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特開2024-111641アンモニアを燃料として使用する燃焼システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111641
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】アンモニアを燃料として使用する燃焼システム
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/22 20060101AFI20240809BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240809BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20240809BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20240809BHJP
   F23L 7/00 20060101ALI20240809BHJP
   F23J 7/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F02C7/22 B
F02C6/18 A
F02C7/08 B
F02G5/02 A
F23L7/00
F23C99/00 317
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016262
(22)【出願日】2023-02-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築/アンモニアの発電利用における高混焼化・専焼化/ガスタービンにおけるアンモニア専焼技術の開発・実証/アンモニア専焼ガスタービンの研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎太朗
【テーマコード(参考)】
3K023
3K065
【Fターム(参考)】
3K023JD06
3K065TC08
3K065TD05
3K065TF09
3K065TL02
3K065TM03
(57)【要約】
【課題】アンモニアを燃料として使用する燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させること。
【解決手段】燃焼システム100は、燃焼器32と、燃焼器32と流体連通し、燃焼器32からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナ41と、追い焚きバーナ41と流体連通し、排気ガスの熱を利用する熱利用機器4と、熱利用機器4で利用された排気ガスの一部を燃焼器32に供給する再循環流路P6と、再循環流路P6に配置される第1熱交換器6であって、排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを追い焚きバーナ41に供給すると共に、冷却された排気ガスを燃焼器32に供給する、第1熱交換器6と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通し、前記燃焼器からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナと、
前記追い焚きバーナと流体連通し、前記排気ガスの熱を利用する熱利用機器と、
前記熱利用機器で利用された前記排気ガスの一部を前記燃焼器に供給する再循環流路と、
前記再循環流路に配置される第1熱交換器であって、前記排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを前記追い焚きバーナに供給すると共に、冷却された排気ガスを前記燃焼器に供給する、第1熱交換器と、
を備える、アンモニアを燃料として使用する燃焼システム。
【請求項2】
前記再循環流路に配置される第2熱交換器であって、前記排気ガスと液体アンモニアとの間で熱交換し、加熱されたアンモニアの一部を前記燃焼器に供給すると共に、前記加熱されたアンモニアの残りを前記第1熱交換器に供給する、第2熱交換器、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記排気ガスと前記第2熱交換器から供給される前記加熱されたアンモニアとの間で熱交換する、
請求項1に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記第2熱交換器は、前記加熱されたアンモニアの一部を液体状態で前記燃焼器に供給する、
請求項2に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記第2熱交換器は、前記加熱されたアンモニアの一部を気体状態で前記燃焼器に供給する、
請求項2に記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記再循環流路を流れる前記排気ガスに液体アンモニアを直接的に噴射するインジェクタを備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼システム。
【請求項6】
前記排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記気化したアンモニアの一部を前記脱硝装置に供給する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼システム。
【請求項7】
前記排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記気化したアンモニアの一部を前記脱硝装置に供給する、
請求項5に記載の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニアを燃料として使用する燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンまたは蒸気タービン等を含む燃焼システムは、追い焚きバーナを備える場合がある(例えば、特許文献1,2を参照)。追い焚きバーナは、燃焼器からの排気ガスを加熱する。加熱された排気ガスは、例えば廃熱回収ボイラ等の熱利用機器で使用される。このような構成によれば、燃焼器からの排気ガスの温度が熱利用機器での使用に対して十分高く無い場合に、排気ガスを十分な温度まで加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-70581号公報
【特許文献2】特開2004-225966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニアは、COを放出しない燃料として知られている。したがって、上記のような追い焚きバーナを備える燃焼システムにおいても、アンモニアを燃料として使用することが想定される。また、アンモニアは難燃性を有することが知られている。したがって、アンモニアを燃料として使用する場合には、アンモニアの燃焼性を向上させ、燃焼効率を向上させることが望ましい。
【0005】
本開示は、燃焼効率を向上させることができる、アンモニアを燃料として使用する燃焼システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るアンモニアを燃料として使用する燃焼システムは、燃焼器と、燃焼器と流体連通し、燃焼器からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナと、追い焚きバーナと流体連通し、排気ガスの熱を利用する熱利用機器と、熱利用機器で利用された排気ガスの一部を燃焼器に供給する再循環流路と、再循環流路に配置される第1熱交換器であって、排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを追い焚きバーナに供給すると共に、冷却された排気ガスを燃焼器に供給する、第1熱交換器と、を備える。
【0007】
燃焼システムは、再循環流路に配置される第2熱交換器であって、排気ガスと液体アンモニアとの間で熱交換し、加熱されたアンモニアの一部を燃焼器に供給すると共に、加熱されたアンモニアの残りを第1熱交換器に供給する、第2熱交換器を備えてもよく、第1熱交換器は、排気ガスと第2熱交換器から供給される加熱されたアンモニアとの間で熱交換してもよい。
【0008】
第2熱交換器は、加熱されたアンモニアの一部を液体状態で燃焼器に供給してもよい。
【0009】
第2熱交換器は、加熱されたアンモニアの一部を気体状態で燃焼器に供給してもよい。
【0010】
燃焼システムは、再循環流路を流れる排気ガスに液体アンモニアを直接的に噴射するインジェクタを備えてもよい。
【0011】
燃焼システムは、排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置を備えてもよく、第1熱交換器は、気化したアンモニアの一部を脱硝装置に供給してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、アンモニアを燃料として使用する燃焼システムにおいて、燃焼効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係る燃焼システムを示す概略図である。
図2図2は、第2実施形態に係る燃焼システムを示す概略図である。
図3図3は、第3実施形態に係る燃焼システムを示す概略図である。
図4図4は、第4実施形態に係る燃焼システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る燃焼システム100を示す概略図である。本実施形態では、燃焼システム100は、ガスタービン3を含むシステムに適用される。燃焼システム100はこれに限定されず、燃料の少なくとも一部としてアンモニアを使用可能な燃焼器を含む、他のシステムに適用されてもよい。例えば、他の実施形態では、燃焼システム100は、アンモニアを燃焼させるボイラと、ボイラで発生した蒸気によって運転される蒸気タービンと、を含むシステムに適用されてもよい。
【0016】
例えば、本実施形態では、燃焼システム100は、タンク(アンモニア供給源)1と、加圧器2と、ガスタービン3と、HRSG(廃熱回収ボイラ)(熱利用機器)4と、排気塔5と、第1熱交換器6と、制御装置90と、を備える。燃焼システム100は、他の構成要素をさらに備えてもよい。また、燃焼システム100は、上記の構成要素のうちの1つまたは複数を備えてなくてもよい。
【0017】
タンク1は、アンモニアを貯蔵する。具体的には、タンク1は、液体のアンモニアを貯蔵する。タンク1は、配管P1によって加圧器2に接続される。タンク1に貯蔵される液体アンモニアは、配管P1を介して加圧器2に供給される。なお、アンモニア供給源はタンク1に限定されず、例えばアンモニア製造装置等の他の構成要素であってもよい。
【0018】
加圧器2は、タンク1からの液体アンモニアを加圧する。例えば、加圧器2は、ポンプであってもよい。加圧器2は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。例えば、制御装置90は、加圧器2の出力を制御することによって、タンク1から供給されるアンモニアの流量を調整する。加圧器2は、配管P2に接続される。配管P2は、配管P21と、配管P22と、に分岐する。
【0019】
配管P21は、ガスタービン3に接続される。例えば、加圧器2は、液体アンモニアを、配管21を介してガスタービン3に供給する。他の実施形態では、燃焼システム100は、配管21に不図示の気化器を備えてもよく、気化されたアンモニアがガスタービン3に供給されてもよい。
【0020】
配管P22は、後述する追い焚きバーナ41に接続される。例えば、配管P22には、バルブV1が設けられてもよい。バルブV1は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。例えば、制御装置90は、加圧器2の出力およびバルブV1の開度を制御することによって、ガスタービン3に供給されるアンモニアの流量、および、追い焚きバーナ41に供給されるアンモニアの流量を調整する。
【0021】
ガスタービン3は、コンプレッサ31と、燃焼器32と、タービン33と、を含む。
【0022】
コンプレッサ31は、空気を圧縮し、圧縮された空気を燃焼器32に供給する。圧縮された空気は、燃焼器32における燃焼に使用される。
【0023】
燃焼器32は、タンク1からのアンモニアを燃焼する。また、燃焼器32は、状況に応じて、アンモニアと、例えば天然ガス等の他の燃料と、の混合燃料を燃焼してもよく、または、他の燃料のみを燃焼してもよい。燃焼器32で発生した排気ガスはタービン33に供給され、発電等の運転に使用される。
【0024】
タービン33は、配管P3に接続される。配管P3は、HRSG4に接続される。タービン33で使用された排気ガスは、配管P3を介してHRSG4に供給される。
【0025】
本実施形態では、排気ガスの熱を利用する熱利用機器として、HRSG4が設けられる。熱利用機器はこれに限定されず、例えば、加熱炉等の他の機器が、熱利用機器として使用されてもよい。HRSG4は、水が通る1つまたは複数の配管P4を含む。HRSG4は、排気ガスの熱によって水を蒸気へと加熱する。例えば、蒸気は、不図示の蒸気タービンの運転に使用されてもよい。
【0026】
HRSG4の内部において配管P4の上流、または、HRSG4の上流には、追い焚きバーナ41が設けられる。追い焚きバーナ41は、後述するように、タンク1からのアンモニアを燃焼する。また、追い焚きバーナ41は、状況に応じて、アンモニアと、例えば天然ガス等の他の燃料と、の混合燃料を燃焼してもよく、または、他の燃料のみを燃焼してもよい。例えば、追い焚きバーナ41は、HRSG4において水を蒸気へと加熱するのに排気ガスの温度が十分高くない場合に、排気ガスを加熱する。例えば、追い焚きバーナ41は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。例えば、制御装置90は、追い焚きバーナ41の火力を制御することによって、排気ガスの温度を調整する。
【0027】
HRSG4は、配管P5によって排気塔5に接続される。HRSG4で使用された排気ガスは、配管P5を介して排気塔5に送られ、排気塔5から放出される。
【0028】
配管P5からは、配管(再循環流路)P6が分岐する。配管P6は、コンプレッサ31の吸気流路に接続される。したがって、配管P6は、HRSG4で利用された排気ガスの一部を、コンプレッサ31を介して燃焼器32に供給する。コンプレッサ31は、空気および排気ガスの混合気を圧縮し、圧縮された混合気を燃焼器32に供給する。
【0029】
例えば、配管P6には、バルブV2が設けられてもよい。バルブV2は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。例えば、制御装置90は、バルブV2の開度を制御することによって、配管P6を介してコンプレッサ31に供給される排気ガスの流量を調整する。
【0030】
第1熱交換器6は、配管P22および配管P6上に配置される。第1熱交換器6は、配管P6を流れる排気ガスと、配管P22を流れるアンモニアと、の間で熱交換する。本実施形態では、第1熱交換器6は、排気ガスとアンモニアとが互いに反対方向に流れる向流形である。他の実施形態では、第1熱交換器6は、排気ガスとアンモニアとが同一方向に流れる並流形であってもよい。
【0031】
第1熱交換器6において、配管P22を流れる液体アンモニアは、配管P6を流れる排気ガスによって加熱され、気化される。したがって、第1熱交換器6は、配管P22を介して、気体アンモニアを追い焚きバーナ41に供給する。追い焚きバーナ41は、供給された気体アンモニアを燃焼する。気体アンモニアは、液体アンモニアに比して、優れた燃焼性を有する。したがって、このような構成によれば、追い焚きバーナ41における燃焼効率を向上することができる。
【0032】
対照的に、第1熱交換器6において、配管P6を流れる排気ガスは、配管P22を流れる液体アンモニアによって冷却される。したがって、第1熱交換器6は、配管P6を介して、冷却された排気ガスをコンプレッサ31に供給する。コンプレッサ31では、圧縮される流体の温度が低下すると、必要とされる動力が低下する。したがって、このような構成によれば、機関効率を向上することができる。
【0033】
また、規制に使用される換算NOx値は、以下の式(1)によって表される。

換算NOx値=NOx濃度測定値×(大気中酸素濃度-換算基準酸素濃度)/(大気中酸素濃度-酸素濃度測定値)・・・(1)

燃焼器32で燃焼に使用される混合気は、配管P6によって供給される排気ガスを含む。排気ガス中の酸素濃度は、大気中の酸素濃度に比して低い。したがって、この場合、上記の式(1)において「酸素濃度測定値」が低下するため、「NOx濃度測定値」が変わらなかったとしても、換算NOx値を低減することができる。
【0034】
特に、本実施形態では、燃焼器32からの排気ガスは、追い焚きバーナ41によってさらに燃焼される。したがって、配管P6を介して燃焼器32に供給される排気ガス中の酸素濃度は、追い焚きバーナ41によってさらに低減される。よって、換算NOx値をさらに低減することができる。
【0035】
制御装置90は、燃焼システム100の全体または一部を制御する。制御装置90は、例えば、プロセッサ90a、記憶装置90bおよびコネクタ90c等の構成要素を含み、これらの構成要素はバスを介して互いに接続される。例えば、プロセッサ90aは、CPU(Central Processing Unit)等を含む。例えば、記憶装置90bは、ハードディスク、プログラム等が格納されるROM、および、ワークエリアとしてのRAM等を含む。制御装置90は、コネクタ90cを介して燃焼システム100の各構成要素と有線でまたは無線で通信可能に接続される。例えば、制御装置90は、液晶ディスプレイまたはタッチパネル等の表示装置、および、キーボード、ボタンまたはタッチパネル等の入力装置等、他の構成要素を更に含んでもよい。例えば、上記の制御装置90の動作は、記憶装置90bに記憶されるプログラムをプロセッサ90aに実行することによって、実現されてもよい。
【0036】
以上のような燃焼システム100は、燃焼器32と、燃焼器32と流体連通し、燃焼器32からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナ41と、追い焚きバーナ41と流体連通し、排気ガスの熱を利用するHRSG4と、HRSG4で利用された排気ガスの一部を燃焼器32に供給する配管P6と、配管P6に配置される第1熱交換器6と、を備える。第1熱交換器6は、排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを追い焚きバーナ41に供給すると共に、冷却された排気ガスを燃焼器32に供給する。このような構成によれば、気体アンモニアが、追い焚きバーナ41に供給される。上記のように、気体アンモニアは、液体アンモニアに比して、優れた燃焼性を有する。したがって、追い焚きバーナ41がアンモニアを燃料として使用する場合に、追い焚きバーナ41における燃焼効率を向上することができる。また、このような構成によれば、冷却された排気ガスが、コンプレッサ31に供給される。上記のように、コンプレッサ31では、圧縮される流体の温度が低下すると、必要とされる動力が低下する。したがって、機関効率を向上することができる。さらに、上記の構成によれば、燃焼器32で燃焼に使用されるガスは、配管P6によって供給される排気ガスを含む。排気ガス中の酸素濃度は、大気中の酸素濃度に比して低い。したがって、この場合、上記のように、換算NOx値を低減することができる。特に、燃焼システム100では、燃焼器32からの排気ガスは、追い焚きバーナ41によってさらに燃焼される。したがって、燃焼器32に供給される排気ガス中の酸素濃度は、追い焚きバーナ41によってさらに低減される。したがって、換算NOx値をさらに低減することができる。
【0037】
続いて、他の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0038】
図2は、第2実施形態に係る燃焼システム200を示す概略図である。燃焼システム200は、第2熱交換器7を備える点で、上記の第1実施形態に係る燃焼システム100と異なる。燃焼システム200は、その他の点については、第1実施形態に係る燃焼システム100と同じであってもよい。
【0039】
第2熱交換器7は、配管P2および配管P6上に配置される。本実施形態では、配管P2は、第2熱交換器7の下流の位置において、上記の配管P21および配管P22に分岐する。
【0040】
本実施形態では、第2熱交換器7は、配管P2のアンモニアの流れにおいて、第1熱交換器6の上流に配置される。別の観点では、本実施形態では、第2熱交換器7は、配管P6の排気ガスの流れにおいて、第1熱交換器6の下流に配置される。第2熱交換器7は、配管P6を流れる排気ガスと、配管P2を流れる液体アンモニアと、の間で熱交換する。本実施形態では、第2熱交換器7は、排気ガスと液体アンモニアとが互いに反対方向に流れる向流形である。他の実施形態では、第2熱交換器7は、排気ガスと液体アンモニアとが同一方向に流れる並流形であってもよい。
【0041】
第2熱交換器7において、配管P2を流れる液体アンモニアは、配管P6を流れる排気ガスによって加熱される。第2熱交換器7では、加熱された液体アンモニアは、液体状態のままであってもよいし、または、気化されてもよい。
【0042】
第2熱交換器7は、配管P22を介して、加熱された液体アンモニアまたは気化されたアンモニアを第1熱交換器6に供給する。第1熱交換器6は、第2熱交換器7からのアンモニアをさらに加熱する。上記のように、第1熱交換器6は、配管P22を介して、気化したアンモニアを追い焚きバーナ41に供給する。このような構成によれば、追い焚きバーナ41における燃焼効率をさらに向上することができる。
【0043】
また、第2熱交換器7は、配管P21を介して、加熱された液体アンモニアまたは気化されたアンモニアを燃焼器32に供給する。このような構成によれば、燃焼器32における燃焼効率を向上することができる。
【0044】
対照的に、配管P6を流れる排気ガスは、上記のように、第1熱交換器6において、配管P22を流れるアンモニアによって冷却され、また、第2熱交換器7において、配管P2を流れるアンモニアによってさらに冷却される。第2熱交換器7は、配管P6を介して、冷却された排気ガスをコンプレッサ31に供給する。このような構成によれば、機関効率をさらに向上することができる。
【0045】
以上のような燃焼システム200は、第1実施形態に係る燃焼システム100と同様な効果を奏する。また、燃焼システム200は、配管P6に配置される第2熱交換器7であって、排気ガスと液体アンモニアとの間で熱交換し、加熱されたアンモニアの一部を燃焼器32に供給すると共に、加熱されたアンモニアの残りを第1熱交換器6に供給する、第2熱交換器7をさらに備え、第1熱交換器6は、排気ガスと、第2熱交換器7から供給される加熱されたアンモニアと、の間で熱交換する。このような構成によれば、第2熱交換器7は、加熱された液体アンモニアまたは気化されたアンモニアを燃焼器32に供給する。したがって、燃焼器32がアンモニアを燃料として使用する場合に、燃焼器32における燃焼効率を向上することができる。
【0046】
また、燃焼システム200では、第2熱交換器7は、加熱されたアンモニアの一部を液体状態で燃焼器32に供給してもよい。このような構成によれば、タンク1から燃焼器32に至るまで、アンモニアは液体状態のままである。したがって、タンク1から燃焼器32へのアンモニアの供給システムを簡素化することができる。特に、燃焼器32で使用するアンモニアの量は、追い焚きバーナ41で使用するアンモニアの量よりも多い。したがって、アンモニアの供給システムをより大きく簡素化することができる。
【0047】
また、燃焼システム200では、第2熱交換器7は、加熱されたアンモニアの一部を気体状態で燃焼器32に供給してもよい。上記のように、気体アンモニアは、液体アンモニアに比して、優れた燃焼性を有する。したがって、このような構成によれば、燃焼器32における燃焼効率をより向上することができる。
【0048】
続いて、さらに他の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0049】
図3は、第3実施形態に係る燃焼システム300を示す概略図である。燃焼システム300は、第1熱交換器6が脱硝装置8にもアンモニアを供給する点で、上記の第2実施形態に係る燃焼システム200と異なる。燃焼システム300は、その他の点については、第2実施形態に係る燃焼システム200と同じであってもよい。
【0050】
本実施形態では、脱硝装置8は、HRSG4に設けられる。例えば、脱硝装置8は、HRSG4を流れる排気ガスにアンモニアを噴射するインジェクタを含む。例えば、脱硝装置8は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。配管P22は、アンモニアの流れにおいて、第1熱交換器6の下流の位置で、配管P23と、配管P24と、に分岐する。配管P23は、追い焚きバーナ41に接続される。配管P24は、脱硝装置8に接続される。
【0051】
例えば、配管P23には、バルブV3が設けられてもよい。バルブV3は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。例えば、制御装置90は、バルブV1およびバルブV3の開度を制御することによって、追い焚きバーナ41に供給されるアンモニアの流量、および、脱硝装置8に供給されるアンモニアの流量を調整する。
【0052】
以上のような燃焼システム300は、第2実施形態に係る燃焼システム200と同様な効果を奏する。また、燃焼システム300は、排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置8を備え、第1熱交換器6は、気化したアンモニアの一部を脱硝装置8に供給する。このような構成によれば、脱硝装置8に供給されるアンモニアを、排気ガスの熱によって気化させることができる。したがって、燃焼システム300のエネルギ効率を向上することができる。
【0053】
続いて、さらに他の実施形態に係るシステムについて説明する。
【0054】
図4は、第4実施形態に係る燃焼システム400を示す概略図である。燃焼システム400は、燃焼システム400が、配管P6を流れる排気ガスにアンモニアを直接的に噴射するインジェクタ9を備える点で、上記の第1実施形態に係る燃焼システム100と異なる。燃焼システム400は、その他の点については、第1実施形態に係る燃焼システム100と同じであってもよい。
【0055】
例えば、インジェクタ9は、配管P6の排気ガスの流れにおいて、第1熱交換器6の下流に設けられる。本実施形態では、配管P2は、上記の配管P21および配管P22と、配管P25と、に分岐する。配管P25は、インジェクタ9に接続される。例えば、インジェクタ9は、制御装置90と有線または無線で通信可能に接続されてもよく、制御装置90によって制御されてもよい。排気ガスに直接的に噴射されたアンモニアは、燃焼器32において燃焼される。
【0056】
以上のような燃焼システム400は、第1実施形態に係る燃焼システム100と同様な効果を奏する。また、燃焼システム400は、配管P6を流れる排気ガスに液体アンモニアを直接的に噴射するインジェクタ9を備える。このような構成によれば、コンプレッサ31に供給される排気ガスを、排気ガスに直接的に噴射される液体アンモニアによってさらに冷却することができる。したがって、機関効率をさらに向上することができる。また、噴射されたアンモニアはガスタービン3に供給されるので無駄にならない。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
例えば、第4実施形態に係るインジェクタ9は、第2実施形態および第3実施形態に係る燃焼システム200,300に設けられてもよい。この場合、例えば、配管P25は、配管P2のアンモニアの流れにおいて、第2熱交換器7の上流の位置において、配管P2から分岐してもよい。
【0059】
本開示は、CO放出の削減につながるアンモニアの使用を促進することができるので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギへのアクセスを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0060】
4 HRSG(熱利用機器)
6 第1熱交換器
7 第2熱交換器
8 脱硝装置
9 インジェクタ
32 燃焼器
41 追い焚きバーナ
100 燃焼システム
200 燃焼システム
300 燃焼システム
400 燃焼システム
P6 配管(再循環流路)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通し、前記燃焼器からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナと、
前記追い焚きバーナと流体連通し、前記排気ガスの熱を利用する熱利用機器と、
前記熱利用機器で利用された前記排気ガスの一部を前記燃焼器に供給する再循環流路と、
前記再循環流路に配置される第1熱交換器であって、前記排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを前記追い焚きバーナに供給すると共に、冷却された排気ガスを前記燃焼器に供給する、第1熱交換器と、
前記再循環流路に配置される第2熱交換器であって、前記排気ガスと液体アンモニアとの間で熱交換し、加熱されたアンモニアの一部を前記燃焼器に供給すると共に、前記加熱されたアンモニアの残りを前記第1熱交換器に供給する、第2熱交換器と、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記排気ガスと前記第2熱交換器から供給される前記加熱されたアンモニアとの間で熱交換する、
アンモニアを燃料として使用する燃焼システム。
【請求項2】
前記第2熱交換器は、前記加熱されたアンモニアの一部を液体状態で前記燃焼器に供給する、
請求項に記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記第2熱交換器は、前記加熱されたアンモニアの一部を気体状態で前記燃焼器に供給する、
請求項に記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記再循環流路を流れる前記排気ガスに液体アンモニアを直接的に噴射するインジェクタを備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記気化したアンモニアの一部を前記脱硝装置に供給する、
請求項1からのいずれか一項に記載の燃焼システム。
【請求項6】
前記排気ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置、
を備え、
前記第1熱交換器は、前記気化したアンモニアの一部を前記脱硝装置に供給する、
請求項に記載の燃焼システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様に係るアンモニアを燃料として使用する燃焼システムは、燃焼器と、燃焼器と流体連通し、燃焼器からの排気ガスを加熱する追い焚きバーナと、追い焚きバーナと流体連通し、排気ガスの熱を利用する熱利用機器と、熱利用機器で利用された排気ガスの一部を燃焼器に供給する再循環流路と、再循環流路に配置される第1熱交換器であって、排気ガスとアンモニアとの間で熱交換し、気化したアンモニアを追い焚きバーナに供給すると共に、冷却された排気ガスを燃焼器に供給する、第1熱交換器と、再循環流路に配置される第2熱交換器であって、排気ガスと液体アンモニアとの間で熱交換し、加熱されたアンモニアの一部を燃焼器に供給すると共に、加熱されたアンモニアの残りを第1熱交換器に供給する、第2熱交換器と、を備え、第1熱交換器は、排気ガスと第2熱交換器から供給される加熱されたアンモニアとの間で熱交換する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】