(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111757
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20240809BHJP
F02M 26/15 20160101ALI20240809BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20240809BHJP
F02M 26/00 20160101ALI20240809BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
F02D45/00 345
F02D45/00 360A
F02D45/00 368F
F02M26/15
F02M26/35
F02M26/00 301
F01N11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016451
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 和也
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敦之
【テーマコード(参考)】
3G062
3G091
3G384
【Fターム(参考)】
3G062ED01
3G062ED08
3G062ED09
3G062FA18
3G062GA10
3G091AA11
3G091AA17
3G091BA33
3G091HB05
3G384AA01
3G384BA09
3G384BA27
3G384BA31
3G384DA43
3G384DA44
3G384FA06Z
3G384FA08Z
3G384FA28Z
3G384FA37Z
3G384FA44B
3G384FA45Z
3G384FA86Z
(57)【要約】
【課題】内燃機関の排気通路に装着した排気浄化装置の正常/異常の判定の精度の一層の向上を図る。
【解決手段】排気通路上に配され排気通路を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置と、前記排気通路における浄化装置の下流の箇所を吸気通路に連通させるEGR通路及びEGR通路を開閉するEGRバルブを有する排気ガス再循環装置と、前記EGR通路上に配されEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置、またはEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる副浄化装置と、前記EGR通路における改質装置または副浄化装置の下流のEGRガスの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの出力信号を参照して知得されるEGRガスの温度に基づいて前記排気通路上の浄化装置が劣化しているか否かを判定する制御装置とを具備する内燃機関を構成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路上に配され排気通路を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置と、
前記排気通路における浄化装置の下流の箇所を吸気通路に連通させるEGR通路及びEGR通路を開閉するEGRバルブを有する排気ガス再循環装置と、
前記EGR通路上に配されEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置、またはEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる副浄化装置と、
前記EGR通路における改質装置または副浄化装置の下流のEGRガスの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの出力信号を参照して知得されるEGRガスの温度に基づいて前記排気通路上の浄化装置が劣化しているか否かを判定する制御装置と
を具備する内燃機関。
【請求項2】
排気通路上に配され排気通路を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置と、
前記排気通路における浄化装置の下流の箇所を吸気通路に連通させるEGR通路及びEGR通路を開閉するEGRバルブを有する排気ガス再循環装置と、
前記EGR通路上に配されEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置と、
前記排気通路における浄化装置に流入する排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、
前記空燃比センサの出力信号を参照して知得される排ガスの空燃比を目標値に追従させるべく気筒に供給する燃料の噴射量を増減補正するフィードバック制御を実施するとともに、その空燃比フィードバック制御による燃料噴射量の補正量に基づいて前記排気通路上の浄化装置が劣化しているか否かを判定する制御装置と
を具備する内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に関する。特に、排気通路に排気浄化装置として装着している触媒の劣化診断に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関の排気通路には、排ガス中の有害物質である炭化水素HC、一酸化炭素CO、窒素酸化物NOxを浄化する装置として三元触媒を装着する。三元触媒は、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh等の貴金属を担体に担持させてなるものである。排気が三元触媒を通過するとき、HC及びCOが酸化反応するとともにNOxが還元反応して、無害な水H2O、二酸化炭素CO2及び窒素N2へと変化する。三元触媒は、セリウムCeやジルコニアZr等の酸素O2を吸着できる材料を含むことがあり、酸素吸蔵能力(O2 Storage Capacity)を有している。
【0003】
HC、CO、NOxの全てを効率よく浄化するには、三元触媒に流入する排ガスの空燃比をウィンドウと称する理論空燃比近傍の一定範囲内に収める必要がある。そのために、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設置し、空燃比センサの出力信号を参照するフィードバックループを構築して、排ガスの空燃比をフィードバック制御することが行われる。内燃機関の運転制御を司る電子制御装置(Electronic Control Unit)は、気筒に吸入される空気(新気)の量に応じた基本噴射量に、排気通路を流れるガスの空燃比とその目標値との偏差を縮小するフィードバック補正係数を乗じて、気筒に臨むインジェクタから噴射する燃料の量を決定する。
【0004】
また、内燃機関には、排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯している。EGR装置は、内燃機関の排気通路と吸気通路とをEGR通路を介して接続し、排ガスの一部をEGR通路経由で吸気通路に還流させ吸入空気に混交するものである。EGR通路上には、これを開閉するEGRバルブを設け、EGRバルブの開度操作を通じてEGRガスの還流量を調節する。EGRにより、気筒の燃焼室内での混合気の燃焼温度が低下してNOxの生成量が減少、ポンピングロスも軽減される。
【0005】
排気浄化装置たる触媒は、経年劣化として有害物質の浄化性能が少しずつ低下してゆく。劣化が大きく進行すると、外部に放出される有害物質の量が増加する。一方で、触媒の劣化は、車両の動力性能には殆ど影響を与えない。それ故、異常な排出ガス車が無意識に使用され続けるおそれがある。
【0006】
そのような事象に対処するべく、排気浄化装置を自己診断するダイアグノーシス機能を実装することが通例となっている。触媒の劣化の度合いは、現在の触媒のOSCに基づいて判定する。例えば、内燃機関の気筒に空燃比リッチの混合気を供給して触媒に酸素を全く吸蔵していない状態で、気筒に供給する混合気を意図的に空燃比リーンに操作する。すると、触媒の上流の空燃比センサの出力信号は即座に空燃比リーンを示す。これに対し、触媒の下流の空燃比センサの出力信号は、上流の空燃比センサの出力信号に遅れて空燃比リーンを示す。触媒の上流の空燃比センサの出力信号が空燃比リーンを示してから(または、混合気を空燃比リーンに操作してから)下流の空燃比センサの出力信号が空燃比リーンを示すまでの経過時間の長さが、触媒のOSCの大きさを示唆する。
【0007】
あるいは、内燃機関の気筒に空燃比リーンの混合気を供給して触媒のOSC一杯まで酸素を吸蔵した状態で、気筒に供給する混合気を意図的に空燃比リッチに操作する。すると、触媒の上流の空燃比センサの出力信号は即座に空燃比リッチを示す。これに対し、触媒の下流の空燃比センサの出力信号は、上流の空燃比センサの出力信号に遅れて空燃比リッチを示す。触媒の上流の空燃比センサの出力信号が空燃比リッチを示してから(または、混合気を空燃比リッチに操作してから)下流の空燃比センサの出力信号が空燃比リッチを示すまでの経過時間の長さが、触媒のOSCの大きさを示唆する。
【0008】
そして、触媒のOSCが低減しているほど、触媒の経年劣化が進行していると推測される。ECUは、OSCの推定値を判定閾値と比較し、前者が後者を下回ったならば排気浄化装置が異常であると判定する。そして、排気浄化装置の異常の旨を車両の運転者に報知して、改修(交換)を促す(以上、例えば下記特許文献を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した触媒の劣化診断手法では、触媒のOSCを求め、その大きさに基づいて間接的に現在の排気浄化装置の性能を推し量る。触媒により浄化しきれず下流に流出する有害物質の量は考慮しない。
【0011】
だが、現実には、有害物質の浄化性能自体は未だ十分に高いにもかかわらず、硫黄被毒等に起因してOSCのみが減退するということが起こり得る。そうすると、OSCに基づく診断では、正常な浄化装置を劣化した異常なものと誤判定するおそれがあると言える。
【0012】
本発明は、排気浄化装置の正常/異常の判定の精度の一層の向上を図ることを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、排気通路上に配され排気通路を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置と、前記排気通路における浄化装置の下流の箇所を吸気通路に連通させるEGR通路及びEGR通路を開閉するEGRバルブを有する排気ガス再循環装置と、前記EGR通路上に配されEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置、及び/または、EGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる副浄化装置と、前記EGR通路における改質装置及び/または副浄化装置の下流のEGRガスの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの出力信号を参照して知得されるEGRガスの温度に基づいて前記排気通路上の浄化装置が劣化しているか否かを判定する制御装置とを具備する内燃機関を構成した。
【0014】
並びに、本発明では、排気通路上に配され排気通路を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置と、前記排気通路における浄化装置の下流の箇所を吸気通路に連通させるEGR通路及びEGR通路を開閉するEGRバルブを有する排気ガス再循環装置と、前記EGR通路上に配されEGR通路を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置と、前記排気通路における浄化装置に流入する排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、前記空燃比センサの出力信号を参照して知得される排ガスの空燃比を目標値に追従させるべく気筒に供給する燃料の噴射量を増減補正するフィードバック制御を実施するとともに、その空燃比フィードバック制御による燃料噴射量の補正量に基づいて前記排気通路上の浄化装置が劣化しているか否かを判定する制御装置とを具備する内燃機関を構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内燃機関の排気通路に装着した排気浄化装置の正常/異常の判定の精度の一層の向上を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態における内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。
【
図2】同内燃機関の排気通路、浄化装置、EGR通路、改質装置または副浄化装置を示す側面図。
【
図3】同実燃機関のEGR通路を流れるEGRガスの温度の推移の例を示すタイミング図。
【
図4】同内燃機関の制御装置がプログラムに従い実行する処理の例を示すフロー図。
【
図5】同内燃機関の制御装置が実施する空燃比フィードバック制御による補正量FAFの推移の例を示すタイミング図。
【
図6】同内燃機関の制御装置の空燃比フィードバック制御における補正量FACFと遅延時間TDR、TDLとの関係を示す図。
【
図7】同内燃機関の制御装置の空燃比フィードバック制御による補正量FACFの推移の例を示すタイミング図。
【
図8】同内燃機関の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順の例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態における車両用内燃機関100の概要を示す。本内燃機関100は、火花点火式の4ストロークレシプロエンジンであり、複数の気筒1(
図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気バルブよりも上流、各気筒1に連なる吸気ポートの近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を起こす。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
【0018】
吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、吸気絞り弁である電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順に配設している。
【0019】
排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させたことで発生するガスを各気筒1の排気ポートから外部へと導く。
図2に示すように、排気通路4上には、排気マニホルド42及び主浄化装置41を配設している。主浄化装置41は、気筒1から排出され排気通路4に流入する排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる。主浄化装置41は、典型的には三元触媒である。主浄化装置41に、三元触媒とともに、粒子状物質(Particulate Matter)を捕捉するフィルタ(Gasoline Particulate Filter)を設けてもよい。
【0020】
排気通路4における主浄化装置41の上流及び下流には、排気通路4を流通するガスの空燃比を検出するための空燃比センサ43、44を設置する。空燃比センサ43、44はそれぞれ、ガスの空燃比に対して非線形な出力特性を有するO2センサであってもよく、ガスの空燃比に比例した出力特性を有するリニアA/Fセンサであってもよいが、本実施形態ではO2センサを想定している。O2センサ43、44には、これを加熱するヒータを付設することがある。
【0021】
EGR装置2は、排気通路4と吸気通路3とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における主浄化装置41の下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33若しくは吸気マニホルド34に接続している。EGRバルブ23を開弁すると、排気通路4の主浄化装置41を通過した排ガスの一部がEGR通路21に流入し、EGRガスとして吸気通路3に向かって還流する。排ガスの残部は、排気通路4の終端から外部に放出される。EGRバルブ23を閉弁すると、排気通路4の主浄化装置41を通過した排ガスは殆どまたは全くEGR通路21に流入しなくなり、その全部が外部に放出される。
【0022】
図2に示しているように、EGR通路21上には、改質装置または副浄化装置24を配設している。改質装置24は、排気通路4からEGR通路21に流入するEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる。改質装置24は、例えば、炭化水素HCの一種であるメタンCH
4と水蒸気H
2Oとを反応させて、可燃性の水素H
2及び一酸化炭素COを生成する(水蒸気改質)。このときの改質装置24は、ニッケルNi、ルテリウムRu、ロジウムRh等の金属触媒を含む。また、H
2とCOとを反応させて、可燃性のメタノールCH
3OHやエタノールC
2H
5OHを生成することも考えられる。このときの改質装置24は、銅Cu、亜鉛Zn等のCH
3OH合成触媒や、Ni系、モリブデンMo系、Rh系(特に、RhMnLiIr/CuZnO、RhMnZrLi/CuZnO等のRh複合触媒)等のC
2H
5OH合成触媒を含む。
【0023】
副浄化装置24は、排気通路4からEGR通路21に流入するEGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる。副浄化装置24は、例えば三元触媒である。
【0024】
改質装置または副浄化装置24は、EGR通路21における、排気通路4に接続する入口箇所の直下流に配置する。加えて、改質装置または副浄化装置24は、主浄化装置41と隣り合うようにしてこれに当接またはできる限り近接させ、かつ内燃機関100の本体(シリンダブロック及び/またはシリンダヘッド)の側面に当接またはできる限り近接させることが好ましい。さすれば、排ガスそれ自体が持つ熱量や、主浄化装置41または内燃機関100本体から放たれる熱量を、改質装置または副浄化装置24における有害物質の化学反応に有効利用することができる。
【0025】
なお、改質装置24及び副浄化装置24の両方を、EGR通路21上に並設しても構わない。改質装置及び/または副浄化装置24は、当然ながら、EGR通路21におけるEGRクーラ22よりも上流に位置する。
【0026】
EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流には、EGR通路21を流通するEGRガスの温度を検出するための温度センサ25を設置する。温度センサ25は、例えば熱電対を用いたものである。温度センサ25もまた、EGR通路21におけるEGRクーラ22よりも上流に位置する。
【0027】
内燃機関100の運転制御を司る制御装置であるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラが、CAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
【0028】
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関100のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、車両の運転者によるアクセルペダルの踏込量をアクセル開度(いわば、要求されるエンジン負荷率またはエンジントルク)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、内燃機関100の冷却水の温度を検出する水温センサから出力される冷却水温信号d、吸気通路3におけるサージタンク33若しくは吸気マニホルド34内の吸気温及び吸気圧を検出するセンサから出力される吸気温・吸気圧信号e、排気通路4における主浄化装置41の上流の排ガスの空燃比を検出する空燃比センサ43から出力される空燃比信号f、排気通路4における主浄化装置41の下流の排ガスの空燃比を検出する空燃比センサ44から出力される空燃比信号g、EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流のEGRガスの温度を検出する温度センサ25から出力される温度信号h等が入力される。
【0029】
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12に付随するイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、電子スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
【0030】
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関100の運転を制御する。ECU0は、内燃機関100の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、気筒1に吸入される空気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(一度の燃焼に対する火花点火の回数を含む)、要求EGR率(吸気に占めるEGRガスの割合。または、EGRガス量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
【0031】
ECU0は、排気通路4上の主浄化装置41の正常/異常を自己診断するダイアグノーシス機能を備えている。本実施形態では、改質装置及び/または副浄化装置24の下流、かつEGRクーラ22の上流のEGR通路21内のガスの温度に基づいて、主浄化装置41が正常であるか、大きく劣化しており異常であるかを判定する。
【0032】
主浄化装置41が劣化し、有害物質の浄化性能が衰えると、排気通路4における主浄化装置41の下流に流出する排ガス、ひいてはEGR通路21に流入するEGRガスに、多くの有害物質が含まれるようになる。EGR通路21上の改質装置24は、EGRガス中の有害物質を可燃性の物質に変化させ、副浄化装置24は、EGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる。何れのものも、化学反応を惹起し、それによる反応熱を発生させる。その熱量は、EGRガス中の有害物質の量が多いほど大きくなる。つまり、主浄化装置41の浄化性能が劣化するほど、EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流を流れるEGRガスが高温化する。
図3に、閉弁していたEGRバルブ23を開弁しEGRを実行開始したときの、改質装置及び/または副浄化装置24の下流のEGR通路21内の温度上昇の推移を例示している。
図3中、時点t
0にて、それまで閉じていたEGRバルブ23を開く操作を行っている。実線は、主浄化装置41が正常である場合のEGRガス温度の推移を表し、破線は、主浄化装置41が大きく劣化し異常である場合のEGRガス温度の推移を表している。
【0033】
図4に示すように、ECU0は、温度センサ25の出力信号hを参照して、EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流(そして、EGRクーラ22の上流)の温度を常時計測している(ステップS1)。その上で、EGRバルブ23を開弁するEGR実行時のその温度を、判定閾値と比較する(ステップS2)。改質装置及び/または副浄化装置24の下流の温度が判定閾値を上回って高ければ、排気通路4上の主浄化装置41が異常であると判定する(ステップS3)。さもなくば、主浄化装置41は正常であると判定する(ステップS4)。
【0034】
ステップS2にて、判定閾値と比較する温度は、閉じていたEGRバルブ23を開いた後の時期に温度センサ25を介して計測した温度TAと、その直前のEGRバルブ23を閉じていた時期に温度センサ25を介して計測した温度TBとの差(TA-TB)または比(TA/TB)であってもよい。
【0035】
ステップS2にて用いる判定閾値は、開弁したEGRバルブ23の開度が大きいほど、吸気のEGR率が高いほど、またはEGR通路21を流れるEGRガスの流量が多いほど、高く引き上げることが望ましい。排気通路4を流れる排ガスは燃焼ガスであって元来高温であり、EGRバルブ23を大きく開けばそれだけ(主浄化装置41の劣化度合いによらず、必然的に)EGR通路21内の温度上昇を招くからである。
【0036】
ステップS3にて、主浄化装置41が劣化しており異常であるとの判定を下したECU0は、主浄化装置41の異常の旨を示す情報(ダイアグノーシスコード)をメモリに記憶保持するとともに、主浄化装置41の異常の旨を車両の運転者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力して報知する。例えば、コックピット内のエンジンチェックランプを点灯させたり、ディスプレイに表示させたり、警告音を発したりして、主浄化装置41の点検及び交換を促す。
【0037】
本実施形態では、排気通路4上に配され排気通路4を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置41と、前記排気通路4における浄化装置41の下流の箇所を吸気通路3に連通させるEGR通路21及びEGR通路21を開閉するEGRバルブ23を有するEGR装置2と、前記EGR通路21上に配されEGR通路21を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置24、及び/または、EGR通路21を流れるEGRガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる副浄化装置24と、前記EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流のEGRガスの温度を検出する温度センサ25と、前記温度センサ25の出力信号hを参照して知得されるEGRガスの温度に基づいて前記排気通路4上の浄化装置41が劣化しているか否かを判定するECU0とを具備する内燃機関100を構成した。
【0038】
本実施形態によれば、OSCに基づく従前の劣化診断手法に比して、浄化装置41から下流に流出する浄化しきれなかった有害物質の量をより直接的に観測して診断を行うので、その精度が一層向上する。勿論、OSCを基に診断する従前の手法と、本実施形態の診断手法とを併用することも可能である。
【0039】
また、改質装置24は、EGR通路21を流れるEGRガス中に含まれる有害物質を可燃性の物質に変換して吸気通路3及び気筒1に送り込む。いわば、有害物質を燃料として再利用することとなり、その分だけ燃費の良化を期待できる。
【0040】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態には限定されない。上記実施形態では、EGR通路21における改質装置及び/または副浄化装置24の下流のEGRガスの温度に基づき、排気通路4上の主浄化装置41の正常/異常を判定していた。これ以外に、気筒1に充填する混合気の空燃比のフィードバック制御による燃料噴射量の補正量FAFに基づいて、主浄化装置41の正常/異常を判定することも考えられる。以降、本発明の変形例を説明する。
【0041】
本変形例の内燃機関100の構成は、
図1及び
図2に示した上記実施形態のそれと基本的に同じである。尤も、EGR通路21上には必ず改質装置24を設けることとする。EGRガスの温度を検出する温度センサ25は、必須ではない。
【0042】
ここで、空燃比フィードバック制御に関して補記する。インジェクタ11から気筒1に対して噴射する燃料の量を決定するに際し、ECU0は、まず、気筒1に吸入される空気(新気)の量を求め、その吸入空気量に比例する(吸入空気量に応じて理論空燃比またはその近傍の目標空燃比を実現できような)燃料噴射量の基本量TPを決定する。吸入空気量は、現在のエンジン回転数及び(サージタンク33若しくは吸気マニホルド34内の)吸気圧、EGRバルブ23開度(または、吸気に占めるEGRガスの分圧)等を基に推算する。吸入空気量の推算値に、現在の吸気温や大気圧等に応じた補正を加えてもよい。推算の手法は、公知のものである。
【0043】
次いで、この基本噴射量TPを、主浄化装置41に流入する排ガスの空燃比とその目標値との偏差に応じたフィードバック補正係数FAFや、環境条件その他に基づいて定まる各種補正係数Kにより補正する。フィードバック補正係数FAF、Kはそれぞれ、1を中心に増減する正数である。しかして、インジェクタ11を開弁しても燃料が噴出しない無効噴射時間TAUVを加味して、最終的な燃料噴射時間T、即ちインジェクタ11を開弁する時間を算定する。燃料噴射時間Tは、
T=TP×FAF×K+TAUV
となる。ECU0は、燃料噴射時間Tだけインジェクタ11に対して信号jを入力し、インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。
【0044】
空燃比フィードバック制御は、気筒1に充填される混合気の空燃比、ひいては気筒1から排出され主浄化装置41へと導かれる排ガスの空燃比を所望の目標空燃比に収束させ、以て主浄化装置41における有害物質の浄化能率を最大化するものである。空燃比フィードバック補正係数FAFは、主浄化装置41の上流の空燃比センサ43の出力信号fに基づいて定める。
図5に示すように、ECU0は、空燃比センサ43の出力電圧fを、目標空燃比に相当する判定電圧値と比較して、その判定電圧値よりも高ければリッチ、判定電圧値よりも低ければリーンと判定する。そして、ECU0は、主浄化装置41の上流のガスの空燃比の判定結果に基づき、フィードバック補正係数FAFを増減調整する。
【0045】
具体的には、主浄化装置41の上流のガスの空燃比の判定結果がリッチからリーンに反転した(下記の遅延時間TDLが経過した)時点で、フィードバック補正係数FAFをスキップ値RSPだけ増加させる。加えて、空燃比がリーンであると判定している間、フィードバック補正係数FAFを演算サイクル(制御サイクル)あたりリッチ積分値KIPだけ逓増させる。演算サイクルの周期は、内燃機関100の個々の気筒1が新たなサイクル(吸気行程-圧縮行程-膨脹行程-排気行程の一連)を迎える周期に等しい。なお、リッチ積分値KIPの絶対値を、判定電圧値と空燃比センサ43の出力電圧値fとの差分または比の絶対値が大きいほど大きくすることも考えられる。
【0046】
他方、主浄化装置41の上流のガスの空燃比の判定結果がリーンからリッチに反転した(下記の遅延時間TDRが経過した)時点で、フィードバック補正係数FAFをスキップ値RSMだけ減少させる。加えて、空燃比がリッチであると判定している間、フィードバック補正係数FAFを演算サイクルあたりリーン積分値KIMだけ逓減させる。なお、リーン積分値KIMの絶対値を、空燃比センサ43の出力電圧値fと判定電圧値との差分または比の絶対値が大きいほど大きくすることも考えられる。
【0047】
基本噴射量TPに乗ずるフィードバック補正係数FAFが増加すると、インジェクタ11による燃料噴射量が上積みされて、混合気の空燃比がリッチへと向かう。フィードバック補正係数FAFが減少すると、インジェクタ11による燃料噴射量が絞られて、混合気の空燃比がリーンへと向かう。
【0048】
但し、空燃比センサ43の出力電圧fが判定電圧値を跨ぐように変動したときには、即時に主浄化装置41の上流のガスの空燃比の判定結果を反転させるのではなく、遅延時間TDL、TDRの経過を待ってから判定結果を反転させる。即ち、空燃比センサ43の出力電圧fがリッチからリーンに切り替わった(判定電圧値を下回った)ときには、リーン判定遅延時間TDLの経過の後、空燃比がリッチからリーンに反転したと判断する。並びに、空燃比センサ43の出力電圧fがリーンからリッチに切り替わった(判定電圧値を上回った)ときには、リッチ判定遅延時間TDRの経過の後、空燃比がリーンからリッチに反転したと判断する。
【0049】
リーン判定遅延時間TDL及びリッチ判定遅延時間TDRを設けているのは、空燃比センサ43の出力信号fにノイズが混入した場合に、空燃比のリーン/リッチの判定結果が短期間に複数回反転して燃料噴射量が振動するように増減するチャタリングを起こすことを予防する意図である。
【0050】
遅延時間TDL、TDRは、補正量FACFに応じて増減する。
図6に、補正量FACFと遅延時間TDL、TDRとの関係を例示する。
図6中、リーン判定遅延時間TDLを破線で表し、リッチ判定遅延時間TDRを実線で表している。補正量FACFが大きくなるほど、リーン判定遅延時間TDLは短縮され、リッチ判定遅延時間TDRは延長される。さすれば、フィードバック補正係数FAFが増加から減少に転じる時期が遅れ、減少から増加に転じる時期が早まる。結果、燃料噴射量が平均的に増すこととなり、空燃比フィードバック制御により収束させるべき主浄化装置41に流入するガスの空燃比の目標がリッチ側に変位する。
【0051】
逆に、補正量FACFが小さくなるほど、リーン判定遅延時間TDLは延長され、リッチ判定遅延時間TDRは短縮される。さすれば、フィードバック補正係数FAFが増加から減少に転じる時期が早まり、減少から増加に転じる時期が遅れる。結果、燃料噴射量が平均的に減ることとなり、主浄化装置41に流入するガスの空燃比の目標がリーン側に変位する。
【0052】
ECU0は、空燃比フィードバック制御中、上記の補正量FACFをも算出する。
図7に示すように、ECU0は、補正量FACFを算定するにあたり、主浄化装置41の下流のガスの空燃比を検出する空燃比センサ44の出力電圧gを、理論空燃比またはその近傍の目標空燃比に相当する判定電圧値と比較して、その判定電圧値よりも高ければリッチ、判定電圧値よりも低ければリーンと判定する。この判定電圧値は、空燃比センサ43の出力信号fと比較される判定電圧値とは必ずしも一致しない。そして、主浄化装置41の下流のガスの空燃比の判定結果に基づき、補正量FACFを増減調整する。
【0053】
具体的には、主浄化装置41の下流のガスの空燃比がリッチであると判定している間、補正量FACFを演算サイクルあたりリーン積分値FACFKIMだけ逓減させる一方、空燃比がリーンであると判定している間は、補正量FACFを演算サイクルあたりリッチ積分値FACFKIPだけ逓増させる。なお、リーン積分値FACFKIMの絶対値を、空燃比センサ44の出力電圧値gと判定電圧値との差分または比の絶対値が大きいほど大きくしてもよく、リッチ積分値FACFKIPの絶対値を、判定電圧値と空燃比センサ44の出力電圧gとの差分または比の絶対値が大きいほど大きくしてもよい。既に述べた通り、補正量FACFが減少すると、主浄化装置41に流入するガスの目標空燃比がリーンへと向かい、補正量FACFが増加すると、主浄化装置41に流入するガスの目標空燃比がリッチへと向かう。
【0054】
主浄化装置41が正常であり、十分な浄化性能を有していれば、排気通路4における主浄化装置41の下流に流出する排ガス、ひいてはEGR通路21に流入するEGRガスには有害物質が殆ど含まれない。EGRガスには、有害物質を無害化したH2O、CO2及びN2が含まれる。つまり、本来EGRガスに可燃性の物質は殆ど含まれない。
【0055】
翻って、主浄化装置41が大きく劣化し、有害物質の浄化性能が衰えていると、EGR通路21に流入するEGRガスに多くの有害物質が含まれるようになる。有害物質HC、CO、NOxは可燃である。そして、EGR通路21上の改質装置24が、EGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる。
【0056】
ECU0は、燃料噴射量Tを決定するにあたり、気筒1に充填される吸気からEGRガス分を除く空気(新気)の量に比例した基本噴射量TPを算出する。それは、吸気に混交するEGRガスには本来可燃成分が含まれていないと想定しているからであるが、主浄化装置41が劣化した結果、可燃成分を含んだEGRガスが吸気通路3に還流し吸気に混交されるようになる。にもかかわらず、基本噴射量TPはEGRガス中の可燃成分の存在を無視して算定しているので、基本噴射量TP分の燃料をインジェクタ11から噴射すると、混合気の空燃比が目標値よりもリッチになる。その帰結として、空燃比フィードバック制御が、混合気の空燃比を目標値に収束させようとして、燃料噴射量Tを減量する補正を加える。具体的には、基本噴射量TPに乗ずるフィードバック補正係数FAFを1よりも小さい値とする。補正係数FAFは、混合気の空燃比がリッチになるほど、換言すれば主浄化装置41の劣化が進みその浄化性能が衰えるほど小さくなり0に近づく。
【0057】
以上に鑑み、
図8に示すように、ECU0は、空燃比センサ43の出力信号fを参照する空燃比フィードバック制御を実施しつつ(ステップS5)、燃料噴射量Tの補正量FAFを判定閾値と比較する(ステップS6)。補正量FAFが判定閾値を下回って低い、即ち燃料噴射量Tの基本噴射量TP(または、基本噴射量TPに空燃比フィードバック制御以外の補正量Kを加味したもの)からの減量補正分が過大であるならば、排気通路4上の主浄化装置41が異常であると判定する(ステップS7)。さもなくば、主浄化装置41は正常であると判定する(ステップS8)。
【0058】
ステップS6にて用いる判定閾値は、開弁したEGRバルブ23の開度が大きいほど、吸気のEGR率が高いほど、またはEGR通路21を流れるEGRガスの流量が多いほど、低く引き下げることが望ましい。EGRバルブ23を大きく開けばそれだけ(主浄化装置41の劣化度合いによらず、必然的に)EGRガスに含まれる可燃成分が多くなり得るからである。
【0059】
ステップS8にて、主浄化装置41が劣化しており異常であるとの判定を下したECU0は、主浄化装置41の異常の旨を示す情報(ダイアグノーシスコード)をメモリに記憶保持するとともに、主浄化装置41の異常の旨を車両の運転者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力して報知する。例えば、コックピット内のエンジンチェックランプを点灯させたり、ディスプレイに表示させたり、警告音を発したりして、主浄化装置41の点検及び交換を促す。
【0060】
本変形例では、排気通路4上に配され排気通路4を流れる排ガス中の有害物質をより無害な物質に変化させる浄化装置41と、前記排気通路4における浄化装置41の下流の箇所を吸気通路3に連通させるEGR通路21及びEGR通路21を開閉するEGRバルブ23を有するEGR装置2と、前記EGR通路21上に配されEGR通路21を流れるEGRガス中の有害物質をより可燃性の高い物質に変化させる改質装置24と、前記排気通路4における浄化装置41に流入する排ガスの空燃比を検出する空燃比センサ43と、前記空燃比センサ43の出力信号fを参照して知得される排ガスの空燃比を目標値に追従させるべく気筒1に供給する燃料の噴射量Tを増減補正するフィードバック制御を実施するとともに、その空燃比フィードバック制御による燃料噴射量Tの補正量FAFに基づいて前記排気通路4上の浄化装置41が劣化しているか否かを判定するECU0とを具備する内燃機関100を構成した。
【0061】
本変形例でも、OSCに基づく従前の劣化診断手法に比して、浄化装置41から下流に流出する浄化しきれなかった有害物質の量をより直接的に観測して診断を行うので、その精度が一層向上する。勿論、OSCを基に診断する従前の手法と、本変形例の診断手法とを併用することも可能である。
【0062】
また、改質装置24は、EGR通路21を流れるEGRガス中に含まれる有害物質を可燃性の物質に変換して吸気通路3及び気筒1に送り込む。いわば、有害物質を燃料として再利用することとなり、その分だけ燃費の良化を期待できる。
【0063】
その他、各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
100…内燃機関
0…制御装置(ECU)
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
21…EGR通路
23…EGRバルブ
24…改質装置及び/または副浄化装置
25…温度センサ
3…吸気通路
4…排気通路
41…(主)浄化装置
43…空燃比センサ
f…空燃比信号
h…EGRガスの温度信号
j…燃料噴射信号
l…EGRバルブの開度操作信号