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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111650
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】複合成形体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20240809BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240809BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20240809BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20240809BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20240809BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B32B27/34
C08L77/00
C08K7/14
C08K7/06
C08L1/02
C08J5/04 CFG
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016279
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】児玉 斉
(72)【発明者】
【氏名】小郷 正勝
(72)【発明者】
【氏名】奥迫 隆
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB03
4F072AB09
4F072AB10
4F072AD44
4F072AG05
4F072AH04
4F072AH05
4F072AH23
4F072AK04
4F072AK15
4F072AL02
4F072AL16
4F072AL17
4F100AD11B
4F100AG00B
4F100AJ04B
4F100AK46A
4F100AK48B
4F100AK54A
4F100AL09A
4F100BA02
4F100DG01B
4F100EH36A
4F100EH36B
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB32
4F100GB41
4F100GB51
4F100JK11
4F100JK16
4F100JL11
4F100YY00A
4F100YY00B
4J002AB012
4J002CH001
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL051
4J002CL062
4J002CL071
4J002CM022
4J002DA016
4J002DE146
4J002DK006
4J002DL006
4J002FA042
4J002FA046
4J002FD012
4J002FD016
4J002GJ02
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】接着性、シール性及び機械的特性に優れる、複合成形体を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)からなる成形体Aと、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含むポリアミド樹脂組成物(B)からなる成形体Bとが直接接合した複合成形体であって、前記エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%であり、前記ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、前記前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである、複合成形体に関する。また、複合成形体は、成形体の軽量化により、資源使用量の減少に寄与する観点から、SDGs(Sustainable Development Goals。持続可能な開発目標)のGoal9、13等の達成に貢献し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)からなる成形体Aと、
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含むポリアミド樹脂組成物(B)からなる成形体Bとが直接接合した複合成形体であって、
前記エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、
前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%であり、
前記ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、前記前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、
前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである、
複合成形体。
【請求項2】
ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が55質量部以上85質量部以下であり、強化繊維(b2)の含有量が15質量部以上45質量部以下である、請求項1に記載の複合成形体。
【請求項3】
強化繊維(b2)が、ガラス繊維、炭素繊維及びセルロース繊維からなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の複合成形体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の複合成形体の製造方法であって、以下の工程1-A及び工程2-A:
工程1-A:ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを得る工程、
工程2-A:前記成形体Aの表面の全部又は一部に、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、前記成形体A上に、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを直接接合させる工程、
を含む、
複合成形体の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の複合成形品体の製造方法であって、以下の工程1-B及び工程2-B:
工程1-B:ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを得る工程、
工程2-B:前記成形体Bの表面の全部又は一部に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、前記成形体B上に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを直接接合させる工程、
を含む、
複合成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属と加硫ゴムとを接着剤を介して貼り合わされた積層体、金属の端に加硫ゴムを部分的に接着した部品等の複合成形体は、加硫ゴムが有する弾性力と、金属が有する機械的強度の複合作用によりシール性を発揮する。そのため、前記複合成形体は、自動車部品、産業機械、航空機内部品、家庭用機器、建設材料等のシール性部材や摺動部材及び防振部材分野で使用されている。
【0003】
特許文献1には、このような金属と加硫ゴムとが接着剤を介して積層された複合成形体が開示されている。
【0004】
一方で、特許文献1に記載されたような、金属を含む複合成形体を樹脂によって代替する試みがある。ポリアミド樹脂は優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を有しており、自動車部品、産業機械、電気部品等の構造部材やハウジング材料として広く使用されている。そして、ポリアミド樹脂を使用した硬質材料に、所望の特性を付与する目的で軟質材料である熱可塑性エラストマーを熱融着させた複合成形体が知られている。特許文献2には、ポリアミド樹脂を使用した硬質材料として、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂及び酸変性されたポリプロピレン樹脂を特定量配合してなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、前記組成物の成形体と、軟質材料である熱可塑性エラストマーの成形体とを熱融着した複合成形体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-067216号公報
【特許文献2】特開2008-106249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された複合成形体は、接着剤が必要である。これに対して、接着剤を用いる工程を減らすことに対する要求がある。
【0007】
特許文献2に開示されたポリアミド樹脂を使用した硬質材料は、軟質材料である熱可塑性エラストマー成分を含むため、金属の代替として強度の問題が生じ得る。そして、硬質材料の樹脂と軟質材料の樹脂という異なる樹脂の間の接着において、接着が困難である場合がある。
【0008】
また、摺動部材における緩衝部材として用いられる複合成形体は、部材との衝突により変形するための柔軟性が要求される。また、このような複合成形体が密封を目的とする態様で用いられる場合、封入された潤滑油等の流体の漏れを防ぐためのシール性が要求される。
【0009】
したがって、本発明は、接着性、シール性及び機械的特性に優れる、複合成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に関する。
[1]ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)からなる成形体Aと、
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含むポリアミド樹脂組成物(B)からなる成形体Bとが直接接合した複合成形体であって、
前記エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、
前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%であり、
前記ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、前記前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、
前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである、
複合成形体。
[2]ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が55質量部以上85質量部以下であり、強化繊維(b2)の含有量が15質量部以上45質量部以下である、[1]に記載の複合成形体。
[3]強化繊維(b2)が、ガラス繊維、炭素繊維及びセルロース繊維からなる群より選択される1種以上である、[1]又は[2]に記載の複合成形体。
[4][1]~[3]のいずれか一項に記載の複合成形体の製造方法であって、以下の工程1-A及び工程2-A:
工程1-A:ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを得る工程、
工程2-A:前記成形体Aの表面の全部又は一部に、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、前記成形体A上に、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを直接接合させる工程、
を含む、
複合成形体の製造方法。
[5][1]~[3]のいずれか一項に記載の複合成形体の製造方法であって、以下の工程1-B及び工程2-B:
工程1-B:ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを得る工程、
工程2-B:前記成形体Bの表面の全部又は一部に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、前記成形体B上に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを直接接合させる工程、
を含む、複合成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着性、シール性及び機械的特性に優れる、複合成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、接着性を評価するための試験片の形状を表す平面図である。
図2図2は、接着性を評価するための試験片の形状を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[用語の定義]
「ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)」を、「成分(a1)」ともいう。「強化繊維(b2)」等についても同様である。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0014】
[複合成形体]
複合成形体は、成形体Aと成形体Bとが直接接合している。複合成形体において、成形体Aは、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)からなる。複合成形体において、成形体Bは、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含むポリアミド樹脂組成物(B)からなる。複合成形体において、エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%である。複合成形体において、前記ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、前記前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、前記脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである。
【0015】
複合成形体において、エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%である。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30~55質量%であることにより、適度な曲げ弾性率を有するエラストマーとなる。よって、成形体Aが、前記したポリエーテル化合物由来の構成単位の比率を有する成分(a1)を特定の含有量で含むことにより、得られる複合成形体の弾性率が、摺動部材における緩衝部材として適切な範囲となると考えられる。
【0016】
複合成形体において、ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量が50質量部超100質量部未満であり、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgであることにより、適度な分子量を有するポリアミド樹脂となる。よって、成形体Bが、前記した末端アミノ基濃度を有する成分(b1)を特定の含有量で含むことにより、得られる複合成形体の機械的特性(特に、引張破壊ひずみやシャルピー衝撃強さ)が向上するものと考えられる。また、ポリアミド樹脂組成物(B)が強化繊維(b2)を含むことにより、効率的に機械的特性が優れる傾向がある。
【0017】
複合成形体は、成形体Aと成形体Bとが直接接合した複合成形体であるため、接着剤等の介在物を用いずに接着力に優れた複合成形体とすることができる。複合成形体の接着力は、成形体Aに含まれるポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)が有するポリエーテル部分と、成形体Bに含まれる脂肪族ポリアミド樹脂(b1)が有するアミノ基との反応により生じるものと考えられる。即ち、成形体Aが、前記したポリエーテル化合物由来の構成単位の比率を有する成分(a1)を特定の含有量で含み、成形体Bが、前記した末端アミノ基濃度を有する成分(b1)を特定の含有量で含むことにより、成形体Aと成形体Bとが直接接合した複合成形体は、接着力が優れる。
【0018】
〔成形体A〕
成形体Aは、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)からなるか、又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)からなる。
【0019】
<ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)>
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)は、アミノカルボン酸及び/又はラクタムと、ポリエーテル化合物と、ジカルボン酸とを重合して得られるものであることが好ましい。
【0020】
≪アミノカルボン酸及び/又はラクタム≫
アミノカルボン酸及びラクタムは、ポリアミド形成性モノマーである。アミノカルボン酸及びラクタムは、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)において後述するとおりである。
【0021】
≪ポリエーテル化合物≫
ポリエーテル化合物は、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物からなる群より選択される1種以上の化合物であることが好ましい。
【0022】
【化1】

(式(1)中、xは1~20の範囲の整数であり、yは4~50の範囲の整数であり、zは1~20の範囲の整数である)
【0023】
【化2】

(式(2)中、pは1~50の範囲の整数である)
【0024】
式(1)で表される化合物としては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等の両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニア等を反応させることによって製造されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物等が挙げられる。
【0025】
式(1)で表される化合物の具体例としては、米国HUNTSMAN社製のジェファーミン(登録商標)XTJ-533(式(1)において、xが約12、yが約11、zが約11)、ジェファーミン(登録商標)XTJ-536(式(1)において、xが約8.5、yが約17、zが約7.5)、そしてジェファーミン(登録商標)XTJ-542(式(1)において、xが約3、yが約9、zが約2)等が挙げられる。また、式(1)で表される化合物としては、XYX-1(式(1)において、xが約3、yが約14、zが約2)、XYX-2(式(1)において、xが約5、yが約14、zが約4)、及びXYX-3(式(1)において、xが約3、yが約19、zが約2)等が挙げられる。
【0026】
式(1)で表される化合物において、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の弾性率又は硬度、及び、ポリアミド樹脂組成物(B)中の脂肪族ポリアミド樹脂(b1)との接着性を安定に確保する観点から、x及びzは、独立に、1~18であることが好ましく、1~16であることがより好ましく、1~14であることが更に好ましく、1~12であることが特に好ましい。yは、4~50であり、5~45であることが好ましく、6~40であることがより好ましく、7~35であることが更に好ましく、8~30であることが特に好ましい。また、式(1)で表される化合物において「x、y、z」の組合せとしては、xが2~6であり、yが6~12であり、zが1~5である組合せであってもよく、xが2~10であり、yが13~28であり、zが1~9である組合せであってもよい。
【0027】
式(2)で表される化合物において、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の弾性率又は硬度、及び、ポリアミド樹脂組成物(B)中の脂肪族ポリアミド樹脂(b1)との接着性を安定に確保する観点から、pは3~40であることが好ましく、5~30であることが特に好ましい。
【0028】
≪ジカルボン酸≫
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)において後述する脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等のその他の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
【0029】
市販のダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール(登録商標)1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」等が挙げられる。
【0030】
≪ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の好ましい態様≫
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率は、30~55質量%である。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率は、原料として使用したモノマー質量比(仕込み比)によって決定することができる。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30質量%未満である場合、ポリアミド樹脂(b1)と反応するためのエーテル部分が十分に存在しないため接着性が劣る傾向がある。また、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30質量%未満である場合、成形体Aが硬くなりすぎるため、所望の弾性が得られない傾向があり、シール性が劣る傾向がある。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が55質量%を超える場合、弾性を発揮するためのポリエーテル部分が多すぎるため、潤滑油の漏れの懸念が生じ、シール性が劣る傾向がある。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)中のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率は、33~55質量%であることが好ましく、36~54質量%であることが特に好ましい。
【0031】
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の硬度(ショアD)は、シール性がより優れる観点から、37~50であることが好ましく、38~49であることがより好ましく、39~49であることが特に好ましい。硬度(ショアD)は、ISO868に準拠して測定することができる。
【0032】
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の曲げ弾性率は、シール性がより優れる観点から、80~500MPaであることが好ましく、80~300MPaであることがより好ましく、80~200MPaであることが特に好ましい。曲げ弾性率は、ISO178に準拠して測定することができる。
【0033】
≪ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の製造方法≫
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の製造方法は、所望の成分が得られる限り任意である。ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の製造方法としては、WO2012/96136、WO2010/47315、WO2009/57805に記載の方法が挙げられる。
【0034】
ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)は、1種の成分又は2種以上の組合せの成分であってもよい。
【0035】
<ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)>
エラストマー組成物(A)において、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)は、前記した通りである。
エラストマー組成物(A)は、エラストマー組成物(A)の機能・特性を損なわない程度において、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)以外に更なる成分(以下、「更なる成分(a2)」ともいう。)を含むことができる。このような成分として、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材、その他の樹脂等が挙げられる。その他の樹脂は、反応性官能基を有する樹脂であるか、又は、反応性官能基を有さない樹脂である。ここで、前記反応性官能基としては、酸無水物基等が挙げられる。また、前記樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂(但し、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を除く)、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、前記更なる成分は、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の製造時に添加される成分、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の市販品に添加物として含まれる成分であってもよい。なお、エラストマー組成物(A)は、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)を含まないことが好ましい。
【0036】
≪エラストマー組成物(A)の組成≫
エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量が50質量部超100質量部未満である。エラストマー組成物(A)の合計100質量部に対して、前記ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の含有量は、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の機能・特性を損なわせない観点から、60質量部以上100質量部未満であることが好ましく、80質量部以上100質量部未満であることが更に好ましく、90質量部以上100質量部未満であることが特に好ましい。残余は更なる成分(a2)である。
【0037】
〔成形体B〕
成形体Bは、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含むポリアミド樹脂組成物(B)からなる。
【0038】
<ポリアミド樹脂組成物(B)>
ポリアミド樹脂組成物(B)は、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)を含む。
【0039】
≪脂肪族ポリアミド樹脂(b1)≫
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)は、芳香環を有さないポリアミド樹脂である。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂(b1-1)及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂(b1-2)が挙げられる。
【0040】
・脂肪族ホモポリアミド樹脂(b1-1)
脂肪族ホモポリアミド樹脂(b1-1)は、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が、1種であるポリアミド樹脂を意味する。ここで、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分としては、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との組み合わせ、ラクタム又はアミノカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が、脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸の組み合わせである場合は、1種の脂肪族ジアミンと1種の脂肪族ジカルボン酸の組合せで1種のモノマー成分とみなすものとする。
【0041】
脂肪族ジアミンの炭素原子数は、2~20であることが好ましく、4~12であることが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の炭素原子数は、2~20であることが好ましく、6~12であることが特に好ましい。ラクタムの炭素原子数は、5~12であることが好ましい。アミノカルボン酸の炭素原子数は、5~12であることが好ましい。
【0042】
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン等が挙げられる。また脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等が挙げられる。
【0043】
脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組合せとして、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の組合せ、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の組合せ、及び、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジオン酸の組合せ等が挙げられる。脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組合せは、該組合せの等モル塩であることが好ましい。
【0044】
ラクタムとしては、γ-ブチロラクタム、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。ラクタムは、生産性の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム又はドデカンラクタムであることが好ましい。
【0045】
脂肪族ホモポリアミド樹脂(b1-1)の具体例としては、ポリバレロラクタム(ポリアミド5)、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンオキサミド(ポリアミド122)等が挙げられる。
【0046】
・脂肪族共重合ポリアミド樹脂(b1-2)
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(b1-2)は、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が2種以上であり、かつ、芳香環を有さない脂肪族ポリアミド樹脂である。よって、脂肪族共重合ポリアミド樹脂(b1-2)としては、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との組合せ、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群から選択される2種以上のモノマーの共重合体である脂肪族共重合ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0047】
脂肪族共重合ポリアミド樹脂(b1-2)の具体例としては、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ポリアミド6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)、ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/カプロラクタム共重合体(ポリアミド66/6)等が挙げられる。
【0048】
・好ましい態様
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)は、成形加工性の観点から、脂肪族ホモポリアミド樹脂(b1-1)であることが好ましく、ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド56、ポリアミド510、ポリアミド66、ポリアミド610及びポリアミド612からなる群から選択される1種以上であることが特に好ましい。
【0049】
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40~105μmol/kgである。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が40μmol/kg未満である場合、成形体Aに含まれる(a1)成分のポリエーテル部分と反応できるアミノ基の量が少なくなるため、接着性が劣る傾向がある。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度が105μmol/kgを超える場合、ポリアミド樹脂自体の重合度が上がらず低分子量化により、高分子量化した樹脂として諸特性を有さない傾向がある。これにより、得られる複合成形体の機械的特性、特に引張破壊ひずみやシャルピー衝撃強さが劣る傾向がある。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の末端アミノ基濃度は、接着性及び機械的特性の観点から、45~100μmol/kgであることが好ましく、60~100μmol/kgであることが特に好ましい。
【0050】
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)は、JIS K 6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される相対粘度が、成形加工性の観点から、1.9以上であることが好ましく、1.9~4.2であることがより好ましく、2.3~3.2であることが特に好ましい。脂肪族ポリアミド樹脂(b1)が、相対粘度が異なる2種以上の脂肪族ポリアミド樹脂を含む場合、脂肪族ポリアミド樹脂における相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、それぞれの脂肪族ポリアミド樹脂の相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、脂肪族ポリアミド樹脂の相対粘度としてもよい。
【0051】
脂肪族ポリアミド樹脂(b1)は、1種の成分又は2種以上の組合せの成分であってもよい。
【0052】
≪強化繊維(b2)≫
強化繊維(b2)としては、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維等が挙げられる。
ガラス繊維としては、長さ方向に直角の断面が円形のガラス繊維及び/又は長さ方向に直角の断面が非円形断面のガラス繊維が挙げられる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維及びフェノール系炭素繊維等が挙げられる。
セルロース繊維としては、例えば、特開2021-36024号公報に記載されたアセチル化ミクロフィブリル化セルロース系繊維、国際公開2019/163873号に記載されたミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維等が挙げられる。
強化繊維(b2)の繊維長は、生産時のハンドリングと物性の観点から、1mm以上6mm以下であることが好ましく、2mm以上4mm以下であることが特に好ましい。また、強化繊維(b2)の繊維径(繊維平均直径)は、生産性と物性の観点から5μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることが特に好ましい。
強化繊維(b2)は、機械的特性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維及びセルロース繊維からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0053】
≪更なる成分≫
ポリアミド樹脂組成物(B)は、ポリアミド樹脂組成物(B)の機能・特性を損なわない程度において、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)及び強化繊維(b2)以外に更なる成分(以下、「更なる成分(b3)」ともいう。)を含むことができる。更なる成分(b3)としては、その他の樹脂、無機化合物、含窒素化合物、可塑剤、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、酸化防止剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、ガラス繊維、炭素繊維(リサイクル炭素繊維を除く)、セルロース繊維、アラミド繊維等の機能性付与剤等が挙げられる。その他の樹脂としては、エラストマー組成物(A)において前記した樹脂が挙げられる。なお、ポリアミド樹脂組成物(B)は、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含まないことが好ましい。
【0054】
≪ポリアミド樹脂組成物(B)の組成≫
ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、脂肪族ポリアミド樹脂(b1)の含有量は、50質量部超100質量部未満であり、55質量部以上85質量部以下であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、強化繊維(b2)の含有量は、0質量部超50質量部未満である。ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、強化繊維(b2)の含有量は、成形体Bの機械的特性の観点から、15質量部以上45質量部以下であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物(B)の合計100質量部に対して、更なる成分(b3)の含有量は、0質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、0質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0055】
〔ポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
ポリアミド樹脂組成物の製造方法として、各成分を混練できる方法であれば特に制限はなく、例えば、二軸押出機、単軸押出機、多軸押出機等によって製造する方法を挙げることができる。
【0056】
[複合成形体の製造方法]
複合成形体の製造方法は、成形体Aと成形体Bとが直接接合される態様で接着される方法であれば、特に限定されない。複合成形体の製造方法としては、成形体Aと成形体Bとを一体成形により熱融着する工程を含む、公知の製造方法を用いることができる。
【0057】
複合成形体の具体的な製造方法としては、以下の第1の製造方法及び第2の製造方法が挙げられる。
【0058】
〔第1の製造方法〕
複合成形体の第1の製造方法は、以下の工程1-A及び工程2-A:
工程1-A:ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを得る工程、
工程2-A:前記成形体Aの表面の全部又は一部に、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、前記成形体A上に、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを直接接合させる工程、
を含む。
【0059】
<工程1-A>
工程1-Aは、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを得る工程である。工程1-Aは、一次成形の工程である。
【0060】
≪射出成形の方法≫
工程1-Aにおいて、射出成形の方法は、特に限定されず、公知の射出成形機を用いた方法が挙げられる。射出成形機としては、特に限定されず、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機及びスクリュープリプラ式射出成形機等が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。
【0061】
≪射出成形の温度≫
工程1-Aにおいて、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形する時の樹脂温度は、特に限定されないが、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の融点以上とすることが好ましく、「ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の融点+100℃」未満とすることがより好ましく、190℃~250℃であることが更に好ましく、200℃~240℃であることが特に好ましい。い。また、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を成形する際の金型温度は、40℃~80℃であることが好ましい。また、前記金型温度は、50℃~80℃であってもよい。
【0062】
<工程2-A>
工程2-Aは、前記成形体Aの表面の全部又は一部に、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、前記成形体A上に、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを直接接合させる工程である。工程2-Aは、二次成形の工程である。
【0063】
≪射出成形の方法≫
工程2-Aにおいて、射出成形の方法は、工程1-Aで前記したとおりである。
【0064】
≪直接接合させる方法≫
工程2-Aにおいて、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形品Aと、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形品Bとを直接接合させる方法としては、前記成形体Aと、前記成形体Bとを溶着する方法が挙げられる。このような方法として、射出溶着工法にて、所望の成形品の形状及び/又は使用目的に応じて適宜選択される。ここで、射出溶着工法としては、ダイスライドインジェクション(DSI)、ダイロータリーインジェクション(DRI)等の二色成形が挙げられる。
【0065】
工程2-Aにおいて、成形体Aと成形体Bとを直接接合させる時(以下、単に「直接接合時」ともいう)の諸条件は、以下であることが好ましい。
【0066】
工程2-Aにおいて、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形樹脂温度は、ポリアミド樹脂組成物(B)の融点以上とすることが好ましく、「ポリアミド樹脂組成物(B)の融点+100℃」未満とすることがより好ましく、250℃~300℃であることが更に好ましく、270℃~290℃であることが特に好ましい。また、直接接合時の金型温度は、40℃~90℃であることが好ましく、40℃~80℃であることがより好ましく、50℃~80℃であることが特に好ましい。また、前記金型温度は、60℃~90℃であってもよい。直接接合時の各成形体の接触時間は、各成形体の温度等に応じて適宜設定できるが、8秒~40秒であることが好ましく、8秒~30秒であることがより好ましく、10秒~15秒であることが特に好ましい。直接接合時の保持圧力は、30~120MPaであることが好ましく、50~100MPaであることが特に好ましい。前記保持圧力の保持時間は、ポリアミド樹脂組成物(B)のゲートが固化する時間であれば特に限定されない。
【0067】
〔第2の製造方法〕
複合成形体の第2の製造方法は、以下の工程1-B及び工程2-B:
工程1-B:ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを得る工程、
工程2-B:前記成形体Bの表面の全部又は一部に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、前記成形体B上に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを直接接合させる工程、
を含む。
【0068】
<工程1-B>
工程1-Bは、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを得る工程である。
工程1-Bにおいて、射出成形の方法は、工程1-Aで前記したとおりである。
工程1-Bにおいて、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形する時の樹脂温度、及びポリアミド樹脂組成物(B)を成形する際の金型温度は、工程2-Aで前記したとおりである。
【0069】
<工程2-B>
工程2-Bは、前記成形体Bの表面の全部又は一部に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)を射出成形して、前記成形体B上に、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形体Aを直接接合させる工程である。
工程2-Bにおいて、射出成形の方法は、工程1-Aで前記したとおりである。
工程2-Bにおいて、直接接合させる方法は、工程2-Aで前記したとおりである。
工程2-Bにおいて、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)の成形樹脂温度は、工程1-Aで前記したとおりである。
工程2-Bにおいて、直接接合時の金型温度は、工程1-Aで前記したとおりである。
工程2-Bにおいて、直接接合時の各成形体の接触時間、及び、直接接合時の保持圧力は、工程2-Aで前記したとおりである。前記保持圧力の保持時間は、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)又はポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を含むエラストマー組成物(A)のゲートが固化する時間であれば特に限定されない。
【0070】
〔好ましい態様〕
複合成形体の製造方法は、第1の製造方法であることが好ましく、工程1-Aにおいて、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)を射出成形して、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の成形体Aを得た後、直ちに金型を回転もしくはスライドして、工程2-Aにおいて、ポリアミド樹脂組成物(B)を射出成形して、前記成形体A上に、成形体Bを直接接合(熱融着)させる、二色射出成形法による製造方法であることが好ましい。
【0071】
[複合成形体の用途]
複合成形体は、シール性が要求される複合成形体、機械的特性(特に、引張破壊ひずみ、及び/又は、シャルピー衝撃強さ)が要求される複合成形体、又は、シール性及び機械的特性が要求される複合成形体であることができる。複合成形体は、シール部材と摺動性、防振性を要求される部材として用いられることが好ましい。シール性と摺動部性、防振性を必要とする部材としては、往復運動する部材でオイルや液体のシール部材や摺動部材として用いられることが好ましい。また、防振性を必要とする部材としては、自動車・産業機械・電機部品・ロボット等の防振クランプや支持体であることが好ましい。
【0072】
成形体A及び成形体Bの形状は、所望の複合成形体が得られる範囲で任意であり、板状、シート状、ブロック状等であってよい。また、複合成形体の形状は、成形体Aの表面の全部又は一部と成形体Bの表面の全部又は一部とが直接接合している限り、任意であり、複合成形体の用途に応じて適宜設定することができる。複合成形体は、積層体であってもよい。
【0073】
複合成形体は、金属と加硫ゴムとが積層された複合成形体と比べて、軽量で、かつ強度特性に優れる。熱可塑性樹脂組成物は、成形体の軽量化により、資源使用量の減少に寄与する観点から、SDGs(Sustainable Development Goals。持続可能な開発目標)のGoal9、13等の達成に貢献し得る。
【実施例0074】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
<評価>
1)ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率:原料組成比から算出した。
2)ショアD硬度:ISO527に準拠して230~250℃で射出成形にて試験片を作成して、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で、ISO868に準拠して、デュロメータ-硬さ試験機(タイプD)を用いて、ショアD硬度を測定した。
3)曲げ弾性率:ISO294-1に基づきタイプB型試験片を作製し、ISO178に基づき23℃雰囲気下曲げ試験を実施した。
4)末端アミノ基濃度:1gのポリエーテルポリアミドエラストマーを40mlのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加え、0.02mol/L塩酸で滴定して、末端アミノ基濃度を測定した。
5)引張破壊呼びひずみ:試験片を用いて、ISO527-1,2に基づき、23℃雰囲気下で、引張試験を実施した。
【0076】
<使用成分>
以下の成分を用いた。
1.ポリエーテルポリアミドエラストマー(PAE)
PAE1;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率60.0重量%、ショアD硬度35、曲げ弾性率60MPa、UBE(株)製
PAE2;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率52.6重量%、ショアD硬度40、曲げ弾性率90MPa、UBE(株)製
PAE3;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率38.5重量%、ショアD硬度48、曲げ弾性率150MPa、UBE(株)製
PAE4;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率26.3重量%、ショアD硬度55、曲げ弾性率260MPa、UBE(株)製
PAE5;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率10.5重量%、ショアD硬度63、曲げ弾性率560MPa、UBE(株)製
PAE6;ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率7.0重量%、ショアD硬度68、曲げ弾性率850MPa、UBE(株)製
【0077】
2.脂肪族ポリアミド樹脂:
PA6-1;ポリアミド6(末端アミノ基濃度110.0μmol/kg、UBE(株)製)
PA6-2;ポリアミド6(末端アミノ基濃度95.0μmol/kg、UBE(株)製)
PA6-3;ポリアミド6(末端アミノ基濃度39.5μmol/kg、UBE(株)製)
【0078】
3.強化繊維:
ガラス繊維(GF)ECS03T-249H(断面形状:円形、繊維平均直径10.5μm、日本電気硝子(株)製)
【0079】
<ポリアミド樹脂組成物(B)の製造>
表1に記載した脂肪族ポリアミド樹脂及び強化繊維を、コペリオン社製ZSK32Mc二軸混練機で溶融混練して、目的とするポリアミド樹脂組成物(B)のペレットを得た。
【0080】
<実施例1>
(1)試験片の作製
以下の工程1及び工程2にて、ASTM1号ダンベル試験片の形状を有する、試験片(二色射出成形法による複合成形体)を得た。図1は、接着性試験を評価するための試験片の形状を表す平面図であり、図2は、接着性試験を評価するための試験片の形状を表す側面図である。ここで、試験片は部品1(図1図2:1)と部品2(図1図2:2)から構成される。
(1-1)工程1
射出成形機(住友重機械工業製SE100D-C160S、型締め力100トン、スクリュー径28mm)を用いて、金型に図1の部品2の形状の金属片をインサートし、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、射出速度50mm/secの条件にてポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の一次成形を行い、部品1の形状を有する、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の成形体Aを得た。
(1-2)工程2
工程1で得られたポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の成形体Aを80℃で30分予熱した。その後に、部品2の形状の金属片インサートを取り除いた状態で、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の成形体Aを金型内へインサートした。シリンダー温度290℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧100MPaの条件でポリアミド樹脂組成物(B)を用いて、ポリアミド樹脂組成物(B)の二次成形を行い、部品2の形状を有する、ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体Bを得た。その後、冷却工程を経て金型より取り出すことで、試験片を得た。試験片は、部品1(ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)の成形体A)と部品2(ポリアミド樹脂組成物(B)の成形体B)との境界面が、ポリアミド樹脂組成物(B)の射出時に溶融接着されている。
【0081】
<実施例2、比較例1~比較例6>
表に示す成分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、各例の試験片を得た。
【0082】
<接着性評価>
23℃RH50%の雰囲気下の条件で、各例で得られた試験片をチャック距離160mm、引張試験速度50mm/minの引張破壊呼びひずみ(%)を測定して、接着性評価を評価した。なお、試験片において、成形体A及び成形体B(即ち、部品1及び部品2)が剥離した時は「接着せず」と評価した。
○:引張破壊呼びひずみが、50%以上である。
×:引張破壊呼びひずみが、50%未満である。
【0083】
<熱水処理後の接着性評価>
試験片を80℃の温水下に6時間浸漬した。前記と同じ条件で引張破壊呼びひずみ(%)を測定して、接着性評価を評価した。なお、試験片において、成形体A及び成形体B(即ち、部品1及び部品2)が剥離した時は「接着せず」と評価した。
○:引張破壊呼びひずみが、20%以上である。
×:引張破壊呼びひずみが、20%未満である。
【0084】
<シール性評価>
ポリエーテルポリアミドエラストマー(PAE)の曲げ弾性率から、シール性を評価した。
○:ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ弾性率が80MPa以上500MPa以下である。
×:ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ弾性率が80MPa未満である、又は、500MPa超である。
【0085】
<機械的特性評価>
脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度から、機械的特性を評価した。
○:脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が105μmmol/kg以下である。
×:脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が105μmmol/kg超である。
【0086】
結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1より、実施例の複合成形体は、接着性に優れていた。
実施例1及び2の比較によると、ポリエーテルポリアミドエラストマー(a1)のポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が大きくなると、接着性により優れていた。
比較例1の複合成形体は、末端アミノ基濃度が40μmol/kg未満である脂肪族ポリアミド樹脂を用いたため、熱水処理後の接着性が劣っていた。
比較例2~4の複合成形体は、ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30質量%未満であるポリエーテルポリアミドエラストマーを用いたため、接着性が劣っていた。また、比較例3~4で用いられたポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30質量%を大幅に下回るため、曲げ弾性率が500MPaを超えていた。これにより、比較例3~4の複合成形体は、シール性に劣っているといえる。また、比較例3~4で用いられたポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が30質量%を大幅に下回るため、アミノ基と反応するためのポリエーテル部分の量が少なく、接着性が大きく損なっていた。
比較例5で用いられたポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリエーテル化合物由来の構成単位の比率が55質量%超えるため、曲げ弾性率が80MPa未満であった。これにより、比較例5の複合成形体は、シール性に劣っているといえる。
比較例6で用いられた脂肪族ポリアミド樹脂は、末端アミノ基濃度が105μmol/kg超であるため、低分子量の成分であった。これにより、比較例6の複合成形体は、機械的特性に劣っているといえる。
【符号の説明】
【0089】
1:部品1
2:部品2
図1
図2