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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111589
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】箱用シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B65D5/10 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016187
(22)【出願日】2023-02-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】513133077
【氏名又は名称】大王パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 勝彦
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060CG03
3E060DA11
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】除去部の面積を小さくして原シートを有効に利用できるとともに、箱体の底抜けを抑制できる箱用シートを提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る箱用シートは、第1長さ面パネルの下縁から延出する底外フラップと、第2長さ面パネルの下縁から延出する底内フラップと、一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底中フラップとを備え、底外フラップがその先端部に、差し込み片と、差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有しており、底内フラップがその先端部に、差し込み片が差し込まれる凹部を有しており、底中フラップが、その先端縁から延び、差し込み片が差し込まれる第1スリットを有しており、内側に折り曲げられた底内フラップの外面に一対の底中フラップを折り重ね、さらに底外フラップを一対の底中フラップの外側から押し込むことで、差し込み片が第1スリットおよび凹部に差し込まれることで箱体の底部が組み立てられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に組み立て可能な箱用シートであって、
組立状態で対向する一対の長さ面パネルおよび一対の幅面パネルと、
一方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底外フラップと、
他方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底内フラップと、
上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底中フラップと
を備え、
上記底外フラップが、その先端部に、差し込み片と、上記差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有しており、
上記底内フラップが、その先端部に、上記差し込み片が差し込まれる凹部を有しており、
上記一対の底中フラップがそれぞれ、その先端縁から延び、上記差し込み片が差し込まれる第1スリットを有しており、
上記底内フラップを内側に折り曲げて、上記底内フラップの外面に上記一対の底中フラップを折り重ね、さらに上記底外フラップを上記一対の底中フラップの外側から押し込むことで、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれることで上記箱体の底部が組み立てられる箱用シート。
【請求項2】
上記凹部が、上記底内フラップの基端縁と平行な底縁を有しており、
上記底中フラップを上記底内フラップの外面に折り重ねた平面視において、上記第1スリットの開放端が上記底縁よりも上記底内フラップの基端側に位置しており、かつ上記平面視において、上記第1スリットが上記底縁と交わるように配置されている請求項1に記載の箱用シート。
【請求項3】
上記底中フラップにおける上記底内フラップの外面に重ねられる部分に、上記底中フラップの基端縁の端部と上記第1スリットとを接続するように延びる第1折り曲げ容易線が設けられている請求項1または請求項2に記載の箱用シート。
【請求項4】
上記差し込み片と上記一対の支持片とが、一対の第2スリットによって分離されている請求項1または請求項2に記載の箱用シート。
【請求項5】
上記底外フラップに、その基端縁の端部とこの端部に近接する側の上記第2スリットの閉塞端とを接続するように延びる一対の第2折り曲げ容易線が設けられている請求項4に記載の箱用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、箱用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシート等から構成される箱用シートを組み立ててなる箱体が物品の梱包容器として広く用いられている。この箱体としては、アメリカンロックタイプの底部を有するものが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-97984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、組立状態で対向する一対の長さ面パネルと一対の幅面パネルとを備える構成において、一方の長さ面パネルの下縁から延出する片部が、方形状の先端側において略方形状の切欠部を有し、他方の長さ面パネルの下縁から延出する片部が、台形形状の先端に略方形状を連接した形状を有し、一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の片部が、台形形状の先端に略方形状を連接した形状を有することが記載されている。
【0005】
特許文献1に記載されているような従来の構成によると、原シートから打ち抜き加工によって箱用シートを形成する際に除去部の面積が大きくなる。また、この従来の構成によると、箱体の底抜けを十分に抑制し難いことがある。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、除去部の面積を小さくして原シートを有効に利用できるとともに、箱体の底抜けを抑制することができる箱用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る箱用シートは、箱体に組み立て可能な箱用シートであって、組立状態で対向する一対の長さ面パネルおよび一対の幅面パネルと、一方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底外フラップと、他方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底内フラップと、上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底中フラップとを備え、上記底外フラップが、その先端部に、差し込み片と、上記差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有しており、上記底内フラップが、その先端部に、上記差し込み片が差し込まれる凹部を有しており、上記一対の底中フラップがそれぞれ、その先端縁から延び、上記差し込み片が差し込まれる第1スリットを有しており、上記底内フラップを内側に折り曲げて、上記底内フラップの外面に上記一対の底中フラップを折り重ね、さらに上記底外フラップを上記一対の底中フラップの外側から押し込むことで、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれることで上記箱体の底部が組み立てられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る箱用シートは、除去部の面積を小さくして原シートを有効に利用できるとともに、箱体の底抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る箱用シートを示す模式的平面図である。
図2図2は、図1の箱用シートを組み立ててなる箱体の模式的斜視図である。
図3図3は、図2の箱体の模式的底面図である。
図4図4は、図2の箱体の底部の内面を示す模式的平面図である。
図5図5は、図2の箱体の底部の内面を示す模式的部分拡大斜視図である。
図6図6は、図2の箱体の底部の組み立て途中の状態を示す模式的底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一態様に係る箱用シートは、箱体に組み立て可能な箱用シートであって、組立状態で対向する一対の長さ面パネルおよび一対の幅面パネルと、一方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底外フラップと、他方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底内フラップと、上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底中フラップとを備え、上記底外フラップが、その先端部に、差し込み片と、上記差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有しており、上記底内フラップが、その先端部に、上記差し込み片が差し込まれる凹部を有しており、上記一対の底中フラップがそれぞれ、その先端縁から延び、上記差し込み片が差し込まれる第1スリットを有しており、上記底内フラップを内側に折り曲げて、上記底内フラップの外面に上記一対の底中フラップを折り重ね、さらに上記底外フラップを上記一対の底中フラップの外側から押し込むことで、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれることで上記箱体の底部が組み立てられる。
【0012】
当該箱用シートは、上記底外フラップが、上記差し込み片の両側に上記一対の支持片を有し、上記底中フラップが、上記第1スリットを有するので、従来のアメリカンロックタイプの構成に比較して除去部の面積を小さくして原シートを有効に利用することができる。また、当該箱用シートは、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれることで箱体の底部が組み立てられるので、上記箱体の底抜けを抑制することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、上記凹部が、上記底内フラップの基端縁と平行な底縁を有しており、上記底中フラップを上記底内フラップの外面に折り重ねた平面視において、上記第1スリットの開放端が上記底縁よりも上記底内フラップの基端側に位置しており、かつ上記平面視において、上記第1スリットが上記底縁と交わるように配置されているとよい。このように、上記凹部が、上記底内フラップの基端縁と平行な底縁を有しており、上記底中フラップを上記底内フラップの外面に折り重ねた平面視において、上記第1スリットの開放端が上記底縁よりも上記底内フラップの基端側に位置しており、かつ上記平面視において、上記第1スリットが上記底縁と交わるように配置されていることによって、上記箱体の底抜けをより確実に抑制することができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、上記底中フラップにおける上記底内フラップの外面に重ねられる部分に、上記底中フラップの基端縁の端部と上記第1スリットとを接続するように延びる第1折り曲げ容易線が設けられているとよい。このように、上記底中フラップにおける上記底内フラップの外面に重ねられる部分に、上記底中フラップの基端縁の端部と上記第1スリットとを接続するように延びる第1折り曲げ容易線が設けられていることによって、上記箱体の底部を容易かつ確実に組み立てることができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、上記差し込み片と上記一対の支持片とが、一対の第2スリットによって分離されているとよい。このように、上記差し込み片と上記一対の支持片とが、一対の第2スリットによって分離されていることによって、除去部の面積をより小さくすることができるとともに、上記箱体の底抜けをより確実に抑制することができる。
【0016】
(5)上記(4)において、上記底外フラップに、その基端縁の端部とこの端部に近接する側の上記第2スリットの閉塞端とを接続するように延びる一対の第2折り曲げ容易線が設けられているとよい。このように、上記底外フラップに、その基端縁の端部とこの端部に近接する側の上記第2スリットの閉塞端とを接続するように延びる一対の第2折り曲げ容易線が設けられていることによって、上記箱体の底部を容易かつ確実に組み立てることができる。
【0017】
なお、本開示において、「下」とは、当該箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における下を意味する。また、「内」とは箱体に組み立てられた状態における内を意味し、「外」とは箱体に組み立てられた状態における外を意味する。
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳説する。なお、各図は模式的なものであって、実際の寸法や厚さ等とは一致しないことがある。また、本開示において、「第1」および「第2」の記載は、これらが付された構成要素を区別するためのもので、数、順序、優先順位等を限定するものではない。
【0019】
[箱用シート]
図1の箱用シート10は、箱体に組み立て可能であり、より詳しくは図2から図4の箱体20に組み立てられる。当該箱用シート10は、組立状態で対向する一対の長さ面パネル1a、1b(第1長さ面パネル1aおよび第2長さ面パネル1b)と、組立状態で対向する一対の幅面パネル2a、2b(第1幅面パネル2aおよび第2幅面パネル2b)とを備える。一対の長さ面パネル1a、1bおよび一対の幅面パネル2a、2bは、左右方向に交互に連接されている。当該箱用シート10は、第1長さ面パネル1aの下縁から延出する底外フラップ3と、第2長さ面パネル1bの下縁から延出する底内フラップ4と、一対の幅面パネル2a、2bの下縁から延出する一対の底中フラップ5a、5b(第1幅面パネル2aの下縁から延出する第1底中フラップ5aおよび第2幅面パネル2bの下縁から延出する第2底中フラップ5b)とを備える。また、当該箱用シート10は、一対の長さ面パネル1a、1bの上縁から延出する一対の蓋外フラップ6a、6bと、一対の幅面パネル2a、2bの上縁から延出する一対の蓋内フラップ7a、7bと、一対の長さ面パネル1a、1bのうち、左右方向外側に位置する長さ面パネル(第2長さ面パネル1b)の側縁から延出する継代8とを備える。当該箱用シート10において、長さ面パネル1a、1bと幅面パネル2a、2bとの間の境界線、第1長さ面パネル1aと底外フラップ3および蓋外フラップ6aとの間の境界線、第2長さ面パネル1bと底内フラップ4および蓋外フラップ6bとの間の境界線、第1幅面パネル2aと第1底中フラップ5aおよび蓋内フラップ7aとの間の境界線、第2幅面パネル2bと第2底中フラップ5bおよび蓋内フラップ7bとの間の境界線、第2長さ面パネル1bと継代8との間の境界線には、それぞれ折り曲げ容易線が設けられている。この折り曲げ容易線としては、特に限定されるものではなく、例えばシートの片面を筋押しして形成された罫線、罫線と切断線とが交互に連続して配置されたリード罫線が挙げられる。なお、「左右方向」とは、当該箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における水平方向を意味する。また、「上」とは、当該箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における上を意味する。
【0020】
底外フラップ3は、その先端縁に、差し込み片11と、差し込み片11の両側に設けられる一対の支持片12とを有する。底内フラップ4は、その先端縁に、差し込み片11が差し込まれる凹部16を有する。一対の底中フラップ5a、5bは、それぞれ、その先端縁から延び、差し込み片11が差し込まれる第1スリット17a、17bを有する。当該箱用シート10は、底内フラップ4を内側に折り曲げて、底内フラップ4の外面に一対の底中フラップ5a、5bを折り重ね、さらに底外フラップ3を一対の底中フラップ5a、5bの外側から押し込むことで、差し込み片11が第1スリット17a、17bおよび凹部16に差し込まれることで箱体20の底部21が組み立てられる。
【0021】
当該箱用シート10は、底外フラップ3が、差し込み片11の両側に一対の支持片12を有し、底中フラップ5a、5bが、第1スリット17a、17bを有するので、従来のアメリカンロックタイプの構成に比較して除去部の面積を小さくして原シートを有効に利用することができる。また、当該箱用シート10は、差し込み片11が第1スリット17a、17bおよび凹部16に差し込まれることで箱体20の底部21が組み立てられるので、箱体20の底抜けを抑制することができる。
【0022】
当該箱用シート10を箱体20に組み立てる手順について説明する。まず、左右方向外側(図1では左側)に位置する第2長さ面パネル1bをこの第2長さ面パネル1bに連接される第2幅面パネル2bの内面に折り重ね、左右方向外側(図1では右側)に位置する第1幅面パネル2aをこの第1幅面パネル2aに連接される第1長さ面パネル1aの内面に折り重ね、継代8を折り重ねられた第1幅面パネル2aの内面に貼着する。これにより、一対の長さ面パネル1a、1bと一対の幅面パネル2a、2bとが無端状に接続される。次に、一対の長さ面パネル1a、1bと一対の幅面パネル2a、2bとを四角筒状に広げ、箱体20の胴部を形成したうえで、底内フラップ4を第2長さ面パネル1bに対して内側に略垂直に折り曲げ、続いて底中フラップ5a、5bを幅面パネル2a、2bに対して内側に略垂直に折り曲げて底内フラップ4の外面に重ねる。さらに、底外フラップ3を第1長さ面パネル1aの内側に折り曲げ、一対の底中フラップ5a、5bの外面側から押し込む。この押し込みによって、図6に示すように、底外フラップ3の差し込み片11が一対の第1スリット17a、17bを通過して、さらに底内フラップ4の凹部16の内側に入り込む。この状態で、底外フラップ3の押し込みを解除することで、図3から図5に示すように、底外フラップ3の差し込み片11と一対の支持片12との間に底内フラップ4と一対の底中フラップ5a、5bとが挟み込まれた状態で、各底フラップ(底外フラップ3、底内フラップ4、および一対の底中フラップ5a、5b)が水平に配置され、箱体20の底部21が組み立てられる。次に、上記胴部内に所望の物品を収容したうえで、一対の蓋内フラップ7a、7bを一対の幅面パネル2a、2bの内側に折り曲げ、さらに一対の蓋外フラップ6a、6bを一対の長さ面パネル1a、1bの内側に折り曲げて先端縁同士を突き合わせる。これにより、箱体20の蓋部が組み立てられる。一対の蓋外フラップ6a、6bの先端縁同士の合わせ目には、封緘テープ100を貼着してもよい。
【0023】
当該箱用シート10は、1枚のシート体である。当該箱用シート10に用いられるシートとしては、当該箱用シート10を組み立ててなる箱体20の形状を維持できる程度の強度を有する限り特に限定されるものではなく、例えば段ボールシート、ボール紙等の紙製シート、合成樹脂製シート、紙製シートと合成樹脂製シートとの積層シートが挙げられる。中でも、加工性、衝撃吸収性、取扱性、リサイクル性、経済性等の点から紙製シートが好ましく、段ボールシートが特に好ましい。当該箱用シート10を形成する段ボールシートとしては、原紙を波形状に形成した中芯をライナーに貼り合わせたものであって、例えば波形状に形成された中芯を1枚のライナーに貼り合わせた片面段ボールシート、片面段ボールシートの段頂にさらにライナーを貼り合わせた両面段ボールシート、両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂を貼り合わせた複両面段ボールシート、複両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂をさらに貼り合わせた複々両面段ボールシートが挙げられる。これらの中でも、加工性、経済性、耐久性等の点から両面段ボールシートが好ましい。
【0024】
(長さ面パネル)
長さ面パネル1a、1bは略矩形状である。また、一対の長さ面パネル1a、1b同士は、略同一形状である。長さ面パネル1a、1bの左右方向長さは、幅面パネル2a、2bの左右方向長さ以上とすることができる。長さ面パネル1a、1bの左右方向長さおよび上下方向長さは、箱体20に収容する物品の大きさ等に基づいて設定可能である。
【0025】
(幅面パネル)
幅面パネル2a、2bは略矩形状である。また、一対の幅面パネル2a、2b同士は、略同一形状である。幅面パネル2a、2bの左右方向長さは、箱体20に収容する物品の大きさ等に基づいて設定可能である。幅面パネル2a、2bの上下方向長さは、長さ面パネル1a、1bの上下方向長さと同じとすることができる。
【0026】
(底外フラップ)
底外フラップ3は、全体として略矩形状である。底外フラップ3は、第1長さ面パネル1aの下縁から延出する矩形状の本体13と、本体13の先端縁の中央部分から延出する上述の差し込み片11と、本体13の先端縁における上記中央部分の両側から延出する上述の一対の支持片12とを有する。底外フラップ3の幅は、第1長さ面パネル1aの左右方向長さと等しい。底外フラップ3の延出方向長さは、幅面パネル2a、2bの左右方向長さの1/2よりも大きい。底外フラップ3の延出方向長さとしては、例えば幅面パネル2a、2bの左右方向長さの0.6倍以上0.7倍以下とすることができる。差し込み片11と一対の支持片12とは、底外フラップ3の幅方向に並列に配置されている。本体13と差し込み片11との間の境界線、および本体13と一対の支持片12との間の境界線には折り曲げ容易線は設けられていなくてよい。換言すると、差し込み片11の基端縁、および一対の支持片12の基端縁には折り曲げ容易線は設けられていなくてよい。
【0027】
差し込み片11と一対の支持片12とは、一対の第2スリット14によって分離されている。すなわち、差し込み片11の側縁と一対の支持片12の側縁との間には、実質的に隙間が形成されていない。このように構成されていることで、当該箱用シート10は、原シートから箱用シート10を形成する際に生じる除去部の面積をより小さくすることができる。また、この構成によると、箱体20の底部21において、底内フラップ4と一対の底中フラップ5a、5bとを、差し込み片11と一対の支持片12とによって内外方向から確実に挟み込むことができ、箱体20の底抜けをより確実に抑制することができる。より詳しく説明すると、図5に示すように、底外フラップ3と、底内フラップ4と一対の底中フラップ5a、5bとが、凹部16の両側部において風車状に重なり合うとともに、図3に示すように、この重なり合った部分を、さらに一対の支持片12で固定することができ、箱体20の底抜けをより確実に抑制することができる。
【0028】
差し込み片11は、底外フラップ3の幅方向を長手方向とする長尺状である。差し込み片11の具体的な形状としては、特に限定されるものではなく、例えば矩形状であってもよい。また、差し込み片11の具体的な形状としては、差し込み片11の先端縁を下底とし、差し込み片11の基端縁を上底(下底の長さ>上底の長さ)とする台形状であってもよい。差し込み片11が台形状であることで、底部21の底抜けをより抑制しやすくなる(図4参照)。
【0029】
図3および図4に示すように、一対の支持片12は、箱体20の底部21において、最外面に配置され、底内フラップ4および一対の底中フラップ5a、5bを外側から支持する。一対の支持片12の外側縁(底外フラップ3の幅方向における外側の側縁)は、本体13の側縁から連続して全体として直線状に設けられている。
【0030】
底外フラップ3には、その基端縁の端部とこの端部に近接する側の第2スリット14の閉塞端(底外フラップ3における基端側の端部)とを接続するように延びる一対の第2折り曲げ容易線15が設けられている。底外フラップ3に一対の第2折り曲げ容易線15が設けられていることで、差し込み片11を一対の第1スリット17a、17bに誘導するとともに、一対の第1スリット17a、17bを通過した差し込み片11を底内フラップ4の凹部16の内側に入り込ませやすい。また、底外フラップ3に一対の第2折り曲げ容易線15が設けられていることで、底内フラップ4と一対の底中フラップ5a、5bとを差し込み片11と一対の支持片12とで挟み込みやすい。その結果、箱体20の底部21を容易かつ確実に組み立てることができる。さらに、当該箱用シート10は、底外フラップ3に一対の第2折り曲げ容易線15が設けられている場合でも、箱体20の底抜けを抑制することができる。
【0031】
第2折り曲げ容易線15は直線状である。第2折り曲げ容易線15の具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、例えばシートの外面を筋押しして形成された罫線と切断線とが交互に連続して配置されたリード罫線が挙げられる。
【0032】
(底内フラップ)
底内フラップ4は、その先端縁の中央部分に凹部16が形成された略矩形状である。底内フラップ4の幅は、第2長さ面パネル1bの左右方向長さと等しい。底内フラップ4の延出方向長さ(凹部16が形成されていない部分における延出方向長さ)は、底外フラップ3の延出方向長さと同じとすることができる。
【0033】
凹部16は、底内フラップ4の基端縁と平行な底縁16aを有する。また、凹部16は、底縁16aに対して垂直に延びる一対の側縁16bを有する。底縁16aの両端には、一対の側縁16bから連続して延びる一対の切込みが設けられている。底内フラップ4の表面は凹凸のないフラット面であってもよい。
【0034】
(底中フラップ)
底中フラップ5a、5bは略矩形状である。底中フラップ5a、5bの幅は、幅面パネル2a、2bの左右方向長さと等しい。底中フラップ5a、5bの延出方向長さは、底外フラップ3の延出方向長さと同じとすることができる。
【0035】
上述のように、底中フラップ5a、5bは、その先端縁から基端側に延びる第1スリット17a、17bを有する。図3および図4に示すように、底中フラップ5a、5bは、第1スリット17a、17bを挟んだ両側の領域によって底外フラップ3と底内フラップ4とを挟み込むように構成されている。
【0036】
第1スリット17a、17bは直線状である。第1スリット17a、17bは、底中フラップ5a、5bの延出方向に対して傾斜して延びている。より詳しくは、図3および図4に示すように、第1スリット17a、17bは、底中フラップ5a、5bを底内フラップ4の外面に折り重ねた平面視において、第1スリット17a、17bの開放端が底縁16aよりも底内フラップ4の基端側に位置しており、かつ上記平面視において、第1スリット17a、17bが底縁16aと交わるように配置されている。このように構成されていることで、図4に示すように、底中フラップ5a、5bの一部分と底内フラップ4との間に底外フラップ3の差し込み片11を挟み込むことができる。その結果、箱体20の底抜けをより確実に抑制することができる。
【0037】
図3および図4に示すように、底中フラップ5a、5bにおける底内フラップ4の外面に重ねられる部分には、底中フラップ5a、5bの基端縁の端部と第1スリット17a、17bとを接続するように延びる第1折り曲げ容易線18a、18bが設けられている。このように構成されていることで、差し込み片11を一対の底中フラップ5a、5bの外面側から押し込んだ際に、一対の底中フラップ5a、5bが第1折り曲げ容易線18a、18bで折り曲げられることで、底中フラップ5a、5bにおける第1スリット17a、17bを挟んだ両側の領域が底部21の厚さ方向に開放される。これにより、差し込み片11が一対の第1スリット17a、17bを容易に通過する。また、底中フラップ5a、5bに第1折り曲げ容易線18a、18bが設けられていることで、差し込み片11を一対の第1スリット17a、17bに誘導しやすくなる。その結果、箱体20の底部21を容易かつ確実に組み立てることができる。
【0038】
第1折り曲げ容易線18a、18bは直線状である。第1折り曲げ容易線18a、18bの具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、例えばシートの外面を筋押しして形成された罫線と切断線とが交互に連続して配置されたリード罫線が挙げられる。
【0039】
(蓋外フラップ)
蓋外フラップ6a、6bは略矩形状である。また、一対の蓋外フラップ6a、6b同士は、略同一形状である。蓋外フラップ6a、6bの延出方向長さは、幅面パネル2a、2bの左右方向長さの1/2とすることができる。蓋外フラップ6a、6bの幅は、長さ面パネル1a、1bの左右方向長さと等しい。
【0040】
(蓋内フラップ)
蓋内フラップ7a、7bは略矩形状である。また、一対の蓋内フラップ7a、7b同士は、略同一形状である。蓋内フラップ7a、7bの延出方向長さは、蓋外フラップ6a、6bの延出方向長さと同じとすることができる。蓋内フラップ7a、7bの幅は、幅面パネル2a、2bの左右方向長さと等しい。
【0041】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換または追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0042】
本開示においては、凹部が、底内フラップの基端縁と平行な底縁とこの底縁に対して垂直に延びる一対の側縁とを有することで、底部の組み立て容易化と箱体の底抜け防止性とをともに高めやすい。ただし、本開示において、凹部の具体的な形状は上記実施形態に記載された形状に限定されない。例えば、上記底縁は、上記底内フラップの基端縁と平行でない構成とすることも可能である。
【0043】
上記実施形態で記載された第1スリットの配置は、好ましい配置の一例であって、上記第1スリットの具体的な配置は、上記実施形態に記載された配置に限定されない。例えば、上記第1スリットは、上記凹部を構成する底縁と平行に延びていてもよい。
【0044】
上記箱体の底部を容易に組み立てる観点からは、上記底中フラップには上述の第1折り曲げ容易線が設けられていることが好ましい。ただし、当該箱用シートは、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれるように設けられている限り、上記底中フラップに上記第1折り曲げ容易線が設けられていない構成を採用することも可能である。
【0045】
本開示において、上記底外フラップは、その先端縁に、差し込み片と、上記差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有している限り、上記差し込み片と上記一対の支持片とは間隔を空けて配置された構成としてもよい。
【0046】
上記箱体の底部を容易に組み立てる観点からは、上記底外フラップには上述の第2折り曲げ容易線が設けられていることが好ましい。ただし、当該箱用シートは、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれるように設けられている限り、上記底外フラップに上記第2折り曲げ容易線が設けられていない構成を採用することも可能である。
【0047】
本開示において、箱体の蓋部を組み立てるための構成は、特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本開示の一態様に係る箱用シートは、原シートを有効に利用できるとともに、箱体の底抜けを抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0049】
1a 第1長さ面パネル
1b 第2長さ面パネル
2a 第1幅面パネル
2b 第2幅面パネル
3 底外フラップ
4 底内フラップ
5a 第1底中フラップ
5b 第2底中フラップ
6a、6b 蓋外フラップ
7a、7b 蓋内フラップ
8 継代
10 箱用シート
11 差し込み片
12 支持片
13 本体
14 第2スリット
15 第2折り曲げ容易線
16 凹部
16a 底縁
16b 側縁
17a、17b 第1スリット
18a、18b 第1折り曲げ容易線
20 箱体
21 底部
100 封緘テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に組み立て可能な箱用シートであって、
組立状態で対向する一対の長さ面パネルおよび一対の幅面パネルと、
一方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底外フラップと、
他方の上記長さ面パネルの下縁から延出する底内フラップと、
上記一対の幅面パネルの下縁から延出する一対の底中フラップと
を備え、
上記底外フラップが、その先端部に、差し込み片と、上記差し込み片の両側に設けられる一対の支持片とを有しており、
上記底内フラップが、その先端部に、上記差し込み片が差し込まれる凹部を有し、上記凹部が、上記底内フラップの基端縁と平行な底縁を有しており、
上記一対の底中フラップがそれぞれ、その先端縁から延び、上記差し込み片が差し込まれる第1スリットを有しており、
上記底内フラップを内側に折り曲げて、上記底内フラップの外面に上記一対の底中フラップを折り重ね、さらに上記底外フラップを上記一対の底中フラップの外側から押し込むことで、上記差し込み片が上記第1スリットおよび上記凹部に差し込まれることで上記箱体の底部が組み立てられ
上記底中フラップを上記底内フラップの外面に折り重ねた組立状態の平面視において、上記第1スリットの開放端が上記底縁よりも上記底内フラップの基端側に位置しており、かつ上記組立状態の平面視において、上記第1スリットが上記底縁と交わるように配置されている箱用シート。
【請求項2】
上記底中フラップにおける組立状態で上記底内フラップの外面に重ねられる部分に、上記底中フラップの基端縁の端部と上記第1スリットとを接続するように延びる第1折り曲げ容易線が設けられている請求項1に記載の箱用シート。
【請求項3】
上記差し込み片と上記一対の支持片とが、一対の第2スリットによって分離されている請求項1または請求項2に記載の箱用シート。
【請求項4】
上記底外フラップに、その基端縁の端部とこの端部に近接する側の上記第2スリットの閉塞端とを接続するように延びる一対の第2折り曲げ容易線が設けられている請求項に記載の箱用シート。