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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111743
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20240809BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20240809BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20240809BHJP
   H01R 13/6476 20110101ALI20240809BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H01R13/42 Z
H01R13/46 301Z
H01R13/6476
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016423
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
【テーマコード(参考)】
4F206
5E021
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
4F206AH34
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB02
5E021FC23
5E051BA06
5E051BB05
5E087EE11
5E087FF03
5E087GG16
5E087GG26
5E087MM02
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】ハウジングの成形時に、端子の被保持部が配置される配置空間を形成する部分が撓むことを抑制できる構造を備えたコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、端子20と、ハウジング30と、を備える。端子20は、ハウジング30に保持される被保持部22を有し、ハウジング30は、被保持部22が配置される配置空間31を有する。更に、ハウジング30は、付加空間32を有する。付加空間32は、配置空間31が延びる方向に垂直な方向で配置空間31と接続された空間である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、ハウジングと、を備えるコネクタであって、
前記端子は、前記ハウジングに保持される被保持部を有し、
前記ハウジングは、
前記被保持部が配置される配置空間と、
前記配置空間が延びる延在方向に垂直な方向で前記配置空間と接続された付加空間と、を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記端子は、先端部を有し、
前記被保持部と前記先端部とは、同一直線上に位置する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、
前記付加空間は、前記複数の配置空間を前記延在方向に垂直な方向で連結する、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、
前記延在方向に垂直な方向であって互いに垂直な方向を第一方向及び第二方向というとき、
前記付加空間は、
前記複数の配置空間のうち第一方向の位置が異なる少なくとも2つの前記配置空間を連結すると共に、
前記複数の配置空間のうち第二方向の位置が異なる少なくとも2つの前記配置空間を連結する、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記延在方向に垂直な方向であって互いに垂直な方向を第一方向及び第二方向というとき、
前記付加空間は、
前記配置空間と第二方向で接続された隣接空間と、
前記隣接空間と第二方向で接続された拡大空間であって、その第一方向寸法が前記隣接空間の第一方向寸法よりも大きい前記拡大空間と、を有する、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、
前記複数の配置空間は、
第二方向一方側において第一方向を配列方向として配列される複数の一方側配置空間と、
第二方向他方側において第一方向を配列方向として配列される複数の他方側配置空間と、を有する、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記付加空間は、前記複数の一方側配置空間の少なくとも1つと、前記複数の他方側配置空間の少なくとも1つとを連結する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記付加空間は、
前記複数の一方側配置空間のそれぞれに対応する複数の一方側対応空間と、
前記複数の他方側配置空間のそれぞれに対応する複数の他方側対応空間と、を有する、
請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記付加空間は、前記複数の一方側対応空間と前記複数の他方側対応空間とを連結する連結空間を有する、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記端子は、接続対象物と接触する接触部を有し、
前記被保持部と前記接触部とは、同一直線上に位置し、
前記ハウジングは、前記接触部が配置される配置溝を有し、
前記配置空間は、前記連結空間に連結された第一区間と、前記連結空間に連結されておらず前記第一区間よりも前記配置溝側に位置する第二区間とに分けることができる、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記配置溝の溝底には、インピーダンス調整溝が形成され、
前記一方側対応空間又は前記他方側対応空間は、前記インピーダンス調整溝と前記延在方向で連結される、
請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記端子は、接続対象物と接触する接触部を有し、
前記被保持部と前記接触部とは、同一直線上に位置し、
前記ハウジングは、前記接触部が配置される配置溝を有し、
前記配置溝の溝底には、インピーダンス調整溝が形成され、
前記付加空間は、前記インピーダンス調整溝と前記延在方向で連結される、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、端子とハウジングとを備える。端子は、ハウジングに保持される部分(被保持部)を有し、ハウジングは、被保持部が配置される配置空間を有する。端子がハウジングに挿入されることにより、端子の被保持部がハウジングに保持される。
また、特許文献1のコネクタとは異なり、端子をインサート品としたインサート成形によりハウジングを形成することにより、端子の被保持部がハウジングに保持されるコネクタもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022-044333号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタでは、細長い金型パーツにより、ハウジングの配置空間を形成することとなる。しかし、細長い金型パーツは、成形時に溶融樹脂の押圧によって撓みやすい。金型パーツが撓んでしまうと、配置空間が所望の形状とは違った形状となってしまう。また、ハウジング成形後、金型パーツを抜去する際に、金型パーツが配置空間の壁面と擦れてしまい、ハウジングが損傷するおそれもある。
【0005】
また、端子をインサート品としたインサート成形によりハウジングが形成される場合には、ハウジングの成形時、端子の被保持部が撓みやすい。成形時に端子の被保持部が撓んでしまうと、所望のコネクタが得られなくなる。
【0006】
本開示は、ハウジングの成形時に、端子の被保持部が配置される配置空間を形成する部分(金型パーツ又は被保持部)が撓むことを抑制できる構造を備えたコネクタを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るコネクタは、端子と、ハウジングと、を備えるコネクタであって、前記端子は、前記ハウジングに保持される被保持部を有し、前記ハウジングは、前記被保持部が配置される配置空間と、前記配置空間が延びる延在方向に垂直な方向で前記配置空間と接続された付加空間と、を有する。
【0008】
本態様では、コネクタは、端子と、ハウジングと、を備える。端子は、ハウジングに保持される被保持部を有し、ハウジングは、被保持部が配置される配置空間を有する。
【0009】
また、本態様では、ハウジングは、付加空間を有する。付加空間は、配置空間が延びる方向に垂直な方向で配置空間と接続された空間である。
このため、ハウジングを成形するための金型のうち、配置空間を形成するための部分を、付加空間を形成するための部分により補強できる。換言すると、金型パーツの断面積を増加させることができる。その結果、ハウジングの成形時、金型のうち配置空間を形成するための部分が撓み難くなる。
また、端子をインサート品としたインサート成形によりハウジングを形成する場合には、付加空間を形成するための金型パーツによって端子の被保持部を支持することができる。その結果、ハウジングの成形時に端子の被保持部が撓み難くなる。
【0010】
以上より、本態様によれば、ハウジングの成形時に、端子の被保持部が配置される配置空間を形成する部分(金型パーツ又は被保持部)が撓むことを抑制できる。
【0011】
なお、後述の実施形態では、ハウジングが複数の配置空間を有する場合において、全ての配置空間について付加空間が存在するが、本態様はこれに限定されない。
また、後述の実施形態では、ハウジングが複数の配置空間を有する場合において、全ての配置空間に端子の被保持部が配置されるが、本態様はこれに限定されない。コネクタに要求される仕様に応じて、一部の配置空間に端子の被保持部が配置されていなくてもよい。
また、後述の実施形態では、ハウジングが複数の配置空間を有する場合において、付加空間が、そのうちのいくつかの配置空間を連結するが、本態様はこれに限定されない。付加空間は、複数の配置空間を連結するものでなくてもよい。
【0012】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記端子は、先端部を有し、前記被保持部と前記先端部とは、同一直線上に位置する。
【0013】
本態様では、端子は、先端部を有する。
ここで、被保持部と先端部とは、同一直線上に位置する。
このため、端子の先端部側から、端子をハウジングの配置空間に挿入することができる。
【0014】
なお、後述の実施形態では、先端部が、被保持部とは別の部分である。しかし、本態様の先端部はこれに限定されない。本態様の先端部は、被保持部の一部であってもよい。
また、後述の実施形態では、先端部が接触部である。このため、被保持部と接触部との間に曲部が形成されず、電気信号の反射が起こり難い。その結果、高速伝送性能に優れたコネクタを実現できる。しかし、本態様の先端部はこれに限定されない。
【0015】
第3の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、前記付加空間は、前記複数の配置空間を前記延在方向に垂直な方向で連結する。
【0016】
本態様では、ハウジングは、配置空間を複数有する。
ここで、付加空間は、複数の配置空間を延在方向に垂直な方向で連結する。
このため、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0017】
なお、後述の実施形態では、複数(20個)の配置空間のうち、1個の付加空間によって連結されるのは、そのうちの一部(10個)の配置空間である。しかし、本態様の付加空間は、これに限定されず、ハウジングが有する全ての配置空間を連結してもよい。
また、本態様の付加空間は、ハウジングが有する複数の配置空間のうち、少なくとも2つの配置空間を連結するものであってもよい。つまり、本態様のハウジングは、付加空間により連結された複数の配置空間以外の配置空間を有してもよい。
【0018】
第4の態様に係るコネクタは、第1~第3の何れかの態様において、前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、前記延在方向に垂直な方向であって互いに垂直な方向を第一方向及び第二方向というとき、前記付加空間は、前記複数の配置空間のうち第一方向の位置が異なる少なくとも2つの前記配置空間を連結すると共に、前記複数の配置空間のうち第二方向の位置が異なる少なくとも2つの前記配置空間を連結する。
【0019】
本態様では、付加空間は、複数の配置空間のうち第一方向の位置が異なる少なくとも2つの配置空間を連結すると共に、複数の配置空間のうち第二方向の位置が異なる少なくとも2つの配置空間を連結する。
このため、より一層、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0020】
第5の態様に係るコネクタは、第1~第4の何れかの態様において、前記延在方向に垂直な方向であって互いに垂直な方向を第一方向及び第二方向というとき、前記付加空間は、前記配置空間と第二方向で接続された隣接空間と、前記隣接空間と第二方向で接続された拡大空間であって、その第一方向寸法が前記隣接空間の第一方向寸法よりも大きい前記拡大空間と、を有する。
【0021】
本態様では、付加空間は、配置空間と第二方向で接続された隣接空間と、隣接空間と第二方向で接続された拡大空間と、を有する。拡大空間は、その第一方向寸法が隣接空間の第一方向寸法よりも大きい。
このため、付加空間が拡大空間を有しない態様と比較して、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0022】
なお、後述の実施形態では、拡大空間が、複数の配置空間に対応する複数の隣接空間を互いに連結する空間(連結空間)である。しかし、本態様の拡大空間は、これに限定されない。
【0023】
第6の態様に係るコネクタは、第1~第5の何れかの態様において、前記ハウジングは、前記配置空間を複数有し、前記複数の配置空間は、第二方向一方側において第一方向を配列方向として配列される複数の一方側配置空間と、第二方向他方側において第一方向を配列方向として配列される複数の他方側配置空間と、を有する。
【0024】
本態様では、ハウジングは、配置空間を複数有する。複数の配置空間は、複数の一方側配置空間と、複数の他方側配置空間と、を有する。複数の一方側配置空間は、第二方向一方側において第一方向を配列方向として配列され、複数の他方側配置空間は、第二方向他方側において第一方向を配列方向として配列される。
このため、端子数の多いコネクタとすることができる。
【0025】
第7の態様に係るコネクタは、第6の態様において、前記付加空間は、前記複数の一方側配置空間の少なくとも1つと、前記複数の他方側配置空間の少なくとも1つとを連結する。
【0026】
本態様では、付加空間は、複数の一方側配置空間の少なくとも1つと、複数の他方側配置空間の少なくとも1つとを連結する。
このため、金型パーツの断面積を増加させることができる。
【0027】
第8の態様に係るコネクタは、第7の態様において、前記付加空間は、前記複数の一方側配置空間のそれぞれに対応する複数の一方側対応空間と、前記複数の他方側配置空間のそれぞれに対応する複数の他方側対応空間と、を有する。
【0028】
本態様では、付加空間は、複数の一方側対応空間と、複数の他方側対応空間と、を有する。
このため、金型パーツの断面積を増加させることができる。
【0029】
第9の態様に係るコネクタは、第8の態様において、前記付加空間は、前記複数の一方側対応空間と前記複数の他方側対応空間とを連結する連結空間を有する。
【0030】
本態様では、付加空間は、複数の一方側対応空間と複数の他方側対応空間とを連結する連結空間を有する。
このため、金型パーツの断面積をより一層増加させることができる。
【0031】
第10の態様に係るコネクタは、第9の態様において、前記端子は、接続対象物と接触する接触部を有し、前記被保持部と前記接触部とは、同一直線上に位置し、前記ハウジングは、前記接触部が配置される配置溝を有し、前記配置空間は、前記連結空間に連結された第一区間と、前記連結空間に連結されておらず前記第一区間よりも前記配置溝側に位置する第二区間とに分けることができる。
【0032】
本態様では、端子は、接触部を有する。被保持部と接触部とは、同一直線上に位置する。
このため、被保持部と接触部との間に曲部が形成されず、電気信号の反射が起こり難い。その結果、高速伝送性能に優れたコネクタを実現できる。
【0033】
また、本態様では、ハウジングは、接触部が配置される配置溝を有する。
ここで、配置空間は、連結空間に連結された第一区間と、連結空間に連結されておらず第一区間よりも配置溝側に位置する第二区間とに分けることができる。
このため、ハウジングの適切な強度を確保できる。
【0034】
第11の態様に係るコネクタは、第10の態様において、前記配置溝の溝底には、インピーダンス調整溝が形成され、前記一方側対応空間又は前記他方側対応空間は、前記インピーダンス調整溝と前記延在方向で連結される。
【0035】
本態様では、配置溝の溝底には、インピーダンス調整溝が形成される。このため、端子の接触部におけるインピーダンスを調整できる。
また、一方側対応空間又は他方側対応空間は、インピーダンス調整溝と延在方向で連結される。このため、対応空間及びインピーダンス調整溝を有するハウジングを形成するための金型を簡易な構造とすることができる。
【0036】
第12の態様に係るコネクタは、第1~第10の何れかの態様において、前記端子は、接続対象物と接触する接触部を有し、前記被保持部と前記接触部とは、同一直線上に位置し、前記ハウジングは、前記接触部が配置される配置溝を有し、前記配置溝の溝底には、インピーダンス調整溝が形成され、前記付加空間は、前記インピーダンス調整溝と前記延在方向で連結される。
【0037】
本態様では、付加空間は、配置溝の溝底に形成されたインピーダンス調整溝と延在方向で連結される。
このため、付加空間及びインピーダンス調整溝を有するハウジングを形成するための金型を簡易な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】コネクタの斜視図である。
図2】コネクタの分解斜視図である。
図3】一対の端子の斜視図である。
図4】コネクタの断面図(X方向に垂直な断面)である。
図5】コネクタの断面図(Y方向に垂直な断面)である。
図6図4の6-6線断面図である。
図7図4の7-7線断面図である。
図8図4の8-8線断面図である。
図9図5と同じ断面における断面図であって、コネクタ下方から見た拡大図である。
図10】コネクタ下方から見たコネクタの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示のコネクタの実施形態に係るコネクタ10について説明する。
【0040】
各図に示す矢印Xは、コネクタ前後方向前側(一方側)を意味し、矢印Yは、コネクタ幅方向一方側を意味し、矢印Zは、コネクタ上方向を意味する。以下、単に前後方向、幅方向又は上下方向というときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向又はコネクタ上下方向を意味する。但し、これらは、コネクタ10が使用される状態での姿勢を限定するものではない。例えば、コネクタ10は、コネクタ上方向を重力方向を向けた姿勢で使用されてもよい。
なお、本実施形態では、コネクタ前後方向は端子配列方向であり、コネクタ幅方向は列間方向である。
【0041】
図4に示すように、コネクタ10は、取付対象物90(例えば基板)に取り付けられて使用される。コネクタ10は、図示しない接続対象物(例えば他のコネクタ)に接続可能に構成される。コネクタ10は、取付対象物90と接続対象物とを電気的に接続する。
【0042】
コネクタ10は、複数の端子20A,20Bと、ハウジング30と、を備える。
複数の端子20A,20Bは、金属の板材に抜き加工及び曲げ加工等を施すことで形成される。ハウジング30は、合成樹脂製であり、射出成形により形成される。そして、複数の端子20A,20Bが、ハウジング30に対して下方向から挿入されることで、コネクタ10が作られる。
【0043】
(端子20)
複数(図では20個)の端子20A,20Bは、複数(10個)の一方側端子20Aと、複数(10個)の他方側端子20Bと、を備える。
【0044】
複数の一方側端子20Aは、Y方向一方側においてX方向を配列方向として配列される。
複数の他方側端子20Bは、Y方向他方側においてX方向を配列方向として配列される。
【0045】
複数の端子20A,20Bは、互いに同じ構造を有する。以下、特に区別しないときは、単に端子20という。
【0046】
図3に示すように、端子20は、取付対象物90に接続される接続部21と、ハウジング30に保持される被保持部22と、接続対象物(例えば、他のコネクタの端子)に接触する接触部23と、を有する。
【0047】
接続部21は、被保持部22の下端からY方向外側に延びる。
接続部21は、取付対象物90の面に平行な方向(Y方向)に延び、当該面に接合される接合部21aを有する。
接続部21は、接合部21aと被保持部22との間に位置する中継部21bを有する。中継部21bは、取付対象物90の面に平行な方向(Y方向)に延び、取付対象物90の面の上側に間隔を開けて配置される。
【0048】
被保持部22は、Z方向を延在方向として直線状に延びる。被保持部22は、板厚方向をY方向に向ける。
被保持部22は、被保持部22の上端付近に形成された先端側幅広部24a,24bと、被保持部22の下端付近に形成された基端側幅広部25と、を有する。先端側幅広部24a,24b及び基端側幅広部25は、被保持部22の他の部分(一般部)よりもX方向寸法が大きい。先端側幅広部24a,24b及び基端側幅広部25が、後述する配置空間31内に圧入されることで、被保持部22がハウジング30に保持される。
【0049】
先端側幅広部24a,24bは、第一突起24aと第二突起24bとを有する。
基端側幅広部25は、延在方向での一定の範囲において一般部よりも幅広に形成される。
【0050】
被保持部22の下端付近には、ビード26が形成される。ビード26は、Y方向外側に突出するように形成される。ビード26は、Z方向に延びる。ビード26が形成されることで、被保持部22の下端付近は、ハウジング30の配置空間31においてY方向内側に配置されやすくなっている(図6参照)。
【0051】
接触部23は、Z方向を延在方向として直線状に延びる。接触部23は、板厚方向をY方向に向ける。接触部23は、被保持部22と同一直線上に位置する。換言すると、被保持部22と接触部23との間には、延在方向が曲がる曲部が存在しない。
接触部23は、端子20の先端部分を構成する。以下、接触部23を先端部23ということがある。
接触部23は、被保持部22の一般部よりもX方向寸法が大きい。
【0052】
(ハウジング30)
ハウジング30は、基部30a及び端子配置壁30bを有する。端子配置壁30bは、基部30aから上方向に突出する。端子配置壁30bは、壁厚方向をY方向に向け、X方向に延在する。
【0053】
ハウジング30は、一対の幅方向壁30cを有する。一対の幅方向壁30cは、端子配置壁30bのY方向外側に位置する。一対の幅方向壁30cの上端は、端子配置壁30bの上端よりも下側に位置する。
【0054】
ハウジング30は、一対の前後方向壁30dを有する。一対の前後方向壁30dは、端子配置壁30bのX方向外側に位置する。一対の前後方向壁30dの上端は、端子配置壁30bの上端よりも上側に位置する。一対の前後方向壁30dのX方向内側面には、電源端子の接触部が配置される。なお、図面では、電源端子が省略されている。
【0055】
ハウジング30は、端子20の被保持部22が配置される複数の配置空間31を有する。複数の配置空間31は、複数の一方側配置空間31と、複数の他方側配置空間31と、を有する。
複数の配置空間31の各々は、ハウジング30の基部30aを上下方向で貫通する孔である。
【0056】
配置空間31は、幅広部31aと幅狭部31bとを有する。
幅広部31aは、その延在方向であるZ方向の位置によらず、一定の幅寸法(X方向寸法)を有する。
幅狭部31bは、その延在方向であるZ方向の位置によらず、一定の幅寸法(X方向寸法)を有する。
幅狭部31bの幅寸法は、幅広部31aの幅寸法よりも小さい。
配置空間31のY方向寸法は、幅広部31aから幅狭部31b迄に亘って一定である(図6図7参照)。
【0057】
図8に示すように、ハウジング30は、端子20の接触部23が配置される複数の配置溝35を有する。
複数の配置溝35は、複数の一方側配置溝35と、複数の他方側配置溝35と、を有する。
複数の配置溝35の各々は、端子配置壁30bのY方向外側面に形成された溝である。
【0058】
配置溝35は、その延在方向であるZ方向の位置によらず、一定の幅寸法(X方向寸法)を有する。配置溝35の幅寸法は、幅狭部31bの幅寸法と同一である。
【0059】
ハウジング30は、肉抜凹部34を有する。
肉抜凹部34は、基部30aの下面側に開放され、上方向を深さ方向とする凹部である。肉抜凹部34は、複数の一方側配置空間31と、複数の他方側配置空間31との間に位置する。肉抜凹部34の底面34aは、配置空間31の上端よりも下側に位置する。
【0060】
図6図7に示すように、ハウジング30は、各配置空間31に対応して設けられた対応空間33を有する。
対応空間33は、対応する配置空間31と接続される。以下、対応空間33を隣接空間33ということがある。
対応空間33は、対応する配置空間31のY方向内側に位置する。
配置空間31のうち肉抜凹部34の底面34aよりも下側の区間(第一区間)では、対応空間33は、配置空間31と肉抜凹部34(連結空間34)とを連結する。
配置空間31のうち肉抜凹部34の底面34aよりも上側の区間(第二区間)では、対応空間33は、配置空間31と肉抜凹部34内の空間(連結空間34)とを連結しない。
以下、対応空間33及び連結空間34を付加空間32ということがある。
【0061】
連結空間34においては、配置空間31から離れた位置で付加空間32がX方向で拡大されているといえる。以下、連結空間34を拡大空間34ということがある。
【0062】
なお、本実施形態では、幅広部31aと幅狭部31bとの境界位置と、第一区間と第二区間との境界位置とが、Z方向で一致する(図5参照)。
【0063】
図6図7に示すように、対応空間33のX方向寸法は、配置空間31のX方向寸法よりも小さい。このため、各配置空間31について、被保持部22がY方向内側に移動することを規制する一対の規制面31cが形成される。
第一区間では、対応空間33は、各配置空間31と肉抜凹部34とを隔てる壁の一部が切除されることにより形成されたような空間といえる。配置空間31と肉抜凹部34とを隔てる当該壁の厚み(Y方向寸法)は、配置空間31のY方向寸法の1.2~2.0倍である。
【0064】
第二区間における対応空間33のX方向寸法は、第一区間における対応空間33のX方向寸法と同一である。
第二区間における対応空間33のY方向寸法は、第一区間における対応空間33のY方向寸法よりも小さい。
【0065】
肉抜凹部34は、複数の配置空間31のうち所定数の配置空間31に対応して1つ形成される。
図の例では、ハウジング30が有する20個の配置空間31のうち、10個の配置空間31に対応して1個の肉抜凹部34が形成される。このため、ハウジング30には、合計2個の肉抜凹部34が形成される。
複数の肉抜凹部34のうち隣り合う2つの肉抜凹部34は、分離壁37により隔てられる。
【0066】
分離壁37の厚み(X方向寸法)は、配列方向(X方向)で隣り合う2つの配置空間31(幅広部31a)間の壁の厚み(X方向寸法、図6参照)よりも大きい。配列方向(X方向)で隣り合う2つの配置空間31間の壁の厚みを小さくすることでコネクタ10をX方向で小型化できると共に、2つの配置空間31間の壁よりもY寸法が大きい分離壁37の厚み(X方向寸法)を大きくすることで、ハウジング成形時の樹脂の流れを確保することができる。
なお、図9に示すように、分離壁37の厚み(X方向寸法)は、X方向で隣り合う2つの対応空間33間の壁の厚み(X方向寸法)よりも小さいが、同一であってもよい。
【0067】
図8に示すように、配置溝35の底面には、インピーダンス調整溝36が形成される。
インピーダンス調整溝36は、第二区間における対応空間33と同じ断面形状を有する(図7参照)。
【0068】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0069】
本実施形態では、図1図2に示すように、コネクタ10は、端子20と、ハウジング30と、を備える。図3に示すように、端子20は、ハウジング30に保持される被保持部22を有し、図4図7に示すように、ハウジング30は、被保持部22が配置される配置空間31を有する。なお、図5図7図9図10では、一部の端子20が省略して図示されている。
【0070】
また、本実施形態では、図4に示すように、ハウジング30は、付加空間32を有する。図6図7に示すように、付加空間32は、配置空間31が延びる方向(Z方向)に垂直な方向で配置空間31と接続された空間である。
このため、ハウジング30を成形するための金型のうち、配置空間31を形成するための部分を、付加空間32を形成するための部分により補強できる。換言すると、金型パーツの断面積を増加させることができる。その結果、ハウジング30の成形時、金型のうち配置空間31を形成するための部分が撓み難くなる。
【0071】
また、本実施形態では、図4に示すように、被保持部22と先端部23とは、同一直線上に位置する。
このため、端子20の先端部23側から、端子20をハウジング30の配置空間31に挿入することができる。
【0072】
また、本実施形態では、図6に示すように、付加空間32は、複数の配置空間31を延在方向(Z方向)に垂直な方向で連結する。
このため、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0073】
特に、本実施形態では、図6に示すように、付加空間32は、複数の配置空間31のうち第一方向(X方向)の位置が異なる少なくとも2つの配置空間31を連結すると共に、複数の配置空間31のうち第二方向(Y方向)の位置が異なる少なくとも2つの配置空間31を連結する。
このため、より一層、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、図6に示すように、付加空間32は、配置空間31と第二方向(Y方向)で接続された隣接空間33と、隣接空間33と第二方向で接続された拡大空間34と、を有する。拡大空間34は、その第一方向寸法(X方向寸法)が隣接空間33の第一方向寸法よりも大きい。
このため、付加空間32が拡大空間34を有しない態様と比較して、金型パーツ一つ当たりの断面積を増加させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、図6に示すように、複数の配置空間31は、複数の一方側配置空間31と、複数の他方側配置空間31と、を有する。複数の一方側配置空間31は、第二方向一方側(+Y方向側)において第一方向(X方向)を配列方向として配列され、複数の他方側配置空間31は、第二方向他方側(-Y方向側)において第一方向(X方向)を配列方向として配列される。
このため、端子数の多いコネクタ10とすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、図6に示すように、付加空間32は、複数の一方側配置空間31の少なくとも1つと、複数の他方側配置空間31の少なくとも1つとを連結する。
このため、金型パーツの断面積を増加させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、付加空間32は、複数の一方側対応空間33と、複数の他方側対応空間33と、を有する。
更に、本実施形態では、付加空間32は、複数の一方側対応空間33と複数の他方側対応空間33とを連結する連結空間34を有する。
このため、より一層、金型パーツの断面積を増加させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、図4に示すように、被保持部22と接触部23とは、同一直線上に位置する。
このため、被保持部22と接触部23との間に曲部が形成されず、電気信号の反射が起こり難い。その結果、高速伝送性能に優れたコネクタ10を実現できる。
【0079】
また、本実施形態では、図8に示すように、ハウジング30は、接触部23が配置される配置溝35を有する。
ここで、図4に示すように、配置空間31は、連結空間34に連結された第一区間と、連結空間34に連結されておらず第一区間よりも配置溝35側に位置する第二区間とに分けることができる。
このため、ハウジング30の適切な強度を確保できる。
【0080】
また、本実施形態では、図8に示すように、配置溝35の溝底には、インピーダンス調整溝36が形成される。このため、端子20の接触部23におけるインピーダンスを調整できる。
また、対応空間33(一方側対応空間33又は他方側対応空間33)は、インピーダンス調整溝36と延在方向(Z方向)で連結される。このため、対応空間33及びインピーダンス調整溝36を有するハウジング30を形成するための金型を簡易な構造とすることができる。
【0081】
〔上記実施形態の補足説明〕
以上、本開示のコネクタの好適な実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。以下は念のための補足である。
【0082】
上記実施形態では、各配置空間31について、被保持部22がY方向内側に移動することを規制する一対の規制面31cが形成されるが、本開示の配置空間はこれに限定されない。
また、上記実施形態では、一対の規制面31cが、配置空間31の延在方向の全体に亘って形成されるが、本開示の一対の規制面はこれに限定されない。一対の規制面は、延在方向における一部の区間にのみ形成されてもよい。
【0083】
上記実施形態では、接触部23(先端部23)が、被保持部22の一般部よりもX方向寸法が大きいが、本開示の接触部及び先端部はこれに限定されない。
【0084】
上記実施形態では、コネクタ10が、端子20がハウジング30に挿入されることで作られるが、本開示のコネクタはこれに限定されない。コネクタは、端子をインサート品ととするインサート成形によりハウジングが成形されることで作られるものでもよい。
【0085】
上記実施形態では、ハウジング30が一部品で構成されるが、本開示のハウジングはこれに限定されない。ハウジングは、別々に成形された複数の部品(成形品)が組み合わされることで構成されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、拡大空間34は、その第一方向寸法(X方向寸法)が隣接空間33の第一方向寸法よりも大きいだけでなく、その第二方向寸法(Y方向寸法)も隣接空間33の第二方向寸法よりも大きいが、本開示の拡大空間はこれに限定されない。拡大空間の第二方向寸法(Y方向寸法)は、隣接空間33の第二方向寸法と同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0087】
上記実施形態では、対応空間33が、対応する配置空間31のY方向内側に位置するが、本開示の対応空間はこれに限定されない。例えば、対応空間は、対応する配置空間のY方向外側に位置してもよいし、Y方向両側に位置してもよい。なお、ここでいうY方向とは、延在方向及び端子配列方向の両方に垂直な方向である。
更に、対応空間は、配置空間のY方向側に位置するものに限定されず、X方向側に位置するものであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 コネクタ
20 端子
22 被保持部
23 接触部(先端部)
30 ハウジング
31 配置空間
32 付加空間
33 対応空間(隣接空間)
34 肉抜凹部(連結空間、拡大空間)
35 配置溝
36 インピーダンス調整溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10