(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011179
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/44 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A47L15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112983
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】八幡 修平
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082CC08
(57)【要約】
【課題】長期間安定して処理剤の量を精度良く検出できる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、装置本体5と、装置本体5内に設けられ、被洗浄物TW1が収容される洗浄槽7と、装置本体5内に設けられ、洗浄槽7に供給される液状の処理剤R1を貯蔵する貯蔵空間10Aが形成された貯蔵タンク10であって、貯蔵空間10Aを区画する周壁19の一部を構成し、貯蔵空間10Aに貯蔵された処理剤R1の量の増減に伴う液圧の変化に応じて形状が復元可能に変化する液圧変形部11を有する貯蔵タンク10と、装置本体5内、かつ貯蔵タンク10の外部に設けられて液圧変形部11に対面し、液圧変形部11の変形を非接触で検出した結果である変形検出結果D1を出力する変形検出手段S1と、変形検出結果D1に基づいて、貯蔵空間10Aに貯蔵された処理剤R1の量を判断する制御部C1と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内に設けられ、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記装置本体内に設けられ、前記洗浄槽に供給される液状の処理剤を貯蔵する貯蔵空間が形成された貯蔵タンクであって、前記貯蔵空間を区画する周壁の一部を構成し、前記貯蔵空間に貯蔵された前記処理剤の量の増減に伴う液圧の変化に応じて形状が復元可能に変化する液圧変形部を有する前記貯蔵タンクと、
前記装置本体内、かつ前記貯蔵タンクの外部に設けられて前記液圧変形部に対面し、前記液圧変形部の変形を非接触で検出した結果である変形検出結果を出力する変形検出手段と、
前記変形検出結果に基づいて、前記貯蔵空間に貯蔵された前記処理剤の前記量を判断する制御部と、
を備えていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記貯蔵タンクは、前記液圧変形部とは異なる位置で前記周壁に設けられた基準部を有し、
前記装置本体内、かつ前記貯蔵タンクの外部に設けられ、前記液圧変形部と前記変形検出手段とが対面する対面方向と同じ方向において前記基準部に対面し、前記基準部の位置を非接触で検出した結果である位置検出結果を出力する位置検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記変形検出結果及び前記位置検出結果に基づいて、前記処理剤の前記量を判断する請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記貯蔵タンクは、前記装置本体に対して着脱可能に構成されている請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記変形検出結果及び前記位置検出結果の少なくとも一方が所定の条件を満たさない場合、前記貯蔵タンクが未設置又は誤設置の状態であると判断する請求項3記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記液圧変形部は、前記貯蔵タンクの前記液圧に応じて弾性変形する膜状部材によって形成され、
前記変形検出手段は、発光及び受光により前記液圧変形部までの距離を光学的に計測する測距センサである請求項1乃至4のいずれか1項記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の洗浄装置の一例が開示されている。この洗浄装置は、装置本体、洗浄槽、貯蔵タンク、フロート、磁気センサ及び制御部を備えている。
【0003】
洗浄槽は、装置本体内に設けられ、被洗浄物が収容される。貯蔵タンクは、装置本体内に設けられ、貯蔵空間が形成されている。貯蔵空間は、洗浄槽に供給される液状の処理剤を貯蔵する。
【0004】
貯蔵タンクは、磁性体が設けられたフロートを有している。フロートは、貯蔵タンクのカバーに回動可能に支持されたアームに接続された状態で貯蔵空間内に位置している。フロートは、貯蔵空間に貯蔵された処理剤の量の増減に伴う液面高さの変化に応じて上下動する。
【0005】
磁気センサは、装置本体内、かつ貯蔵タンクの外部に設けられてフロートに対面している。磁気センサは、フロートの上下動を非接触で検出し、検出結果を出力する。制御部は、磁気センサの検出結果に基づいて、貯蔵空間に貯蔵された処理剤の量を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の洗浄装置では、貯蔵タンクのカバーがアームを回動可能に支持する部分や、フロートとアームとの接続部分等に処理剤が付着し易く、また、その付着した処理剤が空気に触れ易い。
【0008】
そして、その付着した処理剤を除去しないまま長期間使用していると、その付着した処理剤が高粘度化してしまって回動不良等の不具合が生じ易くなり、フロートが液面高さの変化にスムーズに追従できなくなるおそれがある。その結果、この洗浄装置は、長期間安定して処理剤の量を精度良く検出することが難しくなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、長期間安定して処理剤の量を精度良く検出できる洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の洗浄装置は、装置本体と、
前記装置本体内に設けられ、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記装置本体内に設けられ、前記洗浄槽に供給される液状の処理剤を貯蔵する貯蔵空間が形成された貯蔵タンクであって、前記貯蔵空間を区画する周壁の一部を構成し、前記貯蔵空間に貯蔵された前記処理剤の量の増減に伴う液圧の変化に応じて形状が復元可能に変化する液圧変形部を有する前記貯蔵タンクと、
前記装置本体内、かつ前記貯蔵タンクの外部に設けられて前記液圧変形部に対面し、前記液圧変形部の変形を非接触で検出した結果である変形検出結果を出力する変形検出手段と、
前記変形検出結果に基づいて、前記貯蔵空間に貯蔵された前記処理剤の前記量を判断する制御部と、
を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の洗浄装置において、液圧変形部は、上記従来の洗浄装置に係るフロート及びアームのような可動部材を有しておらず、回動不良等の不具合が生じない。また、液圧変形部は、貯蔵空間に貯蔵された処理剤の液面よりも下方に位置する期間が長いため、液圧変形部に接触する処理剤が高粘度化し難く、液圧変形部が処理剤の液面高さの変化にスムーズに追従する状態を長期間維持し易い。
【0012】
したがって、本発明の洗浄装置は、長期間安定して処理剤の量を精度良く検出できる。
【0013】
また、上記従来の洗浄装置では、貯蔵タンクのカバーを貯蔵タンクから取り外したり、貯蔵タンクを装置本体から取り外したりすることでフロート及びアーム等を洗浄可能であるが、ユーザがフロート及びアーム等の洗浄作業を煩わしいと感じ易い。この点、本発明の洗浄装置は、そのようなユーザの煩わしさを抑制できる。
【0014】
貯蔵タンクは、液圧変形部とは異なる位置で周壁に設けられた基準部を有していることが望ましい。本発明の洗浄装置は、装置本体内、かつ貯蔵タンクの外部に設けられ、液圧変形部と変形検出手段とが対面する対面方向と同じ方向において基準部に対面し、基準部の位置を非接触で検出した結果である位置検出結果を出力する位置検出手段をさらに備えていることが望ましい。そして、制御部は、変形検出結果及び位置検出結果に基づいて、処理剤の量を判断することが望ましい。
【0015】
この構成により、液圧変形部の変形検出結果を位置検出手段の位置検出結果によって補正できるので、処理剤の量を一層精度良く検出できる。
【0016】
貯蔵タンクは、装置本体に対して着脱可能に構成されていることが望ましい。この場合、貯蔵タンクが着脱によって装置本体内で位置ずれしても、変形検出結果を位置検出結果によって補正できるので、処理剤の量の検出精度が貯蔵タンクの着脱によって低下することを抑制できる。
【0017】
制御部は、変形検出結果及び位置検出結果の少なくとも一方が所定の条件を満たさない場合、貯蔵タンクが未設置又は誤設置の状態であると判断することが望ましい。この場合、変形検出手段及び位置検出手段が貯蔵タンクの未設置状態及び誤設置状態を判断する着脱検出手段や誤設置検出手段を兼ねるので、仮に別の着脱検出手段や誤設置検出手段を設ける場合と比較して、製造コストの低廉化を実現できる。
【0018】
液圧変形部は、貯蔵タンクの液圧に応じて弾性変形する膜状部材によって形成されていることが望ましい。そして、変形検出手段は、発光及び受光により液圧変形部までの距離を光学的に計測する測距センサであることが望ましい。この場合、比較的簡単な構成で処理剤の量を検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄装置によれば、長期間安定して処理剤の量を精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、移動体が収容位置にある状態を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、移動体が引き出し位置に移動した状態を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例の食器洗浄機に係り、移動体の正面図である。
【
図4】
図4は、実施例の食器洗浄機のブロック図である。
【
図5】
図5は、貯蔵タンク、第1測距センサ及び第2測距センサを示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、判断プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例)
図1に示すように、実施例の食器洗浄機1は、本発明の洗浄装置の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0023】
本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち
図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、その反対側である
図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。また、ユーザが筐体9に対向する状態で左に来る側、すなわち
図1の奥側を筐体9の左方と規定し、右に来る側、すなわち
図1の紙面手前側を筐体9の右方と規定する。そして、
図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て
図1に対応させて表示する。
【0024】
<装置本体>
食器洗浄機1は、装置本体5を備えている。装置本体5は、筐体9及び移動体6を有している。
【0025】
筐体9は略箱状体である。筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0026】
移動体6は、筐体9内に収容されている。
図1に示す移動体6の位置を収容位置とする。移動体6の側面と筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。移動体6は、そのスライドレール機構によって、
図1に示す収容位置と、
図2に示すように収容位置から前向きに移動した引き出し位置との間で移動可能である。
【0027】
<洗浄槽、扉体及び蓋体>
図1及び
図2に示すように、食器洗浄機1は、洗浄槽7、扉体70及び蓋体8をさらに備えている。洗浄槽7及び扉体70は、移動体6に設けられている。蓋体8は、筐体9内の上部に配置されている。
【0028】
洗浄槽7は略箱状体であり、前壁7A、左右の側壁及び後壁によって食器類TW1を洗浄するための内部空間を区画している。また、洗浄槽7は、槽開口7Hを有している。槽開口7Hは、洗浄槽7の上部を開放している。
【0029】
扉体70は、洗浄槽7の前壁7Aに対して前方から一体的に組み付けられている。扉体70の前面70Fは、移動体6の前面であってシステムキッチンを利用するユーザの目に触れる意匠面を構成している。
【0030】
扉体70の上端部には、取っ手7Gが設けられている。取っ手7Gは、移動体6を
図1に示す収容位置と
図2に示す引き出し位置との間で移動させるときに、ユーザによって把持される。
【0031】
扉体70の上面は、第1上面71及び第2上面72からなる。第1上面71は、取っ手7Gよりも上方に位置して上を向く平坦面である。第2上面72は、取っ手7Gよりも後方に位置し、かつ第1上面71よりも下方に位置して上を向く平坦面である。
【0032】
移動体6が
図1に示す収容位置にある状態では、扉体70が筐体開口9Hを閉鎖し、洗浄槽7が筐体9内に収容されている。そして、移動体6が
図2に示す引き出し位置に移動することにより、扉体70が筐体開口9Hを開放し、洗浄槽7の槽開口7Hが筐体9から露出する状態となる。
【0033】
図1及び
図2に示すように、蓋体8は、図示しない連動機構によって移動体6の移動に連動して上下動する。蓋体8は、移動体6が
図1に示す収容位置にあるときには下降して洗浄槽7の槽開口7Hを閉塞する。その一方、蓋体8は、移動体6が
図1に示す収容位置と
図2に示す引き出し位置との間で移動するときには上昇し、槽開口7Hを開放するとともに移動体6の移動を許容する。
【0034】
移動体6が
図2に示す引き出し位置に移動して洗浄槽7の槽開口7Hが筐体9から露出する状態では、ユーザが槽開口7Hを介して、食器類TW1を洗浄槽7内に収容したり、食器類TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0035】
食器類TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器類TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0036】
なお、移動体6には、図示しない洗剤自動投入装置が設けられている。洗剤自動投入装置の内部には、食器類TW1に付着する汚れを分解して洗い流すための洗剤が貯蔵されている。洗剤自動投入装置は、貯蔵された洗剤を所定のタイミングで洗浄槽7内に自動で投入する。
【0037】
図1に示すように、筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。給水管P1は、移動体6の底壁と洗浄槽7の底壁との間で前向きに延び、洗浄槽7の前壁7Aに設けられた給水口7Sに接続されている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7内に水を供給する。
【0038】
図1~
図3に示すように、給水管P1の途中には、後述する処理剤供給装置20が設けられている。また、処理剤供給装置20の上方には、後述する貯蔵タンク10が設けられている。貯蔵タンク10には、貯蔵空間10Aが形成されている。貯蔵空間10Aは、洗浄槽7に供給される液状のリンスR1を貯蔵する。
【0039】
リンスR1は、本発明の「処理剤」の一例である。リンスR1は、食器類TW1の水切りを良くしたり、洗い上がりの光沢を得たりするために使用される。処理剤供給装置20は、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1を洗浄槽7内に供給される水に所定のタイミングで混入させることでリンスR1を洗浄槽7内に供給する。
【0040】
図1に示すように、給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7内への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0041】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部7Pが設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご7Cが配置されている。食器かご7Cには、食器類TW1が載置される。
【0042】
洗浄槽7には、排気通路7Eが設けられている。排気通路7Eは、扉体70の前面70Fにおける上方かつ左方に位置する部分に開口しており、洗浄槽7の外部と連通している。洗浄槽7内の空気は、排気通路7Eを通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0043】
<ノズル及びポンプ>
食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部7Pの下部に組み付けられている。
【0044】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器類TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご7Cを洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0045】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部7Pに貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を経由して食器洗浄機1の外部に排水する。
【0046】
<ヒータ、温度センサ及び乾燥ファン>
食器洗浄機1は、ヒータ63、温度センサ63S及び乾燥ファン68をさらに備えている。ヒータ63及び乾燥ファン68も洗浄槽7に組み付けられている。
【0047】
ヒータ63は、貯水部7Pの底部に配置されている。ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部7Pに貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。
【0048】
温度センサ63Sは、洗浄槽7の底壁の下面におけるヒータ63の真下となる位置に配置されている。温度センサ63Sは、貯水部7Pに貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検出する。
【0049】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器類TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、排気通路7Eを経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0050】
<制御部及び入出力部>
食器洗浄機1は、制御部C1及び入出力部40をさらに備えている。制御部C1は、扉体70内に配置されている。入出力部40は、扉体70の第1上面71に露出するように配置されている。
【0051】
図4に示すように、制御部C1は、図示しないCPU、インターフェース回路及び記憶部C1Mを含んで構成された電子回路ユニットである。
【0052】
記憶部C1Mは、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。記憶部C1Mは、食器洗浄機1を動作させるために制御部C1が実行する各種プログラム、例えば
図6に示す判断プログラム等を記憶している。また、記憶部C1Mは、食器洗浄機1の設定情報等の各種情報や、各種プログラムを実行するための初期設定情報等を随時記憶する。
【0053】
制御部C1は、温度センサ63Sから検出結果を取得し、その検出結果に基づいて、貯水部7Pに貯められた洗浄水の温度や、洗浄槽7内の空気の温度を判断する。
【0054】
また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検出する水位センサ、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検出する位置センサ、洗浄槽7が収容位置にロックされているか否かを検出するロックセンサ等から検出信号を受信する。
【0055】
そして、制御部C1は、駆動回路C1Dを介して制御信号を出力することにより、ポンプ62、給水電磁弁69、ヒータ63及び乾燥ファン68の作動を制御して、食器類TW1を洗浄する洗浄運転を実行する。また、制御部C1は、図示しない洗剤自動投入装置及び処理剤供給装置20を所定のタイミングで制御して作動させる。
【0056】
入出力部40は、ユーザが入力操作を行うための図示しない複数のボタン等を有している。また、入出力部40は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な液晶パネル等を有している。入出力部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達するとともに、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0057】
<処理剤供給装置、ケース及び貯蔵タンク>
図1及び
図3に示すように、移動体6における扉体70の前面70Fと洗浄槽7の前壁7Aとの間の空間には、処理剤供給装置20、ケース29及び貯蔵タンク10が設けられている。
【0058】
処理剤供給装置20は、給水管P1の途中であって給水口7Sの直前の位置に配置されている。処理剤供給装置20の上部には、接続管28が上向きに突出するように設けられている。
【0059】
図示は省略するが、処理剤供給装置20は、複数の電磁弁及び計量ポンプ等を有している。各電磁弁は、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させない場合と、リンスR1を混入させる場合とで、処理剤供給装置20内の水の流通経路を切り替えたり、リンスR1の供給及び停止を切り替えたりする。計量ポンプは、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させる場合に作動して、リンスR1を精度良く計量しながら混入させる。
【0060】
ケース29は、処理剤供給装置20よりも上方に配置されている。ケース29は箱状体であり、その底壁に接続管28の上部分が挿通されている。ケース29は、第2上面72において、その上面が開放されている。
【0061】
図2及び
図3に示すように、貯蔵タンク10は、ケース29よりも小さい箱状体である。貯蔵タンク10は、周壁19を有している。周壁19は、前壁19F、後壁19B、左壁19L、右壁19R及び底壁19Dからなり、貯蔵空間10Aを区画している。貯蔵タンク10の上面は開放されており、タンクカバー15によって閉塞されている。
【0062】
貯蔵タンク10は、移動体6に設けられたケース29に対して着脱可能に構成されている。貯蔵タンク10が
図2及び
図3に実線で示すようにケース29に装着された状態で、貯蔵タンク10の左右方向の中央は、ケース29の左右方向の中央とほぼ一致するように設計されている。また、その状態で、タンクカバー15の上面は、第2上面72と略面一となっている。貯蔵タンク10の底壁19Dには、被接続部18が設けられている。
【0063】
被接続部18は、貯蔵タンク10が
図2及び
図3に実線で示すようにケース29に装着された状態で、接続管28と連通する。これにより、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1は、被接続部18及び接続管28を経由して処理剤供給装置20内に供給されることが可能となる。
【0064】
その一方、被接続部18は、貯蔵タンク10が
図2及び
図3に二点鎖線で示すようにケース29から取り外された状態で、図示しない逆止弁によって閉塞される。これにより、取り外された貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1が被接続部18から漏れない。
【0065】
<液圧変形部及び基準部>
図3及び
図5に示すように、貯蔵タンク10は、液圧変形部11及び基準部12を有している。
【0066】
図5に示すように、液圧変形部11は、貯蔵空間10Aを区画する周壁19の一部、すなわち左壁19Lにおける下方に位置する部分の一部を構成している。なお、周壁19における液圧変形部11以外の部分は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって一体成形された樹脂製部材である。左壁19Lには、液圧変形部11が装着される位置において、円形の開口19Hが貫設されている。
【0067】
液圧変形部11は、ゴムやエラストマ等の材料からなる膜状部材によって形成されており、弾性変形可能である。液圧変形部11は、ダイヤフラム部11A及び枠部11Bを有している。
【0068】
ダイヤフラム部11Aは、円形薄板形状である。
図5は、左向きに膨らむように弾性変形した状態を示している。図示は省略するが、ダイヤフラム部11Aは、弾性変形していない状態では、上下方向及び前後方向に延びる平板形状である。
【0069】
枠部11Bは、ダイヤフラム部11Aの外周縁に一体成形された円環形状である。枠部11Bは、左壁19Lの開口19Hに嵌入し、かつ左壁19Lにおける開口19Hを囲む周縁に貯蔵空間10Aとは反対側から当接している。
【0070】
液圧変形部11は、円環形状の固定部材11Fと、左壁19Lにおける開口19Hを囲む周縁とによって枠部11Bが挟持されることにより、周壁19に一体化されている。
【0071】
なお、固定部材11Fは、ネジ等の締結部材や接着剤等により、左壁19Lに固定されている。また、枠部11Bと開口19Hとの隙間は、封止剤や接着剤等により、封止されている。
【0072】
液圧変形部11のダイヤフラム部11Aは、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1の量の増減に伴う液圧の変化に応じて形状が復元可能に変化する。
【0073】
具体的には、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1の液面がダイヤフラム部11Aより下方にある場合、ダイヤフラム部11Aは弾性変形せず、平板形状を維持する。
【0074】
貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1が補給により量が増加し、リンスR1の液面が上昇するにつれて、ダイヤフラム部11Aに作用する液圧が増加する。それに伴って、ダイヤフラム部11Aは、左向きに膨らむように弾性変形する。
【0075】
図5に示すダイヤフラム部11Aは、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1の液面がダイヤフラム部11Aよりもある程度高い位置にあって貯蔵タンク10の液圧が大きいため、左向きに大きく膨らむように弾性変形している。
【0076】
その後、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1が使用により量が減少し、リンスR1の液面が下降するにつれて、ダイヤフラム部11Aに作用する液圧が減少する。それに伴って、ダイヤフラム部11Aは、膨らみが解消するように弾性変形し、平板形状を復元する。
【0077】
基準部12は、液圧変形部11とは異なる位置で周壁19の左壁19Lに設けられている。基準部12は、左壁19Lの外面のうちの液圧変形部11よりも上方に位置する部分であって、左を向く平坦面である。
【0078】
液圧変形部11のダイヤフラム部11Aは、基準部12よりも若干左方に位置している。
【0079】
<第1測距センサ及び第2測距センサ>
図3及び
図5に示すように、食器洗浄機1は、第1測距センサS1及び第2測距センサS2をさらに備えている。第1測距センサS1は、本発明の「変形検出手段」の一例である。第2測距センサS2は、本発明の「位置検出手段」の一例である。
【0080】
第1測距センサS1及び第2測距センサS2は、移動体6の扉体70内、かつ貯蔵タンク10の外部に設けられている。第1測距センサS1及び第2測距センサS2は、貯蔵タンク10の左壁19Lから左方に離隔した位置にある。第2測距センサS2は、第1測距センサS1から上方に離隔している。
【0081】
図4に示すように、第1測距センサS1及び第2測距センサS2はそれぞれ、制御部C1に接続されている。
【0082】
図5に示すように、第1測距センサS1は、タイム・オブ・フライト方式のレーザ測距センサであり、発光部S1A、受光部S1B及び演算処理部S1Cを有している。
【0083】
タイム・オブ・フライト方式とは、発光部S1Aから発射したレーザ光が距離測定対象によって反射して受光部S1Bに受光されるまでの時間を演算処理部S1Cが計測し、演算処理により距離に換算する測定方式である。
【0084】
貯蔵タンク10の左壁19Lには、第1測距センサS1と液圧変形部11との間に位置する貫通穴19Jが形成されている。
【0085】
第1測距センサS1は、左右方向において液圧変形部11に対面している。第1測距センサS1は、発光部S1A、受光部S1B及び演算処理部S1Cにより、距離測定対象である液圧変形部11までの距離を光学的に計測する。
【0086】
第1測距センサS1は、貯蔵空間10Aの液圧の変化に伴う液圧変形部11の変形、すなわち受光部S1Bから液圧変形部11までの距離を非接触で検出した結果である変形検出結果D1を出力し、制御部C1に伝達する。
【0087】
第2測距センサS2も、第1測距センサS1と同様に、タイム・オブ・フライト方式のレーザ測距センサであり、発光部S2A、受光部S2B及び演算処理部S2Cを有している。
【0088】
貯蔵タンク10の左壁19Lには、第2測距センサS2と基準部12との間に位置する貫通穴19Kが形成されている。
【0089】
第2測距センサS2は、液圧変形部11と第1測距センサS1とが対面する対面方向と同じ方向、すなわち左右方向において基準部12に対面している。第2測距センサS2は、第1測距センサS1と同様に、発光部S2A、受光部S2B及び演算処理部S2Cにより、基準部12の位置、すなわち受光部S2Bから基準部12までの距離を光学的に計測する。
【0090】
第2測距センサS2は、基準部12の位置を非接触で検出した結果である位置検出結果D2を出力し、制御部C1に伝達する。
【0091】
なお、本実施例では、受光部S1B、S2Bは共に、ケース29の左壁の内面から左方に離隔距離L1だけ離隔している。
【0092】
<洗浄運転>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で洗浄運転が実行される。本実施例では、洗浄運転は、洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程を含んでいる。
【0093】
ユーザは、洗浄対象の食器類TW1を洗浄槽7内に収容するため、取っ手7Gを把持して移動体6を
図2に示す引き出し位置に移動させる。そして、ユーザは、槽開口7Hが開放された洗浄槽7に食器類TW1を収容する。また、ユーザは、必要に応じてタンクカバー15を貯蔵タンク10から取り外して貯蔵空間10AにリンスR1を補給する。
【0094】
この際、洗浄槽7内への食器類TW1の収容と、貯蔵タンク10へのリンスR1の補給とは、どちらが先でもかまわない。その後、ユーザは、入出力部40を操作して洗浄運転の開始を指示し、移動体6を
図1に示す引き出し位置に移動させる。
【0095】
そして、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検出され、かつ図示しないロックセンサによって洗浄槽7が収容位置にロックされていることが検出されたことを条件として、
図6に示す判断プログラムを実行する。
【0096】
初めに、制御部C1は、ステップS101において、第1測距センサS1から変形検出結果D1を取得する。
【0097】
次に、制御部C1はステップS102に移行し、第2測距センサS2から位置検出結果D2を取得する。
【0098】
次に、制御部C1はステップS103に移行し、変形検出結果D1<閾値G11、及び、位置検出結果D2<閾値G21、の両方が成立するか否かを判断する。
【0099】
ここで、閾値G11及び閾値G21の設定の一例を以下に説明する。閾値G11及び閾値G21は、ケース29の左右方向の内幅の半分と、離隔距離L1との合計よりも大きく、かつケース29の左右方向の内幅と離隔距離L1との合計よりも小さい値に設定されている。そして、ダイヤフラム部11Aが基準部12よりも若干左方に位置することを考慮し、閾値G11は、閾値G21よりも若干小さい値に設定されている。
【0100】
ステップS103において「No」の場合、制御部C1はステップS104に移行し、貯蔵タンク10が未設置の状態であると判断する。そして、制御部C1はステップS105に移行し、貯蔵タンク10が未設置の状態であって洗浄運転を実行できない旨をユーザに報知した後、このプログラムを終了する。
【0101】
一方、ステップS103において「Yes」の場合、制御部C1はステップS107に移行し、閾値G12<変形検出結果D1<閾値G13、及び、閾値G22<位置検出結果D2<閾値G23、の両方が成立するか否かを判断する。
【0102】
ここで、閾値G12及び閾値G22の設定の一例を以下に説明する。閾値G12及び閾値G22は、離隔距離L1よりも大きく、かつ、ケース29の左右方向の内幅と貯蔵タンク10の左右方向の外幅との差の半分と、離隔距離L1との合計よりも小さい値に設定されている。そして、ダイヤフラム部11Aが基準部12よりも若干左方に位置することを考慮し、閾値G12は、閾値G22よりも若干小さい値に設定されている。
【0103】
また、閾値G13及び閾値G23の設定の一例を以下に説明する。閾値G13及び閾値G23は、ケース29の左右方向の内幅と貯蔵タンク10の左右方向の外幅との差の半分と、離隔距離L1との合計よりも大きく、かつケース29の左右方向の内幅と貯蔵タンク10の左右方向の外幅との差と、離隔距離L1との合計よりも小さい値に設定されている。そして、ダイヤフラム部11Aが基準部12よりも若干左方に位置することを考慮し、閾値G13は、閾値G23よりも若干小さい値に設定されている。
【0104】
ステップS107において「No」の場合、制御部C1はステップS108に移行し、貯蔵タンク10が誤設置の状態であると判断する。そして、制御部C1はステップS109に移行し、貯蔵タンク10が誤設置の状態であって洗浄運転を実行できない旨をユーザに報知した後、このプログラムを終了する。
【0105】
一方、ステップS107において「Yes」の場合、制御部C1はステップS111に移行し、貯蔵タンク10が未設置の状態ではなく、また誤設置の状態でもないと判断する。
【0106】
つまり、制御部C1は、ステップS103~S111において、変形検出結果D1及び位置検出結果D2の少なくとも一方が所定の条件を満たさない場合、貯蔵タンク10が未設置又は誤設置の状態であると判断する。
【0107】
次に、制御部C1はステップS112に移行し、位置検出結果D2を参照して貯蔵タンク10の位置ずれや傾斜の有無や大きさを推測する。そして、必要があれば、推測した貯蔵タンク10の位置ずれや傾斜の有無や大きさに応じて、変形検出結果D1を補正する。
【0108】
次に、制御部C1はステップS113に移行する。記憶部C1Mには、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1の量が満杯の状態から空の状態まで変化するときに変形検出結果D1がどのように変化するかを測定する試験によって得らえたデータテーブルが記憶されている。制御部C1は、変形検出結果D1とデータテーブルとを参照し、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1の量を判断する。
【0109】
つまり、制御部C1は、ステップS112、S113において、変形検出結果D1及び位置検出結果D2に基づいて、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1の量を判断する。
【0110】
次に、制御部C1はステップS114に移行し、判断したリンスR1の量が洗浄運転を開始するのに充分か否かを判断する。
【0111】
ステップS114において「No」の場合、制御部C1はステップS115に移行し、貯蔵タンク10に貯蔵されたリンスR1の量の不足により洗浄運転を実行できない旨をユーザに報知した後、このプログラムを終了する。
【0112】
一方、ステップS114において「Yes」の場合、制御部C1はこのプログラムを終了して洗浄運転を実行し、洗浄工程を開始する。
【0113】
制御部C1は、洗浄工程において、給水電磁弁69を開弁させ、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する。この際、制御部C1は、図示しない洗剤自動投入装置によって、洗浄槽7内に収容された食器類TW1に対応する量の洗剤を洗浄槽7内に自動で投入する。また、制御部C1は、洗浄工程において、処理剤供給装置20について、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させないように制御する。
【0114】
そして、制御部C1は、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射して、食器類TW1を洗浄する。
【0115】
洗浄工程が終わると、制御部C1は、ポンプ62を逆転させ、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水した後、すすぎ工程を開始する。
【0116】
制御部C1は、すすぎ工程において、給水電磁弁69を開弁させ、給水管P1によって洗浄槽7内に水を供給する。この際、制御部C1は、処理剤供給装置20について、洗浄槽7内に供給される水にリンスR1を混入させるように制御する。これにより、処理剤供給装置20は、洗浄槽7内に収容された食器類TW1に対応する量のリンスR1を精度良く計量しながら、洗浄槽7内に供給される水に混入させる。
【0117】
そして、制御部C1は、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内にリンスR1が混入した洗浄水を噴射して、食器類TW1をすすぐ。
【0118】
すすぎ工程が終わると、制御部C1は、ポンプ62を逆転させ、洗浄槽7内のすすぎに用いた洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水した後、乾燥工程を開始する。
【0119】
制御部C1は、乾燥工程において、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させ、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで洗浄槽7内の食器類TW1を乾燥させる。乾燥工程が終わると、制御部C1は洗浄運転を終了する。
【0120】
乾燥工程では、すすぎ工程の終了時に食器類TW1に付着した水滴に含まれるリンスR1により食器類TW1の水切りが良くなり、食器類TW1に水滴が付着したままとなることを抑制できる。その結果、乾燥工程の所要時間を短縮できるとともに、食器類TW1に付着したままの水滴によって乾燥後の食器類TW1にスポット(斑点)が生じることを抑制できる。また、リンスR1に含まれる光沢成分により、食器類TW1の洗い上がりの光沢を得易くなる。
【0121】
<作用効果>
実施例の食器洗浄機1において、
図5に示すように、液圧変形部11は、上記従来の洗浄装置に係るフロート及びアームのような可動部材を有しておらず、回動不良等の不具合が生じない。また、液圧変形部11は、貯蔵空間10Aに貯蔵されたリンスR1の液面よりも下方に位置する期間が長いため、液圧変形部11に接触するリンスR1が高粘度化し難く、液圧変形部11がリンスR1の液面高さの変化にスムーズに追従する状態を長期間維持し易い。
【0122】
したがって、実施例の食器洗浄機1は、長期間安定してリンスR1の量を精度良く検出できる。
【0123】
また、上記従来の洗浄装置では、貯蔵タンクのカバーを貯蔵タンクから取り外したり、貯蔵タンクを装置本体から取り外したりすることでフロート及びアーム等を洗浄可能であるが、ユーザがフロート及びアーム等の洗浄作業を煩わしいと感じ易い。この点、この食器洗浄機1は、そのようなユーザの煩わしさを抑制できる。
【0124】
また、この食器洗浄機1において、制御部C1は、上記構成の基準部12及び第2測距センサS2により、液圧変形部11の変形検出結果D1を第2測距センサS2の位置検出結果D2によって補正できるので、リンスR1の量を一層精度良く検出できる。
【0125】
さらに、この食器洗浄機1において、貯蔵タンク10は、移動体6に設けられたケース29に対して着脱可能に構成されている。この構成により、貯蔵タンク10が着脱によってケース29内で位置ずれしても、変形検出結果D1を位置検出結果D2によって補正できるので、リンスR1の量の検出精度が貯蔵タンク10の着脱によって低下することを抑制できる。
【0126】
また、この食器洗浄機1において、制御部C1は、ステップS103~S111において、変形検出結果D1及び位置検出結果D2の少なくとも一方が所定の条件を満たさない場合、貯蔵タンク10が未設置又は誤設置の状態であると判断する。つまり、第1測距センサS1及び第2測距センサS2は、貯蔵タンク10の未設置状態及び誤設置状態を判断する着脱検出手段や誤設置検出手段を兼ねる。これにより、この食器洗浄機1は、仮に別の着脱検出手段や誤設置検出手段を設ける場合と比較して、製造コストの低廉化を実現できる。
【0127】
さらに、この食器洗浄機1において、液圧変形部11は、貯蔵タンク10の液圧に応じて弾性変形する膜状部材によって形成されている。そして、第1測距センサS1は、発光及び受光により液圧変形部11までの距離を光学的に計測するレーザ測距センサである。この構成により、比較的簡単な構成でリンスR1の量を検出することができる。
【0128】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0129】
(変形例)
実施例から基準部12及び第2測距センサS2を無くした構成も本発明に含まれる。この場合、
図6の判断プログラムにおいて、ステップS102は削除される。ステップS103は、「変形検出結果D1<閾値G11が成立するか否かを判断する」ように変更される。ステップS107は、「閾値G12<変形検出結果D1<閾値G13が成立するか否かを判断する」ように変更される。ステップS112は削除される。このような変形例においても、実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【0130】
実施例では、変形検出手段は、タイム・オブ・フライト方式のレーザ測距センサであるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、変形検出手段は、三角測距方式のレーザ測距センサ、超音波式の測距センサ、カメラ等であってもよい。位置検出手段も同様である。
【0131】
実施例では、処理剤がリンスR1であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、処理剤は、液状の洗剤であってもよい。
【0132】
実施例では、基準部12は、左壁19Lの外面のうちの液圧変形部11よりも上方に位置する平坦面であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、基準部は、周壁における液圧変形部が設けられた壁とは異なる壁に設けられてもよい。また、基準部は、周壁の外面から貯蔵空間とは反対側に向かって突出する凸部であってもよいし、周壁の外面から貯蔵空間側に向かって凹む凹部であってもよい。
【0133】
実施例では、食器洗浄機1が前面引き出し式であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明の洗浄装置について、洗浄槽が内部に形成されて前面が開放された筐体と、筐体前面に位置して開閉する扉体と、を装置本体が備えるフロントオープン式の食器洗浄機として具体化してもよい。
【0134】
実施例では、本発明の洗浄装置を食器洗浄機1として具体化したが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明の洗浄装置について、工場等に設置され、機械部品や工具等を洗浄する洗浄装置として具体化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は例えば、住宅や施設等に設置される食器洗浄機や、工場等に設置される洗浄装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1…洗浄装置(食器洗浄機)
5…装置本体
TW1…被洗浄物(食器類)
7…洗浄槽
R1…処理剤(リンス)
10A…貯蔵空間
10…貯蔵タンク
19…周壁
11…液圧変形部
S1…変形検出手段(第1測距センサ)
D1…変形検出結果
C1…制御部
12…基準部
S2…位置検出手段(第2測距センサ)
D2…位置検出結果