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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111668
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】戸車
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
E05D15/06 105
E05D15/06 108
E05D15/06 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016304
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 憲孝
(72)【発明者】
【氏名】奥村 文野
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034AA00
2E034BA02
2E034BD01
2E034BD02
2E034BD03
2E034BD04
(57)【要約】
【課題】合成樹脂製の車輪の内周面に対して軸受を圧入してなる戸車において、嵌合力のばらつきを小さくすることができ、車輪を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用しても、車輪の内周面の寸法管理が容易になる戸車を提供する。
【解決手段】開口部を開閉する障子の下框に取り付けて使用する戸車1である。合成樹脂製の車輪2と、車軸3と、車輪2の内周面2Aと車軸3の外周面3Aとの間に嵌合する軸受4とを含む。車輪2の内周面2Aの軸方向Jの第1端部J1に、径方向内方RIへ突出する内向きフランジ5を有する。車輪2の内周面2Aには、内向きフランジ5の軸方向Jの内面5Aから車輪2の軸方向Jの第2端部J2へ繋がる、軸方向Jへ延びる複数の凹部Aがある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する障子の下框に取り付けて使用する戸車であって、
合成樹脂製の車輪と、
車軸と、
前記車輪の内周面と前記車軸の外周面との間に嵌合する軸受と、
を含み、
前記車輪の内周面の軸方向の第1端部に、径方向内方へ突出する内向きフランジを有し、
前記車輪の内周面には、前記内向きフランジの軸方向の内面から前記車輪の軸方向の第2端部へ繋がる、軸方向へ延びる複数の凹部がある、
戸車。
【請求項2】
前記複数の凹部を含む前記車輪の内周面は、前記車輪の軸方向の第2端部側から見て、周方向の繰り返し形状である、
請求項1に記載の戸車。
【請求項3】
前記車輪の軸方向の第2端部側には、
位置決め用のスペーサ、又は抜け止め用の蓋部材はなく、
前記車輪の内周面の前記車輪の軸方向の第2端部側の部分を前記軸受に溶着させた溶着部、又は、前記車輪の内周面の前記車輪の軸方向の第2端部側のまわりを加締めて径方向内方へ変形させた加締部がある、
請求項1に記載の戸車。
【請求項4】
前記車輪を形成する合成樹脂材料は、ポリエーテルエーテルケトンである、
請求項1~3の何れか1項に記載の戸車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子に取り付けて使用する戸車に関する。
【背景技術】
【0002】
引き形式の建具において、開口部を開閉する障子の下框に取り付けて使用する戸車は、その車輪が前記建具の下枠のレールの軌道面上を転動する。前記車輪は主に合成樹脂製のものが用いられる(例えば、特許文献1及び2参照。)。合成樹脂製の車輪を用いるのは、コスト低減のためであるとともに、前記レールはアルミ合金製のものが多いことから、前記車輪の材質を前記レールの材質よりも柔らかくして前記レールの摩耗及び損傷を抑制するためである。
【0003】
前記車輪は、車軸まわりに、転がり軸受(例えば、特許文献1の図1の転がり軸受7参照。)、又は滑り軸受(例えば、特許文献2のブッシュ3参照。)を介して回転可能に支持される。
【0004】
戸車の車輪に対して軸受を取り付けて固定する方法として、軸受をインサートワークとして合成樹脂製の車輪をインサート成形するもの(以下、「インサート成形による軸受の取付固定」という。例えば、特許文献1参照。)、合成樹脂製の車輪に軸受を圧入した後に、合成樹脂製の位置決め用のスペーサ、又は合成樹脂製の抜け止め用の蓋部材を用いるもの(以下、「圧入及びスペーサ等による軸受の取付固定」という。例えば、特許文献2参照。)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-291319号公報
【特許文献2】実公昭43-11629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インサート成形による軸受の取付固定は、(1)金型にインサートワークである軸受をセットする工程が必要であるため成形サイクルタイムが長くなること、(2)金型に前記軸受をセットするための自動設備又は人手が必要であるため製造コストが増大すること、等のデメリットがある。その上、(3)車輪の材料として融点が高い合成樹脂を用いると、軸受の耐熱性からインサート成形することができない場合があるというデメリットもある。
【0007】
それに対して圧入及びスペーサ等による軸受の取付固定は、合成樹脂製の車輪を射出成形で製造した後に軸受を取り付けることから、前記(1)ないし(3)のデメリットはない。
【0008】
しかしながら、圧入及びスペーサ等による軸受の取付固定を行う戸車では、以下のデメリットがある。すなわち、圧入及びスペーサ等による軸受の取付固定を行う戸車は、合成樹脂製の車輪の内周面に軸受を圧入することにより軸受の径方向外方の合成樹脂が弾性変形した状態になり、前記合成樹脂の復元力により嵌合力を得る構造である。したがって、前記車輪の内周面の寸法のばらつき、及び軸受の外周面の寸法のばらつきにより、それらの組合せ次第で前記嵌合力が変動し、前記嵌合力のばらつきが大きくなる。
【0009】
特に、車輪を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用すると、車輪の内周面の寸法管理をより厳しくすることが求められるので、部品管理面及び組立作業性の観点からのデメリットが大きくなる。
【0010】
本発明は、合成樹脂製の車輪の内周面に対して軸受を圧入してなる戸車において、嵌合力のばらつきを小さくすることができ、車輪を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用しても、車輪の内周面の寸法管理が容易になる戸車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る戸車は、前記課題解決のために、開口部を開閉する障子の下框に取り付けて使用する戸車であって、合成樹脂製の車輪と、車軸と、前記車輪の内周面と前記車軸の外周面との間に嵌合する軸受とを含む。前記車輪の内周面の軸方向の第1端部に、径方向内方へ突出する内向きフランジを有する。前記車輪の内周面には、前記内向きフランジの軸方向の内面から前記車輪の軸方向の第2端部へ繋がる、軸方向へ延びる複数の凹部がある。
【0012】
このような戸車によれば、軸受が圧入される車輪の内周面に、軸方向へ延びる複数の凹部が形成されているので、合成樹脂製の車輪の内周面に軸受を圧入した際に前記車輪が弾性変形しやすい。そのため、必要な嵌合力を得るための前記車輪の内周面の寸法に所要の幅を持たせることができる。
【0013】
したがって、合成樹脂製の車輪の内周面に対して軸受を圧入してなる戸車において、嵌合力のばらつきを小さくすることができ、車輪を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用しても、車輪の内周面の寸法管理が容易になる。
【0014】
ここで、前記複数の凹部を含む前記車輪の内周面は、前記車輪の軸方向の第2端部側から見て、周方向の繰り返し形状であるのが好ましい実施態様である。
【0015】
このような戸車によれば、合成樹脂製の車輪の内周面が、車輪の軸方向の第2端部側から見て、周方向の繰り返し形状であることから、射出成形後の車輪の内周面が成形収縮により不均一に変形しにくくなるので、車輪の内周面の形状精度を出しやすくなる。
【0016】
また、前記車輪の軸方向の第2端部側には、位置決め用のスペーサ、又は抜け止め用の蓋部材はなく、前記車輪の内周面の前記車輪の軸方向の第2端部側の部分を前記軸受に溶着させた溶着部、又は、前記車輪の内周面の前記車輪の軸方向の第2端部側のまわりを加締めて径方向内方へ変形させた加締部があるのが好ましい実施態様である。
【0017】
このような戸車によれば、前記スペーサ等の部品が不要になる。その上、合成樹脂製の車輪の軸方向の第2端部側の内周面に溶着部又は加締部を形成する際に、前記車輪の内周面に形成された凹部が肉の潰れ代になる。したがって、前記車輪の変形を抑制できることから、戸車の幅寸法への影響を低減できるので、戸車の品質が安定する。
【0018】
また、前記車輪を形成する合成樹脂材料は、ポリエーテルエーテルケトンであるのも好ましい実施態様である。
【0019】
このような戸車によれば、車輪を形成する合成樹脂材料がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であるので、非常に強靱であり、耐摩耗性が高く、難燃性で、燃えた場合でも発煙量が少ない。そのため、戸車基本性能と自己消火性を併せ持つ戸車が得られる。したがって、防火性能を有する戸車を容易に得ることができる。その上、車輪の内周面に複数の凹部を形成しているので、材料単価が高価なPEEKの使用量を低減することでコスト上昇が抑えられる。特に、車輪の内径及び軸受の外径を大きくしてPEEKの使用量を一層低減することにより、より一層コスト上昇を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明の戸車によれば、軸受が圧入される車輪の内周面に、軸方向へ延びる複数の凹部が形成されているので、合成樹脂製の車輪の内周面に軸受を圧入した際に前記車輪が弾性変形しやすい。そのため、必要な嵌合力を得るための前記車輪の内周面の寸法に所要の幅を持たせることができる。
【0021】
したがって、合成樹脂製の車輪の内周面に対して軸受を圧入してなる戸車において、嵌合力のばらつきを小さくすることができ、車輪を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用しても、車輪の内周面の寸法管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る戸車の縦断面図であり、スペーサがない例を示している。
図2】スペーサがない例における車輪及び軸受を示す縦断面である。
図3】車輪単体の縦断面である。
図4】車輪単体の斜視図である。
図5】車輪、車軸、及び軸受を軸方向の第2端部側から見た図である。
図6】本発明の実施形態に係る戸車の縦断面図であり、スペーサがある例を示している。
図7A】車輪の内周面に設ける凹部の第1変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7B】車輪の内周面に設ける凹部の第2変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7C】車輪の内周面に設ける凹部の第3変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7D】車輪の内周面に設ける凹部の第4変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7E】車輪の内周面に設ける凹部の第5変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7F】車輪の内周面に設ける凹部の第6変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7G】車輪の内周面に設ける凹部の第7変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
図7H】車輪の内周面に設ける凹部の第8変形例を示す、車輪単体を軸方向の第2端部側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
本明細書において、戸車の車軸の中心(図1図2図5及び図6の符号O参照)の方向に平行な方向を「軸方向」(図1~3、及び図6の矢印J参照)、前記中心の方向に直交する方向を「径方向」(図1及び図6の矢印R参照)という。また、本明細書において、前記中心に近づく径方向を「径方向内方」(図1~3、及び図6の矢印RI参照)、前記中心から遠ざかる径方向を「径方向外方」(図1~3、及び図6の矢印RO参照)という。前記中心の方向に対して「周方向」(図5の矢印C参照)を定義する。
【0025】
<戸車>
図1に示す本発明の実施の形態に係る戸車1は、車輪2、車軸3、軸受4、内枠7、及び外枠8を含む。車軸3の径方向外方ROに軸受4があり、軸受4の径方向外方ROに車輪2の主要部分がある。車軸3は内枠7に支持され、内枠7は外枠8に取り付けられる。
【0026】
車輪2の内周面2Aに軸受4の外周面4Bを嵌合させ、車輪2及び軸受4を内枠7に入れた状態で、内枠7の通孔7Aに車軸3を挿通し、車軸3の外周面3Aを軸受4の内周面4Aに嵌合させる。それにより、車輪2の内周面2Aと車軸3の外周面3Aとの間に軸受4が嵌合した状態となり、車輪2、車軸3、及び軸受4が内枠7に取り付けられる。図1に示すように内枠7を外枠8に取り付けた状態では、外枠8の内面8Aにより車軸3の軸方向Jへの移動が規制される。
【0027】
外枠8は、引き形式の建具の障子の下框に固定され、車輪2は、引き形式の建具の下枠のレールの軌道面上を転動する。本実施形態において、軸受4は転がり軸受であるが、軸受4は滑り軸受であってもよい。
【0028】
<車輪>
車輪2は、合成樹脂製であり、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる。車輪2は射出成形で製造される。
【0029】
図2ないし図5に示すように、車輪2の内周面2Aの軸方向Jの第1端部J1には、径方向内方RIへ突出する内向きフランジ5がある。車輪2の内周面2Aには、内向きフランジ5の軸方向Jの第2端部J2側の円環状の面である、内向きフランジ5の軸方向Jの内面5Aから車輪2の軸方向Jの第2端部J2へ繋がる、軸方向Jへ延びる複数の凹部Aがある。凹部Aは、例えば、図4及び図5のような円弧状である。
【0030】
複数の凹部Aを含む車輪2の内周面2Aは、車輪2の軸方向Jの第2端部J2側から見て、例えば、図5のように周方向Cの繰り返し形状(車軸3の中心Oまわりに回転対称な形状)である。それにより、射出成形後の車輪2の内周面2Aが成形収縮により不均一に変形しにくくなるので、車輪2の内周面2Aの形状精度を出しやすい。
【0031】
車輪2の内周面2Aには、径方向内方RIへ突出して周方向へ延びる凸条9がある。凸条9により、図3の車輪2の単体に軸受4を嵌合させた際に、車輪2に対して軸受4を位置決めした状態で抜け止めする一定の機能を有する。凸条9は、車輪2を射出成形する際にアンダーカットになるので、使用する樹脂材料の諸元に応じて、射出成形金型から取り出す際に変形、割れ、毟れが発生しないようにする。
【0032】
図1図2及び図5に示すように、車輪2の軸方向Jの第2端部J2側には、溶着部Bがある。溶着部Bは、車輪2の内周面2Aの軸方向Jの第2端部J2側の部分を軸受4に溶着させたものである。溶着部Bは、例えば、超音波溶着機により形成する。すなわち、車輪2の内周面2Aのまわりに、軸方向Jの第2端部J2側から超音波溶着機のホーンを押圧する。ホーンの超音波振動を内周面2Aの内部に伝搬させ、摩擦熱を発生させて溶融させる。それにより溶着部Bを容易に形成できる。
【0033】
熱による溶着部Bではなく、物理的に変形させた加締部を形成してもよい。加締部は、例えば、加締めパンチにより形成する。すなわち、車輪2の内周面2Aの軸方向Jの第2端部J2側のまわりを加締めパンチで加締めて径方向内方RIへ変形させる。それにより加締部を容易に形成できる。
【0034】
図6に示す本発明の実施の形態に係る戸車1は、溶着部B又は加締部はなく、合成樹脂製のスペーサ6がある例を示している。スペーサ6により、軸受4は、車輪2に対して軸方向Jに位置決めされる。
【0035】
図1のような溶着部Bがある戸車1、又は前記加締部がある戸車によれば、図6のようなスペーサ6が不要になる。その上、合成樹脂製の車輪1の軸方向Jの第2端部J2側の内周面2Aに溶着部B又は前記加締部を形成する際に、車輪2の内周面2Aに形成された凹部Aが肉の潰れ代になる。したがって、車輪2の変形を抑制できることから、戸車1の幅寸法への影響を低減できるので、戸車1の品質が安定する。
【0036】
<凹部の変形例>
車輪2の内周面2Aに設ける凹部Aは、図5のような円弧状に限定されるものではなく、図7Aないし図7Hに示すような円弧状以外の様々な形状であってもよい。複数の凹部Aを含む車輪2の内周面2Aは、前記のとおり、車輪2の軸方向Jの第2端部J2側から見て、図5、及び図7Aないし図7Hのような周方向Cの繰り返し形状であるのが好ましい実施態様である。
【0037】
<作用効果>
以上のような本発明の実施形態に係る戸車1によれば、軸受4が圧入される車輪2の内周面2Aに、軸方向Jへ延びる複数の凹部Aが形成されているので、合成樹脂製の車輪2の内周面2Aに軸受4を圧入した際に車輪2が弾性変形しやすい。そのため、必要な嵌合力を得るための車輪2の内周面2Aの寸法(車輪2の軸受4が圧入される部分の寸法)に所要の幅を持たせることができる。
【0038】
したがって、合成樹脂製の車輪2の内周面2Aに対して軸受4を圧入してなる戸車1において、嵌合力のばらつきを小さくすることができ、車輪2を形成する合成樹脂材料として引張弾性率が高く変形しにくいものを採用しても、車輪2の内周面2Aの寸法管理が容易になる。
【0039】
車輪2を形成する合成樹脂材料をポリエーテルエーテルケトン(PEEK)にしてなる戸車1では、PEEKは、非常に強靱であり、耐摩耗性が高く、難燃性で、燃えた場合でも発煙量が少ないので、戸車基本性能と自己消火性を併せ持つ戸車1が得られる。したがって、防火性能を有する戸車1を容易に得ることができる。その上、車輪2の内周面2Aに複数の凹部Aを形成しているので、材料単価が高価なPEEKの使用量を低減することでコスト上昇が抑えられる。特に、車輪2の内径2A及び軸受4の外径を大きくしてPEEKの使用量を一層低減することにより、より一層コスト上昇を抑えることができる。
【0040】
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 戸車
2 車輪
2A 内周面
3 車軸
3A 外周面
4 軸受
4A 内周面
4B 外周面
5 内向きフランジ
5A 内面
6 スペーサ
7 内枠
7A 通孔
8 外枠
8A 内面
9 凸条
A 凹部
B 溶着部
C 周方向
J 軸方向
J1 第1端部
J2 第2端部
O 車軸の中心
RI 径方向内方
RO 径方向外方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H