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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111696
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】搬送資材、及びボトム部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B65D19/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016346
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英郎
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA06
3E063CA05
3E063CA16
3E063DA05
3E063EE03
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】強度を確保しつつ、4方刺し可能な搬送資材、及び該搬送資材を構成するボトム部材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る搬送資材は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、前記被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と、前記ベース部材の下方に配置されるボトム部材と、を備え、前記ボトム部材が、格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
前記被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と、
前記ベース部材の下方に配置されるボトム部材と、を備え、
前記ボトム部材が、格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する、搬送資材。
【請求項2】
前記底板の格子の交点が、9つである、請求項1に記載の搬送資材。
【請求項3】
前記柱部の上面に嵌合部が形成され、
前記ベース部材には、前記嵌合部に対応する位置に、該嵌合部に嵌合する被嵌合部が形成されている、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項4】
前記ベース部材と、前記ボトム部材と、が固定具によって固定されている、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項5】
前記固定具が、挿通部材と、留めピンと、締結金具と、を含み、
前記挿通部材が、一方向に延びる平板状の受け止め脚部と、該受け止め脚部の平面から、該平面の垂直方向に延びる平板状の挿入部を有し、
前記挿入部には、前記留めピンが挿通される挿通孔が形成されており、
前記ベース部材と、前記ボトム部材とは、前記挿入部を前記ベース部材及び前記ボトム部材に貫通させ、前記受け止め脚部と前記挿通孔に挿通された前記留めピンとにより前記ベース部材及び前記ボトム部材を押圧し、前記留めピンを締結金具で締結して、固定される、請求項4に記載の搬送資材。
【請求項6】
前記ボトム部材が発泡樹脂製である、請求項1又は2に記載の搬送資材。
【請求項7】
前記ベース部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率が、前記ボトム部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高い、請求項6に記載の搬送資材。
【請求項8】
被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材の一部を構成するとともに、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と嵌合され、
格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する、ボトム部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送資材、及びボトム部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負荷を低くする取り組みの一つとして、モーダルシフトが進められている。その際、搬送される物品(以下、「被搬送物」と記載することがある。)は、搬送資材に載置されて輸送される。モーダルシフトが進むことで、トラック等の車両から鉄道、船舶等で輸送されるコンテナへ、コンテナから車両へといったように被搬送物の荷役作業が頻繁に行われるが、車両又はコンテナの仕様によっては、荷積みの方向性が限られる場合がある。そのため、搬送資材は、フォークリフトの爪を4方向から差し込めるもの(以下、「4方刺し」と記載することがある。)が用いられている。
【0003】
ところで、搬送資材は、被搬送物の輸送だけでなく、被搬送物の加工、組立てを行う製造ラインにおいても使用される。製造ラインは無人化が進み、現場作業者数が少なくなっているが、ロボットが関わらない人的作業区では、人による作業が必要である。そのため、作業負荷低減ができる、軽量な搬送資材が使用される。
【0004】
例えば、特許文献1には、平面視矩形状のパレット本体と、パレット本体の下面に一体的に設けられる桁体と、桁体の底面に設けられる底板と、を備えた発泡樹脂製のパレットが開示されている。具体的には、パレット桁体は、長箱形状であり、その長辺の長さがパレット本体の一辺と略等しく、パレット本体の両端部及び中央部に所定の間隔を開けて3列に配置され、且つその底面に形成された篏合凹部を有し、底板が、3列に配置された桁体と直交するように配置される長板部と、該長板部の上面に立設されて篏合凹部に篏合する篏合凸部と、を有し、パレット本体が、底板の長手方向と平行に設けられる補強棒が差し込まれる挿通穴を有し、挿通穴に補強棒を差し込むための開口が、パレット本体の側面に設けられている。
【0005】
また、特許文献2には、平面視矩形状のパレット本体と、パレット本体の下面に設けられる箱形状の桁体と、桁体の底面に設けられる底板と、を備えた発泡樹脂製のパレットが開示されている。具体的には、パレットは、桁体が、パレット本体の底面視において格子状に一辺あたり3つ以上配置されており、各底面に形成された篏合凹部を有し、底板が、複数の桁体に跨って設けられる長板部と、該長板部の上面に立設されて篏合凹部に篏合する篏合凸部を有し、篏合凸部が、上面視の寸法が篏合凹部の開口寸法よりも大きくなるよう形成され、その上面には側面にかけて形成された格子状の圧縮溝を有する。
【0006】
また、特許文献3には、発泡樹脂製の板状のパレット本体と、パレット本体の上面を補強する補強材と、を備えたパレットが開示されている。具体的には、パレットは、パレットの全面に真空一体成型された樹脂シートを更に備え、パレット本体及び補強材が、樹脂シートで覆われることにより互いに密着保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3237013号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227135号公報
【特許文献3】特開2019-112068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
製造ラインにおいて搬送資材が使用される場合、搬送資材は繰り返し使用される。しかしながら、特許文献1~3で開示される搬送資材では、その強度が十分ではない。したがって、強度を確保しつつ、4方刺し可能な搬送資材が求められている。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、強度を確保しつつ、4方刺し可能な搬送資材、及び該搬送資材を構成するボトム部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る搬送資材は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
前記被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と、
前記ベース部材の下方に配置されるボトム部材と、を備え、
前記ボトム部材が、格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する。
【0011】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、搬送資材にかかる荷重を柱部だけでなく、格子状の底板で支える。また、フォークリフトの爪を差し込んで搬送資材を持ち上げる際においても、格子状の底板を有することによって、どの方向から爪を差し込んでも搬送資材が撓んでしまうのを抑制する。したがって、本発明に係る搬送資材は、強度を確保しつつ、4方刺しが可能となる。
【0012】
本発明に係る搬送資材は、前記底板の格子の交点が、9つであってもよい。
【0013】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、該搬送資材の各側面に2つのスペースが生じるため、どの側面からもフォークリフトの爪を差し込むことが可能になるとともに、搬送資材にかかる荷重を支える柱部の設置面積を大きくすることができるため、強度をより大きくすることができる。
【0014】
本発明に係る搬送資材は、前記柱部の上面に嵌合部を形成し、前記ベース部材の前記嵌合部に対応する位置に、該嵌合部に嵌合する被嵌合部を形成してもよい。
【0015】
本発明に係る搬送資材は、嵌合部と被嵌合部との嵌合により、ベース部材とボトム部材とを強固に接合することができるため、強度をより大きくすることができる。
【0016】
本発明に係る搬送資材は、前記ベース部材と、前記ボトム部材と、を固定具によって固定してもよい。
【0017】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、ベース部材とボトム部材とが分離することを抑制できる。
【0018】
本発明に係る搬送資材は、前記固定具が、挿通部材と、留めピンと、締結金具と、を含み、
前記挿通部材が、一方向に延びる平板状の受け止め脚部と、該受け止め脚部の平面から、該平面の垂直方向に延びる平板状の挿入部を有し、
前記挿入部には、前記留めピンが挿通される挿通孔が形成されており、
前記ベース部材と、前記ボトム部材とは、前記挿入部を前記ベース部材及び前記ボトム部材に貫通させ、前記受け止め脚部と前記挿通孔に挿通された前記留めピンとにより前記ベース部材及び前記ボトム部材を押圧し、前記留めピンを締結金具で締結して、固定してもよい。
【0019】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、ベース部材及びボトム部材が、挿通部材の受け止め脚部と留めピンにより押圧されて固定されるので、ベース部材とボトム部材との固定をより強固にできる。
【0020】
本発明に係る搬送資材は、前記ボトム部材が発泡樹脂製であってもよい。
【0021】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、搬送資材をより軽量化することができる。
【0022】
本発明に係る搬送資材は、前記ベース部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率が、前記ボトム部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高くてもよい。
【0023】
本発明に係る搬送資材は、斯かる構成により、ボトム部材が、ベース部材と比べてより硬くなるため、強度をより大きくすることができる。
【0024】
本発明に係るボトム部材は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材の一部を構成するとともに、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と嵌合され、
格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する。
【0025】
本発明に係るボトム部材は、斯かる構成により、搬送資材にかかる荷重を柱部だけでなく、格子状の底板で支える。また、フォークリフトの爪を差し込んで搬送資材を持ち上げる際においても、格子状の底板を有することによって、どの方向から爪を差し込んでも搬送資材が撓んでしまうのを抑制する。したがって、ボトム部材を用いて搬送資材を構成した際、強度を確保しつつ、4方刺しが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、強度を確保しつつ、4方刺し可能な搬送資材、及び該搬送資材を構成するボトム部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態に係る搬送資材1のベース部材2及びボトム部材3を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態に係る搬送資材1を上方から見た概略図である。
図3図3は、本実施形態に係る搬送資材1のベース部材2を示す概略図である。
図4図4は、本実施形態に係る搬送資材1のボトム部材3を示す概略図である。
図5図5は、本実施形態に係る搬送資材1のベース部材2とボトム部材3とを固定する固定具4を示す概略図である。
図6図6は、図2のVI-VI断面において、固定具4によるベース部材2とボトム部材3との固定を説明する概略図である。
図7図7は、図2のVI-VI断面において、固定具4による固定部分を拡大して、ベース部材2とボトム部材3との固定を説明する概略図である。
図8図8は、図2のVI-VI断面において、固定部分を拡大した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<搬送資材>
以下、本発明の実施形態に係る搬送資材1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0029】
図1は、本実施形態に係る搬送資材1を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る搬送資材1を上方から見た概略図である。図3は、本実施形態に係る搬送資材1のベース部材2を示す概略図である。図4は、本実施形態に係る搬送資材1のボトム部材3を示す概略図である。図5は、本実施形態に係る搬送資材1のベース部材2とボトム部材3とを固定する固定具4を示す概略図である。図6は、図2のVI-VI断面において、固定具4によるベース部材2とボトム部材3との固定を説明する概略図である。図7は、図2のVI-VI断面において、固定具4による固定部分を拡大して、ベース部材2とボトム部材3との固定を説明する概略図である。図8は、図2のVI-VI断面において、固定部分を拡大した概略図である。
【0030】
本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2と、ボトム部材3と、を備える。そして、ボトム部材3は、ベース部材2の下方に配置される。
【0031】
ベース部材2は、被搬送物を載置可能に構成されていて、被搬送物を載置するための載置部21を有する。具体的には、ベース部材2は、図1図2に示すように2つの載置部21を有していて、載置部21,21のそれぞれに被搬送物が載置される。
【0032】
また、ベース部材は、後述するボトム部材3の嵌合部33に嵌合可能に形成された被嵌合部22を有する。図3に示すように、被嵌合部22は、ボトム部材3と向かい合う面に形成される。また、被嵌合部22は、後述するボトム部材3に対応する位置に1つ又は2つ形成される。
【0033】
つまり、ベース部材2は、上述のように、載置部21と、被嵌合部22と、を有し、一体形成されている。
【0034】
ボトム部材3は、底板31と、柱部32と、を有し、一体に形成されている。
【0035】
底板31は、格子状である。柱部32は、底板31の格子の各交点から上方に立設している。そのような構成とすることで、ボトム部材3は、底板31が隣接する柱部32を橋渡しするような状態となる。
【0036】
図4に示すようにボトム部材3では、底板31の格子の交点は9つであり、交点から上方に柱部32が立設している。すなわち、ボトム部材3は、9つの柱部32を有する。そのような構成とすることで、ボトム部材3をベース部材2の下方に配置した時、搬送資材1の各側面に2つのスペースが生じるため、どの側面からもフォークリフトの爪を差し込むことができる。
【0037】
柱部32の上面には、上述した被嵌合部22が嵌合する嵌合部33が形成される。図6に示すように、嵌合部33が被嵌合部22に嵌合することで、ベース部材2とボトム部材3とを嵌合させることができる。
【0038】
搬送資材1は、ベース部材2と、ボトム部材3と、が固定具4によって固定されている。具体的には、まず、固定具4は、図5に示すように、挿通部材41と、留めピン42と、締結金具であるワッシャー43及び止め輪44と、から構成される。挿通部材41は、一方向(図5中のY方向)に延びる平板状の受け止め脚部45、及び、該受け止め脚部45の平面から、該平面の垂直方向(図5中のZ方向)に延びる平板状の挿入部46を有している。受け止め脚部45及び挿入部46は、全体として、平面方向から見てT字型に形成されている。挿入部46には、留めピン42が挿通される挿通孔47が形成されている。より詳しくは、2つの挿通孔47が、前記垂直方向(図5中のZ方向)に並んで形成されている。また、挿通孔47に挿通された留めピン42には、締結金具であるワッシャー43と止め輪44とが取り付け可能に構成されている。
【0039】
ボトム部材3の柱部32において、底板31側の平面には、挿通部材41の受け止め脚部45を収容可能に構成された脚部収容凹部35が形成されている。そして、ボトム部材3には、脚部収容凹部35の底から嵌合部33(柱部32の上面)に向かって、挿通部材41の挿入部46を挿入可能に構成された第1貫通孔34が形成されている。
【0040】
また、ベース部材2の被嵌合部22には、ボトム部材3側から挿通部材41の挿入部46を挿入可能に構成された第2貫通孔23が形成されている。そして、ベース部材2の被搬送物を載置する側には、固定具4の留めピン42、ワッシャー43、及び止め輪44を収容可能に構成された固定部品収容凹部24が形成されている。固定部品収容凹部24に留めピン42、ワッシャー43、及び止め輪44が収容されることで、留めピン42、ワッシャー43、及び止め輪44に干渉することなく、被搬送物を載置部21に載置することができる。
【0041】
ベース部材2及びボトム部材3がこのように形成されることにより、ベース部材2と、ボトム部材3と、を固定具4によって固定することができる。具体的には、図6及び図7に示すように、挿通部材41をボトム部材3の脚部収容凹部35の底から嵌合部33(柱部32の上面)に向かって移動させる。そして、挿通部材41の挿入部46を第1貫通孔34に挿入し、第1貫通孔34を通ってベース部材2の第2貫通孔23に挿入する。さらに、脚部収容凹部35の奥まで挿通部材41を移動させて、挿通部材41の挿入部46によりベース部材2及びボトム部材3を貫通させ、挿通部材41の受け止め脚部45をボトム部材3に接触させる。
【0042】
次に、図7に示すように、ベース部材2の固定部品収容凹部24内の挿通部材41の挿入部46に形成された挿通孔47に留めピン42を挿通させる。留めピン42が挿通されることで、挿通部材41の受け止め脚部45と留めピン42とによってベース部材2及びボトム部材3が押圧され、ベース部材2とボトム部材3とが固定される。
【0043】
その後、図8に示すように締結金具であるワッシャー43と止め輪44とを留めピン42に取り付け、留めピン42が挿通孔47から抜けないように締結する。
【0044】
ベース部材2及びボトム部材3は、発泡樹脂製である。ベース部材2及びボトム部材3を構成する発泡樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ビーズ発泡法によって得られた発泡粒子を用いることができる。発泡ビーズの材質としては、例えば、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等が挙げられる。発泡ビーズの材質としては、より成形加工性に優れるという観点から、好ましくは、スチレン系樹脂である。
【0045】
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーが重合してなるものである。該ポリスチレン系樹脂としては、汎用のポリスチレン系樹脂が挙げられ、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系モノマー1種の単独重合体、又はこれらスチレン系モノマー複数種の共重合体が挙げられる。前記共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0046】
本実施形態に係る搬送資材1において、ベース部材2を構成する発泡樹脂の発泡倍率は、ボトム部材3を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高い。ベース部材2を構成する発泡樹脂の発泡倍率は、例えば、5倍以上60倍以下(発泡樹脂の密度:0.016kg/m以上0.2kg/m以下)である。ボトム部材3を構成する発泡樹脂の発泡倍率は、例えば、3倍以上50倍以下(発泡樹脂の密度:0.02kg/m以上0.33kg/m以下)である。
【0047】
本実施形態に係る搬送資材1は、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材2と、ベース部材2の下方に配置されるボトム部材3と、を備え、ボトム部材3が、格子状の底板31と、底板31の格子の各交点から上方に立設してベース部材2と嵌合する複数の柱部32と、を有することにより、搬送資材1にかかる荷重を柱部32だけでなく、格子状の底板31で支える。また、フォークリフトの爪を差し込んで搬送資材1を持ち上げる際においても、格子状の底板31を有することによって、どの方向から爪を差し込んでも搬送資材1が撓んでしまうのを抑制する。したがって、本実施形態に係る搬送資材1は、強度を確保しつつ、4方刺しが可能となる。
【0048】
さらに、搬送資材1を、例えば、ローラーコンベアを用いた生産ラインで使用する場合、底板31を有することで、ローラー間の隙間の影響を受けずに、搬送資材1はローラーコンベアを移動できる。
【0049】
本実施形態に係る搬送資材1は、底板31での格子の交点が、9つであることで、該搬送資材1の各側面に2つのスペースが生じるため、どの側面からもフォークリフトの爪を差し込むことが可能になるとともに、搬送資材1にかかる荷重を支える柱部32の設置面積を大きくすることができるため、強度をより大きくすることができる。
【0050】
本実施形態に係る搬送資材1は、柱部32の上面に嵌合部33が形成され、ベース部材2には、嵌合部33に対応する位置に、嵌合部33に嵌合する被嵌合部22が形成されることで、嵌合部33と被嵌合部22との嵌合により、ベース部材2とボトム部材3とを強固に接合することができるため、強度をより大きくすることができる。
【0051】
本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2と、ボトム部材3と、が固定具4によって固定されていることで、ベース部材2とボトム部材3とが分離することを抑制できる。
【0052】
本実施形態に係る搬送資材1は、固定具4が、挿通部材41と、留めピン42と、締結金具と、を含み、挿通部材41が、一方向に延びる平板状の受け止め脚部45と、該受け止め脚部45の平面から、該平面の垂直方向に延びる平板状の挿入部46を有し、挿入部46には、留めピン42が挿通される挿通孔47が形成されており、ベース部材2と、ボトム部材3とは、挿入部46をベース部材2及びボトム部材3に貫通させ、受け止め脚部45と挿通孔47に挿通された留めピン42とによりベース部材2及びボトム部材3を押圧し、留めピン42を締結金具で締結して、固定されることで、ベース部材2及びボトム部材3が、挿通部材41の受け止め脚部45と留めピン42により押圧されて固定されるので、ベース部材2とボトム部材3との固定をより強固にできる。
【0053】
また、挿通部材41の挿通孔47から留めピン42を抜けば、ベース部材2と、ボトム部材3とを容易に分離でき、ベース部材2又はボトム部材3が破損等した場合、容易に取り替えることができる。取り替えたベース部材2又はボトム部材3は、再利用可能な原料として扱うことができる。
【0054】
本実施形態に係る搬送資材1は、ボトム部材3が発泡樹脂製であることにより、搬送資材1をより軽量化することができる。
【0055】
本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2を構成する発泡樹脂の発泡倍率を、ボトム部材3を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高くすることで、ボトム部材3が、ベース部材2と比べてより硬くなるため、強度をより大きくすることができる。
【0056】
以上、本発明の搬送資材の一実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0057】
例えば、上記本実施形態に係る搬送資材1では、ボトム部材3の格子状の底板31の交点が9つである。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、各交点から上方に立設してベース部材と嵌合する複数の柱部によって、4方刺しができるのであればよい。底板31の交点の数としては、例えば、4つ、6つ等が挙げられる。
【0058】
また、上記本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2に被嵌合部22が形成され、ボトム部材3に被嵌合部22に嵌合する嵌合部33が形成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、ベース部材2とボトム部材3とが、嵌合可能に構成されていればよい。
【0059】
また、上記本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2と、ボトム部材3と、の固定に挿通部材41、留めピン42、ワッシャー43、止め輪44からなる固定具4を用いている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、固定具としては、例えば、ビス、ねじ、釘等を用いることができる。
【0060】
また、上記本実施形態に係る搬送資材1は、ベース部材2を構成する発泡樹脂の発泡倍率が、ボトム部材3を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高くなっている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、ベース部材2を構成する発泡樹脂の発泡倍率とボトム部材3を構成する発泡樹脂の発泡倍率は、同じであってもよい。
【0061】
また、上記本実施形態に係る搬送資材1は、ボトム部材3が発泡樹脂製である。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、ボトム部材3の材料としては、特に限定はない。ボトム部材3の材料としては、例えば、金属、プラスチック、木材等が挙げられる。
【0062】
<ボトム部材>
本実施形態に係るボトム部材3は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材の一部を構成するとともに、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と嵌合され、格子状の底板31と、底板31の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部32と、を有する。底板31及び柱部32の説明は上述の通りである。
【0063】
上記の実施形態における搬送資材1のベース部材は、被搬送物を載置可能に構成され、ボトム部材3に嵌合可能であれば、既存のものであってもよい。
【0064】
ボトム部材3は、被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材の一部を構成するとともに、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と嵌合され、格子状の底板31と、底板31の格子の各交点から上方に立設してベース部材と嵌合する複数の柱部32と、を有することにより、搬送資材にかかる荷重を柱部だけでなく、格子状の底板で支える。また、フォークリフトの爪を差し込んで搬送資材を持ち上げる際においても、格子状の底板31を有することによって、どの方向から爪を差し込んでも搬送資材が撓んでしまうのを抑制する。したがって、ボトム部材3を用いて搬送資材を構成した際、強度を確保しつつ、4方刺しが可能となる。
【0065】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材であって、
前記被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と、
前記ベース部材の下方に配置されるボトム部材と、を備え、
前記ボトム部材が、格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する、搬送資材。
[2]前記底板の格子の交点が、9つである、上記[1]に記載の搬送資材。
[3]前記柱部の上面に嵌合部が形成され、
前記ベース部材には、前記嵌合部に対応する位置に、該嵌合部に嵌合する被嵌合部が形成されている、上記[1]又は[2]に記載の搬送資材。
[4]前記ベース部材と、前記ボトム部材と、が固定具によって固定されている、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の搬送資材。
[5]前記固定具が、挿通部材と、留めピンと、締結金具と、を含み、
前記挿通部材が、一方向に延びる平板状の受け止め脚部と、該受け止め脚部の平面から、該平面の垂直方向に延びる平板状の挿入部を有し、
前記挿入部には、前記留めピンが挿通される挿通孔が形成されており、
前記ベース部材と、前記ボトム部材とは、前記挿入部を前記ベース部材及び前記ボトム部材に貫通させ、前記受け止め脚部と前記挿通孔に挿通された前記留めピンとにより前記ベース部材及び前記ボトム部材を押圧し、前記留めピンを締結金具で締結して、固定される、上記[4]に記載の搬送資材。
[6]前記ボトム部材が発泡樹脂製である、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の搬送資材。
[7]前記ベース部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率が、前記ボトム部材を構成する発泡樹脂の発泡倍率よりも高い、上記[6]に記載の搬送資材。
[8]被搬送物を搬送するために用いられる搬送資材の一部を構成するとともに、被搬送物を載置可能に構成された発泡樹脂製のベース部材と嵌合され、
格子状の底板と、該底板の格子の各交点から上方に立設して前記ベース部材と嵌合する複数の柱部と、を有する、ボトム部材。
【符号の説明】
【0066】
1…搬送資材、2…ベース部材、21…載置部、22…被嵌合部、23…第2貫通孔、24…固定部品収容凹部、3…ボトム部材、31…底板、32…柱部、33…嵌合部、34…第1貫通孔、35…脚部収容凹部、4…固定具、41…挿通部材、42…留めピン、43…ワッシャー、44…止め輪、45…受け止め脚部、46…挿入部、47…挿通孔
図1
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図8