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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111649
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】光検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240809BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240809BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N25/70
H04N25/704
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016278
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 進
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA06
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA14
4M118BA19
4M118CA03
4M118CA22
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA38
4M118GB03
4M118GB07
4M118GC08
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD10
4M118HA22
4M118HA25
5C024CY17
5C024EX12
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX03
(57)【要約】
【課題】入射光を画素における所定の領域に集光する。
【解決手段】光検出装置は、画素と、オンチップレンズと、埋込み領域とを有する。その光検出装置が有する画素は、被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する。その光検出装置が有するオンチップレンズは、その画素に配置される。その光検出装置が有する埋込み領域は、そのオンチップレンズに埋め込まれて配置されるそのオンチップレンズとは屈折率が異なる領域である。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する画素と、
前記画素に配置されるオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに埋め込まれて配置される前記オンチップレンズとは屈折率が異なる領域である埋込み領域と
を有する光検出装置。
【請求項2】
前記オンチップレンズに複数の前記埋込み領域が配置される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
複数の前記埋込み領域は、それぞれ異なる屈折率に構成される請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
複数の前記埋込み領域は、それぞれ異なる埋込み深さに構成される請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記画素に配置される前記入射光のうちの所定の波長の入射光を透過するカラーフィルタを更に有し、
前記埋込み領域は、前記カラーフィルタに応じたサイズに構成される
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記埋込み領域は、前記入射光の入射角度に応じて前記オンチップレンズにおける位置が調整される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記埋込み領域は、前記オンチップレンズの表面に形成された開口部を埋める形状に構成される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記オンチップレンズは、複数の前記画素に共通に配置される請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記オンチップレンズは、2行2列に配置される4つの前記画素に共通に配置される請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記オンチップレンズは、隣接する2つの前記画素に共通に配置される請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記オンチップレンズが共通に配置される複数の前記画素のうちの隣接する2つの前記画素は、前記被写体を瞳分割して像面位相差を検出するための複数の位相差信号を前記画素信号として生成する請求項8に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記オンチップレンズ及び前記オンチップレンズが共通に配置される複数の前記画素を有する複数の画素ブロックを備える画素アレイ部を有する請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する画素と、
前記画素に配置されるオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに埋め込まれて配置される前記オンチップレンズとは屈折率が異なる領域である埋込み領域と、
前記生成された画素信号を処理する処理回路と
を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を撮像する撮像装置として、入射光の光電変換を行う光電変換部を備える画素が2次元行列状に配置されて構成された撮像装置が使用されている。この撮像装置の感度を向上させるため、画素にはオンチップレンズが配置される。このオンチップレンズは、例えば、半球形状に構成されて、画素の入射光を光電変換部に集光するレンズである。一方、撮像装置の外部には、被写体を結像する撮影レンズが配置される。この撮影レンズを透過した入射光が撮像装置に照射される。この際、撮像装置の周縁部に配置される画素には、被写体からの光が斜めに入射する。このため、周縁部の画素では、オンチップレンズによる集光位置が光電変換部からずれることとなり、感度が低下する。この現象は、シェーディングと称される。
【0003】
そこで、このシェーディングを補正するレンズ曲面を有するオンチップレンズを備える撮像装置(固体撮像装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。球面に傾斜成分を重畳したレンズ曲面を有するオンチップレンズを配置することにより、シェーディングを低減する。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-156515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、入射光を画素における所定の領域に集光できず、所望の画像信号が得られないという問題がある。
【0006】
そこで、本開示では、入射光を画素における所定の領域に集光可能な光検出装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光検出装置は、被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する画素と、上記画素に配置されるオンチップレンズと、上記オンチップレンズに埋め込まれて配置される上記オンチップレンズとは屈折率が異なる領域である埋込み領域とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の他の例を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図4A】本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図4B】従来の画素の構成例を示す図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す断面図である。
図6A】本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。
図6B】本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。
図6C】本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。
図6D】本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。
図6E】本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。
図7A】本開示の第1の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図7B】本開示の第1の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図8A】本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図8B】本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図9A】本開示の第2の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図9B】本開示の第2の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図10A】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図10B】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図10C】本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図11】本開示の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図12】本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図13A】本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図13B】本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図13C】本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図14A】本開示の第5の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図14B】本開示の第5の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図14C】本開示の第5の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図15A】本開示の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図15B】本開示の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図15C】本開示の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
図16A】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図16B】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図16C】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図17】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図18A】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図18B】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図18C】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図19A】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図19B】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図19C】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図20A】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図20B】本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。
図21A】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの構成例を示す図である。
図21B】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの構成例を示す図である。
図22】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。
図23A】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。
図23B】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。
図24】本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。
図25】電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図26】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図27】撮像部の設置位置の例を示す図である。
図28】本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図29図28に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
5.第5の実施形態
6.第6の実施形態
7.電子機器の構成
8.移動体への応用例
9.内視鏡手術システムへの応用例
【0010】
(1.第1の実施形態)
[光検出装置の構成]
図1は、本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の一例を示す図である。本例の光検出装置1は、図1に示すように、半導体基板11例えばシリコン基板に複数の光電変換部を含む画素12が規則的に2次元的に配列された画素アレイ部(いわゆる撮像領域)13と、周辺回路部とを有して構成される。画素12は、光電変換部となる例えばフォトダイオードと、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有して成る。複数の画素トランジスタは、例えば転送トランジスタ、リセットトランジスタ及び増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができる。その他、選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。画素12は、共有画素構造とすることもできる。この画素共有構造は、複数のフォトダイオードと、複数の転送トランジスタと、共有する1つの浮遊拡散領域と、共有する1つずつの他の画素トランジスタとから構成される。
【0011】
周辺回路部は、垂直駆動回路33と、カラム信号処理回路34と、水平駆動回路35と、出力回路37と、制御回路36などを有して構成される。
【0012】
制御回路36は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また撮像素子の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路36では、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、これらの信号を垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35等に入力する。
【0013】
垂直駆動回路33は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動線23を選択し、選択された画素駆動配線に画素を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素を駆動する。すなわち、垂直駆動回路33は、画素領域3の各画素12を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素12の光電変換部となる例えばフォトダイオードにおいて受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号をカラム信号処理回路34に供給する。
【0014】
カラム信号処理回路34は、画素12の例えば列ごとに配置されており、1行分の画素12から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。すなわちカラム信号処理回路34は、画素12固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling)や、信号増幅、AD変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路34の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線38との間に接続されて設けられる。なお、カラム信号処理回路34は、本開示の「処理回路」の一例である。
【0015】
水平駆動回路35は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路34の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路34の各々から画素信号を水平信号線38に出力させる。
【0016】
出力回路37は、カラム信号処理回路34の各々から水平信号線38を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子39は、外部と信号のやりとりをする。
【0017】
なお、同図は、光検出装置1が半導体基板11に形成される場合の例を表したものである。光検出装置1は、複数の半導体基板により構成することもできる。光検出装置1を構成する複数の基板を積層することにより、光検出装置1のサイズ(面積)を縮小することができる。この場合の例について次に説明する。
【0018】
[光検出装置の構成]
図2は、本開示の実施形態に係る光検出装置の概略構成の他の例を示す図である。同図の光検出装置1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を備えている。光検出装置1は、3つの基板(第1基板10、第2基板20、第3基板30)を貼り合わせて構成された3次元構造となっている。第1基板10、第2基板20及び第3基板30は、この順に積層されている。
【0019】
第1基板10は、半導体基板11に、光電変換を行う複数の画素12を有している。半導体基板11は、本開示の「半導体基板」の一具体例に相当する。複数の画素12は、第1基板10における画素アレイ部13内に行列状に設けられている。第2基板20は、半導体基板21に、画素12から出力された電荷に基づく画素信号を出力する画素回路22を4つの画素12毎に1つずつ有している。半導体基板21は、本開示の「第2の半導体基板」の一具体例に相当する。また、画素回路22は、本開示の「信号生成部」の一具体例に相当する。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。第3基板30は、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35及び制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極及びドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSiやNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0020】
垂直駆動回路33は、例えば、複数の画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34及び水平駆動回路35)の駆動を制御する。
【0021】
図3は、本開示の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す回路図であり、画素12及び画素回路22の一例を表したものである。以下では、図2に示したように、4つの画素12が1つの画素回路22を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つの画素12の出力が共通の画素回路22に入力されることを指している。
【0022】
各画素12は、互いに共通の構成要素を有している。図2には、各画素12の構成要素を互いに区別するために、各画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号(1、2、3及び4)が付与されている。以下では、各画素12の構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各画素12の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各画素12の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
【0023】
各画素12は、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された電荷転送部TRと、電荷転送部TRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持する電荷保持部を構成する浮遊拡散領域(フローティングディフュージョン)FDとを有している。フォトダイオードPDは、本開示の「光電変換部」の一具体例に相当する。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが電荷転送部TRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。電荷転送部TRのドレインが浮遊拡散領域FDに電気的に接続され、電荷転送部TRのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。電荷転送部TRは、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0024】
1つの画素回路22を共有する各画素12の浮遊拡散領域FDは、互いに電気的に接続されるとともに、共通の画素回路22の入力端に電気的に接続されている。画素回路22は、例えば、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタRSTのソース(画素回路22の入力端)が浮遊拡散領域FDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDD及び増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは画素駆動線23(図2参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(画素回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23(図2参照)に電気的に接続されている。
【0025】
電荷転送部TRは、オン状態になると、フォトダイオードPDの電荷を浮遊拡散領域FDに転送する。リセットトランジスタRSTは、浮遊拡散領域FDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態になると、浮遊拡散領域FDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、浮遊拡散領域FDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態になると、浮遊拡散領域FDの電位に応じた電圧を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP及び選択トランジスタSELは、例えば、MOSトランジスタである。なお、画像信号は、本開示の「画素信号」の一例である。
【0026】
[画素の構成]
図4Aは、本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素12の構成例を表す図である。また、同図は、半導体基板11の表面側における画素12の構成を表す図である。同図の半導体基板には、図3において説明した4つの画素12(画素12a、画素12b、画素12c及び画素12d)を記載した。これらの画素12毎に光電変換部101、電荷転送部102(図3のTRに相当する)及び電荷保持部103(図2のFDに相当する)が配置される。画素12の境界には、分離部135が配置される。なお、画素12a、画素12b、画素12c及び画素12d並びに不図示の画素回路22の組合せを画素ブロック100と称する。
【0027】
画素12a-12dは、平面視において正方形の形状に構成される。これら画素12a-12dに後述するオンチップレンズ170が共通に配置される。同図の円は、オンチップレンズ170の外形を表す。このオンチップレンズ170により被写体からの入射光が集光される。以下、この入射光の集光領域をビームスポットと称する。ビームスポットは、4つの画素12の中央部に形成される。
【0028】
画素12a及び12dと画素12b及び12cとは、位相差画素の機能を有する。この位相差画素は、被写体画像を瞳分割した像面位相差を検出する画素である。この場合、画素12a及び12dと画素12b及び12cとにおいて個別に画素信号が生成される。この画素信号に基づいて像面位相差が検出される。同図の例では、被写体を左右の方向に瞳分割する。ここで位相差の検出精度を向上させるためには、隣接する位相差画素の中央にビームスポットを形成する必要がある。また、ビームスポットのサイズが小さいほど、瞳分割方向の分離比を向上させることができる。ビームスポットのサイズが小さいほどビームスポット位置が左右に変化した時の位相差信号の差分が大きくなるためである。しかし、ビームスポットのサイズが小さすぎる場合には、画素12の間に配置された分離部135の作用により散乱され入射光の比率が高くなり、混色等の問題を生じる。このため、オンチップレンズ170による入射光の集光を調整し、適切なサイズのビームスポットを形成する必要がある。
【0029】
同図のオンチップレンズ170には、埋込み領域180及び181が配置される。同図のオンチップレンズ170の円の内側に記載された円は、埋込み領域180及び181の外形を表す。この埋込み領域180及び181は、オンチップレンズ170に配置されてオンチップレンズ170とは異なる屈折率の領域である。この埋込み領域180等を配置することにより、オンチップレンズ170における集光を調整することができる。同図の埋込み領域180及び181は、オンチップレンズ170を構成する部材より高い屈折率に構成される例を表したものである。
【0030】
このように、オンチップレンズ170に埋込み領域180等を埋め込むことにより、オンチップレンズ170の一部に屈折率が異なる領域が形成されることとなる。このような屈折率が異なる領域が隣接する場合、屈折率が高い領域では入射光の位相遅れが大きくなり、屈折率が低い領域では入射光の位相遅れが比較的小さくなる。このため、入射光の方向を屈折率が大きい領域である埋込み領域180の側に変化させることができる。これにより、ビームスポットの形状を調整することができる。同図の一点鎖線は、ビームスポットの形状を表す。同図のビームスポットは、埋込み領域180及び181の並び方向に引き延ばされた楕円の形状に構成される。
【0031】
同図に表したように、オンチップレンズ170には複数の埋込み領域(埋込み領域180及び181)を配置することができる。この埋込み領域180及び181は、同じ屈折率に構成することができる。また、埋込み領域180及び181をそれぞれ異なる屈折率に構成することもできる。
【0032】
図4Bは、従来の画素の構成例を示す図である。同図は、比較のために記載した図である。同図のオンチップレンズ170には、埋込み領域180及び181が配置されていないため、ビームスポットは、円形状に構成される。
【0033】
[画素の断面の構成]
図5は、本開示の第1の実施形態に係る画素の構成例を示す断面図である。同図は、画素ブロック100のうちの画素12a及び12bの部分の構成例を表す模式断面図である。画素12aを例に挙げて画素12の構成を説明する。画素12は、半導体基板120と、絶縁膜130と、配線領域140と、分離部135と、保護膜136及び160と、カラーフィルタ150と、埋込み領域180及び181とを備える。
【0034】
半導体基板120は、画素12の半導体素子の拡散層が配置される半導体の基板である。半導体基板120は、例えば、シリコン(Si)により構成することができる。半導体素子等は、半導体基板120に形成されたウェル領域に配置される。便宜上、同図の半導体基板120は、p型のウェル領域に構成されるものと想定する。このp型のウェル領域にn型又はp型の半導体領域を配置することにより半導体素子を形成することができる。同図の半導体基板120には、光電変換部101(図3のPDに相当する)を例として記載した。この光電変換部101は、n型の半導体領域121により構成される。具体的には、n型の半導体領域121及び周囲のp型のウェル領域の界面のpn接合からなるフォトダイオードが光電変換部101に該当する。
【0035】
絶縁膜130は、半導体基板120の表面側を絶縁するものである。この絶縁膜130には、例えば、酸化シリコン(SiO)の膜を適用することができる。
【0036】
配線領域140は、半導体基板120の表面側に配置されて素子の配線が形成される領域である。この配線領域140は、配線142と、絶縁層141とを備える。配線142は、半導体基板120の素子等に信号を伝達する導体である。この配線142は、例えば、銅(Cu)やタングステン(W)等の金属により構成することができる。絶縁層141は、配線142等を絶縁するものである。この絶縁層141は、例えば、SiOにより構成することができる。
【0037】
分離部135は、半導体基板120における画素12の境界に配置されて画素12を電気的及び光学的に分離するものである。この分離部135は、半導体基板120に埋め込まれた絶縁物により構成することができる。分離部135は、例えば、画素12の境界に形成される半導体基板120を貫通する溝部にSiO等の絶縁物を配置することにより形成することができる。なお、分離部135は、半導体基板120の裏側の表面から表面側に達しない深さに構成することもできる。
【0038】
保護膜136は、半導体基板120の裏面側を保護する膜である。この保護膜136は、SiO等の絶縁物により構成することができる。
【0039】
カラーフィルタ150は、入射光のうちの所定の波長の入射光を透過する光学的なフィルタである。このカラーフィルタ150には、例えば、赤色光、緑色光及び青色光を透過するカラーフィルタを使用することができる。同じ画素ブロック100に配置される画素12には、同色に対応するカラーフィルタ150が共通に配置される。画素12は、カラーフィルタ150が対応する波長の入射光の画像信号を生成する。
【0040】
なお、同図の画素12には、画素ブロック100の境界のカラーフィルタ150の領域に遮光膜159が配置される。この遮光膜159は、入射光を遮光するものである。遮光膜159を配置することにより、隣接する画素12から斜めに入射する入射光を遮光することができる。
【0041】
保護膜160は、カラーフィルタ150に積層されて下層の画素12の領域を保護するものである。また、保護膜160は、カラーフィルタ150の表面を平坦化するものである。この保護膜160は、オンチップレンズ170と同じ材料により構成することができる。
【0042】
オンチップレンズ170は、前述のように画素ブロック100を構成する複数の画素12に共通に配置されるレンズである。同図のオンチップレンズ170は、半球形状に構成することができる。オンチップレンズ170は、アクリル樹脂等の有機材料や窒化シリコン(SiN)等の無機材料により構成することができる。
【0043】
同図のオンチップレンズ170には、埋込み領域180及び181が配置される。この埋込み領域180及び181は、高屈折率の材料、例えば、酸化タンタル(Ta)や酸化チタン(TiO)等により構成することができる。また、埋込み領域180及び181は、低屈折率の材料、例えば、SiN、SiO及びSiON等の無機膜やスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂及びシロキサン系樹脂等の樹脂系材料(有機膜)により構成することもできる。
【0044】
オンチップレンズ170よりも高い屈折率の埋込み領域180及び181をオンチップレンズ170の中心から離れた位置に配置することにより、高い屈折率の埋込み領域180及び181の側に入射光の方向を変えることができる。これにより、ビームスポットの径を広げることができる。
【0045】
なお、同図の埋込み領域180及び181は、オンチップレンズ170の表面に形成された開口部に埋め込まれる形状に構成される例を表したものである。ここで、オンチップレンズ170の表面とは、被写体からの光が入射する面を表す。このような構成を採ることにより、オンチップレンズ170の部材を介在させずに、入射光を埋込み領域180等の上面に直接入射させることができる。これにより、埋込み領域180等における入射光の光路を伸長することができ、入射光の方向の変化量を増大させることができる。
【0046】
[画素の製造方法]
図6A-6Eは、本開示の実施形態に係る画素の製造方法を示す図である。同図は、画素12のうちのオンチップレンズ170部分の製造工程を表す図である。
【0047】
まず、半導体基板11に配線領域140等を形成し、カラーフィルタ150及び保護膜160を形成する。次に、保護膜160の上にオンチップレンズ170の材料膜400を配置する(図6A)。
【0048】
次に、材料膜400の表面にレジスト401を配置する。このレジスト401には、埋込み領域180及び181を配置する領域に開口部402が形成される(図6B)。
【0049】
次に、レジスト401をマスクとして使用して材料膜400のエッチングを行い、開口部403を形成する(図6C)。
【0050】
次に、開口部403に埋込み領域180及び181の構成部材404を配置する(図6C)。
【0051】
次に、材料膜400のエッチングを行って半球の形状にする(図6E)。これは、材料膜400の上に半球形状のレジストを配置し、当該レジスト及び材料膜400を同時にドライエッチングしてレジストの形状を材料膜400に転写することにより行うことができる。
【0052】
以上の工程により、オンチップレンズ170に埋め込まれた埋込み領域180及び181を形成することができる。
【0053】
[画素の他の構成]
図7A及び7Bは、本開示の第1の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。図7Aは画素ブロック100の断面の構成を表し、図7Bは画素ブロック100の平面の構成を表す。
【0054】
同図の画素ブロック100は、画素アレイ部13の端部に配置される画素ブロック100を表したものである。画素アレイ部13の端部においては、入射光が画素ブロック100に斜めに入射する。そこで、オンチップレンズ170を画素ブロック100の中心からずらして配置する。これにより、入射光の集光位置のずれを補正することができる。この補正は、瞳補正と称される。図7Bの画素ブロック100においては、同図の右上方向が画素アレイ部13の中心の方向となる。
【0055】
このような場合、入射光が斜めに画素ブロック100に入射するため、ビームスポットは入射光の方向に引き延ばされた形状となり、位相差の検出精度が低下する。そこで、埋込み領域180及び181の並び方向が入射光の方向に対して垂直となる位置に埋込み領域180及び181を配置する。これにより、斜めに入射する入射光のビームスポットの偏りを補正することができる。
【0056】
このように、本開示の第1の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170に埋込み領域180等を配置することにより、入射光の集光を調整することができ、入射光を画素ブロックの所定の領域に集光させることができる。
【0057】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170より屈折率にが高い埋込み領域180等を配置していた。これに対し、本開示の第2の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170より屈折率が低い埋込み領域を配置する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0058】
[画素の構成]
図8A及び8Bは、本開示の第2の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す図である。図8Aは画素ブロック100の断面の構成を表し、図8Bは画素ブロック100の平面の構成を表す。同図のオンチップレンズ170には、埋込み領域183が配置される。この埋込み領域183は、オンチップレンズ170の中央に配置される例を表したものである。埋込み領域183は、オンチップレンズ170より屈折率が小さいため、入射光を遠ざける方向に作用する。図8Bの一点鎖線のビームスポットの内側の点ハッチングの領域は、集光領域を表す。このような埋込み領域183は、オンチップレンズ170及び半導体基板11の表面の距離を変えずにレンズパワーを中心に集めたいときに有効である。
【0059】
[画素の他の構成]
図9A及び9Bは、本開示の第2の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す図である。図9Aは画素ブロック100の断面の構成を表し、図9Bは画素ブロック100の平面の構成を表す。同図は、オンチップレンズ170に埋込み領域181乃至183が配置される例を表したものである。
【0060】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
このように、本開示の第2の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170より屈折率が小さい埋込み領域183を配置し、入射光の集光を調整することができる。
【0062】
(3.第3の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、同じサイズの埋込み領域180等を使用していた。これに対し、本開示の第3の実施形態の光検出装置1は、埋込み領域180等のサイズを調整する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0063】
[画素の構成]
図10A-10Cは、本開示の第3の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の平面の構成例を表す図である。同図に記載した文字は、カラーフィルタ150の種類を表す。同図の「G」、「R」及び「B」は、それぞれ緑色光、赤色光及び青色光に対応するカラーフィルタ150を表す。同図の画素ブロック100においては、カラーフィルタ150の種類に応じて埋込み領域180及び181のサイズを調整する。
【0064】
赤色光に対応するカラーフィルタ150が配置される画素ブロック100(図10B)では、緑色光に対応するカラーフィルタ150が配置される画素ブロック100(図10A)より大きいサイズの埋込み領域180及び181が配置される。また、青色光に対応するカラーフィルタ150が配置される画素ブロック100(図10C)では、緑色光に対応するカラーフィルタ150が配置される画素ブロック100(図10A)より小さいサイズの埋込み領域180及び181が配置される。
【0065】
通常、オンチップレンズ170や埋込み領域180及び181は、光の波長に応じて屈折が変化する。そこで、入射光の波長に応じて埋込み領域180及び181のサイズを調整することにより、ビームスポットの形状を最適化することができる。
【0066】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
このように、本開示の第3の実施形態の光検出装置1は、画素ブロック100に配置されるカラーフィルタ150に応じて埋込み領域180及び181のサイズを調整する。これにより、入射光の波長に応じて集光を調整することができる。
【0068】
(4.第4の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170の瞳補正を行って。これに対し、本開示の第4の実施形態の光検出装置1は、瞳補正の際に埋込み領域180及び181の位置を調整する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0069】
[画素の構成]
図11は、本開示の第4の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、図7Bと同様に、画素ブロック100の平面の構成例を表す図である。埋込み領域180及び181の位置を入射光の入射角度に応じて調整する点で、図7Bの画素ブロック100と異なる。
【0070】
光検出装置1に入射する入射光の角度は像高位置によって変化し、画素アレイ部13の中心から離れた位置(像高が高くなる方向)になるほど主光線の仰角が小さくなる。そのため、画素アレイ部13の中心と周縁部の高い像高の位置とでは、オンチップレンズ170が半導体基板11の表面に形成するビームスポットの形状が変化する。高い像高では、半導体基板11の画素ブロック100の中心にビームスポットの中心が来るように、オンチップレンズ170の瞳補正を行う。しかし、オンチップレンズ170の位置を変化させるだけではビームスポットの形状を十分に整えることができない。
【0071】
そこで、埋込み領域180及び181の位置を更に調整してビームスポットの形状を調整する。同図の画素ブロック100では、埋込み領域180及び181を画素ブロック100の中心から遠ざける方向にずらして配置する。これにより、ビームスポットの形状を円形状に調整することができる。このように、入射光の入射角度に応じてオンチップレンズ170における埋込み領域180及び181の位置を調整することができる。
【0072】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
このように、本開示の第4の実施形態の光検出装置1は、埋込み領域180及び181の位置を更に調整することにより、ビームスポットの形状を調整することができる。
【0074】
(5.第5の実施形態)
上述の第1の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170に埋込み領域180及び181を配置していた。これに対し、本開示の第5の実施形態の光検出装置1は、オンチップレンズ170に3つ以上の埋込み領域を配置する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0075】
[画素の構成]
図12は、本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、図4Aと同様に、画素ブロック100の平面の構成例を表す図である。同図の画素ブロック100は、埋込み領域180乃至183が配置される点で、図4Aの画素ブロック100と異なる。なお、同図の画素ブロック100は、画素アレイ部13の中央部に配置される画素ブロック100の例を表したものである。同図の画素ブロック100においては、4つの埋込み領域180乃至183により入射光を中心に集光する。画素ブロック100の周縁部に配置される画素ブロック100の構成について、次に説明する。
【0076】
図13A-13Cは、本開示の第5の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の平面の構成例を表す図である。図13Aは、画素アレイ部13の左端に配置される画素ブロック100の構成を表す。図13Bは、画素アレイ部13の下端に配置される画素ブロック100の構成を表す。図13Cは、画素アレイ部13の左下隅に配置される画素ブロック100の構成を表す。なお、同図の点線の円は、埋込み領域の位置を調整する前の状態を表したものである。
【0077】
図13Aの画素ブロック100においては、埋込み領域180及び181の位置を調整する。また、図13Bの画素ブロック100においては、埋込み領域182及び183の位置を調整する。このように、入射光の方向に沿った並び方向の埋込み領域の位置を調整し、ビームスポットの形状を調整する。
【0078】
一方、図13Cの画素ブロック100においては、埋込み領域180乃至183の位置を調整してビームスポットの形状を調整することとなる。
【0079】
図14A-14Cは、本開示の第5の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は、図13A-14Cと同様に、画素ブロック100の平面の構成例を表す図である。図14A-14Cの画素ブロック100においては、埋込み領域180乃至183の位置の調整を行う。これにより、ビームスポットの形状を円形状に補正することができる。
【0080】
これ以外の光検出装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光検出装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
このように、本開示の第5の実施形態の光検出装置1は、埋込み領域180乃至183により、ビームスポットの形状を調整することができる。
【0082】
(6.第6の実施形態)
埋込み領域180等のバリエーションについて説明する。
【0083】
[画素の構成]
図15A-15Cは、本開示の第6の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。図15Aは、平面視において円形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。図15Bは、平面視において楕円形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。図15Cは、平面視において円環形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。
【0084】
図16A-16Cは、本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。図16Aは、平面視において菱形形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。図16Bは、平面視において十字の形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。図16Cは、平面視において六角形の形状に構成される埋込み領域180等を表したものである。
【0085】
図17は、本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は、異なる形状の複数の埋込み領域180等が配置される例を表したものである。
【0086】
図18A-18Cは、本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は画素ブロック100の断面の構成を表したものである。図18Aは、画素アレイ部13の左端に配置される画素ブロック100を表したものである。図18Bは、画素アレイ部13の中央に配置される画素ブロック100を表したものである。図18Cは、画素アレイ部13の右端に配置される画素ブロック100を表したものである。このように、入射光の入射角度に応じて埋込み領域180及び181の深さを調整することができる。
【0087】
図19A-19Cは、本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は、図18A-18Cと同様に、画素ブロック100の断面の構成を表したものである。図19Aは、画素アレイ部13の左端に配置される画素ブロック100を表したものである。図19Bは、画素アレイ部13の中央に配置される画素ブロック100を表したものである。図19Cは、画素アレイ部13の右端に配置される画素ブロック100を表したものである。このように、入射光の入射角度に応じて埋込み領域180及び181の深さをそれぞれ調整することができる。
【0088】
図20A、20Bは、本開示の第6の実施形態に係る画素の他の構成例を示す図である。同図は、1つの画素12を含む画素ブロック100の例を表したものである。図20Aは画素ブロック100の平面の構成を表し、図20Bは画素ブロック100の断面の構成を表す。同図の画素12はオンチップレンズ171を備える。オンチップレンズ171は、オンチップレンズ170と異なり、複数の画素12に共通に配置されないオンチップレンズである。一方、このオンチップレンズ171には、オンチップレンズ170と同様に、埋込み領域180及び181が配置される。この埋込み領域180及び181は、例えば、前述の瞳補正のためにオンチップレンズ171の位置をずらした場合等において、ビームスポットの形状を調整するために位置を調整することができる。また、埋込み領域180及び181は、入射光の入射角度に応じて位置を調整することができる。
【0089】
なお、図20Bの画素ブロック100は、オンチップレンズ171並びに埋込み領域180及び181の上面に隣接する反射防止膜190が配置される例を表したものである。この反射防止膜190は、例えば、SiOにより構成することができる。
【0090】
図21A及び21Bは、本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す平面図である。
【0091】
図22は、本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す平面図である。
【0092】
図23A及び23Bは、本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す平面図である。
【0093】
図24は、本開示の第6の実施形態に係る画素ブロックの他の構成例を示す図である。同図は、画素ブロック100の構成例を表す平面図である。
【0094】
(7.電子機器の構成)
上述したような光検出装置1は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0095】
図25は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。図25に示すように、電子機器701は、光学系702、光検出装置703、DSP(Digital Signal Processor)704を備えており、バス707を介して、DSP704、表示装置705、操作系706、メモリ708、記録装置709、及び電源系710が接続されて構成され、静止画像及び動画像を撮像可能である。
【0096】
光学系702は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光検出装置703に導き、光検出装置703の受光面(センサ部)に結像させる。
【0097】
光検出装置703には、上述したいずれかの構成例の光検出装置1が適用される。光検出装置703には、光学系702を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、光検出装置703に蓄積された電子に応じた信号がDSP704に入力される。
【0098】
DSP704は、光検出装置703からの信号に対して各種の信号処理を施して画像を取得し、その画像のデータを、メモリ708に一時的に記憶させる。メモリ708に記憶された画像のデータは、記録装置709に記録されたり、表示装置705に供給されて画像が表示されたりする。また、操作系706は、ユーザによる各種の操作を受け付けて電子機器701の各ブロックに操作信号を供給し、電源系710は、電子機器701の各ブロックの駆動に必要な電力を供給する。
【0099】
(8.移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0100】
図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0101】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図28に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0102】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0103】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0104】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0105】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0106】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0107】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0108】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0109】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0110】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図28の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0111】
図27は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0112】
図27では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0113】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0114】
なお、図27には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0115】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0116】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0117】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0118】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0119】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、図1の光検出装置1は、撮像部12031に適用することができる。
【0120】
(9.内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0121】
図28は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0122】
図28では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0123】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0124】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0125】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0126】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0127】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0128】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0129】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0130】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0131】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0132】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0133】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0134】
図29は、図28に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0135】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0136】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0137】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0138】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0139】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0140】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0141】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0142】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0143】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0144】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0145】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0146】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0147】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0148】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0149】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0150】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0151】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。具体的には、図1の光検出装置1は、撮像部11402に適用することができる。
【0152】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0153】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0154】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する画素と、
前記画素に配置されるオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに埋め込まれて配置される前記オンチップレンズとは屈折率が異なる領域である埋込み領域と
を有する光検出装置。
(2)
前記オンチップレンズに複数の前記埋込み領域が配置される前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
複数の前記埋込み領域は、それぞれ異なる屈折率に構成される前記(2)に記載の光検出装置。
(4)
複数の前記埋込み領域は、それぞれ異なる埋込み深さに構成される前記(2)又は(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記画素に配置される前記入射光のうちの所定の波長の入射光を透過するカラーフィルタを更に有し、
前記埋込み領域は、前記カラーフィルタに応じたサイズに構成される
前記(1)から(4)の何れかに記載の光検出装置。
(6)
前記埋込み領域は、前記入射光の入射角度に応じて前記オンチップレンズにおける位置が調整される前記(1)に記載の光検出装置。
(7)
前記埋込み領域は、前記オンチップレンズの表面に形成された開口部を埋める形状に構成される前記(1)から(6)の何れかに記載の光検出装置。
(8)
前記オンチップレンズは、複数の前記画素に共通に配置される前記(1)から(7)の何れかに記載の光検出装置。
(9)
前記オンチップレンズは、2行2列に配置される4つの前記画素に共通に配置される前記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記オンチップレンズは、隣接する2つの前記画素に共通に配置される前記(8)に記載の光検出装置。
(11)
前記オンチップレンズが共通に配置される複数の前記画素のうちの隣接する2つの前記画素は、前記被写体を瞳分割して像面位相差を検出するための複数の位相差信号を前記画素信号として生成する前記(8)に記載の光検出装置。
(12)
前記オンチップレンズ及び前記オンチップレンズが共通に配置される複数の前記画素を有する複数の画素ブロックを備える画素アレイ部を有する前記(1)から(11)の何れかに記載の光検出装置。
(13)
被写体からの入射光の光電変換を行って画素信号を生成する画素と、
前記画素に配置されるオンチップレンズと、
前記オンチップレンズに埋め込まれて配置される前記オンチップレンズとは屈折率が異なる領域である埋込み領域と、
前記生成された画素信号を処理する処理回路と
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0155】
1 光検出装置
12、12a、12b、12c、12d 画素
13 画素アレイ部
34 カラム信号処理回路
100 画素ブロック
101 光電変換部
150 カラーフィルタ
170、171 オンチップレンズ
180~183 埋込み領域
701 電子機器
703 光検出装置
11402、12031、12101~12105 撮像部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図24
図25
図26
図27
図28
図29