(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111673
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/44 20060101AFI20240809BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H05B3/44
H05B3/14 F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016311
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】390018315
【氏名又は名称】メトロ電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 元博
(72)【発明者】
【氏名】倉田 征治
(72)【発明者】
【氏名】筒井 健
(72)【発明者】
【氏名】高木 真宏
(72)【発明者】
【氏名】森本 敦士
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092QA01
3K092QA02
3K092QB14
3K092QB32
3K092QB40
3K092QB45
3K092QB48
3K092QC38
3K092QC61
3K092RA03
3K092RD10
3K092RD35
3K092SS47
(57)【要約】
【課題】長い加熱対象をより効率良く加熱可能な加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱装置1は、炭素質発熱体10を有する複数のヒータ2を備えている。各ヒータ2は、各炭素質発熱体10が上下方向に延び且つ互いに隣接する状態で並べられている。ヒータ2は、電源と電気的に接続される接続部14を有している。接続部14は、ヒータ2の下端部に配置されている。ヒータ2は、炭素質発熱体10を一対有している。一対の炭素質発熱体10は、各ヒータ2が並べられる方向で並べられており、下方に開いた“U”字状の配線に組み込まれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質発熱体を有する複数のヒータを備えており、
各前記ヒータは、各前記炭素質発熱体が上下方向に延びる状態で並べられている
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
各前記ヒータは、互いに隣接している
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記ヒータは、電源と電気的に接続される接続部を有しており、
前記接続部は、前記ヒータの下端部に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記炭素質発熱体を一対有しており、
一対の前記炭素質発熱体は、各前記ヒータが並べられる方向で並べられており、下方に開いた“U”字状の配線に組み込まれている
ことを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
各前記炭素質発熱体は、板状であり、表面が同じ方向を向く状態で配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項6】
各前記ヒータは、前記炭素質発熱体を覆う上下方向の管を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記炭素質発熱体は、蛇行する形状を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長い加熱対象を加熱可能な加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱器として、特開2020-95880号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
この加熱器は、長いヒータ9の外周を螺旋状に巻回するコイル状に形成された配管8を有しており、配管8内を通過する流体を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の加熱器では、長い配管8がヒータ9に沿って螺旋状に配置されるため、長い配管8は十分に加熱される。
しかし、上記の加熱器では、ヒータ9の長さには限度が存在し、その長さ(に応じた螺旋の長さ)を超える長さの加熱対象の加熱には、向上の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、長い加熱対象をより効率良く加熱可能な加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、加熱装置を開示する。この加熱装置は、炭素質発熱体を有する複数のヒータ2を備えている。各ヒータは、各炭素質発熱体が上下方向に延び且つ互いに隣接する状態で並べられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果は、長い加熱対象をより効率良く加熱可能な加熱装置が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る加熱装置の模式的な斜視図である。
【
図2】
図1の加熱装置におけるヒータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0010】
図1は、当該形態に係る加熱装置1の模式的な斜視図である。
加熱装置1は、複数のヒータ2と、ヒータ接続部3と、を有する。
複数のヒータ2は、それぞれ上下方向に延びる状態で、一方向に並べられている。上下方向は、鉛直方向である。各ヒータ2は、上下方向を向いている。
尚、ヒータ2の長手方向が加熱装置1の上下方向とされ、上下方向に交わる方向であってヒータ2の並ぶ方向が加熱装置1の左右方向とされ、左右方向及び上下方向に交わる方向が加熱装置1の前後方向とされる。かような加熱装置1の方向は、説明の便宜上定められたものであり、各種の部材及び部分の移動並びに設置の態様等により、変化することがある。
【0011】
図2は、ヒータ2の斜視図である。
図3は、ヒータ2の一部分解斜視図である。
各ヒータ2は、ランプヒータであり、複数(2つ)の管4と、上ケース5と、通電部6と、を有する。
各ヒータ2は、互いに同様に成るため、以下、特に断らない限り、1本のヒータ2について説明される。尚、一部のヒータ2が、他のヒータ2と異なっていても良い。加熱装置1において、3種類以上のヒータ2が用いられても良い。
【0012】
各管4は、石英ガラス製であり、透光性を有している。各管4は、上下に延びており、上下の各端部が封止された円筒状である。尚、少なくとも何れかの管4の材質は、赤外線を通し耐熱性を有していれば、石英ガラス以外であっても良い。又、少なくとも何れかの管4の形状は、角筒状等、円筒状以外であっても良い。
各管4の上端部は、水平な板状に形成された管上板状部7となっている。
各管4の下端部は、水平な板状に形成された管下板状部8となっている。
各管4の内部には、アルゴンガス等の不活性ガスが封入されており、通電部6の酸化による劣化が抑制されている。尚、不活性ガスの封入は、省略されても良い。
各管4は、左右に並んでいる。各管4は、互いに隣接している。
【0013】
上ケース5は、非導電性であり、耐熱性を呈する。
上ケース5の下部における前後方向の中央部には、その前後に対して上方に窪む窪み部9が形成されている。窪み部9の前後方向の大きさは、管上板状部7の前後方向の大きさ(厚さ)と同様とされており、窪み部9内に、一対の管上板状部7が、左右に並ぶ状態で入っている。
【0014】
通電部6は、複数(2枚)の炭素質発熱体10と、第1配線部としての上配線部12と、接続部14と、第2配線部としての下配線部16と、を有する。
尚、
図1において、各接続部14以外の通電部6が省略されている。
【0015】
各炭素質発熱体10は、長手方向に延びており上下左右に広がる板状の部材である。
各炭素質発熱体10は、炭素質の板である。各炭素質発熱体10は、長手方向を上下方向として上下左右に広がる姿勢となっている。尚、各炭素質発熱体10の少なくとも何れかの姿勢は、水平以外であっても良い。又、各炭素質発熱体10の少なくとも何れかの形状は、板状以外であっても良い。
各炭素質発熱体10は、端部を除く全体において左右両側から等間隔で交互に同じ長さのスリット18が入れられる。よって、各炭素質発熱体10は、蛇行する形状となっている。尚、一部のスリット18の長さは、他のスリット18の長さに対して長くあるいは短くされても良い。又、一部のスリット18間の大きさは、他のスリット18間の大きさに対して大きくあるいは小さくされても良い。
各炭素質発熱体10は、通電により、赤外線を放射して発熱する。各炭素質発熱体10におけるスリット18の配置態様により、各炭素質発熱体10の抵抗が調整され、赤外線の放射量が調整されて、発熱量が調整される。例えば、各炭素質発熱体10の中央部におけるスリット18間の大きさよりその上下におけるスリット18間の大きさが大きくされると、各炭素質発熱体10の中央部における抵抗がその上下に比べて大きくなり、各炭素質発熱体10の中央部における赤外線の放射量がその上下に比べて多くなって、各炭素質発熱体10の中央部における発熱量がその上下に比べて大きくなり、各炭素質発熱体10の中央部における赤外線の放射量がその上下に比べて大きくなる。
各炭素質発熱体10は、同じ大きさの金属に比べて軽く、よって、ヒータ2は、同程度の大きさの金属製の発熱体を用いたヒータより軽量である。又、各炭素質発熱体10は、赤外線を発し、赤外線により加熱対象Cを加熱するため、ヒータ2は、離れた加熱対象Cであっても効率的に加熱可能であるし、高熱の加熱対象Cに対し伝熱量の低減が抑制された状態で加熱可能である。更に、各炭素質発熱体10が電力印可に応じて瞬時に発光(赤熱)するため、ユーザはヒータ2の作動状態を把握し易い。
【0016】
各炭素質発熱体10は、対応する管4内に保持されている。
各炭素質発熱体10における表面である前面及び後面からの赤外線放射量は、各炭素質発熱体10における肉厚面である上面、下面、左面及び右面からの赤外線放射量より多い。即ち、各炭素質発熱体10における赤外線放射は、主に前面及び後面からなされ、各炭素質発熱体10の熱放射には指向性が存在する。
尚、各管4の少なくとも一方の内部に、赤外線を反射する1以上の反射板が設けられても良い。反射板は、全部が各管4の内壁に接触していても良いし、一部又は全部が当該内壁から離れていても良い。反射板は、各管4の少なくとも一方の後部に配置されても良い。
【0017】
上配線部12は、上リード線部20と、炭素質発熱体10毎の上配線接続部22と、を有する。
上配線部12は、各炭素質発熱体10の上端部(第1端部)に接続される。
【0018】
上リード線部20は、炭素質発熱体10毎の上リード線24と、結線部26と、を有する。
各上リード線24は、前後に延びている。各上リード線24は、導線であり、非導電性の被覆部を有していない。各上リード線24は、対応する管4の管上板状部7を通過している。各上リード線24の前端部は、管上板状部7内に配置されている。各上リード線24の後端部は、対応する管4の前部内に配置されている。尚、各上リード線24の少なくとも何れかは、非導電性の被覆部を有していても良い。
結線部26は、一対の管上板状部7内にわたって配置されており、各上リード線24の前端部を互いに電気的に接続している。結線部26及び各上リード線24の導電部の前端部は、互いに溶着されている。尚、結線部26及び各上リード線24の導電部の前端部は、溶着に代えて、あるいは溶着と共に、かしめ等で接続されても良い。
【0019】
各上配線接続部22は、複数箇所で屈曲した導電板により形成されており、前スペーサ部32と、第1屈曲部33と、前板部34と、左右一対の第2屈曲部35と、凹部36と、後板部37と、第3屈曲部38と、後スペーサ部39と、を有する。
前スペーサ部32は、上方から見て、管4の内部空間の断面の前部形状即ち前半円状となっている。
第1屈曲部33は、前スペーサ部32及び前板部34の間に配置されている。
前板部34は、上下左右に広がる姿勢となっている。
各第2屈曲部35は、前板部34及び後板部37の間に配置されている。第2屈曲部35は、前板部34及び後板部37の間における左右方向の両端部に配置されている。
凹部36は、左右の第2屈曲部35の間に配置されている。凹部36は、各第2屈曲部35に対して後方に凹んでいる。
後板部37は、上下左右に広がる姿勢となっている。後板部37及び前板部34は、各第2屈曲部35及び凹部36の下側に配置されており、互いに向かい合っている。後板部37及び前板部34の間には、凹部36を介して、対応する上リード線24の下端部が導入され、この導入、及び後板部37及び前板部34の少なくとも一方への上リード線24の下端部の接触により、上配線接続部22と対応する上リード線24とが電気的に接続されている。又、後板部37及び前板部34の間には、対応する炭素質発熱体10の上端部が下方から導入され、この導入、及び後板部37及び前板部34の少なくとも一方への炭素質発熱体10の上端部の接触により、上配線接続部22と対応する炭素質発熱体10とが電気的に接続されている。よって、上リード線24と、対応する炭素質発熱体10とは、上配線接続部22を介して、互いに電気的に接続されている。尚、炭素質発熱体10及び対応する上リード線24が直接電気的に接続されていても良い。
第3屈曲部38は、後板部37及び後スペーサ部39の間に配置されている。
後スペーサ部39は、上方から見て、管4の内部空間の断面の後部形状即ち後半円状となっている。
各上配線接続部22は、管4の上部内に配置されており、前スペーサ部32の肉厚部及び後スペーサ部39の肉厚部が管4の内壁に接触することにより、対応する炭素質発熱体10を管4内で上下左右に広がる姿勢で保持している。
【0020】
上配線部12は、外部との接続に用いられる端子を含む端子部である接続部14に直接接続されていない。
上配線部12は、一対の管4の上端部内に配置されている。
【0021】
接続部14は、炭素質発熱体10毎の電極ピン42と、非導電性の電極ピンケース44と、を有する。
各電極ピン42は、金属製であり、導電性を呈していて、前後方向に延びており、左右に並べられている。尚、電極ピン42の数は、1つでも良いし、3つ以上であっても良い。又、電極ピン42の少なくとも何れかは、左右に並んでいなくても良いし、斜め方向あるいは左右方向等、前後方向以外を向いていても良い。
電極ピンケース44は、耐熱性を呈する。電極ピンケース44の下部における前後方向の中央部には、その前後に対して下方に窪む窪み部48が形成されている。窪み部48の前後方向の大きさは、管下板状部8の前後方向の大きさ(厚さ)と同様とされており、窪み部48内に、一対の管下板状部8が入っている。尚、電極ピンケース44は、通電部6あるいは接続部14の構成要素とされず、通電部6あるいは接続部14から独立した構成要素とされても良い。
各電極ピン42は、窪み部48の後方に配置されており、電極ピンケース44の後部に保持されている。
各電極ピン42は、外部電源に接続されるヒータ2の端子である。各電極ピン42の後端部は、外部に露出している。
尚、接続部14は、端子としての電極ピン42を用いた端子部に代えて、リード線を用いたものとされても良い。このリード線は、後述の下リード線部50と一体であっても良い。又、接続部14として、端子棒である電極ピン42を使用したもの以外、及びリード線を使用したもの以外が用いられても良い。
【0022】
下配線部16は、下リード線部50と、炭素質発熱体10毎の下配線接続部52と、を有する。
下配線部16は、各炭素質発熱体10の下端部(第2端部)に接続される。
【0023】
下リード線部50は、炭素質発熱体10毎の下リード線54を有する。
各下リード線54は、上下に延びている。各下リード線54は、導線であり、非導電性の被覆部を有していない。各下リード線54は、対応する管4の管下板状部8を通過している。各下リード線54の上端部は、対応する管4の下部内に配置されている。各下リード線54の下部は、対応する管4の下側に配置されている。各下リード線54の下端部は、対応する電極ピン42に電気的に接続されている。尚、各下リード線54の少なくとも何れかは、非導電性の被覆部を有していても良い。
【0024】
各下配線接続部52は、複数箇所で屈曲した導電板により形成されており、前スペーサ部62と、第1屈曲部63と、前板部64と、左右一対の第2屈曲部65と、凹部66と、後板部67と、第3屈曲部68と、後スペーサ部69と、を有する。
前スペーサ部62は、下方から見て、管4の内部空間の断面の前部形状即ち前半円状となっている。
第1屈曲部63は、前スペーサ部62及び前板部64の間に配置されている。
前板部64は、上下左右に広がる姿勢となっている。
各第2屈曲部65は、前板部64及び後板部67の間に配置されている。第2屈曲部65は、前板部64及び後板部67の間における左右方向の両端部に配置されている。
凹部66は、左右の第2屈曲部65の間に配置されている。凹部66は、各第2屈曲部65に対して上方に凹んでいる。
後板部67は、上下左右に広がる姿勢となっている。後板部67及び前板部64は、各第2屈曲部65及び凹部66の上側に配置されており、互いに向かい合っている。後板部67及び前板部64の間には、凹部66を介して、対応する下リード線54の上端部が導入され、この導入、及び後板部67及び前板部64の少なくとも一方への下リード線54の上端部の接触により、下配線接続部52と対応する下リード線54とが電気的に接続されている。又、後板部67及び前板部64の間には、対応する炭素質発熱体10の下端部が上方から導入され、この導入、及び後板部67及び前板部64の少なくとも一方への炭素質発熱体10の下端部の接触により、下配線接続部52と対応する炭素質発熱体10とが電気的に接続されている。よって、下リード線54と、対応する炭素質発熱体10とは、下配線接続部52を介して、互いに電気的に接続されている。尚、炭素質発熱体10及び対応する下リード線54が直接電気的に接続されていても良い。
第3屈曲部68は、後板部67及び後スペーサ部69の間に配置されている。
後スペーサ部69は、下方から見て、管4の内部空間の断面の後部形状即ち後半円状となっている。
各下配線接続部52は、管4の下部内に配置されており、前スペーサ部62の肉厚部及び後スペーサ部69の肉厚部が管4の内壁に接触することにより、対応する炭素質発熱体10を管4内で上下左右に広がる姿勢で保持している。
【0025】
下配線部16は、外部との接続に用いられる端子を含む端子部である接続部14と、直接接続されている。より詳しくは、下配線部16の下リード線部50は、接続部14の各電極ピン42と、直接接続されている。
下配線部16は、一対の管4の閉じた下端部内に配置されている。下配線部16は、外部に一部露出する接続部14の各電極ピン42に直接つながっている。
【0026】
かような通電部6により、抵抗としての2つの炭素質発熱体10が直列に接続された回路が形成される。尚、各炭素質発熱体10の結線は、並列であっても良いし、他の態様であっても良い。
各炭素質発熱体10は、各電極ピン42が単相交流等の電源に接続されることで通電し、赤外線を放射して発熱する。
通電部6は、全体として、下方に開いた“U”字状である。通電部6では、向かい合う2辺に、それぞれ炭素質発熱体10が配置されている。即ち、一対の炭素質発熱体10は、下方に開いた“U”字状の配線に組み込まれている。従って、発熱部の広さを確保しつつ、各電極ピン42を下端部に集めることができ、接続部14を1箇所にすることができる。又、各炭素質発熱体10が隣接しているところ、管4が炭素質発熱体10毎に設けられているため、各炭素質発熱体10が物理的接触及びショートから保護される。
【0027】
ヒータ接続部3は、左右方向に延びる長直方体状であり、上部には、上面から下方へ延びる複数の電極ピン受け入れ穴80が開けられている。各電極ピン受け入れ穴80は、左右に並んでいる。各電極ピン受け入れ穴80の内面には、電源と電気的に接続された導通部(図示略)が設けられている。尚、電極ピン受け入れ穴80の数は、1つでも良いし、3つ以上であっても良い。又、電極ピン受け入れ穴80の少なくとも何れかは、左右に並んでいなくても良いし、斜め方向あるいは左右方向等、前後方向以外を向いていても良い。
何れかの2つの電極ピン受け入れ穴80にヒータ2の対応する電極ピン42が入れられることで、ヒータ2がヒータ接続部3に装着される。かような装着により、ヒータ2は、電極ピン42及び導通部を介して、電源と電気的に接続される。尚、電極ピン受け入れ穴80を、ヒータ2における一対の電極ピン42に応じて、2つずつ区切る区切りが設けられても良い。区切りは、上方に突出する突出部であっても良いし、下方に凹む溝等の凹部であっても良く、これらが混在したものであっても良い。又、ヒータ接続部3は、ヒータ1の通電部6に対し、端子を介さずに直接接続されても良い。この場合、電極ピン受け入れ穴80が省略され、導通部が通電部6にリード線等で接続されても良い。ヒータ接続部3は、上記以外のものとされても良い。
更に、複数のヒータ2が、互いに隣接する状態で装着されることで、各管4内の炭素質発熱体10の前面及び後面が左右方向に並び、左右方向に長い発熱面Hが前後に形成される。即ち、各ヒータ2における板状の各炭素質発熱体10は、表面が同じ方向(前方及び後方)を向く状態で配置されている。各ヒータ2は、各炭素質発熱体10が上下方向に延び且つ互いに隣接する状態で、並べられる。
尚、加熱装置1は、電源のオンオフを行うスイッチを備えていても良い。又、後の発熱面Hの一部又は全部を覆う反射板が設けられて、発熱面Hが前側に集約されても良い。
【0028】
以下、このような加熱装置1の動作例が説明される。
ユーザは、左右に延びる長尺の加熱対象Cを、加熱装置1の発熱面Hに隣接あるいは接触させ、加熱装置1を電源に接続する。すると、各ヒータ2に電力が供給され、各炭素質発熱体10が赤外線を放射する。加熱対象Cは、赤外線により加熱される。
尚、加熱対象Cは、前の発熱面H側のみに配置されても良いし、後の発熱面H側のみに配置されても良いし、前後の発熱面H側に配置されても良い。
【0029】
ユーザは、加熱装置1による加熱が完了すると、電源に対する接続を解除する。すると、各ヒータ2への電力の供給が遮断され、各炭素質発熱体10の赤外線の放射が停止して、赤外線による加熱対象Cの加熱が停止する。
尚、各ヒータ2及び加熱対象Cの少なくとも一方の温度を検知するセンサ、及びセンサ及び各ヒータ2と電気的に接続されて各ヒータ2が制御される制御部が設けられ、制御部が、センサにより検知された温度に基づいて、各ヒータ2のオンオフ及び出力(発熱量、赤外線放射量)の少なくとも一方を制御しても良い。又、加熱装置1を加熱対象Cに対して移動させる移動手段が設けられても良い。更に、移動手段に代えて、あるいは移動手段と共に、加熱対象Cを加熱装置1に対して搬送する搬送手段が設けられても良い。搬送手段は、例えば、加熱装置1の発熱面Hの隣接部に対して長尺の加熱対象Cを巻き取りにより左の搬入側から右の搬出側まで順次搬送するリールであっても良い。搬入側及び搬出側は、逆であっても良い。
【0030】
何れかのヒータ2において炭素質発熱体10が寿命等により破断したとき等のように、ヒータ2の交換を要する場合、ユーザは、加熱装置1の電極ピン受け入れ穴80から交換対象のヒータ2を上方へ抜き取り、新たなヒータ2の接続部14(の各電極ピン42)を電極ピン受け入れ穴80に差し込むだけで、短時間で簡単に行える。
尚、一部のヒータ2の抵抗(発熱量、供給電力)は、他のヒータ2の抵抗(発熱量、供給電力)と異なるものとされても良く、加熱装置1では、かような異なる種類のヒータ2の混在動作が可能で、ユーザは発熱面Hにおける発熱パターンを調節することができる。
【0031】
かような加熱装置1は、次のような作用効果を奏する。
即ち、炭素質発熱体10を有する複数のヒータ2を備えており、各ヒータ2は、各炭素質発熱体10が上下方向に延びる状態で並べられている。
よって、各炭素質発熱体10によって長尺の発熱面Hが形成され、長尺の加熱対象Cを加熱し易い加熱装置1が提供される。尚、加熱装置1において、各ヒータ2の一部又は全部が離れており、一部又は全部のヒータ2間の距離が大きくて、一部又は全部のヒータ2が互いに隣接していなくても良く、この場合であっても、1つの加熱対象Cがそれらヒータ1の隣接部を通過可能であれば、長尺の加熱対象Cを加熱し易い効果が発揮される。
【0032】
更に、各ヒータ2は、互いに隣接している。
よって、長尺の加熱対象Cをより一層加熱し易い加熱装置1が提供される。
【0033】
又、ヒータ2は、電源と電気的に接続される接続部14を有しており、接続部14は、ヒータ2の下端部に配置されている。よって、炭素質発熱体10が上下方向に延びる状態での各ヒータ2の設置が行い易い。
更に、ヒータ2は、炭素質発熱体10を一対有しており、一対の炭素質発熱体10は、各ヒータ2が並べられる方向で並べられており、下方に開いた“U”字状の配線に組み込まれている。よって、下端部に接続部14が配置されるヒータ2がより効率良く形成される。
【0034】
又、各炭素質発熱体10は、板状であり、表面が同じ方向を向く状態で配置されている。よって、各炭素質発熱体10から放射される赤外線の方向を揃えることができ、指向性のある発熱面Hを形成することができる。
更に、ヒータ2は、炭素質発熱体10を覆う上下方向の管4を備えている。よって、上下方向の炭素質発熱体10が物理的接触及びショートから保護される。
又、炭素質発熱体10は、蛇行する形状を有している。よって、形状を調整することで、炭素質発熱体10の抵抗ひいては発熱量、発熱密度が簡単に調整される。
【0035】
尚、本発明の上記形態又は変更例は、更に次の変更例を適宜有する。
加熱装置1において、各ヒータ2における炭素質発熱体10の数が4つとされる等、加熱装置1における各種の部材又は部分の個数、材質及び配置の少なくとも何れかが変更されても良い。各種の部材又は部分の個数の変更には、0個とすること、即ち各種の部材又は部分の省略が含まれても良い。
【符号の説明】
【0036】
1・・加熱装置、2・・ヒータ、4・・管、10・・炭素質発熱体、14・・接続部、H・・(長い)発熱面。