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特開2024-111666見当ズレの調整方法および印刷調整システム
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  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図1A
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図1B
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図2A
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図2B
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図3
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図4A
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図4B
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図5
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図6
  • 特開-見当ズレの調整方法および印刷調整システム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111666
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】見当ズレの調整方法および印刷調整システム
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20240809BHJP
   B41F 17/22 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41F17/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016302
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末森 亮介
(72)【発明者】
【氏名】白坂 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】尾関 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑直
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250EA02
2C250EA23
2C250EB26
(57)【要約】
【解決手段】印刷装置により、金属缶に予め定められた見当マークを含む印刷図柄を印刷する段階と、前記印刷図柄が印刷された金属缶を印刷ラインから取り出す段階と、前記印刷装置に設けられた複数のインカーのインク割当情報を取得する段階と、前記印刷図柄の見当ズレを分析する分析装置に前記金属缶を投入して、前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の見当ズレ量を算出する段階と、前記見当ズレ量および前記インク割当情報に基づいて、前記見当ズレを調整するための調整値を決定する段階と、前記調整値に基づいて、見当ズレ調整装置により前記印刷装置の前記見当ズレを調整する段階と、を備える見当ズレの調整方法を提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置により、金属缶に予め定められた見当マークを含む印刷図柄を印刷する段階と、
前記印刷図柄が印刷された金属缶を印刷ラインから取り出す段階と、
前記印刷装置に設けられた複数のインカーのインク割当情報を取得する段階と、
前記印刷図柄の見当ズレを分析する分析装置に前記金属缶を投入して、前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の見当ズレ量を算出する段階と、
前記見当ズレ量および前記インク割当情報に基づいて、前記見当ズレを調整するための調整値を決定する段階と、
前記調整値に基づいて、見当ズレ調整装置により前記印刷装置の前記見当ズレを調整する段階と、
を備える見当ズレの調整方法。
【請求項2】
前記分析装置により複数のインク色毎の前記見当ズレ量を取得する段階と、
前記印刷図柄に基づいて、前記複数のインク色と、前記複数のインク色のそれぞれに対応する前記見当マークとの位置関係を示す見当マーク位置データを取得する段階と、
を備える請求項1に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項3】
前記見当マーク位置データを取得する段階は、前記印刷図柄の製版画像データに基づいて前記複数のインク色と前記見当マークとの位置関係を取得する段階を有する
請求項2に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項4】
前記インク割当情報を取得する段階は、前記複数のインク色と、前記複数のインク色に対応するインカー位置とを紐づけた前記インク割当情報を取得する段階を含む
請求項2に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項5】
前記見当マーク位置データと、前記複数のインク色毎の前記見当ズレ量とに基づいて、修正すべきインカーのインカー位置と、前記インカー毎の修正量とを決定する段階と、
決定した前記インカー位置および前記インカー毎の前記修正量に基づいて、前記見当ズレを調整する段階と、
を備える請求項2に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項6】
前記金属缶を前記印刷ラインから取り出す段階は、前記印刷装置を用いて前記金属缶に前記印刷図柄が印刷された後であって前記印刷図柄の焼き付け前のウエット缶を前記印刷ラインから取り出す段階を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項7】
前記調整値を決定する段階は、前記見当ズレ量に基づいて、前記印刷装置の印刷版の位置の調整値を決定する段階を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項8】
前記調整値を決定する段階は、前記インク割当情報に基づいて、調整すべき前記印刷版に対応するインカーを特定する段階を含む
請求項7に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項9】
前記金属缶に印刷された印刷図柄の濃淡に応じてインク供給量を決定する段階を備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の見当ズレの調整方法。
【請求項10】
印刷装置に設けられた複数のインカーのインク割当情報を記録する記録部と、
見当マークを含む印刷図柄が印刷された金属缶を分析して、前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の見当ズレ量を算出し、算出した前記見当ズレ量および前記インク割当情報に基づいて、見当ズレを調整するための調整値を決定する分析装置と、
前記調整値に基づいて、前記印刷装置の前記見当ズレを調整する見当ズレ調整装置と、
を備える印刷調整システム。
【請求項11】
前記記録部を有し、前記複数のインカーのインク供給量を決定する供給量決定部を備え、
前記供給量決定部は、複数のインク色と、前記複数のインク色に対応するインカー位置とを紐づけた前記インク割当情報を取得する
請求項10に記載の印刷調整システム。
【請求項12】
前記印刷図柄の製版画像データに基づいて、前記見当マークの位置を取得する画像処理部を備え、
前記分析装置は、前記画像処理部が取得した前記見当マークの位置を、前記供給量決定部を介して取得する
請求項11に記載の印刷調整システム。
【請求項13】
前記見当ズレ調整装置は、インカー位置およびインカー毎の前記見当ズレ量を取得して、取得した前記インカー位置および前記インカー毎の前記見当ズレ量に基づいて、複数のインカーのそれぞれを調整する
請求項10から12のいずれか一項に記載の印刷調整システム。
【請求項14】
前記分析装置は、前記金属缶の前記印刷図柄を撮像した撮像画像データに基づいて前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の色の濃淡を測定する
請求項10から12のいずれか一項に記載の印刷調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見当ズレの調整方法および印刷調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「カラー印刷の色ずれを目視で簡単に判断できるようにする」ために、「互いに中心が一致した相似形の基準色のマークと測定色のマークとを有するカラー印刷用見当マークを用紙に印刷」することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2007-106042号公報
【0003】
金属缶に印刷された図柄の見当ズレをより効率的に調整することが好ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様においては、印刷装置により、金属缶に予め定められた見当マークを含む印刷図柄を印刷する段階と、前記印刷図柄が印刷された金属缶を印刷ラインから取り出す段階と、前記印刷装置に設けられた複数のインカーのインク割当情報を取得する段階と、前記印刷図柄の見当ズレを分析する分析装置に前記金属缶を投入して、前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の見当ズレ量を算出する段階と、前記見当ズレ量および前記インク割当情報に基づいて、前記見当ズレを調整するための調整値を決定する段階と、前記調整値に基づいて、見当ズレ調整装置により前記印刷装置の前記見当ズレを調整する段階と、を備える見当ズレの調整方法を提供する。
【0005】
上記見当ズレの調整方法は、前記分析装置により複数のインク色毎の前記見当ズレ量を取得する段階を備えてよい。上記見当ズレの調整方法は、前記印刷図柄に基づいて、前記複数のインク色と、前記複数のインク色のそれぞれに対応する前記見当マークとの位置関係を示す見当マーク位置データを取得する段階を備えてよい。
【0006】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記見当マーク位置データを取得する段階は、前記印刷図柄の製版画像データに基づいて前記複数のインク色と前記見当マークとの位置関係を取得する段階を有してよい。
【0007】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記インク割当情報を取得する段階は、前記複数のインク色と、前記複数のインク色に対応するインカー位置とを紐づけた前記インク割当情報を取得する段階を含んでよい。
【0008】
上記いずれかの見当ズレの調整方法は、前記見当マーク位置データと、前記複数のインク色毎の前記見当ズレ量とに基づいて、修正すべきインカーのインカー位置と、前記インカー毎の修正量とを決定する段階を備えてよい。上記いずれかの見当ズレの調整方法は、決定した前記インカー位置および前記インカー毎の前記修正量に基づいて、前記見当ズレを調整する段階を備えてよい。
【0009】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記金属缶を前記印刷ラインから取り出す段階は、前記印刷装置を用いて前記金属缶に前記印刷図柄が印刷された後であって前記印刷図柄の焼き付け前のウエット缶を前記印刷ラインから取り出す段階を含んでよい。
【0010】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記調整値を決定する段階は、前記見当ズレ量に基づいて、前記印刷装置の印刷版の位置の調整値を決定する段階を含んでよい。
【0011】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記調整値を決定する段階は、前記インク割当情報に基づいて、調整すべき前記印刷版に対応するインカーを特定する段階を含んでよい。
【0012】
上記いずれかの見当ズレの調整方法において、前記金属缶に印刷された印刷図柄の濃淡に応じてインク供給量を決定する段階を備えてよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、印刷装置に設けられた複数のインカーのインク割当情報を記録する記録部と、見当マークを含む印刷図柄が印刷された金属缶を分析して、前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の見当ズレ量を算出し、算出した前記見当ズレ量および前記インク割当情報に基づいて、見当ズレを調整するための調整値を決定する分析装置と、前記調整値に基づいて、前記印刷装置の前記見当ズレを調整する見当ズレ調整装置と、を備える印刷調整システムを提供する。
【0014】
上記印刷調整システムは、前記記録部を有し、前記複数のインカーのインク供給量を決定する供給量決定部を備えてよい。前記供給量決定部は、複数のインク色と、前記複数のインク色に対応するインカー位置とを紐づけた前記インク割当情報を取得してよい。
【0015】
上記いずれかの印刷調整システムは、前記印刷図柄の製版画像データに基づいて、前記見当マークの位置を取得する画像処理部を備えてよい。前記分析装置は、前記画像処理部が取得した前記見当マークの位置を、前記供給量決定部を介して取得してよい。
【0016】
上記いずれかの印刷調整システムにおいて、前記見当ズレ調整装置は、インカー位置およびインカー毎の前記見当ズレ量を取得して、取得した前記インカー位置および前記インカー毎の前記見当ズレ量に基づいて、複数のインカーのそれぞれを調整してよい。
【0017】
上記いずれかの印刷調整システムにおいて、前記分析装置は、前記金属缶の前記印刷図柄を撮像した撮像画像データに基づいて前記金属缶に印刷された前記印刷図柄の色の濃淡を測定してよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】印刷システム200の概要を示すブロック図である。
図1B】印刷システム200を用いた見当ズレの調整方法を説明するためのフローチャートの一例である。
図2A】金属缶300に図柄を印刷するための印刷装置100の一例である。
図2B】プレートシリンダ214の拡大図の一例である。
図3】分析装置110の構成の概要を示す。
図4A】判定領域320に印刷される第1見当マーク321の一例を示す。
図4B】判定領域320に印刷される第2見当マーク322の一例を示す。
図5】紐づけ情報Itの一例を示す。
図6】モニタに表示された、金属缶300の撮像画像データの一例を示す。
図7】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1Aは、印刷システム200の概要を示すブロック図である。印刷システム200は、印刷装置100と、分析装置110と、供給量決定部120と、見当ズレ調整装置130と、画像処理部140とを備える。
【0022】
印刷装置100は、金属缶300に予め定められた図柄を印刷する。金属缶300の印刷図柄には、図柄の位置合わせをするための見当マークが含まれてよい。印刷装置100は、金属缶300に図柄を印刷するための複数のインカー(インクステーション)を備える。本例の印刷装置100は、8色のインクを供給するための8つのインカーを備える。印刷装置100の構成については後述する。
【0023】
供給量決定部120は、複数のインカーのインク供給量を決定する。供給量決定部120は、複数のインク色と、複数のインク色に対応するインカー位置とを紐づけたインク割当情報Iaを取得してよい。インク割当情報Iaは、作業者によって供給量決定部120に入力されてよい。供給量決定部120は、供給量制御部122および記録部124を有する。
【0024】
供給量制御部122は、印刷装置100のインク供給量を制御する。供給量制御部122は、印刷装置100の複数のインカーにおけるそれぞれのインク供給量を制御することにより、金属缶300の印刷図柄の濃淡を調整してよい。供給量制御部122は、複数回に分けてインクが供給されるように、複数のインカーのインク供給量を設定してよい。
【0025】
記録部124は、印刷装置100に設けられた複数のインカーのインク割当情報Iaを記録する。記録部124は、インク割当情報Iaを供給量制御部122に提供してよい。記録部124は、後述する見当ズレ量Qm、調整値Vaおよび見当マーク位置データDmを記録してもよい。記録部124は、供給量決定部120以外の印刷装置100内に備え付けられてもよいし、印刷装置100とネットワークを介して接続された外部の記録装置であってもよいし、クラウド上に設けられてもよい。
【0026】
分析装置110は、見当マークを含む印刷図柄が印刷された金属缶300を分析して、金属缶300に印刷された印刷図柄の見当ズレ量Qmを算出する。分析装置110は、金属缶300をマンドレルに挿入して自転させ、自転中の金属缶300を撮像した撮像画像データを取得してよい。分析装置110は、取得した撮像画像データに基づいて、見当ズレ量Qmを算出してよい。分析装置110は、複数のインク色毎の見当ズレ量Qmを取得してよい。
【0027】
分析装置110は、供給量決定部120からインク割当情報Iaを取得してよい。分析装置110は、供給量決定部120の記録部124からインク割当情報Iaを取得してよい。
【0028】
分析装置110は、見当ズレ量Qmおよびインク割当情報Iaに基づいて、見当ズレを調整するための調整値Vaを決定してよい。調整値Vaは、プレートシリンダ214の位置の調整量を含んでよく、印刷版の位置の調整量を含んでよく、インク供給量の調整量を含んでよい。分析装置110は、決定した調整値Vaを見当ズレ調整装置130に提供してよい。分析装置110は、複数のインカー毎に調整値Vaを決定してよい。分析装置110は、決定した調整値Vaを供給量決定部120に提供してもよい。
【0029】
見当ズレ調整装置130は、調整値Vaに基づいて、印刷装置100の見当ズレを調整する。見当ズレ調整装置130は、インカー位置およびインカー毎の見当ズレ量Qmを取得して、取得したインカー位置およびインカー毎の見当ズレ量Qmに基づいて、複数のインカーのそれぞれのプレートシリンダ214の位置を調整してよい。見当ズレ調整装置130は、プレートシリンダ214の位置を検出するセンサを備え、調整された結果を出力してよい。見当ズレ調整装置130は、印刷装置100に設けられ、調整値Vaに応じて自動で印刷装置100の設定を変更してよい。これにより、作業者が印刷装置100に移動することなく見当ズレを調整できる。即ち、見当ズレ調整装置130を用いることにより、作業者がリモートで印刷装置100の見当ズレを調整できる。
【0030】
調整値Vaの決定は、見当ズレ調整装置130で実行されてもよい。即ち、見当ズレ調整装置130は、分析装置110が算出した見当ズレ量Qmを取得して、見当ズレ量Qmに応じた調整値Vaを決定してもよい。
【0031】
画像処理部140は、印刷図柄の画像を処理して、印刷画像に関する情報を取得する。画像処理部140は、印刷図柄に基づいて、見当マークの位置を取得してよい。画像処理部140は、印刷図柄の製版画像データをデータベースから取得して、製版画像データを処理してよい。製版画像データは、インク色毎の印刷図柄に関する情報を含んでよい。
【0032】
画像処理部140は、印刷図柄の製版画像データに基づいて、見当マーク位置データDmを取得してよい。見当マーク位置データDmは、複数のインク色と、複数のインク色のそれぞれに対応する見当マークとの位置関係を含んでよい。見当マーク位置データDmを用いることで、撮像画像データの見当マークの位置からインク色を判別することができる。
【0033】
分析装置110は、画像処理部140が取得した見当マークの位置を、供給量決定部120を介して取得してよい。見当マーク位置データDmは、画像処理部140から供給量決定部120に送信されて、記録部124に記録されてよい。分析装置110は、記録部124に記録された見当マーク位置データDmを読み出してよい。
【0034】
なお、分析装置110は、金属缶300の印刷図柄の見当ズレの分析だけでなく、印刷図柄の欠けまたは位置などのその他の品質を分析してよい。分析装置110は、金属缶300の印刷図柄の撮像画像データに基づいて金属缶300に印刷された印刷図柄の色の濃淡を測定してよい。これにより、分析装置110は、印刷予定通りの濃淡で印刷図柄が印刷されているか否かを判定してもよい。
【0035】
本例の印刷システム200を用いることで、作業者が一色毎に手作業で見当ズレを調整する必要がなくなる。これにより、版替えに必要な時間を短縮して、印刷ラインの生産効率を向上することができる。
【0036】
図1Bは、印刷システム200を用いた見当ズレの調整方法を説明するためのフローチャートの一例である。本例のフローチャートは、見当ズレの調整方法の一例でありこれに限定されない。
【0037】
ステップS100において、金属缶300に予め定められた見当マークを含む印刷図柄を印刷する。ステップS100は、金属缶300への印刷図柄の試し刷り工程であってよい。金属缶300への印刷はオーバーバニッシュの塗布を省略してもよい。
【0038】
ステップS102において、印刷図柄が印刷された金属缶300を印刷ラインから取り出す。金属缶300に印刷図柄が印刷された後であって図柄の焼き付け前のウエット缶を印刷ラインから取り出してよい。金属缶300の印刷図柄の焼き付け後のドライ缶を印刷ラインから取り出してもよい。金属缶300は、印刷後の搬送用のピンチェーンから作業者によって治具を用いて取り出されてよい。
【0039】
ステップS104において、印刷装置100に設けられた複数のインカーのインク割当情報Iaを取得する。インク割当情報Iaは、金属缶300に図柄が印刷される前に取得してよい。
【0040】
ステップS106において、分析装置110に金属缶300を投入して、金属缶300に印刷された印刷図柄の見当ズレ量Qmを算出する。分析装置110は、印刷図柄の撮像画像データに基づいて、金属缶300の印刷図柄の見当ズレ量Qmを算出してよい。金属缶300は、作業者によって印刷ラインから手動で取り出されてもよいし、機械によって自動で取り出されてもよい。金属缶300は、ウエット缶であってもよいし、ドライ缶であってもよい。金属缶300としてウエット缶を取り出して分析装置110に投入することにより、金属缶300の焼き付けを待つことなく、見当ズレを調整することができる。
【0041】
ステップS108において、見当ズレ量Qmおよびインク割当情報Iaに基づいて、見当ズレを調整するための調整値Vaを決定する。調整値Vaは、見当ズレ量Qmおよびインク割当情報Iaに基づいて自動で設定されてよい。但し、自動で設定された調整値Vaは、作業者によって手動でさらに調整されてもよい。
【0042】
ステップS110において、調整値Vaに基づいて、見当ズレ調整装置130により印刷装置100の見当ズレを調整する。印刷装置100は、調整値Vaによって見当ズレが調整された後に、更にステップS100に戻り、金属缶300に印刷図柄を印刷してよい。ステップS100からステップS110を繰り返すことにより、印刷装置100の印刷精度を向上することができる。なお、ステップS100からステップS110を繰り返す場合、ステップS104は省略されてもよい。
【0043】
図2Aは、金属缶300に図柄を印刷するための印刷装置100の一例である。印刷装置100は、印刷部210および容器供給搬出部220を備え、金属缶300に予め定められた図柄を印刷する。
【0044】
印刷部210は、金属缶300に予め定められた図柄を印刷する。印刷部210は、インクステーション212(インカー)と、プレートシリンダ214と、ブランケット215と、ブランケット胴217と、回転軸218とを備える。本例の印刷部210は、8種類のインクステーション212a~212hおよびプレートシリンダ214a~214hを有するが、インクの種類はこれに限定されない。
【0045】
インクステーション212は、予め定められた色のインクを貯留して、プレートシリンダ214が支持する印刷版に供給する。インクステーション212は、インクを供給するためのフォームローラを有してよい。インクステーション212は、フォームローラを介して、プレートシリンダ214が有する印刷版へインクを供給する。
【0046】
ブランケット215は、各インクステーション212により載置されたインクを移送するゴム状の部材である。ブランケット215は、ブランケット胴217の外周に支持される。ブランケット215は、回転軸218を中心としたブランケット胴217の回転に応じて、各インクステーション212と対応する位置に移送される。ブランケット215が各プレートシリンダ214の印刷版に次々に接触して、ブランケット215上にインクが載置される。
【0047】
ブランケット215は、ブランケット胴217とマンドレルターレット224との間に移送され、ブランケット胴217および金属缶300の間で押圧される。これにより、ブランケット215に載置されたインクは、金属缶300へと転写される。
【0048】
容器供給搬出部220は、シュータ222と、マンドレルターレット224と、トランスファターレット226と、バニッシュコーティング部228と、搬出経路229とを有する。金属缶300は、シュータ222を通過して、マンドレルターレット224に搬送される。
【0049】
マンドレルターレット224は、ブランケット胴217と対向して設けられる。マンドレルターレット224は、マンドレルにて金属缶300を保持して回転して、金属缶300をブランケット215と対向する位置に移動する。そして、マンドレルターレット224とブランケット胴217との間において、金属缶300が印刷される。
【0050】
その後、金属缶300は、トランスファターレット226を介して、搬出経路229に搬出される。バニッシュコーティング部228は、マンドレルターレット224に併設され、印刷処理後の金属缶300にオーバーバニッシュを塗布してよい。
【0051】
図2Bは、プレートシリンダ214の拡大図の一例である。プレートシリンダ214には、印刷版240が支持される。インクは、インクステーション212のインク供給機構であるフォームローラ230から、印刷版240を通じてブランケット215へと転写される。
【0052】
印刷版240は、表面上に凸部242を有する。印刷版240は、フォームローラ230等のインクステーション212におけるインク供給機構に接触し、印刷版240の凸部242にインクが付着する。インクが付着した印刷版240は、プレートシリンダ214およびブランケット胴217の回転により、ブランケット胴217の支持部219に支持されるブランケット215の表面に次々に接触する。これにより、印刷版240の凸部242に付着しているインクは、ブランケット215へと転写される。印刷版240は凸部の無い平版であってもよい。
【0053】
印刷版240は、A版である印刷版240aと、B版である印刷版240bとを有する。即ち、本例の印刷装置100は、1つのプレートシリンダ214にA版とB版の2つの印刷版240が取り付けられているが、1つまたは3つ以上の複数の印刷版240を取り付けてもよい。
【0054】
図3は、分析装置110の構成の概要を示す。本例の分析装置110は、マンドレル10と、照射部20と、撮像部30と、算出部40と、調整値決定部50とを備える。
【0055】
印刷装置100は、印刷ラインから金属缶300を取得する。分析装置110によって分析する金属缶300は、図柄の焼き付け前であるウエット缶であってよいし、図柄が焼き付けられた後のドライ缶であってもよい。分析装置110は、ウエット缶を分析することにより、図柄を焼き付けるためのオーブン通過に必要な3~5分程度の待ち時間を削減することができる。なお、分析装置110は、撮像した際に輪郭が不鮮明になることを避けるために、仕上げ用のニス(オーバーバニッシュ)が塗布される前のウエット缶を分析してよい。
【0056】
分析装置110は、金属缶300に図柄を印刷するための印刷ラインと連結されていないオフラインの装置であってよい。そのため、分析装置110は、金属缶300を自転させながら高精度に金属缶300の見当ズレを分析することができる。また、分析装置110がオフラインの装置であれば、複数の印刷ラインで分析装置110を共用することができる。
【0057】
マンドレル10は、金属缶300の内側に挿入され、金属缶300を自転させる。マンドレル10は、予め定められた回転速度で金属缶300を自転させてよい。マンドレル10を金属缶300の内径にフィットさせることにより、金属缶300の断面が真円ではなく歪んだ場合であっても、金属缶300の断面を真円に近づくように矯正することができる。これにより、金属缶300の撮像面と撮像部30との距離が安定しやすくなり、湾曲の少ない撮像画像データを取得しやすくなる。
【0058】
照射部20は、印刷図柄の画像を取得するために金属缶300に照明光を照射する。照射部20は、金属缶300の自転中に照明光を照射してよい。照射部20は、撮像面に対して撮像部30と正反射の位置に配置される正反射照明を照射してよく、撮像面に対して撮像部30と正反射ではない位置に配置される拡散照明を照射してよく、正反射照明および拡散照明を同時に照射してもよい。
【0059】
撮像部30は、金属缶300の自転中に、金属缶300の印刷図柄を撮像する。撮像部30は、照射部20から金属缶300に照射された照明の反射光を受光することにより、金属缶300の印刷図柄を撮像して、撮像画像データを取得する。撮像部30は、自転した金属缶300を撮像するためのラインスキャンカメラであってよい。ラインスキャンカメラを用いることで、見当ズレの分析精度が向上する。撮像部30は、金属缶300の湾曲のない全周画像を取得することができる。
【0060】
算出部40は、印刷図柄の撮像画像データに基づいて、見当ズレ量Qmを算出する。見当ズレ量Qmは、金属缶300における周方向とハイト方向(即ち、回転軸の軸方向)に分けて算出してよい。算出部40は、インク割当情報Iaを供給量決定部120の記録部124から取得して、インク割当情報Iaに基づいて、インカー毎に見当ズレ量Qmを算出してよい。
【0061】
調整値決定部50は、見当ズレ量Qmに基づいて調整値Vaを決定する。調整値決定部50は、調整値Vaとして、インカー毎の見当ズレの修正量を決定してよい。より具体的には、調整値決定部50は、見当マーク位置データDmと、複数のインク色毎の見当ズレ量Qmとに基づいて、修正すべきインカーのインカー位置と、インカー毎の修正量とを決定してよい。これにより、見当ズレ調整装置130は、決定したインカー位置およびインカー毎の修正量に基づいて、見当ズレを調整することができる。
【0062】
調整値決定部50は、見当ズレ量Qmに基づいて、印刷装置100のプレートシリンダ214の位置の調整値Vaを決定してよい。調整値決定部50は、それぞれのプレートシリンダ214について、ハイト方向および周方向の位置を調整するための調整値Vaを決定してよい。即ち、調整値決定部50は、複数のインカーのそれぞれの計8種類の調整値Vaを決定してよい。調整値決定部50は、インク割当情報Iaに基づいて、調整すべきプレートシリンダ214に対応するインカーを特定してよい。
【0063】
本実施例では1つのプレートシリンダ214にA版、B版の複数の印刷版240が取り付けられている。調整値決定部50は、印刷版240のA版とB版との見当ズレ量Qmの乖離を低減するように、同一のプレートシリンダ214に取り付けられている複数の印刷版240のそれぞれの見当ズレ量Qmに基づいて、プレートシリンダ214の位置の調整値Vaを決定してよい。調整値Vaは複数の印刷版240それぞれの見当ズレ量Qmの平均値に基づいて決定してもよい。または、複数の印刷版240のいずれかの1つの見当ズレ量Qmに基づいて調整値Vaを決定してもよい。この場合、調整値Vaにて見当ズレ調整を行った後、さらに微調整を行ってよい。
【0064】
なお、分析装置110は、A版とB版のそれぞれの見当ズレ量Qmを測定し、それぞれの見当ズレ量Qmの平均からの乖離を算出してよい。分析装置110は、A版とB版の見当ズレ量Qmの平均値を出力してよい。分析装置110は、A版とB版との乖離を取得して、乖離が予め定められた値よりも大きい場合に、プレートシリンダ214の版付け状態を改善するようにアラートを出してもよい。
【0065】
本例の分析装置110を用いて見当ズレ量Qmを算出することにより、ルーペを用いて人の感覚で印刷図柄のズレを修正する場合と比較して、客観的に金属缶300の見当ズレを分析することができる。また、見当ズレ量Qmに基づいて、調整値Vaを決定することにより、見当ズレの解消を自動化することができる。
【0066】
本例の分析装置110は、印刷ラインから金属缶300を取り出して、オフラインで金属缶300を分析する。インラインでの検査では、缶の自転機構の設置が困難であるので、ラインスキャンカメラを使用する代わりにエリアカメラを使用する場合がある。エリアカメラでは、湾曲した缶画像しか得られず、高精度な撮像画像データを取得することが困難な場合がある。本例の分析装置110は、湾曲のない撮像画像データを取得することができるので、見当ズレ量の測定精度が向上し、また、異なる撮像画像データ同士を容易に比較することができる。これにより、印刷システム200は、印刷装置100の版替え時の見当調整作業を高精度かつ高速化することができる。印刷版240またはインキを変更する際に、印刷工程が印刷ラインを含む金属缶300の製缶ライン全体の停止要因となるので、見当調整作業を高速化することで製缶ラインの停止時間を短縮することができる。
【0067】
濃度データ取得部60は、撮像部30が撮影した撮像画像データに基づいて、金属缶300に印刷された印刷図柄の濃度データDcを取得する。濃度データDcは、印刷図柄の濃淡に関するデータを含んでよい。濃度データDcは、印刷図柄の位置情報と関連付けてマッピングされたデータであってよい。
【0068】
調整値決定部50は、濃度データ取得部60が取得した濃度データDcに基づいて、供給量決定部120でインク供給量を決定するための調整値Vaを決定してよい。調整値決定部50は、金属缶300に印刷された印刷図柄の濃淡に応じてインクの過不足を判断してよい。調整値決定部50は、金属缶300の印刷図柄が濃い場合にインク供給量が小さくなるように調整値Vaを決定して、金属缶300の印刷図柄が薄い場合にインク供給量が大きくなるように調整値Vaを決定してよい。
【0069】
図4Aは、判定領域320に印刷される第1見当マーク321の一例を示す。判定領域320は、金属缶300に印刷され見当ズレ量Qmを算出するために用いる。
【0070】
本例の判定領域320は、7つの第1見当マーク321a~321gを含む。第1見当マーク321の個数はこれに限定されない。第1見当マーク321は、第1基準マーク91および第1印刷マーク96をそれぞれ含む。第1基準マーク91は8つのプレートシリンダのうちの1つに対応し、7つの第1印刷マーク96は他の7つのプレートシリンダに対応している。本例の第1基準マーク91および第1印刷マーク96は、十字形であるがこれに限定されない。
【0071】
第1基準マーク91は、金属缶300に印刷され、見当ズレ判定の基準となる。複数の第1基準マーク91は、同一の印刷版240を用いて印刷される。即ち、複数の第1基準マーク91同士の相対的な位置関係には、見当ズレが発生していない。
【0072】
第1印刷マーク96は、第1基準マーク91との相対的な位置関係に基づいて、見当ズレを判定するために用いられる。第1印刷マーク96は、7つの第1基準マーク91に対応して、7つの第1印刷マーク96a~96gを含む。第1印刷マーク96は、第1基準マーク91と離間せずに印刷されている。第1印刷マーク96a~第1印刷マーク96gは、それぞれ異なるプレートシリンダ214の印刷版240を用いて異なる色で印刷されてよい。
【0073】
なお、第1基準マーク91および第1印刷マーク96a~第1印刷マーク96gは、ブランケットに転写した後に金属缶300にまとめて印刷されてもよい。また、第1基準マーク91および第1印刷マーク96a~第1印刷マーク96gは、別々に金属缶300に印刷されてもよい。
【0074】
図4Bは、判定領域320に印刷される第2見当マーク322の一例を示す。第2見当マーク322は、第1見当マーク321と併用されてもよいし、単独で用いられてもよい。
【0075】
本例の判定領域320は、7つの第2見当マーク322a~322gを含む。第2見当マーク322の個数はこれに限定されない。第2見当マーク322は、第2基準マーク92および第2印刷マーク97をそれぞれ含む。第2基準マーク92は8つのプレートシリンダのうちの1つに対応し、7つの第2印刷マーク97は他の7つのプレートシリンダに対応している。本例の第2基準マーク92および第2印刷マーク97は、円形を有するが、これに限定されない。
【0076】
第2基準マーク92は、金属缶300に印刷され、見当ズレ判定の基準となる。複数の第2基準マーク92は、同一の印刷版240によって一度に印刷される。即ち、複数の第2基準マーク92同士の相対的な位置関係には、見当ズレが発生していない。第2基準マーク92は、第1基準マーク91と同一の印刷版240によって一度に印刷されてよい。
【0077】
第2印刷マーク97は、第2基準マーク92との相対的な位置関係に基づいて、見当ズレを判定するために用いられる。第2印刷マーク97a~第2印刷マーク97gは、異なるプレートシリンダ214の印刷版240を用いて異なる色で印刷されてよい。第2印刷マーク97a~第2印刷マーク97gの印刷版240のインクは、それぞれ異なっていてもよいし、一部または全部が同一であってもよい。
【0078】
なお、第2基準マーク92および第2印刷マーク97a~第2印刷マーク97gは、ブランケットに転写した後に金属缶300にまとめて印刷されてよい。また、第2基準マーク92および第2印刷マーク97a~第2印刷マーク97gは、別々に金属缶300に印刷されてもよい。
【0079】
第2基準マーク92および第2印刷マーク97は、互いに離間して印刷されてよい。第2基準マーク92および第2印刷マーク97は、互いに完全に分離されていてもよいし、一部が連結されていてもよい。本例の第2基準マーク92および第2印刷マーク97は、互いに完全に分離されており、印刷時のインクの混濁を回避することができる。
【0080】
ここで、第2見当マーク322は、第1見当マーク321のように十字マークを重ねたものと比較して、いずれの色がずれているのかを画像処理で容易に判断することができる。また、第2見当マーク322を用いることで、印刷の太りなのか見当ズレによる太りなのかを画像処理で判断しやすくなる。一方、十字形のような第1見当マーク321を用いることにより、目視であっても見当ズレの大きさを測定しやすくなる。第1見当マーク321および第2見当マーク322を併用することで画像処理の精度を向上しつつ、目視による見当ズレの大きさの検知精度を向上することができる。
【0081】
図5は、紐づけ情報Itの一例を示す。本例の紐づけ情報Itは、インカー位置とその他の情報とを紐づけた情報を含む。紐づけ情報Itは、インク割当情報Iaおよび見当マーク位置データDmを含んでよい。
【0082】
紐づけ情報Itは、複数のインク色と、複数のインク色に対応するインカー位置との関係を示す情報を含む。本例の紐づけ情報Itは、インカー位置U1~U8と、対応するインク色との関係を示すインク割当情報Iaを含む。本例の紐づけ情報Itは、インカー位置U1~U8が、白、黄、橙、紫、赤、緑、青および黒にそれぞれ対応していることを示している。
【0083】
本例の紐づけ情報Itは、見当マーク位置、印刷版240および調整値Vaの情報も紐づけている。本例の紐づけ情報Itは、インク色と見当マーク位置とを紐づけた見当マーク位置データDmを含む。見当マーク位置は、第1見当マーク321または第2見当マーク322のうち、見当マークが印刷される位置を示す。例えば、見当マーク位置がaの場合、第1見当マーク321aおよび第2見当マーク322aの位置に見当マークが印字されることを示す。見当マーク位置を特定することにより、画像処理で取得した見当マークがいずれのインカー位置で印刷されたかを特定することができる。
【0084】
図6は、モニタに表示された、金属缶300の撮像画像データの一例を示す。本図は、トリム端350の近傍の画像データを示している。
【0085】
分析装置110は、金属缶300の撮像画像データに基づいて、判定領域320を自動で検出してよい。本例の分析装置110は、金属缶300の缶型が多岐にわたり判定領域320の位置が缶型に応じて異なる場合であっても、判定領域320の検討マークを自動サーチして、自動で判定領域320の位置を検出することができる。
【0086】
分析装置110は、トリム端350を用いて判定領域320の位置を検知してよい。本例の分析装置110は、判定領域320のトリム端350からの距離Ltを測定する。具体的には、分析装置110は、トリム端350からの見当マークの距離を測定してよい。分析装置110は、トリム端350からの判定領域320の位置を検知することで、より正確に判定領域320の位置を特定できる。このように、分析装置110は、見当マーク間の見当ズレ量Qmだけでなく、図柄全体が上下することで生じるトリム端350からのズレ量も検出することができる。分析装置110は、トリム端350と画像エッジ360との誤検出を防止するために、検出したエッジのうち最も高いエッジをトリム端350に設定してよい。
【0087】
判別領域370は、図柄を印刷するための印刷版240のA版およびB版のいずれかで印刷された図柄かを判別するために設けられる。A版およびB版で印刷状態が異なるところ、A版とB版とを区別することで、いずれの印刷版240がどの程度ずれているかを検知することができる。
【0088】
分析装置110は、判別領域370に印刷された目印の相異点に応じて、印刷版240のA版およびB版のいずれかを識別する。一例において、分析装置110は、目印の相異点として、目印の面積の大小、形状、色などを用いる。判別領域370は、A版が使用された場合に数字の「1」が印刷され、B版が使用された場合に数字の「2」が印刷されてよい。分析装置110は、判別領域370に印刷された面積の大小に応じてAB版を識別してよい。例えば、数字の「1」は、数字の「2」よりも面積が小さいので、判別領域370に印刷された図柄の面積が予め定められた面積よりも小さい場合にA版と判別して、予め定められた面積よりも大きい場合にB版と判別することができる。また、判別領域370を2つ設定し、A版の場合は一方に目印を印刷し、B版の場合は他方に目印を印刷してよい。2つの判別領域370のどちらに目印が印刷されているかを判別し、AB版を識別してよい。
【0089】
ネガ番号330は、金属缶300に印刷された図柄のデザインに関する情報と紐づけられてよい。デザインに関する情報には、印刷上の注意点などの図柄に固有の情報が含まれてよい。ネガ番号330から得られた情報は、画面上に表示されてもよい。ネガ番号330は、金属缶300の缶自体にも印刷とは別に印字されてよい。ネガ番号330は2次元コードなどのバーコードに変換して印字されても良い。
【0090】
なお、分析装置110は、金属缶300に印字された個体番号を読み取り、サーバーから金属缶300に関連付けられた生産データを取得してよい。生産データは、金属缶300の印刷時に保持したマンドレルの番号を含んでよく、金属缶300が印刷されたブランケットの番号を含んでよく、印刷ラインの前工程に関連する情報を含んでよい。
【0091】
図7は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作又は当該装置の1又は複数のセクションとして機能させることができ、又は当該操作又は当該1又は複数のセクションを実行させることができ、及び/又はコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0092】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、及びディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、及びICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230及びキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0093】
CPU2212は、ROM2230及びRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0094】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラム又はデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0095】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0096】
プログラムが、DVD-ROM2201又はICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、又はROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0097】
例えば、通信がコンピュータ2200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0098】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0099】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0100】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上又はコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0102】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0103】
10・・・マンドレル、20・・・照射部、30・・・撮像部、40・・・算出部、50・・・調整値決定部、60・・・濃度データ取得部、91・・・第1基準マーク、92・・・第2基準マーク、96・・・第1印刷マーク、97・・・第2印刷マーク、100・・・印刷装置、110・・・分析装置、120・・・供給量決定部、122・・・供給量制御部、124・・・記録部、130・・・見当ズレ調整装置、140・・・画像処理部、200・・・印刷システム、210・・・印刷部、212・・・インクステーション、214・・・プレートシリンダ、215・・・ブランケット、217・・・ブランケット胴、218・・・回転軸、219・・・支持部、220・・・容器供給搬出部、222・・・シュータ、224・・・マンドレルターレット、226・・・トランスファターレット、228・・・バニッシュコーティング部、229・・・搬出経路、230・・・フォームローラ、240・・・印刷版、242・・・凸部、300・・・金属缶、320・・・判定領域、321・・・第1見当マーク、322・・・第2見当マーク、330・・・ネガ番号、350・・・トリム端、360・・・画像エッジ、370・・・判別領域、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入/出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入/出力チップ、2242・・・キーボード
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7