(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111623
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】車両フロント構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20240809BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240809BHJP
G05G 1/32 20080401ALI20240809BHJP
B60R 21/09 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B62D25/08 B
G05G1/30 E
G05G1/32
B60R21/09
B62D25/08 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016238
(22)【出願日】2023-02-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【テーマコード(参考)】
3D203
3J070
【Fターム(参考)】
3D203AA13
3D203BB35
3D203CA23
3D203CA29
3D203CA38
3D203CB19
3D203DA11
3J070AA32
3J070BA41
3J070CB37
3J070DA01
3J070EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両の衝突時にクラッチマスタシリンダ11が運転者の下肢に干渉するのを防止し、安全性が向上した車両フロント構造を提供する。
【解決手段】車両フロント構造S100は、クラッチペダルに連結されるクラッチマスタシリンダ11と、固定部材20と、クラッチマスタシリンダよりも車両の前方側に設けられた突出部材30と、を備え、突出部材は、車両の衝突時に車両の前面が変形した場合に、クラッチマスタシリンダ側へと移動し、クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に直接的又は間接的に当接することでクラッチマスタシリンダを押し、クラッチマスタシリンダは、突出部材によって押されることで、固定部材によって固定されている箇所を中心として運転席側の端部が車両の幅方向に移動する向きに回動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席の前方に配置され、クラッチペダルに連結されるクラッチマスタシリンダと、
前記クラッチマスタシリンダの長手方向の中間部分に連結され、前記クラッチマスタシリンダを前記車両に固定する固定部材と、
前記クラッチマスタシリンダよりも前記車両の前方側に設けられた突出部材と、
を備え、
前記突出部材は、
前記車両の衝突時に前記車両の前面が変形した場合に、前記クラッチマスタシリンダ側へと移動し、前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に直接的又は間接的に当接することで前記クラッチマスタシリンダを押し、
前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されることで、前記固定部材によって固定されている箇所を中心として前記運転席側の端部が前記車両の幅方向に移動する向きに回動する、
車両フロント構造。
【請求項2】
前記突出部材は、
車両のフロントパネルの裏面に設けられている、
請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項3】
前記クラッチペダルは前記運転席から見てハンドルの左側に設けられており、
前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されたときに前記運転席側の端部が前記ハンドルの側に向かうように回動する、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。
【請求項4】
前記突出部材は、
前記クラッチマスタシリンダの中心軸上に位置しないように、前記中心軸から離れた位置に設けられている、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。
【請求項5】
前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に設けられ、前記車両の衝突時に前記突出部材が当接するクラッチブラケットをさらに備える、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フロント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の下肢とクラッチマスタシリンダとの干渉を防止する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の技術は、クラッチマスタシリンダの保護カバーの構造に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の衝突時、車両の全部が大きく変形するとクラッチマスタシリンダが運転者の下肢に干渉する可能性がある。クラッチマスタシリンダの保護カバーの構造により安全性を高めることは1つの解決手段であるが、車両の安全性を高める観点から従来の技術では改善の余地が残されている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両の衝突時にクラッチマスタシリンダが運転者の下肢に干渉するのを防止し、安全性が向上した車両フロント構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両フロント構造は、車両の運転席の前方に配置され、クラッチペダルに連結されるクラッチマスタシリンダと、前記クラッチマスタシリンダの長手方向の中間部分に連結され、前記クラッチマスタシリンダを前記車両に固定する固定部材と、前記クラッチマスタシリンダよりも前記車両の前方側に設けられた突出部材と、を備え、前記突出部材は、前記車両の衝突時に前記車両の前面が変形した場合に、前記クラッチマスタシリンダ側へと移動し、前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に直接的又は間接的に当接することで前記クラッチマスタシリンダを押し、前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されることで、前記固定部材によって固定されている箇所を中心として前記運転席側の端部が前記車両の幅方向に移動する向きに回動する。
【0007】
前記突出部材は、車両のフロントパネルの裏面に設けられていてもよい。
【0008】
前記クラッチペダルは前記運転席から見てハンドルの左側に設けられており、前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されたときに前記運転席側の端部が前記ハンドルの側に向かうように回動してもよい。
【0009】
前記突出部材は、前記クラッチマスタシリンダの中心軸上に位置しないように、前記中心軸から離れた位置に設けられていてもよい。
【0010】
本発明の車両フロント構造は、前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に設けられ、前記車両の衝突時に前記突出部材が当接するクラッチブラケットをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両の衝突時にクラッチマスタシリンダが運転者の下肢に干渉するのを防止し、安全性が向上した車両フロント構造を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一形態の車両フロント構造を示す図である。
【
図3】クラッチマスタシリンダユニット及びその周辺構造の拡大図である。
【
図4】車両の衝突時に車両の前面が変形した場合の突出部材及びクラッチマスタシリンダユニットの動きを示す図である。
【
図5】突出部材の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一形態の車両フロント構造を示す図である。
図1は、キャブを上面側から見た模式図である。
図2は、キャブの鉛直方向の断面図である。以下では、トラックである車両を例として説明する。
【0014】
車両フロント構造S100は、主として、クラッチマスタシリンダユニット10と、固定部材20と、突出部材30とを備えている。車両フロント構造S100は、車両のキャブに設けられている。この車両フロント構造S100の特徴の1つは、車両が衝突した際に、クラッチマスタシリンダユニット10が運転者の下肢に干渉しないように、クラッチマスタシリンダユニット10が回動して下肢から遠ざかるように構成されている点である。
【0015】
車両フロント構造S100が設けられる車両の構成自体は従来公知のものである。車両のキャブには、座席41及びハンドル48が設けられ、車両の前面側にフロントパネル45及びダッシュパネル46が設けられている。
図1において、座席41は運転席であり、領域Sは、運転者の左足の位置に対応する領域である。
【0016】
クラッチマスタシリンダユニット10は、
図2に示すようにクラッチペダル43に連結されている。クラッチマスタシリンダユニット10は、
図1に示すように、座席41の前方に配置されている。具体的には、クラッチマスタシリンダユニット10は、領域Sの前方に位置している。車両においては、通常、クラッチペダル43は座席41から見てハンドル48の左側に設けられている。したがって、クラッチマスタシリンダユニット10もハンドル48の左側に位置している。
【0017】
図3は、クラッチマスタシリンダユニット10及びその周辺構造の拡大図である。本実施形態では、クラッチマスタシリンダユニット10は、クラッチマスタシリンダ11と、クラッチペダルブラケット15と、クラッチブラケット18と、を有している。クラッチマスタシリンダ11自体は、従来公知の構成であってもよい。
【0018】
クラッチマスタシリンダ11は、クラッチマスタシリンダ本体13と、可動部材12とを有する。可動部材12は、細長い棒状の部材であり、クラッチマスタシリンダ本体13に押し込まれるとともに、クラッチマスタシリンダ本体13から引き出されるように移動可能に設けられている。可動部材12の先端側は、
図2に示すように、クラッチペダル43の一部に連結される。
【0019】
クラッチマスタシリンダ11は、
図3に示すように、その中心軸CLが車両の前後方向に延在するように配置されている。
【0020】
図3におけるフロントパネル45は、車両の前面に設けられたパネルである。フロントパネル45は、全体として略板状に形成された部材である。フロントパネル45は、例えばキャブの前面側に配置された所定の機器などを覆う。フロントパネル45は、必要に応じて作業者が取り外すことができるように構成されている。
【0021】
ダッシュパネル46は、フロントパネル45とクラッチマスタシリンダユニット10との間に配置されたパネルである。ダッシュパネル46は、後述するように、車両の衝突時に変形可能な部材である。ダッシュパネル46は、例えば金属製の板状部材である。
【0022】
カバーパネル47は、クラッチマスタシリンダユニット10及びその周辺構造を覆う部材である。カバーパネル47は一例として樹脂製である。
【0023】
クラッチペダルブラケット15は、クラッチマスタシリンダユニット10の前方側に連結されている。クラッチペダルブラケット15は、一例として金属製の十分な剛性を有する部材である。
【0024】
クラッチブラケット18は、クラッチペダルブラケット15の側面に設けられている。クラッチブラケット18は、クラッチペダルブラケット15と同様、一例として金属製の十分な剛性を有する部材である。クラッチブラケット18が設けられていることで突出部材30からの力が加わる位置が中心軸CLから遠くなり、これにより、効率的にクラッチマスタシリンダユニット10を回動させることが可能となる。詳細については後述する。
【0025】
固定部材20は、クラッチマスタシリンダユニット10を車両のキャブに固定する部材である。固定部材20は、クラッチマスタシリンダユニット10を固定できるものであればどのような形状及び構造であってもよい。本実施形態では、一例として、固定部材20はクラッチマスタシリンダユニット10の長手方向の中間部分に連結され、クラッチマスタシリンダユニット10を固定している。なお、
図3では、固定部材20は、クラッチペダルブラケット15を介してクラッチマスタシリンダ11を支持しているが、固定部材20は直接クラッチマスタシリンダ11を支持していてもよい。
【0026】
後述するように、クラッチマスタシリンダユニット10は、車両の衝突時、車両の前面が変形した場合に固定部材20によって固定されている箇所を中心として回動する。このような回動によりクラッチマスタシリンダユニット10の座席41側の端部(
図1及び
図3の下方の端部)が運転者の下肢から遠ざかる。
【0027】
上記のような回動を可能にするため、固定部材20は、クラッチマスタシリンダユニット10の前端又は後端の部分ではなく、クラッチマスタシリンダユニット10の中間部分に連結されている。なお、「中間部分」は、必ずしもクラッチマスタシリンダユニット10の長さ方向の中央である必要はなく、前端部と後端部との間の領域であればよい。
【0028】
(突出部材30)
突出部材30は、
図3に示すように、クラッチマスタシリンダユニット10よりも前方側に設けられている。突出部材30は、例えば、フロントパネル45の裏面に設けられている。突出部材30は、この例では、傾斜面31を有している。突出部材30は、クラッチマスタシリンダユニット10側に突出した先端部32がクラッチブラケット18に対向するような位置に配置されている。
【0029】
突出部材30は、
図3に示すように、クラッチマスタシリンダユニット10の中心軸CL上に位置しないように、中心軸CLから離れた位置に設けられている。つまり、突出部材30は、中心軸CL状に位置しないように設けられている。なお、突出部材30の具体的な構成例は他の図面を参照して後述する。
【0030】
突出部材30は、車両の衝突時に押しつぶされて変形しない程度の十分な剛性を有する。突出部材30は、例えば、板材に曲げ加工が施された板金部材であってもよいし、金属の無垢材であってもよい。突出部材30は、フロントパネル45に対してネジ等の固定具により固定されてもよいし、溶接等により固定されてもよい。
【0031】
(衝突時の動作)
図4は、車両の衝突時に車両の前面が変形した場合の突出部材30及びクラッチマスタシリンダユニット10の動きを示す図である。車両の衝突時、車両の前面に矢印Aの向きの力が加わることにより、車両の前面であるフロントパネル45が変形する。
【0032】
これにより、フロントパネル45に固定されている突出部材30がクラッチマスタシリンダユニット10側へと移動し、ダッシュパネル46に押し当たる。そして、ダッシュパネル46のうち、突出部材30が押し当たった部分の周辺部がクラッチマスタシリンダユニット10側に突出するように変形する。
【0033】
このようにして、突出部材30が、ダッシュパネル46を介して間接的にクラッチマスタシリンダユニット10のクラッチブラケット18に当接する。突出部材30がクラッチマスタシリンダユニット10の中心軸CLから離れた位置に当接することにより、クラッチマスタシリンダユニット10は、固定部材20によって固定されている箇所を中心として、矢印Bに示す向きに回動する。
【0034】
具体的には、クラッチマスタシリンダユニット10は、
図4の下方側である座席41(
図1参照)側の端部が座席41の幅方向(具体的には、ハンドル48側)に移動する向きに回動する。
【0035】
(効果)
本実施形態の車両フロント構造S100によれば、上述したように衝突時にクラッチマスタシリンダユニット10が車両の幅方向に移動する向きに回動する。すなわち、この車両フロント構造S100は、クラッチマスタシリンダユニット10が運転者の下肢に向かって車両の前後方向に真っ直ぐ移動する構成ではなく、運転者のクラッチペダルを踏む側の下肢から遠ざかるようにクラッチマスタシリンダユニット10が回動する。よって、クラッチマスタシリンダユニット10が運転者の下肢に干渉するのを防止することができる。
【0036】
本実施形態の構成では、フロントパネル45の裏面に突出部材30が設けられている。突出部材30がキャブの内部のアクセスしにくい箇所に設けられている場合、既存の車両に事後的に突出部材30を取り付けたり、突出部材30を交換したりする作業等の手間がかかる。一方、本実施形態の構成によれば、突出部材30の取付けや交換が容易である。
【0037】
本実施形態の構成では、また、クラッチマスタシリンダユニット10は車両の衝突時にハンドル48側に向かって回動する。車両の衝突時、運転者の下肢は外側に向かって移動することが多いと想定されるため、このようにクラッチマスタシリンダユニット10が内側に向かって回動する構成によれば、安全性をより向上させることができる。
【0038】
本実施形態では、また、車両フロント構造S100は、クラッチブラケット18に突出部材30が当接するように構成されている。クラッチブラケット18は、中心軸CLから離れた位置に設けられているので、このような構成によれば、車両の衝突時にクラッチマスタシリンダユニット10を良好に回動させて、クラッチマスタシリンダユニット10の端部を運転者の下肢から遠ざけけることができる。
【0039】
<変形例>
図5は、突出部材の具体的な構成の一例を示す斜視図である。突出部材130は、フロントパネル45の裏面に設けられている。
【0040】
この突出部材130は、一例として、板金部材に折り曲げ加工を施し形成されたブラケットである。突出部材130は、傾斜面131と、複数の脚部133とを有している。傾斜面131は、上述した実施形態の傾斜面31に対応する。傾斜面131が形成されていることにより、突出部材130は、図中左側の部分が車両の後方側に向かって突出している。
【0041】
複数の脚部133としては、傾斜面131の上縁部からフロントパネル45側に向かって突出する脚部133と、傾斜面131の左縁部からフロントパネル45側に向かって突出する他の脚部133と、傾斜面131の下縁部からフロントパネル45側に向かって突出する更に他の脚部133とが設けられている。各脚部133は、例えば、フロントパネル45に対して垂直に延在している。各脚部133の先端側には座面が設けられ、この座面は、フロントパネル45の裏面と平行になるように延在している。
【0042】
これらの脚部133は、ネジ止め、溶接又はこれらの組合せによりフロントパネル45に取り付けられている。突出部材130は、フロントパネル45に対して取外し不可の状態で固定されていてもよいし、取外し可能の状態で固定されていてもよい。
【0043】
突出部材130は、フロントパネル45に形成されたリブ45aの部分に取り付けられている。具体的には、突出部材130は、リブ45aの上方及び下方のそれぞれの脚部133がリブ45aが形成されていない平坦部45bに固定されるとともに、残りの脚部133がリブ45aの上面に固定されるような態様で、フロントパネル45に固定されている。
【0044】
このような構成によれば、例えば既存のフロントパネル45に対して、フロントパネル45の形状を変形したり、複雑な形状の突出部材を作製したりすることなく、突出部材130をフロントパネル45に取り付けることができる。
【0045】
以上、本発明の例について図面を参照して説明したが、本発明の車両フロント構造では、突出部材30又はダッシュパネル46が、クラッチペダルブラケット15に当接してもよい。また、クラッチペダルブラケット15を介してクラッチマスタシリンダ11が押されるのではなく、他の任意の部材を介してクラッチマスタシリンダ11が押されるように構成されていてもよい。更には、他の部材も介さず、クラッチマスタシリンダ11が直接的に押されて回動するように構成されていてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、クラッチマスタシリンダユニット10が水平方向のみに回動することを前提とした。しかしながら、クラッチマスタシリンダ11は、突出部材30によって押されることで、固定部材22によって固定されている箇所を中心として車両の上方向又は下方向に回動するように設けられていてもよい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0048】
10 クラッチマスタシリンダユニット
11 クラッチマスタシリンダ
12 可動部材
13 クラッチマスタシリンダ本体
15 クラッチペダルブラケット
18 クラッチブラケット
20 固定部材
30 突出部材
31 傾斜面
32 先端部
41 座席
43 クラッチペダル
45 フロントパネル
45a リブ
45b 平坦部
46 ダッシュパネル
47 カバーパネル
48 ハンドル
130 突出部材
131 傾斜面
133 脚部
CL 中心軸
S 領域
S100 車両フロント構造
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席の前方に配置され、クラッチペダルに連結されるクラッチマスタシリンダと、
前記クラッチマスタシリンダの長手方向の中間部分に連結され、前記クラッチマスタシリンダを前記車両に固定する固定部材と、
前記車両のフロントパネルの裏面に設けられた突出部材と、
を備え、
前記突出部材は、
前記車両の衝突時に前記車両の前面が変形した場合に、前記クラッチマスタシリンダ側へと移動し、前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に直接的又は間接的に当接することで前記クラッチマスタシリンダを押し、
前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されることで、前記固定部材によって固定されている箇所を中心として前記運転席側の端部が前記車両の幅方向に移動する向きに回動する、
車両フロント構造。
【請求項2】
前記突出部材は、前記中心軸に対して傾いた方向に延在する傾斜面を有する、
請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項3】
前記クラッチペダルは前記運転席から見てハンドルの左側に設けられており、
前記クラッチマスタシリンダは、前記突出部材によって押されたときに前記運転席側の端部が前記ハンドルの側に向かうように回動する、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。
【請求項4】
前記突出部材は、
前記クラッチマスタシリンダの中心軸上に位置しないように、前記中心軸から離れた位置に設けられている、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。
【請求項5】
前記クラッチマスタシリンダの中心軸から離れた位置に設けられ、前記車両の衝突時に前記突出部材が当接するクラッチブラケットをさらに備える、
請求項1又は2に記載の車両フロント構造。