(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001118
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231226BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231226BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20231226BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20231226BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20231226BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/66
B60L53/65
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171887
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022096949の分割
【原出願日】2017-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2016194473
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】森園 潤
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛
(72)【発明者】
【氏名】近藤 靖彰
(72)【発明者】
【氏名】久保田 次郎
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従前の充電規格を変更することなく、車両がいずれの充電器に接続されたかを検出し、充電を開始する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザ登録処理を表すシーケンスは、ユーザ端末に、車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示し個人情報を入力させるステップと、前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信するステップと、前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDをユーザ端末に送信するステップと、ユーザ端末が、前記ユーザIDを前記車両に送信するステップと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末に、
車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示させるステップと、
前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信するステップと、
前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信するステップと、
前記ユーザIDを前記車両に送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記ユーザの個人情報は、前記ユーザの氏名または連絡先の少なくとも一つを含む請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記サーバへのアクセスを行ったことに応じて、前記フォームを表示させる請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記情報処理端末に、前記フォームに入力された前記ユーザの決済情報を前記サーバへ送信するステップを更に実行させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記決済情報は、クレジットカード番号を含む請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記情報処理端末に、前記ユーザIDが前記車両に登録されたことを示す通知を前記ユーザへ通知するステップを更に実行させる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記通知するステップは、前記ユーザIDが前記車両に登録されたことに応じて実行させる請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記情報処理端末は、コンピュータまたはスマートフォンの少なくともいずれかを含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示させるステップと、
前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信するステップと、
前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信するステップと、
前記ユーザIDを前記車両に送信するステップとを含む情報処理方法。
【請求項10】
車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示する情報処理装置であって、
前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信する通信部と、
前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信する入力部とを備え、
前記通信部は、前記ユーザIDを前記車両に送信する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高まりに伴い、電動モータおよびエンジンを併用したハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド自動車(PHE:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)が普及している。さらに、近年では、電動モータのみによって駆動される電気自動車(EV:Electric Vehicle)が開発されている。
【0003】
電動車両の普及のためには、バッテリを充電する充電システムの充実が欠かせないことから、様々な充電システムが案出されてきている。例えば、特許文献1に記載された充電システムは、車両に接続可能な複数の充電器と、複数の充電器を管理する充電コントローラと、ネットワークに接続されたサーバとを含む。充電器は典型的にはショッピングモールなどの駐車場に施設され、充電コントローラは店舗の入り口に設置され得る。このような充電システムにおいて、ユーザは、充電器と車両とをコネクタケーブルで接続した後、充電コントローラを操作することによって充電を開始させる必要がある。すなわち、ユーザが充電コントローラにIDカードを読み取らせるとともに、車両に接続された充電器の番号を入力することで、充電コントローラは指定された充電器における充電を開始させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の充電システムにおいて、ユーザは充電コントローラにIDカードを読み取らせ、充電器番号を入力するなど煩雑な操作が必要となる。また、充電コントローラが充電器から離れて設置されている場合には、ユーザは車両から降りた後、充電コントローラまで徒歩で移動しなければならない。特に、大型の駐車場に充電システムが施設されている場合には、充電器から充電コントローラまでの距離は長くなり、ユーザの負担はさらに大きくなる。
【0006】
ここで、認証された車両がいずれの充電器に接続されたかを自動的に検出することで、ユーザによる充電コントローラの操作を不要とすることが考えられ得る。しかしながら、電動自動車の充電規格は厳格に定められており、充電ケーブルを介して、充電器が車両を認証するためのデータ通信を行なうことはできない。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、従前の充電規格を変更することなく、車両がいずれの充電器に接続されたかを検出開始可能な充電システム、充電コントローラ、情報処理装置、充電方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、情報処理端末に、車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示させるステップと、前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信するステップと、前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信するステップと、前記ユーザIDを前記車両に送信するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本発明の他の観点によれば、車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示させるステップと、前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信するステップと、前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信するステップと、前記ユーザIDを前記車両に送信するステップとを含む情報処理方法が提供される。
【0010】
本発明の他の観点によれば、車両の充電を行う充電器を利用するにあたって参照されるユーザIDを取得するためのフォームを表示する情報処理装置であって、前記フォームに入力されたユーザの個人情報をサーバへ送信する通信部と、前記ユーザの個人情報がサーバへ送信されたことに応じて、前記サーバから前記ユーザのユーザIDを受信する入力部とを備え、前記通信部は、前記ユーザIDを前記車両に送信する情報処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従前の充電規格を変更することなく、車両がいずれの充電器に接続されたかを検出し、充電を開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態における電動車両の充電システムのブロック図である。
【
図2】第1の実施形態における充電コントローラのブロック図である。
【
図3】第1の実施形態における充電器のブロック図である。
【
図4】第1の実施形態における車両の充電回路のブロック図である。
【
図5】第1の実施形態におけるパイロット信号CPLTを説明するためのチャートである。
【
図6】第1の実施形態におけるユーザ登録処理を表すシーケンスチャートである。
【
図7】第1の実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。
【
図8】第1の実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。
【
図9】第1の実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。
【
図10】第2の実施形態における車両の充電回路および携帯端末のブロック図である。
【
図11】第2の実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。
【
図12】第2の実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。
【
図13】第3の実施形態における電動車両の充電システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における電動車両の充電システムのブロック図である。充電システムは、サーバ1、充電コントローラ3、複数の充電器4を含む。サーバ1はいわゆるクラウドサーバであって、ネットワーク8を介してユーザ端末2、充電コントローラ3と接続される。
図1には、ユーザ端末2、充電コントローラ3がそれぞれ1つしか示されていないが、サーバ1には複数のユーザ端末2、複数の充電コントローラ3が接続され得る。サーバ1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103を含み、ユーザの登録情報、決済情報、充電履歴などの記録管理のほか、充電コントローラ3および充電器4の管理を行ない得る。
【0015】
ユーザ端末2はユーザ宅に配置されたコンピュータ、またはスマートフォンなどの携帯端末であり得る。ユーザはユーザ端末2をサーバ1に接続させることにより、登録情報、決済情報の入力および確認などを行なうことができる。充電コントローラ3、充電器4はショッピングモールなどの駐車場、市街の充電スタンドなどに施設される。充電コントローラ3は例えば駐車場6を有する施設の入り口付近に設置され、充電器4は車両毎の駐車スペース近傍に施設される。充電コントローラ3には複数の充電器4がシリアル通信によってカスケード接続されている。充電器4の数は数千台に達することもあり得るが、1台であることを妨げない。充電器4は充電ケーブル4aを備え、充電ケーブル4aを車両5に接続することにより、充電器4から車両5のバッテリに電流が供給される。充電器4は典型的には普通充電器であるが、急速充電器であっても良い。車両5は、電動モータおよびエンジンを併用したハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHE)、または電動モータのみによって駆動される電気自動車(EV)などの電動車両である。以下の説明においては、これらの電動車両を単に「車両」と称する。
【0016】
図2は、本実施形態における充電コントローラ3のブロック図である。充電コントローラ3は、バス300、CPU301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、ディスプレイ304、タッチセンサ305、無線LAN(Local Area Network)ユニット306、無線WAN(Wide Area Network)ユニット307、LANユニット308、I/F(Interface)309、SW(Switch)310、カードリーダ311を含む。
【0017】
CPU301は予め定められたアプリケーションプログラムに従って充電処理を実行する。アプリケーションプログラムはROM302に書き込まれても良く、ネットワーク8を介してサーバ1からダウンロードされても良い。RAM303はCPU301の動作に必要なメモリ領域を提供する。ディスプレイ304はタッチセンサ305が表面上に配されたタッチパネルである。ディスプレイ304上には充電器4の番号、充電量、課金額などが表示され得る。無線LANユニット306は、例えばWiFi規格に基づく無線送受信ユニットである。無線LANユニット306の通信可能エリアは駐車場全体、すなわち充電コントローラ3、充電器4が施設された領域であることが望ましい。無線WANユニット307は3G、LTE、4Gなどの公衆無線回線に接続可能な送受信ユニットであり、図示されていない基地局との間で無線通信を行なう。無線LANユニット306、無線WANユニット307は車両との通信のために使用される。なお、駐車場が比較的に狭い場合には、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信を用いても良い。
【0018】
I/F309はRS232C、RS485などのシリアル通信規格に基づくインターフェースユニットであり、カスケード接続された複数の充電器4と通信を行なうことができる。カードリーダ311は会員カード、電子マネーカードなどの情報を読み出す装置であって、接触式、非接触式を問わない。
【0019】
図3は本実施形態における充電器4のブロック図である。充電器4はECU401、I/F402、PWM(Pulse Width Modulation)回路403、電圧検出回路404、整流回路405、ノイズフィルタ406、リレースイッチ407、コネクタCN1を含む。ECU401はCPU、メモリなどから構成され、予め定められたアプリケーションプログラムに従い充電処理を実行する。アプリケーションプログラムはメモリに予め書き込まれても良く、ネットワークからダウンロードされても良い。I/F402はRS223CRS485などのシリアル通信インターフェースユニットであり、充電コントローラ3、他の充電器4に接続され得る。
【0020】
PWM回路403は、発振回路、パルス幅変調回路、電圧制御回路を含み、SAE Electric Vehicle ConductiveCharge Couple、SAE J1772、IEC6185の規格に基づくパイロット信号CPLT(Control Pilot)を出力する。後述するように、パイロット信号CPLTは、電圧およびパルス幅を変化させることによって、充電の開始および終了、電流量の指示、充電ケーブルの接続状態などを表す制御信号である。PWM回路403の出力端子は抵抗R1を介してコネクタCN1に接続される。電圧検出回路404は電圧コンパレータ回路などから構成され、パイロット信号CPLTの電圧を検出する。
【0021】
整流回路405はダイオードブリッジ回路を含み、交流電源408から供給された交流を直流に変換し、ECU401、I/F402、PWM回路403、電圧検出回路404に電源電圧を供給する。図示されていないが、整流回路405は、インダクタ、キャパシタなどの平滑回路を含み得る。ノイズフィルタ406は交流電源408に含まれるサージノイズなどを除去するフィルタ回路である。リレースイッチ407は電磁ソレノイド、可動接点を備え、ECU401からの制御信号に従い、交流電源408とコネクタCN1との電気経路を開閉させる。コネクタCN1は充電ケーブル4aに接続され、充電ケーブル4aには、制御信号線L1、電源線L2、L3、接地線L4が含まれる。
【0022】
図4は本実施形態における車両5の充電回路のブロック図である。車両5の充電回路は充電ECU501、リレースイッチ502、整流回路503、DC/DCコンバータ504、充電回路505、バッテリ506、無線ECU510、無線LANユニット511、無線WANユニット512、表示ECU513、コネクタCN2を含む。コネクタCN2には、充電ケーブル4aのプラグが接続され、制御信号線L1、電源線L2、L3、接地線L4と車両5との電気的経路を形成する。充電ECU501はCPU、メモリ、アナログデジタル変換器などを含み、予め定められたアプリケーションプログラムに従い処理を実行する。充電ECU501の入力端子には、コネクタCN2、ダイオードD1から制御信号線L1を介してCPLT信号が入力される。制御信号線L1には抵抗R2、R3のそれぞれの一端が接続されている。抵抗R2の他端はトランジスタスイッチQ1のコレクタに接続され、エミッタは接地されている。また、抵抗R3の他端はトランジスタスイッチQ2のコレクタに接続され、エミッタは接地されている。トランジスタスイッチQ1、Q2のゲートには充電ECUから制御信号が入力され、ゲートにハイレベルの電圧が印加されることで、トランジスタスイッチQ1、Q2はオンとなる。
【0023】
トランジスタスイッチQ1、Q2がオフである場合には、制御信号線L1にはCPLT信号の電圧からダイオードD1の順方向電圧(約0.7V)を差し引いた電圧が現れる。また、トランジスタスイッチQ1がオンになった場合には、パイロット信号CPLTの電圧にR2/(R1+R2)の比率を乗じた電圧が制御信号線L1に現れる。さらに、トランジスタスイッチQ1、Q2がともにオンになった場合には、パイロット信号CPLTの電圧に(R2・R3/(R2+R3))/(R1+(R2・R3/(R2+R3)))の比率を乗じた信号が現れる。このように、充電ECU501がトランジスタスイッチQ1、Q2をオン、オフさせることにより、CPLT信号の電圧を変化させることができる。パイロット信号CPLTの電圧変化は、充電ECU501、充電器4の電圧検出回路404のそれぞれにおいて検出され得る。
【0024】
リレースイッチ502は充電ECU501によって制御され、コネクタCN2と整流回路503との間の電気経路を開閉する。整流回路503は交流を直流に変換し、DC/DCコンバータ504に直流電流を供給する。DC/DCコンバータ504は整流された直流電圧を、バッテリ506の充電に必要な電圧に昇圧する。充電回路505はバッテリ506への電流を制御する回路、保護回路などを備える。充電回路505からバッテリ506に電流を供給することにより、バッテリ506は充電される。
【0025】
無線ECU510はCPU、メモリなどを備え、CAN(Control Area Network)を介して充電ECU501に接続されている。無線LANユニット511、無線WANユニット512は充電コントローラ3と無線通信可能であって、無線ECU510によって制御される。表示ECU513は車両のインパネなどのディスプレイを制御し、充電器4との接続状況、充電状況などをディスプレイに表示させる。
【0026】
図5はCPLT信号を説明するためのチャートである。この図において、横軸は時間、縦軸は電圧検出回路404によって検出されたパイロット信号CPLTの電圧を表している。時刻t1において、充電器4の電源がオンになり、PWM回路403は電圧V1(例えば12V)を出力する。このとき、充電器4の充電ケーブル4aは車両5に接続されていない。また、車両5においては、トランジスタスイッチQ1がオンになっているものとする。時刻t2において、充電ケーブル4aが車両5に接続されると、パイロット信号CPLTの電圧は抵抗R1、R2の分圧比によって降下した電圧V2(例えば9V)となる。時刻t3において、PWM回路403は発振を開始し、所定のデューティ比の交流信号(例えば、1KHz)を出力する。デューティ比を変化させることで、通電可能な最大電流値を車両5の充電ECU501に知らせることができる。
【0027】
時刻t4において、充電ECU501はトランジスタスイッチQ2をオンにし、パイロット信号CPLTの電圧はさらにV3(例えば6V)に低下する。充電器4のECU401はリレースイッチ407をオンにし、充電ケーブル4aから車両5に充電電流を供給する。車両5の充電ECU501はリレースイッチ502をオンにし、充電電流をバッテリ506に供給し、充電が開始する。
【0028】
時刻t5において、車両5における充電が完了すると、充電ECU501はトランジスタスイッチQ2をオフにし、パイロット信号CPLTの電圧をV2とする。また、充電ECU501はリレースイッチ502をオフにする。時刻t6において、充電器4のECU401が、パイロット信号CPLTの電圧はV2に上昇したことを検出すると、ECU401はリレースイッチ407をオフにし、充電電流の供給を停止する。
【0029】
時刻t7において、ユーザが充電ケーブル4aを車両5から取り外すと、充電器4のコネクタCN1がオープンとなり、パイロット信号CPLTの電圧はV1に上昇する。ECU401はパイロット信号CPLTの電圧を監視することにより、充電ケーブル4aが取り外されたことを検出することができる。
【0030】
図6は本実施形態におけるユーザ登録処理を表すシーケンスチャートである。先ず、ユーザはユーザ端末2からサーバ1にアクセスし、ユーザ登録用のウェブサイトをユーザ端末2に表示させる。ユーザは、氏名、連絡先などの個人情報をユーザ登録フォームに記入する(ステップS602)。また、ユーザは、クレジットカード番号などの決済情報を入力する(ステップS603)。個人情報、決済情報は登録情報として、ユーザ端末2からサーバ1に送信され(ステップS604)、サーバ1は登録情報をデータベースに登録する(ステップS606)。サーバ1はユーザIDを発行し、ユーザ端末2に通知する(ステップS605)。ユーザは通知されたユーザIDをユーザ端末2に記録し(ステップS608)、無線LAN、無線WANを介してユーザIDを車両5に送信する(ステップS609)。車両5の無線ECU510はユーザIDをメモリに登録し(ステップS610)、登録が完了したことをユーザ端末2に通知する(ステップS611)。以上により、ユーザIDの登録が完了する。
【0031】
図7、
図8、
図9は本実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。充電コントローラ3は無線LANユニット306からビーコンを一定周期(例えば100msec)で送信し続ける(ステップS702)。ビーコンには、SSID(Service Set ID)、チャネル(周波数)情報、セキュリティ情報などが含まれる。車両5が駐車場、すなわち無線LANユニット306の通信可能エリアに入ると、無線ECU510はビーコンを受信する(ステップS704)。無線ECU510はビーコンに含まれるSSIDが無線ECU510に保持されたSSIDと一致するかを判断し、一致した場合にはパスワードなどの認証情報を含む認証要求を充電コントローラ3に送信する(ステップS706)。充電コントローラ3は認証要求に基づき認証を行い(ステップS708)、認証結果を充電ECU501に送信する(ステップS709)。車両5において、無線ECU510は認証結果を受信すると、充電が可能であることを表示ECU513に表示させる。
【0032】
ユーザは車両5を充電器4-2の前に停車し、充電ケーブル4aを車両5のコネクタCN2に接続する(ステップS710)。充電器4-2において、充電ケーブル4aが車両5に接続されることで、パイロット信号CPLTの電圧は12Vから9Vに低下する(ステップS711)。充電器4-2は、パイロット信号CPLTの電圧が9Vになったことを検出すると、充電ケーブル4aが車両5に接続されたと判断し、LEDを点滅させる(ステップS716)。さらに、充電器4-2は、充電器4-2に車両5が接続されたことを、充電器4-2の識別番号(ID=2)とともに充電コントローラ3に通知する。
【0033】
一方、車両5において、充電ECU501はパイロット信号CPLT(ステップS711)を検出すると、充電ケーブル4aが接続されたと判断する(ステップS716)。さらに、充電ECU501は充電ケーブル4aが接続されたことを無線ECU510に通知する(ステップS717)。
【0034】
図8において、無線ECU510は充電開始要求を充電コントローラ3に送信する(ステップS802)。充電コントローラ3は充電開始要求を受信すると、車両5に接続されている充電器4に検出信号を順次、送信する。以下の説明においては、充電器4-1、4-2のそれぞれに異なる車両5が接続されており、充電器4-2に接続された車両5から充電開始要求がなされたとする。すなわち、この時点において、充電コントローラ3は、充電器4-1、4-2のそれぞれに車両5が接続されたことを認識しているが、充電開始要求を発した車両5がいずれの充電器4に接続されているかを認識していない。本実施形態においては、充電コントローラ3は以下の手順に従い、充電器4を順に検出走査し、車両5に接続された充電器4-2を検出する。なお、以下の説明において、充電器4-1に接続された車両5を「他の車両5」と称する。
【0035】
まず、充電コントローラ3は充電開始要求を受信すると(ステップS803)、車両5に接続された充電器4のうちのテスト対象となる充電器4の識別番号(ID=1)を無線ECU510に通知する(ステップS804)。ここで、テスト対象は充電器4-1であることから、識別番号はID=1となる。車両5の無線ECU510は識別番号(ID=1)を受信すると、受信確認を充電コントローラ3に通知する(ステップS806)。なお、充電器4の識別番号を通知せずに、単にテストの開始を充電コントローラ3から無線ECU510に通知しても良い。充電コントローラ3は識別信号の送信コマンドを充電器4-1に送信する(ステップS808)。充電器4-1は送信コマンドの受信確認を充電コントローラ3に通知し、送信コマンドに従い、識別用のパイロット信号CPLTを他の車両5に送信する(ステップS812)。ここで、識別用のパイロット信号CPLTは、充電開始以外の信号であって、例えば通電可能な最大電流がゼロであることを表す信号、すなわちデューティ比が最小となる信号である。充電コントローラ3は、他の車両5が識別用のパイロット信号CPLTを受信したことの通知を所定時間、待機する(ステップS814、ステップS816でNO)。充電器4-1に接続された車両5は、無線LANにより充電開始要求をしておらず、受信通知を充電コントローラ3に送信しない。所定時間内に充電コントローラ3が受信通知を受信しない場合(ステップS816でYES)、充電コントローラ3は充電終了コマンドを充電器4-1に送信する(ステップS817)。充電器4-1は充電動作を終了し(ステップS818)、充電コントローラ3にその旨を通知する(ステップS819)。
【0036】
続いて、充電コントローラ3は車両5の無線ECU510にテスト対象となる充電器4-2の識別番号(ID=2)を通知する(ステップS820)。車両5の無線ECU510は識別番号の受信確認を充電コントローラ3に送信する(ステップS822)。充電コントローラ3は識別信号の送信コマンドを充電器4-2に送信し(ステップS824)、充電器4-2は送信コマンドを受信する(ステップS825)。
【0037】
図9において、充電器4-2は識別用のパイロット信号CPLTを車両5の充電ECU501に送信する(ステップS902)。すなわち、充電器4-2は、パイロット信号CPLTのデューティ比を最小にし、通電可能な最大電流がゼロであることを表すパイロット信号CPLTを充電ECU501に送信する。充電ECU501はパイロット信号CPLTを受信し、パイロット信号CPLTのデューティ比に基づき識別信号を検出する(ステップS904)。充電ECU501はパイロット信号CPLTにおいて識別信号を検出すると、識別信号を受信したことを無線ECU510に通知する(ステップS905)。無線ECU510は、識別信号を受信したことを表す応答信号を無線LANユニット511を介して充電コントローラ3に送信する(ステップS906)。応答信号には、ユーザID、充電器IDが含まれる(ステップS907)。充電器IDを充電コントローラ3に送信することにより、他の充電器4に接続された車両5を誤検出するのを回避することができる。このようにして、充電コントローラ3は、認証された車両5が充電器4-2に接続されたことを正しく検出することができる。
【0038】
また、充電ECU501は識別信号を受信すると(ステップS904)、充電ECU501はトランジスタスイッチQ2をオンにし、パイロット信号CPLTの電圧を9Vから6Vに降下させる。上述したように、6Vのパイロット信号CPLTは充電終了を表している。但し、最大電流がゼロでの充電が車両5に指示されていたので、車両5における充電はなされていない。充電器4-2は、パイロット信号CPLTの電圧を検出すると、充電器ステータスを変更し、充電開始コマンドを待機する状態となる(ステップS908)。さらに、充電器4-2は充電器4-2の識別番号(ID=2)を充電コントローラ3に送信し、充電コントローラ3は充電器4-2における充電開始が可能であると判断する(ステップS912)。充電コントローラ3は車両5のユーザIDと充電器4-2の識別番号(ID=2)とをサーバ1に送信する(ステップS913)。サーバ1はユーザIDの認証を行い(ステップS914)、認証結果を充電コントローラ3に送信する(ステップS915)。
【0039】
認証が成功すると、充電コントローラ3は電流変更コマンドを充電器4-2に送信し(S916)、充電器4-2は最大電流を0Aから例えば15Aに変更する(ステップS918)。最大電流は上述したようにパイロット信号CPLTのデューティ比によって定められる。充電ECU501はパイロット信号CPLTのデューティ比を検出し、定められた最大電流で充電を開始する(ステップS922)。すなわち、充電ECU501はリレースイッチ502をオンにし、充電器4-2から供給された電流をバッテリ506に充電する(ステップS922)。充電ECU501は充電中であることを無線ECU510に通知し(ステップS923)、無線ECU510は通知の確認を返信する(ステップS924)。
【0040】
充電器4-2は最大電流を15Aに変更したことを充電コントローラ3に通知し(ステップS920)、充電コントローラ3は充電器4-2において最大電流15Aでの充電が開始したことをサーバ1に通知する(ステップS921)。サーバ1はユーザIDにおける充電が開始したことをステータスとして記録する(ステップS926)。
【0041】
車両5における充電が完了すると、ユーザは充電ケーブル4aを車両5から抜去する(ステップS928)。車両5においては、パイロット信号CPLTはローレベルとなり、充電ECU501は充電ケーブル4aが抜去されたことを検出することができる(ステップS930)。充電器4-2においては、パイロット信号CPLTは12Vとなり、充電器4-2は充電ケーブル4aが抜去されたことを検出することができる。充電器4-2は、充電ケーブル4aが抜去され、充電が終了したことを充電コントローラ3に通知する(ステップS931)。充電コントローラ3は充電器4-2における充電終了を受信すると(ステップS932)、充電器4-2の識別番号(ID=2)とともに充電終了の通知をサーバ1に送信する(ステップS933)。サーバ1はステータスを充電中から充電終了に変更する(ステップS934)。さらに充電コントローラ3は課金情報としてユーザID、充電器4-2の識別番号、充電時間、充電開始/終了時刻、電力量などをサーバ1に送信し、サーバ1はユーザのアカウントにおいて課金処理を行う(ステップS936)。
【0042】
以上により、本実施形態によれば、従前の充電規格を変更することなく、無線LANにより認証された車両5がいずれの充電器4に接続されているかを自動的に検出し、充電を開始することができる。これにより、ユーザは車両5から離れて充電コントローラ3を操作する必要が無くなり、ユーザの負担を軽減することができる。
【0043】
なお、識別信号は、充電が開始されない限り他の信号であっても良い。例えば、充電の休止状態を表す信号、すなわち充電ケーブル4aが車両5からのコネクタCN2から一時的に抜け、制御信号線L1が開放された状態の信号を識別信号として用いても良い。充電ケーブル4aが車両5から抜けると、充電器4から制御信号線L1に電圧が印加されなくなり、車両5における制御信号線L1は抵抗R2により接地電位あるいは-12Vとなる。このため、充電器4はトランジスタスイッチまたはリレースイッチを用いて制御信号線L1を開放(ハイインピーダンス)の状態にすることで、車両5における制御信号線L1は充電ケーブル4aがコネクタCN2から抜けたのと同じ状態となる。これにより、車両5は、制御信号線L1が開放となった状態の識別信号を検出し、応答信号を充電コントローラ3に送信することができる。
【0044】
また、本実施形態において、充電コントローラ3は、車両5が接続された充電器4のそれぞれを順に検出対象として識別信号を送信しているが、車両5の接続の有無を問わずにすべての充電器4を検出対象としても良い。また、車両5の充電を完了した充電器4を検出対象から除外しても良い。さらに、上述の説明においては、複数の充電器4に認証された複数の車両5がそれぞれ接続されている例を説明したが、複数の充電器4のうちの1つにのみ認証された車両5が接続された場合であっても、接続確認を確実にするために同様の検出処理を実行しても良い。
【0045】
(第2の実施形態)
続いて第2実施形態における充電システムを説明する。
図10は本実施形態における車両5の充電回路および携帯端末のブロック図である。本実施形態においては、無線ECU510に代えて携帯端末55によって充電コントローラ3との無線通信が行われる。携帯端末55はスマートフォン、タブレット型コンピュータ、カーナビゲーションシステムなどの情報装置から構成され得る。本実施形態は、必ずしも車両5から分離した携帯端末55に限定されず、車両5の複数のECUのうちの一部(第1の実施形態の無線ECU510)を有する車載装置であっても良い。本実施形態は携帯端末、車載装置を含む情報装置に適用可能であるが、ここでは携帯端末55を例に説明する。携帯端末55は、バス550、CPU551、ROM552、RAM553、ディスプレイ554、タッチセンサ555、I/F556、無線LANユニット557、無線WANユニット558、GPS(Global Positioning System)ユニット559を備える。バス550はアドレスバス、データバスを含み、CPU551などの回路の間でデータの入出力を行う。CPU551はオペレーティングプログラム、アプリケーションプログラムを実行するとともに、携帯端末55全体の制御を行う。ROM552は不揮発性メモリにより構成され、オペレーティングプログラム、アプリケーションプログラムなどを格納する。RAM553はCPU551の動作に必要なメモリ領域を提供する。ディスプレイ554はタッチセンサ555が表面上に配されたタッチパネルである。ディスプレイ554上には充電器4の番号、充電量、課金額などが表示され得る。
【0046】
無線LANユニット557は、例えばWiFi規格に基づく無線送受信ユニットである。無線WANユニット558は3G、LTE、4Gなどの携帯電話の無線回線に接続可能な送受信ユニットである。I/F556は車両5の充電ECU501と通信可能であって、例えばBluetoothなどの近距離用の無線通信ユニットである。I/F556は車両5からの情報の入力部として機能する。なお、無線LANユニット306、無線WANユニット307を車両5との通信のために使用しても良い。GPSユニット559は複数のGPS衛星からの電波を受信することにより、携帯端末55の位置を計測可能である。GPSユニット559により計測された位置に基づき、車両5が充電サービスのエリアに入ったか否かを検出することが可能である。
【0047】
車両5の充電ECU501および周辺回路は第1実施形態と同様に構成されている。但し、本実施形態において、充電ECU501は携帯端末55と通信可能なI/F507を備えている。なお、充電ECU501と携帯端末55とは無線通信に限らず、有線通信によってデータの送受信を行っても良い。
【0048】
図11、
図12は本実施形態における充電システムのシーケンスチャートである。以下の説明において、携帯端末55は無線LANにより充電コントローラ3と通信するのではなく、無線WANユニット307を用いて公衆無線回線を介してサーバ1と通信するものとする。また、ユーザは携帯端末55を用いてサーバ1にユーザ登録を済ませているものとする。
【0049】
図11において、ユーザは携帯端末55を所持しながら車両5を運転し、携帯端末55はGPSユニット559から得られた位置情報を公衆無線回線を介してサーバ1に定期的に送信する(ステップS1102)。なお、携帯端末55からサーバ1に位置情報を定期的に送信するのではなく、携帯端末55が予めサーバ1から所得した施設の位置を記憶しておき、携帯端末55が当該施設に入ったと判断した際にサーバ1に位置情報を送信しても良い。サーバ1は、送信された位置情報に基づき、携帯端末55が駐車場に入ったことを検出すると、ユーザを認証し(ステップS1104)、認証結果を携帯端末55に送信する(ステップS1105)。携帯端末55は認証結果を受信し、ディスプレイ554に表示させる。ユーザは車両5を充電器4-2の前に停車し、充電ケーブル4aを車両5に接続する。充電器4-2と車両5との接続確認の処理は第1実施形態におけるステップS710~S714までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0050】
接続確認がなされた後、携帯端末55は充電開始要求をサーバ1に送信する(ステップS1112)。充電コントローラ3は充電開始要求を受信すると、車両5に接続されている複数の充電器4に識別信号を順次、送信する。以下の説明においては、充電器4-1、4-2のそれぞれに異なる車両5が接続されており、充電器4-2に接続された車両5から充電開始要求がなされたとする。サーバ1は充電開始要求を受信すると(ステップS1113)、車両5に接続された充電器4のうちのテスト対象となる充電器4の識別番号を携帯端末55に通知する(ステップS1114)。ここで、充電器4-1に接続された車両5からは識別信号の受信通知がサーバ1に送信されなかったため、テスト対象は充電器4-2となる。サーバ1は、充電器4-2の識別番号(ID=2)を携帯端末55に送信し、携帯端末55が識別番号を受信すると、受信確認をサーバ1に通知する(ステップS1115)。サーバ1は識別信号の送信コマンドを充電コントローラ3に送信し(ステップS1116)、充電コントローラ3は送信コマンドを充電器4-2に送信する(ステップS1117)。
【0051】
充電器4-2は、パイロット信号CPLTのデューティ比を最小にし、通電可能な最大電流がゼロであることを表すパイロット信号CPLTを充電ECU501に送信する(ステップS1118)。充電ECU501はパイロット信号CPLTを受信し、パイロット信号CPLTのデューティ比に基づき識別信号を検出する(ステップS1120)。充電ECU501はパイロット信号CPLTにおいて識別信号を検出すると、識別信号を受信したことを無線ECU510に通知する(ステップS1121)。また、充電ECU501は識別信号を受信すると、トランジスタスイッチQ2をオンにし、パイロット信号CPLTの電圧を9Vから6Vに降下させる。充電器4-2は、パイロット信号CPLTの電圧を検出すると、充電器ステータスを変更し、充電開始コマンドを待機する。
【0052】
携帯端末55は、識別信号を受信したことを表す応答信号をサーバ1に送信する(ステップS1123)。応答信号には、ユーザID、充電器IDが含まれる。サーバ1はユーザIDの認証を行い(ステップS1124)、認証結果を充電コントローラ3に送信する(S1125)。認証が成功した場合には、充電コントローラ3は充電器4-2における充電開始が可能であると判断する(ステップS1126)。
【0053】
図12において、充電コントローラ3は電流変更コマンドを充電器4-2に送信し(S1202)、充電器4-2は最大電流を0Aから例えば15Aに変更する(ステップS1204)。最大電流は上述したようにパイロット信号CPLTのデューティ比によって定められる。充電ECU501はパイロット信号CPLTのデューティ比を検出し、定められた最大電流で充電を開始する(ステップS1206)。すなわち、充電ECU501はリレースイッチ502をオンにし、充電器4-2から供給された電流をバッテリ506に充電する(ステップS1206)。充電ECU501は充電中であることを携帯端末55に通知し(ステップS1207)、携帯端末55は通知の確認を返信する(ステップS1208)。
【0054】
充電器4-2は最大電流を15Aに変更したことを充電コントローラ3に通知し(ステップS1209)、充電コントローラ3は充電器4-2において最大電流15Aでの充電が開始したことをサーバ1に通知する(ステップS1210)。サーバ1は充電が開始したことをステータスとして記録する(ステップS1212)。
【0055】
車両5における充電が完了すると、ユーザは充電ケーブル4aを車両5から抜去する(ステップS1214)。車両5において、パイロット信号CPLTはローレベルとなり、充電ECU501は充電を終了する(ステップS1216)。充電器4-2においては、パイロット信号CPLTは12Vとなる。充電器4-2は充電ケーブル4aが抜去されたことを検出すると、充電コントローラ3に充電終了を通知する(ステップS1215)。充電コントローラ3は充電器4-2における充電終了を受信し(ステップS1218)、充電器4-2の識別番号(ID=2)とともに充電終了の通知をサーバ1に送信する(ステップS1219)。サーバ1はユーザのステータスを充電中から充電終了に変更する(ステップS1220)。さらに充電コントローラ3は課金情報としてユーザID、充電器4-2の識別番号、充電時間をサーバ1に送信し、サーバ1はユーザのアカウントにおいて課金処理を行う(ステップS1222)。
【0056】
本実施形態においても、携帯端末55を用いながら、認証された車両5がいずれの充電器4に接続されたかを自動的に検出し、充電を開始することができる。また、無線LANではなく、公衆無線回線を用いながらも同様の作用効果を奏することが可能である。本実施形態における充電システムは、GPSの位置情報を用いて、駐車場に車両5が入ったことを自動的に検出しているが、無線LANのアクセスポイントに基づき位置情報を取得しても良い。すなわち、SSIDに関連付けられた位置情報データベースを用いて、携帯端末55の位置情報を取得しても良い。例えば、充電器4が地下施設に設置されており、GPS電波を受信できないような場合、無線LANのSSIDによる位置情報の取得が特に有効となる。さらに、ユーザがマニュアルで充電システムに通知しても良い。例えば、駐車場に車両5が入った際に、ユーザが携帯端末55または充電コントローラ3にユーザIDが記録されたカードを読み取らせ、ユーザIDを入力しても良い。
【0057】
なお、本実施形態において、携帯端末55はサーバ1と通信を行なっているが、第1実施形態と同様に携帯端末55は無線LANにより充電コントローラ3と通信を行なっても良い。
【0058】
(第3の実施形態)
図13は、上述の各実施形態に係る充電システム10の概略構成図である。充電システム10は充電コントローラ3と複数の充電器4とを備える。充電器4は充電ケーブルまたは非接触により車両のバッテリを充電可能であるとともに、車両に充電開始を指示する信号を送信可能である。充電コントローラ3は、車両と無線または有線により通信可能な通信部30を備える。充電コントローラ3は、複数の充電器4のそれぞれから、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力する。充電コントローラ3は、識別信号に対する車両からの応答信号を通信部30を介して受信した場合、応答信号を送信した車両に充電を許可する。このような構成によれば、従前の充電規格を変更することなく、車両がいずれの充電器に接続されたかを自動的に検出することができる。充電ケーブルの接続とともに、充電を自動的に開始することができ、いわゆるプラグ・アンド・チャージの機能を実現することが可能となる。
【0059】
本実施形態における充電コントローラ3は、第1および第2実施形態におけるサーバ1の機能を含み得る。すなわち、充電コントローラ3は単一の装置である必要はなく、ネットワークによって接続された他の装置(例えばサーバ)を備えて構成されても良い。
【0060】
(他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、第1および第2の実施形態においては、無線LANあるいは無線WANなどの無線通信を用いて車両5とデータ通信を行なっているが、PLC(Power Line Communication)などの有線通信を用いても良い。すなわち、充電ケーブル4aの電源線L2、L3にデータを重畳させ、認証を行なっても良い。さらに、第1および第2の実施形態においては、充電ケーブル4aを用いた充電システムを例に説明したが、本発明は充電ケーブルを用いない非接触充電のシステムにおいても適用可能である。非接触の充電システムにおいて認証処理を利用できない場合には、無線LAN、無線WAN、PLCなどのデータ通信を用いて認証を行なうことができる。また、第1および第2実施形態において、ユーザIDの認証、課金などの処理をサーバ1が行なっているが、サーバ1が行なっている処理を充電コントローラ3において行なっても良い。すなわち、サーバ1の機能の一部またはすべてを充電コントローラ3において実行しても良い。また、第1および第2の実施形態において、充電コントローラ3の機能の一部またはすべてをサーバ1において実行しても良い。
【0061】
第1実施形態において、充電ECU501、無線ECU510の一方の機能の一部またはすべてを他方において実行しても良い。さらに、第2の実施形態において、充電ECU501、携帯端末55の一方の機能の一部またはすべてを他方において実行しても良い。携帯端末55は必ずしもユーザが所持していなくても良く、車両5に固定されていても良い。
【0062】
サーバ1、充電コントローラ3、充電器4、携帯端末55の動作を司るアプリケーションプログラムはコンピュータによって実行可能な形式であればどのようなフォーマットで作成されていても良い。アプリケーションプログラムは光ディスク、磁気ディスク、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記録媒体により提供されても良く、インターネットなどの電気通信回線を通じて提供されても良い。
【0063】
上述の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0064】
(付記1)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する制御信号を送信可能な複数の充電器と、
複数の前記充電器を制御する充電コントローラとを備え、
前記充電コントローラは、
前記車両と通信可能な通信部を備え、
複数の前記充電器のそれぞれから、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力し、
前記識別信号に対する前記車両からの応答信号を前記通信部を介して受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可することを特徴とする充電システム。
【0065】
(付記2)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記1に記載の充電システム。
【0066】
(付記3)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記1または2に記載の充電システム。
【0067】
(付記4)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記1または2に記載の充電システム。
【0068】
(付記5)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の充電システム。
【0069】
(付記6)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の充電システム。
【0070】
(付記7)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の充電システム。
【0071】
(付記8)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する信号を送信可能な複数の充電器を制御する充電コントローラであって、
前記充電コントローラは、
前記車両と通信可能な通信部を備え、
複数の前記充電器のそれぞれから、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力し、
前記識別信号に対する前記車両からの応答信号を前記通信部を介して受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可することを特徴とする充電コントローラ。
【0072】
(付記9)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記8に記載の充電コントローラ。
【0073】
(付記10)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記8または9に記載の充電コントローラ。
【0074】
(付記11)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記8または9に記載の充電コントローラ。
【0075】
(付記12)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記8乃至11のいずれかに記載の充電コントローラ。
【0076】
(付記13)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記8乃至12のいずれかに記載の充電コントローラ。
【0077】
(付記14)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記8乃至13のいずれかに記載の充電コントローラ。
【0078】
(付記15)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する信号を送信可能な充電器であって、
前記車両と通信可能な通信部を備えた充電コントローラによって制御されることにより、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力し、
前記充電コントローラが前記識別信号に対する前記車両からの応答信号を前記通信部を介して受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可することを特徴とする充電器。
【0079】
(付記16)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記15に記載の充電器。
【0080】
(付記17)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記15または16に記載の充電器。
【0081】
(付記18)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記15または16に記載の充電器。
【0082】
(付記19)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記15乃至18のいずれかに記載の充電器。
【0083】
(付記20)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記15乃至19のいずれかに記載の充電器。
【0084】
(付記21)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記15乃至20のいずれかに記載の充電システム。
【0085】
(付記22)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する制御信号を送信可能な複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電コントローラとを備えた充電システムに用いられる情報装置であって、
充電開始以外の指示を表す識別信号が出力されたことを前記車両から受信する入力部と、
前記識別信号に対する応答信号を前記充電コントローラに送信する通信部とを備え、
前記入力部は、前記充電コントローラが前記応答信号を受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可したことを受信することを特徴とする情報装置。
【0086】
(付記23)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記22に記載の情報装置。
【0087】
(付記24)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記22または23のいずれかに記載の情報装置。
【0088】
(付記25)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記22または23のいずれかに記載の情報装置。
【0089】
(付記26)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記22乃至25のいずれかに記載の情報装置。
【0090】
(付記27)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記22乃至26のいずれかに記載の情報装置。
【0091】
(付記28)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記22乃至27のいずれかに記載の情報装置。
【0092】
(付記29)
前記情報装置は前記車両に搭載された車載装置であることを特徴とする付記22乃至27のいずれか1項に記載の情報装置。
【0093】
(付記30)
前記情報装置は前記車両から分離した携帯端末であることを特徴とする付記22乃至27のいずれか1項に記載の情報装置。
【0094】
(付記31)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する信号を送信可能な複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電コントローラとを備えた充電システムの充電方法であって、
複数の前記充電器のそれぞれから、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力するステップと、
前記充電コントローラが前記識別信号に対する前記車両からの応答信号を通信部を介して受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可するステップとを含むことを特徴とする充電方法。
【0095】
(付記32)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記31に記載の充電方法。
【0096】
(付記33)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記31または32に記載の充電方法。
【0097】
(付記34)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記31または32に記載の充電方法。
【0098】
(付記35)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記31乃至34のいずれかに記載の充電方法。
【0099】
(付記36)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記31乃至35のいずれかに記載の充電方法。
【0100】
(付記37)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記31乃至36のいずれかに記載の充電方法。
【0101】
(付記38)
車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記車両に充電開始を指示する制御信号を送信可能な複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電コントローラとを備えた充電システムの充電方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の前記充電器のそれぞれから、充電開始以外の指示を表す識別信号を順次出力するステップと、
前記充電コントローラが前記識別信号に対する前記車両からの応答信号を通信部を介して受信した場合、前記応答信号を送信した前記車両に充電を許可するステップとを含むことを特徴とするプログラム。
【0102】
(付記39)
前記充電コントローラは、予め登録された前記車両と前記通信部との通信が確立した場合に前記車両を認証し、認証された前記車両に接続された複数の前記充電器のそれぞれから前記識別信号を順次出力することを特徴とする付記38に記載のプログラム。
【0103】
(付記40)
前記制御信号は、通電可能な最大電流を前記車両に指示することが可能であって、前記識別信号は前記最大電流がゼロであることを表すことを特徴とする付記38または39に記載のプログラム。
【0104】
(付記41)
前記識別信号は充電の休止状態を表すことを特徴とする付記38または39に記載のプログラム。
【0105】
(付記42)
前記車両のユーザを予め登録するサーバをさらに備え、前記サーバは前記車両から前記充電コントローラを介して送信されたユーザの情報を認証し、前記車両の充電の開始を前記充電コントローラに指示することを特徴とする付記38乃至41のいずれかに記載のプログラム。
【0106】
(付記43)
充電ケーブルを介して前記車両のバッテリを充電可能であるとともに、前記充電ケーブルに含まれる制御信号線を介して前記制御信号を送信可能であることを特徴とする付記38乃至42のいずれかに記載のプログラム。
【0107】
(付記44)
前記通信部は無線通信を行うことを特徴とする付記38乃至43のいずれかに記載のプログラム。
【符号の説明】
【0108】
1 サーバ
2 ユーザ端末
3 充電コントローラ
4 充電器
5 車両
6 駐車場
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 ディスプレイ
305 タッチセンサ
306 無線LANユニット
307 無線WANユニット
308 I/F
310 SW
311 カードリーダ
401 ECU
402 I/F
403 PWM
404 電圧検出回路
405 整流回路
406 ノイズフィルタ
407 リレースイッチ
408 交流電源
501 充電ECU
502 リレースイッチ
503 整流回路
504 DC/DCコンバータ
505 充電回路
506 バッテリ
510 無線ECU
511 無線LANユニット
512 無線WANユニット
513 表示ECU
R1、R2、R3 抵抗
Q1、Q2 トランジスタスイッチ