において、前後方向よりも左右方向に若干長い矩形の開口を形成している。流出口側開口部205は、貯留空間203内から貯留空間203外への衣類処理剤の流出口を形成する部位となっている。
【0063】
この流出口側開口部205には、閉塞部材202が取り付けられる。閉塞部材202は、閉塞部209および流出部210を有している。閉塞部209は、流出口側開口部205の開口形状に応じた矩形の板状に形成されており、流出口側開口部205の全体を閉塞している。この閉塞部209も、閉塞部109と同様に溶着により流出口側開口部205の端部に固定されている。
【0064】
流出部210は、閉塞部209の内面、つまり、当該閉塞部209が流出口側開口部205に取り付けられた状態でタンク本体部201の内部側となる面に一体に設けられている。流出部210は、縦方向流路部210aを備えた構成である。縦方向流路部210aは、閉塞部209を貫通する筒状の構成要素であり、その内部を衣類処理剤が流通可能である。なお、縦方向流路部210aは、閉塞部209よりも内側つまりタンク本体部201内側の部分が閉塞部209よりも外側つまりタンク本体部201外側の部分よりも長くなっている。また、縦方向流路部210aは、閉塞部209よりも内側つまりタンク本体部201内側の部分に貫通流路部210bを備えた構成である。タンク本体部201内の衣類処理剤は、この貫通流路部210bから縦方向流路部210a内に流入可能である。
【0065】
また、流出部210は、縦方向流路部210aの内部に逆止弁210cを備えている。逆止弁210cは、バネ210dにより縦方向流路部210aの基端部側つまり閉塞部209側に付勢されており、縦方向流路部210a内を閉塞している。この閉塞状態では、貯留空間203内の衣類処理剤は、流出部210内を通過することができず、つまり、貯留空間203外へ流出することができない。
【0066】
一方、上述したタンク収容部20内には、洗剤タンク200内の衣類処理剤を吸引するための吸引口が設けられている。吸引口は、タンク収容部20の底面から当該タンク収容部20の内方、換言すれば、洗濯機1の上方に向かって突出している。洗剤タンク200がタンク収容部20内の所定の取り付け位置に適切に取り付けられることにより、この吸引口は、縦方向流路部210a内に挿入され、その先端部により逆止弁210cを縦方向流路部210aの先端部側つまり閉塞部209とは反対側に押圧する。これにより、縦方向流路部210a内が逆止弁210cによって閉塞されず開放された開放状態となり、この開放状態では、貯留空間203内の衣類処理剤は、吸引口からの吸引力を受けて貫通流路部210bから流出部210内を通過することが可能となり、つまり、貯留空間203外へ流出することが可能となる。
【0067】
以上の通り、流出部210は、洗剤タンク200がタンク収容部20内の所定の取り付け位置に適切に取り付けられることに伴い流出部210内が閉塞状態から開放状態に切り換わることにより、貯留空間203内の衣類処理剤を貯留空間203外に流出可能な状態となる。また、流出部210は、洗剤タンク200がタンク収容部20内の所定の取り付け位置から取り外されることに伴い流出部210内が開放状態から閉塞状態に切り換わることにより、貯留空間203内の衣類処理剤を貯留空間203外に流出不能な状態となる。
【0068】
また、タンク収容部20内には、上述したフィルタ部120と同様の構成のフィルタ部220が一体成型により着脱不能に設けられている。フィルタ部220は、貯留空間203内を少なくとも2つの空間、この場合、流入口側空間203Aおよび流出口側空間203Bという2つの空間に区分している。流入口側空間203Aは、少なくとも流入口側開口部204を含む空間である。一方、流出口側空間203Bは、少なくとも流出口側開口部205を含む空間である。
【0069】
以上に例示した第2実施形態によっても、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を洗濯機1に供給可能に備えられる洗剤タンク200について、フィルタ部220をタンク本体部201に一体成型により着脱不能に設けるようにした。この構成例によれば、フィルタ部が着脱可能である従来構成とは異なり、タンク本体部201の内面とフィルタ部220との間に隙間が形成されてしまうことを回避することができる。これにより、衣類処理剤に異物が含まれている場合であっても、その異物が洗剤タンク200内から流出してしまうことを抑制することができる。
【0070】
(第3実施形態)
図13に例示する閉塞部材302は、上述した閉塞部材202に代わる構成要素であり、閉塞部309にフィルタ部320を一体成型により着脱不能に備えた構成となっている。この場合、フィルタ部320は、流出部310を構成する縦方向流路部310aを上方から覆うようにしてドーム状に形成されている。フィルタ部320には、当該フィルタ部320を貫通する多数の孔323が形成されており、衣類処理剤の通過を許容し且つ衣類処理剤に含まれている異物の通過を阻止可能な構造となっている。
【0071】
図14に例示するように、閉塞部材302は、洗剤タンク300のタンク本体部301の底面に設けられている流出口側開口部305に溶着により固定される。そして、フィルタ部320は、貯留空間303内を少なくとも2つの空間、この場合、流入口側空間303Aおよび流出口側空間303Bという2つの空間に区分する。流入口側空間303Aは、少なくとも流入口側開口部304の全体を含む空間である。一方、流出口側空間303Bは、少なくとも流出口側開口部305の一部を含む空間である。
【0072】
このように構成される閉塞部材302は、例えば
図15に例示するようにして製造することができる。即ち、閉塞部309には、当該閉塞部309を貫通する貫通孔309aが形成されている。フィルタ部320は、この貫通孔309aの縁部に一体成型により着脱不能に設けられている。一方、縦方向流路部310aの側面には、貫通孔309aの開口形状に対応する突出部310tが形成されている。そして、
図15に黒矢印で例示するように、縦方向流路部310aは、フィルタ部320とは反対側から閉塞部309の貫通孔309aに挿入される。そして、閉塞部309の貫通孔309aの内面と縦方向流路部310aの突出部310tの外面との接続部分は、例えば溶着により固定される。
【0073】
以上に例示した第3実施形態によれば、衣類処理剤を貯留可能に構成され、且つ、貯留している衣類処理剤を洗濯機1に供給可能に備えられる洗剤タンク300について、フィルタ部320を閉塞部材302に一体成型により着脱不能に設けるようにした。この構成例によれば、フィルタ部が着脱可能である従来構成とは異なり、タンク本体部301の内面の一部を形成する閉塞部309の内面とフィルタ部320との間に隙間が形成されてしまうことを回避することができる。これにより、衣類処理剤に異物が含まれている場合であっても、その異物が洗剤タンク300内から流出してしまうことを抑制することができる。
【0074】
また、フィルタ部320により異物を十分に捕獲できるため、タンク本体部301内に上述したようなフィルタ部120,220を設けない構成とすることができる。あるいは、タンク本体部301内に上述したようなフィルタ部120,220を設ける場合であっても当該フィルタ部120,220を小さくした構成とすることができる。このように上述したようなフィルタ部120,220を小型化あるいは不要化することにより、タンク本体部301内の容量つまり貯留空間303内の容量を一層大きく確保することができる。
【0075】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、衣類処理装置およびタンクは、上述した複数の実施形態を適宜選択して組み合わせた構成としてもよい。
【0076】
また、流出口側開口部105は、少なくともタンク本体部101の後側面を含んでいればよく、従って、タンク本体部101の後側面から他の面、例えば左側面、右側面、底面にわたって形成されていてもよい。即ち、流出口側開口部105は、タンク本体部101の2面以上の複数面にわたって形成されていてもよい。また、流出口側開口部105は、タンク本体部101の後側面ではなく、前側面、左側面、右側面などに設けられていてもよい。この場合も、流出口側開口部105は、タンク本体部101の2面以上の複数面にわたって形成されていてもよい。
【0077】
また、流出口側開口部205,305は、少なくともタンク本体部201,301の底面を含んでいればよく、従って、タンク本体部201,301の底面から他の面、例えば左側面、右側面、後側面、前側面にわたって形成されていてもよい。即ち、流出口側開口部205,305は、タンク本体部201,301の2面以上の複数面にわたって形成されていてもよい。また、流出口側開口部205,305は、タンク本体部201,301の底面ではなく、前側面、左側面、右側面などに設けられていてもよい。この場合も、流出口側開口部205,305は、タンク本体部201,301の2面以上の複数面にわたって形成されていてもよい。
【0078】
また、タンク本体部101,201,301の外面に傾斜面が含まれている場合には、流出口側開口部105,205,305は、その傾斜面に設けられていてもよい。この場合も、流出口側開口部105,205,305は、タンク本体部101,201,301の2面以上の複数面にわたって形成されていてもよい。
【0079】
なお、流出口側開口部105,205,305は、タンク本体部101,201,301の上面以外の適宜の面に設けることができるが、本開示は、タンク本体部101,201,301の上面に流出口側開口部105,205,305が設けられている構成を否定するものではなく、従って、流出口側開口部105,205,305は、タンク本体部101,201,301の上面に設けられていてもよい。
【0080】
また、流出口側開口部105,205,305に対する閉塞部材102,202,302の取り付けは、溶着による封止ではなく、例えばOリングなどといった封止部材を用いた構成であってもよい。
【0081】
また、フィルタ部120,220を構成するフィルタ面の数は、4つに限られるものではなく、1つであってもよいし、2つ或いは3つであってもよいし、5つ以上の複数であってもよい。また、フィルタ部120,220は、複数の非フィルタ面を備える構成としてもよい。また、フィルタ部120,220におけるフィルタ面および非フィルタ面の配列順は、適宜変更して実施することができる。また、フィルタ部120,220は、複数の面からなる階段状ではなく、例えば、1つ或いは複数の傾斜面、平面、曲面などからなる構成であってもよい。また、フィルタ部120,220は、階段状の部分と傾斜面、平面、曲面などからなる部分とが混在した構成であってもよい。
【0082】
また、閉塞部材302において、フィルタ部320は、ドーム状ではなく、例えば矩形箱状などといったドーム状以外の形状であってもよい。
【0083】
また、フィルタ部120,220,320は、貯留空間を少なくとも2つの空間に区分する構成であればよく、例えば、貯留空間を3つ以上の複数の空間に区分する構成であってもよい。
【0084】
また、
図16に例示する洗剤タンク400のように、貯留空間は、タンク本体部内だけに形成されるのではなく、タンク本体部401および閉塞部材402により形成される空間であってもよい。この場合、閉塞部材402は、ある程度の空間を有する箱状に形成されている。また、フィルタ部420は、タンク本体部401および閉塞部材402により形成される貯留空間403内を、少なくとも2つの空間403A,403Bに区分する。
【0085】
なお、
図16に例示する構成例では、流出口の図示を省略しているが、流出口は、閉塞部材402の一部に適宜設けることができる。フィルタ部420は、タンク本体部401に一体成型により着脱不能に設けられている。しかし、フィルタ部420は、閉塞部材402に一体成型により着脱不能に設けられていてもよい。また、貯留空間は、閉塞部材内だけに形成されていてもよい。
【0086】
また、タンクは、それぞれ別部品として形成されたタンク本体部とフィルタ部とを例えば溶着などにより接合することにより、フィルタ部が着脱不能に一体化されたフィルタ本体部を実現するようにしてもよい。また、タンクは、それぞれ別部品として形成された閉塞部材とフィルタ部とを例えば溶着などにより接合することにより、フィルタ部が着脱不能に一体化された閉塞部材を実現するようにしてもよい。また、閉塞部材は、それぞれ別部品として形成された閉塞部と流出部とを例えば溶着などにより接合することにより、閉塞部および流出部が着脱不能に一体化された構成を実現するようにしてもよい。
【0087】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤タンク100や柔軟剤を貯留する柔軟剤タンク150に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、脱臭剤を貯留する脱臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンク、漂白剤を貯留する漂白剤タンクなど、衣類に対し何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、給水部5に備えられる複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、洗濯機1は、給水部5に1つのタンクを備える構成としてもよし、3つ以上の複数のタンクを備える構成としてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0088】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌、漂白など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0089】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
図面において、1は洗濯機(衣類処理装置)、3は洗浄槽(衣類処理槽)、11は自動投入部、100,200,300,400は洗剤タンク(タンク)、101,201,301,401はタンク本体部、102,202,302,402は閉塞部材、103,203,303,403は貯留空間、104,204,304は流入口側開口部、105,205,305は流出口側開口部、106は膨出部、109,209,309は閉塞部、110,210,310は流出部、111は鍔部(延出部)、120,220,320,420はフィルタ部、121a,121b,121c,121dはフィルタ面、121cはフィルタ面(膨出方向延伸面)、122は非フィルタ面(膨出部に最も近い膨出方向延伸面)、123,323は孔、150は柔軟剤タンク(タンク)を示す。