(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111755
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】弾性波デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H9/25 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016447
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】金原 兼央
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA24
5J097AA29
5J097BB15
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5J097JJ09
5J097KK10
5J097LL01
5J097LL04
5J097LL06
5J097LL08
(57)【要約】
【課題】小型で、信号ラインのシールド効果およびグランド電極をより強化し、かつ、封止部と配線基板の密着性に優れた特性の弾性波デバイスを提供する。
【解決手段】実装面を有する配線基板と、前記実装面に形成されたグランド電極、アンテナ用パッド、送信用パッド、受信用パッド、前記アンテナ用パッドを囲うアンテナ用メタルリング、前記送信用パッドを囲う送信用メタルリングおよび前記受信用パッドを囲う受信用メタルリングと、前記配線基板上に実装されるデバイスチップとを備え、前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングは、前記グランド電極と接続しており、前記配線基板の外延から前記グランド電極までの平均距離は、前記配線基板の外延から前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングまでの平均距離よりも長い、弾性波デバイス。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を有する配線基板と、
前記実装面に形成されたグランド電極、アンテナ用パッド、送信用パッド、受信用パッド、前記アンテナ用パッドを囲うアンテナ用メタルリング、前記送信用パッドを囲う送信用メタルリングおよび前記受信用パッドを囲う受信用メタルリングと、
前記配線基板上に実装されるデバイスチップと
を備え、
前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングは、前記グランド電極と接続しており、
前記配線基板の外延から前記グランド電極までの平均距離は、前記配線基板の外延から前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングまでの平均距離よりも長い、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記実装面は、インダクタ用パッドと前記インダクタ用パッドを囲うインダクタ用メタルリングを備える請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記デバイスチップを前記配線基板とともに封止する封止部を備え、
前記封止部は、前記アンテナ用パッドと前記アンテナ用メタルリングの間における絶縁領域に接合している請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記デバイスチップを前記配線基板とともに封止する封止部を備え、
前記封止部は、前記送信用パッドと前記送信用メタルリングの間における絶縁領域および前記受信用パッドと前記受信用メタルリングの間における絶縁領域にそれぞれ接合している請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記配線基板の辺の外延から前記送信用メタルリングまでの最短距離は、前記配線基板の角の外延から前記送信用メタルリングまでの最短距離よりも短い請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記配線基板の辺の外延から前記受信用メタルリングまでの最短距離は、前記配線基板の角の外延から前記受信用メタルリングまでの最短距離よりも短い請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記アンテナ用メタルリングの厚みは、10μm~35μmである請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングの厚みは、10μm~35μmである請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記デバイスチップは、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶からなる圧電基板を含む請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記デバイスチップは、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、窒化珪素、アルミナイトライド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸窒化珪素、ダイヤモンド、水晶またはガラスからなる支持基板を含む請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波デバイスおよびその製造方法に関する。詳しくはSH波を用いる弾性表面波デバイスやBAWを用いるFBARであり、例えば、デュプレクサまたはマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンを代表とする移動通信端末の高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために、高周波フィルタ等が用いられている。
【0003】
高周波フィルタ等には、弾性表面波(SAW:Surface acoustic wave)素子等を有する弾性波デバイスが用いられている。SAW素子は、圧電基板上に一対の櫛型電極を有するIDT(Interdigital Transducer)を形成した素子である。
【0004】
例えば、弾性表面波デバイスは、以下のように製造される。まず、弾性波を伝搬させる圧電基板とこの圧電基板よりも小さな熱膨張係数を持つ支持基板とを接合した多層膜基板を作成する。次に、その多層膜基板にフォトリソグラフィ技術を用いて多数のIDT電極を形成し、その後、ダイシングにより所定のサイズに切り出して弾性表面波デバイスとする。この製造方法では、多層膜基板を利用することにより、温度が変化したときの圧電基板の大きさの変化が支持基板により抑制されるため、弾性波デバイスとしての周波数特性が安定化する。
【0005】
特許文献1には、弾性波デバイスに関する技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示が解決しようとする主たる課題について説明する。
【0008】
バンドパスフィルタやデュプレクサなどの弾性波デバイスにおいては、SAWフィルタなどのデバイスチップが、配線基板にフリップチップボンディングされている。
【0009】
SAWフィルタを構成する共振器が機械的振動をするための中空領域を形成して、合成樹脂や金属などにより封止する。封止部と配線基板が剥離することを防止するため、封止部と配線基板の密着性は高いことが望まれる。また、封止された中空領域への水分の浸入を抑制するため、封止部と配線基板の密着性が高いことが望まれる。
【0010】
また、所望の周波数帯の電気信号が通過するメタルパターンは、外部からの電磁波により干渉を受けることがある。したがって、シールド効果が高い構造が望まれる。
【0011】
また、弾性波デバイスは、より小型化が要請される。配線基板のパッドのシールド効果を高めるため、周囲をメタルパターンで囲うと、配線基板が大型化してしまう。また、配線基板の外延部のメタルパターンが多すぎると、封止部と配線基板の密着性が低下し、配線基板と封止部の剥離につながる恐れがある。
【0012】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型で、信号ラインのシールド効果およびグランド電極をより強化し、かつ、封止部と配線基板の密着性に優れた特性の弾性波デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示にかかる弾性波デバイスは、
実装面を有する配線基板と、
前記実装面に形成されたグランド電極、アンテナ用パッド、送信用パッド、受信用パッド、前記アンテナ用パッドを囲うアンテナ用メタルリング、前記送信用パッドを囲う送信用メタルリングおよび前記受信用パッドを囲う受信用メタルリングと、
前記配線基板上に実装されるデバイスチップと
を備え、
前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングは、前記グランド電極と接続しており、
前記配線基板の外延から前記グランド電極までの平均距離は、前記配線基板の外延から前記アンテナ用メタルリング、前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングまでの平均距離よりも長い、弾性波デバイスとした。
【0014】
前記実装面は、インダクタ用パッドと前記インダクタ用パッドを囲うインダクタ用メタルリングを備えることが、本開示の一形態とされる。
【0015】
前記デバイスチップを前記配線基板とともに封止する封止部を備え、
前記封止部は、前記アンテナ用パッドと前記アンテナ用メタルリングの間における絶縁領域に接合していることが、本開示の一形態とされる。
【0016】
前記デバイスチップを前記配線基板とともに封止する封止部を備え、
前記封止部は、前記送信用パッドと前記送信用メタルリングの間における絶縁領域および前記受信用パッドと前記受信用メタルリングの間における絶縁領域にそれぞれ接合していることが、本開示の一形態とされる。
【0017】
前記配線基板の辺の外延から前記送信用メタルリングまでの最短距離は、前記配線基板の角の外延から前記送信用メタルリングまでの最短距離よりも短いことが、本発明の一形態とされる。
【0018】
前記配線基板の辺の外延から前記受信用メタルリングまでの最短距離は、前記配線基板の角の外延から前記受信用メタルリングまでの最短距離よりも短いことが、本発明の一形態とされる。
【0019】
前記アンテナ用メタルリングの厚みは、10μm~35μmであることが、本発明の一形態とされる。
【0020】
前記送信用メタルリングおよび前記受信用メタルリングの厚みは、10μm~35μmであることが、本発明の一形態とされる。
【0021】
前記デバイスチップは、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶からなる圧電基板を含むことが、本発明の一形態とされる。
【0022】
前記デバイスチップは、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、窒化珪素、アルミナイトライド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸窒化珪素、ダイヤモンド、水晶またはガラスからなることが、本発明の一形態とされる。
【0023】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本発明の一形態とされる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、より放熱性がよく、封止部と配線基板の密着性に優れ、かつ、所望の周波数帯の電気信号が通過するメタルパターンと、所望の周波数帯の電気信号が通過しないメタルパターンとのカップリングが発生しにくい優れた特性の弾性波デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1の配線基板3の実装面の概略図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1にかかる弾性波デバイスの弾性波素子50の例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1が適用されるモジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0027】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1を示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、弾性波デバイス1は、配線基板3、外部接続端子31、デバイスチップ5、バンプ15および封止部17を備える。
【0029】
例えば、配線基板3は、樹脂からなる多層基板である。例えば、配線基板3は、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板である。
【0030】
外部接続端子31は、配線基板3の実装面とは反対の主面に複数形成される。
【0031】
配線基板3の実装面上には、グランド電極20、送信用パッド22、受信用パッド23、送信用パッド22を囲う送信用メタルリング25、受信用パッド23を囲う受信用メタルリング26が形成されている。
【0032】
バンプ15は、電極パッド9のそれぞれの上面に形成される。例えば、バンプ15は、金バンプである。例えば、バンプ15の高さは、10μmから50μmである。
【0033】
配線基板3とデバイスチップ5の間は、空隙16が形成されている。
【0034】
デバイスチップ5は、バンプ15を介して、配線基板3にフリップチップボンディングにより実装される。デバイスチップ5は、複数のバンプ15を介して複数のパッドと電気的に接続される。
【0035】
デバイスチップ5は、弾性波素子50が形成される基板である。例えば、デバイスチップ5の主面において、複数の弾性波素子50を含む、送信用フィルタと受信用フィルタとが形成される。
【0036】
送信用フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、送信用フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0037】
受信用フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、受信用フィルタは、ラダー型フィルタである。
【0038】
デバイスチップ5は、圧電基板11、支持基板13を備える。圧電基板11は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶で形成された基板である。別の例では、圧電基板11は、圧電セラミックスで形成された基板である。
【0039】
圧電基板11の厚みは、例えば、0.3μmから5μmとすることができる。
【0040】
支持基板13は、例えば、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、窒化珪素、アルミナイトライド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸窒化珪素、ダイヤモンド、水晶、ガラスなどで形成することができる。支持基板13は、熱膨張係数が小さいほどよい。弾性波デバイス1の温度特性が向上するからである。
【0041】
支持基板13の厚みは、例えば、50μmから200μmとすることができる。
【0042】
封止部17は、デバイスチップ5を覆うように形成される。デバイスチップ5は、配線基板3と封止部17により、気密封止されている。例えば、封止部17は、合成樹脂等の絶縁体により形成される。例えば、封止部17は、金属で形成される。
【0043】
封止部17が合成樹脂で形成される場合、当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミドなどである。好ましくは、封止部17は、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いてエポキシ樹脂で形成される。
【0044】
図1に示すように、封止部17は、送信用パッド22と送信用メタルリング25の間における絶縁領域17Txに接合している。また、封止部17は、受信用パッド23と受信用メタルリング26の間における絶縁領域17Rxに接合している。これにより、配線基板3と封止部17の密着性は向上する。
【0045】
図2は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1の配線基板3の実装面の概略図である。
図2に示すように、配線基板3の実装面は、グランド電極20、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23、アンテナ用パッド21を囲うアンテナ用メタルリング24、送信用パッド22を囲う送信用メタルリング25、受信用パッド23を囲う受信用メタルリング26、インダクタ用パッド27およびインダクタ用パッド27を囲うインダクタ用メタルリング28を備える。
【0046】
図2に示すように、アンテナ用メタルリング24、送信用メタルリング25、受信用メタルリング26およびインダクタ用メタルリング28は、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23およびインダクタ用パッド27をそれぞれ囲んでいる。これにより、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23を通過する電気信号についてシールド効果が強化される。
【0047】
グランド電極20、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23、アンテナ用パッド21を囲うアンテナ用メタルリング24、送信用パッド22を囲う送信用メタルリング25、受信用パッド23を囲う受信用メタルリング26、インダクタ用パッド27およびインダクタ用パッド27を囲うインダクタ用メタルリング28の厚みは、例えば、10μmから35μmである。15μmから30μmの厚みがより望ましい。発明者らの試作した弾性波デバイス1は、これらの厚みが15μmであった。特に5ギガ、サブ6ギガ帯などの高周波用途の弾性波デバイスにおいて、このような厚みを有する各パッドは、横方向(厚み方向に対する垂直な方向)からの電気的な干渉を受ける。そのため、各メタルリングで各パッドを囲うことが望まれる。
【0048】
さらに、
図2に示すように、アンテナ用メタルリング24、送信用メタルリング25、受信用メタルリング26、インダクタ用メタルリング28は、グランド電極20と接続している。これにより、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23を通過する電気信号についてさらにシールド効果が強化される。
【0049】
グランド電極20、アンテナ用パッド21、送信用パッド22、受信用パッド23、アンテナ用パッド21を囲うアンテナ用メタルリング24、送信用パッド22を囲う送信用メタルリング25、受信用パッド23を囲う受信用メタルリング26、インダクタ用パッド27およびインダクタ用パッド27を囲うインダクタ用メタルリング28は、例えば、銅または銅を含む合金で形成される。
【0050】
図2に示すように、配線基板3の外延からグランド電極20までの距離Aおよび平均の距離は、配線基板3の外延からアンテナ用メタルリング24までの距離Bおよび平均の距離よりも長い。配線基板3の外延からグランド電極20までの距離Aおよび平均距離は、配線基板3の外延から送信用メタルリング25までの距離Cおよび平均距離よりも長い。線基板3の外延からグランド電極20までの距離Aおよび平均距離は、配線基板3の外延から受信用メタルリング26までの距離Dおよび平均距離よりも長い。
【0051】
発明者らの試作した弾性波デバイス1は、配線基板3の外延からグランド電極20までの平均の距離は、約75μmであった。配線基板3の外延からアンテナ用メタルリング24までの平均距離は、15μmであった。配線基板3の外延から送信用メタルリング25までの平均距離は、15μmであった。配線基板3の外延から受信用メタルリング26までの平均距離は、15μmであった。
【0052】
図2に示すように、配線基板3の外延から送信用メタルリング25までの最短距離は、配線基板3の角の外延から送信用メタルリング25までの最短距離Eよりも短い。発明者らの試作した弾性波デバイス1は、配線基板3の外延から送信用メタルリング25までの最短距離は15μm、最短距離Eは75μmであった。
【0053】
配線基板3の外延から受信用メタルリング26までの最短距離は、配線基板3の角の外延から受信用メタルリング26までの最短距離Fよりも短い。発明者らの試作した弾性波デバイス1は、配線基板3の外延から受信用メタルリング26までの最短距離は15μm、最短距離Fは75μmであった。
【0054】
送信用パッド22の角部や、受信用パッド23の角部は、電気的な干渉を受けにくい。一方で、配線基板3の角部は、配線基板3と封止部17の剥離の起点となりやすい。よって、配線基板3の角部においては、封止部と密着性の良い樹脂部の面積を大きくとることで、少ないデメリットを受け入れつつ、大きなメリットを享受している。
【0055】
次に、
図3を用いて、圧電基板11上に形成された弾性波素子の例を説明する。
図3は、実施の形態1にかかる弾性波デバイスの弾性波素子50の例を示す図である。
【0056】
図3に示されるように、IDT(Interdigital Transducer)51と一対の反射器52とは、圧電基板11の主面に形成される。IDT電極51と一対の反射器52は、弾性波(主にSH波)を励振し得るように設けられる。
【0057】
例えば、IDT電極51と一対の反射器52とは、アルミニウムと銅の合金で形成される。例えば、IDT電極51と一対の反射器52とは、アルミニウム、モリブデン、イリジウム、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、クロム、ストロンチウム、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金で形成される。
【0058】
例えば、IDT電極51と一対の反射器52とは、複数の金属層が積層した積層金属膜により形成される。例えば、IDT電極51と一対の反射器52との厚みは、150nmから450nmである。
【0059】
IDT電極51は、一対の櫛形電極51aを備える。一対の櫛形電極51aは、互いに対向する。櫛形電極51aは、複数の電極指51bとバスバー51cとを備える。
【0060】
複数の電極指51bは、長手方向を合わせて配置される。バスバー51cは、複数の電極指51bを接続する。
【0061】
一対の反射器52の一方は、IDT電極51の一側に隣接する。一対の反射器52の他方は、IDT電極51の他側に隣接する。
【0062】
以上で説明された実施の形態1によれば、小型で、信号ラインのシールド効果およびグランド電極をより強化し、かつ、封止部と配線基板の密着性に優れた特性の弾性波デバイスを提供することができる。
【0063】
実施の形態2.
図4は、実施の形態1にかかる弾性波デバイス1が適用されるモジュールの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0064】
図4において、モジュール100は、配線基板130と複数の外部接続端子131と集積回路部品ICと弾性波デバイス1とインダクタ111と封止部117とを備える。
【0065】
複数の外部接続端子31は、配線基板130の下面に形成される。複数の外部接続端子131は、予め設定された移動通信端末のマザーボードに実装される。
【0066】
例えば、集積回路部品ICは、配線基板130の内部に実装される。集積回路部品ICは、スイッチング回路とローノイズアンプとを含む。
【0067】
弾性波デバイス1は、配線基板130の主面に実装される。
【0068】
インダクタ111は、配線基板130の主面に実装される。インダクタ111は、インピーダンスマッチングのために実装される。例えば、インダクタ111は、Integrated Passive Device(IPD)である。
【0069】
封止部117は、弾性波デバイス1を含む複数の電子部品を封止する。
【0070】
以上で説明された実施の形態2によれば、モジュール100は、弾性波デバイス1を備える。このため、小型で、信号ラインのシールド効果およびグランド電極をより強化し、かつ、封止部と配線基板の密着性に優れた特性の弾性波デバイスを備えるモジュールを提供できる。
【0071】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0072】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0073】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0074】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0075】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0076】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0077】
1 弾性波デバイス、 3 配線基板、 5 デバイスチップ
11 圧電基板、 13 支持基板、 17 封止部、 50 弾性波素子
20 グランド電極、 21 アンテナ用パッド、 22 送信用パッド
23受信用パッド
24 アンテナ用メタルリング、 25 送信用メタルリング
26 受信用メタルリング
27 インダクタ用パッド、 28 インダクタ用メタルリング
100 モジュール、 111 インダクタ、 117 封止部
130 配線基板