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特開2024-111583圧力センサ、および、センサモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111583
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】圧力センサ、および、センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240809BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240809BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01L9/00 303M
H01L29/84 A
H01L29/84 B
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016175
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】平田 誠
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA01
2F055BB01
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF38
2F055GG11
3C081AA01
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA32
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA77
3C081BA79
3C081CA13
3C081CA23
3C081CA31
3C081CA32
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA27
3C081DA29
3C081DA30
3C081DA31
3C081DA43
3C081EA03
4M112AA01
4M112CA02
4M112CA03
4M112CA08
4M112CA11
4M112CA12
4M112CA13
4M112DA02
4M112DA09
4M112DA18
4M112EA03
4M112EA11
4M112EA13
4M112GA01
4M112GA03
(57)【要約】
【課題】電極の腐食によるボンディングワイヤの剥離を抑制できるセンサモジュール、および、当該センサモジュールが備える圧力センサを提供する。
【解決手段】センサモジュールA1は、圧力センサ3と、箱形状であり、圧力センサ3を収納するパッケージ1と、パッケージ1に配置された電極パッド13と、電極パッド13と圧力センサ3とを導通接続するボンディングワイヤ4と、を備えている。圧力センサ3は、z方向において互いに反対側を向くセンサ主面3aおよびセンサ裏面3bと、z方向においてセンサ主面3aとセンサ裏面3bとの間に位置するキャビティ33と、センサ主面3aの一部を含み、z方向に視てキャビティ33に重なるダイアフラム311と、センサ主面3aに配置され、ボンディングワイヤ4が導通接続したセンサ電極34とを備えている。センサ電極34は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い第1金属からなる第1層341を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向くセンサ主面およびセンサ裏面と、
前記厚さ方向において前記センサ主面と前記センサ裏面との間に位置する中空部分と、
前記センサ主面の一部を含み、かつ、前記厚さ方向に視て前記中空部分に重なるダイアフラムと、
前記センサ主面に配置されたセンサ電極と、を備え、
前記センサ電極は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い第1金属からなる第1層を備えている、
圧力センサ。
【請求項2】
前記第1金属は、Cuである、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記センサ電極は、前記第1層に対して前記センサ主面とは反対側に配置され、かつ、第2金属からなる第2層をさらに備えている、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第2金属は、Niである、
請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記センサ電極は、前記第2層に対して前記センサ主面とは反対側に配置され、かつ、第3金属からなる第3層をさらに備えている、
請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第3金属は、Pdである、
請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記ダイアフラムに形成された拡散抵抗と、
前記センサ主面に配置され、かつ、前記拡散抵抗に導通する金属配線と、
をさらに備え、
前記センサ電極は、前記金属配線上に配置されている、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記金属配線は、前記第1金属を含んでいる、
請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記ダイアフラムに形成された拡散抵抗と、
前記センサ主面に配置され、かつ、前記拡散抵抗に導通する金属配線と、
をさらに備え、
前記センサ電極は、前記金属配線の一部である、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記センサ電極は、前記厚さ方向に視て、前記ダイアフラムに重ならない位置に配置されている、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記センサ主面に配置された複数の第2センサ電極をさらに備え、
前記センサ主面は、矩形状であって、第1辺を備え、
前記センサ電極および前記複数の第2センサ電極はいずれも、前記第1辺と前記ダイアフラムとの間に配置されている、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の圧力センサと、
箱形状であり、かつ、前記圧力センサを収納するパッケージと、
前記パッケージに配置された電極パッドと、
前記電極パッドと前記センサ電極とを導通接続するボンディングワイヤと、
を備えている、
センサモジュール。
【請求項13】
前記ボンディングワイヤは、Cuを含んでいる、
請求項12に記載のセンサモジュール。
【請求項14】
前記パッケージに収納され、かつ、前記圧力センサが出力する検出信号の処理を行う電子部品をさらに備え、
前記電子部品は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く電子部品主面および電子部品裏面と、前記電子部品裏面に配置された電子部品電極と、を備え、
前記圧力センサは、前記センサ裏面を前記電子部品側に向けて、前記電子部品主面に搭載され、
前記パッケージは、前記厚さ方向において前記電子部品主面と同じ側を向く搭載面および前記電子部品裏面と同じ側を向く実装面を有する底板部を備え、
前記電子部品は、前記電子部品裏面を前記底板部側に向けて、前記搭載面に搭載されている、
請求項12に記載のセンサモジュール。
【請求項15】
前記パッケージの内部空間に充填された保護部材をさらに備えている、
請求項12に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力センサ、および、当該圧力センサを備えたセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造に用いられる微細加工技術を利用して、機械要素部品と電子回路とを集積化したデバイスであるMEMS(Micro Electro Mechanical System)が知られている。MEMSには、たとえば圧力センサがある。特許文献1には、基板に電子部品および気圧センサを搭載したセンサモジュールが開示されている。当該センサモジュールにおいては、気圧センサの電極パッドと基板の搭載面に配置された電極パッドとが、ボンディングワイヤによって導通接続されている。また、気圧センサの電極パッドは、AlやAl合金などの金属からなる。当該センサモジュールは、気圧センサが気圧を検知するために、中空パッケージ構造で、外気を取り込む構造になっている。したがって、使用される環境によっては、気圧センサの電極パッドが、外気に含まれている微量の塩素や硫黄の影響により、腐食する可能性がある。また、当該センサモジュールの製造前に、気圧センサの電極パッドが外気に触れる可能性もある。電極パッドの腐食が進行すると、電極パッドに接合されたボンディングワイヤが剥離する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-101684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、電極の腐食によるボンディングワイヤの剥離を抑制できるセンサモジュール、および、当該センサモジュールが備える圧力センサを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によって提供される圧力センサは、厚さ方向において互いに反対側を向くセンサ主面およびセンサ裏面と、前記厚さ方向において前記センサ主面と前記センサ裏面との間に位置する中空部分と、前記センサ主面の一部を含み、かつ、前記厚さ方向に視て前記中空部分に重なるダイアフラムと、前記センサ主面に配置されたセンサ電極と、を備え、前記センサ電極は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い第1金属からなる第1層を備えている。
【0006】
本開示によって提供されるセンサモジュールは、本開示によって提供される圧力センサと、箱形状であり、かつ、前記圧力センサを収納するパッケージと、前記パッケージに配置された電極パッドと、前記電極パッドと前記センサ電極とを導通接続するボンディングワイヤと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、電極の腐食によるボンディングワイヤの剥離を抑制できる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1実施形態にかかるセンサモジュールを示す斜視図である。
図2図2は、図1のセンサモジュールを示す平面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である。
図5図5は、図3の部分拡大図である。
図6図6は、接合部の構造を示す拡大平面図である
図7図7は、図1のセンサモジュールのブロック図である。
図8図8は、本開示の第1実施形態にかかる圧力センサの平面図であり、配線パターンの一例を示している。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿う断面図である。
図10図10は、図8のX-X線に沿う断面図である。
図11図11は、図1のセンサモジュールの製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図12図12は、図1のセンサモジュールの製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図13図13は、図1のセンサモジュールの製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図14図14は、図1のセンサモジュールの製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図15図15は、図1のセンサモジュールの製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図16図16は、第1実施形態の第1変形例にかかるセンサモジュールを示す部分拡大断面図である。
図17図17は、第1実施形態の第2変形例にかかるセンサモジュールを示す部分拡大断面図である。
図18図18は、第1実施形態の第3変形例にかかるセンサモジュールを示す部分拡大断面図である。
図19図19は、本開示の第2実施形態にかかるセンサモジュールを示す平面図である。
図20図20は本開示の第3実施形態にかかるセンサモジュールを示す平面図である。
図21図21は、本開示の第4実施形態にかかるセンサモジュールを示す断面図である。
図22図22は、本開示の第5実施形態にかかるセンサモジュールを示す断面図である。
図23図23は、本開示の第6実施形態にかかるセンサモジュールを示す断面図である。
図24図24は、本開示の第6実施形態にかかるセンサモジュールを示す平面図である。
図25図25は、本開示の第7実施形態にかかるセンサモジュールを示す断面図である。
図26図26は、本開示の第8実施形態にかかるセンサモジュールを示す部分拡大断面図である。
図27図27は、本開示の第9実施形態にかかるセンサモジュールを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1図10に基づき、本開示の第1実施形態にかかるセンサモジュールA1について説明する。センサモジュールA1は、気圧を検出するものであり、例えば掃除機や炊飯器などの各種家電機器や携帯端末などの各種電子機器の回路基板に実装される。なお、センサモジュールA1の用途は限定されない。図1図3に示すように、センサモジュールA1は、パッケージ1、電子部品2、圧力センサ3、複数のボンディングワイヤ4、保護部材5、蓋6、および複数の接合部7を備えている。
【0013】
図1は、センサモジュールA1を示す斜視図である。図2は、センサモジュールA1を示す平面図である。図2においては、理解の便宜上、蓋6および保護部材5を透過している。図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。図4は、図3の部分拡大図である。図5は、図3の部分拡大図である。図6は、接合部7の構造を示す拡大平面図である。図6においては、理解の便宜上、接合部7および後述する電極パッド14だけを示している。図7は、センサモジュールA1のブロック図である。図8は、圧力センサ3の平面図であり、配線パターンの一例を示している。図9は、図8のIX-IX線に沿う断面図である。図10は、図8のX-X線に沿う断面図である。これらの図において、センサモジュールA1の厚さ方向(平面視方向)をz方向(z1-z2方向)とし、z方向に直交するセンサモジュールA1の一方の辺に沿う方向をx方向(x1-x2方向)、z方向およびx方向に直交する方向をy方向(y1-y2方向)として説明する(以下の図においても同様)。本実施形態においては、センサモジュールA1は、x方向およびy方向の寸法が例えば2mm程度、z方向の寸法が0.8~1mm程度とされる。なお、センサモジュールA1の各寸法は限定されない。
【0014】
パッケージ1は、図1図3に示すように、z方向視形状が略矩形状であり、内部空間19を有する箱形状である。また、パッケージ1は、セラミックからなる。本実施形態では、パッケージ1は、複数のグリーンシートを積層して焼成することで形成された積層セラミック基板である。パッケージ1は、内部空間19に電子部品2および圧力センサ3を収納し、センサモジュールA1を各種機器の回路基板に実装するための部材である。パッケージ1は、底板部11および側壁部12を備えている。
【0015】
底板部11は、箱形状のパッケージ1の底板部分を構成し、搭載面11aおよび実装面11bを備えている。搭載面11aおよび実装面11bは、z方向において互いに反対側を向いている。搭載面11aは、z1方向を向く面であり、電子部品2が搭載される面である。実装面11bは、z2方向を向く面であり、センサモジュールA1を各種機器の回路基板に実装する際に利用される面である。
【0016】
パッケージ1の搭載面11aには、複数の電極パッド14および図示しない複数の配線が配置されている。複数の電極パッド14は、搭載面11a上に搭載された電子部品2に導通接続される電極として用いられる。各電極パッド14は、例えばCu、Ti、Ni、Pd、Au等の単種類または複数種類の金属からなり、たとえばメッキによって形成される。本実施形態では、電極パッド14の最の外側の層はAuからなる。
【0017】
また、パッケージ1の実装面11bには、複数の電極パッド15が配置されている。複数の電極パッド15は、センサモジュールA1を回路基板に実装する際に、回路基板の配線パターンに導通接続される電極として用いられる。各電極パッド15は、例えばCu、Ti、Ni、Pd、Au等の単種類または複数種類の金属からなり、たとえばメッキによって形成される。各電極パッド15は、例えば底板部11を貫通する図示しないスルーホールなどを介して、搭載面11aの配線や電極パッド14に導通接続している。
【0018】
側壁部12は、箱形状のパッケージ1の矩形筒形の側壁部分を構成し、内壁面123、蓋配置面121、およびパッド配置面122を備えている。内壁面123は、側壁部12の内側を向く4個の面を含む内周面である。側壁部12の内壁面123および底板部11の搭載面11aによって囲まれた空間が内部空間19であり、電子部品2および圧力センサ3を収納し、保護部材5が充填される。
【0019】
蓋配置面121は、側壁部12の底板部11とは反対側の端面であり、z方向において、底板部11の搭載面11aと同じ側(z1方向)を向いている。蓋配置面121は、z方向視において矩形状の環形状であり平坦な面である。蓋配置面121には、蓋接合部16が配置されている。蓋接合部16は、例えばFe、Co、Ni等の合金からなり、たとえばメッキによって形成される。なお、蓋接合部16の材料は限定されない。蓋接合部16は、z方向視において矩形状の環形状である。蓋接合部16には、例えば溶接によって、蓋6が接合されている。
【0020】
パッド配置面122は、側壁部12のうちy1方向に位置する部分の内壁面123側の一部が蓋配置面121からz方向に凹んだ凹部の底面であり、z方向において、底板部11の搭載面11aと同じ側(z1方向)を向いている。パッド配置面122は、z方向視において矩形状であり平坦な面である。パッド配置面122は、z方向において、搭載面11aと蓋配置面121との間に配置されている。パッド配置面122には、複数の電極パッド13が配置されている。複数の電極パッド13は、圧力センサ3に導通接続される電極として用いられる。電極パッド13は、例えばCu、Ti、Ni、Pd、Au等の単種類または複数種類の金属からなり、たとえばメッキによって形成される。本実施形態では、図2に示すように、4個の電極パッド13が、x方向に等間隔で並んで配置されている。なお、電極パッド13の数は限定されない。各電極パッド13は、例えばパッド配置面122、内壁面123、および搭載面11aに配置された図示しない配線などを介して、電極パッド14に導通接続している。
【0021】
なお、パッケージ1は、積層セラミック基板に限定されず、上記のような構造を有していればよい。パッケージ1の材料は、セラミックに限定されず、例えば合成樹脂などの他の材料であってもよい。また、パッケージ1の形成方法も限定されない。
【0022】
電子部品2は、圧力センサ3が検出した検出信号を処理するものであり、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されている。図7に示すように、本実施形態においては、電子部品2は、温度センサ22を備えており、当該温度センサ22が検出した検出信号、および、圧力センサ3が検出した検出信号の処理を行う。電子部品2は、温度センサ22が検出した検出信号と圧力センサ3が検出した検出信号とをマルチプレクサ23で多重化して、アナログ/デジタル変換回路24でデジタル信号に変換する。そして、信号処理部25が、クロック26のクロック信号に基づいて、記憶部27の記憶領域を利用しながら、増幅やフィルタリング、論理演算などの処理を行う。信号処理後の信号は、インターフェイス28を介して出力される。これにより、センサモジュールA1は、圧力および温度を検出した信号を適切な信号処理を行った上で、出力することができる。なお、電子部品2の内部構成は限定されない。
【0023】
電子部品2は、基板上に各種素子を搭載してパッケージングした、制御のための電子部品である。電子部品2は、平面視矩形状の板状であり、主面2aおよび裏面2bを備えている。主面2aおよび裏面2bは、z方向において互いに反対側を向いている。主面2aは、z1方向を向く面であり、圧力センサ3が搭載される面である。裏面2bは、z2方向を向く面であり、電子部品2をパッケージ1に搭載する際に利用される面である。本実施形態においては、電子部品2のz方向の寸法は100μm程度であり、x方向およびy方向の寸法はそれぞれ1~1.2mm程度である。なお、電子部品2の各寸法は限定されない。
【0024】
電子部品2の裏面2bには、複数の電極21が配置されている。複数の電極21は、それぞれ、パッケージ1の複数の電極パッド14のいずれかに導通接続される電極として用いられ、各電極パッド14に対向する位置に配置されている。電極21は、例えばAlやアルミ合金などの金属からなり、たとえばメッキによって形成される。電極21は、電子部品2内部の導通経路を介して、電子部品2内部に形成された回路に導通接続されている。なお、電極21の数および配置は限定されない。電子部品2は、パッケージ1にフリップチップ実装されており、裏面2bを底板部11側に向けて、パッケージ1の搭載面11aの略中央に搭載されている。電子部品2の裏面2bの各電極21は、それぞれ接合部7を介して、各電極パッド14に導通接続している。
【0025】
複数の接合部7は、それぞれ、電子部品2の複数の電極21のいずれかと、パッケージ1の複数の電極パッド14のいずれかとの間に介在し、電極21と電極パッド14とを導通させる。各接合部7は、z方向視において円形状または楕円形状であり、本実施形態では、図6に示すようにいずれも円形状である。また、各接合部7は、図5に示すように、x方向視において、z方向の両端が平坦な楕円形状であり、z1側の平坦部がz2側の平坦部より長い。y方向視においても同様である。各接合部7の材料は例えばAuからなる。各接合部7は、例えばAuからなる略球形状のバンプが電子部品2の電極21上に形成され、電子部品2がパッケージ1に搭載される際に、当該バンプが電極パッド14に押し付けられることで形成される。各接合部7は、図5および図6に示すように、第1接触面71および第2接触面72を備えている。第1接触面71は、電子部品2の電極21と接触する面であり、接合部7を電極21上に形成したときに形成される。第2接触面72は、パッケージ1の電極パッド14と接触する面であり、電子部品2をパッケージ1に搭載する際に、接合部7が電極パッド14に接触することで形成される。接合部7は先に電極21に接して形成されているので、第1接触面71の面積は第2接触面72の面積より大きい。また、z方向視において、第2接触面72は、第1接触面71に内包されている。
【0026】
圧力センサ3は、圧力を検出するためのセンサである。圧力センサ3は、圧力を検出し、その検出結果を検出信号として電子部品2に出力する。圧力センサ3は、パッケージ1の内部空間19に収納され、内部空間19の流体の圧力を検出する。本実施形態では、圧力センサ3は、パッケージ1の内部空間19にある空気の圧力を検出する気圧センサである。圧力センサ3は、直方体形状であり、主面3aおよび裏面3bを備えている。主面3aおよび裏面3bは、z方向において互いに反対側を向いている。主面3aは、z1方向を向く面であり、電極34が配置されている。裏面3bは、z2方向を向く面であり、圧力センサ3を電子部品2に搭載する際に利用される面である。主面3aおよび裏面3bは、ともに矩形状である。本実施形態においては、圧力センサ3のz方向の寸法は250μm程度であり、x方向およびy方向の寸法はそれぞれ1~1.2mm程度である。本実施形態では、圧力センサ3のx方向およびy方向の寸法は、電子部品2のx方向およびy方向の寸法に一致しており、z方向視において、圧力センサ3と電子部品2とは隙間なく重なっている。なお、圧力センサ3の各寸法は限定されない。
【0027】
図3に示すように、圧力センサ3は、シリコン基板31、ガラス基板32、およびキャビティ33を備えている。
【0028】
シリコン基板31は、シリコンを積層した箱形状をなし、ダイアフラム311およびダイアフラム311の外縁を支持する支持層312を備えている。シリコン基板31は、積層されたシリコン基板に、所定のエッチングマスクを介してエッチングを施すことで形成される。エッチングされて薄膜状となった部分が、ダイアフラム311になる。薄膜状というのは、少なくとも支持層312の厚さ(z方向の寸法)より薄く、キャビティ33内の気圧とキャビティ33外部の気圧との差で変形可能な厚さであることを意味している。なお、シリコン基板31の形成方法は限定されず、薄膜状のダイアフラム311を形成できればよい。本実施形態においては、ダイアフラム311の厚さ(z方向の寸法)は、7μm程度である。シリコン基板31のz1側の面が、圧力センサ3の主面3aである。ダイアフラム311は、主面3aの一部を含んでいる。
【0029】
ガラス基板32は、シリコン基板31に形成された開口部を塞ぐように、支持層312に固定される。ガラス基板32とシリコン基板31とは、例えば陽極接合によって接合される。なお、ガラス基板32とシリコン基板31とは、その他の接合方法(例えば接着剤による接着)によって接合されていてもよい。ガラス基板32のz2側の面が、圧力センサ3の裏面3bである。
【0030】
キャビティ33は、ダイアフラム311、支持層312およびガラス基板32で囲まれて密閉された中空部分である。ダイアフラム311は、z方向に視て、キャビティ33に重なっている。キャビティ33は、圧力が一定に保たれており、本実施形態では、絶対真空に近い真空とされている。また、本実施形態では、キャビティ33を直方体形状の空間としている。図2および図8においては、実際には見えないキャビティ33の外形を一点鎖線で示している。ダイアフラム311は、z方向視においてキャビティ33に重なる部分であり、ダイアフラム311のz方向視形状は矩形状である。なお、ダイアフラム311およびキャビティ33の形状は限定されない。例えば、キャビティ33は円柱形状であってもよい。この場合。ダイアフラム311は、平面視円形状になる。
【0031】
ダイアフラム311は、キャビティ33内の気圧とキャビティ33外部の気圧との差で変形する。圧力センサ3は、ダイアフラム311の形状(歪み具合)に応じた電気信号を生成して、電子部品2に出力する。
【0032】
図9に示すように、シリコン基板31は、シリコン層31aとシリコン層31cとの間に酸化層31bを配置して積層されたシリコン基板を、z2方向から酸化層31bまでエッチングを施すことで形成されている。残ったシリコン層31aが、ダイアフラム311になる。
【0033】
また、図8および図9に示すように、シリコン層31aのz1側の面には、不純物の拡散によって拡散抵抗37(37a,37b,37c,37d)が形成され、不純物の拡散によって拡散配線36が形成されている。拡散抵抗37は、ダイアフラム311に形成されており、ダイアフラム311の変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗である。拡散配線36は、ダイアフラム311に形成されており、ダイアフラム311の変形によっては抵抗値があまり変化しない配線である。図8においては、拡散抵抗37および拡散配線36を破線で示している。
【0034】
また、図9および図10に示すように、シリコン層31aのz1側の面(圧力センサ3の主面3a)には、パッシベーション膜38が配置されている。パッシベーション膜38は、電気絶縁性を有し、主面3aを覆っている。パッシベーション膜38は、たとえば、シリコン基板31に接して積層された酸化ケイ素膜(SiO2)と、当該酸化ケイ素膜に積層された窒化ケイ素膜(Si34)とにより構成される。
【0035】
シリコン層31aのz1側の面(圧力センサ3の主面3a)には、スパッタにより金属配線35が形成されている。金属配線35は、パッシベーション膜38のz1側の面に形成されており、パッシベーション膜38を貫通して設けられたビアを介して、シリコン層31aに形成された拡散配線36に導通接続している。金属配線35の構成材料は限定されないが、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い金属が望ましく、たとえばCuが望ましい。
【0036】
パッシベーション膜38および金属配線35は、表面保護膜39によって覆われている。表面保護膜39は、電気絶縁性を有する。表面保護膜39の構成材料は限定されないが、例えば、フェノール樹脂またはポリイミド樹脂などである。表面保護膜39は、複数の開口39aを備えている。複数の開口39aからはそれぞれ、金属配線35が露出している。表面保護膜39は、例えば、スピンコータによって塗布された感光性樹脂材料に対してフォトリソグラフィ技術を適用することによって、形成される。
【0037】
図4および図10に示すように、金属配線35の所定の位置に、電極34(34a,34b,34c,34d)が形成されている。電極34は、表面保護膜39の開口39aを介して、金属配線35に導通接続している。本実施形態では、電極34は、金属配線35からz方向z1側に向けて積層された第1層341、第2層342、および第3層343を備えている。第1層341は、金属配線35に接し、第1金属からなる。第1金属は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い金属である。本実施形態では、第1金属はCuであるが、限定されない。第1層341は、たとえばメッキにより形成される。なお、第1層341の形成方法および厚さは限定されない。
【0038】
第2層342は、第1層341のz方向z1側に接して配置され、第2金属からなる。第2金属は限定されないが、本実施形態ではNiである。第2層342は、たとえばメッキにより形成される。なお、第2層342の形成方法および厚さは限定されない。第3層343は、第2層342のz方向z1側に接して配置され、第3金属からなる。第3金属は限定されないが、本実施形態ではPdである。第3層343は、たとえばメッキにより形成される。なお、第3層343の形成方法および厚さは限定されない。なお、電極34の構成はこれに限定されず、第1層341を備えていればよい。たとえば、電極34は、第2層342または第3層343を備えなくてもよいし、他の金属層をさらに備えてもよい。
【0039】
図8に示すように、圧力センサ3のダイアフラム311内には、4個の拡散抵抗37a,37b,37c,37dが配置されている。4個の拡散抵抗37a,37b,37c,37dは、金属配線35および拡散配線36によって電気的に接続されて、ブリッジ回路を構成している。また、圧力センサ3のダイアフラム311の周囲の支持層312には、4個の電極34a,34b,34c,34dが配置されている。本実施形態では、4個の電極34a,34b,34c,34dは、いずれも、ダイアフラム311のy1側に配置されている。つまり、4個の電極34a,34b,34c,34dは、主面3aのy1側の第1辺319とダイアフラム311との間にすべて配置されている。電極34aは、拡散抵抗37aと拡散抵抗37cとを導通接続する金属配線35に導通接続されている。電極34bは、拡散抵抗37aと拡散抵抗37bとを導通接続する金属配線35に導通接続されている。電極34cは、拡散抵抗37cと拡散抵抗37dとを導通接続する金属配線35に導通接続されている。電極34dは、拡散抵抗37bと拡散抵抗37dとを導通接続する金属配線35に導通接続されている。電極34aと電極34dとの間には、例えば5Vの基準電圧が印加され、電極34bと電極34cとの間の電圧が検出信号として、電子部品2に出力される。拡散抵抗37bおよび拡散抵抗37cは、ダイアフラム311が歪むことによって、電流の流れる方向(図8では長手方向でありx方向)に延びるので、抵抗値が大きくなる。一方、拡散抵抗37aおよび拡散抵抗37dは、ダイアフラム311が歪むことによって、電流の流れる方向に直交する方向(図8では短手方向でありy方向)に延びるので、抵抗値が小さくなる。これにより、ダイアフラム311の歪み具合に応じて、電極34bと電極34cとの間の電圧が変化する。なお、図8は、配線パターンの一例であり、電極34a,34b,34c,34d、拡散抵抗37a,37b,37c,37d、拡散配線36および金属配線35の配置位置および接続方法は限定されない。また、電極34の数は4個に限定されず、検査用の電極34がさらに配置されてもよい。
【0040】
図3に示すように、圧力センサ3は、裏面3bを電子部品2側に向けて、電子部品2の主面2aに搭載されている。圧力センサ3と電子部品2とは、例えばシリコーン樹脂などの接合層75によって接合されている。圧力センサ3の電極34(34a,34b,34c,34d)は、ボンディングワイヤ4を介して、パッケージ1のパッド配置面122に配置された電極パッド13に導通接続されている。各電極34は、ボンディングワイヤ4、パッケージ1の電極パッド13、各配線、電極パッド14、および接合部7を介して、電子部品2の電極21に導通接続されている。
【0041】
複数のボンディングワイヤ4は、パッケージ1の複数の電極パッド13のいずれかと、圧力センサ3の複数の電極34のいずれかとを導通接続する。各ボンディングワイヤ4は、たとえばCuからなる。なお、各ボンディングワイヤ4の材料は限定されず、たとえばAl,Auなどであってもよい。各ボンディングワイヤ4は、ファーストボンディング部41およびセカンドボンディング部42を備えている。ファーストボンディング部41は、先に接合された部分であり、本実施形態では、電極パッド13に接合されている。セカンドボンディング部42は、後で接合された部分であり、本実施形態では、電極34上に配置された緩衝部43に接合されている。本実施形態では、各ボンディングワイヤ4は、ウエッジボンディングにより形成される。なお、各ボンディングワイヤ4は、ボールボンディングにより形成されてもよい。
【0042】
緩衝部43は、電極34に接合されており、ボンディングワイヤ4を接合する際の、シリコン基板31への衝撃を吸収するための部材である。本実施形態では、電極34の第1層341がAlより硬いCuからなるので、ボンディングワイヤ4を電極34にウエッジボンディングにより接合すると、衝撃によりシリコン基板31が損傷する場合がある。緩衝部43は、電極34の第3層343に接して導通接合され、ボンディングワイヤ4は、緩衝部43に導通接合される。これにより、緩衝部43がシリコン基板31への衝撃を吸収して、シリコン基板31の損傷を抑制する。
【0043】
本実施形態では、緩衝部43は、第1緩衝部431と第2緩衝部432とを備えている。第1緩衝部431は、電極34の第3層343に接して導通接合されている。第2緩衝部432は、第1緩衝部431に接して導通接合されている。第1緩衝部431および第2緩衝部432は、ワイヤ材料をウエッジボンディングにより接合したワイヤ片である。第1緩衝部431および第2緩衝部432は、通常のワイヤボンディングとは異なり、ファーストボンディングして少しワイヤ材料を延ばしてすぐに切断することで形成されている。本実施形態では、第1緩衝部431および第2緩衝部432は、ボンディングワイヤ4と同じワイヤ材料を用いて形成される。したがって、緩衝部43の構成材料は、ボンディングワイヤ4と同様にCuである。なお、緩衝部43は、ボンディングワイヤ4とは異なるワイヤ材料を用いて形成されてもよい。また、緩衝部43は、第2緩衝部432を備えず、第1緩衝部431のみで構成されてもよいし、第1緩衝部431と第2緩衝部432との間にさらに第3緩衝部を備えてもよい。
【0044】
本実施形態では、図3に示すように、搭載面11aから電極パッド13が配置されているパッド配置面122までの距離D1は、搭載面11aから圧力センサ3の主面3aまでの距離D3と同程度である。距離D1は、搭載面11aから電子部品2の主面2aまでの距離D2より大きいことが望ましい。さらに、距離D1は、距離D3の0.9倍以上1.1倍以下であるのが望ましく、距離D3と等しいことが最も望ましい。
【0045】
保護部材5は、パッケージ1の側壁部12の内壁面123および底板部11の搭載面11aによって囲まれた内部空間19に充填され、電子部品2、圧力センサ3、および複数のボンディングワイヤ4を覆うように形成されている。複数のボンディングワイヤ4は、いずれも、保護部材5によって全体が覆われている。本実施形態では、圧力センサ3の主面3aは、保護部材5によって全体が覆われている。また、パッド配置面122および電極パッド13も、保護部材5によって全体が覆われている。
【0046】
保護部材5は、絶縁性の樹脂であり、本実施形態では、シリコーンゲルである。保護部材5は、液体状のシリコーンゲルの材料をパッケージ1の内部空間19に充填し、加熱により硬化させてゲル状にしたものである。なお、保護部材5の材料は限定されない。本実施形態では、保護部材5のヤング率は、0.04GPa程度である。保護部材5のヤング率は、0.1GPa以下0.01GPa以上であることが望ましい。保護部材5は、ヤング率が比較的低いので、ダイアフラム311の変形をほとんど阻害しない。したがって、圧力センサ3のダイアフラム311が保護部材5によって覆われていても、圧力センサ3は、保護部材5に影響されずに、適切に圧力を検出できる。
【0047】
蓋6は、金属製のz方向視略矩形状の板状部材である。蓋6は、蓋接合部16に接合されて、パッケージ1の蓋配置面121に配置されており、パッケージ1の開口をふさいでいる。本実施形態では、蓋6は、溶接によって蓋接合部16に接合されている。なお、蓋6の材料および接合方法は限定されない。また、センサモジュールA1は、蓋接合部16を備えなくてもよい。蓋6は、内部に外気を取り入れるための開口部61を備えている。蓋6に開口部61が設けられ、パッケージ1の内部空間19が中空になっていることで、圧力センサ3は、センサモジュールA1の周囲の気圧(例えば大気圧)を検出できる。また、電子部品2の温度センサ22は、センサモジュールA1の周囲の気温を検出できる。本実施形態では、図1に示すように、開口部61が、蓋6のx1側の端部寄りでy2側の端部寄りの位置に、1個だけ配置されている。なお、開口部61の位置および数は限定されない。
【0048】
次に、図11図15に基づき、センサモジュールA1の製造方法について説明する。 図11図15は、センサモジュールA1の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
【0049】
まず、パッケージ材料91、電子部品2、および圧力センサ3を準備する。本実施形態では、電子部品2の裏面2bに配置された各電極21上には、例えばAuからなる略球形状のバンプ92が形成されている(図12参照)。
【0050】
また、本実施形態では、パッケージ材料91は、図11に示すように、グリーンシート911,912,913を積層して焼成することで形成されたセラミック基板である。グリーンシート911は、互いに反対側を向く表面911aおよび裏面911bと、表面911aから裏面911bまで貫通する貫通孔911cとを備えている。グリーンシート912は、互いに反対側を向く表面912aおよび裏面912bと、表面912aから裏面912bまで貫通する貫通孔912cとを備えている。グリーンシート913は、互いに反対側を向く表面913aおよび裏面913bを備えている。なお、グリーンシート911,912,913にはそれぞれ必要に応じて、たとえばスクリーン印刷によって、図示しない配線が形成されている。また、図示しない貫通孔が形成されて、スルーホールが形成されている場合がある。また、グリーンシート911,912,913は、それぞれ、複数のグリーンシートが積層されたものであってもよい。
【0051】
グリーンシート911の裏面911bとグリーンシート912の表面912aとが接し、グリーンシート912の裏面912bとグリーンシート913の表面913aとが接するように積層して、焼成することで、パッケージ材料91が形成される(図12参照)。このとき、グリーンシート912の表面912aのうち貫通孔911cから露出する部分がパッド配置面122になる。また、グリーンシート913の表面913aのうち貫通孔912cから露出する部分が搭載面11aになる。また、グリーンシート911の貫通孔911cおよびグリーンシート912の貫通孔912cが内壁面123になる。また、グリーンシート913の表面913a、グリーンシート911の貫通孔911c、およびグリーンシート912の貫通孔912cによって囲まれた空間が内部空間19になる。
【0052】
次に、図12に示すように、パッケージ材料91に、蓋接合部16および電極パッド13,14,15を形成する。パッケージ材料91は、表面91aおよび裏面91bを備えている。グリーンシート911の表面911aが表面91aになり、グリーンシート913の裏面913bが裏面91bになっている。パッケージ材料91は、最終工程で裁断されてパッケージ1になる。また、パッケージ材料91の裏面91bが実装面11bになり、パッケージ材料91の表面91aが蓋配置面121になる。パッケージ材料91の表面91aに、たとえばメッキによって蓋接合部16を形成する。また、パッケージ材料91のパッド配置面122に、たとえばメッキによって電極パッド13を形成する。また、パッケージ材料91の搭載面11aに、たとえばメッキによって電極パッド14を形成する。また、パッケージ材料91の裏面91bに、たとえばメッキによって電極パッド15を形成する。
【0053】
次に、図12に示すように、パッケージ材料91の各内部空間19に、電子部品2を搭載する。電子部品2は、裏面2bをパッケージ材料91の搭載面11aに向けて、搭載面11aにフリップチップ実装される。このとき、電子部品2の複数の電極21にそれぞれ形成されたバンプ92が、超音波と圧力によって、パッケージ材料91の複数の電極パッド14にそれぞれ接合されて、接合部7になる(図13参照)。電子部品2の各電極21は、それぞれ接合部7を介して、各電極パッド14に導通接続する。
【0054】
次に、図13に示すように、電子部品2に圧力センサ3を搭載する。電子部品2の主面2aに接合層75の材料を塗布し、圧力センサ3の裏面3bを電子部品2側に向けて、圧力センサ3を電子部品2に搭載する。
【0055】
次に、図14に示すように、圧力センサ3の各電極34とパッケージ材料91の各電極パッド13とを、ボンディングワイヤ4で接続する。ボンディングワイヤ4は、まず、電極パッド13に接合され、次に、電極34に接合される。
【0056】
次に、図15に示すように、各内部空間19に、液体のシリコーンゲル材料93を充填する。シリコーンゲル材料93は、例えばディスペンサによって、内部空間19の複数個所に順次注入される。このとき、シリコーンゲル材料93は、圧力センサ3の主面3aの全体、および、各ボンディングワイヤ4の全体を覆うようにされ充填される。そして、加熱することで、シリコーンゲル材料93は硬化し、保護部材5になる。
【0057】
次に、パッケージ材料91を、センサモジュールA1に相当する個片に裁断する。その後、各個片の蓋接合部16に蓋6を溶接により接合する。以上の工程を経ることにより、センサモジュールA1が製造される。
【0058】
次に、センサモジュールA1および圧力センサ3の作用効果について説明する。
【0059】
本実施形態によると、圧力センサ3の各電極34は、第1金属からなる第1層341を備えている。第1金属は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い金属である。したがって、センサモジュールA1は、電極34がAlまたはAl合金である場合と比較して、電極34の腐食を抑制できる。これにより、センサモジュールA1は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。
【0060】
また、本実施形態によると、圧力センサ3の各電極34は、第2金属からなる第2層342および第3金属からなる第3層343を備えている。第2金属はNiであり、第3金属はPdである。これにより、電極34は、第1層341を保護し、かつ、ワイヤボンディングを良好にできる。
【0061】
また、本実施形態によると、各ボンディングワイヤ4のセカンドボンディング部42は、電極34上に配置された緩衝部43に接合される。これにより、セカンドボンディング時に、緩衝部43がシリコン基板31への衝撃を吸収する。したがって、センサモジュールA1は、緩衝部43を備えていない場合と比較して、シリコン基板31の損傷を抑制できる。
【0062】
また、本実施形態によると、電子部品2は、パッケージ1の搭載面11aにフリップチップ実装されている。したがって、電子部品2の電極21とパッケージ1の電極パッド14とをボンディングワイヤ4で接続する必要がない。ワイヤボンディングのためのキャピラリ等の接触に備えて搭載面11aを大きくする必要がないので、センサモジュールA1は小型化が可能である。また、本実施形態によると、接合部7は、電子部品2の電極21上に形成されたバンプ92が、搭載面11aの電極パッド14に押し付けられることで形成される。接合部7はAuからなるので、例えばAlである電極21との接合は、最も外側の層がAuからなる電極パッド14との接合より難しい。接合部7は、先に電極21に形成されることで、電極21との接合をより強固にできる。また、接合による電子部品2へのダメージが小さい。また、接合部7が電極パッド14より精細化されている電極21に先に形成される。したがって、接合部7が先に電極パッド14に形成される場合と比較して、電子部品2をパッケージ1に搭載する際の位置ずれによる不良品の発生を抑制できる。
【0063】
また、本実施形態によると、パッケージ1は搭載面11aよりz1方向に配置されたパッド配置面122を備え、圧力センサ3の電極34はパッド配置面122に配置された電極パッド13にボンディングワイヤ4を介して導通接続されている。したがって、電極パッド13が搭載面11aに配置されている場合と比較して、ワイヤボンディング時にキャピラリがパッケージ1や圧力センサ3に接触することを抑制できる。これにより、キャピラリの接触に備えて搭載面11aを大きくする必要がないので、センサモジュールA1は小型化が可能である。また、本実施形態によると、搭載面11aからパッド配置面122までの距離D1は、搭載面11aから圧力センサ3の主面3aまでの距離D3と同程度である。したがって、ボンディングワイヤ4の形成がより容易である。また、電極パッド13が搭載面11aに配置されている場合と比較して、電極パッド13、圧力センサ3の主面3a、およびボンディングワイヤ4を保護部材5によって覆いやすいという利点がある。また、保護部材5の材料の使用量を抑制できる。パッド配置面122は、蓋配置面121よりz2方向に配置されている。したがって、パッド配置面122と蓋配置面121とがz方向において同じ位置にある場合と比較して、ボンディングワイヤ4が蓋6に接触することを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態によると、圧力センサ3の主面3aに配置された4個の電極34a,34b,34c,34dは、いずれも、ダイアフラム311のy1側に配置されている。各電極34は、圧力センサ3のy1側に配置されたパッド配置面122の各電極パッド13に、ボンディングワイヤ4を介して導通接続されている。パッケージ1は、圧力センサ3のy1側以外にパッド配置面122を備えなくても、各電極34と各電極パッド13とを近接させることができる。したがって、センサモジュールA1は、各電極34と各電極パッド13とを近接させつつ小型化を図ることができる。また、パッケージ1が圧力センサ3のy1側以外にもパッド配置面122および電極パッド13を備えて、ボンディングワイヤ4が接合されていた場合、各ボンディングワイヤ4を覆うように保護部材5を充填すると、圧力センサ3の主面3aのうち各ボンディングワイヤ4の間に位置する領域の保護部材5の厚さが厚くなる。パッケージ1は圧力センサ3のy1側以外にパッド配置面122を備えていないので、主面3aに形成される保護部材5の厚さを抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によると、保護部材5は、各電極パッド13、各電極34、および各ボンディングワイヤ4を覆っている。したがって、蓋6の開口部61から空気とともに水などの粒子が浸入した場合でも、保護部材5は、各電極パッド13、各電極34、および各ボンディングワイヤ4の腐食を防止できる。また、保護部材5は、短絡の発生を防止できる。また、本実施形態によると、保護部材5は、圧力センサ3の主面3aの全体を覆っている。したがって、保護部材5が主面3aの一部だけを覆う場合と比較して、保護部材5の形成が容易である。また、保護部材5は、ダイアフラム311の全体を覆っているので、保護部材5がダイアフラム311の一部だけを覆う場合と比較して、圧力センサ3は、適切に圧力を検出できる。また、本実施形態によると、保護部材5は、ヤング率が比較的低いので、ダイアフラム311の変形をほとんど阻害しない。したがって、圧力センサ3のダイアフラム311が保護部材5によって覆われていても、圧力センサ3は、保護部材5に影響されずに、適切に圧力を検出できる。
【0066】
また、本実施形態によると、パッケージ1はセラミックからなる。したがって、パッケージ1は、センサモジュールA1の製造工程での加熱や、センサモジュールA1の使用時の環境負荷による変形が抑制される。これにより、パッケージ1に搭載された圧力センサ3の測定精度の劣化が抑制される。また、パッケージ1は、積層セラミック基板である。したがって、内部空間19やパッド配置面122を有する構造を形成しやすい。
【0067】
また、本実施形態によると、各ボンディングワイヤ4は、まず、電極パッド13に接合され、次に、電極34上に配置された緩衝部43に接合される。ボンディングワイヤ4の形成時にキャピラリはy2方向に移動するので、キャピラリの移動によるパッケージ1の側壁部12との接触が防止される。また、ボンディングワイヤ4の低背化に寄与する。
【0068】
図16図18は、第1実施形態に係るセンサモジュールA1の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0069】
<第1変形例>
図16は、第1実施形態の第1変形例にかかるセンサモジュールA11を説明するための図である。図16は、センサモジュールA11を示す部分拡大断面図であり、図4に対応する図である。第1変形例に係る圧力センサ3は、第4層344をさらに備えている。第4層344は、第3層343のz方向z1側に接して配置され、第4金属からなる。第4金属は限定されないが、本実施形態ではAuである。第4層344は、たとえばメッキにより形成される。なお、第4層344の形成方法および厚さは限定されない。
【0070】
<第2変形例>
図17は、第1実施形態の第2変形例にかかるセンサモジュールA12を説明するための図である。図17は、センサモジュールA12を示す部分拡大断面図であり、図4に対応する図である。第2変形例に係る圧力センサ3は、電極34を備えていない。本変形例では、金属配線35は、第1金属からなる。金属配線35は、表面保護膜39の開口39aから露出した露出部35aを備えている。また、金属配線35の露出部35aには、第2層351および第3層352が積層されている。第2層351は、露出部35aのz方向z1側に接して配置され、第2金属からなる。第3層352は、第2層351のz方向z1側に接して配置され、第3金属からなる。本変形例においては、金属配線35の露出部35a、第2層351、および第3層352が、電極34の代わりとなり、緩衝部43が、第3層352に接して導通接合されている。ボンディングワイヤ4のセカンドボンディング部42は、金属配線35の露出部35a上に配置された緩衝部43に接合されている。本変形例によると、圧力センサ3は、電極34の代わりになる金属配線35の露出部35aが第1金属からなる。したがって、センサモジュールA12は、露出部35aの腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。
【0071】
<第3変形例>
図18は、第1実施形態の第3変形例にかかるセンサモジュールA13を説明するための図である。図18は、センサモジュールA13を示す部分拡大断面図であり、図4に対応する図である。第3変形例に係るセンサモジュールA13は、緩衝部43を備えておらず、ボンディングワイヤ4のセカンドボンディング部42が電極34に直接接合されている。本変形例によると、緩衝部43を形成する工程を省略できるので、製造工程が簡略化される。
【0072】
図19図27は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。
【0073】
〔第2実施形態〕
図19は、本開示の第2実施形態にかかるセンサモジュールA2を示す平面図であり、図2に対応する図である。なお、図19においては、理解の便宜上、蓋6および保護部材5を透過している。本実施形態のセンサモジュールA2は、圧力センサ3の4個の電極34の配置位置が、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0074】
本実施形態にかかる圧力センサ3は、2個の電極34がダイアフラム311のy1側に配置され、他の2個の電極34がダイアフラム311のx1側に配置されている。また、本実施形態にかかるパッド配置面122は、側壁部12のうちy1方向に位置する部分とx1方向に位置する部分とにまたがるL字形状である。パッド配置面122は、2個の電極パッド13がy1方向に位置する部分に配置され、他の2個の電極パッド13がx1方向に位置する部分に配置されている。
【0075】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA2は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA2は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。
【0076】
〔第3実施形態〕
図20は、本開示の第3実施形態にかかるセンサモジュールA3を示す平面図であり、図2に対応する図である。なお、図20においては、理解の便宜上、蓋6および保護部材5を透過している。本実施形態のセンサモジュールA3は、圧力センサ3の4個の電極34の配置位置が、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~2実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0077】
本実施形態にかかる圧力センサ3は、2個の電極34がダイアフラム311のy1側に配置され、他の2個の電極34がダイアフラム311のy2側に配置されている。また、本実施形態にかかるパッケージ1は、さらにパッド配置面122’を備えている。パッド配置面122’は、側壁部12のうちy2方向に位置する部分の内壁面123側の一部が蓋配置面121からz方向に凹んだ凹部の底面であり、z方向において、底板部11の搭載面11aと同じ側を向いている。パッド配置面122’は、z方向視において矩形状であり平坦な面である。パッド配置面122’は、z方向において、搭載面11aと蓋配置面121との間に配置されている。パッド配置面122には2個の電極パッド13が配置され、パッド配置面122’には他の2個の電極パッド13が配置されている。
【0078】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA3は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA3は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。
【0079】
〔第4実施形態〕
図21は、本開示の第4実施形態にかかるセンサモジュールA4を示す断面図であり、図3に対応する図である。本実施形態のセンサモジュールA4は、保護部材5を備えていない点で、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~3実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0080】
本実施形態にかかるセンサモジュールA4は、防水、防湿を必要としない用途に用いられるので、保護部材5を備えていない。
【0081】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA4は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA4は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。さらに、センサモジュールA4は、保護部材5を備えていないので、材料コストを抑制できる。また、センサモジュールA4は、保護部材5を充填する工程を必要としないので、製造工程を簡略化できる。
【0082】
〔第5実施形態〕
図22は、本開示の第5実施形態にかかるセンサモジュールA5を示す断面図であり、図3に対応する図である。本実施形態のセンサモジュールA5は、圧力センサ3のz方向視における大きさが、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~4実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0083】
本実施形態にかかる圧力センサ3は、x方向の寸法が電子部品2のx方向の寸法より小さく、y方向の寸法が電子部品2のy方向の寸法より小さい。圧力センサ3は、z方向視において、電子部品2に内包されている。
【0084】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA5は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA5は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。
【0085】
〔第6実施形態〕
図23および図24は、本開示の第6実施形態にかかるセンサモジュールA6を示している。図23は、センサモジュールA6を示す断面図であり、図3に対応する図である。図24は、センサモジュールA6を示す平面図であり、図2に対応する図である。なお、図24においては、理解の便宜上、蓋6を透過している。本実施形態のセンサモジュールA6は、ダイアフラム311が保護部材5によって覆われていない点で、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~5実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0086】
本実施形態にかかる保護部材5は、圧力センサ3の主面3aの一部だけを覆っている。保護部材5は、開口5aを備えており、当該開口5aからダイアフラム311の全体を露出させている。つまり、センサモジュールA6においては、保護部材5は、ダイアフラム311を覆っていない。
【0087】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA6は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA6は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態よると、ダイアフラム311が保護部材5に覆われていないので、保護部材5のヤング率が高い場合や、圧力センサ3の主面3a上に形成された保護部材5が厚い場合でも、保護部材5は、ダイアフラム311の変形を阻害しない。したがって、圧力センサ3は、保護部材5に影響されずに、適切に圧力を検出できる。
【0088】
〔第7実施形態〕
図25は、本開示の第7実施形態にかかるセンサモジュールA7を示す断面図であり、図3に対応する図である。本実施形態のセンサモジュールA7は、ボンディングワイヤ4の接合の順番が、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~6実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0089】
本実施形態にかかるボンディングワイヤ4は、ファーストボンディング部41が圧力センサ3の電極34に接合され、セカンドボンディング部42がパッケージ1の電極パッド13に接合されている。
【0090】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA7は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA7は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。
【0091】
〔第8実施形態〕
図26は、本開示の第8実施形態にかかるセンサモジュールA8を示す部分拡大断面図であり、図5に対応する図である。本実施形態のセンサモジュールA8は、接合部7が先に電極パッド14に形成されている点で、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~7実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0092】
本実施形態にかかる接合部7は、バンプ92がパッケージ1の電極パッド14に先に形成され、電子部品2がパッケージ1に搭載される際に、当該バンプ92が電子部品2の電極21に押し付けられることで形成される。接合部7は、電極パッド14に形成されたときに第2接触面72が形成され、電子部品2をパッケージ1に搭載する際に電極21に接触することで第1接触面71が形成される。接合部7は電極パッド14に接して先に形成されているので、第2接触面72の面積は第1接触面71の面積より大きい。また、z方向視において、第1接触面71は、第2接触面72に内包されている。
【0093】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA8は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA8は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。
【0094】
〔第9実施形態〕
図27は、本開示の第9実施形態にかかるセンサモジュールA9を示す断面図であり、図3に対応する図である。本実施形態のセンサモジュールA9は、パッケージ1および蓋6の代わりに、基板10およびカバー60を備えている点で、センサモジュールA1と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~8実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0095】
本実施形態において、基板10は、板状であり、電子部品2および圧力センサ3が搭載されている。カバー60は、箱形状の部材であり、電子部品2および圧力センサ3を覆っている。圧力センサ3の電極34および電子部品2の電極21は、ボンディングワイヤ4によって、パッケージ1の電子部品2が搭載された面に配置された電極パッド13に導通接続されている。
【0096】
本実施形態においても、圧力センサ3の各電極34が第1金属からなる第1層341を備えているので、センサモジュールA9は、電極34の腐食によるボンディングワイヤ4の剥離を抑制できる。また、センサモジュールA9は、センサモジュールA1と共通する構成をとることにより、センサモジュールA1と同等の効果を奏する。第9実施形態から理解されるように、電子部品2および圧力センサ3が収納される部材の構成は何ら限定されない。
【0097】
なお、上記第1ないし第9実施形態においては、圧力センサ3が気圧センサである場合について説明したが、これに限られない。圧力センサ3は、パッケージ1の内部空間19にある液体の圧力を検出してもよい。
【0098】
本開示にかかる圧力センサおよびセンサモジュールは、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示にかかる圧力センサおよびセンサモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0099】
〔付記1〕
厚さ方向(Z方向)において互いに反対側を向くセンサ主面(3a)およびセンサ裏面(3b)と、
前記厚さ方向において前記センサ主面と前記センサ裏面との間に位置する中空部分(33)と、
前記センサ主面の一部を含み、かつ、前記厚さ方向に視て前記中空部分に重なるダイアフラム(311)と、
前記センサ主面に配置されたセンサ電極(34)と、を備え、
前記センサ電極は、AlおよびAl合金より耐腐食性が高い第1金属からなる第1層(341)を備えている、
圧力センサ(3)。
〔付記2〕
前記第1金属は、Cuである、
付記1に記載の圧力センサ。
〔付記3〕
前記センサ電極は、前記第1層に対して前記センサ主面とは反対側に配置され、かつ、第2金属からなる第2層(342)をさらに備えている、
付記1または2に記載の圧力センサ。
〔付記4〕
前記第2金属は、Niである、
付記3に記載の圧力センサ。
〔付記5〕
前記センサ電極は、前記第2層に対して前記センサ主面とは反対側に配置され、かつ、第3金属からなる第3層(343)をさらに備えている、
付記3または4に記載の圧力センサ。
〔付記6〕
前記第3金属は、Pdである、
付記5に記載の圧力センサ。
〔付記7〕
前記ダイアフラムに形成された拡散抵抗(37)と、
前記センサ主面に配置され、かつ、前記拡散抵抗に導通する金属配線(35)と、
をさらに備え、
前記センサ電極は、前記金属配線上に配置されている、
付記1ないし6のいずれかに記載の圧力センサ。
〔付記8〕
前記金属配線は、前記第1金属を含んでいる、
付記7に記載の圧力センサ。
〔付記9〕
前記ダイアフラムに形成された拡散抵抗と、
前記センサ主面に配置され、かつ、前記拡散抵抗に導通する金属配線と、
をさらに備え、
前記センサ電極は、前記金属配線の一部である、
付記1ないし6のいずれかに記載の圧力センサ。
〔付記10〕
前記センサ電極は、前記厚さ方向に視て、前記ダイアフラムに重ならない位置に配置されている、
付記1ないし9のいずれかに記載の圧力センサ。
〔付記11〕
前記センサ主面に配置された複数の第2センサ電極(34)をさらに備え、
前記センサ主面は、矩形状であって、第1辺(319)を備え、
前記センサ電極および前記複数の第2センサ電極はいずれも、前記第1辺と前記ダイアフラムとの間に配置されている、
付記1ないし10のいずれかに記載の圧力センサ。
〔付記12〕
付記1ないし11のいずれかに記載の圧力センサと、
箱形状であり、かつ、前記圧力センサを収納するパッケージ(1)と、
前記パッケージに配置された電極パッド(13)と、
前記電極パッドと前記センサ電極とを導通接続するボンディングワイヤ(4)と、
を備えている、
センサモジュール。
〔付記13〕
前記ボンディングワイヤは、Cuを含んでいる、
付記12に記載のセンサモジュール(A1)。
〔付記13-1〕
前記ボンディングワイヤは、ファーストボンディング部(41)およびセカンドボンディング部(42)を備え、
前記ファーストボンディング部は、前記電極パッドに接合され、
前記セカンドボンディング部は、前記センサ電極に接合されている、
付記12または13に記載のセンサモジュール。
〔付記13-2〕
前記センサ電極に導通接合されている緩衝部(43)をさらに備え、
前記ボンディングワイヤは、ファーストボンディング部およびセカンドボンディング部を備え、
前記ファーストボンディング部は、前記電極パッドに接合され、
前記セカンドボンディング部は、前記緩衝部に接合されている、
付記12または13に記載のセンサモジュール。
〔付記14〕
前記パッケージに収納され、かつ、前記圧力センサが出力する検出信号の処理を行う電子部品(2)をさらに備え、
前記電子部品は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く電子部品主面(2a)および電子部品裏面(2b)と、前記電子部品裏面に配置された電子部品電極(21)と、を備え、
前記圧力センサは、前記センサ裏面を前記電子部品側に向けて、前記電子部品主面に搭載され、
前記パッケージは、前記厚さ方向において前記電子部品主面と同じ側を向く搭載面(11a)および前記電子部品裏面と同じ側を向く実装面(11b)を有する底板部(11)を備え、
前記電子部品は、前記電子部品裏面を前記底板部側に向けて、前記搭載面に搭載されている、
付記12または13に記載のセンサモジュール。
〔付記15〕
前記パッケージの内部空間に充填された保護部材(5)をさらに備えている、
付記12ないし14のいずれかに記載のセンサモジュール。
〔付記15-1〕
前記保護部材はシリコーンゲルである、
付記15に記載のセンサモジュール。
〔付記15-2〕
前記保護部材は、前記ボンディングワイヤの全体を覆っている、
付記15に記載のセンサモジュール。
〔付記15-3〕
前記保護部材は、前記ダイアフラムの全体を露出させている、
付記15に記載のセンサモジュール。
〔付記15-2〕
前記保護部材は、前記センサ主面の全体を覆っている、
付記15に記載のセンサモジュール。
【符号の説明】
【0100】
A1,A11,A12,A13,A2~A9:センサモジュール
1 :パッケージ
11 :底板部
11a :搭載面
11b :実装面
10 :基板
12 :側壁部
121 :蓋配置面
122,122':パッド配置面
123 :内壁面
13,14,15:電極パッド
16 :蓋接合部
19 :内部空間
2 :電子部品
2a :主面
2b :裏面
21 :電極
22 :温度センサ
23 :マルチプレクサ
24 :アナログ/デジタル変換回路
25 :信号処理部
26 :クロック
27 :記憶部
28 :インターフェイス
3 :圧力センサ
3a :主面
3b :裏面
31 :シリコン基板
311 :ダイアフラム
312 :支持層
31a :シリコン層
31b :酸化層
31c :シリコン層
319 :第1辺
32 :ガラス基板
33 :キャビティ
34,34a~34d:電極
341 :第1層
342 :第2層
343 :第3層
344 :第4層
35 :金属配線
35a :露出部
351 :第2層
352 :第3層
36 :拡散配線
37,37a~37d:拡散抵抗
38 :パッシベーション膜
39 :表面保護膜
35a :開口
4 :ボンディングワイヤ
41 :ファーストボンディング部
42 :セカンドボンディング部
43 :緩衝部
431 :第1緩衝部
432 :第2緩衝部
5 :保護部材
5a ;開口部
6 :蓋
61 :開口部
60 :カバー
7 :接合部
71 :第1接触面
72 :第2接触面
75 :接合層
91 :パッケージ材料
91a :表面
91b :裏面
911 :グリーンシート
911a:表面
911b:裏面
911c:貫通孔
912 :グリーンシート
912a:表面
912b:裏面
912c:貫通孔
913 :グリーンシート
913a:表面
913b:裏面
92 :バンプ
93 :シリコーンゲル材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27