(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111779
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】往復葉書及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
B42D15/02 501E
B42D15/02 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023026683
(22)【出願日】2023-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA03
2C005WA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安価で場所を取らない小型の印刷機或いはプリンターでも対応が可能で、汎用性に富み極めて大量の情報を伝達することが可能な往復葉書とその製造方法を提供する。
【解決手段】折り線を介して横方向に連接された2葉片から成る3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成したことを特徴とした往復葉書。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して横方向に連接された2葉片から成る3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成したことを特徴とした往復葉書。
【請求項2】
折り線を介して横方向に連接された2葉片から成る3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成した往復葉書の製造方法であって、
折り線を介して横方向に連接した第一葉片及び第二葉片から成る第一の単位シートと、第三葉片及び第四葉片から成る第二の単位シート及び第五葉片及び第六葉片から成る第三の単位シートが、第一、第二及び第三の単位シートの順に横方向の折り線を介して縦方向に連接した往復葉書シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、
繰り出された往復葉書シートの疑似接着予定面及び完全接着予定面に疑似接着媒体及び完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、
接着媒体が形成された往復葉書シートの第一の単位シート裏面と第二の単位シートの裏面同士及び第二の単位シート表面と第三の単位シートの表面同士が対向するように断面Z字状に折り畳む第一の折り畳み工程と、
前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートの第五葉片と第六葉片の裏面同士が対向するように二つ折り折り畳む第二の折り畳み工程と、
前記二つ折りに折り畳まれた往復葉書シートに加圧或いは加熱加圧処理を施し、任意の対向面間の接着媒体同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化する接着工程と、
からなることを特徴とした往復葉書の製造方法。
【請求項3】
折り線を介して横方向に連接された2葉片から成ると3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成した往復葉書の製造方法であって、
折り線を介して横方向に連接した第一葉片及び第二葉片から成る第一の単位シートと、第三葉片及び第四葉片から成る第二の単位シート及び第五葉片及び第六葉片から成る第三の単位シートが、第一、第二及び第三の単位シートの順に横方向の折り線を介して縦方向に連接した往復葉書シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、
繰り出された往復葉書シートの疑似接着予定面及び完全接着予定面に疑似接着媒体及び完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、
接着媒体が形成された往復葉書シートの第一の単位シート裏面と第二の単位シートの裏面同士及び第二の単位シート表面と第三の単位シートの表面同士が対向するように断面Z字状に折り畳む第一の折り畳み工程と、
前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートに加圧或いは加熱加圧処理を施し、任意の対向面間の接着媒体同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化する接着工程と、
前記断面Z字状で接着一体化された往復葉書シートの第五葉片と第六葉片の裏面同士が対向するように二つ折り折り畳み往復葉書の折り畳み形態とする第二の折り畳み工程と、からなることを特徴とした往復葉書の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3において、完成した往復葉書の折り畳みにより袋状態となっている天地側の縁辺を切除する切除工程が何れかの工程間或いは最終工程に付加されていることを特徴とした往復葉書の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は往復葉書に関する。詳しくは複数の葉片の折り畳みにより剥離可能に重ね合わされ一体化された往信片と、同じく複数の葉片の折り畳みにより剥離不能に重ね合わされ一体化された返信片が連接された往復葉書とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在複数の葉片を折り畳み剥離可能に一体化した葉書が多用されている。このものは内国郵便約款に記載される寸法、重量等の制限範囲内で最大限の情報を安価に郵送する極めて有用な手段として利用されている。その中でも最大の情報記載が見込める往復葉書に多くの形態が考えられており、例えば特開2000-198286号公報に開示される重ね合わせ往復葉書用シートにより製造される往復葉書がある。
【先行特許文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記引用文献の発明の往復葉書用シートは、折り線を介して横方向に6枚の葉片が連接されたシートであり、前記シートの中央の折り線から二つ折りに折り畳み、前記中央の折り線側から対向して連接する2葉片の対向面同士を剥離不能に接着し、前記中央の折り線と逆側の解放側の対向する2葉片をそれぞれ逆側へ反転して折り畳み、対接する葉片と剥離可能に接着したもので、前記中央の折り線側の対向する剥離不能の2葉片を返信片と成し、残りの剥離不能の2葉片と剥離可能な2葉片から成る合計4葉片を往信片とした往復葉書を製造することができる。既述の通り前記往復葉書は往信片が対向する剥離不能な2葉片を往信葉書本体とし、前記往信葉書本体の両面に貼付片が連接されており、受取人は全6頁の製本状態からなる往信片の外部及び内部の情報を視認できる構成になっている。
【0005】
前記引用文献の発明では、極端に横長状態のシートを使用する。そのため各種情報を印字するにあたり、それに合わせた幅広の間口の大型印刷機や大型プリンターを必要とするため汎用性に欠ける。往復葉書用シートを使用する側としては、より間口が狭く小型で場所を取らない小回りの利くシステムを使用したいところである。
【0006】
本発明は前記問題に鑑み、安価で場所を取らない小型の印刷機或いはプリンターでも対応が可能で、汎用性に富み極めて大量の情報を伝達することが可能な往復葉書とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の往復葉書は、折り線を介して横方向に連接された2葉片から成る3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成したことを特徴としている。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明の往復葉書の製造方法は、折り線を介して横方向に連接された2葉片から成る3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成した往復葉書の製造方法であって、折り線を介して横方向に連接した第一葉片及び第二葉片から成る第一の単位シートと、第三葉片及び第四葉片から成る第二の単位シート及び第五葉片及び第六葉片から成る第三の単位シートが、第一、第二及び第三の単位シートの順に横方向の折り線を介して縦方向に連接した往復葉書シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、
繰り出された往復葉書シートの疑似接着予定面及び完全接着予定面に疑似接着媒体及び完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、接着媒体が形成された往復葉書シートの第一の単位シート裏面と第二の単位シートの裏面同士及び第二の単位シート表面と第三の単位シートの表面同士が対向するように断面Z字状に折り畳む第一の折り畳み工程と、前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートの第五葉片と第六葉片の裏面同士が対向するように二つ折り折り畳む第二の折り畳み工程と、前記二つ折りに折り畳まれた往復葉書シートに加圧或いは加熱加圧処理を施し、任意の対向面間の接着媒体同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化する接着工程と、からなることを特徴としている。
【0009】
さらにまた上記目的を達成するために、本発明の往復葉書の異なる製造方法は、折り線を介して横方向に連接された2葉片から成ると3組の単位シートを縦方向に連接した往復葉書シートを縦横に折り畳み、任意の対向面を剥離不能或いは剥離可能に接着した往復葉書であって、上から第一葉片、第三葉片、第五葉片、第六葉片、第四葉片及び第二葉片の順に重ね合わされ、第一葉片と第三葉片及び第三葉片と第五葉片の対向面間が疑似接着媒体により剥離可能に接着され、第六葉片と第四葉片及び第四葉片と第二葉片の対向面間が完全接着媒体により剥離不能に接着され、前記剥離可能に接着されて重ね合わされた第一葉片、第三葉片及び第五葉片の3葉片が往復葉書の往信片となり、前記剥離不能に接着されて重ね合わされた第六葉片、第四葉片及び第二葉片の3葉片が往復葉書の返信片を形成した往復葉書の製造方法であって、折り線を介して横方向に連接した第一葉片及び第二葉片から成る第一の単位シートと、第三葉片及び第四葉片から成る第二の単位シート及び第五葉片及び第六葉片から成る第三の単位シートが、第一、第二及び第三の単位シートの順に横方向の折り線を介して縦方向に連接した往復葉書シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、繰り出された往復葉書シートの疑似接着予定面及び完全接着予定面に疑似接着媒体及び完全接着媒体を形成する接着媒体の形成工程と、接着媒体が形成された往復葉書シートの第一の単位シート裏面と第二の単位シートの裏面同士及び第二の単位シート表面と第三の単位シートの表面同士が対向するように断面Z字状に折り畳む第一の折り畳み工程と、前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートに加圧或いは加熱加圧処理を施し、任意の対向面間の接着媒体同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化する接着工程と、前記断面Z字状で接着一体化された往復葉書シートの第五葉片と第六葉片の裏面同士が対向するように二つ折り折り畳み往復葉書の折り畳み形態とする第二の折り畳み工程と、からなることを特徴としている。
【0010】
前記2種類の往復葉書の製造方法において、往復葉書の形態に仕上げるために往信片と返信片の天地側縁辺の袋とじ状態の折り線部分を切除して開放する必要があるが、その切除工程を最終工程として付加しても構わない。また前記天地側縁辺の袋とじ状態の折り線部分を受取人が鋏やカッター等の切除道具を用いて切除して開放しても構わない。受取人側で切除する場合は秘匿性がより増すことになる。さらに横方向の折り線(天地側の縁辺を形成する折り線)を折り兼切り取りミシンにすることで、天地側に縁辺に形成された前記折りミシン兼切り取りミシンを破り直接開放しても構わない。その場合廃棄片が生じないため至便である。
【0011】
また前記往信片と返信片の天地側縁辺を切除して開放する切除工程は、必ずしも最終工程に配置する必要はなく、例えば往信片と返信片が二つ折りされる折り畳み工程の上流側或いは下流側の何れの側の任意の個所に配置しても構わない
【0012】
本発明に使用される往復葉書用紙は通常の上質紙、マット紙、コート紙、合成紙、樹脂シート、不織布等を好適に使用することができる。また前記往復葉書用紙はフォーム印刷や輪転印刷等で使用される連続状態の用紙から切り出されても、或いはオフセット印刷等で使用される枚葉状態の用紙から切り出されても構わない。
【0013】
そして折り畳みにより生じる任意の対向面間を剥離可能に接着する手段として、例えば疑似接着性のUVニス等を印刷表面に塗工して疑似接着性被膜を形成する後糊方式(ニス引き方式)、また合成ゴムや天然ゴムを主剤とした疑似接着性糊を印刷前の用紙表面に塗工した先糊方式、或いは樹脂フィルムシートの表面を疑似接着加工したフィルム方式等が業界で実施されている。何れの方式も、前記各種の疑似接着加工が施された印刷用紙の表面同士を対向させて、加圧或いは加熱加圧処理を施すことにより剥離可能に接着することが可能である。
【0014】
また折り畳みにより生じる任意の対向面間を剥離不能に接着する手段として、例えば感熱性接着剤、感圧感圧性接着剤、乾湿性接着剤或いは加熱や加圧により接着するように表面処理が施された樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
【0015】
本発明の往復葉書の製造方法には、折り畳み工程と接着工程が組み込まれているが、往信片と返信片が二つ折りされた往復葉書の最終形態までの折り畳みを完了してから、圧着工程を通過させて任意の対向面を剥離可能或いは剥離不能に接着してもよく、往信片と返信片が二つ折りに折り畳まれる前に圧着工程を通過させて任意の対向面を剥離可能或いは剥離不能に接着し、その後往信片と返信片を二つ折りに折り畳み最終の往復葉書の形態に仕上げても構わない。
【発明の効果】
【0016】
本発明の往復葉書は往信片と返信片が共に3葉片の貼り合わせにより構成されるため、返信葉書が1葉片或いは2葉片から成る構成に比較して両葉片のバランスが取れた構成となる。
また本発明の往復葉書の製造方法は、横方向に多数の葉片が連接された往復葉書シートではなく、横方向へ2葉片連接された単位シートが縦方向に3組の単位シート連接された往復葉書シートを使用する。そのため横方向へ2葉片連接された狭い間口の小型の印刷機やプリンターの使用が可能で、小回りが利き汎用性に富む。従って多品種小ロットの往復葉書を製造するに際してスペースを必要とせず安価な往復葉書を必要数だけ製造することが可能になる。
また、往信葉書の往信片の天地側縁辺が袋とじ状態の場合、受取人の切除により解放され剥離展開可能となるため秘匿性が増す。
さらに前記天地側縁辺の折り線に形成された各種折り及び切除手段を破断して開放するようにすれば廃棄するごみが発生しないのでより至便である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(A)は本発明の往復葉書Hの表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】(A)は
図1(A)におけるI-I線断面図及び
図10におけるIX-IX線断面図、(B)は
図1(A)におけるII-II線断面図である。
【
図3】(A)は本発明の往復葉書Hの往信葉書h1と返信葉書h2を平面に展開した状態の表面図、(B)は裏面図である。
【
図4】(A)は
図3(A)におけるIII-III線断面図、(B)はIV-IV線断面図、(C)はV-V線断面図である。
【
図5】本発明の往復葉書Hの各葉片の状態を示す斜視図である。
【
図6】(A)は本発明の往復葉書の製造方法に使用する往復葉書シートSの表面図、(B)は裏面図である。
【
図7】(A)は往復葉書シートSに疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆された状態を示す表面図、(B)は裏面図である。
【
図8】(A)横方向の折り線8及び9から断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートSの状態を示す表面図、(B)は裏面図である。
【
図9】(A)は
図8(A)におけるVI-VI線断面図、(B)はVII-VII線断面図、(C)はVIII-VIII線断面図である。
【
図10】(A)は第一の折り畳み工程で断面Z字状に折り畳まれた後に第二の折り畳み工程で往信葉書h1と返信葉書h2が折り線7から二つ折りに折り畳まれた状態の往復葉書シートSの表面図、(B)は裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を図面に沿って分かりやすく本発明を説明する。なお本実施例では疑似接着媒体として疑似接着フィルムシート、完全接着媒体として完全接着フィルムシートを使用するが、既述の多の疑似接着媒体を使用しても構わない。
【0019】
前記疑似接着フィルシートは、往復葉書シートの少なくとも疑似接着予定面に被覆される。また前記完全接着フィルムシートは往復葉書シートの少なくとも完全接着予定面に被覆されている。そして被覆完了後、往復葉書シートの疑似接着フィルムシート同士を対向させ折り畳み加圧或いは加熱・加圧処理を施すと、疑似接着予定の対向面同士が剥離可能に或いは完全接着予定の対向面同士が剥離不能に接着される。その後前記疑似接着フィルムシートの対向面間の縁辺を指で摘み引き剥がすと容易に剥離することができる。なお疑似接着及び完全接着フィルシートはそれぞれ同種のフィルムシート同士が対向しない限り接着することはない。即ち疑似接着フィルムシートと用紙、完全接着フィルムシート用紙或いは疑似接着フィルムシートと完全接着フィルムシート同士が対向しても接着することはない。
【0020】
既述の通り疑似接着フィルムシートを使用して(他の疑似接着媒体でも構わない)完成した往復葉書は、投函後郵送中は良好に密着しているが受取人が疑似接着している葉片同士を意図的に剥離すると、疑似接着フィルムシート同士の間から剥離が開始され、最終的に平面に展開され透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートを透して内部の情報を視認することができるのである。
【0021】
[往復葉書]
図1及び
図2は本発明の往復葉書Hの外観および断面の構成を示している。
本発明の往復葉書Hは
図2(A)に示すように、6葉片が上から第一葉片1、第三葉片3、第五葉片5、第六葉片6、第四葉片4及び第二葉片2の順に縦横に折り畳まれて重ね合わされている。そして前記第一葉片1、第三葉片3及び第五葉片5の3葉片が往信葉書h1を形成し、第六葉片6、第四葉片4及び第二葉片2の3葉片が返信葉書h2を形成している。
【0022】
前記往信葉書h1と返信葉書h2は折り線7で連接されており、往信葉書h1を形成する3葉片の対向面間は疑似接着フィルムシートGが介在して剥離可能に接着されるが、返信葉書h2を形成する3葉片の対向面間は完全接着フィルムシートKの介在により剥離不能に接着して一体化されている。なお、
図2(A)において第五葉片5と第六葉片6間は往信葉書h1と返信葉書h2が折り線7から折り畳まれて重ね合わされているが、両葉片間は疑似接着フィルムシートGと完全接着フィルシートKの異種類のフィルムシートが対向しているので接着されずフリーな状態である。
【0023】
本実施例の往復葉書Hは全ての葉片の両面が疑似接着フィルムシート或いは完全接着フィルムシートの何れかにより被覆されているが、必ずしもその必要はない。例えば
図3(A)及び(B)に示す往信葉書及び返信葉書が平面状態に展開された表裏面図の、第一葉片1と第二葉片2の表出面及び第六葉片6と第五葉片5の表出面を被覆保護している疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKは、往信葉書と返信葉書の一体化のための各種接着に寄与していないため省略して被覆しなくても構わない。
【0024】
本往復葉書Hの受取人は、例えば
図3(A)及び(B)に示すように、往信葉書h1と返信葉書h2を平面に展開して、
図4(A)、(B)及び(C)に示す剥離可能な対向面を有する往信葉書h1の各葉片間を、天地側縁辺に沿って成された段差を剥離の端緒として
図5に示す状態に剥離展開し、内部に記載されている情報を視認することができる。
【0025】
なお受取人の手元において往信葉書h1の天地側縁辺が、仮に
図8(A)及び(B)に示すように切除されておらず解放されていない場合、受取人は切り落とし線10に沿ってカッターや鋏等により天地側縁辺を切除することで各葉片を剥離可能に開放することができる。
【0026】
また天地側縁辺の切除による解放は、切り落とされた天地側縁辺がごみになるが、例えば前記天地側縁辺の折り線部分に折りミシン兼切り取りミシン等の折り畳み或いは切り落とし手段等を形成しておいて、前記折り線部分を直接破断して開放すればごみの発生はなくなりより至便である。
【0027】
[往復葉書の製造方法1]
図6(A)に示すように、発明の往復葉書の製造方法で使用する往復葉書シートSは、第一葉片1及び第二葉片2が縦方向の折り線7を介して横方向に連接した単位シートt1と、第三葉片3及び第四葉片4が縦方向の折り線7を介して横方向に連接した単位シートt2及び第五葉片5と第六葉片6が縦方向の折り線7を介して横方向に連接した単位シートt3からなり、前記3組の単位シートが横方向の折り線8及び9を介して縦方向連接したものである。
【0028】
なお前記単位シートのそれぞれの葉片の横幅は略同じであるが縦幅には違いがあり、t2>t1≒t3の関係にある。これは後述するが意図的に段差を形成することで、両側に貼付葉片が接着された中央の葉片(往信葉書本体)に「郵便往復葉書」の表示を記載可能にするためと、往信葉書の貼付片を往信葉書本体から剥離する際の端緒とするものである。
【0029】
既述の往復葉書シートSは、例えばフォーム印刷や輪転印刷等で使用される連続用紙に印刷されていても或いはオフセット印刷等で使用される枚葉用紙に印刷されていても構わず、往復葉書Hの製造方法での最上流のシートの繰り出し工程から順次下流の各工程へ繰り出されるのである。
【0030】
繰り出された往復葉書シートSが印刷された用紙は、次に接着媒体の形成工程により
図7(A)及び(B)に斜線で示すように、疑似接着予定面(第葉片1、第三葉片3及び第五葉片5の表面及び裏面)に疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に完全接着予定面(第二葉片2、第四葉片4及び第六葉片6の表面及び裏面)に完全接着フィルムシートKが被覆される。
【0031】
前記疑似接着フィルムシートの厚さは10~50μmのものを使用できるが、特に25~35μmのものが重量的に好適に使用することができる。そして前記疑似接着フィルムシートの材質は、例えばポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等の基材の一方の面にEVAやポリエチレン等からなる公知の感熱接着剤層を形成すると共に、残るもう一方の面に疑似接着層を形成した3層構成のものをサーマルラミネート法により好適に使用することができる。また前記公知の感熱接着剤層を省略した2層構成のものをドライラミネート法により使用することもできる。
【0032】
記述の通り各種フィルムシートが被覆された往復葉書シートSは図示されない断裁機等の切除装置により、往復葉書シートSが印刷された用紙の図示されない往復葉書用紙Sを取り囲む余分な用紙部分を切除して、
図7(A)、(B)に示すように単体の往復葉書シートSに切り出された後に、下流の第一の折り畳み工程へと送り出される。なお前記切除装置による往復葉書シートSを取り囲む余分な用紙部分の切り出し操作は、後述する折り畳み工程後に切り出しても構わず、また各工程の前後に配置して段階的に切り出すようにしても構わない。
【0033】
続く第一の折り畳み工程では
図8及び
図9に示すように往復葉書シートSは、各種フィルムシートが被覆された往復葉書シートSの第一の単位シートt1の裏面と第二の単位シートt2の裏面同士及び第二の単位シートt2の表面と第三の単位シートt3の表面同士が対向するように、公知の折り機等により横方向の折り線8及び9から断面Z字状に折り畳まれる。
【0034】
そして引き続き
図10及び
図11に示すように、前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートSの第五葉5片と第六葉片6の裏面同士が対向するように公知の折り機等により縦方向の折り線7から二つ折りに折り畳まれると、次に加圧ローラ等の加圧装置或いはヒートローラやヒータパネル等の加熱装置と加圧ローラ等の加圧装置から成る接着工程へと送り出されるのである。
【0035】
前記接着工程では前記最終的に二つ折りに折り畳まれた往復葉書シートSに加圧或いは加熱・加圧処理を施し、任意の対向面間の各種フィルムシート同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化し、
図10及び
図11に示すように往信葉書h1と返信葉書h2をそれぞれ剥離可能及び剥離不能に接着一体化する。なお往信葉書と返信葉書の折り畳みによる対向面の表面同士は、疑似接着フィルムシートGと完全接着フィルムシートKの対向となるため接着することはなくフリーな状態である。
【0036】
本発明の往復葉書は前記工程で仕上がった状態(
図10及び
図11に示す往復葉書シートS)で投函しても構わない。その場合受取人は
図10(A)及び(B)に示す上下縁辺に破線で示す切取線10を、カッターや鋏等の切除器具を使用して切り落とす必要がある。そうすることで
図1及び
図2に示す往復葉書Hとなり、往信葉書の上下縁辺に形成されている段差を剥離の端緒として開封することができるのである。なお前記切取線での切り落としは、少なくとも往信葉書で行われる必要があるが返信葉書においては必ずしも切り落とす必要はない。この点に関しては後述する往復葉書の製造方法2においても同様である。
【0037】
[往復葉書Hの製造方法2]
本実施例における往復葉書の製造方法2を簡単に説明すると、前記往復葉書の製造方法1では「第一の折り畳み工程」→「第二の折り畳み工程」→「接着工程」の流れであるところ「第一の折り畳み工程」→「接着工程」→「第二の折り畳み工程」の流れに工程を組み替えたことにある。この流れの組み換えは製造者がその都合(使用しているシステムの構成や各種装置の配置スペース等)に合わせて選択すればよい。
以下にその流れを詳述する。
【0038】
シートの繰り出し工程により繰り出された往復葉書シートSが印刷された用紙は、次に接着媒体の形成工程により
図7(A)及び(B)に斜線で示すように、疑似接着予定面(第葉片1、第三葉片3及び第五葉片5の表面及び裏面)に疑似接着フィルムシートGが被覆されると共に完全接着予定面(第二葉片2、第四葉片4及び第六葉片6の表面及び裏面)に完全接着フィルムシートKが被覆される。
【0039】
記述の通り各種フィルムシートが被覆された往復葉書シートSは、図示されない断裁機等の切除装置により
図7(A)、(B)に示す単体の往復葉書シートSに切り出された後に、下流の第一の折り畳み工程へと送り出される。なお前記切除装置の切り出し操作は、後述する折り畳み工程後に切り出しても構わず、また各工程の前後に配置して段階的に切り出すようにしても構わない。
【0040】
続く第一の折り畳み工程では
図8及び
図9に示すように往復葉書シートSは、各種フィルムシートが被覆された往復葉書シートSの第一の単位シートt1の裏面と第二の単位シートt2の裏面同士及び第二の単位シートt2の表面と第三の単位シートt3の表面同士が対向するように、公知の折り機等により横方向の折り線8及び9から断面Z字状に折り畳まれ、次に加圧ローラ等の加圧装置或いはヒートローラやヒータパネル等の加熱装置と加圧ローラ等の加圧装置から成る接着工程へと送り出されるのである。
【0041】
前記接着工程では断面Z折りに折り畳まれた往復葉書シートSに加圧或いは加熱・加圧処理を施し、任意の対向面間の各種フィルムシート同士を剥離不能或いは剥離可能に接着して往信片と返信片をそれぞれ一体化し、
図8及び
図9に示すように往信葉書h1と返信葉書h2をそれぞれ剥離可能及び剥離不能に接着一体化する。
【0042】
そして引き続き
図10及び
図11に示すように、前記断面Z字状に折り畳まれた往復葉書シートSの第五葉5片と第六葉片6の裏面同士が対向するように、第二の折り畳み工程で公知の折り機等により縦方向の折り線7から二つ折りに折り畳まれ往復葉書として完成するのである。
【0043】
なお、前記往復葉書の製造方法1及び2の何れにおいても、受取人の手間を省くために予め切り落とし線10を切除しておいて投函しても構わないが、その切除工程の配置は、好ましくは接着工程の後に配置されるが、その配置に限らず各工程の前後何れの個所に配置しても構わない。
【0044】
本発明の往復葉書及び往復葉書の製造方法は上記実施例に限られるものではない。
例えば、天地縁辺の切り落とし線10は投函前に予め切除しておいても、或いは受取人が切除器具を用いて切り落としてもよいとしているが、その他にも前記切り落とし線に沿ってミシン目等の切除手段を形成して置いても構わない。このようにすることで秘匿性が高まると共に切除器具を用意する手間も省くことができる。
また、前記切り落とし線の代わりに折り線8及び9に折り兼切り落としミシン等の折り畳み或いは破断手段を形成しておいて、前記折り兼切り落としミシンを破断して開放するように構成しても構わない。このようにすることで切除器具の用意が不要となると共に切り落としの際の切りくずの発生もない。
さらに、往復葉書シートSを断面Z折りした際に(
図8及び9参照)、表出する往信葉書h1の第一葉片1と第五葉片5の表出面及び返信葉書h2の第二葉片2と第六葉片6の表出面に被覆されている疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKは必ずしも必要とせず、被覆されず往復葉書シートSの表面が露出した状態でも構わない。
【符号の説明】
【0045】
H 往復葉書
S 往復葉書シート
t1、t2、t3 単位シート
h1 往信葉書
h2 返信葉書
G 疑似接着フィルムシート
K 完全接着フィルムシート
1、2、3、4、5、6 葉片
7 縦方向の折り線
8、9 横方向の折り線
10 切り落とし線