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  • 特開-大袋体及び大袋体の形成方法 図1
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  • 特開-大袋体及び大袋体の形成方法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011169
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】大袋体及び大袋体の形成方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E02B3/08 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112962
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】関 谷 勇 太
(72)【発明者】
【氏名】石 川 祐 介
(72)【発明者】
【氏名】鈴 木 英 樹
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA05
2D118AA07
2D118BA01
2D118BA14
2D118CA07
2D118DA01
2D118FA06
2D118FB39
2D118GA31
2D118GA53
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、型枠を使用しないと共に、構造体としての使用価値を向上させることができる大袋体及び大袋体の形成方法を提供するものである。
【解決手段】
大袋体の形成方法は、内部に中詰め材を充填した小袋体Bを複数収納して大袋体Aを形成する大袋体の形成方法であって、載置面1に置かれた大袋体Aの上に大袋体Aの中央部を除くように小袋体Bを複数配置し、配置後、大袋体Aの中央部の網状部材を上方に引き上げ、この引き上げた前記網状部材を中心として、大袋体Aの開口部を閉じるものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中詰め材を充填した小袋体を複数収納して大袋体を形成する大袋体の形成方法であって、
載置面に置かれた前記大袋体の上に前記大袋体の中央部を除くように前記小袋体を複数配置し、
配置後、前記大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げ、この引き上げた前記網状部材を中心として、前記大袋体の開口部を閉じる
ことを特徴とする大袋体の形成方法。
【請求項2】
小袋体は河川、海岸等で使用中又は使用済みのものである
ことを特徴とする請求項1記載の大袋体の形成方法。
【請求項3】
内部に中詰め材を充填した小袋体を複数収納して形成する大袋体であって、
前記大袋体の底部の中央部の外側に空所ができるように、前記小袋体を載置した前記大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げ形成された中央網状部と、
この中央網状部を中心として、前記大袋体の開口部を閉じるように、前記大袋体の周辺を前記中央網状部に集められた周辺部と、
この周辺部と前記中央網状部とを結束する結束部材とを備え、
前記小袋体を載置された前記大袋体の中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された前記大袋体の凹所に複数の前記小袋体が収納されている
ことを特徴とする大袋体。
【請求項4】
小袋体が河川、海岸等で使用中又は使用済みのものである
ことを特徴とする請求項3記載の大袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大袋体及び大袋体の形成方法に係り、特に、枠体を使用しないと共に、構造体としての使用価値を向上させることができる大袋体及び大袋体の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に、中詰め材入り袋体の形成方法及び中詰め材入り袋体を開示した(特許文献1)。
この中詰め材入り袋体の形成方法は、内部に中詰め材(1)を充填して中詰め材入り袋体(B)を形成する中詰め材入り袋体の形成方法であって、一端(2X)及び他端(2Y)が開口した開口部(2A)、(2B)を有し、一端(2X)の開口部(2A)と他端(2Y)の開口部(2B)を接続する腰のない網状部材で形成された網体(2)を備え、この網体(2)は、一端(2X)の開口部(2A)と他端(2Y)の開口部(2B)が対向するように緊張させると、筒形状をなすものであり、網体2の一端(2X)が網体(2)の他端(2Y)の開口部(2B)を通って外方に露出するように支持すると共に、網体(2)の他端(2Y)の開口部を広げて枠体(5)に支持させ、その後、網体(2)の他端(2Y)の開口部(2B)を介して中詰め材(1)を充填し、充填後、網体(2)の他端(2Y)の開口部(2B)を口縛りロープ(3)により閉じて、中詰め材入り袋体(B)を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-168595
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、枠体(5)を使用しないと、中詰め材が邪魔して、中詰め材入り袋体を引き上げるための「網体2の一端(2X)」を取り出せないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされた大袋体及び大袋体の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の大袋体の形成方法は、内部に中詰め材を充填した小袋体を複数収納して大袋体を形成する大袋体の形成方法であって、載置面に置かれた前記大袋体の上に前記大袋体の中央部を除くように前記小袋体を複数配置し、配置後、前記大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げ、この引き上げた前記網状部材を中心として、前記大袋体の開口部を閉じるものである。
【0007】
また、請求項2記載の大袋体の形成方法は、請求項1記載の大袋体の形成方法において、小袋体は河川、海岸等で使用中又は使用済みのものである。
【0008】
また、請求項3記載の大袋体は、内部に中詰め材を充填した小袋体を複数収納して形成する大袋体であって、前記大袋体の底部の中央部の外側に空所ができるように、前記小袋体を載置した前記大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げ形成された中央網状部と、この中央網状部を中心として、前記大袋体の開口部を閉じるように、前記大袋体の周辺を前記中央網状部に集められた周辺部と、この周辺部と前記中央網状部とを結束する結束部材とを備え、前記小袋体を載置された前記大袋体の中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された前記大袋体の凹所に複数の前記小袋体が収納されているものである。
【0009】
また、請求項4記載の大袋体は、請求項3記載の大袋体において、小袋体が河川、海岸等で使用中又は使用済みのものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の大袋体の形成方法によれば、大袋体の底部中央の外側に空所ができるように、小袋体を載置された大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げられて中央網状部が形成され、前記小袋体を載置された前記大袋体の中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された前記大袋体の凹所に複数の前記小袋体が収納されているため、大袋体の中央部の網状部材の位置が中詰め材により邪魔されず、大袋体の中央部の網状部材の上方への引き上げができるため、従来のような枠体を使用せずに、内部に中詰め材を充填した網状部材で形成された小袋体を複数内在した大袋体を形成することができ、しかも、大袋体の凹所に複数の小袋体が拘束された状態で収納するため、大袋体の凹所内の小袋体の移動が阻止され、大袋体の変形が少なく、構造体としての使用価値を向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の大袋体の形成方法によれば、上述した請求項1記載の発明の効果に加え、使用中又は使用済みの小袋体を廃棄せず再利用を図ることができ、しかも、使用中又は使用済みの小袋体を型枠を使用しないため、小袋体の使用現場で、大袋体の網状部材で補強することができる。
【0012】
また、請求項3記載の大袋体によれば、大袋体の底部中央の外側に空所ができるように、小袋体を載置された大袋体の中央部の網状部材を上方に引き上げられて中央網状部が形成され、前記小袋体を載置された前記大袋体の中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された前記大袋体の凹所に複数の前記小袋体が収納されているため、大袋体の中央部の網状部材の位置が中詰め材により邪魔されず、大袋体の中央部の網状部材の上方への引き上げができるため、従来のような枠体を使用せずに、内部に中詰め材を充填した網状部材で形成された小袋体を複数内在した大袋体を形成することができ、しかも、大袋体の凹所に複数の小袋体が拘束された状態で収納するため、大袋体の凹所内の小袋体の移動が阻止され、大袋体の変形が少なく、構造体としての使用価値を向上させることができる。
【0013】
また、請求項4記載の大袋体によれば、上述した請求項3記載の発明の効果に加え、
使用中又は使用済みの小袋体を廃棄せず再利用を図ることができ、しかも、使用中又は使用済みの小袋体を枠体を使用しないため、小袋体の使用現場で、大袋体の網状部材で補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1乃至図6は、本発明の一実施例の大袋体の形成方法の製作試験過程を示すもので、図1は、載置面に置かれた大袋体を撮影した写真である。
図2図2は、図1の大袋体の上に大袋体の中央部を除くように小袋体を複数(3個)配置した状態を撮影した写真である。
図3図3は、図2の大袋体で小袋体を覆う過程を撮影した写真である。
図4図4は、図3の大袋体の開口部を結束部材で閉じた状態を撮影した写真である。
図5図5は、図4の大袋体を引き上げようとする状態を撮影した写真である。
図6図6は、図4の大袋体を引き上げた状態を撮影した写真である。
図7図7は、図6の大袋体内の小袋体を省略した大袋体の概略的断面図である。
図8図8乃至図13は、本発明の一実施例の大袋体の形成方法を模型で示すもので、図8は、筒形状の一端を閉じた大袋体を撮影した写真である。
図9図9は、図8の大袋体と3個の小袋体を撮影した写真である。
図10図10は、図9の大袋体を広げ、広げた大袋体に3個の小袋体を置いた状態を撮影した写真である。
図11図11は、図10の3個の小袋体を大袋体で覆う状態を撮影した写真である。
図12図12は、図11の大袋体の開口部を閉じた状態を撮影した写真である。
図13図13は、図11の裏面側を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例の大袋体及び大袋体の形成方法を図1乃至図13を参照して説明する。
本願発明の大袋体Aは、内部に中詰め材を充填した小袋体Bを複数収納したもので、小袋体Bを複数設置した大袋体A及び小袋体Bは、河岸,海岸の地盤の法面を被覆して保護するものである。
【0016】
小袋体Bは、合成繊維を使用した網状の袋材に玉石、割栗石等の中詰め材を充填したものである。
小袋体Bに充填される中詰め材の重量は、例えば、1t~8tであり、1t~4tの場合、その粒径は、50mm~人頭大の粒径であり、6t、8tの場合、その粒径は、150mm~人頭大程度である。
【0017】
大袋体の形成方法について説明する。
載置面1に置かれた大袋体Aの上に大袋体Aの中央部を除くように小袋体Bを複数配置する(図1図2図10)。
配置後、大袋体Aの中央部の網状部材を上方に引き上げ、この引き上げた前記網状部材を中心として、大袋体Aの開口部を閉じて形成される。大袋体Aの開口部は、例えば、口縛りロープ12で閉じられる(図3図6図11図13)。
【0018】
上述した大袋体の形成方法によれば、大袋体Aの底部中央の外側に空所100(図7図13)ができるように、小袋体Bを載置された大袋体Aの中央部の網状部材を上方に引き上げられて中央網状部10が形成され、小袋体Bを載置された大袋体Aの中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された大袋体Aの凹所11に複数の小袋体Bが収納されているため、大袋体Aの中央部の網状部材の位置が中詰め材により邪魔されず、大袋体Aの中央部の網状部材の上方への引き上げができるため、従来のような枠を使用せずに、内部に中詰め材を充填した網状部材で形成された小袋体Bを複数内在した大袋体Aを形成することができ、しかも、大袋体Bの凹所11に複数の小袋体Bが拘束された状態で収納するため、大袋体Aの凹所11内の小袋体Bの移動が阻止され、大袋体Aの変形が少なく、構造体としての使用価値を向上させることができる。
【0019】
なお、大袋体Aは、例えば、特開2018-168595に開示された「網体(2)(本願発明の大袋体Aの網体)は、(図1)に示すように、一端(2X)の開口部(2A)と他端(2Y)の開口部(2B)が対向するように緊張させると、筒形状をなすものでも良く、また、円形、矩形形状の網体でも良い。
【0020】
そして、大袋体Aを構成的に見ると、以下のようになる。
大袋体Aは、大袋体Aの底部の中央部の外側に空所100ができるように、小袋体Bを載置した大袋体Aの中央部の網状部材を上方に引き上げ形成された中央網状部10と、この中央網状部10を中心として、大袋体Aの開口部を閉じるように、大袋体Aの周辺を前記中央網状部に集められた周辺部13と、この周辺部13と中央網状部10とを結束する結束部材(例えば、口縛りロープ)12とを備え、小袋体Bを載置された大袋体Aの中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された大袋体Aの凹所11に複数の小袋体Bが収納されているものとなっている。
【0021】
従って、上述した大袋体Aによれば、大袋体Aの底部中央の外側に空所100ができるように、小袋体Bを載置された大袋体Aの中央部の網状部材を上方に引き上げられて中央網状部10が形成され、小袋体Bを載置された大袋体Aの中央部の前記網状部材を上方に引き上げられて形成された大袋体Aの凹所11に複数の小袋体Bが収納されているため、大袋体Aの中央部の網状部材の位置が中詰め材により邪魔されず、大袋体Aの中央部の網状部材の上方への引き上げができるため、従来のような枠を使用せずに、内部に中詰め材を充填した網状部材で形成された小袋体Bを複数内在した大袋体Aを形成することができ、しかも、大袋体Aの凹所11に複数の小袋体Bが拘束された状態で収納するため、大袋体Aの凹所11内の小袋体Bの移動が阻止され、大袋体Aの変形が少なく、構造体としての使用価値を向上させることができる。
【0022】
なお、特に、大袋体Aに収納される小袋体Bが河川、海岸等で使用中又は使用済みのものを用いる場合にあっては、使用中又は使用済みの小袋体Bを廃棄せず再利用を図ることができ、しかも、使用中又は使用済みの小袋体Bを型枠を使用しないため、小袋体Bの使用現場で、大袋体Aの網状部材で補強することができる。
【符号の説明】
【0023】
A 大袋体
B 小袋体
1 載置面
2 第2の網地構成糸
10 中央網状部
11 凹所
12 結束部材(例えば、口縛りロープ)
13 周辺部
100 空所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13