(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111787
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】後部のドアを枢動可能かつ移動可能な、車両に組付けられる箱型荷台
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20240809BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20240809BHJP
E05D 15/58 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B60J5/10 A
B62D33/04 C
E05D15/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087537
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023016474
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390039723
【氏名又は名称】株式会社パブコ
(74)【代理人】
【識別番号】100096725
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 明▲ひこ▼
(72)【発明者】
【氏名】秋山 光利
(72)【発明者】
【氏名】中田 守彦
(72)【発明者】
【氏名】色摩 真一
(57)【要約】
【課題】箱型荷台の側面に構成部材を設けない、車両に組付けられる箱型荷台を提供する。
【解決手段】 本発明の箱型荷台は箱型荷台の後端に位置するフレーム部材に、観音開きに開閉可能に取り付けられるドアとフレーム部材の上方及び下方に取り付けられる上及び下ヒンジと該上及び下ヒンジとそれぞれ係合する、ドアの内側に設けられる上及び下レールとを有する。上及びヒンジはフレームに固定された上及び下ヒンジピンと該ヒンジピンによりフレームに対して枢動可能な上及び下枢動部材とを有する。該上及び下枢動部材は上及び下レール内で相対移動可能な上及び下移動部材をそれぞれ有する。上ヒンジ及び下ヒンジは、ドアを枢動可能にし、かつ箱型荷台の側面にそって移動を可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型荷台の後端に位置するフレーム部材に、観音開きに開閉可能に取り付けられるドアと、
前記フレーム部材の上方及び下方に取り付けられる上及び下ヒンジと、
該上及び下ヒンジとそれぞれ係合する、前記ドアの内側に設けられる上及び下レールと、
を有し、
前記上及び下ヒンジは、前記フレームに取り付けられた上及び下ヒンジピンと、該ヒンジピンに枢動可能に取り付けられる上及び下枢動部材とを有し、
該上及び下枢動部材は、前記上及び下レール内で相対移動可能な上及び下移動部材をそれぞれ有し、
前記上ヒンジ及び下ヒンジは、前記ドアを閉じた状態から前記箱型荷台の側面にそった状態へと枢動可能にし、
前記箱型荷台の側面にそった状態の前記ドアを車両の前後に移動させるとき、前記上レール内を前記上移動部材が相対移動するとともに、上記下レール内を前記下移動部材が相対移動する、
ことを特徴とする箱型荷台。
【請求項2】
前記ドアの下端で、前記下ヒンジ側に固定される下部ヒンジ固定部材と、
前記箱型荷台外側面に取り付けられる下部レールと、
下部ヒンジピンより、前記下部ヒンジ固定部材に連結される、前記下部レールに沿って移動可能な下部移動部材と
をさらに有し、
前記箱型荷台の側面にそった状態の前記ドアを車両の前後に移動させるとき、前記上レール内を前記上移動部材が移動し、上記下レール内を前記下移動部材が移動するとともに、前記前記下部移動部材が前記下部レールにそって移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の箱型荷台。
【請求項3】
前記下部レールの車両の後方側端部が、車両の前方側に向きを変える、ことを特徴とする請求項2に記載の箱型荷台。
【請求項4】
前記下ヒンジピンが上方に伸長する延長部を有し、
前記ドアの枢動とともに、前記下ヒンジピンが前記延長部とともに回動するように、前記下ヒンジピンが前記下移動部材に固定され、
前記延長部上に、閉じたときの前記ドアと平行に固定ピンが固定され、
前記ドアの内側に、前記固定ピンと着脱自在に係合する係合機構が備えられ、
前記ドアを閉じた状態から開いた状態に枢動させて、前記箱型荷台の側面にそって、車両の前方に移動させたとき、前記固定ピンが前記係合機構と係合し、前記ドアの移動が停止し、前記ドアが固定され、
前記係合機構が前記固定ピンの係合を解くことで、前記ドアは前記箱型荷台の側面にそった状態で車両の後方に移動できる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱型荷台。
【請求項5】
前記上ヒンジピンが下方に伸長する延長部を有し、
前記ドアの枢動とともに、前記上ヒンジピンが前記延長部とともに回動するように、前記上ヒンジピンが前記上移動部材に固定され、
前記延長部上に、前記ドアと平行に固定ピンが固定され、
前記ドアの内側に、前記固定ピンと着脱自在に係合する係合機構が備えられ、
前記ドアを閉じた状態から開いた状態に枢動させ、前記箱型荷台の側面にそって、前方に移動させたとき、前記固定ピンが前記係合機構と係合し、前記ドアの移動が停止し、前記ドアが固定され、
前記係合機構が前記固定ピンの係合を解くことで、前記ドアは前記箱型荷台の側面にそった状態で車両の後方に移動できる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱型荷台。
【請求項6】
前記上ヒンジと前記下ヒンジとの間に中間ヒンジが設けられ、
前記中間ヒンジは、前記フレーム部材に固定された中間ヒンジピンと、前記ドアが閉じた状態と開いた状態とを枢動するときに係合する、前記中間ヒンジピンに対応する前記ドアの内側に固定される係合部材とを有する、
請求項1に記載の箱型荷台。
【請求項7】
前記ドアの上端内側および下端内側の少なくとも一方に設けられる凸部と、前記前記ドアが閉じるときに、前記凸部に対応する前記フレーム部材の位置に前記凸部と嵌合する凹部とをさらに有し、
前記ドアが閉じたとき、前記凸部と前記凹部とが嵌合し、前記ドアが所定の閉鎖位置に位置する、請求項1又は2に記載の箱型荷台。
【請求項8】
前記ドアの裏面に、平行でかつ前記箱型荷台に対して垂直な方向に軸支された、下端に突起を有する棒状部材と、
前記棒状部材の前記突起と嵌合する、前記フレーム部材の下端に設けられる開口部と、
を有する前記ドアを閉鎖する閉鎖手段を有し、
前記ドアを閉じながら前記棒状部材を回転させると、前記突起が前記開口部内で回転することで、前記ドアが前記フレーム部材と密接固定される、請求項7に記載の箱型荷台。
【請求項9】
一端が前記ドアの下端内側に懸吊され、他端が前記フレーム部材の設けられた穴部に着脱自在に嵌合する開放維持手段を有し、
前記ドアが開いたとき、前記他端が前記穴部に嵌合すると、前記ドアは開いた位置に維持される、請求項1又は2に記載の箱型荷台。
【請求項10】
前記開放維持手段が、一端が前記開放維持手段に懸吊され、他端が前記フレームの設けられた第二穴部に着脱自在に嵌合する第二開放維持手段を有する、請求項9に記載の箱型荷台。
【請求項11】
前記下部移動部材が前記下部レールから外れることを防止するための、前記下部移動部材の移動を妨げずに前記下部レールと係合可能な部材が、前記下部移動部材に取り付けられる、請求項2に記載の箱型荷台。
【請求項12】
前記ドアの急激な移動を防止するために、前記下移動部材に設けられた第1部材と、前記下部レールの近傍に位置し、該第1部材と係合可能な第2部材とをさらに有し、
前記第2部材は前記下部レールと平行に伸長する板状部材で、前記第2の部材の前記ドア側の端部が前記箱型荷台の側面に固定され、中間が外側に張り出す凸部を有し、
前記ドアの移動により移動する前記移動部材の前記第1部材が前記中間の前記凸部と押圧すると、前記凸部は弾性変形し、前記第1部材の移動通過が可能になる、請求項2に記載の箱型荷台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に組付けられる箱型荷台に関するもので、特に、荷物の搬入・搬出のために後部に取り付けられたドアを開いた状態にしたとき、開いた状態のドアを車両の側面にそって、車両の前方又は後方に移動させることができる箱型荷台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に組付けられた箱型荷台の後部には、観音開きに後部ドアが取り付けられているものがある。荷物の搬入・搬出の邪魔にならないように、後部ドアを開き、さらに箱型荷台に側面に沿うように大きく枢動させる(つまり270度枢動させる)。
【0003】
このような枢動を行うために、ドアの枢動空間がなければならない。荷物の搬入・搬出がこのような空間のある場所で行えるとは限らず、そのような空間を確保することは非常に困難である。
【0004】
そのため、後部ドアを90度まで枢動され、その状態のドアを箱型荷台の側面にそって、車両の前方に移動(スライド)させる箱型荷台がある(特許文献1、特許文献2,特許文献3)。このような箱型荷台をもつ車両では、後部ドア側での空間のみを確保できれば、荷物の搬入・搬出の作業を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-131597
【特許文献1】特開2010-12884
【特許文献1】特開2008-284991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなドアを車両の前方に移動させる従来の箱型荷台は、ドアを移動させるのに必要な部材(例えばレール)を箱型荷台の側面に取り付けなければならない。露出した部材は、外観上の問題があるばかりか、部材の変形、破損による故障の原因になる。また、関連法規などにより箱型荷台の寸法規制のため、箱型荷台の大きさが制限される。
【0007】
また、荷台の側方から、または上方からの荷物の搬入・搬出を可能にするために、ウイング屋根や煽り板が利用されている箱型荷台では、ウイング屋根や煽り板の利用が制限される。
【0008】
さらに、ドアを枢動させるための機構と移動(スライド)させる機構とが必要となるが、それら機構を別々にすると大掛かりになり、部品数も増える。
【0009】
ドアが大きく、重量があるときは、ドアの開閉時を含めドアの姿勢を安定させる機構が必要になる。
【0010】
本発明の目的は、ドアの移動のための部材を箱型荷台の側面に設ける必要のない、車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、ドアを枢動する機構とドアを
移動する機構が別の構成となっていない上記車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の他の目的は、移動したドアを固定する機構において、ドアが閉じた状態では箱型荷台の側面から突き出ることのない上記車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、ドアの枢動後、ドアを移動させなとき、ドアの開閉を防止することができる機構を有する前記車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、重量のあるドアが閉じるとき、所定の閉鎖位置に確実に誘導する機構を有する前記車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【0015】
さらに、本発明の目的は、重量のあるドアの移動を確実に行わせる機構を有する前記車両に組付けられる箱型荷台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明が提供する箱型荷台は、箱型荷台の後端に位置するフレーム部材に、観音開きに開閉可能に取り付けられるドアと、前記フレーム部材の上方及び下方に取り付けられる上及び下ヒンジと、該上及び下ヒンジとそれぞれ係合する、前記ドアの内側に設けられる上及び下レールと、を有するものである。
【0017】
前記上及び下ヒンジは、前記フレームに取り付けられた上及び下ヒンジピンと、該ヒンジピンに枢動可能に取り付けられる上及び下枢動部材とを有する。
【0018】
該上及び下枢動部材は、前記上及び下レール内で相対移動可能な上及び下移動部材をそれぞれ有する。
【0019】
前記上ヒンジ及び下ヒンジは、前記ドアを閉じた状態から前記箱型荷台の側面にそった状態へと枢動可能にし、前記箱型荷台の側面にそった状態の前記ドアを車両の前後に移動させるとき、前記上レール内を前記上移動部材が相対移動するとともに、上記下レール内を前記下移動部材が相対移動する。
【0020】
さらに、前記ドアの下端で、前記下ヒンジ側に固定される下部ヒンジ固定部材と、前記箱型荷台外側面に取り付けられる下部レールと、下部ヒンジピンより、前記下部ヒンジ固定部材に連結される、前記下部レールに沿って移動可能な下部移動部材とを有してよい。この場合、前記箱型荷台の側面にそった状態の前記ドアを車両の前後に移動させるとき、前記上レール内を前記上移動部材が移動し、上記下レール内を前記下移動部材が移動するとともに、前記前記下部移動部材が前記下部レールにそって移動する。
【0021】
前記下部レールの車両の後方側端部は車両の前方側に向きを変えるものであってもよい。この場合、前記部移動部材の後方への移動が向きを変える前記部レールのところでドアは停止する。
【0022】
前記ドアの枢動とともに、前記上ヒンジピンが前記延長部とともに回動するように、前記上ヒンジピンが前記上移動部材に固定され、前記延長部に前記ドアと平行に固定ピンが固定され、前記ドアの内側に、前記固定ピンと着脱自在に係合する係合機構が備えられ、固定ピンと係合機構との係合により、移動した前記ドアを着脱自在に固定してもよい。前記係合機構が前記固定ピンの係合を解くことで、前記ドアは前記箱型荷台の側面にそった状態で車両の後方に移動できる。
【0023】
上記上ヒンジピンに替えて下ヒンジピンに固定ピンが固定されてもよい。
【0024】
前記上ヒンジと前記下ヒンジとの間に中間ヒンジが設けられてもよい。前記中間ヒンジは、前記フレーム部材に固定された中間ヒンジピンと、前記ドアが閉じた状態と開いた状態とを枢動するときに係合する、前記中間ヒンジピンに対応する前記ドアの内側に固定される係合部材とを有する。
【0025】
前記ドアの上端内側および下端内側の少なくとも一方に凸部が設けられ、前記前記ドアが閉じるときに、前記凸部に対応する前記フレーム部材の位置に前記凸部と嵌合する凹部が設けられてよく、前記ドアが閉じたとき、前記凸部と前記凹部とが嵌合し、前記ドアが所定の閉鎖位置に位置することができる。
【0026】
前記ドアの裏面に、平行でかつ前記箱型荷台の床面に対して垂直な方向に、下端に突起を有する棒状部材が軸支され、前記棒状部材の前記突起と嵌合する開口部が、前記フレーム部材の下端に設けられてよい。前記ドアを閉じながら前記棒状部材を回転させると、前記突起が前記開口部内で回転することで、前記ドアと前記フレーム部材とが密接固定される。
【0027】
一端が前記ドアの下端内側に懸吊され、他端が前記フレーム部材の設けられた穴部に着脱自在に嵌合する開放維持手段を設けることができる。前記ドアが開いたとき、前記他端が前記穴部に嵌合すると、前記ドアは開いた位置に維持される。
【0028】
前記開放維持手段は、一端が前記開放維持手段に懸吊され、他端が前記フレームの設けられた第二穴部に着脱自在に嵌合する第二開放維持手段を有することができる。
【0029】
前記下部移動部材が前記下部レールから外れることを防止するための、前記下部移動部材の移動を妨げずに前記下部レールと係合可能な部材が、前記下部移動部材に取り付けられ得る。
【0030】
前記ドアの急激な移動を防止するために、前記下移動部材に設けられた第1部材と、前記下部レールの近傍に位置し、該第1部材と係合可能な第2部材とをさらに有してよい。前記第2部材は前記下部レールと平行に伸長する板状部材で、前記第2の部材の前記ドア側の端部が前記箱型荷台の側面に固定され、中間が外側に張り出す凸部を有する。
【0031】
前記ドアの移動により移動する前記第1部材が前記中間の前記凸部と押圧すると、前記凸部は固定されていない第2部材の端部へと弾性変形し、前記第1部材の移動通過が可能になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上ヒンジ及び下ヒンジを構成するレールはドアの内側に備えられ、箱型荷台の側面には何らのヒンジを構成する部材がない。そのため、箱型荷台がウイング屋根や煽り板で構成されているとき、ウイング屋根、煽り板の開閉を妨げない。
【0033】
また、上ヒンジ及び下ヒンジを構成するレールが、ドアの裏面に配置されていることから、ドアの外側面の外観が非常にシンプルにすることができるほか、レールが箱型荷台から外に露出していないために、露出に伴う変形、破損にともなう故障が防止される。
【0034】
上ヒンジ及び下ヒンジは、ドアに固定されたヒンジピンに枢動可能取り付けら、さらにヒンジを構成する移動部材は常に、レール内に収納されることから、枢動動作、移動動作が円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1(a)は車両に組付けられた本発明の箱型荷箱の後方からの斜視図を示し、
図1(b)はウイング屋根の一方および後方ドアを開放し、前側の煽り板を開けた状態の本発明の箱型荷箱の後方からの斜視図を示す。
【
図2】
図2は後部ドアが90度枢動した状態の本発明の箱型荷箱の後方からの斜視図を示す。
【
図3a】
図3aはドアとフレーム部材との間の枢動・移動機構Aの取り付け状態を示す。
【
図3b】3bは枢動・移動機構Aをフレーム部材に取り付けた状態を示す。
【
図3c】
図3cは枢動・移動機構Aの枢動部の側面図を示す。
【
図4】
図4は、枢動・移動機構Aの枢動部材がフレーム部材に取り付けられた状態の斜視図である。
【
図5a】
図5aはドアとフレーム部材との間の枢動・移動機構Bの取り付け状態を示す。
【
図5b】
図5bは枢動・移動機構Bをフレーム部材に取り付けた状態を示す。
【
図5c】
図5cは枢動・移動機構Bの枢動部の側面図を示す。
【
図6】
図6は枢動・移動機構Bの枢動部材がフレーム部材に取り付けられた状態の斜視図である。
【
図7】
図7は枢動・移動機構Cの枢動部材がフレーム部材および下部移動部材に取り付けられた状態の箱型荷台の一部側面斜視図である。
【
図9a】
図9aは取り付けられた下部移動部材斜視図を示す。
【
図9c】
図9cは、下部移動部材に取り付けられたローラR1、R2、R3、R4と、係合部材m1、m2の位置を示す。
【
図10】
図10は、箱型荷台の下側の取り付けられる延長部とその延長部に取り付けられた下部レールの斜視図である。
【
図12】
図11(a)は下ヒンジピンの延長部に取り付けられたブロックに固定されたピンを示し、
図11(b)はピンを着脱自在に保持する保持機構の正面図である。
【
図13】
図13は、ドアの下方に取り付けられたU字形部材(凸部)61とU字形部材61と嵌合する部材(凹部)62を示す。
【
図14】はドアの上方に取り付けられたU字形部材(凸部)61とU字形部材61と嵌合する部材(凹部)62を示す。
【
図15a】
図15aは、ドア3が開いた状態のドア及び箱型荷台の一部斜視図である。
【
図16a】
図16aは、フレーム部材2に取り付けられた開口部材の正面図を示す。
【
図16b】
図16gは、フレーム部材2に取り付けられた開口部材の横端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図面は説明の目的のために単純化され、尺度は必ずしも一致しない。
【0037】
本発明に係る車両の一部後部斜視図が
図1(a)に示され、ウイング及び前方側の煽り板が開いた状態の本車両の後部斜視図が
図1(b)に示されている。
【0038】
本発明の箱型荷台1には後部にフレーム部材2が設けられている(
図2)。後述するように、この箱型荷箱は、後部ドア3を90度枢動させて開き、その開いた状態の後部ドアを箱型荷台1の側面にそって、車両の前方へと移動させることができるものである。箱型荷台がウイング屋根や、煽り板を備える構造ものであっても、下述するようにウイング屋根や煽り板には取り付けらなければならない部材はなく、それらの開閉の妨げにならない。
【0039】
本発明の後部ドアの枢動・移動機構は、
図2示されているように、各ドアに少なくとも4か所(A、B、C、D)に設けられている(各ドアには、当然に枢動・移動機構が対照的に設けられる)。
【0040】
図2の枢動・移動機構Aは、ドア3に組付けられるレール5と枢動部材6とから構成される(
図3(a)を参照)。
図3、4に示されているように、枢動部材6は、ローラ取り付け部分7とその部分とほぼ垂直に伸びる支持部分8とを有する。支持部分8の端部に設けられた穴に上ヒンジピン9が挿入される。上ヒンジピン9はピン固定部材10によりフレーム部材2(箱型荷箱の側面側)に固定され、枢動部材6は、上ヒンジピン9を中心に枢動自在となる。
【0041】
ローラ取り付け部分7には、水平方向を回転軸とするローラ11が取り付けられている。ローラ取り付け部分7には水平に張り出す張り出し部があり、鉛直方向を回転軸とする2つのローラ12、12が取り付けられている(
図3(c)参照)。
【0042】
枢動・移動機構Aを構成するレール5は、ドア3の表面から露出しないようにして、枢動部材6に対応する位置に設けられる。
【0043】
レール5が露出しないことで、荷の搬入・搬出が容易になるばかりか、レールの損傷を防止できるが、露出していてもドアの枢動、移動を妨げないことから、レールが露出しないことは、本発明において必須ではない。
【0044】
レール5は、
図3(a)にも示されているとおり、断面が略コの字の形状をもち、その中で、ローラ11が転動できるようになっている。ローラ取り付け部7もまた、レール5内に位置している。
【0045】
ローラ11、12が転動することで、枢動部材6はドア3に対して相対移動自在となる。
【0046】
図2の枢動・移動機構Bは、ドア3に組付けられるレール13と枢動部材14とから構成される。
【0047】
枢動・移動機構Bを構成するレール15は、
図5(a)に示されているように、断面がコの字の形状をもち、下方が解放されるように、ドア3下端に組付けられる。
【0048】
枢動部材14は、
図6に示されているように、ローラ取り付け部分15とその部分とほぼ垂直に伸びる支持部分16とを有する。ローラ取り付け部分15には、水平に張り出す張り出し部があり、鉛直方向を回転軸とする2つのローラ19、20が取り付けられている。
【0049】
支持部分16の端部に設けられた穴に下ヒンジピン17が挿入される。ローラ19、20はレール15内に位置する。下ヒンジピン17はピン固定部材18によりフレーム部材2に固定される。これにより、枢動部材14は、下ヒンジピン17を中心に枢動自在となる。
【0050】
レール15内でローラ19、20が転動することで、枢動部材14は、レール15に対して移動自在となる。
【0051】
図3の枢動・移動機構Cは、ドア3に組付けられる下部ヒンジ固定部材21と下部レール22(
図7,9を参照)と下部移動部材23とから構成される。
【0052】
図8に、下部ヒンジ固定部材21の斜視図が示されている。下部ヒンジ固定部材21は、ドア3の外側下端で、枢動・移動機構B側に固定される。下部ヒンジ固定部材21の下端から下に伸長し、ヒンジhを車両の前方向きに固定するヒンジ固定部分24を有する。
【0053】
下部レール22は、
図7、
図10に示されているように、箱型荷台の底部の設けられた延長部材Eの外側表面に前後して伸長するように固定される。下部レール22の後端部(車両の後方側部分)は前方向に向きを変えてもよい(
図9cを参照)。
【0054】
下部移動部材23の表面が
図9(a)に、その裏面が
図9bに示されている。この下部移動部材23は2つの部材23aと部材23bとから構成されている。部材23aの端部には、ヒンジhとヒンジピンにより連結されるヒンジHが固定されている。部材23aと23bのそれぞれに、回転軸が水平なローラR1、R2、R3、R4が下部レール22を上下からはさみ、部材23を下部レール22にそって往復移動自在にする。
【0055】
部材23aと部材23bが二つあるのは、部材23aのローラR1、R2と部材23bのローラR3、R4との間の間隔の調節、ローラR1、R2に対するローラR3、R4の位置の調節を可能にするためであり、このような調節が不要な場合、両部材は一体でもよい。
【0056】
下部移動手段23には、ドア3の開閉、移動に際に負荷が生じ、特にドア3の重量が重いと、その負荷が大きい。そのため、下部移動手段23が下部レールか23から外れかねない。この外れを防止するために、係合部材m1、m2が部材23aに裏面に固定されている(
図9cは、ローラ、係合部材の配置状態を見やすくするために、部材23a、23bの部分を外して描かれている)。
【0057】
ローラR1、R3が下部レール22から外れても、部材23の裏面に固定された係合部材m1、m2が下部レール22に引っ掛かり、下部移動手段23が下部レール22から外れることはない。
【0058】
図9aに示されているとおり、下部移動手段23の上側には棒状の第1部材30が上方に向かって固定されている。さらに、延長部材Eにレール22に帯状の第2部材31が固定されている。この第2部材31は、中央が外側に張り出す凸部32を有する。凸部32は、横断する方向に複数の折筋を有し、押圧されると弾性変形可能となるものである。第1部材30と第2部材31は、ドア3が閉じているとき(すなわち、下部移動手段23が移動する前)、互いに接する位置に固定されている。
【0059】
ドア3を開いて、移動させるときに、凸部32のために、下部移動手段23は留め置いた状態となる。移動を開始すると、第1部材30は凸部32を弾性変形し、凸部32を乗り越えることができ、その結果下部移動手段23が移動できるようになる。
【0060】
下部移動手段23が(元の位置)移動するとき、第1部材30が凸部32に接し、移動速度が低下する。さらに移動すると、第1部材30は凸部32を弾性変形し、凸部32を乗り越えることができ、その結果下部移動手段23が移動できるようになる。
【0061】
上述のとおり、下部ヒンジ固定部材21は、ヒンジhとヒンジHとを連結するヒンジピンを中心に枢動自在となる。
【0062】
図3の枢動機構Dは、枢動・移動機構Aと枢動・移動機構Bとの間に位置し、フレーム部材2に固定される固定具40と間係合部材42とから構成される(
図11a、
図11b)。固定具40では、間ヒンジピン41が支持固定される。間係合部材42は、固定具40に対応する位置で、ドア3に固定される。
【0063】
間係合部材42は、間ヒンジピン41を包み込むように係合することができる断面がほぼコの字となる係合部分43とドア3に固定する固定部分44とから構成される。下述するように、ドア3が閉じた状態では、係合部材42と間ヒンジピン41とは係合しているが、ドア3が90度枢動したときには、係合部材42は間ヒンジピン41と係合しなくなり、さらに、ドア3が箱型荷箱の側面にそって移動するときに、間ヒンジピン41と係合部材42は干渉することなく、ドア3の移動を妨げない。
【0064】
枢動機構Dの数は、ドアの大きさ重量などから適宜決定されるものである。
【0065】
前述の枢動・移動機構Aの上ヒンジピン9、枢動・移動機構Bの下ヒンジピン17、枢動・移動機構CのヒンジピンP、枢動機構Dの間ヒンジピン41が一直線上にそろうように各機構は構成されている。
【0066】
上述のとおり、レール5内に収納された枢動部材6、レール13に収納された枢動部材14、下部ヒンジ固定部材21がヒンジピンを中心に枢動自在となることから、ドア3は閉じた状態から開いた状に枢動自在になっている。
【0067】
ドア3が90度枢動し、開いた状態となったとき、係合部分43と中間ヒンジピン41との係合は解かれている。
【0068】
また、ドア3が90度枢動し、開いた状態となったとき、枢動部材6がレール5内で移動可能であり、枢動部材14がレール13内で移動可能であり、下部移動部材24がレール22にそって移動可能であることから、ドア3は、箱型荷箱の側面にそって移動可能となる。
【0069】
次に、ドア3を箱型荷箱の側面にそって移動させたとき、意図しない前後の移動を防止するための、固定機構50が
図12に示されている。固定機構50は、下ヒンジピン17に固定されたピン51と該ピンを着脱自在に保持する保持機構52とから構成される。ピン51と下ヒンジピンとの固定部には、大きな力が作用しかねないため、下ヒンジピ17にブロックを取り付け、このブロックにピン51を取り付けてもよい。
【0070】
下ヒンジピン17は、枢動・移動機構Bを構成し、枢動部材14を枢動自在に支持するものであるが、枢動部材14に固定されると、ドアの開閉とともに枢動(回転)する。
【0071】
ドアが閉じているときに、ドアに向かって垂直なるように下ヒンジピン51を下ヒンジピン17に固定する。ドア3を90度枢動すると、ヒンジピン51は下ヒンジピン17とともに90度枢動(回転)し、箱型荷箱の外側に向く。
【0072】
保持機構52は、一方向に回転できるよう制限された対となる爪部材が配置され、外からピン51が入ると(
図12(b)では右から左)、中に保持することができる。ブッシュピンが押されると、爪部材の回転制限がとかれ、ピン51を外に外すことができる。
【0073】
固定機構50が上記構成となることで、ドア3が開いた状態にあるときにのみ、ピン51は箱型荷台の外に突き出る。そのため、法定の範囲にある車両の横幅はピン51により超過することがない。
【0074】
上述のとおり、枢動・移動機構A,B,Cはドア3を箱型荷台に対して枢動可能にしているが、通常のヒンジ具と異なり、ドア23を移動可能にするために、ドア23と箱型荷台とを強固に連結するものではない。そのため、ドアは、ドアの重量などにより、ドアを閉じたときに所定に位置からずれる恐れがある。ドアの閉じた位置にずれが生じると、ドアロック機構により閉鎖が困難になりかねない。
【0075】
ドア3が確実に所定の位置で閉じるようにするために、
図13に示されているように、ドア3の下端内側に、U字形部材(凸部)61がドアの外側に突き出るように固定され、ドア3を閉じたとき、フレーム部材2のU字形の部材61に対応する位置に、U字形部材61と嵌合する部材(凹部)62が固定されている。凹部61は二つの管状部材62a、62bを凸部61の幅と同程度に離し、かつ平行に位置して構成されている。
【0076】
図14に示されているとおり、ドア3の上端内側に、凸部61と同じ形状の凸部61’が固定され、この凸部61’と篏合する部材(凹部)62’がフレーム部材2に設けられている。
【0077】
ドア3が閉じたとき、凸部61が凹部62(管状部材62a、62bの間)に、凸部61’が凹部62’に篏合することで、ドア3は所定の位置で閉じることができる。
【0078】
図15aに示されているように、棒状部材65がドア3の裏面に平行でかつ箱型荷台に対して垂直な方向に軸支されている。この棒状部材65の下端には一対の突起部材66a、66bが固定されている。ドア3が閉じたときに、突起部材66a、66bに対応するフレーム部材2の位置に突起部材66a、66bを回転自在に収納する開口部材67が固定されている。
【0079】
開口部材67は、二つの突起部材66a、66bの間に位置できる二つのブロック68a。68bを有する.
ドア3を閉じ、凸部61、61‘が凹部62、62‘に篏合すると、突起部材66a、66bが開口部材67のブック68a、68bの間に入り込み、棒状部材65が回動すると、突起部材66a、66bが開口部材67のブック68a、68bを上下で挟み込むように位置し、これによりドア3は閉鎖される。
【0080】
荷物の搬入搬出の状況によっては、ドア3を90度開いた状態で移動することなる維持する場合がある。このようなときに、風などの影響を受けても開いた状態を維持する開放維持機構70を設けることができる(
図15aを参照)。
図15bに図示されているとおり、開放維持機構70は、ドア3の下端に設けられ、第1の棒状部材71から構成される。
【0081】
第1の棒状部材71の一端は輪となり、ドア3の固定された取り付け金具72のU字形パイプ73aに懸吊されている。これにより第1の棒状部材71は上下左右方向に向けることができる。第1の棒状部材71の他端71bはL型に曲がったもので、管状部材62a(又は62b)(
図13を参照)に挿入可能となっている。他端71bを管状部材62aに挿入したとき、ドア3が90度開いた状態となるように第1の棒状部材71の長さが定めることと、ドア3の開放状態を維持できる。
【0082】
ドア3の開放状態をより堅固にするために、第2の棒状部材72を備えてもよい。第2の棒状部材72の一端は第1の棒状部材71に取り付けられた連結具72aの回動自在に取り付けられる。第2の棒状部材72の他端はL字形に曲がり、フレーム部材2に設けられた穴に挿入可能となる。
【0083】
図15bに示されているように、開放維持機構70を使用しないときは、連結具74により二本の棒状部材を一つにまとめられ、さらに、ドア3の下部に設けられた張り出し部材75に載置される。
【0084】
本発明の箱型荷台の操作、各部材の動作
箱型荷箱のドアのロックを外す(
図15aに示された棒状部材65を反転させ、突起部材66a、66bを開口部67から抜く)。
【0085】
ドアを90度枢動させて、開く(上述の通り、上ヒンジピン9、下ヒンジピン17、ヒンジピンP、間ヒンジピン41は一直線上にそろっており、ドアの枢動が可能となっている)。このとき、枢動部材14に固定された下ヒンジピン17も回転する。この回転により、下ヒンジピンに固定されたピン51も回転し、箱型荷台の外に向く。
【0086】
枢動部材6がレール5内で相対移動可能であり、枢動部材14がレール13内で相対移動可能であり、下部移動部材24がレール22にそって相対移動可能であることから、ドア3を車両の前方に、箱型荷箱の側面にそって移動させることができる。
【0087】
ドア3が移動し、固定機構50がピン51と接して、そして固定する。これによりドア3は、箱型車両の側面に移動・固定される。
【0088】
つぎに、ドア3を車両の後方へ引き出すときは、まず、保持機構52のプッシュピンを押して、ピン51の保持状態を開放する。ドア3を引き出して移動させる。枢動部材6、枢動部材14はレール内を相対移動する。下部移動部材23は下部レール22にそって移動する。下部移動部材の23のローラR2が下部レール22の後端(後端部分が前方に向いている)も達すると移動は確実に停止する。
【0089】
そして、ドア3を、閉じた状態まで枢動させる(枢動部材6は上ヒンジピンを中心に枢動し、枢動部材14は下ヒンジピン17を中心に枢動、下部ヒンジ固定部材21はヒンジピンPを中心に枢動する)。このとき、ドア3に固定された間係合部材42の係合部分43が固定具40の間ヒンジピン41と係合する。
【0090】
本発明の使用および態様から離れることなく多くのさまざまな修正が可能でることは当業者の知るところです。したがって、言うまでもなく、本発明の態様は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 箱型荷台
2 フレーム部材
3 ドア
5 レール
6 枢動部材
7 ローラ取り付け部分
8 支持部分
9 上ヒンジピン
10 固定部材
11 ローラ
12 ローラ
13 レール
14 枢動部材
15 ローラ取り付け部分
16 支持部分
17 下ヒンジピン
18 固定部材
19、10 ローラ
21 下部ヒンジ固定部材
22 下部レール
E 延長部
23 下部移動部材
h ヒンジ
24 ヒンジ固定部材
40 固定具
41 間ヒンジピン
42 間係合部材
43 係合部分
44 固定部分
50 固定機構
51 ピン
52 保持機構