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  • 特開-洗浄槽、洗浄システム及び洗浄方法 図1
  • 特開-洗浄槽、洗浄システム及び洗浄方法 図2
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  • 特開-洗浄槽、洗浄システム及び洗浄方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011180
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】洗浄槽、洗浄システム及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240118BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240118BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20240118BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L21/304 642F
B08B3/04 Z
B08B3/10 Z
B08B3/12 A
H01L21/304 642E
H01L21/304 642A
H01L21/304 648F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112984
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】512284033
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】松下 昌嗣
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正広
(72)【発明者】
【氏名】星子 貴広
(72)【発明者】
【氏名】中谷 典靖
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 保
【テーマコード(参考)】
3B201
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB03
3B201BB83
3B201BB87
3B201BB92
3B201CB01
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB96
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB04
5F157BB08
5F157BB09
5F157BB73
5F157BB74
5F157CF04
5F157CF10
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DC86
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】物性の異なる異物をできるだけ簡素な構成で効率的に排出できる洗浄槽、該洗浄槽を含む洗浄システム、及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄槽12は、側部38及び底部34を有する内槽30と、内槽30内に配置された、少なくとも1つのワーク48を支持する支持体46と、側部38に設けられ、支持体46より下方に配置され、ワーク48を洗浄するための洗浄液を内槽30内に供給し、内槽30の内部に洗浄液の旋回流を発生させるように構成されたフローノズル40と、底部34のうち側部38の近傍、又は側部38のうち底部34に隣接する部分に設けられ、洗浄液を排出するように構成された排出ポート44と、底部34に設けられた超音波発振装置36と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部及び底部を有する内槽と、
前記内槽内に配置された、少なくとも1つの洗浄対象物を支持する支持体と、
前記内槽の前記側部に設けられ、前記支持体より下方に配置され、前記洗浄対象物を洗浄するための洗浄液を前記内槽内に供給し、前記内槽の内部に洗浄液の旋回流を発生させるように構成されたフローノズルと、
前記内槽の前記底部のうち前記側部の近傍、又は前記側部のうち前記底部に隣接する部分に設けられ、前記洗浄液を排出するように構成された排出ポートと、
前記内槽の前記底部に設けられた超音波発振装置と、
を有する洗浄槽。
【請求項2】
複数の前記フローノズルが、前記内槽の高さに関して同じ高さに配置される、請求項1に記載の洗浄槽。
【請求項3】
前記内槽からオーバーフローした洗浄液を収容する外槽をさらに有する、請求項1又は2に記載の洗浄槽。
【請求項4】
側部及び底部を有する内槽内に配置された支持体に支持された少なくとも1つの洗浄対象物の洗浄方法であって、
前記内槽の前記側部に設けられ、前記支持体より下方に配置されたフローノズルから、前記洗浄対象物を洗浄するための洗浄液を前記内槽内に供給し、前記内槽の内部に洗浄液の旋回流を発生させることと、
前記内槽の前記底部のうち前記側部の近傍、又は前記側部のうち前記底部に隣接する部分に設けられた排出ポートから、前記洗浄液を排出することと、
前記フローノズルから前記洗浄液を供給しているとき及び前記排出ポートから前記洗浄液を排出しているときの少なくとも一方において、前記内槽の前記底部に設けられた超音波発振装置から超音波を発振することと、
を含む洗浄方法。
【請求項5】
前記超音波発振装置からの超音波の発振、前記超音波の停止、及び前記排出ポートからの前記洗浄液の排出という一連の処理を少なくとも1回繰り返す、請求項4に記載の洗浄方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の洗浄槽と、
前記内槽の前記フローノズルに流体的に接続されたサイクロン式フィルタと、
を有する洗浄システム。
【請求項7】
前記洗浄槽から洗浄液を抜き出し、抜き出した前記洗浄液を前記サイクロン式フィルタに通して前記内槽に戻すように構成された1つのポンプを有する、請求項6に記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハやガラス基板等のワークを洗浄するための洗浄槽、該洗浄槽を含む洗浄システム、及び該洗浄システムを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体ウェハやガラス基板の製造工程では、ウェハに付着した研磨材や破片(以下、異物とも称する)を除去するための洗浄が行われる。この洗浄は多くの場合、洗浄液が入れられた槽内に洗浄対象物を浸漬させることで行われるが、その際、洗浄を効率的に行うために、槽内に洗浄液の渦を発生させたり、超音波を利用したりする技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、洗浄槽内に配置されたノズルからマイクロバルブを含む洗浄液を供給して、渦巻き状の流れを発生する技術が記載されている。また特許文献2には、壁面が螺旋形状を呈する貯留槽を使用することで、処理液の渦巻きを発生させる技術が記載されている。さらに特許文献3には、処理槽に複数のノズルを設け、槽内に生じる渦の大きさを調整できるようにする技術が記載されている。
【0004】
一方、洗浄液内に浸漬された基板等に超音波を照射して、洗浄効率を高める技術も知られている(例えば特許文献4-5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-201069号公報
【特許文献2】特開2003-282512号公報
【特許文献3】特開2009-239061号公報
【特許文献4】特開2020-098843号公報
【特許文献5】特開2016-115373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
効率的な洗浄のために洗浄槽内に渦を発生させたり、超音波を照射したりすることは周知である。通常、超音波発生装置は、洗浄ムラをなくすために、洗浄槽底面に設置される。一方で、洗浄対象物から除去すべき異物の物性は様々であるので、その全てを洗浄槽から効率的に排出することは難しい。例えば、比較的比重の大きい異物は、渦に伴う遠心力によって洗浄槽の外側に移動した後に沈降するので、洗浄槽の底部のうち、洗浄槽の側壁に付着したり、側壁の近傍に堆積したりする傾向がある。一方、比較的比重が小さい異物は、渦の中心付近に集まるので、洗浄槽の底部中央に堆積しやすい。このように、壁面や底面に付着又は堆積した異物を除去することは、時間、労力及びコストのかかる作業であった。
【0007】
底面に超音波発生装置を設置するタイプの洗浄装置は、場所によって洗浄にムラが出ないよう、超音波発生装置を、底面の全体、又は底面に適当な間隔で複数個設置することが一般的であり、底面の中心に洗浄液の排出部を設けることは難しい。異物はその物性によって槽内の異なる部位に堆積するので、洗浄槽の清掃やメンテナンスに要する労力や時間が大きくなる。また洗浄槽の底部と側壁近傍の双方に排出口を設ける構成も考えられるが、この場合は洗浄槽の設計の制約やコスト増加につながる。
【0008】
そこで本発明は、物性の異なる異物をできるだけ簡素な構成で効率的に排出できる洗浄槽、該洗浄槽を含む洗浄システム、及び該洗浄システムを用いた洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、側部及び底部を有する内槽と、前記内槽内に配置された、少なくとも1つの洗浄対象物を支持する支持体と、前記内槽の前記側部に設けられ、前記支持体より下方に配置され、前記洗浄対象物を洗浄するための洗浄液を前記内槽内に供給し、前記内槽の内部に洗浄液の旋回流を発生させるように構成されたフローノズルと、前記内槽の前記底部のうち前記側部の近傍、又は前記側部のうち前記底部に隣接する部分に設けられ、前記洗浄液を排出するように構成された排出ポートと、前記内槽の前記底部に設けられた超音波発振装置と、を有する洗浄槽である。
【0010】
本開示の他の態様は、側部及び底部を有する内槽内に配置された支持体に支持された少なくとも1つの洗浄対象物の洗浄方法であって、前記内槽の前記側部に設けられ、前記支持体より下方に配置されたフローノズルから、前記洗浄対象物を洗浄するための洗浄液を前記内槽内に供給し、前記内槽の内部に洗浄液の旋回流を発生させることと、前記内槽の前記底部のうち前記側部の近傍、又は前記側部のうち前記底部に隣接する部分に設けられた排出ポートから、前記洗浄液を排出することと、前記フローノズルから前記洗浄液を供給しているとき及び前記排出ポートから前記洗浄液を排出しているときの少なくとも一方において、前記内槽の前記底部に設けられた超音波発振装置から超音波を発振することと、を含む洗浄方法である。
【0011】
本開示のさらなる他の態様は、上記一態様に係る洗浄槽と、前記内槽の前記フローノズルに流体的に接続されたサイクロン式フィルタと、を有する洗浄システムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、内槽に洗浄液を供給するフローノズルを、洗浄対象物を支持する支持体よりも下方に配置することで、槽内全体に亘って旋回流を生じて洗浄効率が高まることに加え、内槽の底部に超音波発振装置を設けることで、内槽の中心付近に集まった異物を内槽の側部側に移動させ、内槽の底部のうち側部近傍に設けた排出ポートから異物を効率的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る洗浄システムの概略構成図である。
図2図1の洗浄システムに含まれる洗浄槽の概略正面図である。
図3図2の洗浄槽の概略側面図である。
図4図2の洗浄槽の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、好適な実施形態に係る洗浄システムの概略構成図である。洗浄システム10は、洗浄槽12と、洗浄槽12からの洗浄液を一時的に貯蔵する貯蔵タンク14と、サイクロン式フィルタ16と、ポンプ18と、ドレンタンク20とを含む。貯蔵タンク14は、洗浄槽12から排出された洗浄液を濾過する金属メッシュ等のフィルタ22を有する。ポンプ18は、貯蔵タンク14内の洗浄液を抜き出してサイクロンフィルタ16に供給し、さらにサイクロンフィルタ16によって濾過された洗浄液を洗浄槽12及び貯蔵タンク14に戻すように構成されている。
【0015】
貯蔵タンク14は、略円筒形の胴部26と、略円錐形の底部28とを有し、サイクロンフィルタ16からの洗浄液によって内部に渦を形成できるように構成されており、これにより、フィルタ22を通過した洗浄液はポンプ18に向けて排出される。またドレンタンク20は、サイクロンフィルタ16によって洗浄液から分離されたスラッジ24等を回収し、ドレンとして排出するように構成されている。
【0016】
図2-4はそれぞれ、洗浄槽12の概略構成を示す正面図、側面図及び上面図である。洗浄槽12は、略直方体形状の内槽30と、内槽30から溢流(オーバーフロー)した洗浄液を受容する外槽32と、内槽30の底部34に設けられた超音波発振装置36とを有する。なお図示例の内槽30及び外槽32は、いずれも略直方体形状であるが本開示はこれに限られず、例えば円筒形状でもよい。しかし内槽30からの溢流を外槽32で受容する構成上、図4に示すように、内槽30及び外槽32はいずれも上面視で略矩形であり、かつそれぞれの1辺が互いに隣接していることが好ましい。
【0017】
内槽30の側部(側壁)38には、サイクロンフィルタ16等からの洗浄液を供給するように構成された少なくとも1つのフローノズル40が設けられる。また内槽30の底部34には、洗浄液を排出するように構成された排出ポート44が設けられる。
【0018】
図4に示すように、排出ポート44は、内槽30の底部34の内、側部38近傍に設けられるか、或いは側部38の内、底部34に隣接する部分に設けられる。ここで側部近傍とは例えば、底部34の中心(又は重心)から排出ポート44までの距離が、底部34の中心(又は重心)から排出ポート44を通って側部38に至る距離の1/2以上、2/3以上、3/4以上又は4/5以上であることを意味する。
【0019】
内槽30内には、支持体46が配置され、支持体46には少なくとも1つ(通常は複数)の洗浄対象物(ワーク)48が支持される。ワーク48は例えば、直径が100mm~200mm(4インチ~8インチ)の円盤状の半導体ウェハであり、単結晶インゴットを内周切断機やワイヤーソーで切断したアズカット・ウェハのように、汚れが多く付着している状態である。図示例では、ワーク48は鉛直方向に立てた状態で支持体46に整列配置されるが、支持体46は、洗浄効率等を考慮して、ワーク48を異なる向きに支持するように構成されてもよい。
【0020】
フローノズル40は、支持体46よりも下方に設けられる。なお図2-4の例では、4つのフローノズル40が、上方からみて略矩形(いわゆる角槽)である内槽30の高さ方向について概ね同じ高さに配置されており、かつそれぞれのフローノズル40は内槽30のそれぞれの角部において、特に図4に示すように、それぞれの内側面に平行な流れを形成するように配置されている。この理由は、角槽である内槽30内に好適な旋回流を形成するためである。つまり角槽では、各内側面に沿う流れは、角部において流れに垂直な面に衝突して乱流となって消滅してしまう可能性があるが、それぞれの角部に流れを所定の角度(ここでは90度)変向するフローノズルを設けることで、内槽30が角槽であっても、洗浄に適した旋回流を形成することができる。なお内槽30が上方からみて円形(いわゆる丸槽)であれば、1つのフローノズル40でも好適な渦を形成でき、内槽30が丸槽や角槽以外の形状の場合は、その形状に応じて、好適な旋回流を形成するためにフローノズル40の個数、向き及び配置位置を適宜決定することができる。
【0021】
超音波発振装置36は、内槽30の底部34に設けられ、支持体46に支持されたワーク48に向けて超音波を発振できるように構成されている。なお図示例では、超音波発振装置36は、複数の発振子50を備えた振動板タイプとして記載されているが、本開示はこれに限られず、例えば投込み超音波タイプを使用してもよい。但しいずれの場合も、超音波発振装置36はフローノズル40よりも下方に設けられる。また洗浄効率をより高めるために、超音波発振装置36は、互いに周波数が異なる(例えば2周波の)超音波を同時に発振できる構成としてもよい。
【0022】
次に、洗浄槽12の洗浄作用について説明する。ここでは、内槽30内に液面52で示される水準まで(例えば100リットルの)洗浄液(アルカリ液又は水等)が入れられており、ワーク48の全体が洗浄液に浸漬しているものとする。また、内槽30に供給される洗浄液(アルカリ液又は水等)の流量は、排出ポート44から排出される清浄液の流量より若干多く、故に洗浄液の一部が外槽32にオーバーフローしている状態であるものとする。
【0023】
上述のポンプ18(図1)を作動させることで、フローノズル40から洗浄液が洗浄槽12内に供給される。ここで図4に示すように、フローノズル40は、上方から見て略矩形の内槽30の内側面に沿う方向に洗浄液を所定の流速で噴出するように配置・構成されている。よってノズル40から吐出された洗浄液は、内槽30の側部38内面に案内されて旋回流56を形成し、これに伴って旋回流がノズル40の上方においても生じ、これによりワーク48が好適に洗浄される。またこのときに、超音波発振装置36からワーク48に向けて超音波を発振することにより、ワーク48に強固に付着した異物等も除去することができるようになる。
【0024】
より具体的には、ワーク48に付着したウェハの破片、砥粒、油分、インゴッド接着用ボンドのカス等の異物が旋回流及び超音波によってワーク48から分離される。ここで異物には、比較的比重の大きいものと小さいものとが混在しており、比較的比重の大きい第1の異物は、旋回流に伴う遠心力によって内槽30の側部38側に移動させられる。そして第1の異物は、内槽30の側部38近傍を旋回しながらその自重によって徐々に沈降していくので、ワーク48に再付着せず、底部34のうち側部38の近傍に設けた排出ポート44から効率的に排出可能となる。
【0025】
一方、比較的比重の小さい第2の異物は、内槽30の旋回流によって側部38側には移動せず、内槽30の中央に集まる傾向がある。この状態において、超音波発振装置36から超音波を照射することにより、第2の異物を内槽30の中央から側部38に誘導することができる。よって第2の異物も、底部34の側部近傍に設けた排出ポート44から好適に排出することができるようになる。
【0026】
第2の異物をより効率的に排出するためには、以下の処理を行うことが好ましい。先ず洗浄液の供給を停止し、洗浄液を排出ポート44から排出していき、内槽30内の洗浄液量が少なくなった状態(例えば液面が支持体46の直下にある状態)で超音波を発振(上方に向けて照射)する。これにより、内槽30の中央に集まった第2の異物をさらに側部38側に移動させやすくなる。次に、一旦超音波の発振を停止して洗浄液を排出ポート44からさらに排出し、再度、超音波を照射する。このような超音波の発振(照射)、超音波の停止、及び洗浄液の排出という一連の処理を少なくとも1回繰り返すことにより、第2の異物を底部34上(特にその中央付近)に残留させずに排出ポート44から排出することが可能になる。
【0027】
なお、第2の異物のうち特に比重が小さいものは、洗浄中に内槽30の液面52又はその近傍に浮上するので、内槽30からのオーバーフローによって外槽32に移動し、外槽32の底部に設けた排出ポート54から貯蔵タンク14内に排出される。よって本実施形態では、あらゆる比重の異物を好適に内槽30から排出することができ、槽内の清掃の頻度や手間を大きく低減することができる。なお底部34における異物の排出ポート44への移動を促進すべく、図3に示すように底部34は、排出ポート44に向かって下り勾配を有する傾斜面を有してもよい。
【0028】
図2及び図4に示すように、本実施形態では排出ポート44を2つ設けているが、1つでもよく、3つ以上でもよい。排出ポート44を2つ以上設ける場合は、その少なくとも1つを、絞り制御されたドレンノズルとして使用することもできる。すなわち、排出ポート44をドレンノズルとして使用することで、内槽30内には、上述の旋回流に加えてダウンフローが生成されるので、比較的比重の大きい第1の異物は排出ポート44から排出されやすくなる。
【0029】
このように本実施形態では、フローノズル及び超音波発振装置の好適な組み合わせにより、比重の異なる異物のいずれも内槽30の側部38近傍に沈降・堆積させることができるので、排出ポート44を底部34の中央付近に設ける必要はなく、また内槽30の形状も円筒等に限られず、任意の形状を選択することができる。
【0030】
再び図1を参照し、洗浄システム10は、洗浄槽12からの洗浄液の抜き出しと、抜き出した洗浄液のサイクロンフィルタ16への供給とを、1つのポンプ18で行うことができ、このような1ポンプシステムとすることでシステム全体の低コスト化が図れる。また一般的に、サイクロンフィルタは半導体の洗浄工程では使用されないが、本実施形態ではサイクロンフィルタ16を利用することで、異物等がスラッジ24として除去された清浄な洗浄液を、サイクロンフィルタ16からの吐出流を利用して洗浄槽12内に戻すことができるので、少ない部品点数で効率的な洗浄システムを構築することができる。但し、サイクロンフィルタ16の出口と洗浄槽12のフローノズル40との間に、ろ材を交換するタイプのフィルタ(図示せず)を設けてもよい。一般に、ろ材交換式のフィルタでは、目詰まり等が生じればろ材を交換する必要があるが、本実施形態ではサイクロンフィルタ16で比較的大きな異物は除去できるので、ろ材の交換頻度を大きく低減することができる。
【0031】
なお上述の実施形態では、支持体46は内槽30内の適所に固定されるが、支持体46を上下に揺動する手段(図示せず)を設けてもよく、支持体46を洗浄液内で揺動することで洗浄効率がさらに高まる。また支持体46を内槽30内から引き上げるリフト機構(図示せず)を設け、ワークの温水引き上げ乾燥ができるようにすることもできる。さらに、このような構成により、側壁に張り付く異物を低減し、洗浄槽を清掃する手間と時間を省くことができる。
【符号の説明】
【0032】
10 洗浄システム
12 洗浄槽
14 貯蔵タンク
16 サイクロンフィルタ
18 ポンプ
20 ドレンタンク
24 スラッジ
30 内槽
32 外槽
34 底部
36 超音波発振装置
38 側部
40 フローノズル
44 排出ポート
46 支持体
48 ワーク
50 超音波発振子
図1
図2
図3
図4