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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111612
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/10 20060101AFI20240809BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A43B3/10 G
A43B13/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016226
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】511292817
【氏名又は名称】株式会社アメイズプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】山本 良磨
(72)【発明者】
【氏名】酒井 紳之介
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA22
4F050BA04
4F050HA57
4F050HA59
4F050JA30
4F050LA09
4F050MA90
(57)【要約】
【課題】掃除用シートを取付可能な履物において、床を好適に掃除できるようにすること。
【解決手段】履物10は、表面11aにユーザの足が載せられる底部11と、底部11の裏面11bに掃除用シートを重ねた状態で掃除用シートを取付可能な取付孔21と、を備える。底部11の前端側には、底部11の表面11a側に突出してユーザの足指が当たる凸部26,27が設けられている。凸部26,27として、底部11の左右方向の右側に設けられた右側凸部26と、底部11の左右方向の左側に設けられた左側凸部27とを備える。右側凸部26と左側凸部27とは繋がって一体とされ、それにより長尺凸部25が形成されている。長尺凸部25は、左右方向の中間部において前方に凸となるようにアーチ状に延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にユーザの足が載せられる底部と、
前記底部の裏面に掃除用シートを重ねた状態で前記掃除用シートを取付可能な取付部と、を備え、
前記底部の前端側には、前記表面側に突出してユーザの足指が当たる凸部が設けられ、
前記凸部として、前記底部の左右方向の右側に設けられた右側凸部と、前記底部の左右方向の左側に設けられた左側凸部とを備える、履物。
【請求項2】
前記右側凸部と前記左側凸部とが繋がって一体とされている長尺凸部を備える、請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記長尺凸部は、左右方向の中間部において前方に凸となるようにアーチ状に延びている、請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記長尺凸部を含む前記底部全体が左右対称の形状とされている、請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記底部は、平面視にて長方形状とされている、請求項1に記載の履物。
【請求項6】
前記取付部は、前記底部の各角部に設けられ、前記掃除用シートの角部を前記底部の前記表面側から取り付けるものであり、
前記右側凸部と前記左側凸部とが繋がって一体とされている長尺凸部を備え、
前記長尺凸部は、前記底部の前側の前記角部に配置された前記取付部よりも後方において、左右方向の両端部が左右方向の中間部よりも後方に位置するようにアーチ状に延びている、請求項5に記載の履物。
【請求項7】
前記履物は、前記底部に載せられたユーザの足の甲を覆う甲被部を備えるスリッパである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スリッパの裏面に掃除用の不織布シートを取付可能とした掃除用のスリッパが提案されている。この掃除用スリッパによれば、ユーザがスリッパを履いて歩行等することにより床の掃除を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3227963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の掃除用スリッパを用いて床の掃除を行う際には、例えば、スリッパの前端側において床からの浮きが生じる場合が想定される。その場合、スリッパの前端側において掃除用シートが床に上手く接触せず、床を好適に掃除できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、掃除用シートを取付可能な履物において、床を好適に掃除できるようにすることを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の履物は、
表面にユーザの足が載せられる底部と、
前記底部の裏面に掃除用シートを重ねた状態で前記掃除用シートを取付可能な取付部と、を備え、
前記底部の前端側には、前記表面側に突出してユーザの足指が当たる凸部が設けられ、
前記凸部として、前記底部の左右方向の右側に設けられた右側凸部と、前記底部の左右方向の左側に設けられた左側凸部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、底部の裏面に掃除用シートを重ねた状態で、掃除用シートを取付部に取り付けることができる。そのため、ユーザが履物を履いて床上を歩く等することにより、床の掃除を行うことができる。
【0008】
また、底部の前端側に、底部の表面側に突出しユーザの足指が当たる凸部が設けられているため、その凸部を足指で下方に押さえることにより底部の前端側を床に向けて押し付けることができる。また、凸部として、底部の左右方向の右側に設けられた右側凸部と、底部の左右方向の左側に設けられた左側凸部とを備えるため、これらの凸部を用いて底部の前端側における左右両側の部分をそれぞれ床に向けて押し付けることができる。この場合、底部の前端側における左右両側の部分についてそれぞれ、床からの浮きを抑制することができる。これにより、底部の前端側において掃除用シートを床に対して好適に接触させることができ、その結果、床の掃除を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)がスリッパを示す平面図であり、(b)がスリッパを甲被部を取り外した状態で示す平面図である。
図2】スリッパを示す正面図である。
図3図1(b)のA-A線断面図である。
図4】(a)がスリッパに掃除用シートを取り付けた状態を示す平面図であり、(b)が底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明に係る履物をスリッパ10として具体化している。
【0011】
図1(a)及び図2に示すように、スリッパ10は、ユーザの足が載せられる底部11と、ユーザの足の甲を覆う甲被部12とを備える。底部11は、板状に形成され、表面11a(上面)と裏面11b(底面)とを有する。表面11aと裏面11bとは、互いに平行な水平面とされている。底部11は、平面視にて前後方向に長い長方形状とされている。また、底部11は左右対称の形状とされ、ひいてはスリッパ10全体が左右対称の形状とされている。そのため、スリッパ10は、左右いずれの足にも使用することが可能となっている。
【0012】
底部11は、ユーザの足が載せられる中底部14と、中底部14の下面側に重ねられた外底部15とを有する。中底部14により底部11の表面11aが形成され、外底部15により底部11の裏面11bが形成されている。中底部14と外底部15とは、互いの周縁部同士が縫製されることにより接合されている。中底部14は、ポリエステル等の樹脂材料により形成され、外底部15は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料により形成されている。なお、中底部14には、その周縁部に沿って縁テープ16が取り付けられている。
【0013】
甲被部12は、底部11の上方に設けられ、左右方向の両端部がそれぞれ底部11の左右方向の両端部に接合されている。甲被部12は、ポリエステル等の樹脂材料により形成されている。甲被部12と底部11との間はユーザの足が挿入される空間部となっており、その空間部は前方及び後方にそれぞれ開放されている。また、甲被部12の前端部は、底部11の前端部よりも後方に位置している。
【0014】
底部11の各角部18には、掃除用シートSを着脱可能に取り付けるための取付孔21が設けられている。取付孔21は、上方に開口された有底の孔部となっており、互いに交差する複数のスリットを含んで形成されている。なお、取付孔21が取付部に相当する。
【0015】
掃除用シートSとしては、例えば市販の床掃除ワイパー用(ドライタイプ)の不織布シートが用いられる。掃除用シートSは、底部11よりも大きい長方形状とされている。但し、掃除用シートSとしては、不織布以外の樹脂製又は布製のシートを用いてもよい。また、底部11が防水性を有していれば、ウェットタイプのシートを掃除用シートSとして用いてもよい。
【0016】
図4(a)及び(b)に示すように、掃除用シートSは、底部11の裏面11bに重ねられた状態で、各角部が上方に折り返され取付孔21に差し込まれることにより取り付けられる。詳しくは、掃除用シートSは、底部11の裏面11bに重ねられた状態で底部11から左右にはみ出す各はみ出し部分がそれぞれ上方に折り返されるとともに、それら折り返された各はみ出し部の前端部及び後端部(つまり各角部)がそれぞれ取付孔21に差し込まれることにより取り付けられる。
【0017】
本実施形態のスリッパ10によれば、上記のように掃除用シートSが底部11(取付孔21)に取り付けられた状態で、ユーザがスリッパ10を履いて室内の床上を歩行等することにより、床上の埃や塵等を掃除用シートSにより取り除くことができる。これにより、スリッパ10を履いて床上を歩く等することにより、床の掃除を行うことが可能となっている。
【0018】
ここで、本実施形態では、上記のスリッパ10を用いて床を好適に掃除することができるよう、スリッパ10の底部11に特徴的な構成を設けている。そこで、以下では、その特徴的な構成について説明する。
【0019】
図1(b)及び図3に示すように、底部11の前端側には、底部11の表面11a側に突出し底部11の左右方向に延びる長尺凸部25が設けられている。長尺凸部25は、底部11の中底部14に形成されている。長尺凸部25は、底部11の左右方向の右側に設けられた右側凸部26と、底部11の左右方向の左側に設けられた左側凸部27とを有している。長尺凸部25は、右側凸部26と左側凸部27とが繋がって一体とされることにより形成されている。
【0020】
長尺凸部25は、前側の各取付孔21よりも後方において左右方向に延びている。長尺凸部25は、左右方向の中間部において前方に凸となるようにアーチ状に延びている。これにより、長尺凸部25は、左右方向の両端部が左右方向の中央部よりも後方に位置している。また、長尺凸部25(換言すると右側凸部26)の右側の端部は底部11の右側の端部に位置し、長尺凸部25(換言すると左側凸部27)の左側の端部は底部11の左側の端部に位置している。そのため、長尺凸部25は、底部11の左右方向の全域に亘って延びている。
【0021】
長尺凸部25は、底部11の表面11aからの突出高さHが長手方向の全域に亘って一定とされている。長尺凸部25の突出高さHは、例えば5~10mmとされている。また、長尺凸部25は、その幅Wが長手方向の全域に亘って一定とされている。長尺凸部25の幅Wは、例えば10~20mmとされている。
【0022】
長尺凸部25は、その左右方向の両端側がそれぞれ甲被部12により上方から覆われている。そのため、掃除用シートSを各取付孔21に取り付けた際に、掃除用シートSにより長尺凸部25の両端側が覆われるのを防止できる(図4(a)参照)。
【0023】
長尺凸部25は、ユーザの足指が当たる部分となっている。詳しくは、長尺凸部25にはユーザの各足指がそれぞれ当たるようになっている。ユーザは、スリッパ10を履いて床を掃除する際、足指で長尺凸部25をグリップすることが可能となっている。
【0024】
なお、底部11には、長尺凸部25以外に表面11a側に突出する凸部が設けられていない。そのため、底部11のうち長尺凸部25よりも前側の部分及び後側の部分については、その全域において表面11a(上面)が平坦状とされている。
【0025】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0026】
底部11の前端側に、底部11の表面11a側に突出しユーザの足指が当たる凸部26,27(長尺凸部25)が設けられているため、その凸部26,27を足指で下方に押さえることにより底部11の前端側を床に向けて押し付けることができる。また、凸部として、底部11の左右方向の右側に設けられた右側凸部26と、底部11の左右方向の左側に設けられた左側凸部27とを備えるため、これらの凸部26,27を用いて底部11の前端側における左右両側の部分をそれぞれ床に向けて押し付けることができる。この場合、底部11の前端側における左右両側の部分についてそれぞれ、床からの浮きを抑制することができる。これにより、底部11の前端側において掃除用シートSを床に対して好適に接触させることができ、その結果、床の掃除を好適に行うことが可能となる。
【0027】
右側凸部26と左側凸部27とが繋がって一体とされている長尺凸部25を備える。この場合、ユーザの足指を長尺凸部25に引っ掛けることにより、ユーザの足が底部11に対して前後にずれるのを抑制することができる。これにより、床の掃除をし易くすることができる。
【0028】
長尺凸部25が、左右方向の中間部において前方に凸となるようにアーチ状に延びている。この場合、ユーザの足指を長尺凸部25における前方に凸とされた部分に左右方向に当てることができるため、ユーザの足が底部11に対して左右にずれるのを抑制することができる。これにより、床の掃除をより一層し易くすることができる。
【0029】
底部11が左右対称形状とされているため、スリッパ10を左右いずれの足にも用いることができ、使い勝手がよい。また、長尺凸部25についても左右対称形状とされているため、スリッパ10を左右いずれの足に用いる場合にも、長尺凸部25(右側凸部26及び左側凸部27)を用いて底部11の前端側を押さえる際、同じように押さえることができる。これにより、左右いずれの足に用いる場合にも、好適に掃除を行うことが可能となる。
【0030】
底部11が平面視長方形状とされているため、床の隅部を掃除する際には、底部11の角部18を床の隅部に入り込ませ掃除することが可能となる。
【0031】
また、底部11の前端側の角部18については長尺凸部25(右側凸部26及び左側凸部27)を用いて床に押し付け易くなっている。そのため、底部11前端側の角部18を床の隅部に入り込ませて掃除を行う際には、好適に掃除を行うことが可能となる。なお、かかる効果を得る上では、底部11が平面視長方形状である(換言すると、底部11の各角部18がいずれも直角をなす角部となっている)ことは必須ではなく、少なくとも底部11前端側の各角部18が直角をなす角部となっていればよい。そのため、例えば、底部11の後側の縁部が後方に凸となる円弧状とされている等、曲線状に形成されていてもよい。
【0032】
底部11の各角部18に設けられた取付孔21に対して、底部11の表面11a側から掃除用シートSの角部を取付可能となっている。また、かかる構成において、長尺凸部25は、底部11の前端側の角部18に設けられた取付孔21よりも後方において、左右方向の両端部が左右方向の中間部よりも後方に位置するようにアーチ状に延びている。これにより、前側の取付孔21に掃除用シートSの角部を取り付ける際、取り付け易くなっている。
【0033】
スリッパ10は、アッパーにより足が保持される靴に比べると、履いた際に足と底部11との一体感に欠ける。そのため、スリッパ10を履いて床の掃除を行う際には、底部11の前端側を下方に押し付けにくいことが考えられる。その点、本実施形態では、スリッパ10において、底部11の前端側に凸部26,27を設けているため、スリッパ10を用いて床の掃除を行う際には、スリッパ10の底部11前端側を床に向けて好適に押し付けることができる。そのため、スリッパ10を用いて床の掃除を好適に行うことが可能となる。
【0034】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、長尺凸部25を左右方向の中間部において前方に凸となるようにアーチ状に延びる構成としたが、長尺凸部25は必ずしもアーチ状に延びる構成とする必要はなく、例えば左右方向に直線状に延びる構成としてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、右側凸部26と左側凸部27とを繋げて一体とすることにより長尺凸部25を形成したが、例えば、右側凸部26と左側凸部27とをそれぞれ左右に離間(分離)させて配置するようにしてもよい。この場合にも、これらの凸部26,27を用いて底部11の前端側における左右両側の各部分を床に向けて押し付けることができ、それにより、それら各部分の床からの浮きを抑制することができる。
【0037】
・底部11の平面視形状は、必ずしも長方形状である必要はなく、楕円形状等、その他の形状であってもよい。また、上記実施形態では、長尺凸部25を含む底部11全体(ひいてはスリッパ10全体)を左右対称形状としたが、これを変更して、左右非対称の形状としてもよい。但し、この場合、左足用と右足用のスリッパ10をそれぞれ用意する必要がある。
【0038】
・上記実施形態では、掃除用シートSを取付孔21に差し込むことにより取り付けるようにしたが、掃除用シートSを取り付ける取付部の構成は必ずしもこれに限らない。例えば、底部11の各側面に前後方向に延びるスリット孔を形成し、そのスリット孔に掃除用シートSを差し込んで取り付けるようにしてもよい。また、底部11に掃除用シートSを挟持する挟持部を設け、その挟持部により掃除用シートSを挟持することにより取り付けてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、本発明をスリッパに適用したが、本発明を屋内用のシューズ等、スリッパ以外の履物に適用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…履物としてのスリッパ、11…底部、11a…表面、11b…裏面、12…甲被部、21…取付部としての取付孔、25…長尺凸部、26…右側凸部、27…左側凸部、S…掃除用シート。
図1
図2
図3
図4