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▶ 株式会社ハイレックスコーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111749
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】リッド開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240809BHJP
   E05B 83/34 20140101ALI20240809BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20240809BHJP
   B62D 25/24 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B60K15/05 B
E05B83/34
B62D25/12 C
B62D25/12 N
B62D25/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016435
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 祥平
【テーマコード(参考)】
2E250
3D004
3D038
3D203
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250KK02
2E250LL13
3D004AA03
3D004AA13
3D004BA01
3D004CA17
3D004CA31
3D004CA41
3D004DA07
3D038CA33
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
3D203AA01
3D203CB21
3D203CB23
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡単な構造でリッドを容易に開閉可能なリッド開閉装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のリッド開閉装置1は、第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸X1を中心軸として回転することでリッドを開閉させる、ジョイント部材2と、ロック機構と、ジョイント部材2を第1の回転位置に回転させるように構成された駆動機構5とを備え、駆動機構5は、駆動部51と、回転体52とを備え、回転体52は動力伝達部521を備え、動力伝達部521の回転経路は、動力伝達部521がジョイント部材2を第1の回転位置まで移動させることができるように設定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドに直接的または間接的に接続され、第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸を中心軸として回転することで前記リッドを開閉させる、ジョイント部材と、
前記ジョイント部材に、前記ジョイント部材を第1の回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる力を加える、作動部材と、
前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置へ回転することを規制するロック機構と、
前記第2の回転位置に位置する前記ジョイント部材を、前記作動部材による力に抗して前記第1の回転位置に回転させるように構成された駆動機構と
を備えたリッド開閉装置であって、
前記駆動機構は、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力によって、回転軸まわりに一方向に回転する回転体と
を備え、
前記回転体は、前記回転体の前記回転軸まわりの一方向への回転に伴って、前記回転軸まわりの所定の回転経路に沿って一方向に移動する動力伝達部を備え、
前記動力伝達部の前記回転経路は、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部が前記ジョイント部材を前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動させることができ、
前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部によりロック機構のロックが解除され、前記ジョイント部材を前記第1の回転位置から前記第2の回転位置まで移動させることができるように設定されている、
リッド開閉装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置へ回転することを規制するロック位置、および、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間で移動することを許容する退避位置に移動可能なロック部材を備え、前記駆動機構は、前記ロック位置に位置する前記ロック部材を前記退避位置へと移動させるように構成され、
前記回転経路は、前記ロック部材が前記ロック位置に位置するときに、前記動力伝達部が前記ロック部材を前記ロック位置から前記退避位置まで移動させることができるように設定されている、請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項3】
前記ジョイント部材は、前記旋回軸に沿って延びる軸部材と、前記軸部材に対して交差する方向に延びる延在部とを備え、
前記延在部は、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動する際に、前記動力伝達部と当接して、前記動力伝達部に押圧される当接部を有している、
請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記退避位置から前記ロック位置に向かってばね付勢され、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置にあるときに、前記ロック部材は、ばね付勢されて、前記ロック位置に位置するか、または、前記ロック位置を越えて、前記ロック位置に対して前記退避位置とは反対側にさらに移動した前進位置に位置するように構成され、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置に移動する際に、前記ロック部材が、前記ジョイント部材から前記退避位置に向かう方向に押圧されて、前記ロック部材が前記ロック位置または前記前進位置から前記退避位置へ移動するように構成されている、
請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項5】
前記リッド開閉装置がさらに、前記回転体の回転位置を検知する検知部を備え、前記回転体は、前記検知部を操作可能な検知部作動部を備えている、請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項6】
前記回転体は略円板状に構成され、前記動力伝達部は、前記回転体の厚さ方向で一方の端面から突出する突出部によって構成されている、請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項7】
前記動力伝達部が複数の突出部によって構成されている、請求項6に記載のリッド開閉装置。
【請求項8】
前記ジョイント部材は、前記旋回軸に沿って延びる軸部材と、前記軸部材に対して交差する方向に延びる延在部とを備え、
前記延在部は、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動する際に、前記動力伝達部と当接して、前記動力伝達部に押圧される当接部を有し、
前記動力伝達部が、第1動力伝達部と、前記第1動力伝達部に対して前記回転軸まわりで他方向に離間して設けられた第2動力伝達部とを備え、
前記当接部が、前記第1動力伝達部に当接する第1当接部と、前記第2動力伝達部に当接する第2当接部とを備え、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動するまでの間に、前記第1動力伝達部と前記第1当接部とが当接した状態から、前記第2動力伝達部と前記第2当接部とが当接した状態へと遷移するように構成されている、請求項7に記載のリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリッド開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフューエルリッドや充電リッドを開閉する装置として、リンク機構により、モータの駆動力をリッドへ伝達し、リッドを開閉するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/122570号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、リッドを開閉するために、複雑なリンク機構を用いており、リッド開閉装置の構造が複雑になってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構造でリッドを容易に開閉可能なリッド開閉装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリッド開閉装置は、リッドに直接的または間接的に接続され、第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸を中心軸として回転することで前記リッドを開閉させる、ジョイント部材と、前記ジョイント部材に、前記ジョイント部材を第1の回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる力を加える、作動部材と、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置へ回転することを規制するロック機構と、前記第2の回転位置に位置する前記ジョイント部材を、前記作動部材による力に抗して前記第1の回転位置に回転させるように構成された駆動機構とを備えたリッド開閉装置であって、前記駆動機構は、駆動部と、前記駆動部の駆動力によって、回転軸まわりに一方向に回転する回転体とを備え、前記回転体は、前記回転体の前記回転軸まわりの一方向への回転に伴って、前記回転軸まわりの所定の回転経路に沿って一方向に移動する動力伝達部を備え、前記動力伝達部の前記回転経路は、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部が前記ジョイント部材を前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動させることができ、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部によりロック機構のロックが解除され、前記ジョイント部材を前記第1の回転位置から前記第2の回転位置まで移動させることができるように設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構造でリッドを容易に開閉可能なリッド開閉装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のリッド開閉装置が取付対象に設けられた状態を示す斜視図である。
図2】リッドが取り付けられた状態のリッドロック機構を示す斜視図である。
図3】リッド開閉装置のハウジング内部を示す斜視図である。
図4】リッド開閉装置の上面図である。
図5】ジョイント部材の斜視図である。
図6】ロック部材およびロック用ばね部材の斜視図である。
図7】回転体の斜視図である。
図8】リッド開閉装置のハウジング内部を示す側面図である。
図9】ジョイント部材が第1の回転位置に位置し、ロック部材がロック位置にある状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図10】ジョイント部材が第1の回転位置に位置し、ロック部材が退避位置にある状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図11】ジョイント部材が第2の回転位置に位置し、ロック部材がロック位置にある状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図12】ジョイント部材が第2の回転位置から第1の回転位置に向かう際に、ジョイント部材がロック部材に当接した状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図13】第2実施形態のリッド開閉装置のハウジング内部を示す斜視図である。
図14】第2実施形態のリッド開閉装置の上面図である。
図15】第2実施形態のリッド開閉装置に用いられるジョイント部材の斜視図である。
図16】第2実施形態のリッド開閉装置に用いられる、ロック部材、ロック用ばね部材およびガイドレール部材の斜視図である。
図17】第2実施形態のリッド開閉装置に用いられる回転体の斜視図である。
図18】第2実施形態のリッド開閉装置のハウジング内部を示す側面図である。
図19】ジョイント部材が第1の回転位置に位置し、ロック部材がロック位置にある状態を示す、第2実施形態のリッド開閉装置の概略図である。
図20】ジョイント部材が第1の回転位置に位置し、ロック部材が退避位置にある状態を示す、第2実施形態のリッド開閉装置の概略図である。
図21】ジョイント部材が第2の回転位置に位置し、ロック部材がロック位置にある状態を示す、第2実施形態のリッド開閉装置の概略図である。
図22】ジョイント部材が第2の回転位置から第1の回転位置に向かう際に、第1動力伝達部が第1当接部に当接した状態を示す、第2実施形態のリッド開閉装置の概略図である。
図23】ジョイント部材が第2の回転位置から第1の回転位置に向かう際に、第2動力伝達部が第2当接部に当接した状態を示す、第2実施形態のリッド開閉装置の概略図である。
図24図23に示される状態からジョイント部材が第1の回転位置に回転し、ロック部材によってロックされた状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図25】動力伝達部と当接部との間の接触状態を示す参考図である。
図26】第3実施形態のリッド開閉装置において、ジョイント部材が第1の回転位置に位置する状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
図27】第3実施形態のリッド開閉装置において、ジョイント部材が第2の回転位置に位置する状態を示す、リッド開閉装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のリッド開閉装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のリッド開閉装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態のリッド開閉装置1は、図1に示されるように、所定の開口Baを閉鎖することが可能なリッド本体L1を有するリッドLを、開放位置および閉鎖位置に移動することで、リッドLを開閉するように構成されている。本実施形態では、リッド開閉装置1は、リッドLを旋回軸X1回りに開閉させる。リッド開閉装置1の用途は、リッドLを開閉することができれば、特に限定されない。本実施形態では、リッド開閉装置1は、操作対象である車両の燃料または給電用のリッド(フューエルリッド)Lを開閉するように構成されている。なお、車両の燃料は、軽油、ガソリンに限定されず、車両を動作させることが可能な全ての燃料をいう。
【0012】
詳細は後述するが、本実施形態では、リッド開閉装置1は、図3および図4に示されるように、ジョイント部材2と、作動部材3(図2参照)と、ロック機構(本実施形態ではロック部材4)と、駆動機構5とを備えている。また、本実施形態では、リッド開閉装置1は、図1に示されるように、開口Baを有する基部(取付対象。本実施形態では車体)Bに取り付けられ、基部Bの開口Baを開閉可能なリッドLを備えている。本実施形態では、リッドLは、図1および図2に示されるように、リッド本体L1と、リッド本体L1とジョイント部材2との間に延びる延伸体L2とを備えている。本実施形態では、基部Bは、リッドLによって閉鎖される開口Baを有する有底筒状の本体部Bbを有している。本体部Bbは、底部に給油口(または給電口)Bcを有している。なお、給油口Bcは、リッドLによって開口Baが閉鎖されたときに、リッドLによって閉鎖されるように構成されてもよいし、リッドLとは別に給油口Bcを閉鎖するキャップを有していてもよい。また、リッド開閉装置1は、ジョイント部材2、作動部材3、ロック機構(本実施形態ではロック部材4)、駆動機構5等のリッド開閉装置1の構成要素を少なくとも部分的に収容可能なハウジング6を備えている。
【0013】
リッドLは、ジョイント部材2に接続される。リッドLは、ジョイント部材2が後述する第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸X1を中心として回転することで、開閉動作を行う。リッドLの形状および構造は、ジョイント部材2が第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸X1を中心として回転する際に、リッドLが開閉動作を行うように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、リッドLは、図1および図2に示されるように、開口Baを閉鎖することが可能なリッド本体L1と、リッド本体L1側からジョイント部材2に向かって延び、リッド本体L1に直接または間接的に接続される延伸体L2とを有している。
【0014】
リッド本体L1は、開口Baを閉鎖するために開口Baの形状に対応した部分を有する蓋部分である。本実施形態では、リッド本体L1は円形の開口Baの形状に対応して円形に形成されているが、リッド本体L1の形状は特に限定されない。
【0015】
延伸体L2は、図2に示されるように、リッド本体L1側からジョイント部材2に向かって延びている。本実施形態では、延伸体L2は、リッド本体L1に直接接続されており、旋回軸X1まわりに回転する。なお、延伸体L2は、リッド本体L1と一体に設けられていてもよいし、リッド本体L1と別体として設けられて、公知の固定部材、固定手段によって直接接続されてもよい。
【0016】
ハウジング6は、リッド開閉装置1の構成要素を少なくとも部分的に収容する。本実施形態では、ハウジング6は、図3に示されるように、ジョイント部材2の一部(延在部22)、ロック部材4および駆動機構5を収容している。ジョイント部材2の他の一部(軸部材21)はハウジング6から突出している。ハウジング6は、後述するように、ロック部材4を所定の移動方向に案内するガイド部61を備えている(図4参照)。ガイド部61は、図4に示されるように、一対の対向するガイド壁61a、61bを有している。また、本実施形態では、図4に示されるように、リッド開閉装置1は、後述する回転体52の回転位置を検知する検知部7を備えている。検知部7はハウジング6内に設けられている。検知部7の詳細については後述するが、検知部7は、後述する回転体52の回転軸X2まわりの回転に伴って変位する、後述する検知部作動部53の、回転軸X2を中心とした回転方向での位置を検知するように構成されている。検知部7は、図示しない制御部に接続される。制御部は、検知部7から送信された検知情報に基づいて、駆動機構5に所定の動作を行わせるように駆動機構5を制御する。検知部7は、本実施形態では、検知部作動部53と接触することで操作される検出用スイッチとして構成されている。検知部の形状および構造は、回転体52の回転軸X2まわりの回転に伴って変位する、検知部作動部53の、回転軸X2を中心とした回転方向での位置を検知するように構成されていれば、特に限定されない。たとえば、検知部は、検知部作動部と物理的に接触する接触式検知部であってもよいし、検知部作動部と、磁気的、電磁気的または光学的に相互作用する非接触式検知部であってもよい。
【0017】
ジョイント部材2は、リッドLに直接的または間接的に接続され、第1の回転位置(図4図9および図10参照)と第2の回転位置(図11参照)との間で旋回軸X1を中心軸として回転することでリッドLを開閉させる。ジョイント部材2は、第1の回転位置に位置し、ロック部材4が後述するロック位置に位置するときに、ロック部材4によって第1の回転位置でロックされる(図4および図9参照)。また、ジョイント部材2は、第1の回転位置に位置するときに、ロック部材4が後述する退避位置に位置して、ジョイント部材2のロックが解除されると(図10参照)、作動部材3によって、第1の回転位置から第2の回転位置へと操作される。なお、本実施形態では、ジョイント部材2は、第2の回転位置において、ハウジング6の停止部(壁部)ST(図4参照)と当接することで、第2の回転位置で停止する。また、ジョイント部材2は、詳細は後述するが、第2の回転位置に位置するときに、後述する駆動機構5によって第1の回転位置へと操作される。
【0018】
ジョイント部材2の第1の回転位置は、リッドLの開放位置および閉鎖位置のいずれか一方に対応するジョイント部材2の位置である。本実施形態では、第1の回転位置は、リッドLの閉鎖位置に対応するジョイント部材2の位置である。ジョイント部材2の第2の回転位置は、リッドLの開放位置および閉鎖位置のいずれか他方に対応するジョイント部材2の位置である。本実施形態では、第2の回転位置は、リッドLの開放位置に対応するジョイント部材2の位置である。
【0019】
ジョイント部材2は、図3および図5に示されるように、旋回軸X1に沿って延びる軸部材21と、軸部材21に対して交差する方向に延びる延在部22とを備えている。
【0020】
軸部材21は、ジョイント部材2の旋回軸X1となる部位である。軸部材21は、本実施形態では、リッドLの延伸体L2に接続される。具体的には、軸部材21は、図2に示されるように、延伸体L2の挿入部L21に挿入される。軸部材21は、旋回軸X1の軸まわり方向で挿入部L21と係合し、軸部材21が旋回軸X1まわりに回転したときに、リッドLが旋回軸X1まわりに回転するように構成されている。本実施形態では、軸部材21は、旋回軸X1方向に延びる棒状の部材であり、軸部材21の、旋回軸X1に対して垂直な断面は四角形状になっている。なお、本実施形態では、ジョイント部材2の旋回軸X1は、後述する駆動機構5の回転体52の回転軸X2と平行に延びている。
【0021】
延在部22は、後述するロック部材4および駆動機構5と相互作用する部位である。本実施形態では、延在部22は、ジョイント部材2が第1の回転位置にあるときに、第2の回転位置へ回転することが規制されるように、ロック部材4と相互作用する。具体的には、延在部22は、ジョイント部材2が第1の回転位置にあるときに、第2の回転位置へ回転することが規制されるように、ロック部材4と旋回軸X1まわりの旋回方向で係合する(図4および図9参照)。また、延在部22は、ジョイント部材2が第2の回転位置にあるときに、第1の回転位置へと移動するように、駆動機構5(本実施形態では、回転体52の動力伝達部521)と相互作用する。具体的には、延在部22は、ジョイント部材2が第2の回転位置にあるときに、第1の回転位置へと移動するように、駆動機構5(動力伝達部521)によって押圧される(図11および図12参照)。
【0022】
延在部22の形状および構造は、上述したようにロック部材4および駆動機構5と相互作用することができれば、特に限定されない。本実施形態では、延在部22は、図4および図5に示されるように、被ロック部221、当接部222および押圧部223を有している。延在部22は、本実施形態では、旋回軸X1の延在方向に見たときに、軸部材21の旋回軸X1から離れる方向に延びている。具体的には、延在部22は、図4および図5に示されるように、旋回軸X1の延在方向に見たときに、軸部材21の旋回軸X1に対して垂直な方向に延びる、一部が切り欠かれた略長円形状を有している。しかし、延在部22の形状は図示する形状に限定されず、略扇状、略円形等であってもよい。
【0023】
被ロック部221は、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、第2の回転位置へ回転することが規制されるように、ロック部材4と係合する部位である。被ロック部221は、延在部22のうち、旋回軸X1から延在部22が延びる方向で、旋回軸X1とは反対側の端部となる先端部22a(図5参照)に設けられている。より具体的には、被ロック部221は、延在部22の先端部22aのうち、旋回軸X1を中心とした回転方向で一方側に設けられた係合面によって構成されている。なお、本明細書において、旋回軸X1を中心とした回転方向で一方または一方側という場合、第1の回転位置から第2の回転位置に向かう方向の回転方向(図4における反時計方向)または回転方向側をいう。また、旋回軸X1を中心とした回転方向で他方または他方側という場合、第2の回転位置から第1の回転位置に向かう方向の回転方向(図4における時計方向)または回転方向側をいう。本実施形態では、延在部22の先端部22aには、旋回軸X1を中心とした回転方向の一方側に切欠部が設けられ、当該切欠部に被ロック部221が設けられている。
【0024】
当接部222は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動する際に、動力伝達部521と当接して、動力伝達部521に押圧される部位である(図11および図12参照)。当接部222の形状および構造は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動できるように、動力伝達部521と当接して、押圧されるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、当接部222は、延在部22において、動力伝達部521と接触できるように、動力伝達部521の回転軌跡上に延びる壁部によって構成されている。本実施形態では、当接部222は、図4および図5に示されるように、延在部22において、旋回軸X1側から延在部22の先端部22aに向かって延びる壁部である。なお、本実施形態では、図5に示されるように、被ロック部221および当接部222は、旋回軸X1の延在方向で異なる位置に設けられている。したがって、被ロック部221とロック部材4とが係合する部位と、当接部222と動力伝達部521とが係合する部位は、旋回軸X1の延在方向でオフセットしている。これにより、動力伝達部521は、被ロック部221とロック部材4とが係合する部位に接触せず、被ロック部221とロック部材4との間の係合に影響を及ぼさない。なお、被ロック部221および当接部222の形状は特に限定されない。本実施形態では、図5に示されるように、延在部22の一部が切り欠かれることによって、被ロック部221と当接部222とは段差状(階段状)に設けられている。また、当接部222は、後述する他の実施形態のように、延在部22の表面(旋回軸X1の延在方向で一方の端面)から突出する板状の壁部によって構成されていてもよい(図15参照)。
【0025】
押圧部223は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置へと回転する際に(図12参照)、ジョイント部材2の回転軌跡上に位置するロック部材4を押圧し、退避位置に向かって移動させる。押圧部223の形状および構造は、ロック部材4を退避位置に向かって移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、押圧部223は、延在部22の先端部22aにおいて、旋回軸X1を中心とした回転方向の他方側(ジョイント部材2の回転方向で被ロック部221の反対側)に設けられた湾曲面によって構成されている。
【0026】
作動部材3(図2参照)は、ジョイント部材2に、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって回転させる力を加える。作動部材3の形状および構造は、ジョイント部材2に、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって回転させる力を加えることができれば、特に限定されない。作動部材3は、図2において、模式的に示されているが、例えば、作動部材3は、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって一方向に付勢するばね部材とすることができる。なお、作動部材は、第1の回転位置から第2の回転位置に向かってジョイント部材2を回転させることが可能な、モータ等を用いたアクチュエータとすることもできる。
【0027】
ロック機構は、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、ジョイント部材2が第2の回転位置へ回転することを規制する。本実施形態では、ロック機構は、ロック部材4を備えており、ロック部材4によって、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、ジョイント部材2が第2の回転位置へ回転することを規制している。なお、後述する実施形態のように、ロック機構は必ずしもロック部材4を有している必要はない。本実施形態では、ロック部材4は、図4および図9に示されるように、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、ジョイント部材2が第2の回転位置(図11参照)に向かって回転しないように、ジョイント部材2をロックする。ロック部材4は、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、ジョイント部材2が第2の回転位置へ回転することを規制するロック位置(図4および図9参照)、および、ジョイント部材2が第1の回転位置と第2の回転位置との間で移動することを許容する退避位置(図10参照)に移動可能に構成されている。本実施形態では、ジョイント部材2が第2の回転位置にあるときに、ロック部材4は、後述するようにばね付勢されて、ロック位置に位置するように構成されている(図11参照)。また、ロック部材4は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置に移動する際に、ジョイント部材2から退避位置に向かう方向に押圧されるように構成されている(図12の二点鎖線参照)。これによりロック部材4はロック位置から退避位置へ移動するように構成されている。なお、ロック部材4は、ジョイント部材2が第2の回転位置にあるときに、ロック部材4は、ばね付勢されることで、ロック位置を越えて、ロック位置に対して退避位置とは反対側にさらに移動した前進位置に位置するように構成されていてもよい。ロック部材4が前進位置に位置する場合も、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置に移動する際に、ロック部材4は、ジョイント部材2に押圧されて、前進位置から退避位置へ移動され得る。
【0028】
ロック部材4のロック位置は、ロック部材4がジョイント部材2(延在部22)の旋回軌跡(第1の回転位置と第2の回転位置との間の旋回軌跡)に入り込んで、ジョイント部材2(延在部22)をロック可能な位置である。なお、「ロック部材4がロック位置に位置する」という用語は、ロック部材4が実際にジョイント部材2をロックしている状態(図4参照)だけでなく、ジョイント部材2をロックしていない(接触していない)が、ロック部材4がジョイント部材2をロックするときの位置と対応した位置にある状態(図11参照)も含む。なお、本実施形態では、ロック部材4のロック位置は、ロック部材4の一部(後述するロック部LC)が、第1の回転位置に位置するジョイント部材2の被ロック部221に対して、旋回軸X1を中心とした回転方向で一方側に位置するときのロック部材4の位置である。また、ロック部材4の前進位置は、ロック部材4がロック位置に対して、退避位置とは反対方向となる前進方向(図4における左方向)にさらに移動した位置である。例えば、ロック部材4をガイドするガイド部61(図4参照)が、ロック部材4をロック位置で停止する長さで設けられている場合には、ロック部材4はロック位置で停止する。一方、ガイド部61が、ロック部材4がロック位置を越えてさらに前進方向に移動できる長さで設けられている場合、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する際に、ロック部材4はロック位置で停止せずに、前進方向へさらに移動して前進位置へと移動し得る。
【0029】
ロック部材4の退避位置は、ロック部材4がジョイント部材2(延在部22)の旋回軌跡(第1の回転位置と第2の回転位置との間の旋回軌跡)から外れた位置である。より具体的には、退避位置は、ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置に向かって移動できるようになる、または、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置に向かって移動できるようになるロック部材4の位置である。なお、退避位置は、ロック部材4がジョイント部材2(延在部22)の旋回軌跡から外れた任意の位置とすることができる。例えば、退避位置は、ロック部材4がロック位置から移動して、ジョイント部材2が第1の回転位置と第2の回転位置との間で移動可能となった時点でのロック部材4の位置(アンロック完了位置。図10におけるロック部材4の位置)だけでなく、アンロック完了位置に対してさらに後退した位置(後退位置。図10における位置からさらに右側に移動した位置)も含む。
【0030】
なお、本明細書において、ロック部材4の移動方向について、退避位置からロック位置に向かう移動方向(図4における左方向)を前進方向と呼び、ロック部材4の退避位置からロック位置に向かう方向の移動を前進と呼ぶ。また、ロック部材4の移動方向について、ロック位置から退避位置に向かう移動方向(図4における右方向)を後退方向と呼び、ロック部材4のロック位置から退避位置に向かう方向の移動を後退と呼ぶ。また、前進方向および後退方向をまとめて進退方向と呼び、前進および後退をまとめて進退と呼ぶ。なお、本実施形態では、ロック部材4は直線経路に沿って進退するように構成されているが、ロック部材4は湾曲した経路に沿って進退してもよい。また、ジョイント部材2に対するロック部材4の移動方向は、特に限定されない。本実施形態では、ロック部材4は、第1の回転位置に位置するジョイント部材2の旋回軸X1と先端部22aを結ぶ方向に沿って直線移動するように構成されている。
【0031】
本実施形態では、ロック部材4は、図4に示されるように、ロック部材4を直線状にガイドする、ハウジング6に設けられたガイド部61に配置されている。本実施形態では、ガイド部61のガイド壁61a、61bは、図4に示されるように、ジョイント部材2が第1の回転位置にあるときに、延在部22の旋回軸X1と先端部22aを結ぶ方向と略平行に延びている。
【0032】
ロック部材4のロック位置への移動手段は特に限定されないが、本実施形態では、ロック部材4は、図4に示されるように、退避位置からロック位置に向かってばね付勢されている。具体的には、ロック部材4は、図4および図8に示されるように、ロック用ばね部材SPによって、ロック位置に向かって付勢されることで前進可能となっており、後述するように、動力伝達部521から力を受けることで、ロック用ばね部材SPの付勢力に抗して、退避位置へと後退可能となっている。
【0033】
ロック用ばね部材SPの形状および構造は、ロック部材4に対してロック位置に向かう方向の付勢力を加えることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ロック用ばね部材SPは、図4および図8に示されるように、ロック部材4の進退方向に沿って延びるコイルばねである。図4および図8に示されるように、ロック用ばね部材SPの一端は、ハウジング6に接続され、ロック用ばね部材SPの他端は、ロック部材4に接続されている。
【0034】
ロック部材4の構造は、ロック位置と退避位置との間で進退可能であり、第1の回転位置にあるジョイント部材2をロックすることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ロック部材4は、詳細は後述するが、図4および図6に示されるように、ジョイント部材4をロックするロック部LCと、ジョイント部材2によって押圧される第1被押圧部P1と、回転体52の動力伝達部521によって押圧される第2被押圧部P2とを備えている。
【0035】
ロック部LCは、第1の回転位置に位置するジョイント部材2をロックする部位である。具体的には、ロック部LCは、図4および図9に示されるように、第1の回転位置に位置するジョイント部材2の被ロック部221に対して、旋回軸X1を中心とした回転方向で一方側に位置付けられたロック位置に位置することによって、被ロック部221に係合する。本実施形態では、ロック部LCは、ロック部材4の進退方向と、旋回軸X1の延在方向に平行な方向とを含む面に沿って延びている。ロック部LCは、ロック部LCに対向する面によって構成された被ロック部221と面接触して係合する。なお、本実施形態では、ロック部LCに対して被ロック部221から加わる力は、後述するロック部材本体41の側壁4bがハウジング6のガイド壁61bに当接することによって支持される。
【0036】
第1被押圧部P1は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置へと回転する際に、ジョイント部材2と当接して押圧される部位である(図12参照)。第1被押圧部P1がジョイント部材2によって押圧されることで、ロック部材4がロック位置から退避位置へと移動して、ジョイント部材2が第1の回転位置に到達することが可能となる(図12の二点鎖線参照)。本実施形態では、第1被押圧部P1は、ジョイント部材2の押圧部223と当接し、押圧部223からロック部材4が退避位置に移動する方向の力を受ける。より具体的には、第1被押圧部P1は、図4および図12に示されるように、ジョイント部材2が旋回軸X1を中心とした回転方向で他方に回転したときに、押圧部223から加わる力が、ロック部材4が後退する力へと変換されるような傾斜面によって構成されている。
【0037】
第2被押圧部P2は、ロック部材4がロック位置に位置するときに、動力伝達部521の回転軌跡上に位置付けられ、回転体52が回転することで動力伝達部521によって押圧されるように構成されている(図10参照)。第2被押圧部P2が動力伝達部521に押圧されることで、ロック部材4はロック位置から退避位置へと移動する。これにより、後述するように、ジョイント部材2のロック部材4によるロックが解除され、ジョイント部材2は、作動部材3によって第1の回転位置から第2の回転位置へ移動することが可能となる。
【0038】
ロック部材4の形状は、ロック位置と退避位置との間で移動可能であり、第1の回転位置にあるジョイント部材2をロックすることができれば、特に限定されない。本実施形態では、図6および図8に示されるように、ロック部材4は、ロック部LCおよび第1被押圧部P1を有する部分であるロック部材本体41と、ロック部材本体41に対して旋回軸X1の延在方向で一方側に設けられた被ガイド部42と、ロック部材本体41に対して旋回軸X1の延在方向で他方側に突出し、第2被押圧部P2を有するロック部材突出部43とを備えている。
【0039】
ロック部材本体41は、本実施形態では、図6に示されるように、第1の回転位置に位置するジョイント部材2の先端部22aに対向する対向面411と、対向面411に対して前進方向に突出した前方突部412とを有している。本実施形態では、前方突部412は、前進方向に向かうにつれて、先細となるように構成されている。前方突部412は、ロック部材本体41の幅方向(後述する一対の側壁4a、4b(図4参照)を繋ぐ方向)の一方側(側壁4b側)において前進方向に突出している。本実施形態では、前方突部412にロック部LCおよび第1被押圧部P1が設けられている。具体的には、ロック部LCは、図4および図6に示されるように、前方突部412のうち、対向面411に垂直に前進方向に延びる、被ロック部221に対向する面によって構成されている。また、第1被押圧部P1は、図4および図6に示されるように、前方突部412のうち、前進方向に進むにつれて、ロック部LCとの間の幅方向の距離が小さくなるように傾斜する傾斜面によって構成されている。
【0040】
なお、ロック部材本体41は、図8に示されるように、後述する動力伝達部521と干渉しないように、回転体52の端面52aから所定の距離(動力伝達部521の回転体52の端面52aからの突出量よりも大きい距離)で離間している。
【0041】
被ガイド部42は、ハウジング6のガイド部61にガイドされる部分である。本実施形態では、被ガイド部42だけでなく、ロック部材本体41の一部もガイド部61によってガイドされる。具体的には、ロック部材本体41および被ガイド部42のうち、ガイド部61のガイド壁61a、61bに対向する一対の側壁4a、4bが、ガイド壁61a、61bによってガイドされる(図4参照)。また、ロック部材本体41および被ガイド部42の後退方向側の端部には、ロック用ばね部材SPが接続される(図8参照)。
【0042】
ロック部材突出部43は、図6および図8に示されるように、ロック部材本体41の後退方向側から旋回軸X1の延在方向に突出している。より具体的には、ロック部材突出部43は、ロック部材本体41の幅方向の一方側(側壁4a側)において、回転体52の端面52aに向かって突出する壁部によって構成されている。本実施形態では、図6および図8に示されるように、ロック部材突出部43の前進方向側の面に第2被押圧部P2が設けられている。本実施形態では、第2被押圧部P2を有するロック部材突出部43は、図8に示されるように、ロック部材本体41から回転体52の端面52aに向かって、動力伝達部521と旋回軸X1の延在方向で重なる位置まで突出している。これにより、第2被押圧部P2は、旋回軸X1の延在方向で、動力伝達部521と当接可能な位置に位置付けられる。
【0043】
駆動機構5は、第2の回転位置に位置するジョイント部材2を、作動部材3による力に抗して第1の回転位置に回転させるように構成されている。本実施形態では、駆動機構5はさらに、ロック位置に位置するロック部材4を退避位置へと移動させるように構成されている。具体的には、駆動機構5は、図11および図12に示されるように、ジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置に回転させることで、ロック部材4をロック位置から退避位置へと一旦移動させる。ジョイント部材2が第1の回転位置まで移動すると、ロック部材4がロック位置へと戻ることで、ジョイント部材2が第1の回転位置でロックされる。
【0044】
また、駆動機構5は、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ロック部材4がロック位置に位置する際に、ジョイント部材2を第2の回転位置へと回転させるために、ロック部材4を退避位置に移動させる。具体的には、図9および図10に示されるように、ロック部材4によってジョイント部材2が第1の回転位置でロックされた状態において、ロック部材4を退避位置に移動させることで(図10参照)、ジョイント部材2のロックを解除し、ジョイント部材2の第2の回転位置への回転を可能にする。
【0045】
本実施形態では、駆動機構5は、図4に示されるように、駆動部51と、駆動部51の駆動力によって、回転軸X2まわりに一方向に回転する回転体52とを備えている。
【0046】
駆動部51は、回転体52を回転させる駆動力を発生させる。駆動部51の形状および構造は、回転体52を回転させる駆動力を発生させることが可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、駆動部51は、図4に示されるように、モータ51aと、伝動部材51b、51c、51dを備えている。
【0047】
モータ51aは、回転体52を回転軸X2まわりに回転させる駆動力を発生させる。本実施形態では、モータ51aの駆動力は、伝動部材51b、51c、51dを介して回転体52に伝達され、回転体52が回転軸X2まわりに回転する。本実施形態では、モータ51aは一方向(のみ)に回転し、回転体52を一方向(のみ)に回転させる。伝動部材51b、51c、51dは、モータ51aの駆動力を回転体52に伝達する。本実施形態では、伝動部材51b、51c、51dは、回転体52に駆動力を伝達するギヤである。
【0048】
回転体52は、回転軸X2まわりに回転して、後述するように、ジョイント部材2およびロック部材4を動作させるように構成されている。回転体52は、図4図7および図8に示されるように、回転体52の回転軸X2まわりの一方向への回転に伴って、回転軸X2まわりの所定の回転経路に沿って一方向に移動する動力伝達部521を備えている。
【0049】
回転体52の形状および構造は、回転軸X2まわりに回転して、ジョイント部材2およびロック部材4を動作させるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、回転体52は、図4および図7に示されるように、略円板状に構成されている。より具体的には、回転体52は、略円板状の回転体本体522と、回転体本体522の一方の端面52aから回転体52の回転軸X2の延在方向に突出する動力伝達部521とを備えている。また、回転体52は、検知部7を操作可能な検知部作動部53を備えている。
【0050】
回転体本体522は、回転軸X2まわりに一方向に回転するように構成されている。回転軸X2は、本実施形態では、旋回軸X1に対して略平行に設けられている。回転体本体522の外周には、伝動部材51dと噛み合うギヤを有している。回転体本体522は、本実施形態では、略円板状であるが、略扇状等、他の形状を有していてもよい。
【0051】
検知部作動部53は、検知部7と相互作用することで、検知部7によって、検知部作動部53の回転軸X2まわりでの位置を検知することを可能にする。検知部7および検知部作動部53の相互作用によって得られた検知情報により、回転体52の動力伝達部521の位置を把握することができる。上述したように、検知部7および検知部作動部53の相互作用によって得られた検知情報は制御部に送信される。制御部は、検知情報に基づいて、駆動部51を停止させ、回転体52を所定の回転方向の位置で停止させることができる。なお、制御部は、検知部7および検知部作動部53の相互作用によって得られた検知情報が送信された時点で駆動部51を即座に停止させずに、所定期間の経過後に駆動部51を停止させてもよい(回転体52を暫く回転させた後に回転体52を停止させてもよい)。なお、上述したように、検知部作動部53の形状および構造は、検知部7と相互作用することで、検知部7によって、検知部作動部53の回転軸X2まわりでの位置を検知することが可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、検知部作動部53は、回転体52の端面52aに設けられた、カムによって構成されている。具体的には、検知部作動部53は、図4および図7に示されるように、回転体52の端面52aの中央部分において回転軸X2の周囲に設けられ、回転軸X2まわりの一部から径方向外側に突出する検出用突部53aを有している。回転体52が回転軸X2まわりに回転し、図10に示されるように、検出用突部53aが検知部7の検出スイッチ部分と接触することで、回転体52の回転方向での相対位置が検知される。
【0052】
動力伝達部521は、回転体52の回転軸X2まわりの一方向の回転によって、回転軸X2を中心とした回転経路に沿って一方向に移動する(図9図12参照)。本実施形態では、動力伝達部521は、回転軸X2まわりに回転する際に、ジョイント部材2およびロック部材4と相互作用する。具体的には、動力伝達部521は、図9および図10に示されるように、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ロック部材4がロック位置に位置する際に、動力伝達部521が一方向に回転することで、ロック部材4をロック位置から退避位置へと移動させる。これにより、ロック部材4によるジョイント部材2のロックを解除し、作動部材3によってジョイント部材2を第2の回転位置へと回転させることが可能となる。また、動力伝達部521は、図11および図12に示されるように、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する際に、回転軸X2まわりで一方向に回転することで、ジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置に移動させる。
【0053】
動力伝達部521の形状および構造は、回転軸X2まわりに回転する際に、ジョイント部材2およびロック部材4と上述した相互作用をするように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、動力伝達部521は、図7および図8に示されるように、回転体52の厚さ方向で一方の端面52aから突出する突出部によって構成されている。本実施形態では、動力伝達部521は、円柱状に形成されているが(図7参照)、角柱状、平板状等、他の形状を有していてもよい。動力伝達部521は、本実施形態では、ジョイント部材2の当接部222およびロック部材4の第2被押圧部P2に当接するように、回転体52の一方の端面52aから所定の長さで突出している。なお、動力伝達部521は、ジョイント部材2の被ロック部221およびロック部材4の第1被押圧部P1には到達しない突出量で突出しており(図8参照)、被ロック部221および第1被押圧部P1には干渉しない。本実施形態では、動力伝達部521は、図7に示されるように、回転体52に1つのみ設けられているが、動力伝達部521の数は特に限定されず、後述する他の実施形態のように2つ設けられていてもよく、3つ以上であってもよい。
【0054】
動力伝達部521の回転経路は、図9図12に示されるように、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置するときに、動力伝達部521がジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置まで移動させることができるように設定されている。また、動力伝達部521の回転経路は、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置するときに、動力伝達部521によりロック機構(本実施形態ではロック部材4)のロックが解除され、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置まで移動させることができるように設定されている(すなわち、ジョイント部材2が第1の回転位置に移動するときに、動力伝達部521がジョイント部材2の回転軌跡から外れる位置へと移動することで、ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置へ移動できるように、動力伝達部521の回転経路が設定されている)。より具体的には、本実施形態では、動力伝達部521の回転経路は、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置するときに、動力伝達部521がジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置まで移動させることができ、ロック部材4がロック位置に位置するときに、動力伝達部521がロック部材4をロック位置から退避位置まで移動させることができるように設定されている。本実施形態では、駆動部51によって回転体52を回転軸X2まわりで一方向に回転させることで、動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動する(図9図12参照)。この動力伝達部521の一方向への移動により、ジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置へと移動させることと(図11および図12参照)、ロック部材4をロック位置から退避位置へと移動させることと(図9および図10参照)の両方を可能にする。動力伝達部521によって、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置へと移動すると、図12に示されるように、ロック部材4がロック位置へと移動して、ジョイント部材2は、ロック用ばね部材SPによってロック位置に移動したロック部材4によりロックされる。これにより、リッドLは、ジョイント部材2の第1の回転位置に対応した状態(本実施形態では閉状態)で保持される。また、動力伝達部521の一方向への移動により、ロック部材4は、図9および図10に示されるように、ロック位置から退避位置へと移動し、ロック部材4によるジョイント部材2のロックが解除される。ジョイント部材2は、上述したように作動部材3によって、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって回転させる力を加えるように構成されているので、ジョイント部材2に接続されたリッドLは、ジョイント部材2の第2の回転位置に対応した状態(本実施形態では開状態)へと移動する。このように、回転体52の一方向の回転による動力伝達部521の一方向の移動によって、簡単な構造でリッドLを容易に開閉させることができる。
【0055】
以下、図9図12を用いて、リッドLの開閉操作について、より詳細に説明する。なお、図9図12においては、理解を容易にするため、回転体52を一点鎖線で示し、駆動部51の図示を省略している。
【0056】
まず、図9に示される、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2がロック部材4にロックされた状態から、ジョイント部材2のロックが解除され、ジョイント部材2が第2の回転位置に移動する際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)からリッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2がロック部材4にロックされた状態(図9参照)において、例えば、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転することに伴って、動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動する。動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動すると、動力伝達部521がロック部材4の第2被押圧部P2に接触する(図9の二点鎖線参照)。動力伝達部521がロック部材4の第2被押圧部P2に接触した状態でさらに回転体52が一方向に回転すると、図10に示されるように、ロック部材4の第2被押圧部P2が動力伝達部521によって押圧される。これにより、ロック部材4は、ロック用ばね部材SPの付勢力に抗してロック位置から退避位置へと移動する。
【0057】
ロック部材4が図10に示される退避位置に移動すると、ジョイント部材2とロック部材4との係合が解除され、ジョイント部材2は第1の回転位置から第2の回転位置へと回転することが可能となる。具体的には、ロック部材4が退避位置に移動することで、ロック部材4のロック部LCが、ジョイント部材2の被ロック部221に対して後退方向に移動して、被ロック部221と対向した位置から外れる。これにより、ロック部材4がジョイント部材2の回転軌跡から外れて、ジョイント部材2は第1の回転位置から第2の回転位置に移動することが可能となる(図10の二点鎖線参照)。本実施形態では、ジョイント部材2は、ばねである作動部材3によって、第1の回転位置から第2の回転位置へと付勢されている。そのため、ロック部材4が退避位置に移動すると、ジョイント部材2は作動部材3の付勢力によって第2の回転位置へと移動する。ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置に回転すると、ジョイント部材2に接続されたリッドLは閉鎖状態から開放状態へと移動して、リッドLが開放する。なお、図10に示される状態において、回転体52の検知部作動部53が検知部7を操作した状態となっており、図示しない制御部によって駆動部51が停止され、回転体52の回転は停止している。
【0058】
つぎに、図11および図12を用いて、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置した状態から第1の回転位置に移動して、ジョイント部材2がロック部材4にロックされる際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)からリッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。なお、本実施形態では、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置し、動力伝達部521がロック部材4と接触しない位置に位置する場合、ロック部材4はロック位置(またはロック位置に対して前進方向の位置となる前進位置)に位置する(図11参照)。
【0059】
ジョイント部材2が、図11に示される第2の回転位置に位置した状態において、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転すると、動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動する。動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動すると、図11に示されるように、動力伝達部521がジョイント部材2(当接部222)と接触する。動力伝達部521とジョイント部材2とが接触した状態でさらに回転体52が一方向に回転すると、ジョイント部材2が動力伝達部521によって押圧され、ジョイント部材2は第2の回転位置から第1の回転位置に向かって移動する(図12参照)。具体的には、動力伝達部521がジョイント部材2の当接部222に当接し、動力伝達部521から当接部222に対して、ジョイント部材2を旋回軸X1まわりで他方に回転させる力が加わる。これにより、ジョイント部材2は、作動部材3の付勢力に抗して第1の回転位置に向かって回転する。ジョイント部材2が旋回軸X1まわりで他方に所定量回転すると、ジョイント部材2は、ロック位置(または前進位置)に位置するロック部材4に当接する。
【0060】
ジョイント部材2がロック部材4に当接した後、ジョイント部材2がさらに旋回軸X1まわりで他方に回転すると、ロック部材4の第1被押圧部P1がジョイント部材2の押圧部223によって押圧される。これにより、ロック部材4が退避位置に移動する(図12の二点鎖線参照)。ロック部材4が退避位置に移動した状態で、ジョイント部材2がさらに第1の回転位置に向かって、旋回軸X1まわりで他方に回転すると、ジョイント部材2が第1の回転位置に到達する。ジョイント部材2が第1の回転位置に到達すると、ロック部材4はロック用ばね部材SPの付勢力によって、ロック位置に向かって移動する。これにより、ジョイント部材2の被ロック部221にロック部材4のロック部LCが係合し、ジョイント部材2が第1の回転位置でロックされる(図9参照)。したがって、ジョイント部材2に接続されたリッドLは、閉鎖状態でロックされる。この際、回転体52の検知部作動部53は検知部7を操作した状態に位置することで、制御部によって駆動部51が停止され、回転体52の回転は停止している。
【0061】
以上のように、本実施形態のリッド開閉装置1は、リッドLの開放時および閉鎖時の両方において、回転体52の一方向(のみ)の回転に伴う、動力伝達部521の一方向(のみ)の回転移動によって、異なる部材であるジョイント部材2およびロック部材4を共に操作することができる。そのため、本実施形態のリッド開閉装置1は、非常に簡単な構成でリッドLを開閉することができる。
【0062】
<第2実施形態>
つぎに、第2実施形態のリッド開閉装置について、図13図24を用いて説明する。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態と共通する事項についての説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態で説明した事項の全ては、発明の目的を達成できる限りにおいて、第2実施形態のリッド開閉装置に適用することができ、本実施形態の構成と、第1実施形態で説明した内容とを組み合わせて用いることができる。また、第1実施形態で説明した構成により得られる効果は、当該構成を有している限り、第2実施形態においても得ることができる。
【0063】
第2実施形態のリッド開閉装置1は、図13および図14に示されるように、ジョイント部材2と、作動部材3(図13においては図示せず。図2参照)と、ロック部材4と、駆動機構5と、ハウジング6とを備えている。駆動機構5は、駆動部51と、回転体52とを備えている。第2実施形態のリッド開閉装置1は、第1実施形態と基本的に同様の動作を行う。具体的には、駆動部51が駆動されると、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転する。回転体52が一方向に回転すると、後述する動力伝達部(第1動力伝達部521a、第2動力伝達部521b)によって、ジョイント部材2およびロック部材4が操作され、ジョイント部材2が第1の回転位置および第2の回転位置の間で移動することで(図19図24参照)、リッドLが開閉される。
【0064】
本実施形態では、ロック部材4は、図14および図16に示されるように、ロック部LCと、第1被押圧部P1と、第2被押圧部P2とを備えているが、第1実施形態とは、ロック部材4の形状が異なっている。本実施形態では、ロック部材4は、図16に示されるように、略直方体状のロック部材本体41と、ロック部材本体41の旋回軸X1の延在方向の一方側に設けられた被ガイド部42と、ロック部材本体41の旋回軸X1の延在方向の他方側に設けられた略直方体状のロック部材突出部43とを備えている。
【0065】
本実施形態では、ロック部LCは、ロック部材4(ロック部材本体41)の側壁4aに設けられている(図14参照)。この場合、ロック部LCがジョイント部材2のロック機能と、ロック部材4のロック位置と退避位置との間のガイド機能との両方を有している。したがって、ロック部材4の構造を簡素化することができる。また、第1被押圧部P1は、図14および図16に示されるように、ロック部材4(ロック部材本体41)の前端(前進方向の端面)に設けられている。また、第2被押圧部P2は、図14および図16に示されるように、ロック部材突出部43の前端(前進方向の端面)に設けられている。
【0066】
また、本実施形態では、ロック部材4は、図14図16および図18に示されるように、ハウジング6のガイド部61に対して取り付け可能なガイドレール部材8を介して、ガイド部61に取り付けられている。ガイドレール部材8は、図16に示されるように、ロック部材4(被ガイド部42)の一対の側壁4a、4bにおいて、進退方向に沿って延びるガイド溝42aに収容される一対のレール部8a、8bと、一対のレール部8a、8bを連結する連結部8cとを備えている。ガイドレール部材8は、本実施形態では、略U字状に形成されているが、ガイドレール部材8の形状は特に限定されない。ガイドレール部材8は、ガイド部61に嵌合(圧入)されるように構成されており(図18参照)、一対のレール部8a、8bおよび連結部8cのいずれかまたは全てに、ガイド部61を構成する壁部と係合する係合突部Eを備えている。ロック部材4をハウジング6に取り付ける際には、ロック部材4のガイド溝42aにガイドレール部材8のレール部8a、8bを収容した状態(図16参照)で、ロック部材4、ロック用ばね部材SPおよびガイドレール部材8を、ガイド部61に圧入する。これにより、ロック部材4、ロック用ばね部材SPおよびガイドレール部材8をハウジング6に対して容易に取り付けることができる。
【0067】
ガイドレール部材8のレール部8a、8bは、ロック部材4のロック位置および退避位置との間の移動の際に、ロック部材4がガイド部61の底面BT(図18参照)から浮き上がることを抑制することもできる。具体的には、ロック用ばね部材SPが圧縮され、ロック用ばね部材SPがいびつな変形をした場合に、ロック用ばね部材SPからロック部材4に対して、ガイド部61の底面BTから離れる方向(図18における上方向)に浮き上がる力を受けることがある。この場合に、ロック部材4のガイド溝42aが、ガイドレール部材8のレール部8a、8bに係合することで、ロック部材4が底面BTから離れる方向の移動が規制され、ロック部材4の浮き上がりを防止することができる。なお、第1実施形態のリッド開閉装置1において、ガイドレール部材8は設けられていないが、第1実施形態のリッド開閉装置1にガイドレール部材8が設けられていてもよい。
【0068】
本実施形態では、回転体52は、図14図17図19図24に示されるように、複数の突出部によって構成された複数の動力伝達部521a、521bを備えている。詳細は後述するが、本実施形態では、回転体52が複数の動力伝達部521a、521bを備えていることによって、ジョイント部材2に対して複数の動力伝達部521a、521bから力が加わることで、駆動部51からジョイント部材2への力の伝達効率が向上する。動力伝達部の数は特に限定されないが、本実施形態では、図14および図17に示されるように、動力伝達部は、第1動力伝達部521aと、第1動力伝達部521aに対して回転軸X2まわりで他方向に離間して設けられた第2動力伝達部521bとを備えている。また、本実施形態では、ジョイント部材2の延在部22に設けられた当接部222は、図14および図15に示されるように、第1動力伝達部521aに当接する第1当接部222aと、第2動力伝達部521bに当接する第2当接部222bとを備えている。
【0069】
なお、本実施形態では、第1動力伝達部521aと第2動力伝達部521bとを1セットの動力伝達機構Mとした場合(図14および図17参照)、回転体52は、複数セットの動力伝達機構M(本実施形態では、回転軸に対称な位置に配置された2セットの動力伝達機構M)を有している。回転体52が複数セットの動力伝達機構Mを有している場合、第1実施形態において、回転体52が一回転することで行うリッドLの開閉動作(開動作または閉動作)を、1セットの動力伝達機構Mによって行うことで、回転体52が一回転したときに、リッドLの開閉動作(開動作または閉動作)を複数回行うことができる。言い換えると、回転体52が複数セットの動力伝達機構Mを有している場合、1のリッドLの開閉動作(開動作または閉動作)に必要な回転体52の回転角度を小さくすることができる。なお、1つの動力伝達機構Mを構成する動力伝達部の数は、本実施形態では2つであるが、3つ以上であってもよい。また、本実施形態では、図14および図17に示されるように、検知部作動部53は、複数セットの動力伝達機構Mの数に応じた複数の検出用突出部53aを有している。複数セットの動力伝達機構Mのそれぞれによる、リッドLの開閉動作が完了したときに、検知部7および検知部作動部53によって、駆動部51を停止させ、回転体52を停止させることが可能となる。
【0070】
第1動力伝達部521aは、回転体52の回転軸X2まわりの一方向の回転によって、回転軸X2を中心とした回転経路に沿って一方向に移動する。第1動力伝達部521aは、第2動力伝達部521bとともにジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置へと移動させる。
【0071】
第1動力伝達部521aは、図17に示されるように、回転体52の厚さ方向で一方の端面52aから突出する突出部によって構成されている。本実施形態では、第1動力伝達部521aは、円柱状に形成されているが、角柱状、平板状等、他の形状を有していてもよい。第1動力伝達部521aは、本実施形態では、図18に示されるように、ジョイント部材2の第1当接部222aに当接するように、回転体52の一方の端面52aから所定の長さで突出している。なお、本実施形態では、第1動力伝達部521aは、ロック部材4とは相互作用しないように構成されている。具体的には、第1動力伝達部521aは、図18に示されるように、ロック部材4の第2被押圧部P2に接触しない高さで、回転体52の端面52aから突出している。これにより、第1動力伝達部521aは、ロック部材4がロック位置に位置していても、ロック部材4と干渉せずに、回転体52の回転軸X2の延在方向で、ロック部材4と回転体52の端面52aとの間の空間を通過するように構成されている。
【0072】
第2動力伝達部521bは、回転体52の回転軸X2まわりの一方向の回転によって、回転軸X2を中心とした回転経路に沿って一方向に移動する。第2動力伝達部521bは、第1実施形態の動力伝達部521と同様に、回転軸X2まわりに回転する際に、ジョイント部材2およびロック部材4と相互作用する。具体的には、第2動力伝達部521bは、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ロック部材4がロック位置に位置する際に、第2動力伝達部521bが回転軸X2まわりで一方向に回転することで、図19および図20に示されるように、ロック部材4をロック位置から退避位置へと移動させる。これにより、ロック部材4によるジョイント部材2のロックを解除し、作動部材3によってジョイント部材2を第2の回転位置へと回転させることが可能となる。また、第2動力伝達部521bは、図21図24に示されるように、回転軸X2まわりで一方向に回転することで、第1動力伝達部521aとともに、ジョイント部材2を第2の回転位置から第1の回転位置に移動させる。
【0073】
第2動力伝達部521bは、図17に示されるように、回転体52の端面52aから突出する突出部によって構成されている。本実施形態では、第2動力伝達部521bは、円柱状に形成されているが、角柱状、平板状等、他の形状を有していてもよい。第2動力伝達部521bは、本実施形態では、図18に示されるように、ジョイント部材2の第2当接部222bおよびロック部材4の第2被押圧部P2に当接するように、回転体52の端面52aから所定の長さで突出している。なお、第2動力伝達部521bは、ジョイント部材2の被ロック部221およびロック部材4の第1被押圧部P1には到達しない突出量で突出しており、被ロック部221および第1被押圧部P1には干渉しない。第2動力伝達部521bの第1動力伝達部521aに対する大きさは特に限定されない。本実施形態では、図18に示されるように、第2動力伝達部521bの回転軸X2の延在方向の長さは、第1動力伝達部521aの回転軸X2の延在方向の長さよりも長い。また、第2動力伝達部521bの外径は、第1動力伝達部521aの外径よりも大きい。
【0074】
第2動力伝達部521bは、第1動力伝達部521aに対して回転軸X2まわりで他方向(図14における時計方向側)に離間して設けられている。これにより、後述するように、回転部52が回転軸X2まわりで一方向に回転する際に、第1動力伝達部521aが第1当接部222aに先に接触し、その後に第2動力伝達部521bが第2当接部222bに当接する(図21図24参照)。また、本実施形態では、第2動力伝達部521bは、第1動力伝達部521aに対して、回転軸X2からの距離が遠くなる位置に設けられている。
【0075】
本実施形態では、ジョイント部材2は、図14および図15に示されるように、第1当接部222aおよび第2当接部222bを有している。第1当接部222aは第1動力伝達部521aに当接して押圧される部位であり、第2当接部222bは、第2動力伝達部521bに当接して押圧される部位である。
【0076】
本実施形態では、図21図24に示されるように、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転して、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動するまでの間に、第1動力伝達部521aと第1当接部222aとが当接した状態から、第2動力伝達部521bと第2当接部222bとが当接した状態へと遷移するように構成されている。具体的には、回転部52が回転軸X2まわりで一方向に回転する際に、第1当接部222aが第1動力伝達部521aによって押圧され(図21および図22参照)、その後に、第2当接部222bが第2動力伝達部521bによって押圧される(図23および図24参照)。さらに具体的には、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動する移動過程のうち初期段階(ジョイント部材2が第2の回転位置の近傍に位置する段階。図21および図22参照)では、第1当接部222aが第1動力伝達部521aによって押圧され、第2当接部222bは第2動力伝達部521bと当接していない。また、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動する過程のうち後期段階(ジョイント部材2が第1の回転位置の近傍に位置する段階。図23および図24参照)では、第2当接部222bが第2動力伝達部521bによって押圧され、第1当接部222aは第1動力伝達部521aと当接していない。このように、第1動力伝達部521aと第1当接部222aとが当接した状態から、第2動力伝達部521bと第2当接部222bとが当接した状態へと遷移することで、回転体52の回転に伴って、動力伝達部521から当接部222に加わる力の伝達効率の低減を抑制することができる。以下、この点について、動力伝達部が1つである参考例を示す図25を用いて説明する。
【0077】
図25の実線に示されるように、動力伝達部521が当接部222に接触した状態で、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転すると、ジョイント部材2の当接部222には、動力伝達部521の中心と回転軸X2とを結ぶ方向に対して略垂直な方向(動力伝達部521の回転方向)に力Fが加わる。図25の実線に示される状態においては、当接部222は、力Fの大部分がジョイント部材2を旋回軸X1まわりに回転させる力として利用される。一方、図25の二点鎖線に示されるように、ジョイント部材2が実線に示される状態から旋回軸X1まわりに所定量旋回すると、当接部222と、力Fとの間の角度が変化する。具体的には、図25の二点鎖線に示されるように、力Fは当接部222の表面と平行な方向に近付いて、ジョイント部材2を旋回軸X1まわりに回転させるのに用いられる力Fの分力は小さくなる。これに対して、本実施形態では、図21図24に示されるように、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動するまでの間に、第1動力伝達部521aと第1当接部222aとが当接した状態から、第2動力伝達部521bと第2当接部222bとが当接した状態へと遷移するように構成されている。これにより、第1動力伝達部521aから第1当接部222aに加わる力の伝達効率が低下したとしても、第2動力伝達部521bが第2当接部222bと当接することで、回転体52の動力伝達部521からジョイント部材2に伝わる力の伝達効率の低減を抑制することができる。
【0078】
なお、第1当接部222aおよび第2当接部222bの形状および構造は、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置まで移動するまでの間に、第1動力伝達部521aと第1当接部222aとが当接した状態から、第2動力伝達部521bと第2当接部222bとが当接した状態へと遷移するように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、図14に示されるように、旋回軸X1の延在方向に見たときに、第2動力伝達部521bに当接する当接面を有する第2当接部222bは、第1動力伝達部521aに当接する当接面を有する第1当接部222aに対して、所定の角度で傾斜して設けられている。より具体的には、図14に示されるように、第1当接部222aと第2当接部222bとが、旋回軸X1の延在方向に見たときに略V字状に配置されている。
【0079】
本実施形態では、ジョイント部材2が第2の回転位置にあるときに、第1動力伝達部521aが第1当接部222aに当接した時点(図21の二点鎖線参照)での、回転軸X2と第1動力伝達部521aの軸心とを結ぶ線に対して垂直な線LN1(図21参照)と、第1当接部222aの当接面とがなす角θ1が、60°≦θ1≦120°であることが好ましい。この場合、第1動力伝達部521aが第1当接部222aに当接した時点から所定の期間、第1動力伝達部521aから第1当接部222aに加わる力の伝達効率を高くすることができる。
【0080】
また、本実施形態では、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置までの間で、第2動力伝達部521bが第2当接部222bに当接した時点(図23参照)での、回転軸X2と第2動力伝達部521bの軸心とを結ぶ線に対して垂直な線LN2(図23参照)と、第2当接部222bの当接面とがなす角θ2が、60°≦θ2≦120°であることが好ましい。この場合、第2動力伝達部521bが第2当接部222bに当接した時点から所定の期間、第2動力伝達部521bから第2当接部222bに加わる力の伝達効率を高くすることができる。上記θ1およびθ2がともに上述した範囲とされる場合、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置に到達するまでの間で、1つの動力伝達部を用いる場合と比較して、平均的な力の伝達効率を飛躍的に向上させることができる。
【0081】
以下、図19図24を用いて、リッドLの開閉操作について、より詳細に説明する。なお、図19図24においては、理解を容易にするため、回転体52を一点鎖線で示し、駆動部51の図示を省略している。
【0082】
まず、図19に示される、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2がロック部材4にロックされた状態から、ジョイント部材2のロックが解除され、ジョイント部材2が第2の回転位置に移動する際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)からリッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2がロック部材4にロックされた状態(図19参照)において、例えば、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転すると、第1動力伝達部521aおよび第2動力伝達部521bが回転軸X2まわりで一方向に移動する。第1動力伝達部521aおよび第2動力伝達部521bが回転軸X2まわりで一方向に移動すると、第2動力伝達部521bがロック部材4の第2被押圧部P2に接触する(図19の二点鎖線参照)。第2動力伝達部521bがロック部材4の第2被押圧部P2に接触した状態でさらに回転体52が一方向に回転すると、図20に示されるように、ロック部材4の第2被押圧部P2が第2動力伝達部521bによって押圧される。これにより、ロック部材4は、ロック用ばね部材SPの付勢力に抗してロック位置から退避位置へと移動する。
【0083】
ロック部材4が図20に示される退避位置に移動すると、ジョイント部材2とロック部材4との係合が解除され、ジョイント部材2は第1の回転位置から第2の回転位置へと回転することが可能となる。具体的には、ロック部材4が退避位置に移動することで、ロック部材4のロック部LCが、ジョイント部材2の被ロック部221に対して後退方向に移動して、被ロック部221と対向した位置から外れる。これにより、ロック部材4がジョイント部材2の回転軌跡から外れて、ジョイント部材2は第1の回転位置から第2の回転位置に移動することが可能となる(図20の二点鎖線参照)。本実施形態では、ジョイント部材2は、ばねである作動部材3によって、第1の回転位置から第2の回転位置へと付勢されている。そのため、ロック部材4が退避位置に移動すると、ジョイント部材2は作動部材3の付勢力によって第2の回転位置へと移動する。ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置に回転すると、ジョイント部材2に接続されたリッドLは閉鎖状態から開放状態へと移動して、リッドLが開放する。なお、図20に示される状態において、回転体52の検知部作動部53が検知部7を操作した状態となっており、図示しない制御部によって駆動部51が停止され、回転体52の回転は停止している。
【0084】
つぎに、図21図24を用いて、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置した状態から第1の回転位置に移動して、ジョイント部材2がロック部材4にロックされる際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)からリッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。
【0085】
ジョイント部材2が、図21に示される第2の回転位置に位置した状態において、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転することに伴って、第1動力伝達部521aおよび第2動力伝達部521bが回転軸X2まわりで一方向に移動する。第1動力伝達部521aおよび第2動力伝達部521bが回転軸X2まわりで一方向に移動すると、図21に示されるように、第1動力伝達部521aが第1当接部222aと接触する(図21の二点鎖線参照)。第1動力伝達部521aと第1当接部222aとが接触した状態でさらに回転体52が回転すると、ジョイント部材2が第1動力伝達部521aによって押圧され、ジョイント部材2は第2の回転位置から第1の回転位置に向かって移動する(図22参照)。具体的には、第1動力伝達部521aが第1当接部222aに当接し、第1動力伝達部521aから第1当接部222aに対して、ジョイント部材2を旋回軸X1まわりで他方に回転させる力が加わる。これにより、ジョイント部材2は、作動部材3の付勢力に抗して第1の回転位置に向かって所定量回転する。ジョイント部材2が所定量回転すると、図23に示されるように、第2動力伝達部521bが第2当接部222bに接触する。図22に示される状態から図23に示される状態までの間で、第1動力伝達部521aから第1当接部222aに加わる力の伝達効率は徐々に低下するが、第2動力伝達部521bから第2当接部222bに力が加わることで、伝達効率が向上した状態となる。この状態で、さらに回転体52が回転すると、第2当接部222bが第2動力伝達部521bに押圧され、ジョイント部材2が第1の回転位置に到達する。ジョイント部材2が第1の回転位置に到達すると、ロック部材4はロック用ばね部材SPの付勢力によって、ロック位置に向かって移動する。これにより、ジョイント部材2の被ロック部221にロック部材4のロック部LCが係合し、ジョイント部材2が第1の回転位置でロックされる(図24参照)。したがって、ジョイント部材2に接続されたリッドLは、閉鎖状態でロックされる。この際、回転体52の検知部作動部53は検知部7を操作した状態に位置することで、制御部によって駆動部51が停止され、回転体52の回転は停止している。
【0086】
以上のように、ジョイント部材2が第2の回転位置から第1の回転位置に移動する過程において、過程の第1段階において、第1当接部222aが第1動力伝達部521aによって押圧され、過程の第2段階において、第2当接部222bが第2動力伝達部521bによって押圧される。したがって、本実施形態では、第1実施形態で説明した効果に加えて、回転体52の一方向の回転時に、ジョイント部材2を押圧する部位を切り替えることで、回転体52からジョイント部材2に加わる力の伝達効率を高い状態で維持することができる。したがって、駆動部51の出力を上げたり、作動部材3やロック用ばね部材SPの付勢力を調整したりするなど、リッド開閉装置1の各部の調整や、構造を複雑化したりする必要がなくなる。
【0087】
<第3実施形態>
つぎに、第3実施形態のリッド開閉装置について、図26および図27を用いて説明する。なお、以下の説明において、上述した第1および第2実施形態と共通する事項についての説明は省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1および第2実施形態で説明した事項の全ては、発明の目的を達成できる限りにおいて、第3実施形態のリッド開閉装置に適用することができ、本実施形態の構成と、第1および第2実施形態で説明した内容とを組み合わせて用いることができる。また、第1および第2実施形態で説明した構成により得られる効果は、当該構成を有している限り、第3実施形態においても得ることができる。
【0088】
第3実施形態のリッド開閉装置1は、ロック部材が設けられていない点で第1および第2実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態では、ロック機構は、ロック部材によって構成されておらず、動力伝達部521によって構成されている(動力伝達部521が、ジョイント部材2に駆動部51の動力を伝達する動力伝達機能と、ジョイント部材2を第1の回転位置でロックするロック機構との両方を有している)。具体的には、ロック機構は、ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置へ回転することを規制することができる所定の位置に停止した動力伝達部521によって構成されている。上述したように、ジョイント部材2には、作動部材3によって、ジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって回転させる力が作用している。本実施形態では、作動部材3からジョイント部材2を回転させるこのような力が動力伝達部521に加わった際に、回転体52の回転が抑制されるような位置で動力伝達部521が停止するように構成されている。より具体的には、本実施形態では、第1の回転位置に位置するジョイント部材2の当接部222に対して略垂直(例えば、当接部222に対する角度が80~100°、好ましくは85~95°)に延びる、回転体52の回転軸X2を通る線LN3(図26参照)上で、動力伝達部521が停止するように構成されている。すなわち、回転体52の回転軸X2が、ジョイント部材2の当接部222に対して略垂直な線LN3上に位置し、かつ、駆動機構5が動力伝達部521を線LN3上の当接部222に当接可能な位置で、回転体52を停止させるように構成されている。この場合、作動部材3から加わる力に起因して、第1の回転位置に位置するジョイント部材2から動力伝達部521に力が加わったとしても、ジョイント部材2の当接部222から動力伝達部521に加わる力は、回転体52の回転軸X2に向かう方向となる。そのため、当接部222から動力伝達部521に加わる力は、回転体52の回転軸X2まわりの回転方向の成分が実質的にないか、小さくなる。したがって、作動部材3から加わる力によって回転体52が回転軸X2まわりに回転することが抑制され、ジョイント部材2が第1の回転位置で保持される。これにより、ロック部材を別途設けずとも、所定の位置で停止した動力伝達部521がロック機構として機能して、ジョイント部材2を第1の回転位置で保持することが可能となる。
【0089】
以下、図26および図27を用いて、リッドLの開閉操作について、より詳細に説明する。なお、図26および図27においては、理解を容易にするため、回転体52を一点鎖線で示し、駆動部51の図示を省略している。
【0090】
まず、図26に示される、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2が動力伝達部521にロックされた状態から、ジョイント部材2のロックが解除され、ジョイント部材2が第2の回転位置に移動する際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)からリッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。ジョイント部材2が第1の回転位置に位置し、ジョイント部材2が動力伝達部521にロックされた状態(図26参照)において、例えば、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転することに伴って、動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動する。動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動すると、動力伝達部521がジョイント部材2の回転軌跡から外れ(図26の二点鎖線参照)、ジョイント部材2は第1の回転位置から第2の回転位置へと回転することが可能となる。ジョイント部材2が第1の回転位置から第2の回転位置に回転すると、ジョイント部材2に接続されたリッドLは閉鎖状態から開放状態へと移動して、リッドLが開放する。
【0091】
つぎに、ジョイント部材2が第2の回転位置に位置した状態から第1の回転位置に移動して、ジョイント部材2が動力伝達部521にロックされる際の動作について説明する。この際の動作は、本実施形態では、リッドLの開放状態(ジョイント部材2が第2の回転位置に位置する状態)からリッドLの閉鎖状態(ジョイント部材2が第1の回転位置に位置する状態)となるまでの動作に対応する。
【0092】
ジョイント部材2が、図27に示される第2の回転位置に位置した状態において、図示しない操作スイッチ等が操作されることで、駆動部51が駆動される。駆動部51が駆動されて、回転体52が回転軸X2まわりで一方向に回転すると、動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動する。動力伝達部521が回転軸X2まわりで一方向に移動すると、図27の二点鎖線に示されるように、動力伝達部521がジョイント部材2(当接部222)と接触する。動力伝達部521とジョイント部材2とが接触した状態でさらに回転体52が一方向に回転すると、ジョイント部材2が動力伝達部521によって押圧され、ジョイント部材2は第2の回転位置から第1の回転位置に向かって移動する。具体的には、動力伝達部521がジョイント部材2の当接部222に当接し、動力伝達部521から当接部222に対して、ジョイント部材2を旋回軸X1まわりで他方に回転させる力が加わる。これにより、ジョイント部材2は、作動部材3の付勢力に抗して第1の回転位置に向かって回転する。ジョイント部材2が旋回軸X1まわりで他方に所定量回転して第1の回転位置に位置したときに、検知部7が検知部作動部53によって作動される。これにより、ジョイント部材2が第1の回転位置に位置した状態で、動力伝達部521が線LN3上の位置に配置されるように回転体52が停止する。これにより、第1の回転位置に位置するジョイント部材2は、動力伝達部521によって第2の回転位置に向かって移動することが抑制され、第1の回転位置で保持される。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。また、上記実施形態において、作動部材3がジョイント部材2を第1の回転位置から第2の回転位置に向かって一方向に付勢するばね部材である場合、リッドLの開放はばね部材の付勢力により行い、リッドLの閉鎖はモータの駆動力より行う。そのため、省エネルギー化することができ、また、両方向に付勢するばねを用いる場合と比べてばね部材の付勢力によるリッドの開作動を安定させることができる。従って、リッドLの開閉動作をスムーズにすることができる。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0094】
(1)リッドに直接的または間接的に接続され、第1の回転位置と第2の回転位置との間で旋回軸を中心軸として回転することで前記リッドを開閉させる、ジョイント部材と、
前記ジョイント部材に、前記ジョイント部材を第1の回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる力を加える、作動部材と、
前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置へ回転することを規制するロック機構と、
前記第2の回転位置に位置する前記ジョイント部材を、前記作動部材による力に抗して前記第1の回転位置に回転させるように構成された駆動機構と
を備えたリッド開閉装置であって、
前記駆動機構は、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力によって、回転軸まわりに一方向に回転する回転体と
を備え、
前記回転体は、前記回転体の前記回転軸まわりの一方向への回転に伴って、前記回転軸まわりの所定の回転経路に沿って一方向に移動する動力伝達部を備え、
前記動力伝達部の前記回転経路は、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部が前記ジョイント部材を前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動させることができ、
前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記動力伝達部によりロック機構のロックが解除され、前記ジョイント部材を前記第1の回転位置から前記第2の回転位置まで移動させることができるように設定されている、
リッド開閉装置。
【0095】
(2)前記ロック機構は、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置に位置するときに、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置へ回転することを規制するロック位置、および、前記ジョイント部材が前記第1の回転位置と前記第2の回転位置との間で移動することを許容する退避位置に移動可能なロック部材を備え、前記駆動機構は、前記ロック位置に位置する前記ロック部材を前記退避位置へと移動させるように構成され、
前記回転経路は、前記ロック部材が前記ロック位置に位置するときに、前記動力伝達部が前記ロック部材を前記ロック位置から前記退避位置まで移動させることができるように設定されている、(1)に記載のリッド開閉装置。
【0096】
(3)前記ジョイント部材は、前記旋回軸に沿って延びる軸部材と、前記軸部材に対して交差する方向に延びる延在部とを備え、
前記延在部は、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動する際に、前記動力伝達部と当接して、前記動力伝達部に押圧される当接部を有している、
(1)または(2)に記載のリッド開閉装置。
【0097】
(4)前記ロック部材は、前記退避位置から前記ロック位置に向かってばね付勢され、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置にあるときに、前記ロック部材は、ばね付勢されて、前記ロック位置に位置するか、または、前記ロック位置を越えて、前記ロック位置に対して前記退避位置とは反対側にさらに移動した前進位置に位置するように構成され、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置に移動する際に、前記ロック部材が、前記ジョイント部材から前記退避位置に向かう方向に押圧されて、前記ロック部材が前記ロック位置または前記前進位置から前記退避位置へ移動するように構成されている、
(1)~(3)のいずれか1つに記載のリッド開閉装置。
【0098】
(5)前記リッド開閉装置がさらに、前記回転体の回転位置を検知する検知部を備え、前記回転体は、前記検知部を操作可能な検知部作動部を備えている、(1)~(4)のいずれか1つに記載のリッド開閉装置。
【0099】
(6)前記回転体は略円板状に構成され、前記動力伝達部は、前記回転体の厚さ方向で一方の端面から突出する突出部によって構成されている、(1)~(5)のいずれか1つに記載のリッド開閉装置。
【0100】
(7)前記動力伝達部が複数の突出部によって構成されている、(1)~(6)のいずれか1つに記載のリッド開閉装置。
【0101】
(8)前記ジョイント部材は、前記旋回軸に沿って延びる軸部材と、前記軸部材に対して交差する方向に延びる延在部とを備え、
前記延在部は、前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動する際に、前記動力伝達部と当接して、前記動力伝達部に押圧される当接部を有し、
前記動力伝達部が、第1動力伝達部と、前記第1動力伝達部に対して前記回転軸まわりで他方向に離間して設けられた第2動力伝達部とを備え、
前記当接部が、前記第1動力伝達部に当接する第1当接部と、前記第2動力伝達部に当接する第2当接部とを備え、
前記ジョイント部材が前記第2の回転位置から前記第1の回転位置まで移動するまでの間に、前記第1動力伝達部と前記第1当接部とが当接した状態から、前記第2動力伝達部と前記第2当接部とが当接した状態へと遷移するように構成されている、(1)~(7)のいずれか1つに記載のリッド開閉装置。
【符号の説明】
【0102】
1 リッド開閉装置
2 ジョイント部材
21 軸部材
22 延在部
22a 先端部
221 被ロック部
222 当接部
222a 第1当接部
222b 第2当接部
223 押圧部
3 作動部材
4 ロック部材
4a、4b 側壁
41 ロック部材本体
411 対向面
412 前方突部
42 被ガイド部
42a ガイド溝
43 ロック部材突出部
5 駆動機構
51 駆動部
51a モータ
51b、51c、51d 伝動部材
52 回転体
52a 回転体の端面
521 動力伝達部
521a 第1動力伝達部
521b 第2動力伝達部
522 回転体本体
53 検知部作動部
53a 検出用突部
6 ハウジング
61 ガイド部
61a、61b ガイド壁
7 検知部
8 ガイドレール部材
8a、8b レール部
8c 連結部
B 基部
Ba 開口
Bb 本体部
Bc 給油口
BT ガイド部の底面
E 係合突部
F 力
L リッド
L1 リッド本体
L2 延伸体
L21 挿入部
LC ロック部
LN1 回転軸と第1動力伝達部の軸心とを結ぶ線に対して垂直な線
LN2 回転軸と第2動力伝達部の軸心とを結ぶ線に対して垂直な線
LN3 当接部に対して略垂直な線
M 動力伝達機構
P1 第1被押圧部
P2 第2被押圧部
SP ロック用ばね部材
ST 停止部
X1 ジョイント部材の旋回軸
X2 回転体の回転軸
θ1 回転軸と第1動力伝達部の軸心とを結ぶ線に対して垂直な線と、第1当接部の当接面とがなす角
θ2 回転軸と第2動力伝達部の軸心とを結ぶ線に対して垂直な線と、第2当接部の当接面とがなす角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27