(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111585
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】光学センサ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20240809BHJP
H01S 5/06 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01S7/484
H01S5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016177
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 誠也
(72)【発明者】
【氏名】稲津 賢治
(72)【発明者】
【氏名】植野 晶文
【テーマコード(参考)】
5F173
5J084
【Fターム(参考)】
5F173SA34
5F173SC10
5F173SE01
5F173SF17
5F173SF32
5F173SF63
5F173SF64
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA49
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA13
5J084EA33
(57)【要約】
【課題】耐久性を確保する光学センサの提供。
【解決手段】光学センサは、光源素子により投光ビームを発生させる投光部と、反射ビームを受光することにより、検出信号を出力する受光部と、投光部及び受光部を制御する制御部とを、備える。制御部は、投光部において光源素子の周囲へ伝熱された伝熱温度Ttを監視することと、光源素子において伝熱温度Ttの上昇に応じて減少する発光効率の効率変化量と、伝熱温度Ttの伝熱変化量とに相関する、光源素子でのジャンクション温度Tjの温度変化量を吸収するように光源素子での発光出力Plを制御することとを、実行するように構成される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光ビーム(Bp)を投光し、前記投光ビームに対して反射された反射ビーム(Br)を受光する光学センサ(10)であって、
光源素子(24)により前記投光ビームを発生させる投光部(21)と、
前記反射ビームを受光することにより、検出信号を出力する受光部(41)と、
前記投光部及び前記受光部を制御する制御部(51)とを、備え、
前記制御部は、
前記投光部において前記光源素子の周囲へ伝熱された伝熱温度(Tt)を監視することと、
前記光源素子において前記伝熱温度の上昇に応じて減少する発光効率の効率変化量と、前記伝熱温度の伝熱変化量とに相関する、前記光源素子でのジャンクション温度(Tj)の温度変化量を吸収するように前記光源素子での発光出力(Pl)を制御することとを、実行するように構成される光学センサ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記温度変化量を吸収するように前記光源素子への印加電圧(Vl)を調整することにより、前記発光出力を制御する請求項1に記載の光学センサ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ジャンクション温度に許容される許容温度範囲(τj)に対応して前記伝熱温度に設定される温度範囲を基準伝熱範囲(τt)として、前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲外へ上昇の場合に、前記温度変化量を吸収するように前記発光出力を制御する請求項1に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記発光出力に許容される出力範囲を許容出力範囲(ρl)として、
前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲外へ上昇の場合に、前記温度変化量を吸収するように前記発光出力を前記許容出力範囲内に制御する請求項3に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲内の場合に、前記光源素子への印加電圧(Vl)を保持することにより、前記発光出力を前記許容出力範囲内に制御する請求項4に記載の光学センサ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記基準伝熱範囲内の前記伝熱温度が、前記光源素子への印加電圧(Vl)を保持する高温範囲(τth)よりも低い低温範囲(τtl)内の場合に、前記発光出力を前記許容出力範囲の最大出力(Plu)に保持する請求項5に記載の光学センサ。
【請求項7】
前記投光部は、
前記投光ビームを発生させる前記光源素子が複数設けられた投光光源ユニット(22)を、有し、
前記制御部は、
各前記光源素子から共通の周囲箇所への前記伝熱温度を監視し、
各前記光源素子毎に前記温度変化量を吸収するように、各前記光源素子毎での前記発光出力を個別制御する請求項1~6のいずれか一項に記載の光学センサ。
【請求項8】
前記投光部は、
電源電圧(Vs)を供給する電源回路(2)と、
前記電源電圧から前記光源素子への印加電圧(Vl)を調整する調整回路(4)とを、有し、
前記制御部は、
前記伝熱温度の上下に応じた、前記電源電圧の変動を吸収するように、前記電源回路を制御する請求項2,5,6のいずれか一項に記載の光学センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学センサに関する。
【背景技術】
【0002】
投光ビームを投光し、投光ビームに対して反射された反射ビームを受光する光学センサは、広く知られている。こうした光学センサの一種として特許文献1には、投光部の光源素子により発生させた投光ビームに対して、受光部での反射ビームの受光により検出信号を出力するセンサが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の光学センサでは、検出信号が基準信号よりも低いことで飽和しない間は、光源素子からの放射エネルギー量を増大させている。その結果、光源素子の周囲温度が高くなる状況下では、放射エネルギー量の増大に応じて光源素子の温度が上昇し続けることになるため、光源素子の寿命低下という耐久性の問題を招くおそれがあった。
【0005】
本開示の課題は、耐久性を確保する光学センサを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の一態様は、
投光ビーム(Bp)を投光し、投光ビームに対して反射された反射ビーム(Br)を受光する光学センサ(10)であって、
光源素子(24)により投光ビームを発生させる投光部(21)と、
反射ビームを受光することにより、検出信号を出力する受光部(41)と、
投光部及び受光部を制御する制御部(51)とを、備え、
制御部は、
投光部において光源素子の周囲へ伝熱された伝熱温度(Tt)を監視することと、
光源素子において伝熱温度の上昇に応じて減少する発光効率の効率変化量と、伝熱温度の伝熱変化量とに相関する、光源素子でのジャンクション温度(Tj)の温度変化量を吸収するように光源素子での発光出力(Pl)を制御することとを、実行するように構成される。
【0008】
このように本開示の一態様による投光部では、光源素子の周囲へ伝熱された伝熱温度が、制御部により監視される。そこで制御部ではさらに、光源素子において伝熱温度の上昇に応じて減少する発光効率の効率変化量と、伝熱温度の伝熱変化量とに相関する、光源素子でのジャンクション温度の温度変化量が着目される。これにより制御部では、ジャンクション温度の温度変化量を吸収するように光源素子での発光出力が制御されるので、温度上昇に起因する光源素子の寿命低下を抑制して、耐久性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態による光学センサの全体構成を示す断面図である。
【
図2】第一実施形態による投光光源ユニットを示す模式図である。
【
図3】第一実施形態による投光光源ユニットの作動を説明するためのタイムチャートである。
【
図4】第一実施形態による受光検出ユニットを示す模式図である。
【
図5】第一実施形態による投光光源ユニットの回路構成を示すブロック図である。
【
図6】第一実施形態による電源回路の詳細構成を示す回路図である。
【
図7】第一実施形態による調整回路の詳細構成を示す回路図である。
【
図8】第一実施形態による測温回路の詳細構成を示す回路図である。
【
図9】第一実施形態の制御部による制御原理を説明するためのグラフである。
【
図10】第二実施形態の制御部による制御原理を説明するためのグラフである。
【
図11】第三実施形態による電源回路の特性を示すグラフである。
【
図12】
図7の変形例による調整回路の詳細構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0011】
(第一実施形態)
図1に示すように、本開示の第一実施形態による光学センサ10は、移動体に配置されて外界を光学的に検出するための、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)である。光学センサ10の配置対象となる移動体は、手動運転、自動運転、及び遠隔運転のうち少なくとも一種類の運転が可能な、例えば自動車等の車両である。尚、以下の説明では断り書きがない限り、前、後、上、下、左、及び右が示す各方向は、水平面上の車両を基準として定義される。また、以下の説明において水平方向及び鉛直方向とは、それぞれ水平面上の車両における、当該水平面に対しての平行方向及び垂直方向を意味する。
【0012】
光学センサ10は、例えば前方部、左右の側方部、後方部、及び上部ルーフ等のうち、車両における少なくとも一箇所に配置される。光学センサ10は、外界のうち車両での配置箇所に応じた検出領域Adへと向けて、投光ビームBpを投光する。光学センサ10は、外界において投光ビームBpが検出領域Adの物標により反射されることで戻ってくる戻り光を、反射ビームBrとして検出する。こうして反射ビームBrとなる投光ビームBpには、人間から視認困難な近赤外域の光が選択される。
【0013】
光学センサ10は、投光ビームBpに対して反射された反射ビームBrを受光することで、外界のうち検出領域Adに存在する物標を、検出する。こうした外界物標の検出とは、例えば光学センサ10から物標までの距離、物標が存在する方向、及び物標からの反射ビームBrの反射強度等のうち、少なくとも距離を含む一種類又は複数種類の検出である。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えば歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えばガードレール、道路標識、道路脇の構造物、及び道路上の落下物等の静止物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。
【0014】
光学センサ10には、互いに直交した三軸となるX軸、Y軸、及びZ軸により、三次元座標系が定義されている。特に本実施形態の三次元座標系では、Y軸方向が車両の鉛直方向に沿って規定されていると共に、X軸方向及びZ軸方向がそれぞれ車両の相異なる水平方向に沿って規定されている。尚、
図1においてY軸方向に沿う一点鎖線よりも左側部分(後述のカバーパネル12側)は、実際には当該一点鎖線よりも右側部分(後述の各部21,41側)に対して垂直な断面を図示している。
【0015】
光学センサ10は、筐体部11、投光部21、走査部31、受光部41、及び制御部51を備えている。遮光性の筐体部11は、例えば金属又は樹脂等により箱状に形成されている。筐体部11は、投光部21、走査部31、受光部41、及び制御部51を内部に収容している。筐体部11において内外を貫通する開口部は、カバーパネル12により閉塞されている。透光性のカバーパネル12は、例えば樹脂又はガラス等により形成されて、筐体部11の内外を仕切っている。
【0016】
投光部21は、投光光源ユニット22、及び投光レンズユニット26を有している。
図2に示すように投光光源ユニット22は、複数の光源素子24が基板上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。特に本実施形態の各光源素子24は、Y軸方向に沿って単列に配列された、レーザダイオードである。各光源素子24は、エッジエミッタレーザであってもよいし、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であってもよい。
【0017】
各光源素子24は、制御部51からの制御信号に従って
図3に示すように印加される、印加電圧Vlに応じて発光する。これにより各発光素子24は、それぞれ投光ビームBpとなるレーザ光を、共通のパルス発光時間において生成する。ここで特に、
図3に示す走査ライン別の検出フレームFdにおいては、Y軸方向での配列の順序i~iv(
図2参照)に従って各光源素子24が順次発光する。
【0018】
図1に示すように投光レンズユニット26は、少なくとも一つの投光レンズ27が鏡筒28に保持される構造に、構築されている。透光性の投光レンズ27は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。投光レンズ27は、例えば集光、コリメート、及び整形等のうち少なくとも一種類の光学作用を、投光光源ユニット22からの投光ビームBpに対して発揮する。投光レンズ27は、例えば金属又は樹脂等により形成された遮光性の鏡筒28内に、位置決めされている。こうした構成の投光レンズユニット26は、投光光源ユニット22と位置合わせされることで、投光ビームBpを走査部31側へ導光する投光光軸Opを形成している。
【0019】
走査部31は、走査ミラー32、及び走査モータ35を有している。走査ミラー32は、基材の片面である反射面33に反射膜が蒸着された板状に、形成されている。走査ミラー32は、Y軸方向に沿う回転中心線まわりに回転駆動可能に、筐体部11によって支持されている。走査ミラー32は、機械的又は電気的なストッパにより有限となる駆動範囲内において、揺動運動する。
【0020】
走査モータ35は、例えばボイスコイルモータ、ブラシ付きDCモータ、又はステッピングモータ等である。走査モータ35の出力軸は、走査ミラー32に対して直接的に、又は例えば減速機等の駆動機構を介して間接的に、結合されている。走査モータ35は、出力軸と共に走査ミラー32を回転駆動可能に、筐体部11によって保持されている。走査モータ35は、制御部51からの制御信号に従うことで、走査ミラー32を有限の駆動範囲内にて回転駆動(即ち、揺動駆動)する。
【0021】
走査ミラー32は、投光部21から入射する投光ビームBpを、反射面33により反射してカバーパネル12を通して検出領域Adへと照射することで、当該領域Adを走査モータ35の回転角度に応じて走査する。このとき検出領域Adに対しての投光ビームBpによる走査は、走査ミラー32の回転駆動に従って、本実施形態では水平方向での走査に実質制限される。
【0022】
走査ミラー32は、検出領域Adの物標からカバーパネル12を通して入射してくる反射ビームBrを、反射面33により走査モータ35の回転角度に応じて受光部41側へと反射する。このとき走査ミラー32の回転運動速度に対しては、投光ビームBp及び反射ビームBrの速度が十分に大きい。これにより反射ビームBrは、投光ビームBpに対する角度が実質同一回転角度と擬制可能な走査ミラー32から反射作用を受けることで、投光ビームBpとは逆行するように受光部41側へと導光される。
【0023】
受光部41は、受光レンズユニット42、及び受光検出ユニット45を有している。受光レンズユニット42は、少なくとも一つの受光レンズ43が鏡筒44によって保持される構造に、構築されている。透光性の受光レンズ43は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。受光レンズ43は、走査ミラー32からの反射ビームBrを受光検出ユニット45へ結像させるように、光学作用を発揮する。受光レンズ43は、例えば金属又は樹脂等により形成された遮光性の鏡筒44内に、位置決めされている。こうした構成の受光レンズユニット42は、受光検出ユニット45と位置合わせされることで、走査部31からの反射ビームBrを当該ユニット45側へ導光する受光光軸Orを、投光レンズユニット26の投光光軸OpからはY軸方向にずらして形成している。
【0024】
図4に示すように受光検出ユニット45は、複数の受光画素46が基板上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。各受光画素46は、少なくともY軸方向に沿って配列されている。受光検出ユニット45は、Y軸方向に沿って長手且つX軸方向に沿って短手の長方形輪郭を呈する受光面45aを、基板の片面側に形成している。受光面45aは、各受光画素46における入射面の集合体として、構成されている。ここでさらに各受光画素46は、それぞれ複数ずつの受光素子460としての、例えばシングルフォトンアバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode)等から構成されている。こうした各受光画素46は、
図1に示すように受光レンズユニット42から受光面45aへと入射した反射ビームBrを、受光する。
【0025】
受光検出ユニット45には、出力回路47が設けられている。出力回路47は、投光光源ユニット22による投光ビームBpの投光周期と同期する、走査ミラー32の回転角度に応じた走査ライン別の検出フレームFd(
図3参照)において、制御部51からの制御信号に従う制御周期毎にサンプリング処理を実行する。このとき出力回路47は、制御周期毎に各受光画素46の受光素子460からの応答出力を合成することで、検出信号を生成する。こうして生成された検出信号は、出力回路47から走査ライン別に制御部51へ出力される。
【0026】
制御部51は、外界の検出領域Adに対する物標検出を、制御する。制御部51は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータの、少なくとも一つを主体として構成されている。制御部51は、投光光源ユニット22、走査モータ35、及び受光検出ユニット45と接続されている。制御部51は、投光周期毎に投光ビームBpを生成するように、投光光源ユニット22を制御する。それと共に制御部51は、投光光源ユニット22による投光周期に同期した走査ミラー32による走査及び反射を制御するように、走査モータ35を制御する。さらに制御部51は、投光光源ユニット22による投光周期、並びに走査ミラー32による走査及び反射に応じた検出フレームFdにおいて、受光検出ユニット45から出力の検出信号を処理することで、検出領域Adにおける物標の検出データを生成する。
【0027】
(投光光源ユニットの回路構成)
次に、投光光源ユニット22の回路構成を説明する。
図5に示すように投光光源ユニット22は、電源回路2、調整回路4、及び測温回路6を有している。これら回路2,4,6のうち、少なくとも調整回路4と測温回路6とは同一基板上に実装されている。
【0028】
電源回路2は、車両のバッテリからの入力電圧Vbを昇圧することで、調整回路4へ供給する電源電圧Vsを生成する。そのために
図6に示すように電源回路2では、DC-DCレギュレータ220のフィードバック端子に対して、同レギュレータ220の出力端子とデジタルアナログコンバータ221の出力ノードとが接続されている。これにより、制御部51からの制御信号に従ってデジタルアナログコンバータ221が出力ノードから出力の設定電圧Vdを制御することで、DC-DCレギュレータ220が入力電圧Vbを元に出力端子から出力の電源電圧Vsを調整する。
【0029】
こうした電源回路2は、測温回路6にも電源電圧Vsを供給してもよい。電源回路2は、投光光源ユニット22と受光検出ユニット45とで共有されることで、当該受光検出ユニット45にも電源電圧Vsを供給してもよい。
【0030】
図5に示す調整回路4は、電源回路2により供給の電源電圧Vsから、
図9に示すように各光源素子24への印加電圧Vlを調整することで、それら各光源素子24の発光出力Plを制御する。そのために
図7に示すように調整回路4では、電源回路2からグランド電位のグランド端子までの経路において、インダクタ240とコンデンサ241とがこの順で直列に接続されている。即ち調整回路4は、LC直列接続型の共振回路である。こうした調整回路4においてインダクタ240は、インダクションコイルを主体に構成されている。また、調整回路4においてコンデンサ241は、例えば電解型等の耐熱コンデンサを主体に構成されている。
【0031】
調整回路4では、インダクタ240からコンデンサ241までの経路において、整流素子242と第一スイッチング素子243とがこの順で直列に接続されている。それと共に調整回路4では、第一スイッチング素子243とコンデンサ241との間の経路から分岐してグランド端子まで接続される三以上の分岐経路のうち、一分岐経路に第二スイッチング素子244が設けられている。こうした調整回路4において整流素子242は、インダクタ240側からコンデンサ241側への電流整流作用を与える、整流ダイオードを主体に構成されている。また、調整回路4において第一及び第二スイッチング素子243,244は、それぞれ制御部51からの個別制御信号に従ってオンオフする、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の電界効果トランジスタを主体に構成されている。
【0032】
調整回路4では、第一スイッチング素子243とコンデンサ241との間の経路から分岐してグランド端子まで接続される分岐経路のうち、第二スイッチング素子244とは異なる分岐経路にそれぞれ、第三スイッチング素子245及び光源素子24の組が設けられている。こうした調整回路4において各組の第三スイッチング素子245は、それぞれ制御部51からの個別制御信号に従ってオンオフする、例えばMOSFET等の電界効果トランジスタを主体に構成されている。尚、
図7において第三スイッチング素子245及び光源素子24の組が設けられる各分岐経路に付されたギリシャ数字は、上述の如く
図2,3に示された各光源素子24の発光順序i~ivを、それぞれ表している。
【0033】
図3に示す走査ライン別の検出フレームFdにおいて調整回路4では、第二スイッチング素子244における固定時間でのオン状態が、各光源素子24の発光順序i~ivに従って繰り返される。それと共に調整回路4では、第一スイッチング素子243において制御部51からの個別制御信号に応じた可変時間でのオン状態が、各光源素子24の発光順序i~ivに従って繰り返される。このとき、第一スイッチング素子243のオンが開始するタイミングは、第二スイッチング素子244のオンが開始するタイミングと同期するように、調整される。これらにより調整回路4では、コイル電流Icによりコンデンサ241へとチャージされるチャージ電圧Vcが、各光源素子24の発光順序i~iv毎に個別に調整される。
【0034】
検出フレームFdにおいてさらに調整回路4では、各光源素子24の発光順序i~iv毎に第二スイッチング素子244のオンが終了するタイミング(即ち、オフするタイミング)から一定時間後には、該当する発光順序の光源素子24と同一組の第三スイッチング素子245が、パルス発光時間でのオン状態にスイッチングされる。このとき各光源素子24のいずれに対しても、第三スイッチング素子245のオンが開始するタイミングは、該当する発光順序にて第一スイッチング素子243のオンが終了するタイミング(即ち、オフするタイミング)よりも、遅くなるように調整される。これらにより調整回路4では、
図3の如く各光源素子24の発光順序i~iv毎に個別に調整されるチャージ電圧Vcが、該当する発光順序の光源素子24に印加電圧Vlとして印加されることとなる。
【0035】
図5に示す測温回路6は、各光源素子24から共通の周囲箇所へと伝熱された伝熱温度Ttを測定して、制御部51へ出力する。そのために
図8に示すように測温回路6では、入力電圧Vbのバッテリ又は電源電圧Vsの電源回路2からグランド端子までの経路において、サーミスタ素子260と直列抵抗261とがこの逆順で直列接続されている。それと共に測温回路6では、
図2に示すように少なくともサーミスタ素子260が、調整回路4において各光源素子24に共通となる周囲エリアの一箇所に、配置される。
【0036】
こうした測温回路6においてサーミスタ素子260は、各光源素子24のジャンクションから回路4,6の実装基板を介して伝熱される、伝熱量に応じて抵抗値が変化するように、抵抗温度係数の大きなサーミスタ抵抗を主体に構成されている。また、測温回路6において直列抵抗261は、その両端間電圧と相関する、サーミスタ素子260の抵抗値を出力するために、抵抗温度係数の小さな高精度抵抗を主体に構成されている。そこで測温回路6ではさらに、直列抵抗261の両端間電圧に相関するサーミスタ素子260の抵抗値を、各光源素子24からサーミスタ素子260への伝熱温度Ttに変換してデジタル信号出力するように、変換回路262が接続されている。
【0037】
(制御部による制御原理)
次に、制御部51による投光光源ユニット22の制御原理を説明する。制御部51による制御原理は、
図5,9の如く測温回路6から出力の伝熱温度Ttを監視して当該監視結果に基づくことで、
図3,9の如く印加電圧Vlに応じた発光出力Plを各光源素子24の発光順序i~iv毎に制御するように、構築されている。
【0038】
具体的には
図9に示すように、各光源素子24のジャンクション温度Tjに許容される温度範囲として、上限温度Tju以下の許容温度範囲τjが各光源素子24に共通に定義されている。許容温度範囲τjの上限温度Tjuは、各光源素子24に共通の定格温度以下に設定される。さらに、許容温度範囲τjに対応する伝熱温度Ttの温度範囲としては、基準伝熱範囲τtが各光源素子24に共通に定義されている。基準伝熱範囲τtの高温側にて内外を分ける境界温度Ttbは、数1の相関に従って許容温度範囲τjの上限温度Tjuに対応する伝熱温度Ttとして、各光源素子24に共通に設定される。
【数1】
【0039】
数1においてηbは、伝熱温度Ttのうち境界温度Ttbでの発光効率として、各光源素子24に共通に設定される。数1においてRjtは、光源素子24のジャンクションから回路4,6の実装基板を介した伝熱経路での熱抵抗(
図5参照)として、各光源素子24毎にサーミスタ素子260との相対位置関係(
図2参照)に応じた個別の値に設定される。数1においてPlbは、伝熱温度Ttのうち境界温度Ttbでの発光出力Plとして、各光源素子24に個別の値に設定される。
【0040】
図9に示すように境界温度Ttbでの発光出力Plbは、各光源素子24の発光出力Plに共通に許容される出力範囲を許容出力範囲ρlとして、当該範囲ρl内の中間値に設定される。ここで許容出力範囲ρlには、外界における人間の眼に対しての投光ビームBpの安全性確保から上限側の最大出力Pluが規定され、また反射ビームBrの強度確保による検出信号の精度確保から下限側の最小出力Pllが規定される。以上により、発光出力Plを許容出力範囲ρl内の発光出力Plbに制御するための印加電圧Vlは、コンデンサ241の静電容量Cを定数とする数2の相関に従って、各光源素子24毎に個別の印加電圧Vlbとして設定される。
【数2】
【0041】
そこで、各光源素子24に共通に監視される伝熱温度Ttが、
図9の如く基準伝熱範囲τt内に収まる場合において制御部51は、各光源素子24毎に印加電圧Vlを境界温度Ttbでの個別の印加電圧Vlbに保持する。但し、基準伝熱範囲τt内のうち境界温度Ttb未満の伝熱温度Ttでは、数3,4の相関下にて印加電圧Vlbへの保持が遂行されることで、各光源素子24のジャンクション温度Tjが許容温度範囲τj内に収められる。それと共に、基準伝熱範囲τt内のうち境界温度Ttb未満の伝熱温度Ttでは、数3,4の相関下にて印加電圧Vlbへの保持が遂行されることで、各光源素子24の発光出力Plが許容出力範囲ρl内に個別制御される。ここで数3,4におけるηは、伝熱温度Ttの上昇に応じて減少する発光効率の関数として、各光源素子24に共通の演算式、テーブル、又はマップにより規定される。
【数3】
【数4】
【0042】
一方、各光源素子24に共通監視の伝熱温度Ttが、
図9の如く基準伝熱範囲τt外へ上昇した場合に制御部51は、数5,6の相関下にてジャンクション温度Tjの上限温度Tjuからの温度変化量ΔTjを吸収するように、各光源素子24毎の印加電圧Vlを個別調整する。これにより各光源素子24毎では、そうした温度変化量ΔTjがそれぞれ数5,6の相関下にて吸収されるように、発光出力Plが個別制御される。
【数5】
【数6】
【0043】
数5,6においてΔTtは、境界温度Ttbから伝熱温度Ttが変化した変化量としての、伝熱変化量に定義される。数5,6においてΔηは、境界温度Ttbでの発光効率ηbから発光効率ηが伝熱変化量ΔTtに応じて変化した効率変化量の関数として、各光源素子24に共通の演算式、テーブル、又はマップにより規定される。これらのことから各光源素子24毎では、数5,6に従って伝熱変化量ΔTtと効率変化量Δηとに相関する温度変化量ΔTjを吸収するために、当該温度変化量ΔTjが実質零値(0)となるよう、印加電圧Vlの個別調整による発光出力Plの個別制御が遂行される。
【0044】
以上より基準伝熱範囲τt外の伝熱温度Ttでは、各光源素子24において温度変化量ΔTjの発生が数5,6の相関に従って抑制されることで、各光源素子24のジャンクション温度Tjが
図9の如く許容温度範囲τjの上限温度Tjuに維持される。それと共に、数5,6の相関に従う基準伝熱範囲τt外の伝熱温度Ttでは、当該伝熱温度Ttの上昇に応じた印加電圧Vlの低下に対して、各光源素子24の発光出力Plが許容出力範囲ρl内にて低下するように個別制御される。
【0045】
(作用効果)
ここまで説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0046】
第一実施形態の投光部21では、光源素子24の周囲へ伝熱された伝熱温度Ttが、制御部51により監視される。そこで制御部51ではさらに、光源素子24において伝熱温度Ttの上昇に応じて減少する発光効率ηの効率変化量Δηと、伝熱温度Ttの伝熱変化量ΔTtとに相関する、光源素子24でのジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjが着目される。これにより制御部51では、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように光源素子24での発光出力Plが制御されるので、温度上昇に起因する光源素子24の寿命低下を抑制して、耐久性を確保することが可能となる。
【0047】
第一実施形態の制御部51では、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように、光源素子24への印加電圧Vlが正確に調整されることで、当該吸収を適正に成立させる制御が発光出力Plに対して実現され得る。故に、耐久性確保の信頼性を高めることが、可能となる。
【0048】
第一実施形態によると、ジャンクション温度Tjに許容される許容温度範囲τjに対応して伝熱温度Ttに設定される温度範囲が、基準伝熱範囲τtとして着目される。そこで制御部51では、伝熱温度Ttが基準伝熱範囲τt外へ上昇の場合に、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように発光出力Plが制御される。これによれば、ジャンクション温度Tjの許容温度範囲τj外への上昇が想定される、伝熱温度Ttの基準伝熱範囲τt外への上昇状況を適確に狙って、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収することができる。故に、耐久性確保の信頼性を高めることが、可能となる。
【0049】
第一実施形態によると、発光出力Plに許容される出力範囲が、許容出力範囲ρlとして着目される。そこで制御部51では、伝熱温度Ttが基準伝熱範囲τt外へ上昇の場合に、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように発光出力Plが許容出力範囲ρl内に制御される。これによれば、耐久性確保の信頼性を高めるのみならず、投光ビームBpの安全性確保と反射ビームBrの強度確保による検出信号の精度確保とを、許容出力範囲ρl内での発光出力Plによって実現することが可能となる。
【0050】
第一実施形態の制御部51では、伝熱温度Ttが基準伝熱範囲τt内の場合に、光源素子24への印加電圧Vlの保持により発光出力Plが許容出力範囲ρl内に制御される。これによれば、許容温度範囲τj内のジャンクション温度Tjが想定される、基準伝熱範囲τt内の伝熱温度Tt下では、投光ビームBpの安全性が確保される許容出力範囲ρl内にて可及的に発光出力Plを高めて、検出信号の精度確保を図るための制御負荷を電圧保持機能によって低減させることが可能となる。
【0051】
第一実施形態の投光部21では、光源素子24の複数設けられた投光光源ユニット22が投光ビームBpを発生させることから、制御部51では、各光源素子24から共通の周囲箇所への伝熱温度Ttが監視される。そこで制御部51ではさらに、各光源素子24毎にジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように、各光源素子24毎での発光出力Plが個別制御される。故に、各光源素子24毎に温度上昇に起因する寿命低下を抑制して、それら各光源素子24の耐久性をいずれも確保することが可能となる。
【0052】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
図10に示すように第二実施形態の基準伝熱範囲τtは、伝熱温度Ttが境界温度Ttb側の高温範囲τthと、伝熱温度Ttが当該高温範囲τthよりも低い低温範囲τtlとに、分けられる。
【0053】
そこで、伝熱温度Ttが高温範囲τth内の場合に第二実施形態の制御部51は、第一実施形態での基準伝熱範囲τtと同様、各光源素子24の発光出力Plが許容出力範囲ρl内で個別制御されるよう、各光源素子24毎の印加電圧Vlを個別の印加電圧Vlbに保持する。一方、伝熱温度Ttが低温範囲τtlの場合に第二実施形態の制御部51は数7,8の相関下にて、各光源素子24の発光出力Plが許容出力範囲ρlの最大出力Pluに共通制御されるよう、各光源素子24毎の印加電圧Vlを個別調整する。これにより、高温範囲τth及び低温範囲τtlのいずれにおいても、各光源素子24のジャンクション温度Tjが許容温度範囲τj内に収められると共に、各光源素子24の発光出力Plが許容出力範囲ρl内にて可変制御又は保持制御される。
【数7】
【数8】
【0054】
このように第二実施形態の制御部51では、基準伝熱範囲τt内の伝熱温度Ttが、光源素子24への印加電圧Vlを保持する高温範囲τthよりも低い低温範囲τtl内の場合に、発光出力Plが許容出力範囲ρlの最大出力Pluに制御される。これによれば、基準伝熱範囲τt内のうち高温範囲τth内では、投光ビームBpの安全性が確保される許容出力範囲ρl内にて可及的に発光出力Plを高めて、検出信号の精度確保を図るための制御負荷を電圧保持機能によって低減可能となる。また一方、基準伝熱範囲τt内のうち低温範囲τtl内では、投光ビームBpの安全性が確保される許容出力範囲ρl内にて発光出力Plを最大出力Pluにまで高めて、検出信号の精度向上を図ることが可能となる。
【0055】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。第三実施形態は、電源回路2(第一実施形態の
図6参照)においてデジタルアナログコンバータ221から出力の設定電圧Vdに対して、DC-DCレギュレータ220から出力の電源電圧Vsが
図11に示すように伝熱温度Ttの上下に応じて変動する、温度依存性に着目する。そこで第三実施形態の制御部51は、伝熱温度Ttの上下に応じた電源電圧Vsの変動が吸収されるように、デジタルアナログコンバータ221から出力の設定電圧Vdを制御する。
【0056】
このような第三実施形態の投光部21では、第一実施形態と同様、電源回路2によって供給される電源電圧Vsから、光源素子24への印加電圧Vlが調整回路4によって調整される。そこで第三実施形態の制御部51は、伝熱温度Ttの上下に応じた電源電圧Vsの変動を吸収するように、電源回路2を制御する。これによれば、ジャンクション温度Tjの温度変化量ΔTjを吸収するように光源素子24へ印加する印加電圧Vlを、安定した電源電圧Vsから正確に調整することができる。故に、そうした温度変化量ΔTjの吸収を適正に成立させる制御が発光出力Plに対して実現され得るので、耐久性確保の信頼性を高めることが可能となる。
【0057】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0058】
第一~第三実施形態の変形例では、
図12に示すように各光源素子24に対して共通の第三スイッチング素子1245が接続されることで、各光源素子24が当該第三スイッチング素子1245のオンにより同時発光してライン状の投光ビームBpを共同形成してもよい。この場合、各光源素子24に共通に印加電圧Vlが調整されることで、各光源素子24に共通に発光出力Plが制御されるとよい。
【0059】
第一~第三実施形態の変形例では、光源素子24及び第三スイッチング素子245の組が一組だけ、設けられてもよい。第一~第三実施形態の変形例では、回路2,4,6のうち少なくとも調整回路4が、光源素子24及び第三スイッチング素子245の組を一組だけ有する回路構成として、各光源素子24毎に個別に設けられてもよい。第二実施形態の変形例では、第三実施形態が適用されてもよい。
【0060】
第一~第三実施形態の変形例では、水平方向に沿うY軸方向と、鉛直方向に沿うX軸方向とが、規定されてもよい。第一~第三実施形態の変形例において光学センサ10の適用対象となる移動体は、例えば走行をリモート制御可能な走行ロボット等であってもよい。第一~第三実施形態の変形例において光学センサ10の適用対象は、移動体以外、例えば静止構造物等であってもよい。
【0061】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0062】
(技術的思想1)
投光ビーム(Bp)を投光し、前記投光ビームに対して反射された反射ビーム(Br)を受光する光学センサ(10)であって、
光源素子(24)により前記投光ビームを発生させる投光部(21)と、
前記反射ビームを受光することにより、検出信号を出力する受光部(41)と、
前記投光部及び前記受光部を制御する制御部(51)とを、備え、
前記制御部は、
前記投光部において前記光源素子の周囲へ伝熱された伝熱温度(Tt)を監視することと、
前記光源素子において前記伝熱温度の上昇に応じて減少する発光効率の効率変化量と、前記伝熱温度の伝熱変化量とに相関する、前記光源素子でのジャンクション温度(Tj)の温度変化量を吸収するように前記光源素子での発光出力(Pl)を制御することとを、実行するように構成される光学センサ。
【0063】
(技術的思想2)
前記制御部は、
前記温度変化量を吸収するように前記光源素子への印加電圧(Vl)を調整することにより、前記発光出力を制御する技術的思想1に記載の光学センサ。
【0064】
(技術的思想3)
前記制御部は、
前記ジャンクション温度に許容される許容温度範囲(τj)に対応して前記伝熱温度に設定される温度範囲を基準伝熱範囲(τt)として、前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲外へ上昇の場合に、前記温度変化量を吸収するように前記発光出力を制御する技術的思想1又は2に記載の光学センサ。
【0065】
(技術的思想4)
前記制御部は、
前記発光出力に許容される出力範囲を許容出力範囲(ρl)として、
前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲外へ上昇の場合に、前記温度変化量を吸収するように前記発光出力を前記許容出力範囲内に制御する技術的思想3に記載の光学センサ。
【0066】
(技術的思想5)
前記制御部は、
前記伝熱温度が前記基準伝熱範囲内の場合に、前記光源素子への印加電圧(Vl)を保持することにより、前記発光出力を前記許容出力範囲内に制御する技術的思想4に記載の光学センサ。
【0067】
(技術的思想6)
前記制御部は、
前記基準伝熱範囲内の前記伝熱温度が、前記光源素子への印加電圧(Vl)を保持する高温範囲(τth)よりも低い低温範囲(τtl)内の場合に、前記発光出力を前記許容出力範囲の最大出力(Plu)に保持する技術的思想5に記載の光学センサ。
【0068】
(技術的思想7)
前記投光部は、
前記投光ビームを発生させる前記光源素子が複数設けられた投光光源ユニット(22)を、有し、
前記制御部は、
各前記光源素子から共通の周囲箇所への前記伝熱温度を監視し、
各前記光源素子毎に前記温度変化量を吸収するように、各前記光源素子毎での前記発光出力を個別制御する技術的思想1~6のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0069】
(技術的思想8)
前記投光部は、
電源電圧(Vs)を供給する電源回路(2)と、
前記電源電圧から前記光源素子への印加電圧(Vl)を調整する調整回路(4)とを、有し、
前記制御部は、
前記伝熱温度の上下に応じた、前記電源電圧の変動を吸収するように、前記電源回路を制御する技術的思想2,5,6のいずれか一項に記載の光学センサ。
【符号の説明】
【0070】
2:電源回路、4:調整回路、10:光学センサ、21:投光部、22:投光光源ユニット、24:光源素子、41:受光部、51:制御部、Bp:投光ビーム、Br:反射ビーム、Pl:発光出力、Plu:最大出力、Tj:ジャンクション温度、Tt:伝熱温度、Vl:印加電圧、Vs:電源電圧、ρl:許容出力範囲、τj:許容温度範囲、τt:基準伝熱範囲、τth:高温範囲、τtl:低温範囲