(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111598
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】自動食器洗浄機洗浄用のタブレット型洗浄剤及びこれを用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20240809BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240809BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20240809BHJP
A47L 15/44 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/48
C11D3/20
C11D3/10
A47L15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016198
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115429
【氏名又は名称】ライオンハイジーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】神谷 侑那
(72)【発明者】
【氏名】向山 啓太
【テーマコード(参考)】
3B082
4H003
【Fターム(参考)】
3B082CC00
4H003BA17
4H003DA19
4H003DC02
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA17
4H003EA27
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB36
4H003EE09
4H003FA04
4H003FA19
4H003FA28
4H003FA34
4H003FA38
(57)【要約】
【課題】自動食器洗浄機の洗浄において優れた洗浄効果を発揮できる、自動食器洗浄機洗浄用のタブレット型洗浄剤の提供。
【解決手段】自動食器洗浄機の洗浄に用いられるタブレット型洗浄剤であって、塩素系除菌剤である(A)成分、有機酸及び有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上である(B)成分、炭酸化合物及び炭酸水素化合物からなる群から選ばれる1種以上である(C)成分、結合剤である(D)成分、及び消泡剤である(E)成分を含有し、前記(B)成分に対する前記(C)成分のモル比を表すC/Bが1.6超、8.8未満である、タブレット型洗浄剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄機の洗浄に用いられるタブレット型洗浄剤であって、
塩素系除菌剤である(A)成分、
有機酸及び有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上である(B)成分、
炭酸化合物及び炭酸水素化合物からなる群から選ばれる1種以上である(C)成分、
結合剤である(D)成分、及び
消泡剤である(E)成分を含有し、
前記(B)成分に対する前記(C)成分のモル比を表すC/Bが1.6超、8.8未満である、タブレット型洗浄剤。
【請求項2】
自動食器洗浄機の自動掃除機能を使用して、自動食器洗浄機を洗浄する方法であって、
請求項1に記載のタブレット型洗浄剤が溶解した洗浄液を前記自動食器洗浄機の内部に接触させて洗浄する、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄機の洗浄に用いられるタブレット型洗浄剤、及びこれを用いた自動食器洗浄機の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホテル、レストラン、給食会社、病院、会社の食堂等において、使用後のグラスや食器を効率よく洗浄するために、また衛生管理等の観点から、自動食器洗浄機が広く用いられている。
【0003】
自動食器洗浄機では、専用の洗浄剤を用いて、洗浄室に収容した食器類を自動運転で洗浄する。運転終了後は、洗浄室等に汚れが付着しているため、定期的に自動食器洗浄機の内部を洗浄することが必要である。一般的には、排水後、外せる部品は外し、外せない部分はそのままで、食器用洗剤を用いてスポンジ等でこすり洗いを行う。また、機種によっては自動掃除機能が搭載されているものもある。
自動食器洗浄機で使用される洗浄剤の効果の高まりに比例して、自動食器洗浄機内部に残る汚れが増加し、自動食器洗浄機内部の洗浄にかかる人的、時間的負担が課題となっている。
【0004】
特許文献1には、自動食器洗浄機の洗浄室内に、タブレット型洗浄剤を収容するケーシングを設け、ケーシング内のタブレット型洗浄剤に、洗浄室内で噴射される洗浄水またはすすぎ水を接触させて漸次溶解させながら食器類を洗浄する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、自動食器洗浄機で食器類を洗浄する方法であり、自動食器洗浄機内部の洗浄に適用しようとしても洗浄効果は不十分である。
特に、自動食器洗浄機の自動掃除機能を使用して自動食器洗浄機内部を洗浄する場合は、限られた水量と時間内に洗浄剤が溶解して、洗浄、すすぎ工程が完了することが要求される。
本発明は、自動食器洗浄機の洗浄において優れた洗浄効果を発揮できる、自動食器洗浄機洗浄用のタブレット型洗浄剤及びこれを用いた洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
[1]自動食器洗浄機の洗浄に用いられるタブレット型洗浄剤であって、
塩素系除菌剤である(A)成分、
有機酸及び有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上である(B)成分、
炭酸化合物及び炭酸水素化合物からなる群から選ばれる1種以上である(C)成分、
結合剤である(D)成分、及び
消泡剤である(E)成分を含有し、
前記(B)成分に対する前記(C)成分のモル比を表すC/Bが1.6超、8.8未満である、タブレット型洗浄剤。
[2]自動食器洗浄機の自動掃除機能を使用して、自動食器洗浄機を洗浄する方法であって、請求項1に記載のタブレット型洗浄剤が溶解した洗浄液を前記自動食器洗浄機の内部に接触させて洗浄する、洗浄方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動食器洗浄機の洗浄において優れた洗浄効果を発揮できる、自動食器洗浄機洗浄用のタブレット型洗浄剤及びこれを用いた洗浄方法が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<タブレット型洗浄剤>
本発明のタブレット型洗浄剤(以下、単に「本洗浄剤」ともいう。)は、(A)~(E)成分を含有する組成物であり、タブレット型に成形されたものである。
本明細書において、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
【0010】
[(A)成分]
(A)成分は塩素系除菌剤である。水に溶解して塩素を発生する公知の塩素系除菌剤を用いることができる。
塩素系除菌剤の具体例としては、ジクロロイソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、二酸化塩素等が挙げられる。
【0011】
[(B)成分]
(B)成分は、有機酸及び有機酸塩からなる群から選ばれる1種以上である。(B)成分は、水中で(C)成分と反応して炭酸ガスを発生させる成分である。かかる発泡に寄与する公知の有機酸及び有機酸塩を用いることができる。
有機酸の具体例としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸、マロン酸、ピロリドンカルボン酸、マレイン酸等が挙げられる。有機酸は無水物であってもよい。
有機酸塩としては、上記に挙げた有機酸の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0012】
[(C)成分]
(C)成分は、炭酸化合物及び炭酸水素化合物からなる群から選ばれる1種以上である。(C)成分は、水中で(B)成分と反応して炭酸ガスを発生させる成分である。かかる発泡に寄与する公知の炭酸化合物及び炭酸水素化合物を用いることができる。発泡性に優れ、他成分とのバランスによる貯蔵安定性が高いことから、アルカリ金属塩が好ましい。
炭酸化合物の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
炭酸水素化合物の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩が挙げられる。
また、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩と炭酸水素塩の複塩も使用できる。
【0013】
[(D)成分]
(D)成分は結合剤である。タブレット型洗浄剤等の圧縮成形物において公知の結合剤を用いることができる。
結合剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物、ソルビトール等の糖アルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸系ポリマー等が挙げられる。
ポリエチレングリコールの平均分子量は、例えば1000~5万が好ましく、ポリビニルピロリドンの平均分子量は、例えば4万~150万が好ましい。
【0014】
[(E)成分]
(E)成分は消泡剤である。消泡作用を有する添加剤として公知の化合物又は組成物を用いることができる。
消泡剤の具体例としては、アルコールアルコキシレート等の低起泡性ノニオン界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、例えば下記式(1)で表される。
R1-O-(A1O)a-H ・・・(1)
式(1)中、R1は炭素数8~22の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であり、A1Oは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、aはA1Oの平均繰り返し数を示す0~30の数である。
消泡剤として、ノニオン界面活性剤をシリカに担持させた粉体組成物を用いてもよい。
【0015】
[任意成分]
本洗浄剤は、上記(A)~(E)成分以外の任意成分の1種以上を含んでもよい。
任意成分の例としては、賦形剤、滑沢剤、キレート剤、界面活性剤、分散剤、水溶性溶剤、シリコーン、抗菌剤、消臭剤、香料、防腐剤、酵素、増粘剤、色素等が挙げられる。
賦形剤としては、硫酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0016】
[含有量]
(A)成分の含有量は、本洗浄剤の総質量に対して1.0~15質量%が好ましく、1.5~10質量%がより好ましく、2.0~10質量%がさらに好ましく、2.5~10質量%が特に好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲内であると、除菌性及び汚れ除去性が向上する。
(B)成分と(C)成分の反応により発泡が生じると、本洗浄剤が崩壊しやすくなり溶解性が向上する。(B)成分に対する(C)成分のモル比を表すC/Bは1.6超、8.8未満であり、1.8以上、8.0以下が好ましい。C/Bが上記範囲の下限値以上であると汚れ除去性に優れる。C/Bが上記範囲の上限値を超えると本洗浄剤が崩壊せず、溶解性が低下する。
(B)成分の含有量は、本洗浄剤の総質量に対して10~35質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると溶解性に優れ、上限値以下であると汚れ除去性に優れる。
(D)成分の含有量は、本洗浄剤の総質量に対して5~15質量%が好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると成形性に優れ、上限値以下であると泡立ち難く、洗浄効率が良い。
(E)成分の含有量は、本洗浄剤の総質量に対して1~6質量%が好ましく、1~2質量%がより好ましい。(E)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると抑泡性に優れ、上限値以下であると溶解性が良い。
(A)~(E)成分の合計の含有量は、本洗浄剤の総質量に対して90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。上限は100質量%でもよいが、99.5質量%以下が好ましい。
【0017】
本洗浄剤の好ましい組成は、例えば、本洗浄剤の総質量に対して(A)成分が2.5~10質量%、(B)成分が15~30質量%、C/Bが1.8~8.0、(D)成分が5~15質量%、(E)成分が1~2質量%、(A)~(E)成分の合計の含有量が95~99.5質量%である。
本洗浄剤の各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0018】
[pH]
本洗浄剤を0.10質量%の濃度で含む水溶液の、25℃におけるpHは8~12が好ましく、9~12がより好ましく、9.5~11.5がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると汚れ除去性に優れ、上限値以下であると除菌性に優れる。
【0019】
[製造方法]
本洗浄剤は、配合する全成分を混合機により混合した原料混合物(粉体又は造粒物)を、公知の圧縮成形機等を用いてタブレット型に圧縮成形する方法で製造できる。
混合機としては、例えば、リボンミキサー、V字型ミキサー、二重円錐型ミキサー等を用いることができる。
圧縮成形機としては、単発式打錠機、ロータリー式打錠機等を用いることができる。
【0020】
本洗浄剤のタブレット形状は特に限定されない。公知の錠剤の形状(円形錠、異形錠)を採用できる。
タブレットの大きさは、自動食器洗浄機の洗浄時に循環する洗浄液の量に応じて設計できる。洗浄液に本洗浄剤の1個を溶解したときに、本洗浄剤の濃度が0.05~0.20質量%になる大きさであることが好ましい。例えば、直径30mm、厚み6mm、重さ10gの円板状とすることができる。
本洗浄剤の製品形態は、1個のタブレットを1つの包材に収容した形態が好ましい。
【0021】
[洗浄方法]
本洗浄剤は、自動食器洗浄機の自動掃除機能を使用して、自動食器洗浄機を洗浄する方法に用いられる。
一般的な自動掃除機能では、タンクに貯留した洗浄液を自動食器洗浄機の内部に接触させて洗浄する。例えば、ノズルから噴射された洗浄液が、洗浄室の内壁等に接触して汚れを落とし、タンク内に戻り、再びノズルから噴射されるという操作を繰り返して、洗浄液を循環させながら自動食器洗浄機内部を洗浄する。洗浄が終了するとすすぎ水がノズルから噴射され、自動食器洗浄機内部のすすぎを行う。一連の工程として排水まで自動で行われる。
洗浄液及びすすぎ水の温度は、一般的には40~85℃である。
洗浄液の量、洗浄時間及びすすぎ時間は機種によって異なる。例えば厨房のカウンターの下に設置される自動食器洗浄機では、タンクに貯留される洗浄液の量は6.5~20リットル程度である。また洗浄時間は40秒~4分程度、すすぎ時間は10秒~2分程度である。
【0022】
一般的に、自動掃除機能を選択して扉を閉めると洗浄が開始する。本洗浄剤は、洗浄開始前に洗浄室内に投入して使用する。本洗浄剤はタンクに投入して使用するのに好適である。好ましくは、本洗浄剤の1個をタンクに投入する。
本洗浄剤はタブレット型であるため、簡便に投入できる。本洗浄剤をタンクに投入することにより、洗浄剤の全量を確実に洗浄液中に供給することができる。また本洗浄剤は溶解性が良好であるため、洗浄液に速やかに溶解することができ、洗浄効果を十分に発揮できる。さらに抑泡性に優れるため、洗浄時間及びすすぎ時間が短くても泡残りがなく、使用感に優れる。
【実施例0023】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
以下において、含有量の単位である「%」は、特に断りが無い限り「質量%」である。
【0024】
<測定方法・評価方法>
[pH]
本洗浄剤の含有量が0.10質量%になるように、タブレット型に成形する前の原料混合物を水に溶解した。得られた水溶液を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(堀場製作所製、「D-73」)を用い、ガラス電極を前記水溶液に直接浸漬し、pHを測定した。測定方法はJIS Z 8802:2011「pH測定方法」に準拠してpHを測定した。
【0025】
[抑泡性の評価方法]
自動食器洗浄機として、winterhalter製アンダーカウンタータイプ食器洗浄機UC-Lを用いた。
洗浄室内(洗浄槽内)から食器収容ラックを取り出した状態とし、セルフクリーニングモード(排水/掃除機能)で運転した。具体的には、アニメーション表示にしたがって、フィルター類を取り外し、洗浄管を取り付けた後、タンク内の洗浄液(60℃、15.3リットル)中に、タブレット型に成形する前の原料混合物を投入した。原料混合物の投入量は、洗浄液における濃度が0.10質量%になる量とした。汚れとして10%アルブミン溶液の30.6gを洗浄室内に投入した後、扉を閉めてセルフクリーニングを開始した。
セルフクリーニングの終了後、洗浄室内を目視で観察して泡残りの有無を確認した。下記の基準で抑泡性を評価した。
(抑泡性の評価基準)
○:泡残りなし。
×:泡残りあり。
【0026】
[汚れ除去性の評価方法]
上記抑泡性の評価方法において、汚れとしてアルブミン溶液の代わりにコーヒーフレッシュ(植物性油脂食品)の25mL(ポーション5個分)を、洗浄室内に投入した。それ以外は上記抑泡性の評価方法と同様とした。
セルフクリーニングの終了後、洗浄室内を目視で観察して汚れ付着の有無を確認した。下記の基準で汚れ除去性を評価した。
(汚れ除去性の評価基準)
○:汚れの付着なし。
△:汚れがわずかに残る程度である。
×:汚れが多く付着している。
【0027】
[除菌性の評価方法]
大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)をそれぞれSCDLP寒天培地(ダイゴ、日本製薬社製)に接種し、37℃で24時間培養した。生育したコロニーを1白金耳取り、SCDLP寒天培地に再接種して37℃で24時間培養した。生育したコロニーを白金耳で採取して滅菌生理食塩水に均一に懸濁させ、菌液を調製した。
タブレット型に成形する前の原料混合物を、濃度が0.10質量%になるようにイオン交換水に溶解して試料溶液を調製した。試料溶液10mLを試験管に添加して60℃に調温した。この試験管に前記菌液の0.05mLを添加して5分間反応させ、反応後の試料溶液1mLをSCDLP培地9mLに添加し、同様の操作を繰り返して希釈液を得た。各希釈液1mLを滅菌シャーレに添加し、そこに47℃で溶解したSCDLP寒天培地を加えて混釈し、37℃で24時間培養し、生育したコロニー形成単位(CFU)をカウントした。対照と試料のlog10CFUの差(対照のlog10CFU-試料のlog10CFU)から、組成物の被検菌に対する除菌力を次のように評価した。対照には60℃のイオン交換水を用いた。対照と試料のlog10CFUの差(対照のlog10CFU-試料のlog10CFU)を、Δlog10CFUと記載する。
(除菌性の評価基準)
◎:Δlog10CFUが5以上の除菌効果。
○:Δlog10CFUが3以上、5未満の除菌効果。
△:Δlog10CFUが1以上、3未満の除菌効果。
×:Δlog10CFUが1未満の除菌効果。
【0028】
[溶解性の評価方法]
上記抑泡性の評価方法では、タブレット型に成形する前の原料混合物を投入したが、本方法では、成形後のタブレット型洗浄剤を投入した。また、本方法では汚れは投入しなかった。それ以外は上記抑泡性の評価方法と同様とした。
セルフクリーニングの終了後、洗浄室内を目視で観察し、タブレット型洗浄剤の溶け残りの有無を確認した。下記の基準で溶解性を評価した。
(溶解性の評価基準)
○:溶け残りなし。
×:溶け残りあり。
【0029】
[成形性の評価方法]
ミキサーを用いて全成分を混合した原料混合物の10gを、直径30mmの打錠金型に充填し、油圧式ハンドプレス機(島津製作所社製SSP-10A)を使用し、打錠圧40kNの条件でタブレット状に圧縮成形した。
下記の基準で成形性を評価した。
(成形性の評価基準)
○:金型からタブレット状の成形物を取り出すことができ、成形物は簡単には崩れない。
△:金型からタブレット状の成形物を取り出すことができるが、成形物は簡単に崩れる。
×:金型からタブレット状の成形物を取り出すことができない(タブレット状にならない)、又は金型への粉の付着が著しい。
【0030】
<使用原料>
(D)結合剤
・ポリエチレングリコール6000(三洋化成工業社製)。
・ポリエチレングリコール20000(三洋化成工業社製)。
【0031】
(E)消泡剤
・アデカネートB-317F(ADEKA社製、ノニオン界面活性剤をシリカに担持させた粉体組成物、粉体)。
・アデカネートB-107F(ADEKA社製、ノニオン界面活性剤をシリカに担持させた粉体組成物、粉体)。
・アデカネートB-213F(ADEKA社製、ノニオン界面活性剤をシリカに担持させた粉体組成物、粉体)。
・Plurafac LF303(BASF社製、脂肪族アルコールアルコキシレート、低起泡性ノニオン界面活性剤、液体)。
【0032】
(実施例1~13、比較例1~7)
表1、2に示す配合(単位:質量%)で、全原料をミキサーで混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物について、上記の方法でpHを測定し、汚れ除去性、抑泡性、及び除菌性を評価した。
また、各例の原料混合物を、上記成形性の評価方法に記載の方法でタブレット状に圧縮成形して成形物(タブレット型洗浄剤)を製造した。上記の方法で成形性及び溶解性を評価した。
これらの結果を表に示す。なお、比較例4は成形性が×であったため溶解性の評価は行わなかった。
なお、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
【0033】
【0034】
【0035】
表1、2に示すように、(A)~(E)成分を含有し、C/Bが1.6超、8.8未満である例1~13のタブレット型洗浄剤は、成形性及び溶解性が良好であり、自動掃除機能を使用した自動食器洗浄機の洗浄において、優れた汚れ除去性、除菌性を示し、洗浄終了後の泡残りもなかった。