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特開2024-11177ユーザ認証システム、ユーザ認証方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011177
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ユーザ認証システム、ユーザ認証方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/16 20220101AFI20240118BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240118BHJP
【FI】
G06V40/16 A
G06T7/00 510F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112977
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】堀本 岳志
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043FA07
5B043GA01
(57)【要約】
【課題】個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合の認証率を改善すること。
【解決手段】ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された判定用顔画像データを取得する判定用顔画像取得部と、ユーザの登録時に取得された判定用顔画像データを使用して算出された登録時本人一致率に基づいて、ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する判定閾値算出部と、判定閾値とユーザの本人確認時に取得された判定用顔画像データを使用して算出された本人確認時本人一致率とを使用して本人確認の判定を行う本人確認判定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得する判定用顔画像取得部と、
取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出する本人一致率算出部と、
前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納する本人一致率格納部と、
前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する判定閾値算出部と、
算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行う本人確認判定部と、
を備えるユーザ認証システム。
【請求項2】
前記判定閾値算出部は、前記ユーザの撮影状況を示す撮影状況パラメータを取得し、前記撮影状況パラメータをさらに使用して前記判定閾値を算出する、
請求項1に記載のユーザ認証システム。
【請求項3】
前記撮影状況パラメータは、光源の違いを表すパラメータである、
請求項2に記載のユーザ認証システム。
【請求項4】
前記撮影状況パラメータは、背景の違いを表すパラメータである、
請求項2に記載のユーザ認証システム。
【請求項5】
前記撮影状況パラメータは、撮影条件の違いを表すパラメータである、
請求項2に記載のユーザ認証システム。
【請求項6】
前記撮影状況パラメータは、撮像装置の性能の違いを表すパラメータである、
請求項2に記載のユーザ認証システム。
【請求項7】
前記撮影状況パラメータは、被写体であるユーザ自身の特性の違いを表すパラメータである、
請求項2に記載のユーザ認証システム。
【請求項8】
前記判定閾値算出部は、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値の算出において、本人一致率の判定閾値の初期値と前記ユーザの登録時の本人一致率とを用いる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のユーザ認証システム。
【請求項9】
前記判定閾値算出部は、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値の算出において、本人一致率の判定閾値の初期値と前記ユーザの登録時の本人一致率とを乗算する、
請求項8に記載のユーザ認証システム。
【請求項10】
前記判定閾値算出部は、本人一致率の判定閾値の初期値と前記ユーザの登録時の本人一致率とを引数にして前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する関数を備える、
請求項8に記載のユーザ認証システム。
【請求項11】
前記本人一致率の判定閾値の初期値は、定期的に更新される、
請求項8に記載のユーザ認証システム。
【請求項12】
前記判定閾値算出部は、前記本人一致率の判定閾値の初期値が一定回数以上更新された後は、過去の所定回数の更新分を用いて統計的手法により、前記本人一致率の判定閾値の初期値を決定する、
請求項11に記載のユーザ認証システム。
【請求項13】
顔認証が使用される場面の重要度に応じて予め決定された複数の本人一致率の判定閾値の初期値を格納する本人一致率判定閾値初期値格納部をさらに備え、
前記判定閾値算出部は、前記ユーザの顔認証が使用される場面に対応する本人一致率の判定閾値の初期値を前記本人一致率判定閾値初期値格納部から取得して用いる、
請求項8に記載のユーザ認証システム。
【請求項14】
判定用顔画像取得部が、ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得するステップと、
本人一致率算出部が、取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出するステップと、
本人一致率格納部が、前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納するステップと、
判定閾値算出部が、前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出するステップと、
本人確認判定部が、算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行うステップと、
を含むユーザ認証方法。
【請求項15】
ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得する判定用顔画像取得ステップと、
取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出する本人一致率算出ステップと、
前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得ステップにより取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出ステップにより算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納する本人一致率格納ステップと、
前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する判定閾値算出ステップと、
算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得ステップにより取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出ステップにより算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行う本人確認判定ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証システム、ユーザ認証方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オンラインでの本人確認に顔認証を使用する顔認証処理システムは、予めシステムに登録された例えば運転免許証等の顔写真付きの書類から切り出された顔画像と、本人確認時にユーザの端末から受信した顔画像とを照合することにより本人確認を行っている。この顔認証処理システムにおいて顔認証の認証率を改善するための顔認証技術が例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された顔認証技術は、予め登録された顔画像と本人確認時にユーザの端末から受信した顔画像との一致度を示す認証スコアを判定するための認証閾値を補正する際に、複数の顔認証端末それぞれによる複数のユーザの認証スコアを当該複数の顔認証端末それぞれから取得し、複数のユーザの認証スコアの平均値が所定の閾値を下回る顔認証端末における認証閾値を所定の値だけ低くする補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-032529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の顔認証技術では、複数のユーザを扱う顔認証端末が複数存在する場合に各顔認証端末における認証閾値を補正することはできるが、個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合には適用することができない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合の認証率を改善することができるユーザ認証システム、ユーザ認証方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るユーザ認証システムは、ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得する判定用顔画像取得部と、取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出する本人一致率算出部と、前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納する本人一致率格納部と、前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する判定閾値算出部と、算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行う本人確認判定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るユーザ認証方法は、判定用顔画像取得部が、ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得するステップと、本人一致率算出部が、取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出するステップと、本人一致率格納部が、前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納するステップと、判定閾値算出部が、前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出するステップと、本人確認判定部が、算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得部により取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出部により算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行うステップと、を含むものである。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、ユーザが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された前記ユーザの判定用顔画像データを取得する判定用顔画像取得ステップと、取得された前記判定用顔画像データと予め登録された前記ユーザの本人確認用顔画像データとを照合し、本人一致率を算出する本人一致率算出ステップと、前記ユーザの登録時に、前記判定用顔画像取得ステップにより取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出ステップにより算出された前記本人一致率を前記ユーザに関連付けて格納する本人一致率格納ステップと、前記ユーザの前記本人一致率に基づいて、前記ユーザの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する判定閾値算出ステップと、算出された前記判定閾値と、前記ユーザの本人確認時に前記判定用顔画像取得ステップにより取得された前記判定用顔画像データを使用して前記本人一致率算出ステップにより算出された前記本人一致率とを使用して、本人確認の判定を行う本人確認判定ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合の認証率を改善することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムの概要を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムにおける携帯端末の概要の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る顔認証処理システムの機能を説明する概略ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムのユーザ登録時の動作手順の一例を示すシーケンス図である。
図5】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムのユーザ認証時の動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るユーザ認証システム1の概要を示すブロック図である。図1において、携帯端末10はユーザUが保有する端末である。携帯端末10としては、スマートフォンやタブレット端末のうち少なくともいずれか1つを用いることができる。携帯端末10はネットワーク50を介して顔認証処理システム30との間で通信を行う。
【0013】
顔認証処理システム30は、オンラインでの本人確認に顔認証を使用する。顔認証処理システム30は、ユーザUの本人登録時に登録されたユーザUの写真付き本人確認書類から切り出された顔画像データ(本人確認用顔画像データ)を保持している。写真付き本人確認書類としては、運転免許証、マイナンバーカード、旅券、社員証、学生証等の書類であってもよい。顔認証処理システム30は、ユーザUの本人確認時に、ユーザUの本人確認用顔画像データと、当該本人確認時にユーザUの携帯端末10から受信した顔認証用画像データから切り出された顔画像データ(判定用顔画像データ)とを照合することにより、ユーザUの本人確認を行う。顔認証用画像データは、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置で撮像された撮像画像である。又は、顔認証用画像データは、ユーザUの携帯端末10に接続された外部の撮像装置で撮像された撮像画像であってもよい。
また、本人確認用顔画像データは、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置および携帯端末10に接続された外部の撮像装置で撮像された撮像画像のみでなく、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置以外および携帯端末10に接続された外部の撮像装置以外の他の撮像装置で撮像された撮像画像であってもよい。例えば、ユーザU以外の他者の携帯端末に備わる撮像装置で撮像された撮像画像や、単体のデジタルカメラで撮像された撮像画像や、スキャナーで取り込まれた画像であってもよい。
【0014】
本実施形態に係るユーザ認証システム1は、個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合に、本人確認用顔画像データと本人確認時の判定用顔画像データとの一致率(本人一致率)を判定するための閾値(判定閾値)をユーザ毎に補正することにより、顔認証の認証率を改善するためのユーザ認証方法を実行する。
【0015】
図2は、本実施形態に係るユーザ認証システム1における携帯端末10の概要の機能ブロック図である。図2に示すように、携帯端末10は、カメラ部110と、表示部120と、操作部130と、制御部140と、記憶部150と、通信部160とを備える。
【0016】
カメラ部110は、レンズ系と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を含み、被写体であるユーザUを撮像する。
【0017】
表示部120は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)等のうちいずれかの表示素子を含み、カメラ部110の撮像画像や各種の情報を表示する。
【0018】
操作部130は、表示部120上に積層して配置されたタッチスクリーンを含み、ユーザUによってタッチされた接触状態やタッチスクリーン上の位置を検知して、各種情報の入力を受け付ける。また、操作部130は、物理的なキーやボタンであってもよい。
【0019】
制御部140は、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶部150に格納されているプログラムを呼び出して実行することによって、各種の機能を実行する。制御部140の機能は、CPUが記憶部150に格納されたアプリケーションプログラム1501を実行することにより実現される。
【0020】
記憶部150は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部150には、制御部140(CPU)で実行されるアプリケーションプログラム1501や各種のデータが記憶される。
【0021】
通信部160は、LTE(Long Term Evolution)等のモバイル通信網や、IEEE1394の無線LAN(Local Area Network)により、ネットワーク50を介して、顔認証処理システム30と各種データの通信を行う。
【0022】
図3は、本実施形態に係る顔認証処理システム30の機能を説明する概略ブロック図である。顔認証処理システム30は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを備える。
【0023】
通信部310は、ネットワーク50を介して、携帯端末10との間で各種データの通信を行う。
【0024】
記憶部320は、各種データを記憶する。記憶部320は、本人確認用顔画像データ格納部3201と、本人一致率格納部3202とを有する。
【0025】
本人確認用顔画像データ格納部3201は、ユーザU毎に、ユーザUの登録時に登録された本人確認用顔画像データをユーザUの識別情報(ユーザID)に関連付けて格納する。本人一致率格納部3202は、ユーザU毎に、ユーザUの登録時に算出された本人一致率(登録時本人一致率)をユーザUのユーザIDに関連付けて格納する。
【0026】
制御部330は、顔認証処理システム30の各部を制御する。制御部330は、その機能として、判定用顔画像取得部3301と、本人一致率算出部3302と、判定閾値算出部3303と、本人確認判定部3304と、を含む。
【0027】
制御部330の各機能は、制御部330がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアから構成され、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部330として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、制御部330は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、制御部330の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、制御部330は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は制御部330の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、制御部330として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0028】
判定用顔画像取得部3301は、ユーザUの判定用顔画像データを取得する。ユーザUの判定用顔画像データは、ユーザUが本人確認時に使用する撮像装置で撮像された撮像画像データである。ユーザUが本人確認時に使用する撮像装置は、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置であってもよく、又はユーザUの携帯端末10に接続された外部の撮像装置であってもよい。
【0029】
本人一致率算出部3302は、判定用顔画像取得部3301により取得されたユーザUの判定用顔画像データと、予め登録されたユーザUの本人確認用顔画像データとを照合し、判定用顔画像データと本人確認用顔画像データとの一致率(本人一致率)を算出する。ユーザUの本人確認用顔画像データは、本人一致率格納部3202に格納されている。
【0030】
ユーザUの登録時に、判定用顔画像取得部3301により取得されたユーザUの判定用顔画像データを使用して本人一致率算出部3302により算出されたユーザUの本人一致率は、ユーザUのユーザIDに関連付けて本人一致率格納部3202に格納される。
【0031】
判定閾値算出部3303は、本人一致率格納部3202に格納されたユーザUの本人一致率に基づいて、ユーザUの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値を算出する。
【0032】
本人一致率の判定閾値T(%)の算出式の一例を次の(1)式に示す。
は次式により算出される。
T=(T_0÷100)×(N÷100)×100 ・・・(1)
但し、T_0(%)は、本人一致率の判定閾値の初期値である。本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は、予め、記憶部320に格納される。N(%)は、ユーザUの登録時に算出された本人一致率(登録時本人一致率)である。ユーザUの登録時本人一致率N(%)は、本人一致率格納部3202に格納されている。
【0033】
なお、本人一致率の判定閾値T(%)の算出式は、様々な変形が可能である。例えば、次の(2)式の変形例が挙げらえる。
T=(T_0÷100)×(N÷100)×C×100 ・・・(1)
但し、Cは、ユーザUの本人確認時における撮影状況を示す撮影状況パラメータである。撮影状況パラメータCの取得方法は、事前に様々な撮影状況の測定結果から決定された複数の撮影状況パラメータを予め記憶部320に格納しておき、判定閾値算出部3303は、その複数の撮影状況パラメータの中から、ユーザUの本人確認時に取得された判定用顔画像データに対応する撮影状況パラメータCを選択する。例えば、判定閾値算出部3303は、様々な撮影状況に対応する複数の撮影状況パラメータの中から、ユーザUの本人確認時に取得された判定用顔画像データに写っている被写体や背景の画像に対応する撮影状況パラメータCを選択する。本人一致率の判定閾値T(%)の算出において撮影状況パラメータがさらに使用されることにより、ユーザUのユーザ認証毎に撮影状況が変化する場合にも適応することができる。
ここで、撮影状況パラメータの例を以下に挙げる。
(1)太陽光や月光等の自然光や、ろうそくや白熱電球や蛍光ランプやLED等の人工光などの光源の違いによって色温度や色分布などの撮影状況の違いが生じる。このため、撮影状況パラメータの一例として光源の違いを表す撮影状況パラメータを設けてもよい。
(2)単色の背景や風景が映り込んでいる背景などの背景の違いによって撮影状況の違いが生じる。このため、撮影状況パラメータの一例として背景の違いを表す撮影状況パラメータを設けてもよい。
(3)露出や、光源と被写体との照射角度及び距離などの撮影条件が異なると、例えば、背景の明るさ、顔部分の明るさ、背景と顔部分との明るさの差異、顔部分やその他の身体の部分の影の出方などが異なってくる。例えば、撮影者であるユーザの撮影時のカメラの向きの癖などによって、撮影条件が変わり得る。このため、撮影状況パラメータの一例として撮影条件の違いを表す撮影状況パラメータを設けてもよい。
(4)撮像装置の解像度や、ISO感度や、光源の強さによる明るさ及びやピントの合焦位置などの撮像装置の性能の違いによって撮影状況の違いが生じる。このため、撮影状況パラメータの一例として撮像装置の性能の違いを表す撮影状況パラメータを設けてもよい。
(5)髪型や髪の色等の毛髪の特徴や、化粧の仕方や、身に着けるアクセサリーの有無や、顔面の下向きや上向きや横向きや斜め向き等の被写体の撮影時の癖などの、被写体であるユーザ自身の特性の違いによって撮影状況の違いが生じる。このため、撮影状況パラメータの一例として被写体であるユーザ自身の特性の違いを表す撮影状況パラメータを設けてもよい。
【0034】
また、上記の(1)式では各変数T_0,Nを乗算しているが、これに限定されない。例えば、各変数T_0,Nを引数にした関数を定義し、当該関数を用いて本人一致率の判定閾値T(%)を算出してもよい。同様に、上記の(2)式もついても、各変数T_0,N,Cを引数にした関数を定義し、当該関数を用いて本人一致率の判定閾値T(%)を算出してもよい。
【0035】
また、本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は、固定値であってもよく、又は適宜変更されてもよい。例えば、本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は、定期的に更新されてもよい。また、一定回数以上の更新後は、過去m回の更新分の平均値や中央値等の統計的手法により、本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)を決定してもよい。
【0036】
また、本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は、顔認証が使用される場面の重要度に応じて複数が予め記憶部320(本人一致率判定閾値初期値格納部)に格納されてもよい。例えば、ユーザUのログイン時に使用される本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は条件を緩くする、一方、ユーザUの金融取引等の重要度が高い場面に使用される本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)は条件を厳しくしてもよい。判定閾値算出部3303は、ユーザUの顔認証が使用される場面に対応する本人一致率の判定閾値の初期値を本人一致率判定閾値初期値格納部から取得して用いる。
【0037】
本人確認判定部3304は、判定閾値算出部3303により算出されたユーザUの判定閾値T(%)と、ユーザUの本人確認時本人一致率R(%)とを使用して、本人確認の判定を行う。ユーザUの本人確認時本人一致率R(%)は、本人一致率算出部3302がユーザUの本人確認時の判定用顔画像データを使用して算出した本人一致率である。ユーザUの本人確認時の判定用顔画像データは、判定用顔画像取得部3301がユーザUの本人確認時に取得したユーザUの判定用顔画像データである。
【0038】
本人確認の判定は、次の判定条件により行われる。例えば「T(%)<R(%)」である場合に本人確認の判定「合格」であり、「T(%)≧R(%)」である場合に本人確認の判定「不合格」である。又は、「T(%)≦R(%)」である場合に本人確認の判定「合格」であり、「T(%)>R(%)」である場合に本人確認の判定「不合格」であるとしてもよい。
【0039】
次に図4図5を参照して本実施形態に係るユーザ認証システム1の動作の手順を説明する。図4は、本実施形態に係るユーザ認証システム1のユーザ登録時の動作手順の一例を示すシーケンス図である。図5は、本実施形態に係るユーザ認証システム1のユーザ認証時の動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【0040】
[ユーザ登録段階]
図4を参照して本実施形態に係るユーザ認証システム1のユーザ登録時の動作手順を説明する。
【0041】
(ステップS101) 携帯端末10において制御部140は、顔認証処理システム30に対して、ユーザ登録開始要求を送信する。顔認証処理システム30において制御部330は、携帯端末10からのユーザ登録開始要求に応じて、ユーザIDの発行等のユーザ登録の準備を行う。
【0042】
(ステップS102) 携帯端末10において制御部140は、写真付き本人確認書類の画像データ及びユーザUの個人情報を顔認証処理システム30へ送信する。写真付き本人確認書類の画像データは、例えば、ユーザUの運転免許証が携帯端末10のカメラ部110で撮像された撮像画像である。ユーザUの個人情報は、氏名、住所、性別、年齢等のユーザUの属性情報などである。
【0043】
(ステップS103) 顔認証処理システム30において制御部330は、携帯端末10から受信した写真付き本人確認書類の画像データから顔画像データを切り取り、切り取った顔画像データ(本人確認用顔画像データ)をユーザUのユーザIDに関連付けて本人確認用顔画像データ格納部3201に格納する。また、制御部330は、携帯端末10から受信したユーザUの個人情報をユーザIDに関連付けて記憶部320に格納する。
【0044】
(ステップS104) 携帯端末10において制御部140は、ユーザUの操作に応じて、ユーザUのユーザ登録時の判定用撮像画像を取得する。例えば、制御部140は、ユーザUが携帯端末10のカメラ部110により自撮りした撮像画像を当該判定用撮像画像(登録時判定用撮像画像データ)として取得する。
【0045】
(ステップS105) 携帯端末10において制御部140は、取得したユーザUの登録時判定用撮像画像データを顔認証処理システム30へ送信する。顔認証処理システム30において判定用顔画像取得部3301は、携帯端末10から受信したユーザUの登録時判定用撮像画像データをユーザUの登録時の判定用顔画像データとして取得する。
なお、本人確認用顔画像データは、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置および携帯端末10に接続された外部の撮像装置で撮像された撮像画像のみでなく、ユーザUの携帯端末10に備わる撮像装置以外および携帯端末10に接続された外部の撮像装置以外の他の撮像装置で撮像された撮像画像であってもよい。例えば、ユーザU以外の他者の携帯端末に備わる撮像装置で撮像された撮像画像や、単体のデジタルカメラで撮像された撮像画像や、スキャナーで取り込まれた画像であってもよい。
【0046】
(ステップS106) 顔認証処理システム30において本人一致率算出部3302は、判定用顔画像取得部3301により取得されたユーザUの登録時の判定用顔画像データと、本人確認用顔画像データ格納部3201に格納されたユーザUの本人確認用顔画像データとを照合し、当該判定用顔画像データと当該本人確認用顔画像データとの一致率(登録時本人一致率N(%))を算出する。本人一致率格納部3202は、算出されたユーザUの登録時本人一致率N(%)をユーザUのユーザIDに関連付けて格納する。
【0047】
(ステップS107) 顔認証処理システム30において制御部330は、携帯端末10に対して、ユーザ登録完了通知を送信する。
【0048】
[ユーザ認証段階]
図5を参照して本実施形態に係るユーザ認証システム1のユーザ認証時の動作手順を説明する。
【0049】
(ステップS201) 携帯端末10において制御部140は、顔認証処理システム30に対して、ユーザ認証開始要求を送信する。顔認証処理システム30において制御部330は、携帯端末10からのユーザ認証開始要求に応じて、ユーザ認証の準備を行う。
【0050】
(ステップS202) 携帯端末10において制御部140は、ユーザUの操作に応じて、ユーザUの本人確認時の判定用撮像画像を取得する。例えば、制御部140は、ユーザUが携帯端末10のカメラ部110により自撮りした撮像画像を当該判定用撮像画像(本人確認時判定用撮像画像データ)として取得する。
【0051】
(ステップS203) 携帯端末10において制御部140は、取得したユーザUの本人確認時判定用撮像画像データを顔認証処理システム30へ送信する。顔認証処理システム30において判定用顔画像取得部3301は、携帯端末10から受信したユーザUの本人確認時判定用撮像画像データをユーザUの本人確認時の判定用顔画像データとして取得する。
【0052】
(ステップS204) 顔認証処理システム30において本人一致率算出部3302は、判定用顔画像取得部3301により取得されたユーザUの本人確認時の判定用顔画像データと、本人確認用顔画像データ格納部3201に格納されたユーザUの本人確認用顔画像データとを照合し、当該判定用顔画像データと当該本人確認用顔画像データとの一致率(本人確認時本人一致率R(%))を算出する。
【0053】
(ステップS205) 顔認証処理システム30において判定閾値算出部3303は、本人一致率格納部3202からユーザUの登録時本人一致率N(%)を取得する。
【0054】
(ステップS206) 顔認証処理システム30において判定閾値算出部3303は、取得したユーザUの登録時本人一致率N(%)に基づいて、ユーザUの本人確認時に使用される本人一致率の判定閾値T(%)を算出する。例えば、判定閾値算出部3303は、ユーザUの登録時本人一致率N(%)と記憶部320に予め格納された本人一致率の判定閾値の初期値T_0(%)とを使用して、上記の(1)式により、判定閾値T(%)を算出する。なお、判定閾値T(%)の算出方法は、上記した(1)式、(2)式及び各種の変形例などから予め設定される。
【0055】
(ステップS207) 顔認証処理システム30において本人確認判定部3304は、判定閾値算出部3303により算出されたユーザUの判定閾値T(%)と、本人一致率算出部3302により算出されたユーザUの本人確認時本人一致率R(%)とを使用して、所定の判定条件により本人確認の判定を行う。例えば、「T(%)<R(%)」である場合に本人確認の判定「合格」であり、「T(%)≧R(%)」である場合に本人確認の判定「不合格」である。
【0056】
(ステップS208) 顔認証処理システム30において制御部330は、携帯端末10に対して、ユーザ認証結果通知を送信する。ユーザ認証結果通知は、本人確認判定部3304によるユーザUの本人確認の判定結果を示す通知である。
【0057】
なお、ステップS207において本人確認の判定「不合格」である場合に、判定用顔画像取得部3301は、携帯端末10に対して、本人確認時判定用撮像画像データの再取得を要求してもよい。本人確認時判定用撮像画像データが再取得された場合は、再度、上記ステップS203からユーザUの認証の手順が再実行される。
【0058】
また、ステップS207において本人確認の判定「不合格」である場合に、本人確認判定部3304は、顔認証以外の他の認証方法によりユーザUの認証を行ってもよい。顔認証以外の他の認証方法として、例えば、指紋認証等の他の生体認証方法が挙げられる。
【0059】
本人確認判定部3304は、上記した本人確認時判定用撮像画像データの再取得後の再認証や顔認証以外の他の認証方法による追加認証の結果を総合して、最終的な本人確認の判定「合格又は不合格」を決定してもよい。
【0060】
上述した実施形態によれば、個々のユーザがそれぞれの携帯端末等の撮像装置を顔認証に利用する場合に、本人確認用顔画像データと本人確認時の判定用顔画像データとの一致率(本人一致率)を判定するための閾値(判定閾値)をユーザ毎に補正することにより、顔認証の認証率を改善することができるという効果が得られる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末10をユーザ認証システム1に適用したが、これに限定されない。例えば、PC(Personal Computer)を適用してもよい。
【0062】
また、図3に示される顔認証処理システム30の制御部330の機能のうち一部又は全部が、携帯端末10等のユーザUの端末に備えられてもよい。同様に、顔認証処理システム30の記憶部320に設けられたユーザUに関する本人確認用顔画像データ格納部3201や本人一致率格納部3202が携帯端末10等のユーザUの端末に備えられてもよい。
【0063】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…ユーザ認証システム、10…携帯端末、30…顔認証処理システム、110…カメラ部、120…表示部、130…操作部、140…制御部、150…記憶部、160,310…通信部、320…記憶部、330…制御部、3201…本人確認用顔画像データ格納部、3202…本人一致率格納部、3301…判定用顔画像取得部、3302…本人一致率算出部、3303…判定閾値算出部、3304…本人確認判定部、50…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5