(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111759
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/076 20060101AFI20240809BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20240809BHJP
B60R 1/074 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B60R1/076
B60R1/26 200
B60R1/074
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016453
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利弥
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF04
3D053FF18
3D053FF29
3D053GG06
3D053GG12
3D053HH52
3D053JJ53
3D053JJ58
3D053KK02
3D053LL05
3D053LL08
3D053LL15
3D053LL33
3D053LL38
(57)【要約】
【課題】回動体回動軸方向において小型化する。
【解決手段】車両用カメラ装置では、スプリング40の付勢力に抗してクラッチ38の制限孔38Dからの最終ギア36の制限突起36Aの離脱が許容されて、最終ギア36の回転が許容されることで、ケース体26が回動されて、ケース体26の摺動筒26Cがスタンド18の摺動面24Aに対し摺動される。ここで、摺動面24Aの内側にクラッチ38及びスプリング40が配置されている。このため、ケース体26の回動軸方向において、車両用カメラ装置10を小型化できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の視認を補助する視認機構と、
車体側に設けられ、摺動面が設けられる摺動体と、
前記摺動面に対し摺動されて回動されることで前記視認機構が回動される回動体と、
前記摺動面の内側に配置される制限部材と、
前記摺動面の内側に配置されると共に、付勢力により前記制限部材が前記回動体の回動を制限し、付勢力に抗して前記制限部材が前記回動体の回動を許容する付勢部材と、
を備える車両用視認装置。
【請求項2】
前記摺動面に支持され、駆動力が作用されて前記回動体が回動される作用部材を備える請求項1記載の車両用視認装置。
【請求項3】
前記摺動体に前記摺動面より内側において設けられ、車体側に固定されて前記摺動体が車体側に固定される固定部を備える請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【請求項4】
前記摺動体に前記摺動面より内側において設けられ、前記付勢部材が係止される係止部を備える請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【請求項5】
車体側及び前記摺動体の少なくとも一方に設けられ、前記摺動体の移動が規制される傾斜面を備える請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動体が回動されて視認機構が回動される車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用ドアミラー装置では、ケース部材が支持軸の摺動面に対し摺動されて回動されることで、ミラーが回動される。また、圧縮コイルスプリングの付勢力によりクラッチプレートがケース部材の回動を制限しており、圧縮コイルスプリングの付勢力に抗してクラッチプレートがケース部材の回動を許容する。
【0003】
ここで、この車両用ドアミラー装置では、支持軸の摺動面の上側にクラッチプレート及び圧縮コイルスプリングが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、回動体回動軸方向において小型化できる車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の車両用視認装置は、車両の乗員の視認を補助する視認機構と、車体側に設けられ、摺動面が設けられる摺動体と、前記摺動面に対し摺動されて回動されることで前記視認機構が回動される回動体と、前記摺動面の内側に配置される制限部材と、前記摺動面の内側に配置されると共に、付勢力により前記制限部材が前記回動体の回動を制限し、付勢力に抗して前記制限部材が前記回動体の回動を許容する付勢部材と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様の車両用視認装置において、前記摺動面に支持され、駆動力が作用されて前記回動体が回動される作用部材を備える。
【0008】
本発明の第3態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様又は第2態様の車両用視認装置において、前記摺動体に前記摺動面より内側において設けられ、車体側に固定されて前記摺動体が車体側に固定される固定部を備える。
【0009】
本発明の第4態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの車両用視認装置において、前記摺動体に前記摺動面より内側において設けられ、前記付勢部材が係止される係止部を備える。
【0010】
本発明の第5態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの車両用視認装置において、車体側及び前記摺動体の少なくとも一方に設けられ、前記摺動体の移動が規制される傾斜面を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の車両用視認装置では、視認機構が車両の乗員の視認を補助する。また、回動体が車体側の摺動体の摺動面に対し摺動されて回動されることで、視認機構が回動される。さらに、付勢部材の付勢力により制限部材が回動体の回動を制限しており、付勢部材の付勢力に抗して制限部材が回動体の回動を許容する。
【0012】
ここで、摺動体の摺動面の内側に制限部材及び付勢部材が配置される。このため、回動体回動軸方向において車両用視認装置を小型化できる。
【0013】
本発明の第2態様の車両用視認装置では、摺動面に作用部材が支持されており、作用部材に駆動力が作用されて、回動体が回動される。このため、駆動力により回動体が回動できる。
【0014】
本発明の第3態様の車両用視認装置では、摺動体に摺動面より内側において固定部が設けられており、固定部が車体側に固定されて、摺動体が車体側に固定される。このため、摺動体を車体側に固定できる。
【0015】
本発明の第4態様の車両用視認装置では、摺動体に摺動面より内側において係止部が設けられており、係止部に付勢部材が係止される。このため、付勢部材を係止できる。
【0016】
本発明の第5態様の車両用視認装置では、車体側及び摺動体の少なくとも一方に傾斜面が設けられており、傾斜面によって摺動体の移動が規制される。このため、摺動体の移動を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置を示す車両後側かつ車幅方向外側から見た分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置の内部を示す上面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置の格納機構の内部を示す上面図である。
【
図4】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置の格納機構を示す図であり、(A)は、前側から見た断面図(
図3の4A-4A線断面図)であり、(B)は、車幅方向外側から見た断面図(
図3の4B-4B線断面図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置の格納機構を示す車両前側かつ車幅方向内側から見た分解斜視図である。
【
図6】(A)は、本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置のスタンドを示す側面図であり、(B)は、当該スタンドを示す下面図であり、(C)は、当該スタンドの固定状況を示す断面図((B)の6C-6C線断面図)であり、(D)は、当該スタンドの固定状況を示す断面図((B)の6D-6D線断面図)である。
【
図7】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係る車両用カメラ装置のクラッチを示す図であり、(A)は、上面図であり、(B)は、側面図であり、(C)は、断面図((A)の7C-7C線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用視認装置としての車両用カメラ装置10が車両後側かつ車幅方向外側(車両左側)から見た分解斜視図にて示されており、
図2には、車両用カメラ装置10の内部が上面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両左方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0019】
本実施の形態に係る車両用カメラ装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設けられて、車両外側に配置されている。
【0020】
図1及び
図2に示す如く、車両用カメラ装置10は、車体側(設置部材)としてのベース12を備えており、ベース12の車幅方向内側端部がサイドドアに固定されることで、車両用カメラ装置10がサイドドアに設置されている。ベース12には、略矩形板状のベース板12Aが設けられており、ベース板12Aは、車幅方向外側に突出されている。ベース板12Aは、上下方向に垂直に配置されており、ベース板12Aには、円状の固定孔12Bが貫通形成されている。
【0021】
ベース板12Aには、固定孔12Bの径方向外側において、規制部としての台形柱状の規制突起14(
図6の(C)及び(D)参照)が複数(本実施形態では2個)一体に設けられており、規制突起14は、上側に突出されている。規制突起14は、固定孔12Bの周方向に沿って延在されており、複数の規制突起14は、固定孔12Bの周方向に等間隔に配置されている。規制突起14の外周側面及び内周側面は、傾斜面としての第1横傾斜面14Aにされており、第1横傾斜面14Aは、上方へ向かうに従い規制突起14の幅方向内側へ向かう方向に傾斜されている。規制突起14の延在方向両側の端面は、傾斜面としての第1端傾斜面14Bにされており、第1端傾斜面14Bは、上方へ向かうに従い規制突起14の延在方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0022】
ベース12のベース板12Aの上側には、格納機構16(リトラクタ、
図3、
図4の(A)及び(B)、
図5参照)が支持されている。
【0023】
格納機構16には、摺動体(支持体)としてのスタンド18(
図6の(A)~(D)参照)が設けられている。スタンド18の下端部には、略円板状の基板18Aが設けられており、基板18Aは、上下方向に垂直に配置されている。
【0024】
基板18Aの中心部には、固定部及び係止部としての略有底円筒状の固定筒18Bが同軸上に一体に設けられており、固定筒18Bは、上方に延出されると共に、内部が基板18Aの下方に開放されている。固定筒18B内には、下方から、固定部材としての固定ネジ20の脚部20A(ネジ部)が螺合されており、固定ネジ20の脚部20Aは、ベース12(ベース板12A)の固定孔12Bに下方から貫通されている。基板18Aと固定ネジ20の頭部20Bとの間には、ベース板12Aが挟まされており、これにより、スタンド18がベース板12Aに固定(締結)されて、格納機構16がベース板12Aに支持されている。
【0025】
基板18Aには、固定筒18Bの径方向外側において、被規制部としての台形柱状の規制孔22が複数(本実施形態では2個)形成されており、規制孔22は、下側に開放されている。規制孔22は、基板18Aの周方向に沿って延在されており、複数の規制孔22は、基板18Aの周方向に等間隔に配置されている。規制孔22の外周側面及び内周側面は、傾斜面としての第2横傾斜面22Aにされており、第2横傾斜面22Aは、上方へ向かうに従い規制孔22の幅方向内側へ向かう方向に傾斜されている。規制孔22の延在方向両側の端面は、傾斜面としての第2端傾斜面22Bにされており、第2端傾斜面22Bは、上方へ向かうに従い規制孔22の延在方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0026】
規制孔22には、ベース12(ベース板12A)の規制突起14が挿入されている。一対の第2横傾斜面22Aは、規制突起14の一対の第1横傾斜面14Aと嵌合されており、これにより、規制孔22の基板18A径方向への移動が規制されて、基板18Aの径方向への移動が規制されている。一対の第2端傾斜面22Bは、規制突起14の一対の第1端傾斜面14Bと嵌合されており、これにより、規制孔22の基板18A周方向への移動が規制されて、基板18Aの周方向への移動が規制されている。
【0027】
基板18Aには、固定筒18Bの径方向外側において、被摺動部(支持部)としての略矩形板状の摺動板24が複数(本実施形態では4個)一体に設けられており、摺動板24は、上方に延出されている。摺動板24は、基板18Aの周方向に沿って湾曲されており、複数の摺動板24は、基板18Aの周方向に等間隔に配置されている。また、摺動板24の外周側の面は、摺動面24A(支持面)にされている。
【0028】
スタンド18には、回動体としての略直方体形箱状のケース体26が支持されており、ケース体26は、下側のケース26Aと上側のカバー26Bとが上下方向において組付けられて、構成されている。ケース体26(ケース26A)の車幅方向内側部分の下壁には、摺動部(被支持部)としての円筒状の摺動筒26Cが形成されており、摺動筒26Cは、軸方向が上下方向にされて、ケース体26の下壁の上下方向両側に突出されている。摺動筒26C内は、ケース体26内を下方に開放しており、摺動筒26C内には、下側から、スタンド18の固定筒18B及び摺動板24が挿入されている。摺動筒26C内には、複数の摺動板24(摺動面24A)が嵌合されており、これにより、摺動筒26Cが複数の摺動板24に回転可能に支持されて、ケース体26が複数の摺動板24に回動可能に支持されている。
【0029】
ケース体26の車幅方向外側部分内には、駆動機構としてのモータ28が固定されており、モータ28の出力軸28Aは、車幅方向内方に延出されている。出力軸28Aには、初段ギア30(平歯車)が同軸上に支持されており、初段ギア30は、出力軸28Aと一体回転される。
【0030】
ケース体26の車幅方向中間部内には、第1ギアとしてのツインギア32が支持されており、ツインギア32の軸方向は、車幅方向にされている。ツインギア32の車幅方向外側部分には、平歯車32Aが同軸上に設けられており、平歯車32Aは、初段ギア30と噛合されている。ツインギア32の車幅方向内側部分には、第1ウォーム32Bが同軸上に設けられており、第1ウォーム32Bは、平歯車32Aと一体回転される。
【0031】
ケース体26の車幅方向中間部内には、第2ギアとしての駆動ギア34が支持されており、駆動ギア34の軸方向は、車両前後方向にされている。駆動ギア34の車両前側部分には、ヘリカルギア34A(ウォームホイール)が同軸上に設けられており、ヘリカルギア34Aは、第1ウォーム32Bと噛合されている。駆動ギア34の車両後側部分には、第2ウォーム34Bが同軸上に設けられており、第2ウォーム34Bは、ヘリカルギア34Aと一体回転される。
【0032】
ケース体26の車幅方向内側部分内には、作用部材としての円環板状の最終ギア36(ウォームホイール)が配置されており、最終ギア36は、第2ウォーム34Bと噛合されている。最終ギア36内には、下側から、スタンド18の固定筒18B及び摺動板24が挿入されており、最終ギア36は、下側から、ケース体26の摺動筒26Cに支持されている。最終ギア36内には、複数の摺動板24が嵌合されており、これにより、最終ギア36が複数の摺動板24に回転可能に支持されている。
【0033】
最終ギア36の上面には、被制限部としての略矩形板状の制限突起36Aが複数(本実施形態では4個)一体に設けられており、制限突起36Aは、上側に突出されている。制限突起36Aは、最終ギア36の周方向に沿って延在されており、複数の制限突起36Aは、最終ギア36の周方向に等間隔に配置されている。また、制限突起36Aの延在方向両側の端面は、上方へ向かうに従い制限突起36Aの延在方向内側へ向かう方向に傾斜されている。
【0034】
最終ギア36の内側には、制限部材としての略有底円筒状のクラッチ38(
図7の(A)~(C)参照)が同軸上に設けられており、クラッチ38内は、上側に開放されている。クラッチ38の下壁(底壁)には、円筒状の嵌合筒38Aが同軸上に一体に設けられており、嵌合筒38Aは、上方に突出されている。嵌合筒38A内は、下方に開放されており、嵌合筒38A内には、下側から、スタンド18の固定筒18Bが嵌合されている。
【0035】
クラッチ38の周壁には、被阻止部としての略矩形状の阻止孔38Bが複数(本実施形態では4個)貫通形成されており、複数の阻止孔38Bは、クラッチ38の周方向に等間隔に配置されている。阻止孔38Bには、下側から、スタンド18の摺動板24が挿入されており、阻止孔38Bが摺動板24にクラッチ38の周方向において嵌合されて、クラッチ38の周方向への移動が阻止されている。
【0036】
クラッチ38の上端には、円環状の制限枠38Cが同軸上に一体に設けられており、制限枠38Cは、クラッチ38の径方向外側に突出されると共に、断面略矩形状にされている。制限枠38Cの下面には、被制限部としての断面矩形状の制限孔38Dが複数(本実施形態では4個)形成されており、制限孔38Dは、下側に開放されている。制限孔38Dは、制限枠38Cの周方向に延在されており、複数の制限孔38Dは、制限枠38Cの周方向に等間隔に配置されている。制限孔38Dの延在方向両側の端面は、上方へ向かうに従い制限孔38Dの延在方向内側へ向かう方向に傾斜されており、制限孔38Dには、最終ギア36の制限突起36Aが挿入されて最終ギア36の周方向において嵌合されている。また、制限突起36A及び制限枠38Cは、スタンド18の摺動板24の径方向外側に配置されている。
【0037】
クラッチ38の内側には、付勢部材としてのスプリング40(コイルスプリング)が同軸上に設けられており、スプリング40は、内部にスタンド18の固定筒18B及びクラッチ38の嵌合筒38Aが同軸上に挿入されると共に、下端がクラッチ38の下壁に当接(係止)されている。固定筒18Bの上端は、係止部材としての略円環板状のカムプレート42内に同軸上に挿入されており、カムプレート42は、固定筒18Bの上端によって上側への移動を係止されている。カムプレート42には、下側から、スプリング40の上端が当接(係止)されており、スプリング40は、上下方向(軸方向)において圧縮されている。スプリング40は、クラッチ38の下壁を下側に付勢しており、これにより、クラッチ38(制限枠38C)の制限孔38Dからの最終ギア36の制限突起36Aの離脱が制限されて、最終ギア36の回転が制限されている。
【0038】
ケース体26は、被覆体としての略直方体形箱状のバイザ44内に固定されており、バイザ44は、ケース体26の外周を被覆している。
【0039】
バイザ44は、上側の上バイザ44Aと、下側の下バイザ44Bと、が上下方向において組付けられて、構成されており、バイザ44(下バイザ44B)の下壁の車幅方向内側部分には、スタンド18の基板18Aが貫通されている。バイザ44(上バイザ44A)の車両後側壁の車幅方向外側端部には、円状の後孔44Cが貫通形成されており、バイザ44(下バイザ44B)の下壁の車幅方向中間部には、円状の下孔44Dが貫通形成されている。
【0040】
バイザ44内の車幅方向外側端部には、視認機構としての後カメラ46が固定されており、後カメラ46のレンズ46Aは、バイザ44の後孔44Cからバイザ44外に露出されて、車両後側に向けられている。バイザ44内の車幅方向中間部には、視認機構としての下カメラ48が固定されており、下カメラ48のレンズ(図示省略)は、バイザ44の下孔44Dからバイザ44外に露出されて、下側に向けられている。
【0041】
後カメラ46及び下カメラ48は、車両の制御装置50に電気的に接続されており、後カメラ46は、制御装置50の制御によりバイザ44の後孔44C及びレンズ46Aを介してバイザ44の車両後側を撮像すると共に、下カメラ48は、制御装置50の制御によりバイザ44の下孔44D及びレンズを介してバイザ44の下側を撮像する。制御装置50には、表示機構としてのモニタ52が電気的に接続されており、モニタ52は、後カメラ46及び下カメラ48が撮像した画像を制御装置50の制御により表示する。モニタ52は、車室内に設置されており、モニタ52が表示する画像を車両の乗員(特に運転手)が目視することで、後カメラ46が撮像した画像により乗員の車両後側の視認が補助されると共に、下カメラ48が撮像した画像により乗員の下側の視認が補助される。また、制御装置50には、格納機構16のモータ28が電気的に接続されている(
図3参照)。
【0042】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0043】
以上の構成の車両用カメラ装置10では、格納機構16において、モータ28が制御装置50の制御により駆動された際に、出力軸28A、初段ギア30、ツインギア32(平歯車32A及び第1ウォーム32B)及び駆動ギア34(ヘリカルギア34A及び第2ウォーム34B)が回転されて、最終ギア36にモータ28の駆動力が作用されることで、駆動ギア34が最終ギア36の周りを回動されて、ケース体26が駆動ギア34と一体にスタンド18の複数の摺動板24の周りを回動される。このため、ケース体26と一体にバイザ44(後カメラ46及び下カメラ48を含む)が車両後側かつ車幅方向内側に回動されて、バイザ44が格納される。さらに、ケース体26と一体にバイザ44が車幅方向外側かつ車両前側に回動されて、バイザ44が起立(復帰)される。
【0044】
また、バイザ44に車両前側又は車両後側への所定荷重以上の荷重が作用した際には、格納機構16において、スプリング40の付勢力に抗してクラッチ38(制限枠38C)の制限孔38Dからの最終ギア36の制限突起36Aの離脱が許容されて、最終ギア36の回転が許容される。このため、最終ギア36の回転と一体にケース体26が複数の摺動板24の周りを回動されて、ケース体26と一体にバイザ44(後カメラ46及び下カメラ48を含む)が車両前側又は車両後側に回動される。
【0045】
ところで、ケース体26が複数の摺動板24の周りを回動される際には、ケース体26の摺動筒26Cの内周面が複数の摺動板24の摺動面24Aに対し摺動される。
【0046】
ここで、複数の摺動面24Aの内側(内周側)にクラッチ38及びスプリング40が配置されている。このため、複数の摺動面24Aの上側にクラッチ38及びスプリング40が配置される場合とは異なり、上下方向(ケース体26回動軸方向)において、格納機構16を小型化できて、車両用カメラ装置10を小型化できる。これにより、格納機構16のバイザ44内への搭載性を向上できると共に、車両用カメラ装置10の意匠を小型化及び薄型化できる。しかも、車両の走行時に車両用カメラ装置10の空気抵抗を低減できて、車両の燃費を向上できると共に、乗員の車両外側の視認を車両用カメラ装置10が阻害することを抑制できて、乗員の車両外側の視認範囲を拡大できる。
【0047】
さらに、複数の摺動面24Aにケース体26が支持されている。このため、ケース体26のガタ付きを抑制できて、バイザ44(後カメラ46及び下カメラ48を含む)のガタ付きを抑制できる。
【0048】
また、複数の摺動面24Aに最終ギア36が支持されている。このため、最終ギア36のガタ付きを抑制でき、駆動ギア34が最終ギア36の周りを良好に回動できると共に、最終ギア36が良好に回転できる。
【0049】
さらに、スタンド18に複数の摺動面24Aより内側において固定筒18Bが設けられており、固定筒18Bにカムプレート42を介してスプリング40の上端が係止されている。このため、複数の摺動面24Aの内側にスプリング40が配置される場合でも、スプリング40の上端を良好に係止できる。
【0050】
また、スタンド18の固定筒18Bが固定ネジ20によってベース12のベース板12Aに固定されて、スタンド18がベース12に固定されている。このため、スタンド18の基板18Aが固定ネジ20によってベース12のベース板12Aに固定される場合とは異なり、基板18Aの上下方向寸法を小さくすることができ、上下方向において、格納機構16を一層小型化できて、車両用カメラ装置10を一層小型化できる。
【0051】
さらに、スタンド18(基板18A)の規制孔22にベース12(ベース板12A)の規制突起14が挿入されており、規制孔22の一対の第2横傾斜面22Aが規制突起14の一対の第1横傾斜面14Aと嵌合されて、基板18Aの径方向への移動が規制されると共に、規制孔22の一対の第2端傾斜面22Bが規制突起14の一対の第1端傾斜面14Bと嵌合されて、基板18Aの周方向への移動が規制されている。このため、車両の振動及びスタンド18への衝撃の入力によりスタンド18がベース12に対しガタ付くことを抑制できて、スタンド18をベース板12Aに固定する固定ネジ20の緩みを抑制できる。
【0052】
なお、本実施形態では、クラッチ38がスタンド18に対し回転不能にされて、スプリング40の付勢力によりクラッチ38が最終ギア36の回転を制限する。しかしながら、クラッチ38がスタンド18に対し回転可能にされて、スプリング40の付勢力によりスタンド18がクラッチ38の回転を制限してもよい。この場合、最終ギア36がクラッチ38と一体回転可能にされてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、付勢部材がスプリング40であるコイルスプリングにされる。しかしながら、皿バネが複数枚積み重ねられて付勢部材が構成されてもよく、また、付勢部材がウェーブスプリングにされてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態では、ベース12に傾斜面(第1横傾斜面14A及び第1端傾斜面14B)が設けられると共に、スタンド18に傾斜面(第2横傾斜面22A第2端傾斜面22B)が設けられる。しかしながら、ベース12及びスタンド18の一方に傾斜面が設けられてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、視認機構がカメラ(後カメラ46及び下カメラ48)にされる。しかしながら、視認機構がミラーにされてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10・・・車両用カメラ装置(車両用視認装置)、12・・・ベース(車体側)、14A・・・第1横傾斜面(傾斜面)、14B・・・第1端傾斜面(傾斜面)、18・・・スタンド(摺動体)、18B・・・固定筒(固定部及び係止部)、22A・・・第2横傾斜面(傾斜面)、22B・・・第2端傾斜面(傾斜面)、24A・・・摺動面、26・・・ケース体(回動体)、36・・・最終ギア(作用部材)、38・・・クラッチ(制限部材)、40・・・スプリング(付勢部材)、46・・・後カメラ(視認機構)、48・・・下カメラ(視認機構)