(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111804
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/046 20060101AFI20240809BHJP
G06F 3/041 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
G06F3/046
G06F3/041 522
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203713
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】63/443558
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
(72)【発明者】
【氏名】森下 玄
(57)【要約】
【課題】送信期間と受信期間とが交互に繰り返される半導体装置の回路面積を低減する。
【解決手段】
半導体装置は、アナログ信号を送信する送信回路と、アナログ信号により対象物で生成された信号を入力信号として受信する受信回路とを備える。アナログ信号を送信する送信期間と、前記入力信号を受信する受信期間とが交互に繰り返される。受信回路は、受信期間中に、受信回路のゲインを調整するために入力信号をサンプリングし、送信期間中に、サンプリング結果に基づきゲインを調整するゲイン制御回路24を備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号を送信する送信回路と、
前記アナログ信号により対象物で生成された信号を入力信号として受信する受信回路と
を備え、
前記アナログ信号を送信する送信期間と、前記入力信号を受信する受信期間とが交互に繰り返され、
前記受信回路は、前記受信期間中に、前記受信回路のゲインを調整するために前記入力信号をサンプリングし、かつ、前記送信期間中に、サンプリング結果に基づき前記ゲインを調整するゲイン制御回路を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記ゲイン制御回路は、
前記ゲインに従って前記入力信号を増幅するゲイン調整回路と、
増幅された前記入力信号をアナログデジタル変換するアナログデジタル変換回路と
を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲイン調整回路は、増幅された前記入力信号の振幅に関する振幅情報を検出する閾値検出回路、前記ゲインを前記送信期間中に設定する制御回路、および設定された前記ゲインを出力する出力端子を備え、
前記閾値検出回路は、
前記受信期間中に、前記振幅情報を保持するする保持回路と、
前記受信期間の終了した場合に前記振幅情報をリセットするリセット回路と
を備える
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記閾値検出回路および前記ゲイン調整回路は、前記ゲイン制御回路において、前記アナログデジタル変換回路よりも入力信号側に配置される
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記アナログデジタル変換回路は、サンプルホールド回路、および電圧比較器を備え、
前記アナログデジタル変換回路は、前記振幅情報が保持される前記受信期間中にのみ活性化される
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アナログデジタル変換回路は、複数のサンプルホールド回路および複数の電圧比較器を備え、
前記複数のサンプルホールド回路は、増幅された前記入力信号を互いに異なるタイミングでサンプリングし、
前記アナログデジタル変換回路は、前記ゲインを調整しない前記送信期間にのみ活性化される
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記アナログデジタル変換回路は、複数のサンプルホールド回路および複数のアナログ電圧比較器を備え、
前記複数のアナログ電圧比較器に入力される基準電圧の振幅または絶対値が、前記振幅情報に基づいて制御可能に構成される
請求項3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路および受信回路を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導方式で電子ペンの座標を検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Changbyung Park, et al., “A Pen-Pressure-Sensitive Capacitive Touch System Using Electrically Coupled Resonance Pen”, 2016 JSSC
【非特許文献2】SangYun Kim, et al., “A 39.5-dB SNR, 300-Hz Frame-Rate, 56 × 70-Channel Read-Out IC for Electromagnetic Resonance Touch Panels”, 2018, IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRIAL ELECTRONICS
【非特許文献3】Jun-Eun Park, et al., “Noise-Immunity-Enhanced Analog Front-End for 36 × 64 Touch-Screen Controllers With 20-VPP Noise Tolerance at 100 kHz”, 2019, JSSC
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信回路で受信した信号にノイズが混入する場合がある。このノイズを除去するBPF(Band Pass Filter)が存在するため、受信回路の面積が大きいという課題がある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による半導体装置は、アナログ信号を送信する送信回路と、前記アナログ信号により対象物で生成された信号を入力信号として受信する受信回路とを備え、前記アナログ信号を送信する送信期間と、前記入力信号を受信する受信期間とが交互に繰り返され、前記受信回路は、前記受信期間中に、前記受信回路のゲインを調整するために前記入力信号をサンプリングし、かつ、前記送信期間中に、サンプリング結果に基づき前記ゲインを調整するゲイン制御回路を備える。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、送信期間と受信期間とが交互に繰り返される半導体装置の回路面積を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電磁誘導方式で電子ペンを検出する技術の概要を説明するための図である。
【
図2】電磁誘導方式で用いられる送信回路および受信回路の概要を説明するための図である。
【
図3】比較例にかかる半導体装置の動作を説明するための図である。
【
図4】比較例にかかる受信回路の構成を説明するための図である。
【
図5】比較例にかかる受信回路の通常使用時の動作を説明するための図である。
【
図6】検討例にかかる受信回路の通常使用時の動作を説明するための図である。
【
図7】比較例にかかる受信回路の通話使用時の動作を説明するための図である。
【
図8】検討例にかかる受信回路の通話使用時の動作を説明するための図である。
【
図9】検討例にかかる受信回路の課題について説明するための図である。
【
図10】検討例にかかる受信回路を用いて通話使用時に入力信号を検出する方法を説明するための図である。
【
図11】アナログF/B型のAGC回路を用いる場合の課題を説明するための図である。
【
図12】アナログF/B型のAGC回路を用いる場合の課題を説明するための図である。
【
図13】実施形態1にかかる半導体装置の構成を説明するための図である。
【
図14】実施形態1にかかる半導体装置の動作を説明するための図である。
【
図15】実施形態2にかかるゲイン制御回路の構成を説明するための図である。
【
図16】実施形態2にかかるゲイン制御回路における信号の時間変化を説明するための図である。
【
図17】実施形態2にかかる閾値検出回路の構成の一例を説明するための図である。
【
図18】実施形態3にかかるゲイン制御回路の構成を説明するための図である。
【
図19】実施形態3にかかるゲイン制御回路における信号の時間変化を説明するための図である。
【
図20】実施形態4にかかるゲイン制御回路の構成を説明するための図である。
【
図21】実施形態4にかかるゲイン制御回路における信号の時間変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェア、ハードウェア上で動作するソフトウェア、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
また、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、Random Access Memory(RAM)、Read Only Memory(ROM)、フラッシュメモリ、Solid State Drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0011】
実施形態にいたる検討
図1は、電磁誘導方式で電子ペンを検出する技術の概要を示す。左図を参照し、ペンタブレット50は、電子ペン11、液晶パネル51、およびセンサ基板52を備える。センサ基板52は、電子ペン11のx座標を検出する基板521および電子ペン11のy座標を検出する基板522を備える。基板521および基板522は、電子ペン11にアナログ信号(送信信号とも言われる)を送信し、電子ペン11から送信された信号を受信する。右図を参照すると、複数のアンテナコイル12がx方向に並べられている。複数のアンテナコイル12は、基板521に備えられる。グラフは、各アンテナコイル12に生じる誘導起電圧の大きさを示す。電子ペン11に備えられたコイル111は磁界を発生させ、電子ペン11の先端の周辺のアンテナコイル12に誘導電流を流す。電磁誘導方式を用いる場合、電子ペン11の電池は不要である。
【0012】
図2は、電磁誘導方式で用いられる送信回路および受信回路の概要を説明する図である。半導体装置10は、電子ペン11およびX軸用のアンテナコイル12、送信回路13、受信回路14、および切替スイッチ15を備える。電子ペン11は、キャパシタC1およびコイルL1を備える。キャパシタC1およびコイルL1は共振回路を構成する。複数のアンテナコイル12がx方向に並べられる。切替スイッチ15は、送信回路13または受信回路14に接続されるアンテナコイル12を切り替える。さらに、切替スイッチ15は、アンテナコイル12の接続先を送信回路13と受信回路14との間で切り替える。
【0013】
図3を参照し、半導体装置10の動作について説明する。アンテナコイル12は、キャパシタC2、抵抗R、およびコイルL2を備える。波形W1は、送信期間および受信期間にキャパシタC2の両端にかかる電圧を表す。波形W2は、送信期間にアンテナコイル12に流れる電流を示す。波形W3は、受信期間にアンテナコイル12に流れる電流を表す。
【0014】
半導体装置10では、まず、(1)で示されるように、送信回路13が送信信号(正弦波信号)を送信する。次に、左向き矢印(2)で示されるように、電子ペン11の共振回路にエネルギーが蓄積される。次に、(3)で示されるように、アンテナコイル12に流れる電流が停止される。次に、右向き矢印(4)で示されるように、電子ペン11の共振回路からアンテナコイル12に信号が送信される。次に、(5)で示されるように、受信回路14が受信した信号(入力信号)をAD(Analog Digital)変換する。(1)~(2)は送信期間に行われ、(3)~(5)は受信期間に行われる。送信期間と受信期間とは交互に繰り返される。
【0015】
図4を参照し、受信回路14の構成について説明する。受信回路14は、送信回路13により送信されたアナログ信号により対象物(例:電子ペン11)で生成された信号を入力信号として受信する。受信回路14は、BPF(Band Pass Filter) 141、PGA(Programmable Gain Amplifier) 142、およびADC(Analog Digital Converter) 143を備える。アンテナコイル12には、電子ペン11からの正弦波信号が入力されるが、入力信号にノイズが混入する場合がある。BPF 141は、ノイズが除去された信号をPGA 142に出力する。PGA 142は、ノイズが除去された入力信号をゲインに従って増幅し、増幅された入力信号(増幅信号)をADC 143に出力する。
図4の左下図は、ノイズが除去される前の入力信号の時間変化を示す。右下図は、ノイズが除去された後の入力信号の時間変化を示す。
【0016】
例えば、ユーザが通話をしながらイラストやメモを作成する場合に入力信号にノイズが乗る場合がある。以下では、ユーザが通話をせずにイラストを作成する通常使用時と、ユーザが通話をしながらイラスト等を作成する通話使用時の受信回路14の動作について説明する。また、BPF 141が搭載されない受信回路14aの通常使用時および通話使用時の動作についても説明する。
【0017】
図5は、受信回路14の通常使用時の動作を説明するための図である。左下図は、入力信号の時間変化を示す。横方向に延びる2つの線の間の範囲は、ADC 143の入力レンジを示す。中央下図は、BPF 141によりノイズが除去された入力信号の時間変化を示す。右下図は、PGA 142により増幅された入力信号の時間変化を示す。ADC 143の入力レンジ内でPGA 142のゲインが最大化される。
【0018】
図6は、受信回路14aの通常使用時の動作を説明するための図である。左下図は、入力信号の時間変化を示す。右下図は、PGA 142により増幅された入力信号の時間変化を示す。入力信号にノイズが混入しない通常使用時には、BPF 141は不要である。
【0019】
図7は、受信回路14の通話使用時の動作を説明するための図である。左下図に示されるように、入力信号にノイズが混入している。中央下図に示されるように、BPF 141が入力信号のノイズを除去する。そして、右下図に示すようにPGA 142のゲインが最大化される。
【0020】
図8は、受信回路14aの通話使用時の動作を説明するための図である。
図7と同様に、入力信号にノイズが混入している。そして、ノイズが混入した入力信号がPGA 142によって増幅され、入力信号がADC 143の入力レンジからはみ出す。
【0021】
図9を参照し、受信回路14aの第1の課題について説明する。
図9の上図は、
図7の右下図に示す信号をFFT(Fast Fourier Transform)で周波数分析した結果を示す。電子ペン11から入力されたPen信号は、十分な振幅比を持つ。下図は、
図8の右下図に示す信号をFFTで周波数分析した結果を示す。横線は、上図のPen信号の振幅比を示す。受信回路14aを用いる場合、下向き矢印に示すように、Pen信号の振幅比が小さく、かつ、ノイズ成分が大きいため、Pen信号を検出することが難しい。
【0022】
図10を参照し、通話使用時に受信回路14aを用いてPen信号を検出する方法について説明する。左図は、ノイズを含む全波形がADC 143の入力レンジ内に入るように増幅された入力信号の時間変化を示す。右図は、左図に示す入力信号をFFTで周波数分析した結果を示す。Pen信号の振幅比は、
図9の上図に示すPen信号の振幅比と同等である。FFTの結果は、丸め長方形で囲まれたノイズ成分を含むが、Pen信号を検出することが可能である。したがって、受信回路14aでは、PGA 142のゲインが適切に設定される必要がある。
【0023】
本発明者は、AGC(Automatic Gain Control)回路を用いて動作モードに応じて自動でゲインを変更することを検討した。AGC回路を用いることで、常に入力信号の振幅をADC 143の入力レンジ内で最大化することができる。AGC回路には、アナログF/B(Feed Back)型およびデジタルF/B型が存在する。
【0024】
図11および
図12を参照し、アナログF/B型のAGC回路を用いる場合の課題(第2の課題)について説明する。
図11は、ユーザが同じ筆圧で入力を行っている途中でノイズが小さくなったときの入力信号の時間変化を示す。受信期間にAD変換が行われる。
図12は、アナログF/B型のAGC回路を用いて自動でゲインを変更した結果を示す。AGC回路は、入力信号をADC 143の入力レンジ内で最大化する。しかしながら、アナログF/B型のAGC回路の動作時間がPGA 142の整定時間と比べて長く、点線で囲んだ領域において受信回路14aが筆圧を誤認してしまう恐れがある。
【0025】
また、デジタルF/B型のAGC回路は、入力信号を一度AD変換し、AD変換された信号を再度DA変換する。したがって、回路規模が大きいという問題がある。
【0026】
実施形態1
図13は、実施形態1にかかる半導体装置20の構成を説明するための図である。半導体装置20の受信回路14は、ゲイン制御回路24を備える。ゲイン制御回路24は、PGA 241、閾値検出回路242、制御回路243、およびADC 244を備える。ADC 244は、サンプルホールド回路2441および電圧比較器2442を備える。PGA 241のゲインは、送信期間中に設定され、受信期間中は固定される。
【0027】
PGA 241は、制御回路243により設定されたゲインに従って入力信号を増幅する。PGA 241は、増幅された入力信号(増幅信号)をサンプルホールド回路2441に出力する。
【0028】
閾値検出回路242は、受信期間中の増幅信号の振幅情報(例:最大振幅)を検出する。閾値検出回路242は、振幅情報を制御回路243に出力する。
【0029】
制御回路243は、送信期間中に、振幅情報に従って設定されたゲインをPGA 241に設定する。例えば、最大振幅の範囲ごとにゲインの値があらかじめ定められていてもよい。また、制御回路243は、イネーブル信号ADenを電圧比較器2442に出力する。
【0030】
また、制御回路243は、設定されたゲインを示す信号Gcntをアプリケーションに出力する。Gcntは、ゲインに従って定められた二進数である。アプリケーションは、画面に表示される描線の太さをGcntに基づいて設定する。
【0031】
ADC 244は、PGA 241によって増幅された入力信号をAD変換する。
【0032】
サンプルホールド回路2441は、受信期間中に増幅信号をサンプルホールドし、サンプルホールドされた信号を電圧比較器2442へ出力する。
【0033】
電圧比較器2442は、サンプルホールドされた信号を基準電圧と比較し、比較結果に基づくデジタル信号を出力する。電圧比較器2442は、イネーブル信号ADenによって受信期間中に活性化される。
【0034】
図14の上図は、ノイズが小さい入力信号と、その入力信号が増幅された増幅信号とを示す。ゲインは大きな値(例:4)に設定される。周囲環境が安定しているとき、低ノイズで高精度な描画が可能になる。下図は、ノイズが大きい場合の入力信号と、その入力信号が増幅された増幅信号とを示す。ゲインは小さな値(例:3/4)に設定される。周囲環境が安定していないときは、ノイズを含む入力信号を増幅することで、Pen信号を検出することができる。
【0035】
実施形態1にかかる半導体装置は、バンドパスフィルタを用いずに、様々な環境下で電子ペンからの信号を検出できる。バンドパスフィルタを用いないため、半導体装置20は、回路面積を低減できる。
【0036】
実施形態2
実施形態2は、実施形態1の具体例である。
図15は、実施形態2にかかるゲイン制御回路24の構成を示し、
図16は、各信号の時間変化を示す。ADC 244は、逐次比較型のSAR(Successive Approximation Register) ADCである。
【0037】
PGA 241は、入力信号が増幅されたPGAoutを出力する。
【0038】
閾値検出回路242は、受信期間中のPGAoutの振幅情報(例:最大振幅)を検出する。閾値検出回路242は、振幅情報を制御回路243に出力する。閾値検出回路242は、イネーブル信号TDenにより受信期間中に活性化される。また、閾値検出回路242は、リセット信号Resetによってリセットされる。
【0039】
制御回路243は、振幅情報に従ったゲインをPGA 241に設定する。制御回路243は、ゲインを示すGcntを出力する。制御回路243は、イネーブル信号TDenおよびイネーブル信号ADenを出力する。
図16を参照し、TDenおよびADenは受信期間中にHighであり、送信期間中にLowである。また、制御回路243は、閾値検出回路242をリセットする信号Resetを閾値検出回路242に出力する。リセット信号Resetは、例えば、送信期間の最後に出力されてもよい。
【0040】
図15を参照し、ADC 244は、複数のキャパシタ41、電圧比較器42、およびSARロジック43を備える。キャパシタ41の一端が電圧比較器42の入力端子に接続される。キャパシタ41の他端には、SARロジック43の制御により、Vin(PGAout)、Vrl、およびVrhのいずれかが接続される。逐次比較型のADC 244の構成として任意の公知の構成が用いられ得る。SARロジック43は、イネーブル信号ADenによって受信期間に活性化され、デジタル信号をSARoutとして出力する。
【0041】
ゲイン制御回路24は、受信期間中に、閾値検出回路242の動作、サンプリング、およびAD変換を行う。ゲイン制御回路24は、送信期間中に、ゲインの設定を行う。
【0042】
図17は、閾値検出回路242の回路構成の一例を示す。閾値検出回路242は、PGAoutと各基準電圧とを電圧比較器CMPで比較し、比較結果をラッチLATCHで保持する。この比較結果は、振幅に関する情報を含む。ラッチLAは、イネーブル信号TDenにより活性化され、かつ、リセット信号Resetによりリセットされる。右図に示されるように、各電圧比較器CMPの出力に基づいて最大振幅に関する情報が検出され得る。
【0043】
実施形態2にかかる半導体装置は、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0044】
実施形態3
図18は実施形態3にかかるゲイン制御回路24の構成を示し、
図19は信号の時間変化を示す。なお、
図3を参照して受信期間にAD変換が行われると説明したが、実施形態3では送信期間にAD変換が行われる。ADC 244は、ADC 244-0、ADC 244-1、・・・、およびADC 244-31を備える。ADC 244-0~244-31の各々は、フリップフロップFF、サンプルホールド回路S/H、および電圧比較器CMPを備える。ADC 244-0のフリップフロップFFには、制御回路243から出力されたイネーブル信号SHenが入力される。ADC 244-0~244-30のフリップフロップFFの出力は、それぞれADC 244-1~244-31のフリップフロップFFの入力に接続される。また、ADC 244-0~244-31のフリップフロップFFの出力は、それぞれイネーブル信号SHen0~31として対応するサンプルホールド回路S/Hに入力される。各電圧比較器CMPには、ランプ信号RAMPおよびサンプルホールド回路S/Hの出力が入力される。また、各電圧比較器CMPには、イネーブル信号ADeNが入力される。
【0045】
図19を参照し、最初の受信期間をRX1とし、その次の送信期間をTX1とし、その次の受信期間をRX2とし、その次の送信期間をTX2とする。SHen0~31は受信期間中に順次Highになり、ADC 244-0~244-31のサンプリング回路は順次入力信号をサンプリングする。そして、32個のサンプリングデータは、送信期間(例:TX2)中にまとめてAD変換される。ただし、送信期間中にゲインを変更(調整)する場合、その送信期間(例:TX1)はAD変換を行わない。
【0046】
実施形態3も、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0047】
実施形態4
実施形態4は、実施形態3の変形例である。なお、
図3を参照して受信期間にAD変換を行うと説明したが、実施形態4では送信期間にAD変換が行われる。
図20は、実施形態4にかかるゲイン制御回路24の構成を示し、
図21は信号の時間変化を示す。ゲイン制御回路24は、PGA 241を備えず、代わりにジェネレータ245を備える。
【0048】
ジェネレータ245は、Gcntに従って振幅を制限したランプ信号を出力する。ランプ信号の振幅または絶対値が、振幅情報に基づいて制御可能に構成される。ADC 244は、実施形態3と同様に、32個のサンプリングデータを、送信期間中にまとめてAD変換する。
【0049】
振幅が制限されたランプ信号を用いることで、実施形態4は実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、ゲインがAD変換の直前に変更されることになるため、余分なサンプルホールド期間が要らないという利点がある。また、PGA 241が不要となる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0051】
10、20 半導体装置
50 ペンタブレット
11 電子ペン
111、L1、L2 コイル
51 液晶パネル
52 センサ基板
521、522 基板
12 アンテナコイル
13 送信回路
14、14a 受信回路
141 BPF
142、241 PGA
143、244 ADC
15 切替スイッチ
C1、C2、41 キャパシタ
R 抵抗
W1、W2、W3 波形
24 ゲイン制御回路
242 閾値検出回路
243 制御回路
2441、S/H サンプルホールド回路
2442、42、CMP 電圧比較器
245 ジェネレータ
43 SARロジック
LATCH ラッチ
FF フリップフロップ
RAMP ランプ信号