(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111680
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】開閉蓋のストッパ装置及び筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240809BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20240809BHJP
H02B 1/38 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
H05K5/03 Z
E05F5/00 Z
H02B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016320
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北谷 健二
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB12
4E360BA08
4E360BA11
4E360BB02
4E360BB22
4E360BC03
4E360BC08
4E360BD03
4E360EA12
4E360EA18
4E360EB02
4E360ED02
4E360GA47
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】開閉蓋が閉まることによる危険を抑制可能な開閉蓋のストッパ装置を提供する。
【解決手段】ストッパ装置30は、ケース壁部11から構成されたケース10と、蓋一端部20aを中心とした回動によりケース側開口部12を閉状態及び閉状態よりも開いた状態である危険回避開状態に設定可能な開閉蓋20と、を備える電子機器装置100において、開閉蓋20を危険回避開状態に維持するためのストッパ装置30であって、ケース壁部11に対して回動可能に取り付けられる支持一端部31aと、開閉蓋20を支持可能な支持他端部31bと、支持一端部31aから支持他端部31bまで延びる支持延在部31cと、を有する支持部31と、ケース壁部11に係止可能なように支持部31から突出して設けられ、ケース壁部11の危険回避開位置P2に係止することにより開閉蓋20を危険回避開状態に維持可能なストッパ部32と、を備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース側開口部を有するようにケース壁部から構成されたケースと、蓋一端部が回動可能に前記ケースに取り付けられ、前記蓋一端部を中心とした回動により前記ケース側開口部を閉状態及び前記閉状態よりも開いた状態である危険回避開状態に設定可能な開閉蓋と、を備える筐体において、前記開閉蓋を前記危険回避開状態に維持するための開閉蓋のストッパ装置であって、
前記ケース壁部に対して回動可能に取り付けられる支持一端部と、前記支持一端部の反対側の端部であり前記開閉蓋を支持可能な支持他端部と、前記支持一端部から前記支持他端部まで延びる支持延在部と、を有する支持部と、
前記ケース壁部に係止可能なように前記支持部から突出して設けられ、前記ケース壁部の危険回避開位置に係止することにより前記開閉蓋を前記危険回避開状態に維持可能なストッパ部と、
を備える、開閉蓋のストッパ装置。
【請求項2】
前記開閉蓋を前記危険回避開状態よりも前記ケースに対して開いた状態である作業開状態に設定する場合に、前記ストッパ部を前記ケース壁部の作業開位置に当接させることにより前記ストッパ部を前記作業開状態の位置決め部として利用可能である、請求項1に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項3】
前記支持他端部の前記開閉蓋への係止により、あるいは、前記支持他端部の前記開閉蓋への係止に加えて前記ストッパ部の前記ケース壁部の作業開位置への係止により、前記開閉蓋を前記危険回避開状態よりも前記ケースに対して開いた状態である作業開状態に維持可能である、請求項1又は2に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項4】
前記支持部は前記ケース壁部に沿って前記ケース壁部の内面に対向する一面及び前記一面とは反対側の他面を有するように板状に形成されており、前記一面及び前記他面が前記ケース壁部に沿って回動するように前記支持一端部が前記ケース壁部の内面に取り付けられており、
前記ストッパ部は前記支持部の前記一面に形成されている、請求項1又は2に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項5】
前記支持部の前記他面に形成されている、前記他面に対して垂直方向に立ち上がる立ち上がり部をさらに備える、請求項4に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項6】
前記立ち上がり部は、前記支持他端部から前記支持一端部側に距離を隔てた位置に形成されている、請求項5に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項7】
前記危険回避開状態は、前記閉状態の直前において前記開閉蓋が前記ケースに対して開いている状態である、請求項1又は2に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項8】
前記作業開状態は、前記ケース側開口部を介して前記ケースの内部に対して作業が可能な程度に前記開閉蓋が前記ケースに対して開いている状態である、請求項2に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項9】
前記支持一端部を前記ケースに取り付けるためのストッパ係止部をさらに備える、請求項1又は2に記載の開閉蓋のストッパ装置。
【請求項10】
ケース側開口部を有するようにケース壁部から構成されたケースと、
蓋一端部が回動可能に前記ケースに取り付けられ、前記蓋一端部を中心とした回動により前記ケース側開口部を閉状態及び前記閉状態よりも開いた状態である危険回避開状態に設定可能な開閉蓋と、
請求項1又は2に記載の開閉蓋のストッパ装置と、
を備える筐体。
【請求項11】
前記ケースには前記ストッパ部を収納可能な収納部が形成されている、請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
前記ケースには交換及び修理を含むメンテナンスの対象であるケース側電子部品が収納されている、請求項10に記載の筐体。
【請求項13】
前記開閉蓋には蓋側電子部品が収納されている、請求項10に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉蓋のストッパ装置及び当該ストッパ装置を備える筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉蓋を備えるケースにおいて、開閉蓋の開閉をスムーズにする構成が提案されている。特許文献1には、ケースと、ケースの開閉蓋であるカバーとを有するルーフボックスが開示されている。ケースには、横方向に延びるガイド溝が形成されている、ガイド溝に沿って引張バネが収容されており、引張バネのバネ一端部がガイド溝の端部に固定されている。また、ケースとカバーとは支持棒により互いに支持されており、支持棒は、その支持一端部がカバーに取り付けられており、支持他端部が引張バネのバネ他端部に固定されている。この特許文献1のルーフボックスでは、カバーをケースに対して相対的に開く方向に移動させれば、引張バネの助けにより支持棒がガイド溝に沿って移動しながら立ち上がり、最終的にカバーはケースに対して開いて作業状態になる。一方、カバーを押圧してカバーを閉じる方向に移動すると、引張バネの付勢力に抗して支持棒がガイド溝に沿って移動し、最終的にカバーがケースを覆うように閉まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り特許文献1に記載の構成では、引張バネの助けによりカバーをケースに対して開く方向に移動させることはできる。しかし、カバーをケースに対して開いた作業状態に維持する構成とはなっていないため、カバーがケースに対して閉じる方向に移動する場合がある。例えば、引張バネの引っ張り強さが弱ければカバーが作業状態から閉じる方向に移動する。このように作業状態においてカバーがケースに対して閉じる方向に移動することにより手などの身体がカバーとケースとの間に挟まれる恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、開閉蓋が閉まることによる危険を抑制可能な開閉蓋のストッパ装置及び当該ストッパ装置を備える筐体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる開閉蓋のストッパ装置は、ケース側開口部を有するようにケース壁部から構成されたケースと、蓋一端部が回動可能にケースに取り付けられ、蓋一端部を中心とした回動によりケース側開口部を閉状態及び閉状態よりも開いた状態である危険回避開状態に設定可能な開閉蓋と、を備える筐体において、開閉蓋を危険回避開状態に維持するための開閉蓋のストッパ装置であって、ケース壁部に対して回動可能に取り付けられる支持一端部と、支持一端部の反対側の端部であり開閉蓋を支持可能な支持他端部と、支持一端部から支持他端部まで延びる支持延在部と、を有する支持部と、ケース壁部に係止可能なように支持部から突出して設けられ、ケース壁部の危険回避開位置に係止することにより開閉蓋を危険回避開状態に維持可能なストッパ部と、を備える、開閉蓋のストッパ装置である。
【0007】
この発明にかかる開閉蓋のストッパ装置では、開閉蓋20を閉状態の手前の危険回避開状態に維持することができるため、開閉蓋20がすぐに閉状態に向かう場合よりも開閉蓋20とケース10との間で指を含む身体等を挟む等の危険を抑制することができる。
【0008】
この発明にかかる筐体は、ケース側開口部を有するようにケース壁部から構成されたケースと、蓋一端部が回動可能にケースに取り付けられ、蓋一端部を中心とした回動によりケース側開口部を閉状態及び閉状態よりも開いた状態である危険回避開状態に設定可能な開閉蓋と、前記の開閉蓋のストッパ装置と、を備える筐体である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、開閉蓋が閉まることによる危険を抑制可能な開閉蓋のストッパ装置及び当該ストッパ装置を備える筐体を提供することができる。
【0010】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態に係るストッパ装置を備える電子機器装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】電子機器装置のうちケースの一例を示す斜視図である。
【
図3】電子機器装置のうち開閉蓋の一例を示す斜視図であり、特に作業開状態における開閉蓋を示す斜視図である。
【
図4】開閉蓋がストッパ装置によりケースに対して作業開状態に維持されている態様を示す斜視図である。
【
図7】ストッパ装置を背面側から見た斜視図である。
【
図8】ストッパ装置が第3ケース壁部に取り付けられている状態における側面図である。
【
図9】ストッパ装置がケースに収納されている収納状態をケースの外側から見た一例を示す斜視図である。
【
図10】ストッパ装置がケースに収納されている収納状態をケースの内側から見た一例を示す斜視図である。
【
図11】ストッパ装置によって開閉蓋がケースに対して作業開状態に維持されている様子を示す側面図である。
【
図12】作業開状態においてストッパ装置が開閉蓋の内側に係止されている様子を示す斜視図である。
【
図13】ストッパ装置によって開閉蓋がケースに対して危険回避開状態に維持されている様子を示す側面図である。
【
図14】ストッパ装置とケースとの関係の一例を示す関係図である。
【
図15】ストッパ装置によって開閉蓋がケースに対して危険回避開状態に維持されている別の様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.電子機器装置
この発明の実施の形態に係るストッパ装置30を備える電子機器装置100について図面を参照して以下に説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態に係るストッパ装置を備える電子機器装置の一例を示す外観斜視図である。
図2は、電子機器装置のうちケースの一例を示す斜視図である。
図3は、電子機器装置のうち開閉蓋の一例を示す斜視図であり、特に作業開状態における開閉蓋を示す斜視図である。
図4は、開閉蓋がストッパ装置によりケースに対して作業開状態に維持されている態様を示す斜視図である。なお、
図1に示すように取付面Wが延びる延直方向が上下方向であり、取付面Wに対して電子機器装置100が突出するように取り付けられる方向が前後方向であり、上下方向及び前後方向に直交する方向が左右方向である。なお、上下方向は、地面に対して鉛直方向である。
【0014】
電子機器装置(筐体)100は、ケース10と、ケース10に対して蓋となる開閉蓋20と、開閉蓋20をケース10に対して所定の開いた状態に維持可能なストッパ装置30と、を備える。前記所定の開いた状態には、危険回避開状態及び作業開状態等が含まれる。作業開状態とは、
図3及び後述の
図11に示すように、後述のケース側開口部12を介してケース10の内部に対して作業が可能な程度に開閉蓋20がケース10に対して開いている状態である。危険回避開状態とは、後述の
図13に示すように、開閉蓋20がケース10を覆っている閉状態よりも開いた状態、本実施の形態では特に閉状態の直前において開閉蓋20がケース10に対して開いた状態であり、かつ、作業開状態である開閉蓋20よりもケース10に対して閉じた状態である。
【0015】
電子機器装置100は、通常、
図1に示すように取り付け対象の取付面Wに後述の第5ケース壁部11eが対向するように取付面Wに取り付けられている。ここで、取付面Wは、上下方向に沿った面である。
図1では、開閉蓋20は、ケース10の後述のケース側開口部12を覆っており閉状態にある。閉状態では、開閉蓋20は、蓋一端部(
図1における開閉蓋20の左上端から右上端)20a及び蓋他端部(
図1における開閉蓋20の左下端から右下端)20b等を介してネジN1(ネジN1a及びN1b)及びネジN2(
図2)等によりケース10に取り付けられている。開閉蓋20をケース10に対して開く場合、開閉蓋20の蓋一端部20aをネジN1によりケース10に取り付けた状態で、開閉蓋20の蓋他端部20bのネジN2が取り外される。開閉蓋20は、電子機器装置100の上端部である蓋一端部20aを中心としてケース10に対して前方かつ上方に、及び後方かつ下方に回動される。これにより、開閉蓋20は、ケース10に対して開閉することが可能となる。
【0016】
そして、開閉蓋20は、ストッパ装置30により、
図3、
図4及び後述の
図11に示すようにケース10に対して作業開状態に維持される。また、開閉蓋20は、ストッパ装置30により、後述の
図13に示すようにケース10に対して危険回避開状態に維持される。このようにストッパ装置30を用いて開閉蓋20をケース10に対して所定の開いた状態に容易に維持することができる。
【0017】
以下に、ケース10、開閉蓋20及びストッパ装置30についてそれぞれ説明する。
(1)ケース
ケース10は、ケース側電子部品13を内部に収納しており、開閉蓋20の開閉によりケース側開口部12が閉じられた閉状態とケース側開口部12が所定の開いた状態となる。ケース10は、
図1及び
図2に示すように、板状のケース壁部11と、ケース側電子部品13と、を有する。本実施の形態ではケース10は概ね直方体状である。ケース壁部11は第1~第5ケース壁部11a~11eを有しており、第1~第5ケース壁部11a~11eはケース10の一方が開口するケース側開口部12を形成するように構成されている。第5ケース壁部11eはケース側開口部12に対向しており、長方形状をなしている。長方形状の第5ケース壁部11eの4辺それぞれと直交するように第1~第4ケース壁部11a~11dそれぞれが第5ケース壁部11eと接続されている。第1~第4ケース壁部11a~11dにおいて第5ケース壁部11eと接続されていない縁部によりケース側開口部12が形成されている。そして、第1~第5ケース壁部11a~11eによりケース10内にケース側開口部12を含む空間が形成されており、当該空間内にケース側電子部品13が収納されている。
【0018】
第1、第3及び第4ケース壁部11a、11c及び11dには複数のケース係止穴16が形成されている。ケース係止穴16は、第1、第3及び第4ケース壁部11a、11c及び11dのうちケース側開口部12に近い位置に形成されている。複数のケース係止穴16には、開閉蓋20の蓋一端部20a及び蓋他端部20bをケース10に対して係止するためのケース係止穴16a~16cが含まれる。第1ケース係止穴16aは第1ケース壁部11aのうち蓋一端部20aに隣接する一の角部に形成されており、蓋一端部20aと第1ケース壁部11aとを回動可能に係止するためのネジN1aが挿入されている。第2ケース係止穴16bは第3ケース壁部11cのうち蓋一端部20aに隣接する一の角部に形成されており、蓋一端部20aと第3ケース壁部11cとを回動可能に係止するためのネジN1bが挿入されている。第3ケース係止穴16cは第4ケース壁部11dの蓋他端部20bに隣接する部分に形成されており、蓋他端部20bとケース10とを係止するためのネジN2が挿入されている。
【0019】
また、第3ケース壁部11cには、ストッパ装置30を第3ケース壁部11cに取り付けるためのケース側ストッパ穴17(
図3)がケース側開口部12に近い位置に形成されている。
【0020】
さらに、第3ケース壁部11cには、ストッパ装置30の後述のストッパ部32を収納可能な収納部15がケース側開口部12に近い位置に形成されている。本実施の形態では、収納部15は、第3ケース壁部11cを貫通するように形成されている。
【0021】
ケース側電子部品13は、例えば、交換及び修理等を含むメンテナンスの対象である電子部品である。例えば、ケース側電子部品13にはヒューズ13a等が含まれる。ケース10の第4ケース壁部11d側には第4ケース壁部11dにより覆われていない開口部が形成されており、当該開口部を介して図示しないケーブル等がケース10内に挿入され、ケース側電子部品13と外部の電子機器等とがケーブルを介して接続可能となっている。
【0022】
(2)開閉蓋
開閉蓋20は、ケース10のケース側開口部12を覆うように蓋となる部分であり、開閉蓋20をケース10に対して開くことによりケース10の内部が視認可能となる。開閉蓋20は、
図1及び
図3に示すように、板状の蓋壁部21と、蓋側電子部品23と、を有する。さらに、開閉蓋20は、操作パネル24と、複数の蓋側突出部25と、支持プレート部26と、蓋側段差底部27と、を有する。
【0023】
本実施の形態では開閉蓋20は概ね直方体状である。蓋壁部21は第1~第5蓋壁部21a~21eを有しており、第1~第5蓋壁部21a~21eは開閉蓋20の一方が開口する蓋側開口部22を形成するように構成されている。第5蓋壁部21eは蓋側開口部22に対向しており、長方形状をなしている。長方形状の第5蓋壁部21eの4辺それぞれと直交するように第1~第4蓋壁部21a~21dそれぞれが第5蓋壁部21eと接続されている。第1~第4蓋壁部21a~21dにおいて第5蓋壁部21eと接続されていない縁部により蓋側開口部22が形成されている。そして、第1~第5蓋壁部21a~21eにより開閉蓋20内に蓋側開口部22を含む空間が形成されており、当該空間内に蓋側電子部品23が収納されている。
【0024】
図3及び
図4に示すように、開閉蓋20の蓋一端部(
図1における左上端から右上端)20aの両端部にはケース10に向かって突出する一対の蓋係止部28が形成されている。一対の蓋係止部28のうち第1蓋係止部28aは第1蓋壁部21aの蓋一端部20aに対応する部分に形成されている。第1蓋係止部28aには、ネジN1aが挿入される第1蓋係止穴28a1が形成されている。同様に、一対の蓋係止部28のうち第2蓋係止部28bは第3蓋壁部21cの蓋一端部20aに対応する部分に形成されている。第2蓋係止部28bには、ネジN1bが挿入される第2蓋係止穴28b1が形成されている。また、第4蓋壁部21dの蓋他端部(
図1における左下端から右下端)20bには、ネジN2が挿入される第3蓋係止穴28cが形成されている。
【0025】
電子機器装置100が使用状態にある場合、開閉蓋20はケース10に取り付けられており、ケース側開口部12を覆っており閉状態になっている。この場合、開閉蓋20の蓋他端部20bは、第4ケース壁部11dの第3ケース係止穴16cと第4蓋壁部21dの第3蓋係止穴28cとが合わされた状態でこれらの係止穴16c及び28cにネジN2が挿通されることにより、ケース10に係止される。また、開閉蓋20の蓋一端部20aは、第1ケース壁部11aの第1ケース係止穴16aと第1蓋係止部28aの第1蓋係止穴28a1とが合わされた状態でこれらの係止穴16a、28a1にネジN1aが挿通され、かつ、第3ケース壁部11cの第2ケース係止穴16bと第2蓋係止部28bの第2蓋係止穴28b1とが合わされた状態でこれらの係止穴16b及び28b1にネジN1bが挿通されることにより、ケース10に係止される。また、開閉蓋20はネジN2が取り外されることにより、蓋一端部20aがケース10に対して回動可能に係止された状態で、蓋他端部20bがケース10に対して離隔可能となる。これにより、開閉蓋20は、ケース側開口部12を露出するように開閉することができる。本実施の形態では、これに限定されないが開閉蓋20はケース10に対して最大90°開くように構成されている。
【0026】
また、複数の蓋側突出部25及び蓋側段差底部27が、
図3及び
図4に示すように、開閉蓋20に形成されている。複数の蓋側突出部25及び蓋側段差底部27は、本実施の形態では、第1蓋壁部21a及び第3蓋壁部21cに設けられている。第1蓋壁部21a及び第3蓋壁部21cの複数の蓋側突出部25及び蓋側段差底部27は同様の構成であるので、第3蓋壁部21cの複数の蓋側突出部25及び蓋側段差底部27についてのみ説明する。
【0027】
複数の蓋側突出部25は、第3蓋壁部21cの内面と後述の支持プレート部26との間において第3蓋壁部21cの内面から突出しており、蓋側開口部22に隣接する位置に設けられている。また、複数の蓋側突出部25は、蓋側開口部22の開口面と直交するように、つまり第3蓋壁部21cの蓋側開口部22側の縁部が延びる方向に直交するように、第3蓋壁部21cの蓋側開口部22側の縁部から第5蓋壁部21eに向かって延びて形成されている。これに限定されないが、複数の蓋側突出部25は、直方体状であり、第3蓋壁部21cの蓋側開口部22側の縁部と第5蓋壁部21eとの間の途中まで延びている。複数の蓋側突出部25は第1~第5蓋側突出部25a~25eを含む。第1~第5蓋側突出部25a~25eは第3蓋壁部21cの蓋側開口部22側の縁部の延びる方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。本実施の形態では、第1蓋側突出部25a及び第2蓋側突出部25bの少なくとも一方は、
図4に示すように開閉蓋20をストッパ装置30により作業開状態にするために利用することができる位置に形成されている。なお、複数の蓋側突出部25は、開閉蓋20の強度を高めるためのリブとしても機能することができる。特に、複数の蓋側突出部25が蓋側開口部22に隣接する位置に設けられていることから、第1及び第3蓋壁部21a及び21cのうち蓋側開口部22側の強度を高めることができる。
【0028】
蓋側段差底部27は、複数の蓋側突出部25のうち第5蓋壁部21e側の先端部に当接するように設けられている。蓋側段差底部27は、第3蓋壁部21cの蓋側開口部22側の縁部が延びる方向に沿って延びるとともに、第3蓋壁部21cの内面から突出するように設けられている。蓋側段差底部27は、本実施の形態では、
図3及び
図4に示すように複数に分割されて設けられている。本実施の形態では、蓋側段差底部27の少なくとも一部は、
図4に示すように、開閉蓋20をストッパ装置30の支持他端部31bと当接することにより作業開状態に維持するために用いることができる。
【0029】
また、支持プレート部26は、蓋側電子部品23が搭載されている基板を支持するために、開閉蓋20のうち蓋側開口部22に対応する位置に蓋側開口部22に嵌め込まれるように配置されている。支持プレート部26は、壁部対向プレート部26aと底面プレート部26bとを有する。底面プレート部26bは板状に形成されており、その板状面が蓋側開口部22の開口面に沿うように配置されている。底面プレート部26bの板状面は概ね蓋側開口部22より一回り小さい大きさである。蓋側電子部品23が搭載されている基板は板状であり、基板は、その板状面が底面プレート部26bの板状面に沿うように底面プレート部26bに配置されている。壁部対向プレート部26aは、底面プレート部26bの第1及び第3蓋壁部21a及び21cに沿った両縁部から蓋側開口部22の外方に向かって立ち上がるとともに、第1蓋壁部21a及び第3蓋壁部21cよりも外側に突出するように形成されている。また、底面プレート部26bの両縁部それぞれの壁部対向プレート部26aそれぞれは、第1及び第3蓋壁部21a及び21cそれぞれとの間に隙間Gを有している。この隙間Gに複数の蓋側突出部25が位置している。さらに、壁部対向プレート部26aと第3蓋壁部21cの内面との間の隙間Gにはストッパ装置30の支持他端部31bが挿入可能となっている。
【0030】
蓋側電子部品23は、例えば、電力調整用電源等の電源生成装置である。生成された電源は、例えば温度制御等に用いられる。第5蓋壁部21eには各種操作ボタンが配置された操作パネル24が取り付けられており、操作ボタン24aの操作により蓋側電子部品23が制御される。
【0031】
(3)ストッパ装置
図2~
図4及び後述の
図11~
図13に示すように、ストッパ装置30は、開閉蓋20を、ケース10に対して所定の開いた状態(作業開状態及び危険回避開状態等を含む状態)に維持する。ストッパ装置30はケース10に回動可能に取り付けられている。ストッパ装置30は、支持部31と、ストッパ部32と、立ち上がり部33と、ストッパ係止部34と、を有する。
図5は、ストッパ装置の正面図である。
図6は、ストッパ装置の背面図である。
図7は、ストッパ装置を背面側から見た斜視図である。
図8は、ストッパ装置が第3ケース壁部に取り付けられている状態における側面図である。
【0032】
(3-1)支持部、ストッパ係止部
支持部31は、第3ケース壁部11cに取り付けられており、第3ケース壁部11cの内面に沿ってケース10の内部から外部に向かって、及びケース10の外部から内部に向かって回動可能に構成されている。支持部31は、第3ケース壁部11cに対して回動可能に取り付けられる支持一端部31aと、支持一端部31aの反対側の端部である支持他端部31bと、支持一端部31aから支持他端部31bまで延びる支持延在部31cと、を有する。また、支持部31は、支持一端部31aから支持他端部31bまで長手方向に延びる板状に形成されており、第3ケース壁部11cの内面に沿って第3ケース壁部11cの内面に対向する一面31dと、一面31dとは反対側の他面31eと、を有する。
【0033】
支持一端部31aには支持部31の板状面を貫通するストッパ係止穴35が形成されている。第3ケース壁部11cの内面に一面31dを対向させた状態でストッパ係止穴35及びケース側ストッパ穴17にストッパ係止部34が挿通されることにより、ストッパ装置30が支持一端部31aを中心として第3ケース壁部11cに回動可能に取り付けられる。本実施の形態では、ストッパ装置30は、一面31dが第3ケース壁部11cの内面に概ね摺動するように支持一端部31aを中心として回動する。
【0034】
そして、ストッパ装置30を支持一端部31aを中心として回動させて支持他端部31bを開閉蓋20に当接させることにより、少なくとも作業開状態(
図3、
図4及び後述の
図11参照)に開閉蓋20が維持される。具体的には、ストッパ装置30を回動させて壁部対向プレート部26aと第3蓋壁部21cの内面との間の隙間Gに支持他端部31bを挿入しつつ支持他端部31bの先端を蓋側段差底部27に当接させることにより、ストッパ装置30により開閉蓋20が作業開状態に維持される。このとき、支持他端部31bは、第1蓋側突出部25aと第2蓋側突出部25bとの間のいずれかの部分に位置する。
【0035】
本実施の形態では、上記のように支持部31が板状に構成されており第3ケース壁部11cの内面に取り付けられているとともに、支持部31が第3ケース壁部11cに沿って回動する。さらに、隙間Gに支持他端部31bが挿入されることにより開閉蓋20を作業開状態に維持するため、電子機器装置100に対するストッパ装置30の占有領域を小さくすることができる。よって、ストッパ装置30を電子機器装置100に設けても電子機器装置100をコンパクトに形成することができる。さらには、板状の支持部31、特に支持他端部31bは隙間Gに挿入し易く、また、当該隙間Gに支持他端部31bを挿入することによりガタツキ抑制した状態で支持他端部31bにより開閉蓋20をしっかりと支持することができる。
【0036】
(3-2)ストッパ部
ストッパ部32は、少なくとも危険回避開状態(後述の
図13参照)に開閉蓋20を維持する。ストッパ部32は、支持部31から突出して設けられている。本実施の形態では、ストッパ部32は、第3ケース壁部11cの内面に対向する支持部31の一面31dから突出して設けられている。ストッパ部32の突出の程度は、ストッパ部32が第3ケース壁部11cの縁部に係止可能な程度である。なお、本実施の形態では、前述の通り一面31dが第3ケース壁部11cの内面に概ね摺動するようにストッパ装置30が第3ケース壁部11cに取り付けられており、一面31dから突出したストッパ部32はストッパ装置30を回動することにより所定の位置で第3ケース壁部11cのケース側開口部12側の縁部に容易に係止するようになっている。このようなストッパ部32の形状は限定されないが、本実施の形態では半円形状である。
【0037】
ストッパ部32のストッパ装置30における位置は、ストッパ部32により開閉蓋20を少なくとも危険回避開状態に維持することができれば限定されないが、本実施の形態では、支持他端部31bよりも支持一端部31aに近い位置に設けられている。さらに、ストッパ部32のストッパ装置30における位置は、少なくとも危険回避開状態における後述の
図13の危険回避開角度θbに応じて設定される。
【0038】
このようなストッパ部32により支持部31を回動させるだけでストッパ部32を第3ケース壁部11cに係止させることができ、開閉蓋20をケース10に対して容易に危険回避開状態に維持することができる。
【0039】
さらに、ストッパ部32は、支持他端部31bとともに作業開状態に開閉蓋20を維持してもよい。
【0040】
ストッパ部32は、後述の
図9及び
図10に示す収納状態では、第3ケース壁部11cの収納部15に収納される。
【0041】
(3-3)立ち上がり部
立ち上がり部33は、支持部31の他面31eにおいて、他面31eに対して垂直方向に立ち上がるように形成されている。本実施の形態では、立ち上がり部33は支持他端部31bには形成されておらず、支持他端部31bから支持一端部31a側に距離を隔てた位置に形成されている。立ち上がり部33は、第1~第6立ち上がり部33a~33fを有する。第1及び第3立ち上がり部33a、33cは、支持延在部31cから支持一端部31aに亘って支持部31の縁部において他面31eから立ち上がるように形成されており、支持一端部31aにおいて連続している。第2立ち上がり部33bは、第1及び第3立ち上がり部33a、33cの間において支持延在部31cから支持一端部31aに亘って他面31eから立ち上がるように形成されている。第4~第6立ち上がり部33d~33fは、第1~第3立ち上がり部33a~33cと直交するように第1及び第3立ち上がり部33a、33c間に亘って他面31eから立ち上がるように形成されている。
【0042】
立ち上がり部33により支持部31の強度、例えば支持部31の支持他端部31bから支持一端部31aに延びる方向の強度及び当該延びる方向に直交する方向の強度等を高めることができる。また、板状の支持部31において支持他端部31bから支持一端部31a側に距離を隔てた位置に立ち上がり部33が形成されているため、支持他端部31bは板状である。よって、支持他端部31bにより開閉蓋20を支持する際に隙間Gに支持他端部31bを挿入させやすい。なお、立ち上がり部33を第3ケース壁部11cの縁部に係止させることにより、開閉蓋20を危険回避開状態及び作業開状態の少なくともいずれかに維持することに用いてもよい。
【0043】
(3-4)開閉蓋及びストッパ装置の材料
本実施の形態では、開閉蓋20及びストッパ装置30は同一材料から形成されている。開閉蓋20及びストッパ装置30を同一材料で形成することにより、開閉蓋20及びストッパ装置30それぞれに異なる材料を準備する手間を省略することができる。また、開閉蓋20を形成した材料を用いてストッパ装置30を形成することができる。例えば、開閉蓋20を形成した材料の残りによりストッパ装置30を形成することにより、開閉蓋20の材料を有効に活用することができる。特にストッパ部32は比較的に小さな部材であり開閉蓋20を形成後に余った材料により形成することができる。
【0044】
また、ストッパ装置30を構成する支持部31、ストッパ部32、立ち上がり部33及びストッパ係止部34は樹脂で形成することができる。ストッパ装置30を樹脂で形成することにより、金属等で形成する場合に比べて可撓性を持たせることができる。よって、ストッパ装置30を撓ませることによりストッパ装置30の動きの自由度を高めることができる。例えば、ストッパ装置30の収納、ストッパ装置30の収納状態から作業開状態及び危険回避開状態等にするための回動及び支持他端部31bの隙間Gへの挿入等を容易に行うことができる。また、ストッパ係止部34が樹脂で形成されていることにより、ストッパ係止部34と支持部31との摩耗をストッパ装置30が金属で形成されている場合よりも抑制することができ、ストッパ装置30を長寿命化することができる。ストッパ係止部34には、例えば樹脂製のリベットを用いることができる。なお、ストッパ装置30に加えて開閉蓋20もまた樹脂で形成することができる。この場合、ストッパ装置30及び開閉蓋20少なくともいずれかが金属で形成されている場合に比べて、ストッパ装置30と開閉蓋20との接触による摩耗を抑制することができる。
【0045】
2.電子機器装置の開閉手順
次に、電子機器装置100の開閉蓋20の開閉手順について以下に説明する。以下では、開閉蓋20がケース10に対して閉状態、作業開状態及び危険回避開状態にある場合について説明する。
【0046】
(1)閉状態
閉状態では、
図1に示すように開閉蓋20がケース側開口部12を覆っている。開閉蓋20の蓋一端部20a及び蓋他端部20bとケース10とがネジN1(N1a、N1b)、N2を介して固定されることで、開閉蓋20はケース10に対して閉状態に固定される。
【0047】
閉状態では、ストッパ装置30は、
図9及び
図10に示すように全体が側面視において第3ケース壁部11cからはみ出さないように収納状態で配置されている。つまり、ストッパ装置30は収納状態では第3ケース壁部11cの縁部よりも内側に配置されており、本実施の形態では第3ケース壁部11cの縁部に沿うように配置されている。開閉蓋20を閉状態にする場合には、ストッパ装置30をストッパ係止部34を中心としてB方向(
図9及び
図10)に回動させるとともに第3ケース壁部11cの内面から離れる方向に撓ませつつ収納状態にする。具体的に、ストッパ部32が第3ケース壁部11cの収納部15に対向する位置にくるまでストッパ装置30を第3ケース壁部11cの内面から離れる方向に撓ませた状態でB方向に回動し、ストッパ部32が収納部15に対向するとストッパ装置30を第3ケース壁部11cの内面側に沿わせることによりストッパ部32を収納部15に収納する。このようにストッパ装置30を撓ませて回動することにより、第3ケース壁部11cの縁部とストッパ部32との干渉を抑制しつつ、ストッパ部32を第3ケース壁部11cの収納部15に収納することができる。収納状態ではストッパ部32が収納部15に係止されるため、ストッパ装置30が収納位置に容易に位置決めされ固定される。よって、ストッパ装置30を収納状態に維持するための別途の部材が不要である。なお、収納状態を解除する場合には、ストッパ装置30を第3ケース壁部11cの内面から離れる方向に撓ませた状態でA方向に回動する。そして、収納状態が解除されるとストッパ装置30を撓んだ状態から解放する。
【0048】
(2)作業開状態
開閉蓋20の蓋一端部20aをネジN1によりケース10に取り付けた状態で、開閉蓋20の蓋他端部20bのネジN2が取り外される。そして、
図11に示すように、蓋一端部20aを中心として回動させることによりケース10に対して開閉蓋20を開く。このとき、ストッパ装置30を支持一端部31aを中心としてA方向(
図9及び
図10)に回動させて支持他端部31bにより開閉蓋20を作業開状態に維持する。
【0049】
具体的に、手等により開閉蓋20をケース10に対して90°まで開いた状態で、ストッパ装置30を回動させて
図11及び
図12に示すようにストッパ部32を第3ケース壁部11cの縁部の作業開位置P1に当接させる。ストッパ部32を作業開位置P1に当接させた状態で開閉蓋20をケース10に対して90°から作業開角度θa(<90°)まで傾ける。このとき、ストッパ装置30の支持他端部31bは、壁部対向プレート部26aと第3蓋壁部21cの内面との間の隙間Gに挿入されるとともに、蓋側段差底部27に係止される。
【0050】
このようにストッパ装置30を回動させるという簡単な作業により開閉蓋20をケース10に対して作業開状態に維持することができる。作業開状態では、ケース側開口部12を介してケース10の内部に対して作業が可能な程度に開閉蓋20がケース10に対して開いているため、開閉蓋20を手で支持する等の作業をすることなく、ケース側開口部12を介したケース10内への作業を比較的に容易に行うことができる。よって、ケース側電子部品13に対して交換及び修理等を含むメンテナンスを容易に行うことができる。また、開閉蓋20には蓋側電子部品23が収納されているため、蓋側電子部品23が収納された開閉蓋20はある程度の重量を有するように形成されている。このようなある程度の重量を有する開閉蓋20であってもストッパ装置30により支持することができるため、開閉蓋20を手で支持する等の作業の大変さを抑制しつつ、ケース10内部に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
【0051】
また、ストッパ装置30を作業開状態において使用する場合に、ストッパ装置30をA方向に回動させつつストッパ部32を第3ケース壁部11cの作業開位置P1に当接させることにより、ストッパ部32を作業開状態におけるストッパ装置30の位置決め部としても利用することができる。
【0052】
支持他端部31bは、第1蓋側突出部25aから第2蓋側突出部25bまでの間に係止されると好ましい。これにより、支持他端部31bが位置ずれした場合でも第2蓋側突出部25bに係止され、開閉蓋20が作業開状態から閉状態に向かうのを阻止して開閉蓋20を作業開状態に維持することができる。
【0053】
また、支持他端部31bの開閉蓋20への係止に加えて、立ち上がり部33に開閉蓋20を係止させることにより開閉蓋20を作業開状態に維持してもよい。例えば、立ち上がり部33は第2蓋側突出部25bに係止される。また、支持他端部31bの開閉蓋20への係止に加えて、ストッパ部32を第3ケース壁部11cの作業開位置P1に係止させることにより開閉蓋20を作業開状態に維持してもよい。さらに、支持他端部31bの開閉蓋20への係止に加えて、立ち上がり部33に開閉蓋20を係止させるとともにストッパ部32を第3ケース壁部11cの作業開位置P1に係止させることにより開閉蓋20を作業開状態に維持してもよい。
【0054】
図11に示す側面視において開閉蓋20とケース10とがなす上記の作業開角度θaは、本実施の形態では例えば60°以上90°以下であると好ましい。さらに好ましくは、作業開角度θaは80°以上90°以下である。
【0055】
(3)危険回避開状態
図13に示すように、支持他端部31bにより第3蓋壁部21cの縁部の上端面を支持するとともに、ストッパ部32を第3ケース壁部11cの縁部の危険回避開位置P2に係止することにより、開閉蓋20を危険回避開状態に維持する。開閉蓋20を危険回避開状態に維持することにより、開閉蓋20をケース10に対して危険回避開角度θbに維持することができる。
図13の場合、支持他端部31bは開閉蓋20の縁部に係止して開閉蓋20を支持しているが、支持他端部31bは隙間Gに挿入されて蓋側段差底部27に係止することにより開閉蓋20を危険回避開状態に支持してもよい。
【0056】
上記の通りストッパ装置30によれば、開閉蓋20をケース10に対して危険回避開状態に維持することができる。例えば、ケース10内に対して作業可能なように危険回避開状態よりも開閉蓋20をより開いて作業開状態にしているとする。このときに、例えば何らかの衝撃が電子機器装置100に加わった場合、開閉蓋20を支持していた手等から開閉蓋20が外れた場合、ストッパ装置30で開閉蓋20を作業開状態に支持していたもののストッパ装置30が外れた場合等において、開閉蓋20が閉状態に向かって回動する場合がある。上記構成によれば、ストッパ装置30により開閉蓋20を危険回避開状態に維持して閉状態に向かうのを阻止することができる。このように開閉蓋20を閉状態の手前の危険回避開状態に維持することができるため、開閉蓋20がすぐに閉状態に向かう場合よりも開閉蓋20とケース10との間で指を含む身体等を挟む等の危険を抑制することができる。また、開閉蓋20が作業開状態から閉状態に一気に勢いよく閉まるのを抑制できるため、開閉蓋20がケース10に与える衝撃を抑制することができる。特に、ある程度の重量を有する蓋側電子部品23が収納されることによりある程度の重量を有する開閉蓋20をストッパ装置30により危険回避開状態に維持することができるため、身体等を挟む等の危険及び開閉蓋20がケース10に与える衝撃をより抑制することができ好ましい。
【0057】
また、ストッパ装置30は、支持部31及びストッパ部32を基本とする簡素な構成で形成されているとともに、ストッパ部32は支持部31から突出させるという簡単な構成で形成されている。よって、上記のストッパ装置30は、部品点数を比較的に少なくすることができるとともに、部品点数が少ないゆえに組立工数も削減することができる。
【0058】
なお、支持他端部31bを開閉蓋20に係止させるとともにストッパ部32を第3ケース壁部11cの危険回避開位置P2に係止させることに加えて、立ち上がり部33に開閉蓋20を係止させることにより開閉蓋20を危険回避開状態に維持してもよい。
【0059】
図13に示す側面視において開閉蓋20とケース10とがなす上記の危険回避開角度θbは、本実施の形態では例えば0°より大きく60°未満であると好ましい。さらに好ましくは、危険回避開角度θbは20°以上40°以下である。
【0060】
3.ストッパ装置とケースとの関係
上述のような作業開状態(作業開角度θa)及び危険回避開状態(危険回避開角度θb)に開閉蓋20を維持可能なストッパ装置30とケース10との関係の一例について以下に説明する。
図14は、ストッパ装置とケースとの関係の一例を示す関係図である。
【0061】
図14において、開閉蓋回動点O1は、蓋一端部20aとケース10とがネジN1により接続された状態で開閉蓋20がケース10に対して回動する回動点である。支持部回動点O2は、支持部31とケース10とがストッパ係止部34により接続された状態で支持部31がケース10に対して回動する点である。ストッパ部中心点O3はストッパ部32の中心点である。ここで、開閉蓋回動点O1と支持部回動点O2との間の距離を第1距離L1とする。また、支持部回動点O2とストッパ部中心点O3との間の距離を第2距離L2とする。また、ストッパ部中心点O3と支持他端部31bの先端O4との間の距離を第3距離L3とする。この場合、本実施の形態では、L1:L2:L3は概ね3.3~4.0:0.8~1.2:3.8~4.2である。より好ましくは、L1:L2:L3は概ね3.7:1.0:4.0である。
【0062】
第1距離L1と第2距離L2と第3距離L3とがこのような比率であると、ストッパ装置30により開閉蓋20をケース10に対して危険回避開状態及び作業開状態に維持することができる。
【0063】
なお、危険回避開角度θbの設定角度及び作業開角度θaの設定角度の少なくともいずれかに応じて、第1距離L1と第2距離L2と第3距離L3との比率は適宜設定可能である。
【0064】
4.変形例
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0065】
<A>危険回避開状態について
上記の実施の形態では、危険回避開状態では、
図13に示すようにストッパ部32を第3ケース壁部11cの縁部の危険回避開位置P2に係止するとともに、支持他端部31bを開閉蓋20の縁部の上端面に係止している。これとは異なり、危険回避開状態において、
図15に示すように支持他端部31bを開閉蓋20の外側に係止させてもよい。
図15は、ストッパ装置によって開閉蓋がケースに対して危険回避開状態に維持されている別の様子を示す側面図である。
【0066】
図15では、ストッパ部32を第3ケース壁部11cの縁部の危険回避開位置P2に係止するとともに、支持他端部31bが開閉蓋20の第3蓋壁部21cの外面に位置するように支持他端部31bを第3蓋壁部21cに係止している。このとき、支持部31は、支持一端部31aから支持他端部31bにかけて、第3ケース壁部11cの内面から第3蓋壁部21cの外面に向かうように撓んでいる。そして、支持他端部31bが第3蓋壁部21cの外面に位置するとともに、支持部31の他面31eに形成された立ち上がり部33、特に立ち上がり部33の支持他端部31b側の端縁が第3蓋壁部21cの縁部の上端面に係止している。
【0067】
このように支持他端部31bが第3蓋壁部21cの外面に飛び出してしまった場合でも、ストッパ部32を第3ケース壁部11cの縁部の危険回避開位置P2に係止させるとともに、立ち上がり部33を第3蓋壁部21cの縁部の上端面に係止させることにより、開閉蓋20をケース10に対して危険回避開状態に維持することができる。
【0068】
<B>電子機器装置100に収納されている対象及び電子機器装置100について
上記の実施の形態では、ケース10の内部には、交換及び修理等を含むメンテナンスの対象であるケース側電子部品13が収納されている。しかし、ケース10の内部には、ケース側電子部品13として、メンテナンスの対象ではない各種電子部品が収納されてもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態では、開閉蓋20の内部には、蓋側電子部品23として温度制御等のための電力調整用電源等の電源生成装置が収納されている。しかし、開閉蓋20の内部には、蓋側電子部品23として、電源生成装置に代えて、又は加えて、各種制御信号生成装置等の各種電子部品が収納されてもよい。
【0070】
また、各種電子部品には、例えば、抵抗及びコンデンサ等の電子部品が挙げられる。
【0071】
また、上記の実施形態では、電子機器装置100を発明の対象の筐体としている。しかし、発明の対象である筐体は、上記の電子機器装置100に限られず、ケース側電子部品13が収納されていないケース10と、蓋側電子部品23が収納されていない開閉蓋20と、ストッパ装置30と、を備えるものであってもよい。
【0072】
<C>電子機器装置100の取付状態について
上記の実施の形態では、電子機器装置100は、
図1に示すように第5ケース壁部11eが上下方向に沿った取付面Wと対向するように取付面Wに取り付けられている。しかし、電子機器装置100は、第5ケース壁部11eが上下方向に直交する水平方向に沿った取付面に対向するように取り付けられるか、載置されていてもよい。この場合、開閉蓋20は、ネジN1により取り付けられている蓋一端部20aを中心としてケース10に対して概ね上下方向に回動される。ストッパ装置30は、上記の実施形態と同様に開閉蓋20をケース10に対して所定の開いた状態に維持可能である。
【0073】
<D>収納部15について
上記の実施の形態では、収納部15は第3ケース壁部11cを貫通するように形成されている。しかし、収納部15は、第3ケース壁部11cにおいて内側から外側に向かって凹む凹部から形成されていてもよい。
【0074】
<E>蓋側突出部25について
上記の実施の形態では、開閉蓋20において第1蓋壁部21a及び第3蓋壁部21cの両方に蓋側突出部25が形成されている。しかし、蓋側突出部25は、少なくともストッパ装置30に対応する側の第3蓋壁部21cのみに設けられていてもよい。さらには、ストッパ装置30の支持他端部31bにより開閉蓋20を支持可能であれば、蓋側突出部25を省略可能である。ただし、開閉蓋20の強度を高めるためには蓋側突出部25が設けられていることが好ましい。なお、蓋側突出部25を省略することとは異なり、第1蓋壁部21a及び第3蓋壁部21cに加えて、さらに第2蓋壁部21b及び第4蓋壁部21dに蓋側突出部25が設けられていてもよい。
【0075】
<F>ストッパ装置30について
(F1)所定の開状態について
上記の実施の形態では、ストッパ装置30は開閉蓋20をケース10に対して作業開状態及び危険回避開状態等を含む所定の開いた状態に維持可能である。しかし、ストッパ装置30は、少なくとも危険回避開状態に開閉蓋20を維持可能であってもよい。
【0076】
(F2)ストッパ装置30の取り付けについて
上記の実施の形態では、ストッパ装置30は第3ケース壁部11cに取り付けられている。しかし、ストッパ装置30と同様の別途のストッパ装置が、第3ケース壁部11cのストッパ装置30と対向するように第1ケース壁部11aにも取り付けられてもよい。ストッパ装置30及び別途のストッパ装置の両方により、上記の実施の形態と同様に開閉蓋20を作業開状態及び危険回避開状態等を含む所定の開いた状態に維持可能である。また、ストッパ装置30は、第3ケース壁部11cではなく第1ケース壁部11aに取り付けられていてもよい。
【0077】
(F3)ストッパ装置30の形状について
ストッパ装置30が開閉蓋20をケース10に対して所定の開いた状態に維持可能であればストッパ装置30の形状は限定されず、上記の実施の形態のように板状に限定されない。例えば、ストッパ装置30の支持部31は棒状等であってもよい。
【0078】
(F4)立ち上がり部33について
上記の実施の形態ではストッパ装置30の立ち上がり部33は第1~第6立ち上がり部33a~33fを有しているが、立ち上がり部33は他面31eから立ち上がるように設けられていればよく、立ち上がり部の数及び形状は限定されない。さらに、ストッパ装置30において立ち上がり部33は省略されてもよい。
【0079】
(F5)開閉蓋20及びストッパ装置30の材料について
上記の実施の形態では開閉蓋20及びストッパ装置30は同一材料の樹脂から形成されているが、異なる材料から形成されていてもよい。例えば開閉蓋20が金属材料から形成されており、ストッパ装置30が樹脂材料から形成されていてもよい。また、例えば、開閉蓋20が樹脂材料から形成されており、ストッパ装置30が金属材料から形成されていてもよい。
【0080】
(F6)ストッパ係止部34について
上記の実施の形態では、ストッパ係止部34は支持部31とは別体に形成されている。しかし、ストッパ係止部34は支持部31と一体に形成されており、ストッパ係止穴35が省略されてもよい。この場合、例えば支持部31と一体に形成されたストッパ係止部34をケース側ストッパ穴17に挿入することにより、ストッパ装置30を第3ケース壁部11cに回動可能に取り付けることができる。
【0081】
<G>蓋側段差底部27について
上記の実施の形態では、作業開状態において支持他端部31bは蓋側段差底部27に係止する。しかし、作業開状態において支持他端部31bが係止する対象はこれに限られず、例えば、第2蓋壁部21bのみに係止してもよい。また、作業開状態において支持他端部31bは第5蓋壁部21eに到達するまで挿入されて第5蓋壁部21eに係止されてもよい。この場合、蓋側段差底部27を省略することができる。
【0082】
<H>支持他端部31bの係止位置について
上記の実施の形態では、作業状態において支持他端部31bは第1蓋側突出部25aから第2蓋側突出部25bまでの間に係止されている。しかし、作業状態において開閉蓋20を開閉させる程度に応じて、第2蓋側突出部25bから第3蓋側突出部25cまでの間など、他の位置において支持他端部31bを係止させてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 :ケース
11 :ケース壁部
11a~11e :第1~第5ケース壁部
12 :ケース側開口部
13 :ケース側電子部品
15 :収納部
16 :ケース係止穴
17 :ケース側ストッパ穴
20 :開閉蓋
20a :蓋一端部
20b :蓋他端部
21 :蓋壁部
22 :蓋側開口部
23 :蓋側電子部品
25 :蓋側突出部
26 :支持プレート部
26a :壁部対向プレート部
26b :底面プレート部
27 :蓋側段差底部
28 :蓋係止部
30 :ストッパ装置
31 :支持部
31a :支持一端部
31b :支持他端部
31c :支持延在部
31d :一面
31e :他面
32 :ストッパ部
33 :立ち上がり部
34 :ストッパ係止部
35 :ストッパ係止穴
100 :電子機器装置
G :隙間
N1、N2 :ネジ