(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111692
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】食品移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240809BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B65G47/90 A
B25J15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016340
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】坂口 友祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 彪人
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707DS06
3C707DS10
3C707ES03
3C707ES09
3C707ET03
3C707EW11
3C707GS00
3C707HS27
3F072AA07
3F072AA12
3F072GC03
3F072KA01
3F072KD01
3F072KD13
3F072KD23
3F072KD27
3F072KD30
(57)【要約】
【課題】従来の食品移載装置では、把持爪セットの開き具合を細かく調整できないという課題が存在する。また、複数の食品の間隔を個別に調整することができないという課題も存在する。
【解決手段】2つの把持爪の開き調整ユニットと複数のピッチ可変ユニットとを組み合わせてなる食品移載装置を提供することにより、上記課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域から他の領域へと食品を移載するための食品移載装置であって:
互いに対向するように左右方向に離間して配置された、2つの把持爪の開き調整ユニットと;
前記2つの把持爪の開き調整ユニットの間に前後方向に整列して配置された、複数のピッチ可変ユニットを有し;
前記2つの把持爪の開き調整ユニットは、前記複数のピッチ可変ユニットの下方を同じ高さで左右方向に互いに平行に延びる直線状の2本のスライドレールによって下部同士が繋がれており、一方のスライドレールには、他方のスライドレールに付属した把持爪と前後方向に対向して1組の把持爪セットを構成する把持爪が4つ以上付属しており;かつ、
各ピッチ可変ユニットには、2組以上の把持爪セットが接続されており、前記2組以上の把持爪セットはいずれも、他のピッチ可変ユニットには接続されていない、
前記食品移載装置。
【請求項2】
前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび/または前記複数のピッチ可変ユニットが、モーターによって駆動される、請求項1に記載の食品移載装置。
【請求項3】
前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび/または前記複数のピッチ可変ユニットが、ロボシリンダーである、請求項1または2に記載の食品移載装置。
【請求項4】
前記把持爪が付け替え可能である、請求項1または2に記載の食品移載装置。
【請求項5】
前記一組の把持爪セットの形状が、円筒型、三日月型、カップ型、ブロック型およびハの字型のうちのいずれか1つである、請求項1または2に記載の食品移載装置。
【請求項6】
前記食品が、焼売、餃子、唐揚げ、総菜揚げ、おにぎり、ハンバーグ、ミートボール、カップ入り総菜およびケーキ類のうちのいずれか1つである、請求項1または2に記載の食品移載装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の食品移載装置と;
前記食品移載装置を上下方向および水平方向に移動させるための操作装置と;
前記食品移載装置の前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび前記複数のピッチ可変ユニットならびに前記操作装置を制御するための制御装置を有する、
食品移載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の領域から他の領域へと食品を移載するための食品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の大量生産の工程において、サイズの異なる食品をトレイに入れる場合には、専用の移載装置を購入して、食品ごとに別装置と入れ替えを行う必要があった。また、トレイの種類(入数/形状)が異なる場合でも同様の方法で移載する必要があるため、同一生産ラインで異なる入れ方をすることは困難であった。
【0003】
特許文献1には、上記のような問題を解決するための食品移載装置が開示されている。特許文献1の食品移載装置では、把持爪セットを開閉可能に構成することや、食品を個別に把持する複数の把持爪セットの距離を変更可能にすることにより、複数の食品を効率よく移載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の食品移載装置では、把持爪セットはエアーにより駆動されるため、一定の間隔で開閉するのみであり、細かな調整はできない。また、特許文献1の食品移載装置では、複数の食品の間隔(ピッチ)を一括して同じ距離だけ変更することは可能であるが、個別に間隔を調整することはできない。
【0006】
上記の課題に鑑み、本発明は、把持爪セットの開き具合を細かく調整可能な食品移載装置を提供することを目的とする。本発明はまた、複数の食品の間隔を個別に調整可能な食品移載装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、2つの把持爪の開き調整ユニットと複数のピッチ可変ユニットとを組み合わせてなる食品移載装置を提供することにより上記課題を解決することに初めて成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の主たる構成は、次の通りである。
[1]
所定の領域から他の領域へと食品を移載するための食品移載装置であって:
互いに対向するように左右方向に離間して配置された、2つの把持爪の開き調整ユニットと;
前記2つの把持爪の開き調整ユニットの間に前後方向に整列して配置された、複数のピッチ可変ユニットを有し;
前記2つの把持爪の開き調整ユニットは、前記複数のピッチ可変ユニットの下方を同じ高さで左右方向に互いに平行に延びる直線状の2本のスライドレールによって下部同士が繋がれており、一方のスライドレールには、他方のスライドレールに付属した把持爪と前後方向に対向して1組の把持爪セットを構成する把持爪が4つ以上付属しており;かつ、
各ピッチ可変ユニットには、2組以上の把持爪セットが接続されており、前記2組以上の把持爪セットはいずれも、他のピッチ可変ユニットには接続されていない、
前記食品移載装置。
[2]
前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび/または前記複数のピッチ可変ユニットが、モーターによって駆動される、[1]に記載の食品移載装置。
[3]
前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび/または前記複数のピッチ可変ユニットが、ロボシリンダーである、[1]または[2]に記載の食品移載装置。
[4]
前記把持爪が付け替え可能である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の食品移載装置。
[5]
前記一組の把持爪セットの形状が、円筒型、三日月型、カップ型、ブロック型およびハの字型のうちのいずれか1つである、[1]~[4]のいずれか1つに記載の食品移載装置。
[6]
前記食品が、焼売、餃子、唐揚げ、総菜揚げ、おにぎり、ハンバーグ、ミートボール、カップ入り総菜およびケーキ類のうちのいずれか1つである、[1]~[5]のいずれか1つに記載の食品移載装置。
[7]
[1]~[6]のいずれか1つに記載の食品移載装置と;
前記食品移載装置を上下方向および水平方向に移動させるための操作装置と;
前記食品移載装置の前記2つの把持爪の開き調整ユニットおよび前記複数のピッチ可変ユニットならびに前記操作装置を制御するための制御装置を有する、
食品移載システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、把持爪セットの開き具合を細かく調整可能な食品移載装置を提供することができる。また、本発明によれば、複数の食品の間隔を個別に調整可能な食品移載装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による食品移載装置の正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による食品移載装置の右側面図である。
図2においては、把持爪の開き調整ユニットおよびその部材は破線で表している。
【
図3-1】
図3は、本発明の食品移載装置における把持爪セットの例示的な形状を示す図である。
図3(a-1)は、円筒型の把持爪セットを
図1における右から見たときの概略図である。
【
図3-2】
図3は、本発明の食品移載装置における把持爪セットの例示的な形状を示す図である。
図3(a-2)は、円筒型の把持爪セットを
図1における前から見たときの概略図である。
図3(a-3)は、円筒型の把持爪セットを
図3(a-1)における上から見たときの概略図である。
【
図3-3】
図3は、本発明の食品移載装置における把持爪セットの例示的な形状を示す図である。
図3(b-1)は、三日月型の把持爪セットを
図1における右から見たときの概略図である。
図3(b-2)は、三日月型の把持爪セットを
図3(b-1)における上から見たときの概略図である。
図3(c)は、カップ型の把持爪セットを
図1における右から見たときの概略図である。
図3(d)は、ブロック型の把持爪セットを
図1における右から見たときの概略図である。
図3(e)は、ハの字型の把持爪セットを
図1における右から見たときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、
図1の左右方向を左右方向とし、
図1の紙面と直交する方向を前後方向(手前が前方、奥が後方)とし、
図1の上下方向を上下方向とする。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、食品移載装置が提供される。
【0013】
本発明の食品移載装置は、所定の領域から他の領域へと食品を移載するためのものである。ここで、所定の領域は特に限定されないが、典型的にはベルトコンベア上である。また、他の領域も特に限定されないが、典型的にはトレイなどの食品容器内である。
【0014】
本発明の食品移載装置100は、互いに対向するように左右方向に離間して配置された、2つの把持爪の開き調整ユニット200a,200bを有する。把持爪の開き調整ユニット200a(200b)は、把持爪の開き調整ユニット200a(200b)本体から下方に延びる、前後方向に互いに接離可能な2つの部材202a,204a(202b,204b)を有していれば、特に限定されない。例えば、2つの把持爪の開き調整ユニット200a,200bはそれぞれ、ロボシリンダーであってもよく、例えば2つのフィンガーを有するグリッパータイプのロボシリンダーとして具現化されてもよい。
【0015】
本発明の食品移載装置はまた、2つの把持爪の開き調整ユニット200a,200bの間に前後方向に整列して配置された、複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・を有する。ピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)は、ピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)本体から下方に延びる、左右方向に互いに接離可能な2つの部材302a,304a(302b,304b、302c,304c、・・・)を有していれば、特に限定されない。例えば、複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・はそれぞれ、ロボシリンダーであってもよく、例えば2つのフィンガーを有するグリッパータイプのロボシリンダーとして具現化されてもよい。
【0016】
本発明の食品移載装置100における複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・の数としては、1つ~10個が例示され、2つ~5つが好ましく、3つがいっそう好ましい。
【0017】
本発明の食品移載装置100における2つの把持爪の開き調整ユニット200a,202bは、ピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・の下方を同じ高さで左右方向に互いに平行に延びる直線状の2本のスライドレール400a,400bによって下部同士が繋がれている。該下部は、把持爪の開き調整ユニット200a(200b)本体から下方に延びる、前後方向に互いに接離可能な2つの部材202a,204a(202b,204b)であり、把持爪の開き調整ユニット200a,200bが2つのフィンガーを有するグリッパータイプのロボシリンダーとして具現化される場合には、2つのフィンガー(およびその付属物)である。すなわち、一方の把持爪の開き調整ユニット200a本体から下方に延びる、前後方向に接離可能な2つの部材202a,204aのうち前方のもの202aが、2本のスライドレール400a,400bのうちの前方のもの400aによって、他方の把持爪の開き調整ユニット200b本体から下方に延びる、前後方向に接離可能な2つの部材202b,204bのうち前方のもの202bと繋がれる。同様に、一方の把持爪の開き調整ユニット200a本体から下方に延びる、前後方向に接離可能な2つの部材202a,204aのうち後方のもの204aが、2本のスライドレール400a,400bのうちの後方のもの400bによって、他方の把持爪の開き調整ユニット200b本体から下方に延びる、前後方向に接離可能な2つの部材202b,204bのうち後方のもの204bと繋がれる。本発明の食品移載装置100における把持爪の開き調整ユニット200a(200b)本体から下方に延びる、前後方向に互いに接離可能な2つの部材202a,204a(202b,204b)のことを、スライドレール400a(400b)を保持するための部材であることから、スライドレール保持部材ともいう。
【0018】
本発明の食品移載装置100における2本のスライドレール400a,400bのうちの一方のスライドレール400aには、他方のスライドレール400bに付属した把持爪504a,504b,504c,504d,・・・と前後方向に対向して1組の把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・を構成する把持爪502a,502b,502c,502d,・・・が4つ以上付属している。本発明の食品移載装置100におけるスライドレール400a(400b)は、把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)がスライド可能に付属するものであれば、特に限定されない。また、把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)は、別の部材を介してスライドレール400a(400b)に付属していてもよい。
【0019】
本発明の食品移載装置100における一方のスライドレール400a(400b)に付属する把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)の数としては、4つ~20個が例示され、4つ~10個が好ましく、6つがいっそう好ましい。
【0020】
本発明の食品移載装置100における各ピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)には、その本体から下方に延びる、左右方向に互いに接離可能な2つの部材302a,304a(302b,304b、302c,304c、・・・)のそれぞれに1組以上の把持爪セット、すなわち合計2組以上の把持爪セットが接続されており、これらの2組以上の把持爪セットはいずれも、他のピッチ可変ユニットには接続されていない。例えば
図1においては、6組の把持爪セット500a,500b,500c,500d,500e,500f(
図1には、これらの把持爪セットを構成する把持爪のうち前方のもの502a,502b,502c,502d,502e,502fのみを示している)のうち、一番左500aと一番右500fのものは後方のピッチ可変ユニット(
図2における300c)のみに接続され、左から2番目500bと5番目500eのものは中央のピッチ可変ユニット(
図2における300b)のみに接続され、左から3番目500cと4番目500dのものは前方のピッチ可変ユニット300aのみに接続されている。本発明の食品移載装置100におけるピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)本体から下方に延びる、左右方向に互いに接離可能な2つの部材302a,304a(302b,304b、302c,304c、・・・)のことを、1組以上の把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・を保持するための部材であることから、把持爪セット保持部材ともいう。把持爪セット保持部材302a,304a(302b,304b、302c,304c、・・・)は、複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300cが2つのフィンガーを有するグリッパータイプのロボシリンダーとして具現化される場合には、2つのフィンガー(およびその付属物)である。
【0021】
本発明の食品移載装置100における各ピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)に接続される把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・の数としては、2つ~10個が例示され、2つ~4つが好ましく、2つがいっそう好ましい。
【0022】
本発明の食品移載装置100は、上記の構成を採用することにより、把持爪の開き調整ユニット200a(200b)を駆動させることで、2つのスライドレール保持部材202a,204a(202b,204b)が接離し、そのことにより2本のスライドレール400a,400bが接離し、したがってスライドレール400a,400bに付属した把持爪502a,504a(502b,504b、502c,504c、502d,504d、・・・も接離するため、把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・の開き具合を細かく調整することができる。
【0023】
本発明の食品移載装置100はまた、上記の構成を採用することにより、ピッチ可変ユニット300a(300b、300c、・・・)を駆動させることで、把持爪セット保持部材302a,304a(302b,304b、302c,304c、・・・)が接離し、そのことにより把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・同士が接離し、したがって把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・に把持された食品も接離するため、複数の食品の間隔を個別に細かく調整することができる。
【0024】
本発明の食品移載装置100における把持爪の開き調整ユニット202a,202bとピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・とは、
図1に示すように、上部の板状部材600を介して連結していてもよい。
【0025】
本発明の食品移載装置100における複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・同士は、互いに接していてもよく、離間していてもよい。また、仮に接している場合であっても、例えば各々が上部の板状部材600に連結されることにより位置的に固定されていればよく、したがって、ピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・同士を積極的に連結させる部材はなくてもよい。
【0026】
本発明の食品移載装置100における2つの把持爪の開き調整ユニット200a,200bは、モーターによって駆動されてもよい。モーター駆動にすることで、エアー駆動の場合と比べて、食品を掴む前、食品を掴む時、食品を離す時のそれぞれで、把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・の開き具合をいっそう細かく調整することができる。
【0027】
本発明の食品移載装置100における複数のピッチ可変ユニット300a,300b,300c,・・・は、モーターによって駆動されてもよい。モーター駆動にすることで、エアー駆動の場合と比べて、複数の食品の間隔を個別にいっそう細かく調整することができる。
【0028】
本発明の食品移載装置100における把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)は、付け替え可能であってもよい。付け替え可能にすることで、食品ごとに別の移載装置を用いることなく様々な食品を移載することができる。
【0029】
本発明の食品移載装置100における把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)のうち食品に触れる部分の材質は特に限定されず、ステンレス、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどが例示され、ステンレスが好ましく、衛生面の観点からはフッ素樹脂コーティングを施したステンレスがいっそう好ましい。本発明の食品移載装置100における把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)のうち食品に触れる部分以外の材質は特に限定されず、ポリウレタン、モノマーキャストナイロン、ステンレスが例示され、モノマーキャストナイロン、ステンレスが好ましく、強度および柔軟性の観点からはステンレスがいっそう好ましい。
【0030】
本発明の食品移載装置100における把持爪502a,502b,502c,502d,・・・(504a,504b,504c,504d,・・・)の大きさは特に限定されず、下記に記載する食品を把持することができるように適宜設定される。
【0031】
本発明の食品移載装置100における一組の把持爪セット500a,500b,500c,500d,・・・の形状は、本発明の食品移載装置100が移載する食品を把持することができるものであれば特に限定されず、円筒型、三日月型、カップ型、ブロック型およびハの字型が例示される。ここで、円筒型とは
図3(a-1)~(a-3)に示されるような形状であり、例えば焼売、唐揚げ、総菜揚げ、ハンバーグ、ミートボールなどの略円柱状または略球状の食品を把持するのに適している。また、三日月型とは
図3(b-1)および(b-2)に示されるような形状であり、例えば餃子のような下面が略三日月状の食品を把持するのに適している。さらに、カップ型とは
図3(c)に示されるような形状であり、例えばカップ入り総菜(例えば、カップグラタン、カップ入りほうれん草の胡麻和え、おひたし、バター炒めなど)などの外寸幅が下方に向けて小さくなる食品を把持するのに適している。さらにまた、ブロック型とは
図3(d)に示されるような形状であり、例えばケーキ類などの略立方体や略直方体の形状の食品を把持するのに適している。さらにまた、ハの字型とは、
図3(e)に示されるような形状であり、例えばおにぎりなどの正面視で略三角形状の食品を把持するのに適している。
【0032】
本発明の食品移載装置100が移載する食品は、本発明の食品移載装置100により移載することができるものであれば特に限定されず、焼売、餃子、唐揚げ、総菜揚げ、おにぎり、ハンバーグ、ミートボール、カップ入り総菜およびケーキ類が例示される。なお、本発明の食品移載装置100が移載する食品は、生のものであってもよく、冷凍されたものであってもよい。
【0033】
本発明の食品移載装置100が移載する食品の直径は、本発明の食品移載装置100により移載することができるものであれば特に限定されず、10mm~120mmが例示され、20mm~90mmが好ましく、25mm~50mmがいっそう好ましい。また、本発明の食品移載装置100が移載する食品の高さは、本発明の食品移載装置100により移載することができるものであれば特に限定されず、10mm~100mmが例示され、15mm~60mmが好ましく、20mm~50mmがいっそう好ましい。本発明の食品移載装置100が移載する食品の重量は、前記の直径および高さを満たすものであれば特に限定されないが、概ね1g~100g程度である。
【0034】
本発明の食品移載装置100の各構成要素の仕様は、食品の大きさ、重量、個数などに応じて適宜変更することができる。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、食品移載システムが提供される。
【0036】
本発明の食品移載システムは、
本発明の食品移載装置と;
本発明の食品移載装置を上下方向および水平方向に移動させるための操作装置と;
本発明の食品移載装置の2つの把持爪の開き調整ユニットおよび複数のピッチ可変ユニットならびに操作装置を制御するための制御装置を有する。
【0037】
本発明の食品移載システムにおける操作装置は、典型的には、アーム部と該アーム部を支持する支持部とを有する。アーム部は、その先端が上下方向および水平方向に移動可能であるように支持部によって支持されている。アーム部の先端には、本発明の食品移載装置が連結されており、本発明の食品移載装置は、アーム部とともに上下方向および水平方向に移動可能である。
【0038】
本発明の食品移載システムにおける制御装置は、コントローラーとして具現化されてもよい。該コントローラーは、制御部および記憶部を有していてもよく、該記憶部には制御プログラムが記憶されていてもよい。例えば、制御部は、制御プログラムに基づいて、2つの把持爪の開き調整ユニットおよび複数のピッチ可変ユニットならびに操作装置に対して指示を出力し、2つの把持爪の開き調整ユニットおよび複数のピッチ可変ユニットならびに操作装置は該指示に基づいて駆動する。
【0039】
本発明の食品移載システムにおける制御装置が制御するパラメーターは特に限定されず、把持爪の開き調整ユニットの待機位置、待機位置速度、加減速度、閉位置、閉速度、開放位置および開放速度;ピッチ可変ユニットの目標位置、速度および加減速度;ならびに、操作装置の目標位置、速度および加減速度などが例示される。
【0040】
本発明の食品移載システムにおける制御装置にパラメーターを入力する手段は特に限定されず、タッチパネル、キーボード、マウスなどが例示される。
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明をいっそう具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0042】
表1に列挙した商品について、以下の仕様の食品移載システムによりトレイへと移載可能か否かを確認した。
【0043】
食品移載システムの仕様
(1)食品移載装置
2つの把持爪の開き調整ユニット:IAI社製「RCP2-GRST-I-20P-1-60-P3-M-A0」
3つのピッチ可変ユニット:IAI社製「RCP2-GRST-I-20P-2-150-P3-M-A0」
2本のスライドレール:igus社製 アルミニウム製リニアガイド「ドライリンT」 ミニチュアタイプ
1本のスライドレールに付属する把持爪の数:6
把持爪セットの形状:円筒型
把持爪のサイズ(a~gは、
図3(a-1)~(a-3)におけるもの):a 1mm;b 23mm;c 31mm;d 41mm;e 10mm;f 12mm;g 30mm(内曲げR 25mm)
把持爪の材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス)
各ピッチ可変ユニットに接続され把持爪セットの数:2
食品を移動させた距離:500mm
(2)操作装置
三菱電機社製「GOT2000 型式:GT2505-VTBD」
(3)制御装置
三菱電機社製「PLC 型式:Q03UDVCPU
CCリンクユニット 型式:QJ71GF11-T2
入出力混合ユニット 型式:QH42P
PLC電源 型式:Q61P」
【0044】
各商品についての食品の直径および高さ、トレイのピッチおよび高さ、ならびに、移載可否を表2に示す。なお、表2の実施例6および7について、トレイのピッチおよび高さの記載がないのは、これらの実施例においてはトレイを用いていないためである。
【0045】
【0046】
【0047】
表2に示す通り、すべての実施例において食品が移載可能であった。このことにより、食品のサイズが異なっても、把持爪セットの開き具合を調整することにより食品が移載可能であることが分かる。また、トレイのサイズが異なっても、食品同士の間隔を個別に調整することにより食品が移載可能であることも分かる。さらに、把持爪セットの形状を変更すれば、実施例で用いた食品以外の食品も移載可能であろうことが推認される。
本発明によれば、把持爪セットの開き具合を細かく調整可能な食品移載装置を提供することもできる。また、本発明によれば、複数の食品の間隔を個別に調整可能な食品移載装置を提供することができる。