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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111750
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】老化防止用皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9783 20170101AFI20240809BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240809BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 36/8994 20060101ALI20240809BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240809BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20240809BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240809BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
A61K8/9783
A61P17/00
A61Q19/00
A61K36/8994
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K36/185
A61K36/48
A61Q19/10
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016436
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】595134504
【氏名又は名称】株式会社テクノーブル
(71)【出願人】
【識別番号】505427632
【氏名又は名称】株式会社ランクアップ
(72)【発明者】
【氏名】羽田 容介
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】日高 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美絵
(72)【発明者】
【氏名】向井 亜矢子
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD272
4C083AD302
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC23
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
4C083FF01
4C088AB12
4C088AB59
4C088AB77
4C088AC04
4C088BA08
4C088CA25
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZA89
4C088ZC20
4C088ZC52
4C088ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】化粧料に配合可能な有効成分であって、新規な腫瘍壊死因子(TNF-α)分泌抑制剤、腫瘍壊死因子(TNF-β)分泌抑制剤、単球走化性タンパク質-3(MCP-3)分泌抑制剤、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)遺伝子発現抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物を有効成分とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含む腫瘍壊死因子(TNF-α)分泌抑制剤。
【請求項2】
ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含む腫瘍壊死因子(TNF-β)分泌抑制剤。
【請求項3】
ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含む単球走化性タンパク質-3(MCP-3)分泌抑制剤。
【請求項4】
ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含むマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)分泌及び活性の抑制剤。
【請求項5】
請求項1に記載された腫瘍壊死因子(TNF-α)分泌抑制剤を含む皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項2に記載された腫瘍壊死因子(TNF-β)分泌抑制剤を含む皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項3に記載された単球走化性タンパク質-3(MCP-3)分泌抑制剤を含む皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項4に記載されたマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1) (MMP1)分泌及び活性の抑制剤を含む皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞老化を誘導する因子の分泌を抑制する皮膚外用剤(化粧料等)用の有効成分に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞の老化に関する研究が行われ、老化した細胞からその周辺の細胞の老化を誘導する因子(炎症サイトカイン等)が分泌されることが知られている。これらは、細胞老化関連分泌現象(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)と呼ばれており、このSASP因子を抑えて、皮膚の老化を防止する皮膚外用剤(化粧料等)用の有効成分が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-145878号公報
【特許文献2】特開2010-138139号公報
【特許文献3】特開2009-249371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、安全性が高く、かつ、皮膚細胞の老化を抑制する新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の組み合わせが、SASP因子として知られている炎症因子(腫瘍壊死因子[TNF-α, TNF-β]及び単球走化性タンパク質-3 [MCP-3])、の分泌抑制、及び細胞外マトリックスであるコラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテアーゼ-1[MMP1]の分遺伝子発現を抑制することを見出した。
【0005】
従来、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物のそれぞれが、皮膚生理活性を有することは、例えば、上記特許文献1~3に開示されているが、これらの植物の発酵物及び抽出物の組み合わせが炎症因子(腫瘍壊死因子[TNF-α, TNF-β]及び単球走化性タンパク質-3 [MCP-3])の分泌抑制、及びマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)の遺伝子発現及び活性を抑制することについて知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含む腫瘍壊死因子(TNF-α)分泌抑制剤である。
【0007】
本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含むは腫瘍壊死因子(TNF-β)分泌抑制剤である。
【0008】
また、本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含む単球走化性タンパク質-3(MCP-3)分泌抑制剤である。
【0009】
また、本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物(固形分濃度比がハトムギ種子の発酵物:アッケシソウ抽出物:アスパラサスリネアリス抽出物=5.5~6.0:3.0~3.5:1)を含むマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)分泌及び活性の抑制剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ハトムギ種子の発酵物、アッケシソウ抽出物及びアスパラサスリネアリス抽出物の混合物を有効成分として含有することを特徴とし、当該本発明の有効成分が発揮する炎症因子(腫瘍壊死因子[TNF-α, TNF-β]及び単球走化性タンパク質-3 [MCP-3])の分泌抑制効果により、細胞の老化を誘導する炎症因子の分泌を抑制し、シワ又はシミ等の皮膚の老化を抑制する皮膚外用剤を提供することができる。また、本発明の有効成分は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1[MMP1]の分泌も抑制することから、コラゲナーゼ活性を抑制し、細胞内のコラーゲンの分解を抑えて、皮膚のハリと弾力を維持及び改善し、ツヤ及び透明感を向上させる皮膚外用剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る有効成分の腫瘍壊死因子(TNF-α)分泌抑制効果を示す図である。
図2】本発明に係る有効成分の腫瘍壊死因子(TNF-β)分泌抑制効果を示す図である。
図3】本発明に係る有効成分の単球走化性タンパク質-3(MCP-3)分泌抑制効果を示す図である。
図4】本発明に係る有効成分のマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)の遺伝子発現抑制効果を示す図である。
図5】本発明に係る有効成分のマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)活性抑制効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、「ハトムギ」とは、イネ科ジュズダマ属の植物であって、いずれの種のものでも良い。発酵に使用する部位としては、種子が好ましく、殻付きのもの及び殻を除いたもののいずれもが使用可能であり、さらに粒のままでも、粉砕又は破砕して得た粉末、或いはハトムギ種子の粒、粉末の高温・高圧処理物等のいずれであっても良い。
【0013】
ハトムギの発酵に用いる菌としては酵母の使用が好ましい。酵母としては、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayonus)等のサッカロミセス属の酵母が好ましい。
【0014】
本発明で用いるアッケシソウとは、アカザ科(Chenopodiaceae)アッケシソウ属(Salicornia)の植物であって、サンゴ草と呼ばれることもある。例えば、アッケシソウ、サリコルニア・ユーロパエア、サリコルニア・ビゲロヴィ、サリコルニア・ドリコスタキア・エスエスピー・ストリクティシマ等が挙げられる。また、抽出の使用部位としては、全草が好ましい。
【0015】
本発明で使用するアスパラサスリネアリス抽出物の素材として用いるアスパラサスリネアリスは、マメ科(Fabaceae)アスパラトゥス属(Aspalathus)に属する植物であって、非発酵で、緑色のもの(いわゆるグリーンルイボス)を使用するのが好ましい。また、抽出の使用部位としては、全草又は葉が好ましい。
【0016】
抽出物の調製は、まず、各植物の使用部位を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、抽出溶媒と接触させて抽出を行う。抽出は、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能である。
【0017】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の炭化水素系溶媒等が挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0018】
上述の抽出溶媒のうちでも、得られる抽出物の混合物の有効性、さらには、皮膚刺激性の観点から、また、皮膚外用剤(化粧品、医薬部外品等)への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては、水、低級アルコール類又は多価アルコール類等の親水性溶媒が好適である。この親水性溶媒を用いる場合の好ましい例としては、例えば、水、低級アルコール類(特にエタノール)、又は多価アルコール(特に、1,3-ブチレングリコール)の単独使用、或いは、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒、又は水と多価アルコール類(特に1,3-ブチレングリコール,グリセリン)との混合溶媒の使用等が挙げられるが、なかでも水単独、又は水と1,3-ブチレングリコールの混合溶媒が特に好ましい。
【0019】
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば、水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:1~20:1、水とエタノールとの混合溶媒であれば、1:1~25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:1~20:1の範囲とすることが好ましい。
【0020】
また、各植物の使用部位と抽出溶媒との重量比は、好ましくは1:1~1:50であり、より好ましくは、1:2~1:30である。
【0021】
抽出物溶液の調製に際して、そのpHに特に限定はないが、一般には3~9の範囲とすることが好ましい。かかる意味で、必要であれば、前記抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性調整剤、又はクエン酸、塩酸、リン酸、硫酸等の酸性調整剤を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0022】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水若しくは1,3-ブチレングリコール、又は水と1,3-ブチレングリコールとの混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃~80℃の範囲であり、より好ましく0℃~20℃の範囲であり、又抽出時間は好ましくは1~168時間(1時間~1週間)であり、より好ましくは1~120時間(1時間~5日間)の範囲である。
【0023】
本発明に係るハトムギ発酵物溶液の固形分濃度は発酵物溶液中、0.2重量%~5.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.3重量%~1.5重量%である。また、本発明に係るアッケシソウ抽出物溶液の固形分濃度は、抽出物中、0.2~5.0重量%が好ましく、より好ましくは、1.0重量%~3.0重量%である。また、アスパラサスリネアリス抽出物溶液の固形分濃度は、抽出物中、0.2重量%~5.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.8重量%~2.0重量%である。
【0024】
本発明においては、上述のように調製した発酵物溶液及び抽出物溶液を混合して化粧料に配合する組成物(以下「本組成物」という)として調製する。本組成物の固形分濃度は、0.8重量%~3.0重量%が好ましく、より好ましくは、0.4重量%~2.0重量%である。また、本組成物中のハトムギ発酵物溶液、アッケシソウ抽出物溶液及びアスパラサスリネアリス抽出物溶液の固形分濃度の比は、以下の示す使用感、保湿効果の観点から、5.5~6.0:3.0~3.5:1が好ましい。
【0025】
以上のように調製した本組成物は、pHを3~8に調製した上で、これをそのままの状態で化粧料の配合成分として使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、本組成物はスプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0026】
本組成物を化粧料に配合する場合は、組成物の固形分濃度として、0.01~10重量%以上配合することが好ましい。
【0027】
本組成物を化粧料に配合する際には、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、乳化剤又は乳化助剤、保湿剤、増粘剤、消炎剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、細胞賦活剤、抗アクネ剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料、その他の生理活性成分等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る組成物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて皮膚外用剤に配合することも何ら差し支えない。
【0028】
ここで、油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シア脂、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、ヘマトコッカス油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル(イソステアリン酸PG、ステアリン酸PG等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(イソステアリン酸PEG-8グリセリル、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-60グリセリル、ステアリン酸PEG-5グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル)、ポリエチレングリコールソルビタン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ジステアリン酸ポリグリセリル-3、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10)、ソルビタン脂肪酸エステル(イソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、オリーブ油脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン等)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸PEG-6ソルビタン等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(ステアリン酸PEG-5グリセリル、ポリオキシエチレングリセリンカプリル酸エステル等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(PEG-20水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油等)、ジメチコン類、高級脂肪酸塩(ラウリル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等)、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等が挙げられる。
【0030】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌発酵米、乳酸菌発酵発芽米、乳酸菌発酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0031】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸又はその塩若しくはその誘導体、ヒアルロン酸加水分解液、コンドロイチン又はその誘導体、ヘパリン又はその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル等が挙げられる。
【0032】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0033】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0034】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類等がある。
【0035】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0036】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0037】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0038】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0039】
抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0040】
美白剤としてが、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、ニコチン酸誘導体、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)から選択される1以上のものが挙げられる。
【0041】
レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2、5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2、5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、t-シクロアミノ酸誘導体、ソウハクヒ抽出物、カミツレ抽出物、米糠抽出物の加水分解物、ユキノシタ抽出物及び白芥子抽出物又はその加水分解物から選択される1以上のものが挙げられる。
【0042】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えば、コウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2、5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2、5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0043】
また、抗シワ剤として、ビタミンA又はその誘導体、ナイアシンアミド、ビタミンE又はその誘導体(酢酸トコフェロール等)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等)、パントテニルアルコール、トラネキサム酸等が挙げられる。
【0044】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、アブラナ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0045】
次に、製造例、試験例及び処方例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0046】
製造例1.ハトムギ発酵物溶液の調製
殻を除いたハトムギ種子50gを粉砕し、精製水950gを加えて懸濁液を調製し、加熱殺菌をした。この懸濁液にグルコアミラーゼ0.5g、パパイン0.5gを加えた得た後、酵母(サッカロミセス セレビシエ)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養数量後、加熱殺菌し、室温まで冷却後、ろ過してハトムギ種子発酵物溶液500gを得た(固形分濃度1.0%)。
【0047】
製造例2.アッケシソウ抽出物溶液の調製
アッケシソウ(Salicornia herbacea)の全草の乾燥細切物20gに精製水200gを加え、40℃で1時間抽出した。得られた抽出液をろ過して、褐色透明の抽出物溶液155g(固形分含量:2.00%)を得た。
【0048】
製造例3.アスパラサスリネアリス抽出物溶液の調製
マメ科アスパラトゥス属の植物であるアスパラサスリネアリス(Aspalathus linearis)の非発酵ルイボスの全草の乾燥物に100gに精製水と1,3-ブチレングリコール(7:3)の混合溶媒1000gを加え、80℃で2時間抽出後、不溶物を濾過で取り除き、暗褐色のグリーンルイボス抽出物1025g(固形分濃度1.50%)を得た。
【0049】
以上のように調製した製造例1の発酵物溶液、及び製造例2~3の抽出物溶液を、上述したように、最適な固形分濃度比、すなわち、ハトムギ発酵物溶液(製造例1):アッケシソウ抽出物溶液(製造例2):アスパラサスリネアリス抽出物溶液(製造例3)=5.5~6.0:3.0~3.5:1となるように混合調製し、当該混合物を本発明の組成物(組成物1)とした。
【0050】
試験例1.炎症因子抑制効果の評価試験
ヒト新生児由来線維芽細胞 [ドナー年齢0歳](NB1RGB)とヒト成人由来線維芽細胞[ドナー年齢69歳](NHDF)を0.5%NCSを含むイーグルMEM培地を用いて24well plate(IWAKI)に9×104cells/wellとなるように細胞を播種し、5%CO2下、37℃で一日間培養した。次に、終濃度0.5%BSAを含むイーグルMEM培地(日水製薬株式会社)に組成物1を溶液として最終濃度が1.0%となるように添加した試料溶液と、組成物1に代えて30%1,3-ブチレングリコールを同様の濃度で添加したコントロール(Control)溶液を調製し、各wellに追添加してさらに6日間培養した。この上清を用いてHuman Cytokine Antibody Array(42 Target 8memb) ab133997(アブカム)で解析を行なった。試験例1は、炎症因子として、TNF-α、TNF-β及びMCP-3の合成量を評価した。評価結果であるTNF-α、TNF-β及びMCP-3の合成率は、ヒト新生児由来線維芽細胞での合成量をコントロール(Control)として、その値を100としたときの成人由来線維芽細胞での合成量の相対値で示した。
【0051】
図1図3に示す通り、炎症因子(TNF-α、TNF-β及びMCP-3)は、成人由来線維芽細胞において新生児由来線維芽細胞と比較して顕著に分泌されること、また、本発明の組成物はそれら炎症因子の分泌を顕著に抑制することが確認された。これにより、本発明によれば、SASP因子の分泌を抑えて、他の細胞の老化を誘導するという連鎖的な現象を抑え、ひいてはシワ又はシミ等の皮膚の老化を抑制する効果を有する化粧料を提供することができる。
【0052】
試験例4.MMP-1の発現抑制効果の評価試験
ヒト新生児由来線維芽細胞(NB1RGB)とヒト成人由来線維芽細胞(NHDF)を0.5%NCSを含むイーグル MEM 培地を用いて24well plate(IWAKI)に9×104cells/wellとなるように細胞を播種し、5%CO2下、37℃で一日間培養した。次に、終濃度0.5%BSAを含むイーグルMEM培地(日水製薬株式会社)に組成物1を溶液として最終濃度が1.0%となるように添加した試料溶液と、組成物1に代えて30%1,3‐ブチレングリコールを同様の濃度で添加したコントロール(Control)溶液を調製し、各wellに追添加してさらに6日間培養した。それぞれの試験区の細胞をISOGEN II試薬(ニッポン・ジーン社製)0.5mLで回収した。回収した細胞に対してRNase フリー水200μL添加して撹拌混合し室温で15分放置後、遠心分離機(TOMY社製/MX-160)で15,000rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離した後、上清のみを500μL分取した。回収した上清にイソプロパノール(和光純薬工業社製)500μLを添加して撹拌混合し、室温で10分放置後15,000rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離してtotalRNAの沈殿物を得た。Total RNAに75%エタノールを0.5mL添加し、15,000rpm、4℃条件下で3分間遠心分離して沈殿を回収した。上清を捨て、この作業を2回繰り返した。上清を完全に除去した後、風乾し、RNaseフリー水に溶解させた。回収したtotal RNAを所定のキット(PrimeScript RT reagent Kit with gDNA Eraser (Perfect Real Time)(タカラバイオ社製))を用いて逆転写反応し、cDNAを合成した。合成したcDNAをサンプルとして、Thermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System Single(タカラバイオ社製)、及びSYBR(登録商標)Premix Ex TaqTM II(Perfect Real Time)[タカラバイオ社製]を用いて、MMP1の発現と、内部標準物質ACTB遺伝子の発現の検出を行った。ここで、ACTB(β-Actin)は、ハウスキーピング遺伝子(多くの組織や細胞中に共通して一定量発現する遺伝子であって、常に発現され,細胞の維持,増殖に不可欠な遺伝子である)の一つであり、発現量が常に一定とされていることから、PCRの実験では内部標準として用いられるものである。試験結果は、ACTB遺伝子の発現量を一定とした場合の、それぞれの試験区でのMMP1の発現量を比較した。本試験系においては、新生児由来線維芽細胞でのMMP1遺伝子発現量を100としたときのヒト成人由来線維芽細胞(NHDF)でのMMP1遺伝子発現量を相対値として求めた。
【0053】
図4に示す通り、コラーゲンを分解する酵素であるMMP-1は、成人由来線維芽細胞において新生児由来線維芽細胞と比較して、顕著に遺伝子発現が誘導されること、また、本発明の組成物はMMP-1の遺伝子発現を顕著に抑制することが確認された。
【0054】
試験例5.コラゲナーゼ活性抑制効果の評価試験
ヒト新生児由来線維芽細胞(NB1RGB)とヒト成人由来線維芽細胞(NHDF)を0.5 % NCSを含むイーグル MEM 培地を用いて24 well plate(IWAKI)に9×104cells/wellとなるように細胞を播種し、5%CO2下、37℃で一日間培養した。次に、終濃度0.5%BSAを含むイーグルMEM培地(日水製薬株式会社)に組成物1を溶液として最終濃度が1.0%となるように添加した試料溶液と、組成物1に代えて30%1,3‐ブチレングリコールを同様の濃度で添加したコントロール(Control)溶液を調製し、各wellに追添加してさらに6日間培養した。この上清中のコラゲナーゼ活性の測定を行った。コラゲナーゼ活性の測定は、プライマリーセル社のコラゲナーゼアッセイキットを応用して測定を行った。マイクロチューブに上記細胞培養上清を50μL、FITCラベルされたI型コラーゲン基質液50μLを添加した。37℃で30分間反応度、反応停止液300μLを添加し、遠心分離により未反応のコラーゲン基質を沈殿させ、上清の蛍光強度(Ex=355,Em=460)を測定した。本試験系においては、新生児由来線維芽細胞のコラゲナーゼ活性を100としたときの成人由来線維芽細胞(NHDF)でのコラゲナーゼ活性を相対値として求めた。
【0055】
試験例5の結果を図5に示す。図5に示す通り、コラーゲンを分解する酵素であるコラゲナーゼの活性MMP-1は、成人由来線維芽細胞において新生児由来線維芽細胞と比較して、顕著に活性が亢進されること、本発明の組成物はコラゲナーゼ活性を抑制することが確認された。このように、本発明の組成物は、MMP1遺伝子の発現を抑制し、かつ、コラゲナーゼ活性も抑制することから、細胞のコラーゲンの分解を抑制して、皮膚のハリと弾力を維持及び改善し、ツヤ及び透明感を向上させることができる。
【0056】
以下、本発明に係る組成物を配合した化粧料を示すが、本発明はそれらに限るものではない。
【0057】
処方例1.化粧水
[成分] 部
ホホバ油 1.0
本発明の組成物 3.0
グリセリン 5.0
L-アスコルビン酸 2-グルコシド 2.0
アルブチン 3.0
1,3-ブチレングリコール 1.0
水溶性コラーゲン 0.01
プロパンジオール 3.0
水酸化カリウム 適 量
精製水 全量が100部となる量
【0058】
処方例2.化粧水
[成分] 部
スクワラン 1.0
本発明の組成物 3.0
グリセリン 5.0
ナイアシンアミド 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
1,3-ブチレングリコール 1.0
加水分解コラーゲン 0.1
ペンタンジオール 3.0
クエン酸ナトリウム 適 量
精製水 全量が100部となる量
【0059】
処方例3.化粧水
[成分] 部
水添ヒマシ油 1.0
本発明の組成物 3.0
グリセリン 5.0
3-O-エチルアスコルビン酸 2.0
酢酸トコフェロール 0.3
水溶性コラーゲン 0.01
1,3-ブチレングリコール 1.0
ペンタンジオール 3.0
水酸化カリウム 適 量
精製水 全量が100部となる量
【0060】
処方例4.乳液
[成分] 部
スクワラン 5.0
ホホバ油 1.0
オレンジ果皮油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
水添大豆レシチン 1.5
本発明の組成物 1.0
ナイアシンアミド 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリセリン 3.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
1,3-ブチレングリコール 0.1
フェノキシエタノール 0.5
ペンチレングリコール 0.5
ジグリセリン 0.3
精製水 全量が100部となる量
【0061】
処方例5.乳液
[成分] 部
スクワラン 5.0
ヒマシ油 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
水添大豆レシチン 1.5
本発明の組成物 1.0
トラネキサム酸 2.0
グリセリン 3.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
加水分解ヒアルロン酸 0.01
1,3-ブチレングリコール 0.1
フェノキシエタノール 0.5
ペンチレングリコール 0.5
ジグリセリン 0.3
精製水 全量が100部となる量
【0062】
処方例6.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
パルミチン酸 2.5
本発明の組成物 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
水素添加レシチン 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.2
水溶性コラーゲン 0.1
1,3-ブチレングリコール 0.1
フェノキシエタノール 0.5
ペンチレングリコール 0.5
ジグリセリン 0.3
精製水 全量が100部となる量
【0063】
処方例7.クレンジング化粧料
[成分] 部
本発明の組成物 3.0
トリエチルヘキサノイン 10.0
オリーブ油 5.0
グリセリン 10.0
イソステアリン酸PEG-8グリセリル 10.0
ステアリン酸グリセリル 5.0
ナイアシンアミド 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
1,3-ブチレングリコール 1.0
水溶性コラーゲン 0.01
フェノキシエタノールール 0.3
クエン酸ナトリウム 適 量
精製水 全量が100部となる量

図1
図2
図3
図4
図5