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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111651
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】電池積層構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20240809BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20240809BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20240809BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240809BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20240809BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240809BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240809BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/526
H01M50/522
H01M10/613
H01M10/6557
H01M10/058
H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016280
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】青谷 幸一郎
【テーマコード(参考)】
5H029
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AL12
5H029DJ05
5H029HJ04
5H031KK06
5H043AA03
5H043BA17
5H043FA04
5H043LA02F
5H043LA03F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】電池セルの積層構造において電極タブの電池セル側の部分への応力集中を低減し、且つ当該電極タブに大電流を印加可能な電池積層構造を提供する。
【解決手段】積層された2つの電池セル1(1A,1B)の電極タブ2(2A,2B)がバスバー3により互いに接続された電池積層構造において、バスバー3において、電極タブ2Aに接続された第1の板状バスバー31と電極タブ2Bに接続された第2の板状バスバー32が円筒状バスバー35を支持している。第1、第2の板状バスバー31,32は円筒状バスバー35の円筒面に接続され且つ円筒状バスバー35に巻き付けられる。電極タブ2(2A,2B)が厚み方向に互いに離間したときに、円筒状バスバー35が回転しつつ第1、第2の板状バスバー31,32巻き付き部分が円筒状バスバー35から繰り出されることでバスバー3が伸長する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム金属若しくはリチウム含有合金を含む電池セルが複数積層され、
厚み方向で位置が互いに異なる2つの電池セルの電極タブがバスバーにより互いに接続された電池積層構造において、
前記バスバーは、
前記2つの電池セルの一方の前記電極タブに接続された第1の板状バスバーと、
前記2つの電池セルの他方の前記電極タブに接続された第2の板状バスバーと、
前記第1の板状バスバーと前記第2の板状バスバーに支持された円筒状バスバーと、を含み、
前記第1の板状バスバー及び前記第2の板状バスバーは、前記円筒状バスバーの円筒面に接続され且つ前記円筒状バスバーに巻き付けられ、
前記2つの電池セルの一方の前記電極タブ及び前記2つの電池セルの他方の前記電極タブが厚み方向に互いに離間したときに、前記円筒状バスバーが回転しつつ前記第1の板状バスバー及び前記第2の板状バスバーの巻き付き部分が前記円筒状バスバーから繰り出されることで前記バスバーが伸長する電池積層構造。
【請求項2】
前記第1の板状バスバーは、
前記2つの電池セルの一方の前記電極タブに接続する第1の端部と、
前記円筒面に接続する第2の端部と、
前記第2の端部に接続し前記円筒状バスバーに巻き付けられる第1の領域と、を含み、
前記第2の板状バスバーは、
前記2つの電池セルの他方の前記電極タブに接続する第3の端部と、
前記円筒面に接続する第4の端部と、
前記第4の端部に接続し前記円筒状バスバーに巻き付けられる第2の領域と、を含み、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記円筒面の形状に倣った湾曲形状を有し、前記湾曲形状から変形した場合に前記湾曲形状に戻る方向の復元力が発生する請求項1に記載の電池積層構造。
【請求項3】
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記第1の板状バスバー及び前記第2の板状バスバーよりも厚みの薄い薄板を複数積層して形成されている請求項2に記載の電池積層構造。
【請求項4】
前記2つの前記電池セルの一方の前記電極タブと前記第1の端部との接続位置と、前記2つの前記電池セルの他方の前記電極タブと前記第3の端部との接続位置が、前記円筒状バスバーの軸方向で互いに異なる位置となる場合において、
前記第2の端部と前記第4の端部は前記円筒状バスバーの軸方向で互いに異なる位置に接続されている請求項2に記載の電池積層構造。
【請求項5】
前記円筒状バスバーの前記第2の端部が接続された位置の径と前記円筒状バスバーの前記第4の端部が接続された位置の径は互いに異なる請求項4に記載の電池積層構造。
【請求項6】
複数積層された前記電池セルは、
厚み方向で互いに隣接する一対の第1の電池セルと、
厚み方向で前記一対の第1の電池セルを挟み込む一対の第2の電池セルと、を含み、
前記一対の第1の電池セルの前記電極タブと前記一対の第2の電池セルの前記電極タブが厚み方向から見て互いに離間した位置に配置され、
前記バスバーは前記一対の第1の電池セルの一方の前記電極タブと、前記一対の第1の電池セルの他方の前記電極タブと、を接続し、
前記一対の第2の電池セルの一方の前記電極タブは第3の板状バスバーを介して前記円筒状バスバーに接続され、
前記一対の第2の電池セルの他方の前記電極タブは第4の板状バスバーを介して前記円筒状バスバーに接続され、
前記第3の板状バスバーの前記円筒状バスバーに接続する第5の端部と前記第4の板状バスバーの前記円筒状バスバーに接続する第6の端部は、前記円筒状バスバーの前記円筒面に接続され、
前記第3の板状バスバーの前記第5の端部に接続する第3の領域と前記第4の板状バスバーの前記第6の端部を含む第4の領域は、前記円筒面に巻き付けられ、
前記円筒状バスバーの前記第5の端部及び前記第6の端部が接続された位置の径は、前記円筒状バスバーの前記第2の端部及び前記第4の端部が接続された位置の径よりも大きい請求項2に記載の電池積層構造。
【請求項7】
前記第1の板状バスバー及び前記第2の板状バスバーは、厚み又は材質が互いに異なる請求項1に記載の電池積層構造。
【請求項8】
前記第1の領域の長さと前記第2の領域の長さは互いに異なる請求項2に記載の電池積層構造。
【請求項9】
前記円筒状バスバーは、同軸で軸方向に前記円筒状バスバーを貫通した貫通孔を有し、前記貫通孔には円柱部材が挿入されており、前記円柱部材は外部に支持されている請求項2に記載の電池積層構造。
【請求項10】
前記円柱部材の内部には軸方向に冷媒を流通させる冷媒通路が形成されている請求項9に記載の電池積層構造。
【請求項11】
前記第1の領域と前記第2の領域は互いに重ねられ、且つ前記第2の端部と前記第4の端部は互いに重ねられた状態で接続され、前記第2の端部又は前記第4の端部が前記円筒状バスバーに接続されている請求項2に記載の電池積層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池積層構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電池セルの電極タブと、バスバーが互いに接合された電池積層構造において、電極タブがバスバーとの接合部を起点として、巻き付け長さが変化可能な状態でバスバーの周りに巻き付けられた構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-54338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の電池セルを積層構造とした場合、充電により電池セルが厚み方向に膨張して互いに隣接するバスバーの間隔が変化した場合、電極タブの巻き付け部分のみで当該変化分を吸収することが困難となり、電極タブの電池セルの近傍に応力が発生し経年劣化の原因となる。また特許文献1の構成によれば、電極タブの電池セルとバスバーとの間となる部分の長さが外部からの振動等に応じて変化可能となるようにバスバーに巻き付けているため、電極タブの巻き付け部分は薄く長い形状になり、大電流を印加することは困難である。
【0005】
本発明は、電池セルの積層構造において電極タブの電池セル側の部分への応力集中を低減し、且つ当該電極タブに大電流を印加可能な電池積層構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電池積層構造は、リチウム金属若しくはリチウム含有合金を含む電池セルが複数積層され、厚み方向で位置が互いに異なる2つの電池セルの電極タブがバスバーにより互いに接続された電池積層構造である。この電池積層構造において、バスバーは、2つの電池セルの一方の電極タブに接続された第1の板状バスバーと、2つの電池セルの他方の電極タブに接続された第2の板状バスバーと、第1の板状バスバーと第2の板状バスバーに支持された円筒状バスバーと、を含む。ここで、第1の板状バスバー及び第2の板状バスバーは、円筒状バスバーの円筒面に接続され且つ円筒状バスバーに巻き付けられる。そして、2つの電池セルの一方の電極タブ及び2つの電池セルの他方の電極タブが厚み方向に互いに離間したときに、円筒状バスバーが回転しつつ第1の板状バスバー及び第2の板状バスバーの巻き付き部分が円筒状バスバーから繰り出されることでバスバーが伸長する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、円筒状バスバーが回転することでバスバー全体が電池セルの厚み方向に伸長するので、電極タブに対する応力集中を低減できる。また第1の板状バスバー及び第2の板状バスバーは円筒状バスバーに円弧状に巻き付ける形となるので、第1の板状バスバー及び第2の板状バスバーの厚みを確保でき、電極タブ及びバスバーに大電流を印加できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電池積層構造の模式断面図である。
図2図2は、第1実施形態の電池積層構造と比較例の動作を説明するための図であり、図2(a)は第1実施形態の電池積層構造の動作、図2(b)は比較例の動作を示す。
図3図3は、第2実施形態の電池積層構造の模式図である。
図4図4は、第3実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図4(a)は円筒状バスバーの径が一様の場合の模式図、図4(b)は円筒状バスバーの径が段差を有する場合の模式図を示す。
図5図5は、第4実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図5(a)は模式図、図5(b)は回路図である。
図6図6は、第5実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図6(a)は第1の板状バスバーの巻き付け長さが第2の板状バスバーの巻き付け長さがよりも長い場合の模式図、図6(b)は、第1の板状バスバーの第2の端部と第2の板状バスバーの第4の端部が互いに接合し、第1の板状バスバーの第1の領域と第2の板状バスバーの第4の領域が重なり、第4の端部が円筒状バスバーに接続された場合の模式図である。
図7図7は、第6実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。
図8図8は、第6実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図8(a)はバスバーの断面図、図8(b)は円筒バスバー及び円柱部材の模式図である。
図9図9は、第7実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は円柱部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電池積層構造の模式断面図である。図2は、第1実施形態の電池積層構造と比較例の動作を説明するための図であり、図2(a)は第1実施形態の電池積層構造の動作、図2(b)は比較例の動作を示す。
【0011】
本願発明の電池積層構造は、例えば電動車両に搭載され、駆動モータの電源等として用いられる。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態の電池積層構造は、電池セル1が複数積層され、複数積層された電池セル1がエンドプレート8により厚み方向から押圧された形となっている。厚み方向で互いに隣接する電池セル1の間には弾性体7が配置されている。
【0013】
なお、一対のエンドプレート8は、モジュールフレーム9(図7)により連結されている。電池セル1及びエンドプレート8は厚み方向から見て矩形の形状を有し且つ電池セル1はエンドプレート8の外形の内側に配置される。また、モジュールフレーム9はエンドプレート8の4つの角部近傍に配置されている。
【0014】
電池セル1は、正極集電箔、正極層、固体電解質層、負極層、負極集電箔の順に積層した積層体をラミネート包装したものである。電池セル1の外部には一対の電極タブ2(2A,2B)が延出し、一方の電極タブ2が正極集電箔に接続され、他方の電極タブ2が負極集電箔に接続されている。電極タブ2はアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ステンレス(SUS)等の金属で形成されている。
【0015】
負極層は、少なくともリチウム金属又はリチウム合金を包含する負極活物質により構成される。その他、負極層の材料としては、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、放電時にリチウムイオンを放出できる物質であればどのような材料でも適用できる。電池セル1を充電すると負極層が厚み方向に膨張し、充電した電池セル1を放電すると膨張した負極層の厚みが元の厚みに戻る。
【0016】
バスバー3は、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の電極タブ2同士を接続する。なお、バスバー3が接続する一方の電極タブ2の極性と他方の電極タブ2の極性は任意に選択できる。
【0017】
バスバー3は、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aに接続する第1の板状バスバー31と、当該2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bに接続する第2の板状バスバー32と、第1の板状バスバー31の電極タブ2Aに接続する第1の端部311とは反対側の第2の端部312と第2の板状バスバー32の電極タブ2Bに接続する第3の端部321とは反対側の第4の端部322に支持される円筒状バスバー35と、を含む。
【0018】
第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32、円筒状バスバー35は、銅(Cu)等の金属材料により形成されている。第1の板状バスバー31の第1の端部311と電極タブ2Aの接合、第1の板状バスバー31の第2の端部312と円筒状バスバー35との接合、第2の板状バスバー32の第3の端部321と電極タブ2Bの接合、第2の板状バスバー32の第4の端部322と円筒状バスバー35との接合は、溶接等により実現される。また、第1の板状バスバー31と第2の板状バスバー32は、円筒状バスバー35を介して電気的に互いに接続されている。
【0019】
第1の板状バスバー31の第1の端部311は、2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aの先端に接続され、第2の板状バスバー32の第3の端部321は、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bの先端に接続されている。
【0020】
円筒状バスバー35は、電池セル1の厚み方向に垂直な方向且つ電極タブ2の幅方向を軸方向とする円筒形状を有している。円筒状バスバー35は、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aの端部と、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bの端部との間に配置されている。
【0021】
円筒状バスバー35の円筒面に第1の板状バスバー31の第2の端部312及び第2の板状バスバー32の第4の端部322が接続している。第2の端部312と第4の端部322は円筒面において周方向で略180度離れた位置に配置されており、初期状態(図2(a))において第2の端部312は円筒状バスバー35の中心軸よりも低い位置に配置され、第4の端部322は円筒状バスバー35の中心軸よりも高い位置に配置される場合がある。
【0022】
第1の板状バスバー31の第2の端部312に接続する第1の領域313は、初期状態として円筒状バスバー35の円筒面の形状に倣って円弧状に湾曲しており、当該円筒面に面接触する場合がある。
【0023】
第2の板状バスバー32の第4の端部322に接続する第2の領域323も、初期状態として前記円筒面の形状に倣って円弧状に湾曲しており、当該円筒面に面接触する場合がある。
【0024】
第1の領域313及び第2の領域323は、初期状態である湾曲形状から他の形状に変形させると当該湾曲形状に戻る復元力を発生させる。
【0025】
図2において、第1の領域313の長さ及び第2の領域323の長さは、例えば前記円筒面に対して周方向で90度程度となるように巻き付けられているが、その長さは任意に設定できる。
【0026】
以上より、図2(a)に示す方向(軸方向)から見て、バスバー3は、全体として180度対称となるように形成されている。
【0027】
なお、第1の板状バスバー31(第1の端部311)は、電極タブ2Aに対して垂直となるように接続されるとともに途中から折れ曲がり、第1の領域313に向かうように形成されているが、第1の端部311から第1の領域313に至るまでの部分の形状は任意に設定できる。第2の板状バスバー32についても、第1の板状バスバー31と同様に、第3の端部321から第2の領域323に至るまでの部分の形状は任意に設定できる。
【0028】
図2(a)の左図に示すように、電池セル1の充電前において、第1の板状バスバー31の第1の領域313、及び第2の板状バスバー32の第2の領域323は円筒状バスバー35に巻き付けられた状態(面接触した状態)となっている。
【0029】
一方、図2(a)の右図に示すように、電池セル1を充電すると、電池セル1(負極層)が厚み方向に膨張するので、電極タブ2Aと電極タブ2Bとの間隔が拡がる。これにより、第1の板状バスバー31の第1の端部311及び第2の板状バスバー32の第3の端部321が互いに離間する方向に引っ張られる。すると、第1の板状バスバー31の第1の領域313は第1の端部311側に引っ張られ直線状に変形(伸長)する。同様に第2の板状バスバー32の第2の領域323は第3の端部321側に引っ張られ直線状に変形(伸長)する。このとき、円筒状バスバー35は、第1の領域313と第2の領域323が伸長した分だけ回転し、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32を円筒状バスバー35から繰り出す形となる。したがって、電極タブ2A及び電極タブ2B(特に電池セル1との接続部分)への応力集中を低減できる。さらに、第1の板状バスバー31(第1の領域313)及び第2の板状バスバー32(第2の領域323)の巻き付け長さは短くできるので、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32の厚みを厚く設定でき、これにより電池セル1(電極タブ2)及びバスバー3に大電流を印加することができる。
【0030】
また、充電した電池セル1を放電させると、電池セル1の厚みは元の厚みに戻り、電極タブ2A及び電極タブ2Bとの間隔も元に戻る。このとき、第1の領域313及び第2の領域323は復元力により元の形状に戻り、円筒状バスバー35の円筒面に再び巻き付けられ形となり、円筒状バスバー35の回転位置も元の位置に戻る。これにより、電池セル1の充電前(放電後)のバスバー3の状態、及び電池セル1の充電後(放電前)のバスバー3の状態が、それぞれ再現性を有するので電池セル1の充放電特性の再現性を高めることができる。
【0031】
図2(b)に示す比較例は、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の電極タブ2同士を板状バスバー3aにより直接接続した構成となっている。この場合、電池セル1を充電すると電池セル1は厚み方向に膨張するが板状バスバー3aはほとんど伸長しないため2つの電極タブ2は板状バスバー3aに引っ張られて湾曲し、電極タブ2(特に電池セル1との接続部分)に大きな応力が印加される。
【0032】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の電池積層構造の模式図である。第2実施形態では、第1の板状バスバー31の第1の領域313(第2の板状バスバー32の第2の領域323も同様)が第1の板状バスバー31の第1の領域313以外の部分の厚みよりも薄い薄板314を複数枚(図3では3枚)積層して形成されている。これにより、第1の領域313(及び第2の領域323)が曲がりやすくなるので、電池セル1の充電時に電極タブ2に印加される応力がさらに低減できる。
【0033】
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図4(a)は円筒状バスバー35の径が一様の場合の模式図、図4(b)は円筒状バスバー35の径が段差を有する場合の模式図を示す。
【0034】
図4(a)は、例えば、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aと、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bが厚み方向から見て幅方向で互いに異なる位置に配置される場合に好適となる。第1の板状バスバー31(第2の端部312)と第2の板状バスバー32(第4の端部322)は、円筒状バスバー35の軸方向で互いに異なる位置に接続されている。これにより、電池積層構造の設計の自由度を高めることができる。
【0035】
図4(b)は、例えば、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aと2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bにおいて、材料又は厚みが異なることで剛性(曲がりにくさ)が異なる場合(第5実施形態参照)、例えば柔らかい方となる電極タブ2Aに対する応力集中を抑制する場合に好適となる。
【0036】
図4(b)では、例えば厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aに第1の板状バスバー31の第1の端部311が接続し、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bに第2の板状バスバー32の第3の端部321が接続している。第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32は、円筒状バスバー35の軸方向で互いに異なる位置に配置されている。
【0037】
第1の板状バスバー31(第1の領域313)と第2の板状バスバー32(第2の領域323)は、円筒状バスバー35の周方向において同じ方向に巻き付けられているが、円筒状バスバー35において、第1の板状バスバー31が巻き付けられた部分の径は、第2の板状バスバー32が巻き付けられた部分の径よりも大きくなるように設計されている。これにより、電池セル1を充電して電池セル1が厚み方向に膨張したときに、第1の板状バスバー31の円筒状バスバー35からの繰り出し長さが第2の板状バスバー32の円筒状バスバー35からの繰り出し長さよりも長くなる。特に円筒状バスバー35が軸支されている場合は繰り出し長さの差が顕著に表れる。よって、電極タブ2A及び電極タブ2Bのうち、例えば柔らかい方となる電極タブ2Aに対する曲げ応力に係る応力集中を低減できる。なお電極タブ2Bの方が電極タブ2Aよりも柔らかい場合、第2の板状バスバー32が巻き付けられた部分の径を、第1の板状バスバー31が巻き付けられた部分の径よりも大きくなるように設計すればよい。
【0038】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図5(a)は模式図、図5(b)は回路図である。第4実施形態の電池積層構造は、図5(b)に示すように、4つの電池セル1A乃至電池セル1Dを積層した場合であって、電池セル1A及び電池セル1Cの並列回路(プラス側)と電池セル1Bと電池セル1Dの並列回路(マイナス側)を直列に接続する部分に適用される。
【0039】
なお、電池セル1A及び電池セル1Cの並列回路のマイナス側の接続、及び電池セル1B及び電池セル1Dの並列回路のプラス側の接続は第1実施形態等のバスバー3を適用できる。
【0040】
図5(b)に示すように、電池セル1C及び電池セル1Dは、電池セル1A及び電池セル1Bを挟むように配置されている。
【0041】
図5(a)に示すように、電池セル1Aの電極タブ2Aと、電池セル1Bの電極タブ2Bとは厚み方向で互いに対向している。電池セル1Cの電極タブ2Cと電池セル1Dの電極タブ2Dは厚み方向で互いに対向しているが、円筒状バスバー35の軸方向において電極タブ2A及び電極タブ2Bとは異なる位置に配置されている。
【0042】
電極タブ2Aには第1の板状バスバー31が接続され、電極タブ2Bには第2の板状バスバー32が接続されている。電極タブ2Cには第3の板状バスバー33が接続され、電極タブ2Dには第4の板状バスバー34が接続されている。
【0043】
第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32は、第1実施形態(図2(a)参照)と同様に、円筒状バスバー35において軸方向で同じ位置となるところで円筒状バスバー35に巻き付けられている。
【0044】
第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34は、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32と同様の形状を有している。第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34は、第1実施形態(図2(a)参照)と同様に、円筒状バスバー35において軸方向で同じ位置となるところで、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32と同じ方向で円筒状バスバー35に巻き付けられている。しかし、第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34は、円筒状バスバー35において第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32とは軸方向で異なる位置に巻き付けられている。
【0045】
電池セル1A乃至電池セル1Dを充電して、電池セル1A乃至電池セル1Dが厚み方向に膨張する場合、電極タブ2Cと電極タブ2Dとの間隔の変化量(変化量A1)は、電極タブ2Aと電極タブ2Bとの間隔の変化量(変化量A2)よりも大きく(例えばA1=2×A2)なる。
【0046】
しかし、第4実施形態では、円筒状バスバー35の第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34が巻き付けられている位置の径(直径D1)は、円筒状バスバー35の第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32が巻き付けられている位置の径(直径D2)よりも大きく(例えばD1=2×D2)なるように設定されている。
【0047】
これにより、電池セル1A乃至電池セル1Dを充電して電池セル1A乃至電池セル1Dが厚み方向に膨張したときに、第1実施形態と同様に、円筒状バスバー35が回転し、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32が円筒状バスバー35から繰り出される。よって、第1実施形態と同様に電極タブ2A及び電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0048】
また前記のように円筒状バスバー35が回転する際に、第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34も円筒状バスバー35から繰り出される。しかし、第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34の円筒状バスバー35からの繰り出し長さ(長さL1)は、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32の円筒状バスバー35からの繰り出し長さ(長さL2)よりも長く(L1=2×L2)なる。よって、電極タブ2A及び電極タブ2Bに対する応力集中のみならず電極タブ2C及び電極タブ2Dに対する応力集中も低減できる。
【0049】
[第5実施形態]
図6は、第5実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図6(a)は第1の板状バスバー31の巻き付け長さが第2の板状バスバー32の巻き付け長さがよりも長い場合の模式図、図6(b)は、第1の板状バスバー31の第2の端部312と第2の板状バスバー32の第4の端部322が互いに接合し、第1の板状バスバー31の第1の領域313と第2の板状バスバー32の第2の領域323が重なり、第4の端部322が円筒状バスバー35に接続された場合の模式図である。
【0050】
厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の正極側の電極タブ2Aとして例えばアルミニウム(Al)を適用し、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の負極側の電極タブ2Bの材料として例えばニッケル(Ni)を適用する場合がある。この場合において電極タブ2A(Ai)と電極タブ2B(Ni)を第1実施形態のバスバー3により接続した場合、電極タブ2A(Al)の剛性(ヤング率)は電極タブ2B(Ni)の剛性(ヤング率)よりも低いため、前記のように電池セル1を充電した場合に電極タブ2A(Al)に応力集中が発生するおそれがある。
【0051】
これに対応して、第5実施形態(図6(a))では、電極タブ2A(Al)に接続する第1の板状バスバー31の第1の領域313の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第2の板状バスバー32の巻き付け長さ(第2の領域323の長さ)よりも長く設定する。これにより、第1の板状バスバー31が変形しやすくなるので、電極タブ2A(Al)に対する応力集中を低減できる。逆に電極タブ2Bが電極タブ2Aよりも変形しやすい場合は、第2の板状バスバー32の第2の領域323の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第1の板状バスバー31の巻き付け長さ(第1の領域313の長さ)よりも長く設定する。これにより、第2の板状バスバー32が変形しやすくなるので、電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0052】
また第5実施形態(図6(b))では、電極タブ2Bが電極タブ2Aよりも変形しやすい場合であり、第2の板状バスバー32の第2の領域323の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第1の板状バスバー31の巻き付け長さ(第1の領域313の長さ)よりも長く設定している。さらに、第1の板状バスバー31の第2の端部312と第2の板状バスバー32の第4の端部322が接続(接合)し、第4の端部322が円筒状バスバー35の円筒面に接続(接合)している。そして、第1の板状バスバー31の第1の領域313と第2の板状バスバー32の第2の領域323が互いに接触(面接触)している。これにより、上記同様の理由により電極タブ2Bへの応力集中を低減できる。さらに、第1の領域313と第2の領域323が互いに接触することで円筒状バスバー35を介することなく電気的に互いに接続されるので、バスバー3全体の電気抵抗を低減できる。逆に電極タブ2Aが電極タブ2Bよりも変形しやすい場合は、第1の板状バスバー31の第1の領域313の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第2の板状バスバー32の巻き付け長さ(第1の領域313の長さ)よりも長く設定し、第4の端部322に第2の端部312に接合するとともに第2の端部312を円筒状バスバー35の円筒面に接合すればよい。
【0053】
ところで、第1実施形態(図2(a))においても、厚み方向で互いに隣接する2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の正極側の電極タブ2Aとして例えばアルミニウム(Al)を適用し、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の負極側の電極タブ2Bの材料として例えばニッケル(Ni)を適用する場合がある。これに対応して電極タブ2Aが電極タブ2Bよりも変形しやすい場合は、第1の板状バスバー31の厚みを第2の板状バスバー32の厚みよりも薄く設定する、または第1の板状バスバー31を第2の板状バスバー32の材質よりも柔らかい材質で形成することで、第1の板状バスバー31を変形しやすくして電極タブ2Aに対する応力集中を低減できる。逆に電極タブ2Bが電極タブ2Aよりも変形しやすい場合は、第2の板状バスバー32の厚みを第1の板状バスバー31の厚みよりも薄く設定する、または第2の板状バスバー32を第1の板状バスバー31の材質よりも柔らかい材質で形成することで、第2の板状バスバー32を変形しやすくして電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0054】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。図8は、第6実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図8(a)はバスバー3の断面図、図8(b)は円筒状バスバー35及び円柱部材4の模式図である。
【0055】
図7図8に示すように、第7実施形態の電池積層構造は、第1実施形態の電池積層構造において、円筒状バスバー35は、同軸で軸方向に円筒状バスバー35を貫通する貫通孔351(図8(a))を有し、貫通孔351には円柱部材4が挿入されており、円柱部材4は外部(モジュールフレーム9)に支持されている。円筒状バスバー35は、円柱部材4に回転自在に軸支されている(図8(b))。
【0056】
円柱部材4は、その軸方向の両端がモジュールフレーム9に支持されている。また、円柱部材4は、絶縁材料により形成され、モジュールフレーム9を通じた電池セル1間の短絡を防止している。
【0057】
第6実施形態では、円筒状バスバー35が円柱部材4に軸支されているため、第6実施形態の電池積層構造を搭載した電動車両が外部から衝撃を受けた場合であっても円筒状バスバー35の揺れを低減し、バスバー3における接触不良の発生を低減できる。
【0058】
[第7実施形態]
図9は、第7実施形態の電池積層構造を説明するための図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は円柱部材4の模式図である。第7実施形態の電池積層構造は、第6実施形態の電気積層構造を構成する円柱部材4が中空形状となっており、円柱部材4の中空部分が冷媒(水、又はオイル)を流通させる冷媒通路41となっている。
【0059】
これにより、電池セル1の充放電時において発生する発熱をバスバー3(円筒状バスバー35)において吸収することができ、電池セル1の充放電時の温度上昇を低減できる。また、バスバー3の温度上昇を抑制できるのでバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の厚みを薄く設定でき、これによりバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の円筒状バスバー35への巻き付き時の復元力を低減させ、当該復元力に伴う電極タブ2への応力集中を抑制できる。さらに、バスバー3の温度上昇も抑制できるので、温度上昇に伴うバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の伸長を抑制し、バスバー3の伸長に伴う電極タブ2への応力集中を抑制できる。
【0060】
[本実施形態の効果]
本実施形態(全実施形態)の電池席層構造は、リチウム金属若しくはリチウム含有合金を含む電池セル1が複数積層され、厚み方向で位置が互いに異なる2つの電池セル1の電極タブ2(2A,2B)がバスバー3により互いに接続された電池積層構造において、バスバー3は、2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aに接続された第1の板状バスバー31と、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bに接続された第2の板状バスバー32と、第1の板状バスバー31と第2の板状バスバー32に支持された円筒状バスバー35と、を含む。第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32は、円筒状バスバー35の円筒面に接続され且つ円筒状バスバー35に巻き付けられる。2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2A及び2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bが厚み方向に互いに離間したときに、円筒状バスバー35が回転しつつ第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32の巻き付き部分(第1の領域313、第2の領域323)が円筒状バスバー35から繰り出されることでバスバー3が伸長する。
【0061】
上記構成により、円筒状バスバー35が回転することでバスバー3全体が電池セル1の厚み方向に伸長するので、電極タブ2に対する応力集中を低減できる。また第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32は円筒状バスバー35に円弧状に巻き付ける形となるので、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32の厚みを確保でき、電極タブ2及びバスバー3に大電流を印加できる。
【0062】
本実施形態(全実施形態)において、第1の板状バスバー31は、2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aに接続する第1の端部311と、円筒状バスバー35の円筒面に接続する第2の端部312と、第2の端部312に接続し円筒状バスバー35に巻き付けられる第1の領域313と、を含み、第2の板状バスバー32は、2つの電池セル1の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bに接続する第3の端部321と、円筒状バスバー35の円筒面に接続する第4の端部322と、第4の端部322に接続し円筒状バスバー35に巻き付けられる第2の領域323と、を含む。第1の領域313及び第2の領域323は、円筒状バスバー35の円筒面の形状に倣った湾曲形状を有し、湾曲形状から変形した場合に湾曲形状に戻る方向の復元力が発生する。
【0063】
上記構成により、電池セル1の充電前(放電後)のバスバー3の状態、及び電池セル1の充電後(放電前)のバスバー3の状態が、それぞれ再現性を有するので電池セル1の充放電特性の再現性を高めることができる。
【0064】
本実施形態(第2実施形態)において、第1の領域313及び第2の領域323は、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32よりも厚みの薄い薄板314を複数積層して形成されている。
【0065】
上記構成により、第1の領域313及び第2の領域323が曲がりやすくなるので、電池セル1の充電時に電極タブ2に印加される応力がさらに低減できる。
【0066】
本実施形態(第3実施形態)において2つの電池セル1の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aと第1の端部311との接続位置と、2つの電池セル1の他方の電極タブ2Bと第3の端部321との接続位置が、円筒状バスバー35の軸方向で互いに異なる位置となる場合において、第2の端部312と第4の端部322は円筒状バスバー35の軸方向で互いに異なる位置に接続されている。
【0067】
上記構成により、電池積層構造の設計の自由度を高めることができる。
【0068】
本実施形態(第3実施形態)において、円筒状バスバー35の第2の端部312が接続された位置の径と円筒状バスバー35の第4の端部322が接続された位置の径は互いに異なる。
【0069】
上記構成により、電極タブ2A及び電極タブ2Bのうち、例えば柔らかい方となる電極タブ2Aに対する曲げ応力に係る応力集中を低減できる。なお電極タブ2Bの方が電極タブ2Aよりも柔らかい場合、第2の板状バスバー32が巻き付けられた部分の径を、第1の板状バスバー31が巻き付けられた部分の径よりも大きくなるように設計すればよい。
【0070】
本実施形態(第4実施形態)において複数積層された電池セル1は、厚み方向で互いに隣接する一対の第1の電池セル(電池セル1A,電池セル1B)と、厚み方向で一対の第1の電池セル(電池セル1A,電池セル1B)を挟み込む一対の第2の電池セル(電池セル1C,電池セル1D)と、を含む。一対の第1の電池セル(電池セル1A,電池セル1B)の電極タブ2(2A,2B)と一対の第2の電池セル(電池セル1C,電池セル1D)の電極タブ(2C,2D)が厚み方向から見て互いに離間した位置に配置される。バスバー3は一対の第1の電池セル(電池セル1A,電池セル1B)の一方(電池セル1A)の電極タブ2Aと、一対の第1の電池セル(1A,1B)の他方(電池セル1B)の電極タブ2Bと、を接続する。一対の第2の電池セル(電池セル1C,電池セル1D)の一方(電池セル1C)の電極タブ2Cは第3の板状バスバー33を介して円筒状バスバー35に接続され、一対の第2の電池セル(電池セル1C,電池セル1D)の他方(電池セル1D)の電極タブ2Dは第4の板状バスバー34を介して円筒状バスバー35に接続される。第3の板状バスバー33の円筒状バスバー35に接続する第5の端部331と第4の板状バスバー34の円筒状バスバー35に接続する第6の端部341は、円筒状バスバー35の円筒面に接続される。第3の板状バスバー33の第5の端部331に接続する第3の領域333と第4の板状バスバー34の第6の端部341を含む第4の領域343は、円筒状バスバー35の円筒面に巻き付けられる。円筒状バスバー35の第5の端部331及び第6の端部341が接続された位置の径は、円筒状バスバー35の第2の端部312及び第4の端部322が接続された位置の径よりも大きい。
【0071】
上記構成により、電池セル1A乃至電池セル1Dを充電して電池セル1A乃至電池セル1Dが厚み方向に膨張したときに、第1実施形態と同様に、円筒状バスバー35が回転し、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32が円筒状バスバー35から繰り出される。よって、第1実施形態と同様に電極タブ2A及び電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0072】
また上述のように円筒状バスバー35が回転する際に、第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34も円筒状バスバー35から繰り出される。しかし、第3の板状バスバー33及び第4の板状バスバー34の円筒状バスバー35からの繰り出し長さ(長さL1)は、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32の円筒状バスバー35からの繰り出し長さ(長さL2)よりも長く(L1=2×L2)なる。よって、電極タブ2A及び電極タブ2Bに対する応力集中のみならず電極タブ2C及び電極タブ2Dに対する応力集中も低減できる。
【0073】
本実施形態(第1実施形態)において、第1の板状バスバー31及び第2の板状バスバー32は、厚み又は材質が互いに異なる。
【0074】
上記構成により、電極タブ2Aが電極タブ2Bよりも変形しやすい場合は、第1の板状バスバー31の厚みを第2の板状バスバー32の厚みよりも薄く設定する、または第1の板状バスバー31を第2の板状バスバー32の材質よりも柔らかい材質で形成することで、第1の板状バスバー31を変形しやすくして電極タブ2Aに対する応力集中を低減できる。逆に電極タブ2Bが電極タブ2Aよりも変形しやすい場合は、第2の板状バスバー32の厚みを第1の板状バスバー31の厚みよりも薄く設定する、または第2の板状バスバー32を第1の板状バスバー31の材質よりも柔らかい材質で形成することで、第2の板状バスバー32を変形しやすくして電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0075】
本実施形態(第5実施形態(図6(a)))において、第1の領域313の長さと第2の領域323の長さは互いに異なる。
【0076】
上記構成により、電極タブ2Aに接続する第1の板状バスバー31の第1の領域313の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第2の板状バスバー32の巻き付け長さ(第2の領域323の長さ)よりも長く設定する。これにより、第1の板状バスバー31が変形しやすくなるので、電極タブ2Aに対する応力集中を低減できる。逆に電極タブ2Bが電極タブ2Aよりも変形しやすい場合は、第2の板状バスバー32の第2の領域323の長さ、すなわち円筒状バスバー35への巻き付け長さを第1の板状バスバー31の巻き付け長さ(第1の領域313の長さ)よりも長く設定する。これにより、第2の板状バスバー32が変形しやすくなるので、電極タブ2Bに対する応力集中を低減できる。
【0077】
本実施形態(第6実施形態)において、円筒状バスバー35は、同軸で軸方向に円筒状バスバー35を貫通した貫通孔351を有し、貫通孔351には円柱部材4が挿入されており、円柱部材4は外部(モジュールフレーム9)に支持されている。
【0078】
上記構成により、円筒状バスバー35が円柱部材4に軸支されているため、本実施形態の電池積層構造を搭載した電動車両が外部から衝撃を受けた場合であっても円筒状バスバー35の揺れを低減し、バスバー3における接触不良の発生を低減できる。
【0079】
本実施形態(第7実施形態)において、円柱部材4の内部には軸方向に冷媒を流通させる冷媒通路41が形成されている。
【0080】
上記構成により、電池セル1の充放電時において発生する発熱をバスバー3(円筒状バスバー35)において吸収することができ、電池セル1の充放電時の温度上昇を低減できる。また、バスバー3の温度上昇を抑制できるのでバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の厚みを薄く設定でき、これによりバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の円筒状バスバー35への巻き付き時の復元力を低減させ、当該復元力に伴う電極タブ2への応力集中を抑制できる。さらに、バスバー3の温度上昇も抑制できるので、温度上昇に伴うバスバー3(第1の板状バスバー31、第2の板状バスバー32)の伸長を抑制し、バスバー3の伸長に伴う電極タブ2への応力集中を抑制できる。
【0081】
本実施形態(第5実施形態(図6(b)))において、第1の領域313と第2の領域323は互いに重ねられ、且つ第2の端部312と第4の端部322は互いに重ねられた状態で接続され、第2の端部312又は第4の端部322が円筒状バスバー35に接続されている。
【0082】
上記構成により、第1の領域313と第2の領域323が互いに接触することで円筒状バスバー35を介することなく電気的に接続されるので、バスバー3全体の電気抵抗を低減できる。
【符号の説明】
【0083】
1 電池セル、2(2A,2B) 電極タブ、3 バスバー、31 第1の板状バスバー、311 第1の端部、312 第2の端部、313 第1の領域、32 第2の板状バスバー、321 第3の端部、322 第4の端部、323 第2の領域、35 円筒状バスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9