(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111613
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】膨化食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/161 20160101AFI20240809BHJP
【FI】
A23L7/161
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016227
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 奈夏
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 主
【テーマコード(参考)】
4B025
【Fターム(参考)】
4B025LB10
4B025LG02
4B025LP01
4B025LP02
4B025LP06
(57)【要約】
【課題】玄米を主原料とした膨化食品であって、かつ、苦みや収斂味が抑えられており、同時にサクサクとした食感で口どけ(溶解性)の良い食感であって、乳幼児が喫食するのに良好な風味を有する膨化食品とその製造方法を提供する。
【解決手段】表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉を含む膨化食品、及び前記膨化食品の製造方法であって、エクストルーダーによる一次加熱により、焙煎玄米粉含有生地を膨化させて膨化食品を得る一次加熱工程を含み、前記エクストルーダー内での前記焙煎玄米粉含有生地の水分量を14~22質量%に調整する処理を含む膨化食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉を含むことを特徴とする膨化食品。
【請求項2】
水分量が10質量%以下である請求項1に記載の膨化食品。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の膨化食品の製造方法であって、
エクストルーダーによる一次加熱により、焙煎玄米粉含有生地を膨化させて膨化食品を得る一次加熱工程を含み、
前記エクストルーダー内での前記焙煎玄米粉含有生地の水分量を14~22質量%に調整する処理を含むことを特徴とする膨化食品の製造方法。
【請求項4】
一次加熱工程で得られた膨化食品の水分量を調整する二次加熱工程を更に含む請求項3に記載の膨化食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨化食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手軽に食すことが出来るといったメリットから、とうもろこし等を原料としたシリアルや、米粉等の澱粉質原料を加圧膨化させた膨化食品が喫食される機会が増えてきた。また、食の多様化・細分化に加え、健康ブームも相まって、種々の穀類を原料としたシリアルや膨化食品も広がりを見せている。
【0003】
従来から、玄米を主たる原料とした膨化食品の製造方法として、エクストルーダー(押し出し成型機)を用いてパフ化する膨化食品の製造方法が知られている。例えば、雑穀の単独又は混合物を加熱加圧して澱粉をα化した後、急速に常圧下へ押し出して膨化させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、玄米を主原料とし、これに蛋白を添加混合した後に膨化処理を施すことでクリスピーで口どけの良い玄米パフの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。更に、特定のデンプンと米糠を多く配合しサクサクとした軽い食感を有する膨化食品の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
一方で、玄米には糠層の糠臭さや苦みがあることも知られている。玄米にある糠独特の臭いや苦みに対して、もち玄米を使用直前に分搗き米にし、餅とすることで、臭いや苦みを軽減させることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、分搗き具合により含まれる栄養価は減少することでも知られている。また、米糠を炒ったりあるいは乾燥されたのちに表面を油脂でコーティングすることで、日持ちよくかつ米糠の臭いや苦みを低減した、食パン等への増量剤として使用可能な米糠材の利用が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57―177662号公報
【特許文献2】特開平9-252726号公報
【特許文献3】特開2015-188411号公報
【特許文献4】特開2002―191305号公報
【特許文献5】特開2000-210007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、未焙煎の玄米を粉砕して得られる玄米粉を主原料とし、エクストルーダーで膨化食品の製造を試みたところ、得られた膨化食品は、苦みと収斂味を有するものであった。また、焙煎機にて強く焙煎した玄米を粉砕して得られた焙煎玄米粉を主原料した場合の膨化食品では、苦みや収斂味は改善されていたものの、焙煎玄米特有の香ばしい焙煎香を有しており、乳幼児が喫食することを想定した場合、期待するような風味ではなかった。また、このとき、焙煎玄米粉の一部をうるち米粉に置き換えることで香ばしい焙煎香の抑制はできたものの、うるち米粉特有の粘りにより、サクサクとした食感でかつ口どけの良い食感が損なわれており、栄養価も相応に減少することが分かった。
【0007】
上記の従来の発明においても、玄米を使用した膨化食品で、サクサクとした食感で口どけの良い食感の課題を解決するような発明の提案はあったものの、同時に苦みや収斂味に焦点を当て、改善を試みた発明はこれまでに提案されていなかった。
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、玄米を主原料とした膨化食品であって、かつ、苦みや収斂味が抑えられており、同時にサクサクとした食感で口どけ(溶解性)の良い食感であって、乳幼児が喫食するのに良好な風味を有する膨化食品とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく研究を重ねた結果、表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉を含む膨化食品とすることにより、玄米を多く配合した場合であっても、苦みや収斂味を感じることなく、かつ、サクサクとした食感で口どけ(溶解性)が良く、乳幼児が喫食するのに良好な風味を有する膨化食品を製造できること知見した。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉を含むことを特徴とする膨化食品である。
<2> 水分量が10質量%以下である前記<1>に記載の膨化食品である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の膨化食品の製造方法であって、
エクストルーダーによる一次加熱により、焙煎玄米粉含有生地を膨化させて膨化食品を得る一次加熱工程を含み、
前記エクストルーダー内での前記焙煎玄米粉含有生地の水分量を14~22質量%に調整する処理を含むことを特徴とする膨化食品の製造方法である。
<4> 一次加熱工程で得られた膨化食品の水分量を調整する二次加熱工程を更に含む前記<3>に記載の膨化食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、玄米を主原料とした膨化食品であって、かつ、苦みや収斂味が抑えられており、同時にサクサクとした食感で口どけ(溶解性)の良い食感であって、乳幼児が喫食するのに良好な風味を有する膨化食品とその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(膨化食品)
本実施形態の膨化食品は、焙煎玄米粉を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0013】
本実施形態でいうところの膨化食品は、主に澱粉質原料からなる生地粉体に加水をして水分値を調整した後、エクストルーダーで加圧加熱し膨化させることで得られる多孔質組織を有する食品である。ここに記載の内容に限定されるわけではないが、これら膨化食品にあっては、そのまま喫食することも出来れば、牛乳やヨーグルト等の乳製品に混ぜ合わせて食すこと、また出来上がった膨化食品にお湯を混ぜ合わせてお粥状にして食することなど、様々な喫食・利用方法が挙げられる。
【0014】
<焙煎玄米粉>
前記膨化食品に含まれる澱粉質原料には主に玄米を使用するが、使用する玄米については、通常玄米として流通されているものであれば特に限定されるものではない。
本明細書において、玄米とは、精米歩合が88%以上であるもののことをいう。前記精米歩合としては、88%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90%以上が好ましく、栄養価が高い点で95%以上がより好ましい。
【0015】
前記焙煎玄米粉は、表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉である。前記L値及びa値を満たすことで、苦み及び収斂味が感じられにくい焙煎玄米粉とすることができる。
本明細書において、表色系とは、L*a*b*表色系のことをいう。
前記焙煎玄米粉のL値及びa値は、公知の色差計により測定することができ、例えば、分光色差計(SpectrophotometerSA4000、日本電色工業株式会社製)を用い、反射光測定の条件で測定することができる。
【0016】
前記L値としては、95以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、焙煎からくる特有の香ばしさを抑えることができる点で、90以下が好ましく、88以下がより好ましく、88未満が更に好ましい。
【0017】
前記a値としては、-1.0以上2.3以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、焙煎からくる特有の香ばしさを抑えることができる点で、-0.5~2.0が好ましい。
【0018】
例えば、玄米の香ばしさを弱めたいときは、玄米粉の焙煎条件をL値が高くなり、a値が小さくなるように調整するとよい。一方、玄米の香ばしさを強めたいときは、玄米粉の焙煎条件をL値が低くなり、a値が大きくなるよう調整するとよい。
【0019】
前記玄米を焙煎する方法としては、特に制限はなく、一般的な焙煎方法を目的に応じて採用することができる。一般的な焙煎方法としては、例えば、熱風焙煎、直火焙煎、砂炒焙煎、遠赤外焙煎などが挙げられる。
【0020】
前記焙煎の条件(焙煎時間、焙煎温度など)としては、特に制限はなく、所望のL値及びa値に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記焙煎した玄米は、粉砕して使用される。前記焙煎玄米粉の粒径としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エクストルーダーへの適性の観点から、3mmの篩を通過したものが好ましく、1mmの篩を通過したものがより好ましい。
【0022】
前記焙煎玄米粉の膨化食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、55質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。前記膨化食品は、前記焙煎玄米粉のみからなるものであってもよい。
【0023】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、従来膨化食品に用いられている各種成分などを適宜使用することができ、例えば、副材として使用される澱粉質原料、澱粉質原料以外の原料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
前記その他の成分の膨化食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
前記副材として使用される澱粉質原料の起源原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、うるち米、もち米、大麦、オーツ麦、大豆、さつまいも、じゃがいも、小麦、とうもろこしなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記副材として使用される澱粉質原料は、粉末であることが好ましい。
前記副材として使用される澱粉質原料の膨化食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
【0025】
前記澱粉質原料以外の原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、野菜や果物の加工品、調味用の砂糖や食塩、エキス原料などが主に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記澱粉質原料以外の原料は、粉末であることが好ましい。
【0026】
また、前記澱粉質原料以外の原料として、乳酸菌、DHA、EPA、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤といった機能性素材を配合することもできる。
【0027】
前記ビタミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記ミネラル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
<水分量>
前記膨化食品の水分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%以下であることが好ましく、食感及び風味の観点から、9質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
【0030】
本発明の膨化食品は、玄米を主原料としているにも関わらず、玄米のもつ糠特有の苦みや臭さを感じることなく、かつサクサクとした食感で口どけ(溶解性)の良い食感で、良好な風味も有する。そのため、乳幼児であっても膨化食品を美味しく食することが出来ると同時に、玄米に含まれる栄養素も併せて摂取することが出来る。
【0031】
本実施形態の膨化食品を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本実施形態の膨化食品の製造方法により、好適に製造することができる。
【0032】
(膨化食品の製造方法)
本実施形態の膨化食品の製造方法は、上記した本実施形態の膨化食品を製造する方法であって、一次加熱工程と、生地水分量調整処理とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0033】
<生地水分量調整処理>
前記生地水分量調整処理は、エクストルーダー内での焙煎玄米粉含有生地の水分量を14~22質量%に調整する処理である。
【0034】
前記焙煎玄米粉含有生地は、上記膨化食品の項目に記載した焙煎玄米粉を少なくとも含み、必要に応じて上記膨化食品の項目に記載したその他の成分を含む。
【0035】
エクストルーダーに投入する生地粉体の水分値は、加水によって適宜調整することが可能であるが、水分値が高すぎる場合には、エクストルーダー内での加圧加熱による水分の蒸発蒸散が十分とならず膨化不良や、また膨化後も高いままで総じてネチネチとした食感で、口どけが悪いものとなる。一方で、水分値が低すぎる場合には、エクストルーダー内での過加熱が起き、過膨化による膨化不良やまた焦げ臭を強く有するものとなる。
【0036】
したがって、エクストルーダー内での焙煎玄米粉含有生地の水分量は、適度に調整されていることが好ましい。具体的には、エクストルーダー内での焙煎玄米粉含有生地の水分量は、14~22質量%に調整されていればよく、口どけの観点から、16~20質量%に調整されていることが好ましい。
【0037】
前記焙煎玄米粉含有生地の水分量を調整する方法としては、目的とする水分量に調整されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、工業的な効率や作業の面から、生地粉体を混合したミキサーに直接加水をして混練する方法や、生地粉体を搬送させながら連続的に水を噴霧する方法などが好ましい。
【0038】
<一次加熱工程>
前記一次加熱工程は、エクストルーダーによる一次加熱により、焙煎玄米粉含有生地を膨化させて膨化食品を得る工程である。
【0039】
上記膨化処理によって得られる膨化食品の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リング状、球状、棒状、らせん状、格子状、円盤状などが挙げられる。これらの中でも、乳幼児の喉詰まり防止の観点からは、リング状が好ましい。
また、前記膨化食品の大きさとしても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、乳幼児の喫食に適した大きさとする場合には、5~30mmの間で調整することが好ましい。
【0040】
前記エクストルーダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて公知の1軸型エクストルーダー、2軸型のエクストルーダーなどを用いることができる。前記エクストルーダーにより膨化物を得る際の条件(膨化処理の条件)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
前記エクストルーダーによる一次加熱工程で得られた膨化物は、適宜好ましい長さにカッティング処理を施すことができる。
【0042】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、二次加熱工程を含むことが好ましい。
【0043】
<<二次加熱工程>>
前記二次加熱工程は、一次加熱工程で得られた膨化食品の水分量を調整する工程である。
【0044】
前記二次加熱工程における膨化食品の水分量を調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、工業的な効率面や作業性の観点から、直火式の砂炒焙煎機を用いて乾燥する方法が好ましい。
前記乾燥の条件としては、特に制限はなく、目的とする膨化食品の水分量に応じて適宜選択することができる。
【0045】
また、前記その他の工程として、上記した焙煎玄米粉を調製する焙煎玄米粉調製工程を含んでもよい。
前記焙煎玄米粉調製工程では、ホール状の玄米を焙煎した後、粉砕機にて粉砕し、表色系でL値が95以下、a値が-1.0以上2.3以下である焙煎玄米粉を調製する。
【0046】
本実施形態の製造方法によれば、上記した膨化食品を簡易に効率良く製造することができる。
【実施例0047】
以下に、本実施形態の内容を、実施例等をもとに詳細に説明するが、これらの実施例等は詳細説明のための例に過ぎず、本実施形態の内容はこれら実施例等の内容に限定されるものではない。
【0048】
(製造例1:各種玄米粉の作製)
直火式焙煎機を用いて焙煎強度をそれぞれ変えて玄米を焙煎した後、粉砕し、A~Eの焙煎又は未焙煎玄米粉を作製した。分光色差計(SpectrophotometerSA4000、日本電色工業株式会社製)を用い、反射光測定の条件で測定した、A~Eの焙煎粉のL値及びa値は表1に示すとおりである。表1中、精米を行なったものは「+」で表し(「+」の数が多いほど、精白度が高い)、行わなかったものは「-」で表した。また、焙煎の強度は「+」の数で表し(「+」の数が多いほど、焙煎の強度が強い)、未焙煎のものは「-」で表した。
【0049】
【0050】
(実施例1)
表2に記載の原料をミキサーに加え軽く混合した後、生地水分量が17質量%になるように加水により調整してから、ミキサーで4分間混合した。次いで二軸エクストルーダーのバレルを130℃に加温し、エクストルーダー軸の回転数を600rpmで運転し、混合された原料を45kg/hでフィード供給しながら、常圧下へ暴露して膨化物を得た。得られた膨化物をオーブンにより210℃、30秒で乾燥処理を行い、水分含量を5質量%にした。
【0051】
膨化物の水分含量の測定は、以下のようにして行った。
膨化物を粉砕装置にて粉末化、あるいは膨化物をそのまま試料とした。試料のうちの5gに対し、赤外線水分計(株式会社ケツト)を用いて120℃15分の条件下で赤外線を照射し、その際の質量変化から水分値を算出した。
【0052】
(実施例2、比較例1~3)
原料を表2に記載の原料に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1~3の膨化物を製造した。
【0053】
【0054】
(実施例3~5)
実施例1において、オーブンによる乾燥処理の際の温度を調整することで、水分含量が異なる実施例3~5の膨化物を製造した。実施例3~5の膨化物の水分含量は、下記のとおりである。
実施例3 ・・・ 1.3質量%
実施例4 ・・・ 5.6質量%
実施例5 ・・・ 8.7質量%
【0055】
(実施例6~8、比較例4)
実施例1において、エクストルーダー内における生地水分量を17質量%としていた点を、下記の生地水分量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6~8、比較例4の膨化物を製造した。
実施例6 ・・・ 14質量%
実施例7 ・・・ 16質量%
実施例8 ・・・ 18質量%
比較例4 ・・・ 12質量%
【0056】
(官能検査)
実施例1~8、比較例1~4で製造した膨化物について、専門的な訓練を受けたパネル5名にて、「食感」、「口どけ」、「焙煎香」、「収斂味」、及び「苦味」の各強度を下記の評価基準で評価し、5段階の評点を付けた。評点結果の集計は、5名のスコアの算術平均値から算出し、少数点以下は四捨五入した。結果を表3~5に示す。
[食感]
5点 : サクサクとした食感が強く感じられる。
4点 : サクサクとした食感がやや感じられる。
3点 : サクサクとした食感は中庸であるが、許容内である。
2点 : ややサクサクしていない。
1点 : 全くサクサクとしていない。
[口どけ]
5点 : 非常に口どけがよい。
4点 : 口どけがややよい。
3点 : 口どけは許容内である。
2点 : 口どけがやや悪い。
1点 : 口どけが悪い。
[焙煎香]
5点 : 焙煎香が全く感じられない。
4点 : 焙煎香がやや感じられる。
3点 : 焙煎香がやや強いが、許容内である。
2点 : 焙煎香が強い。
1点 : 焙煎香が非常に強い
[収斂味]
5点 : 収斂味が全く感じられない。
4点 : 収斂味がほぼ感じられない。
3点 : 収斂味が感じられるが、許容内である。
2点 : 収斂味がやや強い。
1点 : 収斂味が強い。
[苦味]
5点 : 苦味が全く感じられない。
4点 : 苦味がほぼ感じられない。
3点 : 苦味が感じられるが、許容内である。
2点 : 苦味がやや強い。
1点 : 苦味が強い。
【0057】
【表3】
なお、比較例2の口どけの評価では、べたつきが口の中に残った。
【0058】
【0059】
【表5】
なお、比較例4の口どけの評価では、粉っぽく崩れ口内にはりついた。
【0060】
以上のように、本発明によれば、玄米を主原料とした膨化食品であって、かつ、苦みや収斂味が抑えられており、同時にサクサクとした食感で口どけ(溶解性)の良い食感であって、乳幼児が喫食するのに良好な風味を有する膨化食品が得られることが確認された。