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特開2024-111669半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111669
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240809BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240809BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20240809BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240809BHJP
   G01K 11/12 20210101ALI20240809BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H01L21/31 C
H01L21/31 E
C23C14/54 E
C23C16/52
G01K11/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016305
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】古林 愛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆希
(72)【発明者】
【氏名】郭 彦廷
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BD01
4K029DA03
4K029JA01
4K030CA04
4K030CA12
4K030FA01
4K030GA02
4K030JA01
4K030JA10
4K030KA37
4K030KA39
4K030LA15
5F004BB22
5F004BD04
5F004CB09
5F004CB12
5F045AA08
5F045DP02
5F045EM05
5F045GB05
5F045GB16
(57)【要約】
【課題】半導体ウェハの温度または被加工材料の加工量を正確に計測することができる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体製造装置は、第1面に材料膜を有する基板を、前記第1面とは反対側の第2面側から支持するステージ10を備える。光源11は、光を生成する。光学系2は、基板に第2面側から光を照射する。検出器16は、基板または材料膜から反射してきた反射光を検出する。記憶部18は、反射光について基板または材料膜の複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の参照スペクトル波形を記憶する。演算部17は、光を照射して検出器で測定された反射光の干渉スペクトルから得られた測定スペクトル波形を複数の参照スペクトル波形のそれぞれと比較し、複数の参照スペクトル波形のうち測定スペクトル波形に類似する類似参照スペクトル波形を求める。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に材料膜を有する基板を、前記第1面とは反対側の第2面側から支持するステージと、
光を生成する光源と、
前記基板に前記第2面側から前記光を照射する光学系と、
前記基板または前記材料膜から反射してきた反射光を検出する検出器と、
前記反射光について前記基板または前記材料膜の複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の参照スペクトル波形を記憶する記憶部と、
前記光を照射して前記検出器で測定された前記反射光の干渉スペクトルから得られた測定スペクトル波形を前記複数の参照スペクトル波形のそれぞれと比較し、前記複数の参照スペクトル波形のうち前記測定スペクトル波形に類似する類似参照スペクトル波形を求める演算部とを備える、半導体製造装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記測定スペクトル波形の光強度I(x)および前記参照スペクトル波形の光強度T(x)について式1または式2を演算し、前記複数の参照スペクトル波形のうち相関値r(τ)が最大となる参照スペクトル波形を前記類似参照スペクトル波形とする、
【数1】
ここで、xは前記光の光路長であり、τは前記測定スペクトル波形と前記参照スペクトル波形との波長の相対的なシフト量であり、jは前記複数の参照スペクトル波形の識別子である、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記測定スペクトル波形と前記類似参照スペクトル波形との間の前記シフト量τに基づいて前記基板または前記材料膜の温度を演算する、請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記類似参照スペクトル波形に対応する形状パラメータに基づいて前記基板または前記材料膜における加工量を演算する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記光源は、第1波長の第1光を生成する第1光源と、前記第1波長とは異なる第2波長の第2光を生成する第2光源とを含み、
前記複数の参照スペクトル波形はそれぞれ、前記第1光の前記反射光について前記基板または前記材料膜の前記複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の第1参照波形と、前記第2光の前記反射光について前記基板または前記材料膜の前記複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の第2参照波形とを、それぞれ同一の形状パラメータを有する前記基板または前記材料膜ごとに連結して生成され、
前記測定スペクトル波形は、前記第1光を前記基板に照射して前記検出器で測定された前記反射光に基づく第1測定波形と前記第2光を前記基板に照射して前記検出器で測定された前記反射光に基づく第2測定波形とを連結して生成される、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
光を生成する光源と、第1面に材料膜を有する基板の該第1面とは反対側の第2面側から前記光を照射する光学系と、前記基板または前記材料膜からの反射光を検出する検出器とを備える半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記反射光について、前記基板または前記材料膜の複数の形状パラメータに対する複数の参照スペクトル波形を予め生成し、
前記光を前記第2面側から前記基板に照射して前記検出器で測定された前記反射光の測定スペクトル波形を前記複数の参照スペクトル波形のそれぞれと比較し、前記複数の参照スペクトル波形のうち前記測定スペクトル波形に類似する類似参照スペクトル波形を求め、
前記類似参照スペクトル波形に基づいて前記基板または前記材料膜の温度または前記基板または前記材料膜における加工量を演算することを具備する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチング工程等のような半導体ウェハの加工工程においては、低コヒーレンス干渉計等を用いて半導体ウェハの温度または被加工材料のエッチング量を非接触で計測する場合がある。
【0003】
しかし、エッチングによって被加工材料の形状が変化すると、基板だけでなく被加工材料からの反射光の影響により、半導体ウェハの温度を正確に計測することは困難であった。また、エッチング終点直前における光強度信号の変化またはプラズマの外乱光により、エッチング量またはエッチングの終点を正確に判断することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6479465号明細書
【特許文献2】特許第5805498号明細書
【特許文献3】特開2013-007665号公報
【特許文献4】米国特許公開第2021/0151285号公報
【特許文献5】特開平07-321094号公報
【特許文献6】特開2009-231718号公報
【特許文献7】特開平07-004021号公報
【特許文献8】特開2003-229414号公報
【特許文献9】特開2016-127087号公報
【特許文献10】特開2009-068937号公報
【特許文献11】米国特許第9494409号明細書
【特許文献12】特開2009-074812号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Tsutsumi, Appl.Phys.Lett., vol.103, no.18, pp.182102-1-3, Oct.2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体ウェハの温度または被加工材料の加工量を正確に計測することができる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態による半導体製造装置は、第1面に材料膜を有する基板を、前記第1面とは反対側の第2面側から支持するステージを備える。光源は、光を生成する。光学系は、基板に第2面側から光を照射する。検出器は、基板または材料膜から反射してきた反射光を検出する。記憶部は、反射光について基板または材料膜の複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の参照スペクトル波形を記憶する。演算部は、光を照射して検出器で測定された反射光の干渉スペクトルから得られた測定スペクトル波形を複数の参照スペクトル波形のそれぞれと比較し、複数の参照スペクトル波形のうち測定スペクトル波形に類似する類似参照スペクトル波形を求める。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体製造装置の構成例を示すブロック図。
図2】被加工材料が基板のみの場合のOPLを示す概念図。
図3】被加工材料が基板のみの場合に得られるスペクトル波形を示すグラフ。
図4】被加工材料が基板および材料膜Mである場合のOPLを示す概念図。
図5】被加工材料が基板および材料膜である場合に得られるスペクトル波形を示すグラフ。
図6】第1実施形態による基板または材料膜の温度の測定方法および形状パラメータの特定方法の一例を示すフロー図。
図7A】測定スペクトル波形と参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図7B】測定スペクトル波形と参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図7C】測定スペクトル波形と参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図8】シフト量と温度変化量との関係を示すグラフ。
図9】被加工材料の一例を示す断面図。
図10A】メモリホールの深さが0%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図10B】メモリホールの深さが20%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図10C】メモリホールの深さが40%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図10D】メモリホールの深さが60%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図10E】メモリホールの深さが80%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図10F】メモリホールの深さが100%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフ。
図11】第2実施形態による基板または材料膜の温度の測定方法および形状パラメータの特定方法の一例を示すフロー図。
図12A】連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図12B】連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図12C】連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図。
図13】第2実施形態の変形例1を示す図。
図14】第2実施形態の変形例1を示す図。
図15】第2実施形態の変形例1を示す図。
図16】変形例2による基板または材料膜の膜厚(ホールの深さ)を求める方法を示す平面図。
図17】変形例2による基板または材料膜の膜厚(ホールの深さ)を求める方法を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体製造装置1の構成例を示すブロック図である。半導体製造装置1は、例えば、エッチング装置、成膜装置、熱処理装置等の半導体製造装置でよい。半導体製造装置1は、ステージ10と、光源11,12と、フォトカプラ13,14と、コリメータレンズ15と、分光器16と、演算部17と、データベース(記憶部)18とを備えている。
【0011】
ステージ10は、基板Wを支持し、静電吸着するESC(Electrostatic Chuck)を用いたステージでよい。基板Wは、第1面F1に材料膜Mを有し、第1面F1とは反対側の第2面F2においてステージ10と面している。ステージ10は、基板Wを第2面F2側から支持する。ステージ10は、光L1、L2を透過する材料で構成されている。例えば、ステージ10のうち光L1、L2の透過位置に、光L1、L2を透過させる材料で窓が設けられている。
【0012】
光源11は、第1波長の光L1を生成する。光源12は、第1波長とは異なる第2波長の光L2を生成する。光L1、L2は、光学系2およびステージ10を介して基板Wの第2面F2側から照射される。
【0013】
光学系2は、光源11、12からの光L1、L2を基板Wまたは材料膜Mへ照射する。また、光学系2は、基板Wまたは材料膜Mから反射してきた反射光R1、R2を分光器16へ送る。例えば、光学系2は、フォトカプラ13、14と、コリメータレンズ15とを含む。フォトカプラ13は、光L1、L2をフォトカプラ14へ送る。フォトカプラ14は、コリメータレンズ15を介して光L1、L2を基板Wまたは材料膜Mへ照射する。光L1、L2が基板Wまたは材料膜Mで反射されると、その反射光R1、R2は、コリメータレンズ15を介してフォトカプラ14へ入射する。そして、反射光R1、R2は、フォトカプラ14から分光器16へ送られる。
【0014】
分光器16は、基板Wまたは材料膜Mから反射してきた反射光R1、R2の強度を検出する。例えば、分光器16は、各周波数に対する反射光R1、R2の強度を測定し、その測定結果(干渉スペクトル)を演算部17へ送る。
【0015】
演算部17は、反射光R1、R2の干渉スペクトルをフーリエ変換し、正規化する。これにより、演算部17は、光L1、L2の光路長(OPL(Optical Path Length))に対する信号強度の波形(スペクトル波形)を生成する。
【0016】
このスペクトル波形のピークに対応するOPLは、基板Wまたは材料膜Mの厚みおよびそれらの屈折率に依存している。従って、基板Wまたは材料膜Mが温度によって熱膨張または熱収縮し、並びに、基板Wまたは材料膜Mの屈折率が変化した場合に、演算部17は、OPLを用いて基板Wまたは材料膜Mの温度変化を算出することができる。
【0017】
また、演算部17は、生成した被加工材料の基板Wおよび材料膜Mのスペクトル波形を、データベース18に記憶された複数の参照スペクトル波形と比較する。被加工材料を測定して得られたスペクトル波形を、以下、測定スペクトル波形と呼ぶ。また、データベース18に予め格納され、測定スペクトル波形に対して比較の基準となるスペクトル波形を、以下、参照スペクトル波形と呼ぶ。演算部17は、参照スペクトル波形のうち測定スペクトル波形に最も類似する参照スペクトル波形を求める。測定スペクトル波形に最も類似する参照スペクトル波形を、以下、類似参照スペクトル波形と呼ぶ。参照スペクトル波形と測定スペクトル波形との類似度の計算は後述する。
【0018】
データベース18は、反射光R1、R2について基板Wまたは材料膜Mの複数の形状パラメータに対して予め生成された複数の参照スペクトル波形を記憶する。形状パラメータは、スペクトル波形に影響を与える基板Wまたは材料膜Mの形状に関するパラメータである。例えば、形状パラメータは、上述の通り、基板Wまたは材料膜Mの複数の膜厚、基板Wまたは材料膜Mに形成されたホールの深さ(エッチング量)、または、ホールの径等のいずれかでよい。
【0019】
参照スペクトル波形は、様々な形状パラメータに対して実測またはシミュレーションなどによって、被加工材料の干渉スペクトルを測定する前に予め生成し、データベース18に格納しておく。従って、参照スペクトル波形は、基板Wだけでなく材料膜Mからの反射光の影響が含まれている。参照スペクトル波形に対応する形状パラメータが干渉スペクトルの測定時における基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータに一致する場合、測定スペクトル波形は、参照スペクトル波形にほぼ一致あるいは類似する。即ち、本実施形態によれば、材料膜Mからの反射光の影響も含めて、基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータを判断することができる。
【0020】
参照スペクトル波形は、様々な形状パラメータに対して生成されるが、離散的である。従って、隣接する形状パラメータ間の参照スペクトル波形は、回帰モデルを用いて補間してもよい。これにより、参照スペクトル波形は、連続した形状パラメータに対して生成され得る。
【0021】
図2は、被加工材料が基板Wのみの場合のOPLを示す概念図である。図3は、被加工材料が基板Wのみの場合に得られるスペクトル波形を示すグラフである。基板Wのみが被加工材料である場合、光Lは、図2に示すように、基板Wの第1面F1および第2面F2から反射する。このため、基板Wからの反射光の干渉により得られるスペクトル波形は、図3に示すように、明確なピークを有する。この場合、演算部17は、OPLの変化を用いて基板Wまたは材料膜Mの温度を比較的正確に算出することができる。
【0022】
一方、図4は、被加工材料が基板Wおよび材料膜Mである場合のOPLを示す概念図である。図5は、被加工材料が基板Wおよび材料膜Mである場合に得られるスペクトル波形を示すグラフである。図4に示すように、基板W上に材料膜Mが設けられている場合、光Lは、基板Wの第1面F1および第2面F2だけでなく、材料膜Mの表面および裏面からも反射する。さらに、材料膜Mが積層膜である場合には、光は、積層膜の界面からも反射する。このため、図5に示すように、基板Wおよび材料膜Mからの反射光の干渉により得られるスペクトル波形のピークの特定は比較的困難になり、OPLに誤差が生じ得る。この場合、OPLの変化を用いて基板Wまたは材料膜Mの温度を比較的正確に算出することが困難になる。
【0023】
そこで、本実施形態による半導体製造装置1では、反射光R1、R2について、基板Wまたは材料膜Mの様々な形状パラメータに対して参照スペクトル波形を予め算出または計測しておき、これらの参照スペクトル波形をデータベース18に格納しておく。演算部17は、測定スペクトル波形をデータベース18に格納された複数の参照スペクトル波形と比較し、測定スペクトル波形に最も類似する類似参照スペクトル波形を求める。これにより、材料膜Mからの反射光の影響も考慮して、基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータを特定し、あるいは、温度を演算することができる。尚、形状パラメータの特定および温度の演算については後述する。
【0024】
次に、半導体製造装置1を用いた被加工材料の形状パラメータの特定方法および被加工材料の温度の測定方法を説明する。
【0025】
図6は、第1実施形態による基板Wまたは材料膜Mの温度の測定方法および形状パラメータの特定方法の一例を示すフロー図である。尚、ここでは、クライオエッチング装置を用いたエッチング工程を一例として説明するが、本実施形態は、成膜工程または熱処理工程等の他の工程にも適用することができる。また、本実施形態は、基板Wのみが被加工材料の場合にも適用可能である。第1実施形態において、光源11が用いられているが、光L1に代えて光L2が用いられてもよい。光L1を用いる場合には、光源12は省略してもよい。光L2を用いる場合には、光源11は省略してもよい。
【0026】
材料膜Mを第1面F1に有する基板Wをステージ10に載置する。基板Wは、第2面F2をステージ10に向けて載置される。ステージ10は、基板Wを静電吸着する。
【0027】
次に、光源11が光L1を生成する。光学系2が、基板Wの第2面F2側から光L1を照射する(S10)。分光器16が基板Wまたは材料膜Mからの反射光R1を検出する(S20)。このように、基板Wの第2面F2側から照射した光L1の反射光R1を検出することによって、プラズマPの外乱光の影響を受けることなく、反射光R1の各周波数における光強度の干渉スペクトルが計測される。
【0028】
次に、演算部17が反射光R1の干渉スペクトルをフーリエ変換し、さらに正規化することによって測定スペクトル波形を生成する(S30)。
【0029】
次に、演算部17は、測定スペクトル波形を、反射光R1について基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータに対して予め生成された複数の参照スペクトル波形のそれぞれと比較する。そして、演算部17は、複数の参照スペクトル波形のうち測定スペクトル波形に最も類似する類似参照スペクトル波形を求める。以下、類似参照スペクトル波形の演算について説明する。
【0030】
図7A図7Cは、測定スペクトル波形と参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図である。測定スペクトル波形Sは、図7A図7Cにおいて同じである。図7A図7Cの参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2はそれぞれ異なる形状パラメータで取得されたスペクトル波形である。尚、本実施形態では、形状パラメータの異なる3つの参照スペクトル波形が用いられているが、形状パラメータの異なる4つ以上のN個(Nは正整数)の参照スペクトル波形が用いられてもよい。
【0031】
演算部17は、測定スペクトル波形Sを、参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2のそれぞれと比較し、フィッティングを行う。
【0032】
例えば、測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_0とフィッティングする場合、演算部17は、測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref_0とをx軸方向に相対的にずらしながら(シフト量τを変更しながら)、式1の相関値r(τ)を演算する(S40)。このとき、演算部17は、測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および参照スペクトル波形Sref_0の光強度T(x)について式1を演算する。
【数1】
ここで、xは光L1の光路長OPLである。τは測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref_0との光路長OPL(x軸方向)の相対的なシフト量である。シフト量τは、+x方向および-x方向のいずれにずらしてもよい。jは参照スペクトル波形Sref_0の識別子である。例えば、jは、0~Nである。参照スペクトル波形Sref_0の識別子jは、0とする。
【0033】
演算部17は、当初、シフト量τを0として、相関値r(0)を演算する。相関値r(0)は、図7Aの右に示すグラフのτ=0の値となる。同様に、演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図7Aの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)の最大ピークはPとなる。
【0034】
次に、識別子jがNに達していない場合(S50のNO)、演算部17は、jを1だけインクリメントする(j=j+1)(S60)。そして、演算部17は、ステップS40を繰り返す。即ち、演算部17は、測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_1と比較し、フィッティングする。
【0035】
測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_1とフィッティングする場合、演算部17は、測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref_1とをx軸方向に相対的にずらしながら、式1の相関値r(τ)を演算する。参照スペクトル波形Sref_1の識別子jは、1とする。このとき、演算部17は、測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および参照スペクトル波形Sref_1の光強度T(x)について式1を演算する。演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図7Bの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)の最大ピークはPとなる。
【0036】
次に、識別子jがNに達していない場合(S50のNO)、演算部17は、jをさらに1だけインクリメントする(j=j+1)(S60)。そして、演算部17は、ステップS40を繰り返す。即ち、演算部17は、測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_2と比較し、フィッティングする。
【0037】
測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_2とフィッティングする場合、演算部17は、測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref_2とをx軸方向に相対的にずらしながら、式1の相関値r(τ)を演算する。参照スペクトル波形Sref_2の識別子jは、2とする。このとき、演算部17は、測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および参照スペクトル波形Sref_2の光強度T(x)について式1を演算する。演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図7Cの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)の最大ピークはPとなる。
【0038】
参照スペクトル波形がN個ある場合、識別子jがNに達するまで、ステップS40~S60が繰り返される。
【0039】
識別子jがN(例えば、N=2)に達すると(S50のYES)、演算部17は、複数の参照スペクトル波形Sref_0~Sref_2のうち相関値r(τ)が最大となる参照スペクトル波形Sref_2を類似参照スペクトル波形とする(S70)。即ち、演算部17は、ピークP~Pのうち最大のピークPに対応する参照スペクトル波形Sref_2を、測定スペクトル波形Sに対して類似度が最も高い類似参照スペクトル波形であると判断する。
【0040】
次に、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2において相関値r(τ)がピークPとなるシフト量τpに基づいて基板Wまたは材料膜Mの温度を演算する(S80)。
【0041】
図8は、シフト量τと温度変化量ΔTとの関係を示すグラフである。データベース18は、図8に示すようなシフト量τと温度変化量ΔTとの関係を示す関係式を予め記憶する。演算部17は、シフト量τと温度変化量ΔTとの関係を用いて類似参照スペクトル波形Sref_2のシフト量τpに対応する温度変化量ΔTpを算出する。参照スペクトル波形の生成時の温度、例えば、シミュレーションによって参照スペクトル波形を予め算出した際の設定温度をTとすると、基板Wまたは材料膜Mの温度は、T+ΔTpと表される。演算部17は、基板Wまたは材料膜Mの温度T+ΔTpを演算する。これにより、基板Wまたは材料膜Mの温度が得られる。尚、参照スペクトル波形を実測によって生成する場合は、設定温度Tとしては、参照スペクトル波形の生成時に測定し、得られた温度情報をデータベース18に格納しておけばよい。また、図8のシフト量τと温度変化量ΔTとの関係は、温度を変更しながら基板Wまたは材料膜Mのスペクトル波形を取得し、その温度変化量ΔTとシフト量τとの関係式を予め、データベース18に格納しておけばよい。温度変化量ΔTとシフト量τとの関係式は、形状パラメータによってほぼ変化しないので、様々な形状パラメータを有する基板Wまたは材料膜Mに図8のグラフが適用可能である。
【0042】
類似参照スペクトル波形Sref_2は、測定スペクトル波形Sと波形形状において類似度が高い。従って、類似参照スペクトル波形Sref_2に対応する形状パラメータは、測定スペクトル波形Sが測定されたときの基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータとほぼ一致する、あるいは、類似する。例えば、エッチング加工中の基板Wまたは材料膜Mの膜厚は、類似参照スペクトル波形Sref_2に対応する形状パラメータの膜厚にほぼ一致する、あるいは、近い。これにより、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2の形状パラメータからエッチング加工中の基板Wまたは材料膜Mの膜厚を特定することができる。基板Wまたは材料膜Mの膜厚が判明すると、演算部17は、基板Wまたは材料膜Mの最初の膜厚からエッチング加工中の膜厚を減じることによってホール等のエッチング加工深さを演算することができる(S90)。代替的に、エッチング加工深さを形状パラメータとして参照スペクトル波形と関連付けてデータベース18に予め格納しておいてもよい。この場合、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2に対応する形状パラメータからエッチング加工深さを直接特定することができる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、演算部17は、反射光R1の測定スペクトル波形Sを複数の参照スペクトル波形Sref_0~Sref_2のそれぞれと比較し、測定スペクトル波形Sに最も類似する類似参照スペクトル波形Sref_2を求める。演算部17は、相関値r(τ)がピークPとなるときの測定スペクトル波形Sと類似参照スペクトル波形Sref_2との間の相対的なシフト量τpに基づいて基板Wまたは材料膜Mの温度T(T+ΔTp)を演算することができる。また、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2に対応する形状パラメータに基づいて基板Wまたは材料膜Mに形成された形状パラメータを特定することができる。この形状パラメータを用いて、演算部17は、例えば、ホールの深さ等を演算することができる。
【0044】
このような基板Wまたは材料膜Mの温度T+ΔTpおよび基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータは、基板Wまたは材料膜Mをエッチング加工している最中にリアルタイムで演算することができる。
【0045】
本実施形態によれば、参照スペクトル波形は、基板Wまたは材料膜Mの様々な形状パラメータを考慮して生成されている。従って、基板Wのみだけでなく、基板W上に材料膜Mが設けられている場合であっても、半導体製造装置1は、形状パラメータを考慮して基板Wまたは材料膜Mの温度または基板Wまたは材料膜Mにおけるエッチング加工量を正確に測定することができる。
【0046】
尚、上記式1において、測定スペクトル波形Sを参照スペクトル波形Sref_0~Sref_2に対して相対的にシフト量τだけずらしている。しかし、式2に示すように、参照スペクトル波形Sref_0~Sref_2を測定スペクトル波形Sに対して相対的にシフト量τだけずらしてもよい。式2を用いても、本実施形態の効果を得ることができる。
【数2】
【0047】
(第2実施形態)
図9は、被加工材料の一例を示す断面図である。被加工材料は、例えば、基板Wおよび材料膜Mを含む。基板Wの第2面F2には、反射防止膜としての窒化膜30が設けられている。材料膜Mは、例えば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有する。材料膜M上には、ハードマスクHMが設けられている。第2実施形態では、ハードマスクHMをマスクとして用いて、材料膜MにメモリホールMHを形成する。メモリホールMHは、材料膜Mの積層構造を上層から下層まで貫通し、基板Wに達するように形成される。
【0048】
図9では、エッチングされていない材料膜Mの上面を0%とし、メモリホールMHが基板Wに達した状態を100%として、メモリホールMHの深さを数値%で表している。
【0049】
図10A図10Fは、図9のメモリホールMHの深さが0%~100%のときにおけるスペクトル波形を示すグラフである。
【0050】
エッチングが0%~100%へ進むに従って、光L1の光路長OPLが次第に変化する。よって、スペクトル波形は、光L1の波長に依存して周期的にピークを有する。例えば、図10A図10Cに示すように、メモリホールMHの深さが0%~40%において、スペクトル波形のピークが次第に高くなり、メモリホールMHの深さが40%のときに、光L1の干渉により最も高いピークを有する。図10D図10Fに示すように、メモリホールMHの深さが60%~100%において、スペクトル波形のピークが次第に高くなり、メモリホールMHの深さが100%のときに、光L1の干渉により最も高いピークを有する。このように、エッチングが0%~100%へ進むに従って、スペクトル波形のピークは、周期的に増減を繰り返す場合がある。
【0051】
図10Cおよび図10Fに示すように、メモリホールMHの深さが互いに異なるにも拘わらず、スペクトル波形が類似する場合がある。このような場合、類似参照スペクトル波形の特定が困難になるおそれがある。例えば、測定スペクトル波形SがメモリホールMHの深さ40%のスペクトル波形である場合に、演算部17は、メモリホールMHの深さ100%の参照スペクトル波形を類似参照スペクトル波形として誤って判断するおそれがある。
【0052】
そこで、第2実施形態では、光L1だけでなく、光L1の第1波長とは異なる第2波長の光L2を用いて測定スペクトル波形および参照スペクトル波形を生成する。互いに波長の異なる光L1、L2の測定スペクトル波形と参照スペクトル波形とを用いることによって、演算部17は、正しい類似参照スペクトル波形を特定することができる。以下、第2実施形態を詳細に説明する。
【0053】
第2実施形態において、参照スペクトル波形は、図12A図12CのSref_0~Sref_2に示すように、第1スペクトル波形Sref1_jと第2スペクトル波形Sref2_jとを連結して生成される。第1スペクトル波形Sref1_jは、反射光R1について基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータに対して予め生成された参照スペクトル波形である。第2スペクトル波形Sref2_jは、反射光R2について基板Wまたは材料膜Mの形状パラメータに対して予め生成された参照スペクトル波形である。互いに連結されるスペクトル波形Sref1_j、Sref2_jは、それぞれ同一の形状パラメータを有する基板Wまたは材料膜Mごとに対応して生成される。スペクトル波形Sref1_j、Sref2_jの連結方法は、特に限定しないが、例えば、スペクトル波形Sref1_jのOPLの最大値とスペクトル波形Sref2_jのOPLの最小値とを連続して結合すればよい。尚、スペクトル波形の連結方法は、全ての連結参照スペクトル波形において同一であり統一されている。以下、第1および第2スペクトル波形Sref1_j、Sref2_jの連結により生成された参照スペクトル波形を連結参照スペクトル波形と呼ぶ。
【0054】
図11は、第2実施形態による基板Wまたは材料膜Mの温度の測定方法および形状パラメータの特定方法の一例を示すフロー図である。
【0055】
第1実施形態と同様に、材料膜Mを第1面F1に有する基板Wをステージ10に載置する。
【0056】
次に、光源11が光L1を生成し、光源12が光L2を生成する。光学系2が、基板Wの第2面F2側から光L1およびL2を照射する(S12)。光L1およびL2は、後述するように、同時に、同一箇所に照射されてもよく、異なるタイミング、あるいは、異なる箇所に照射されてもよい。分光器16が基板Wまたは材料膜Mからの反射光R1およびR2を検出する(S22)。これにより、反射光R1およびR2の各周波数における光強度の干渉スペクトルがそれぞれ計測される。
【0057】
次に、演算部17が反射光R1、R2の干渉スペクトルをフーリエ変換し、さらに正規化することによって反射光R1、R2のそれぞれの測定スペクトル波形を生成する(S32)。
【0058】
次に、演算部17は、反射光R1の測定スペクトル波形と反射光R2の測定スペクトル波形とを連結して連結測定スペクトル波形Sを生成する(S35)。測定スペクトル波形の連結方法も、参照スペクトル波形の連結方法と同じ方法で行われる。即ち、測定スペクトル波形S1のOPLの最大値と測定スペクトル波形S2のOPLの最小値とを連続的に結合する。これにより、連結測定スペクトル波形は連結参照スペクトル波形に対して比較可能になる。
【0059】
次に、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sを、連結参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2のそれぞれと比較し、フィッティングを行う。連結測定スペクトル波形Sと連結参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2とのフィッティング方法は、第1実施形態の測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2とのフィッティング方法と同じでよい。
【0060】
図12A図12Cは、連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを比較し、類似参照スペクトル波形を求める工程を示す概念図である。連結測定スペクトル波形Sは、図12A図12Cにおいて同じである。図12A図12Cの連結参照スペクトル波形Sref_0、Sref_1、Sref_2はそれぞれ異なる形状パラメータで取得されたスペクトル波形である。尚、本実施形態では、形状パラメータの異なる3つの連結参照スペクトル波形が用いられているが、形状パラメータの異なる4つ以上のN個の連結参照スペクトル波形が用いられてもよい。
【0061】
例えば、連結測定スペクトル波形Sを連結参照スペクトル波形Sref_0とフィッティングする場合、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sと連結参照スペクトル波形Sref_0とをx軸方向に相対的にずらしながら(シフト量τを変更しながら)、式1の相関値r(τ)を演算する(S42)。このとき、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および連結参照スペクトル波形Sref_0の光強度T(x)について式1を演算する。
【0062】
演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図12Aの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)のピークはPとなる。
【0063】
次に、識別子jがNに達していない場合(S52のNO)、演算部17は、jを1だけインクリメントする(j=j+1)(S62)。そして、演算部17は、ステップS42を繰り返す。即ち、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sを連結参照スペクトル波形Sref_1と比較し、フィッティングする。
【0064】
連結測定スペクトル波形Sを連結参照スペクトル波形Sref_1とフィッティングする場合、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sと連結参照スペクトル波形Sref_1とをx軸方向に相対的にずらしながら、式1の相関値r(τ)を演算する。このとき、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および連結参照スペクトル波形Sref_1の光強度T(x)について式1を演算する。
【0065】
演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図12Bの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)のピークはPとなる。
【0066】
次に、識別子jがNに達していない場合(S52のNO)、演算部17は、jをさらに1だけインクリメントする(j=j+1)(S62)。そして、演算部17は、ステップS42を繰り返す。即ち、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sを連結参照スペクトル波形Sref_2と比較し、フィッティングする。
【0067】
連結測定スペクトル波形Sを連結参照スペクトル波形Sref_2とフィッティングする場合、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sと連結参照スペクトル波形Sref_2とをx軸方向に相対的にずらしながら、式1の相関値r(τ)を演算する。このとき、演算部17は、連結測定スペクトル波形Sの光強度I(x)および連結参照スペクトル波形Sref_2の光強度T(x)について式1を演算する。演算部17は、シフト量τを+x方向および-x方向にずらしながら相関値r(τ)を演算し、図12Cの右に示すグラフを得る。このとき、相関値r(τ)のピークはPとなる。
【0068】
連結参照スペクトル波形がN個ある場合、識別子jがNに達するまで、ステップS42~S62が繰り返される。
【0069】
識別子jがN(例えば、N=2)に達すると(S52のYES)、演算部17は、複数の連結参照スペクトル波形Sref_0~Sref_2のうち相関値r(τ)が最大となる連結参照スペクトル波形Sref_2を類似参照スペクトル波形とする(S72)。即ち、演算部17は、ピークP~Pのうち最大のピークPに対応する連結参照スペクトル波形Sref_2を、連結測定スペクトル波形Sに対して類似度が最も高い類似参照スペクトル波形であると判断する。
【0070】
次に、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2において相関値r(τ)がピークPとなるシフト量τpに基づいて基板Wまたは材料膜Mの温度を演算する(S82)。基板Wまたは材料膜Mの温度の演算方法は、図8を参照して説明した通りである。
【0071】
また、類似参照スペクトル波形Sref_2は、測定スペクトル波形Sと波形形状において類似度が高い。従って、類似参照スペクトル波形Sref_2に対応する形状パラメータは、連結測定スペクトル波形Sの形状パラメータとほぼ一致する、あるいは、類似する。これにより、演算部17は、類似参照スペクトル波形Sref_2の形状パラメータからエッチング加工中の基板Wまたは材料膜Mの膜厚を特定することができる。基板Wまたは材料膜Mの膜厚が判明すると、演算部17は、基板Wまたは材料膜Mの最初の膜厚からエッチング加工中の膜厚を減じることによってホール等のエッチング加工深さを演算することができる(S92)。
【0072】
第2実施形態によれば、互いに異なる波長の光L1、L2を用いて連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを生成し、連結測定スペクトル波形と連結参照スペクトル波形とを比較することによって、両者の類似度の判断を行う。よって、光L1のみを用いて類似参照スペクトル波形を特定する場合よりも、類似参照スペクトル波形の特定が正確かつ容易になる。
【0073】
例えば、図12Bにおいて、測定スペクトル波形S1と参照スペクトル波形Sref1_1とを比較すると、両者は類似している。従って、演算部17は、参照スペクトル波形Sref1_1を類似参照スペクトル波形と誤って判断するおそれがある。
【0074】
しかし、測定スペクトル波形S1、S2を連結した連結測定スペクトル波形Sと参照スペクトル波形Sref1_1、Sref2_1を連結した連結参照スペクトル波形Sref_1とを比較すると、両者は類似していないことがわかる。従って、相関値rのピークPが比較的低くなり、演算部17は、参照スペクトル波形Sref_1を類似参照スペクトル波形とは判断しない。
【0075】
一方、図12Cにおいて、測定スペクトル波形S1と参照スペクトル波形Sref1_2は類似し、測定スペクトル波形S2と参照スペクトル波形Sref2_2も類似している。従って、相関値rのピークPが高くなり、演算部17は、連結参照スペクトル波形Sref_2を類似参照スペクトル波形と正確に判断することができる。
【0076】
第2実施形態のその他の構成および動作は、第1実施形態の対応する構成および動作と同じでよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
(変形例1)
図13図15は、第2実施形態の変形例1を示す図である。
【0077】
図13に示すように、光学系2は、光L1、L2を基板Wの第2面F2のほぼ同一位置に照射してもよい。また、光学系2は、光L1、L2を基板Wの第2面F2のほぼ同一位置にほぼ同時に照射してもよい。このように光L1、L2を基板Wの第2面F2のほぼ同一位置にほぼ同時に照射しても、演算部17は、フーリエ変換により、光L1、L2のそれぞれに対応する測定スペクトル波形を取得することができる。勿論、光学系2は、光L1、L2を基板Wの第2面F2のほぼ同一位置に、異なるタイミングで照射してもよい。
【0078】
図14に示すように、光学系2は、光L1、L2を基板Wの第2面F2の異なる位置にそれぞれ照射してもよい。この場合も、光学系2は、光L1、L2をほぼ同時に照射してもよい。この場合、演算部17は、光L1、L2のそれぞれに対応する測定スペクトル波形を明確に区別して取得することができる。
【0079】
図15では、光源11、12がそれぞれ異なるタイミングで光L1、L2を生成する。例えば、光源11が光L1を生成しているときに、光源12は光L2の生成を停止している。光源12が光L2を生成しているときに、光源11は光L1の生成を停止している。
【0080】
本変形例では、複数の分光器16_1、16_2が設けられている。光源11が光L1を生成しているときには、分光器16_1が反射光R1を検出する。光源12が光L2を生成しているときには、分光器16_2が反射光R2を検出する。これにより、光L1、L2の反射光R1、R2を確実に分離して検出することができる。
【0081】
上記実施形態では、演算部17は、基板Wまたは材料膜Mの温度、並びに、基板Wまたは材料膜Mの膜厚(ホールの深さ)の両方を演算している。しかし、演算部17は、基板Wまたは材料膜Mの温度、並びに、基板Wまたは材料膜Mの膜厚(ホールの深さ)のいずれか一方を演算してもよい。この場合、図6のステップS80またはS90のいずれか一方が省略される。あるいは、図11のステップS82またはS92のいずれか一方が省略される。
【0082】
(変形例2)
図16および図17は、変形例2による基板Wまたは材料膜Mの膜厚(ホールの深さ)を求める方法を示す平面図である。
【0083】
基板Wまたは材料膜Mの膜厚(ホールの深さ)を求める場合、基板Wまたは材料膜Mの測定箇所が決まっている。従って、基板Wの配置情報を用いて、基板Wまたは材料膜Mの測定箇所が光L1、L2の照射位置の上方に位置するように基板Wの位置を調節する。
【0084】
例えば、データベース18は、基板WのノッチNTに対する測定領域A2の相対位置を予め記憶している。また、データベース18は、ステージ10における光L1、L2の照射領域A1の位置座標も予め記憶している。
【0085】
ステージ10上には、ステージ10に載置された基板Wを撮像するカメラCAMが設けられている。カメラCAMは、基板Wを撮像できればよく、その位置は特に限定しないが、ステージ10の上方に配置されていることが好ましい。カメラCAMは、演算部17と接続されており、演算部17に基板Wの画像が送られる。
【0086】
演算部17は、基板Wの画像を画像処理することによってノッチNTの位置を検知し、ノッチNTに対する測定領域A2の相対位置からステージ10における測定領域A2の座標を演算する。演算部17は、図16に示すように、ステージ10の上方から見た平面視において、ステージ10における測定領域A2の座標と照射領域A1の座標とが重複しない場合には、その旨を知らせる警告信号を出力する。演算部17は、図17に示すように、ステージ10の上方から見た平面視において、ステージ10における測定領域A2の座標と照射領域A1の座標とが重複する場合には、処理開始を許可する許可信号を出力する。
【0087】
警告信号が出力された場合、図16に示すように測定領域A2の座標と照射領域A1の座標とがずれている。従って、ユーザは、警告信号に対応して基板Wを回転させ、図17に示すように測定領域A2の座標と照射領域A1の座標とが重複するように基板Wの回転位置を修正する。
【0088】
許可信号が出力された場合、半導体製造装置1は、基板Wおよび材料膜Mの処理を開始する。半導体製造装置1は、測定領域A2に光L1、L2を照射して、測定領域A2の測定スペクトル波形を得ることができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 半導体製造装置
10 ステージ
11,12 光源
13,14 フォトカプラ
15 コリメータレンズ
16 分光器
17 演算部
18 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17