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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111769
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/025 20190101AFI20240809BHJP
   H02P 31/00 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G01M13/025
H02P31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016473
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 祐介
【テーマコード(参考)】
2G024
5H501
【Fターム(参考)】
2G024AB15
2G024BA18
2G024CA09
2G024CA12
2G024DA05
2G024DA09
2G024EA13
2G024FA04
5H501BB09
5H501DD01
5H501HB07
5H501JJ04
5H501JJ23
5H501JJ25
5H501LL32
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】モータの出力トルクが要求トルクまたは定格トルクから外れることを防ぐ。
【解決手段】制御装置100は、エンジンの回転数データを微分して、エンジンの出力トルクデータを生成する微分器101と、出力トルクデータに基づき、エンジンの回転数と、脈動成分を含むエンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求めるエンジントルク変換器102と、エンジンの回転数と、対応関係とに基づき加振トルクを推定する加振トルク推定器103と、加振トルクをフーリエ変換して、加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器104と、各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する要求トルク補正器105と、補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器108と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、
前記エンジンの回転数の時間的な変動を示す回転数データを微分して、前記エンジンの出力トルクの変動を示す出力トルクデータを生成する微分器と、
前記出力トルクデータに基づき、前記エンジンの回転数と、脈動成分を含む前記エンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求めるエンジントルク変換器と、
前記エンジンの回転数と、前記対応関係とに基づき、前記脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクを推定する加振トルク推定器と、
前記加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータが出力を要求される要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記要求トルクに補正する要求トルク補正器と、
前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える制御装置。
【請求項2】
モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、
前記エンジンの回転数の時間的な変動を示す回転数データを微分して、前記エンジンの出力トルクの変動を示す出力トルクデータを生成する微分器と、
前記出力トルクデータに基づき、前記エンジンの回転数と、脈動成分を含む前記エンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求めるエンジントルク変換器と、
前記エンジンの回転数と、前記対応関係とに基づき、前記脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクを推定する加振トルク推定器と、
前記加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、
前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置において、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、
前記要求トルク補正器による補正後の各次数成分と、前記定格トルク補正器による補正後の各次数成分とを合成する合成器と、をさらに備え、
前記逆フーリエ変換器は、前記合成後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記制御指令を生成する、制御装置。
【請求項4】
モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、
前記エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータが出力を要求される要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記要求トルクに補正する要求トルク補正器と、
前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える制御装置。
【請求項5】
モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、
前記エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、
前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制御装置において、
前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、
前記要求トルク補正器による補正後の各次数成分と、前記定格トルク補正器による補正後の各次数成分とを合成する合成器と、をさらに備え、
前記逆フーリエ変換器は、前記合成後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記制御指令を生成する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおけるモータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのトルク挙動を評価する台上試験システムにおいて、エンジンの代わりにモータによりエンジンのトルク挙動を模擬する手法(モータ駆動方式)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エンジンの挙動(回転数およびトルク)には、エンジンの回転数および気筒数に応じた周期的な変動(正弦波状の脈動)が生じる。そこで、トルク指令として、脈動成分を含む、モータの出力トルクを指示する加振トルク指令を設定し、加振トルク指令と、実トルクとの偏差を制御する手法が従来用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-085684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の手法には、トルク指令として、脈動成分を含む加振トルク指令を用いるため、トルク指令値が、モータの要求トルクあるいは定格トルクよりも小さくなるまたは大きくなることがあるという欠点がある。耐久評価用の試験においては、一定トルクの下で試験が行われるため、従来の手法のような制御は不要である。一方、性能評価用の試験においては、上述した欠点が大きな問題となる。具体的には、エンジンのトルク挙動を模擬する試験において、必要な加振トルク振幅値が得られず、十分な性能評価を行うことができない場合がある。
【0006】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの要求トルクまたは定格トルクから外れることを防ぐことができる制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示に係る制御装置は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、前記エンジンの回転数の時間的な変動を示す回転数データを微分して、前記エンジンの出力トルクの変動を示す出力トルクデータを生成する微分器と、前記出力トルクデータに基づき、前記エンジンの回転数と、脈動成分を含む前記エンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求めるエンジントルク変換器と、前記エンジンの回転数と、前記対応関係とに基づき、前記脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクを推定する加振トルク推定器と、前記加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータが出力を要求される要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記要求トルクに補正する要求トルク補正器と、前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える。
【0008】
(2)本開示に係る制御装置は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、前記エンジンの回転数の時間的な変動を示す回転数データを微分して、前記エンジンの出力トルクの変動を示す出力トルクデータを生成する微分器と、前記出力トルクデータに基づき、前記エンジンの回転数と、脈動成分を含む前記エンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求めるエンジントルク変換器と、前記エンジンの回転数と、前記対応関係とに基づき、前記脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクを推定する加振トルク推定器と、前記加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える。
【0009】
(3) (1)に記載の制御装置において、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、前記要求トルク補正器による補正後の各次数成分と、前記定格トルク補正器による補正後の各次数成分とを合成する合成器と、をさらに備え、
前記逆フーリエ変換器は、前記合成後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記制御指令を生成する。
【0010】
(4)本開示に係る制御装置は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、前記エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータが出力を要求される要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記要求トルクに補正する要求トルク補正器と、前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える。
【0011】
(5)本開示に係る制御装置は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおける前記モータの制御装置であって、前記エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、脈動成分を含む、前記エンジンの回転数に応じた前記モータの出力トルクである加振トルクをフーリエ変換して、前記加振トルクの各次数成分の振幅値を求めるフーリエ変換器と、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、前記補正後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する逆フーリエ変換器と、を備える。
【0012】
(6) (4)に記載の制御装置において、前記各次数成分の振幅値がそれぞれ、前記モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を前記定格トルクに補正する定格トルク補正器と、前記要求トルク補正器による補正後の各次数成分と、前記定格トルク補正器による補正後の各次数成分とを合成する合成器と、をさらに備え、前記逆フーリエ変換器は、前記合成後の各次数成分を逆フーリエ変換して、前記制御指令を生成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る制御装置によれば、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの要求トルクまたは定格トルクから外れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
図6】本発明の第6の実施形態に係る制御装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置100の構成例を示す図である。本実施形態に係る制御装置100は、モータによりエンジンのトルク挙動を模擬する台上試験システムにおいて、モータを制御するものである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る制御装置100は、微分器101と、エンジントルク変換器102と、加振トルク推定器103と、フーリエ変換器104と、要求トルク補正器105と、逆フーリエ変換器108と、を備える。
【0018】
微分器101は、モータにより模擬されるエンジンの回転数の時間的な変動を示す回転数データが入力される。回転数データは、例えば、モータにより模擬されるエンジンの回転数を予め測定することで取得される。微分器101は、入力された回転数データを微分して、エンジンの出力トルクの変動を示す出力トルクデータを生成する。微分器101は、生成した出力トルクデータをエンジントルク変換器102に出力する。
【0019】
エンジントルク変換器102は、微分器101から出力トルクデータが入力される。エンジントルク変換器102は、入力された出力トルクデータに基づき、エンジンの1回転分の出力トルクの脈動を求める。エンジンの1回転分の出力トルクの脈動から、エンジンの回転数と、脈動成分を含むエンジンの出力トルクの振幅値との対応関係が得られる。すなわち、エンジントルク変換器102は、出力トルクデータに基づき、エンジンの回転数と、脈動成分を含むエンジンの出力トルクの振幅値との対応関係を求める。
【0020】
加振トルク推定器103は、模擬されるエンジンの回転数が入力される。加振トルク推定器14は、入力されたエンジンの回転数と、エンジントルク変換器102により求められた対応関係とに基づき、脈動成分を含む、エンジンの回転数に応じたモータの出力トルクである加振トルクを推定する。加振トルクは、一定のトルクに脈動成分の振幅値を加えた値であり、実際のモータの出力トルクの推定値である。加振トルク推定器14は、フーリエ変換器104に出力する。
【0021】
フーリエ変換器104は、加振トルク推定器103から加振トルクが入力される。フーリエ変換器104は、入力された加振トルクをフーリエ変換して、加振トルクの各次数成分の振幅値を求める。
【0022】
要求トルク補正器105は、モータが出力を要求されるトルクである要求トルクが入力される。要求トルク補正器105は、フーリエ変換器104により求められた、加振トルクの各次数成分の振幅値がそれぞれ、要求トルクよりも大きいかまたは小さいかを判定する。要求トルク補正器105は、各次数成分の振幅値がそれぞれ、要求トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。要求トルク補正器105は、補正後の各次数成分を逆フーリエ変換器108に出力する。すなわち、要求トルク補正器105は、補正が必要でない次数成分については、その次数成分の振幅値をそのまま逆フーリエ変換器108に出力し、補正が必要な次数成分については、その次数成分の振幅値を要求トルクに補正して逆フーリエ変換器108に出力する。
【0023】
逆フーリエ変換器108は、要求トルク補正器105から補正後の各次数成分が入力される。逆フーリエ変換器108は、入力された各次数成分を逆フーリエ変換して、モータの出力トルクを制御する制御指令を生成する。逆フーリエ変換器108は、例えば、制御指令として、補正後の加振トルク指令に応じたトルクがモータから出力されるように、モータを駆動するインバータを制御するインバータトルク指令を生成し、インバータの制御器に出力する。
【0024】
このように本実施形態においては、制御装置100は、要求トルク補正器105を備える。要求トルク補正器105は、加振トルクをフーリエ変換して得られる各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。
【0025】
そのため、振幅値がモータの要求トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、振幅値が要求トルクに補正されるので、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの要求トルクから外れることを防ぐことができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る制御装置100Aの構成例を示す図である。図2において、図1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る制御装置100Aは、微分器101と、エンジントルク変換器102と、加振トルク推定器103と、フーリエ変換器104と、定格トルク補正器106と、逆フーリエ変換器108と、を備える。本実施形態に係る制御装置100Aは、第1の実施形態に係る制御装置100と比較して、要求トルク補正器105を定格トルク補正器106に変更した点が異なる。
【0028】
定格トルク補正器106は、モータの定格トルクが入力される。定格トルク補正器106は、フーリエ変換器104により求められた、加振トルクの各次数成分の振幅値がそれぞれ、定格トルクよりも大きいかまたは小さいかを判定する。定格トルク補正器106は、各次数成分の振幅値がそれぞれ、定格トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。定格トルク補正器106は、補正後の各次数成分を逆フーリエ変換器108に出力する。すなわち、定格トルク補正器106は、補正が必要でない次数成分については、その次数成分の振幅値をそのまま逆フーリエ変換器108に出力し、補正が必要な次数成分については、その次数成分の振幅値を定格トルクに補正して逆フーリエ変換器108に出力する。
【0029】
このように本実施形態においては、制御装置100Aは、定格トルク補正器106を備える。定格トルク補正器106は、加振トルクをフーリエ変換して得られる各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。
【0030】
そのため、振幅値がモータの定格トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、振幅値が定格トルクに補正されるので、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの定格トルクから外れることを防ぐことができる
【0031】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る制御装置100Bの構成例を示す図である。図3において、図1,2と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、本実施形態に係る制御装置100Bは、微分器101と、エンジントルク変換器102と、加振トルク推定器103と、フーリエ変換器104と、要求トルク補正器105と、定格トルク補正器106と、合成器107と、逆フーリエ変換器108Bと、を備える。本実施形態に係る制御装置100Bは、第1の実施形態に係る制御装置100と比較して、定格トルク補正器106および合成器107を追加した点と、逆フーリエ変換器108を逆フーリエ変換器108Bに変更した点と、が異なる。
【0033】
定格トルク補正器106は、図2を参照して説明したように、フーリエ変換器104により求められた、加振トルクの各次数成分の振幅値がそれぞれ、定格トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。そして、定格トルク補正器106は、補正後の各次数成分を合成器107に出力する。すなわち、定格トルク補正器106は、補正が必要でない次数成分については、その次数成分の振幅値をそのまま合成器107に出力し、補正が必要な次数成分については、その次数成分の振幅値を定格トルクに補正して合成器107に出力する。
【0034】
合成器107は、要求トルク補正器105および定格トルク補正器106それぞれから補正後の各次数成分が入力される。合成器107は、要求トルク補正器105による補正後の各次数成分と、定格トルク補正器106による補正後の各次数成分とを合成する。具体的には、合成器107は、各次数成分の振幅値が要求トルクおよび定格トルクから外れないように、要求トルク補正器105および定格トルク補正器106による補正後の各次数成分を合成する。合成器107は、合成後の各次数成分を逆フーリエ変換器108Bに出力する。
【0035】
逆フーリエ変換器108Bは、合成器107から合成後の各次数成分が入力される。逆フーリエ変換器108Bは、入力された各次数成分を逆フーリエ変換して、制御指令(インバータトルク指令)を生成する。
【0036】
このように本実施形態においては、制御装置100Bは、要求トルク補正器105と、定格トルク補正器106と、合成器107と、を備える。要求トルク補正器105は、加振トルクの各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。定格トルク補正器106は、加振トルクの各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。合成器107は、要求トルク補正器105による補正後の各次数成分と、定格トルク補正器106による補正後の各次数成分とを合成する。
【0037】
そのため、振幅値がモータの要求トルクまたは定格トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、振幅値が要求トルクまたは定格トルクに補正されるので、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの要求トルクおよび定格トルクから外れることを防ぐことができる。
【0038】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る制御装置100Cの構成例を示す図である。図4において、図1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態に係る制御装置100Cは、フーリエ変換器104Cと、要求トルク補正器105と、逆フーリエ変換器108と、を備える。本実施形態に係る制御装置100Cは、第1の実施形態に係る制御装置100と比較して、微分器101、エンジントルク変換器102および加振トルク推定器103を削除した点と、フーリエ変換器104をフーリエ変換器104Cに変更した点と、が異なる。
【0040】
フーリエ変換器104Cは、エンジンモデルデータが入力される。エンジンモデルデータは、モータにより模擬されるエンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、脈動成分を含む、エンジンの出力トルクである加振トルクのデータである。フーリエ変換器104Cは、入力されたエンジンモデルデータ(加振トルク)をフーリエ変換して、加振トルクの各次数成分の振幅値を求める。
【0041】
要求トルク補正器105は、フーリエ変換器104Cにより求められた、各次数成分の振幅値がそれぞれ、要求トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。
【0042】
このように本実施形態においては、制御装置100Cは、フーリエ変換器104Cと、要求トルク補正器105と、を備える。フーリエ変換器104Cは、エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、エンジンモデルデータ(脈動成分を含む、エンジンの出力トルクである加振トルク)をフーリエ変換して、各次数成分の振幅値を求める。要求トルク補正器105は、フーリエ変換器104Cにより求められた各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。
【0043】
そのため、モータにより模擬されるエンジンの回転数データを予め測定することなく、振幅値がモータの要求トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、その振幅値を要求トルクに補正することができる。従って、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの要求トルクから外れることを防ぐことができる。
【0044】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に係る制御装置100Dの構成例を示す図である。図5において、図4と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図5に示すように、本実施形態に係る制御装置100Dは、フーリエ変換器104Cと、定格トルク補正器106と、逆フーリエ変換器108と、を備える。本実施形態に係る制御装置100Dは、第4の実施形態に係る制御装置100Cと比較して、要求トルク補正器105を定格トルク補正器106に変更した点が異なる。
【0046】
定格トルク補正器106は、フーリエ変換器104Cにより求められた、各次数成分の振幅値がそれぞれ、定格トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。
【0047】
このように本実施形態においては、制御装置100Dは、フーリエ変換器104Cと、定格トルク補正器106と、を備える。フーリエ変換器104Cは、エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、エンジンモデルデータ(脈動成分を含む、エンジンの出力トルクである加振トルク)をフーリエ変換して、各次数成分の振幅値を求める。定格トルク補正器106は、フーリエ変換器104Cにより求められた各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。
【0048】
そのため、モータにより模擬されるエンジンの回転数データを予め測定することなく、振幅値がモータの定格トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、その振幅値を定格トルクに補正することができる。従って、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクがモータの定格トルクから外れることを防ぐことができる。
【0049】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態に係る制御装置100Eの構成例を示す図である。図6において、図4,5と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、本実施形態に係る制御装置100Eは、フーリエ変換器104Cと、要求トルク補正器105と、定格トルク補正器106と、合成器107と、逆フーリエ変換器108Bと、を備える。本実施形態に係る制御装置100Eは、第4の実施形態に係る制御装置100Cと比較して、定格トルク補正器106および合成器107を追加した点と、逆フーリエ変換器108を逆フーリエ変換器108Eに変更した点と、が異なる。
【0051】
定格トルク補正器106は、図5を参照して説明したように、フーリエ変換器104Cにより求められた、各次数成分の振幅値がそれぞれ、定格トルクよりも大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。そして、定格トルク補正器106は、補正後の各次数成分を合成器107に出力する。すなわち、定格トルク補正器106は、補正が必要でない次数成分については、その次数成分の振幅値をそのまま合成器107に出力し、補正が必要な次数成分については、その次数成分の振幅値を定格トルクに補正して合成器107に出力する。
【0052】
合成器107は、要求トルク補正器105および定格トルク補正器106それぞれから補正後の各次数成分が入力される。合成器107は、要求トルク補正器105による補正後の各次数成分と、定格トルク補正器106による補正後の各次数成分とを合成する。具体的には、合成器107は、各次数成分の振幅値が要求トルクおよび定格トルクから外れないように、要求トルク補正器105および定格トルク補正器106による補正後の各次数成分を合成する。合成器107は、合成後の各次数成分を逆フーリエ変換器108Bに出力する。
【0053】
逆フーリエ変換器108Eは、合成器107から合成後の各次数成分が入力される。逆フーリエ変換器108Eは、入力された各次数成分を逆フーリエ変換して、制御指令(インバータトルク指令)を生成する。
【0054】
このように本実施形態においては、制御装置100Eは、フーリエ変換器104Cと、要求トルク補正器105と、定格トルク補正器106と、合成器107と、を備える。フーリエ変換器104Cは、エンジンをモデル化したエンジンモデルから得られる、エンジンモデルデータ(脈動成分を含む、エンジンの出力トルクである加振トルク)をフーリエ変換して、各次数成分の振幅値を求める。要求トルク補正器105は、フーリエ変換器104Cにより求められた各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの要求トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を要求トルクに補正する。定格トルク補正器106は、フーリエ変換器104Cにより求められた各次数成分の振幅値がそれぞれ、モータの定格トルクより大きい、または、小さい場合、当該振幅値を定格トルクに補正する。合成器107は、要求トルク補正器105による補正後の各次数成分と、定格トルク補正器106による補正後の各次数成分とを合成する。
【0055】
そのため、モータにより模擬されるエンジンの回転数データを予め測定することなく、振幅値がモータの要求トルクまたは定格トルクより大きいあるいは小さい次数成分については、振幅値が要求トルクまたは定格トルクに補正されるので、モータ駆動方式の台上試験システムにおいて、モータの出力トルクを指示する出力トルク指令がモータの要求トルクおよび定格トルクから外れることを防ぐことができる。
【0056】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
100,100A,100B,100C,100D,100E 制御装置
101 微分器
102 エンジントルク変換器
103 加振トルク推定器
104,104C フーリエ変換器
105 要求トルク補正器
106 定格トルク補正器
107 合成器
108,108B,108E 逆フーリエ変換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6