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特開2024-111811イヤホンセットを用いた音声提供方法及びイヤホンセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111811
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】イヤホンセットを用いた音声提供方法及びイヤホンセット
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240809BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20240809BHJP
   H04R 1/10 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
G10K15/04 303Z
G10K15/04 303A
A61M21/02 J
H04R1/10 104E
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024005860
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】112104096
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112119983
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112133194
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】503116213
【氏名又は名称】固昌通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Cotron Corporation
【住所又は居所原語表記】12Fl., No. 150, Sec.4, Cheng-de Rd., Shihlin District, Taipei City, 111,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】楊 宗隆
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バイノーラルビートを感じることを可能にする音声提供方法及び装置を提供する。
【解決手段】ユーザの左耳ELに第1の音波W12を提供し、同時に右耳ERに第2の音波W14を提供するイヤホン100であって、第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間には周波数差がある。時間の経過とともに周期的に自動的に変化する周波数差は、周波数調整器140によって生成され、ユーザの脳に対応する脳波を誘導し、集中力又は他の効果を生じさせることができる。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時に、イヤホンセットの左耳用イヤホンを用いてユーザの左耳に第1の音波を提供し、前記イヤホンセットの右耳用イヤホンを用いて前記ユーザの右耳に第2の音波を提供することを含み、前記第1の音波の第1の周波数と前記第2の音波の第2の周波数との間には周波数差があり、前記周波数差は時間の経過とともに周期的に自動的に変化する、
イヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項2】
前記周波数差は、時間の経過とともに多段階に変化する、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項3】
前記周波数差は、各変化後の5秒から120秒間は変化しない、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項4】
前記周波数差は、0.5Hz~4Hzで自動的かつ周期的に変化し、4Hz~8Hzで自動的かつ周期的に変化し、8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に変化し、12Hz~20Hzで自動的かつ周期的に変化し、又は25Hz~40Hzで自動的かつ周期的に変化する、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項5】
前記第1の音波及び前記第2の音波を前記ユーザの前記左耳及び前記右耳にそれぞれ所定時間提供した後、前記第1の音波及び前記第2の音波の提供が自動的に停止される、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項6】
前記第1の音波及び前記第2の音波は、それぞれ、前記イヤホンセットの周波数調整器によって前記ユーザが自ら選択した音声に対して周波数調整を行った後に生成される、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項7】
前記第1の音波及び前記第2の音波を提供しながら、前記左耳用イヤホンを用いて第1の背景音波を前記ユーザの前記左耳に提供することと、前記右耳用イヤホンを用いて第2の背景音波を前記ユーザの前記右耳に提供することと、をさらに含み、
前記周波数差は、前記第1の背景音波の第3の周波数と前記第2の背景音波の第4の周波数との間に提供される、
請求項1に記載のイヤホンセットを用いた音声提供方法。
【請求項8】
ユーザの左耳に第1の音波を提供するように構成された左耳用イヤホンと、
ユーザの右耳に第2の音波を提供するように構成された右耳用イヤホンと、
第1の無線通信部と、
前記左耳用イヤホン、前記右耳用イヤホン、及び前記第1の無線通信部に電気的に接続された周波数調整器を備え、前記第1の無線通信部は、外部音声を受信し、前記周波数調整器に送信するように構成され、前記周波数調整器は、前記外部音声を第1の音声に調整し、前記第1の音波が放射されるように前記左耳用イヤホンに送信し、前記周波数調整器は、前記外部音声を第2の音声に調整し、前記第2の音波が放射されるように前記右耳用イヤホンに送信し、前記第1の音波の第1の周波数と前記第2の音波の第2の周波数との間には周波数差があり、前記周波数差は時間の経過とともに周期的に自動的に変化する、
イヤホンセット。
【請求項9】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、前記外部音声を送信する、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項10】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、音声通信アプリケーションを実行する、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項11】
ピックアップと、ピックアップスイッチとをさらに含み、前記ピックアップは、前記第1の無線通信部に電気的に接続され、ピックアップにより得られた第3の音声を前記第1の無線通信部に送信するように構成され、前記第1の無線通信部は、前記第3の音声を外部に送信し、前記ピックアップスイッチは、前記ピックアップに電気的に接続され、前記ピックアップを有効又は無効にするように構成される、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項12】
前記第3の音声に含まれる第1の言語を受信して識別し、前記第1の言語を第2の言語に変換し、前記第2の言語を含む第4の音声を前記左耳用イヤホン及び前記右耳用イヤホンに送信するように構成された言語変換回路をさらに含む、
請求項11に記載のイヤホンセット。
【請求項13】
前記第1の無線通信部は、多対多のBluetoothメッシュのノードとして機能するか、Bluetoothブロードキャストを実行する.
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項14】
第2の無線通信部と、無線通信スイッチと、をさらに含み、前記第2の無線通信部は、前記外部音声を受信するように構成され、
前記無線通信スイッチは、前記左耳用イヤホン及び前記右耳用イヤホンを、前記第1の無線通信部又は前記第2の無線通信部に切り替えて信号的に接続する、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項15】
前記第2の無線通信部は、周波数変調通信を行い、前記第1の無線通信部は、Bluetooth通信を行う、
請求項14に記載のイヤホンセット。
【請求項16】
前記第2の無線通信部は、受信機と、複数のアンテナと、周波数帯域スイッチャと、を含み、前記アンテナは、異なる周波数帯域の信号を受信するように構成され、前記周波数帯域スイッチャは、前記受信機を制御して、前記アンテナの1つに電気的に接続するように構成される、
請求項14に記載のイヤホンセット。
【請求項17】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、差動周波数制御アプリケーションを実行して、前記周波数調整器を介して前記周波数差を制御する、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項18】
前記差動周波数制御アプリケーションは、複数のスレーブイヤホンセットの周波数差をさらに制御する、
請求項17に記載のイヤホンセット。
【請求項19】
内部音声を前記周波数調整器に送信するように構成された音源をさらに備え、前記周波数調整器は、前記内部音声を第3の音声に調整し、第3の音波が放射されるように前記左耳用イヤホンに送信し、前記周波数調整器は、前記内部音声を第4の音声に調整し、第4の音波が放射され流ように前記右耳用イヤホンに送信し、前記第3の音波の第3の周波数と前記第4の音波の第4の周波数との間には周波数差がある、
請求項8に記載のイヤホンセット。
【請求項20】
ユーザの左耳に第1の音波を提供するように構成された左耳用イヤホンと、
ユーザの右耳に第2の音波を提供するように構成された右耳用イヤホンと、
第1の無線通信部と、
前記左耳用イヤホン、前記右耳用イヤホン、及び前記第1の無線通信部に電気的に接続された周波数調整器であって、前記第1の無線通信部は、外部音声を受信し、前記周波数調整器に送信するように構成され、前記周波数調整器は、前記外部音声を第1の音声に調整し、前記第1の音波が放射されるように前記左耳用イヤホンに送信し、前記周波数調整器は、前記外部音声を第2の音声に調整し、前記第2の音波が放射されるように前記右耳用イヤホンに送信し、前記第1の音波の第1の周波数と前記第2の音波の第2の周波数との間には周波数差があり、前記周波数差は時間の経過とともに自動的に変化する前記周波数調整器と、
前記外部音声を受信するように構成された第2の無線通信部と、
前記左耳用イヤホン及び前記右耳用イヤホンを、前記第1の無線通信部又は前記第2の無線通信部に切り替えて信号的に接続するように構成された無線通信スイッチと、
を備える、イヤホンセット。
【請求項21】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、前記外部音声を送信する、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項22】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、音声通信アプリケーションを実行する、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項23】
ピックアップと、ピックアップスイッチとをさらに含み、前記ピックアップは、前記第1の無線通信部に電気的に接続され、ピックアップにより得られた第3の音声を前記第1の無線通信部に送信するように構成され、前記第1の無線通信部は、前記第3の音声を外部に送信し、前記ピックアップスイッチは、前記ピックアップに電気的に接続され、前記ピックアップを有効又は無効にするように構成される、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項24】
前記第3の音声に含まれる第1の言語を受信して識別し、前記第1の言語を第2の言語に変換し、前記第2の言語を含む第4の音声を前記左耳用イヤホン及び前記右耳用イヤホンに送信するように構成された言語変換回路をさらに含む、
請求項23に記載のイヤホンセット。
【請求項25】
前記第1の無線通信部は、多対多のBluetoothメッシュのノードとして機能するか、Bluetoothブロードキャストを実行する、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項26】
前記第2の無線通信部は、周波数変調通信を行い、前記第1の無線通信部は、Bluetooth通信を行う、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項27】
前記第2の無線通信部は、受信機と、複数のアンテナと、周波数帯域スイッチャと、を備え、前記アンテナは、異なる周波数帯域の信号を受信するように構成され、前記周波数帯域スイッチャは、前記受信機を制御して前記アンテナの1つに電気的に接続するように構成される、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項28】
前記第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、前記携帯電話は、差動周波数制御アプリケーションを実行して、前記周波数調整器を介して前記周波数差を制御する、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【請求項29】
前記差動周波数制御アプリケーションは、複数のスレーブイヤホンセットの周波数差をさらに制御する.
請求項28に記載のイヤホンセット。
【請求項30】
内部音声を前記周波数調整器に送信するように構成された音源をさらに備え、
前記周波数調整器は、前記内部音声を第3の音声に調整し、第3の音波が放射されるように前記左耳用イヤホンに送信し、前記周波数調整器は、前記内部音声を第4の音声に調整し、第4の音波が放射されるように前記右耳用イヤホンに送信し、前記第3の音波の第3の周波数と前記第4の音波の第4の周波数との間には周波数差がある、
請求項20に記載のイヤホンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法及び装置に関し、特に、イヤホンセットを用いた音声提供方法及びイヤホンセットに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の急速な進歩に伴い、ヘッドフォンを用いて人とコミュニケーションを取ったり、メッセージを受信したりする機会がますます増えている。しかしながら、非対面の状況でいかに参加者にコミュニケーションに集中してもらい効率を高めるかという課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、バイノーラルビート(binaural beats)を感じることを可能にする、イヤホンセットを用いた音声提供方法を提供する。
【0004】
本発明のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、同時に、イヤホンセットの左耳用イヤホンを用いてユーザの左耳に第1の音波を提供し、イヤホンセットの右耳用イヤホンを用いてユーザの右耳に第2の第2の音波提供することを含む。第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間には周波数差がある。周波数差は時間の経過とともに周期的に自動的に変化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態において、周波数差は、時間の経過とともに多段階に変化する。
【0006】
本発明の一実施形態において、周波数差は、各変化後の5秒から120秒間は変化しない。
【0007】
本発明の一実施形態において、周波数差は、0.5Hz~4Hzで自動的かつ周期的に変化し、4Hz~8Hzで自動的かつ周期的に変化し、8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に変化し、12Hz~20Hzで自動的かつ周期的に変化し、又は25Hz~40Hzで自動的かつ周期的に変化する。
【0008】
本発明の一実施形態において、第1の音波及び第2の音波をユーザの左耳及び右耳にそれぞれ所定時間提供した後、第1の音波及び第2の音波の提供が自動的に停止される。
【0009】
本発明の一実施形態において、第1の音波及び第2の音波は、それぞれ、イヤホンセットの周波数調整器によってユーザが自ら選択した音声に対して周波数調整を行った後に生成される。
【0010】
本発明の一実施形態において、イヤホンセットを用いた音声提供方法は、前記第1の音波及び前記第2の音波を提供しながら、左耳用イヤホンを用いて第1の背景音波をユーザの左耳に提供することと、右耳用イヤホンを用いて第2の背景音波をユーザの右耳に提供することと、をさらに含む。周波数差は、第1の背景音波の第3の周波数と第2の背景音波の第4の周波数との間に提供される。
【0011】
本発明のイヤホンセットは、左耳用イヤホンと、右耳用イヤホンと、第1の無線通信部と、周波数調整器と、を備える。左耳用イヤホンは、ユーザの左耳に第1の音波を提供するように構成される。右耳用イヤホンは、ユーザの右耳に第2の音波を提供するように構成される。周波数調整器は、左耳用イヤホン、右耳用イヤホン及び第1の無線通信部に電気的に接続される。第1の無線通信器は、外部音声を受信し、周波数調整器に送信するように構成される。周波数調整器は、外部音声を第1の音声に調整し、第1の音波が放射されるように左耳用イヤホンに送信する。周波数調整器は、外部音声を第2の音声に調整し、第2の音波が放射されるように右耳用イヤホンに送信する。第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間には周波数差がある。周波数差は時間の経過とともに周期的に自動的に変化する。
【0012】
本発明の上記イヤホンセットの一実施形態において、イヤホンセットは、第2の無線通信部と、無線通信スイッチと、をさらに含む。第2の無線通信部は、外部音声を受信するように構成される。無線通信スイッチは、左耳用イヤホン及び右耳用イヤホンを、第1の無線通信部又は第2の無線通信部に切り替えて信号的に接続するように構成される。
【0013】
本発明の別のイヤホンセットは、左耳用イヤホン、右耳用イヤホン、第1の無線通信部、周波数調整器、第2の無線通信部、及び無線通信スイッチを含む。左耳用イヤホンは、ユーザの左耳に第1の音波を提供するように構成される。右耳用イヤホンは、ユーザの右耳に第2の音波を提供するように構成される。周波数調整器は、左耳用イヤホン、右耳用イヤホン、及び第1の無線通信部に電気的に接続される。第1の無線通信部は、外部音声を受信し、周波数調整器に送信するように構成される。周波数調整器は、外部音声を第1の音声に調整し、第1の音波が放射されるように左耳用イヤホンに送信する。周波数調整器は、外部音声を第2の音声に調整し、第2の音波が放射されるように右耳用イヤホンに送信する。第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間には周波数差がある。周波数差は、時間の経過とともに自動的に変化する。第2の無線通信部は、外部音声を受信するように構成される。無線通信スイッチは、左耳用イヤホン及び右耳用イヤホンを、第1の無線通信部又は第2の無線通信部に切り替えて信号的に接続するように構成される。
【0014】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、携帯電話は、外部音声を送信する。
【0015】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行い、携帯電話は、音声通信アプリケーションを実行する。
【0016】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、イヤホンセットは、ピックアップと、ピックアップスイッチとをさらに含む。ピックアップは、第1の無線通信部に電気的に接続され、ピックアップにより得られた第3の音声を第1の無線通信部に送信するように構成される。第1の無線通信部は、第3の音声を外部に送信する。ピックアップスイッチは、ピックアップに電気的に接続され、前記ピックアップを有効又は無効にするように構成される。
【0017】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、イヤホンセットは、第3の音声に含まれる第1の言語を受信して識別し、第1の言語を第2の言語に変換し、第2の言語を含む第4の音声を左耳用イヤホン及び右耳用イヤホンに送信するように構成された言語変換回路をさらに含む。
【0018】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第1の無線通信部は、多対多のBluetooth(登録商標)メッシュ(mesh)のノードとして機能するか、Bluetoothブロードキャストを実行する。
【0019】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第2の無線通信部は、周波数変調通信を行い、第1の無線通信部は、Bluetooth通信を行う。
【0020】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第2の無線通信部は、受信機と、複数のアンテナと、周波数帯域スイッチャと、を含む。アンテナは、異なる周波数帯域の信号を受信するように構成される。周波数帯域スイッチャ受信機を制御して、アンテナの1つに電気的に接続するように構成される。
【0021】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、第1の無線通信部は、携帯電話と無線通信を行う。携帯電話は、差動周波数制御アプリケーションを実行して、周波数調整器を介して周波数差を制御する。
【0022】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、差動周波数制御アプリケーションは、複数のスレーブイヤホンセットの周波数差をさらに制御する。
【0023】
上述した本発明の2種類のイヤホンセットの一実施形態において、イヤホンセットは、内部音声を周波数調整器に送信するように構成された音源をさらに含む。周波数調整器は、内部音声を前記周波数調整器に送信するように構成された音源をさらに備え、第3の音波が放射されるように左耳用イヤホンに送信する。周波数調整器は、内部音声を第4の音声に調整し、第4の音波が放射されるように右耳用イヤホンに送信する。第3の音波の第3の周波数と第4の音波の第4の周波数との間には周波数差がある。
【発明の効果】
【0024】
以上を踏まえると、本発明のイヤホンセットを用いた音声提供方法及びイヤホンセットでは、周波数差が時間の経過とともに自動的に変化し、ユーザは、変化する両耳間周波数差を受信し、対応する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例1の実験結果である。
図1B】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例1の実験結果である。
図2A】従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例2の実験結果である。
図2B】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例2の実験結果である。
図3A】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例3の実験結果である。
図3B】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例4の実験結果である。
図4A】従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例3の実験結果である。
図4B】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例5の実験結果である。
図5A】従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例4の実験結果である。
図5B】本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例6の実験結果である。
図6A】本発明の一実施形態による動作状態におけるイヤホンセットの概略図である。
図6B図6Aのイヤホンセットの回路ブロック概略図である。
図7】他の装置と通信する際の、動作状態における図6Aのイヤホンセットの概略図である。
図8】他の装置と通信する際の、別の動作状態における図6Aのイヤホンセットの概略図である。
図9】本発明の別の実施形態による動作状態におけるイヤホンセットの概略図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態によるイヤホンセットの主要構成要素の回路ブロック概略図である。
図11図10におけるイヤホンセットの無線通信部の回路ブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態は、イヤホンセットを用いた音声提供方法を提供する。この方法では、同時に、イヤホンセットの左耳用イヤホンを用いて第1の音波をユーザの左耳に提供し、イヤホンの右耳用イヤホンを用いて第2の音波をユーザの右耳に提供することを含む。ここで使用されるイヤホンセットは、後続の実施形態で紹介される任意のイヤホンセットであっても良いし、この方法を実行できる他のイヤホンセットであっても良い。第1の音波の周波数は第1の周波数であり、第2の音波の周波数は第2の周波数である。第1の周波数と第2の周波数との間には周波数差がある。この周波数差は時間の経過とともに周期的に自動的に変化する。すなわち、周波数差は一定ではない。さらに、この周波数差は、人手を介することなく、予め設定された方法に従って自動的に変更される。また、この周波数差の変更方法はあらかじめ設定されており、ユーザが調整したり選択したりすることはできない。あるいは、変更方法が複数あっても良く、ユーザがどれを使用するかを選択しても良い。また、周波数差がどのように変化させるかが決定される前にユーザの生理的状態は検出されず、つまり、周波数差はユーザの生理的状態の違いに応じて変化しない。
【0027】
脳波とは、人間の脳内の神経細胞の活動によって生じる電気的な振動を指し、脳細胞の活動のリズムということもできる。人間の脳は常に脳波を生成している。脳波は、周波数によって分類すると、少なくともベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波、ガンマ波を含む。一般に、人が非急速眼球運動睡眠の第3段階にあるとき、脳波は通常デルタ波(周波数が0.5Hz~4Hzの間)である。人が深い睡眠で夢を見ている、深い瞑想、強い主観状態などにあるとき、脳波は通常シータ波(周波数が4Hz~8Hz)である。人が寝る前のボーッとした状態、徐々に意識がぼやけ、ひらめきが起こり、心身がリラックスし、集中している状態などにあるとき、脳波は通常アルファ波である。人がリラックスしているが集中している状態、以前に受け取った情報を整理している状態などにあるとき、脳波は通常ベータ波である。しかし、人間の脳が異なる脳波を生成するように誘導されると、それが人の状態に影響を与えることも研究で分かっている。例えば、人間の脳がアルファ波を生成するように誘導されると、人はインスピレーションが閃いたり、心身がリラックスしたり、集中している状態にもなる。
【0028】
以上の理由から、従来技術は、周波数の異なる2種類の音波をユーザの左耳と右耳にそれぞれ提供し、2つの音波の周波数差を誘導したい脳波の周波数に対応させることを試みている。しかしながら、従来技術では、2つの音波間の周波数差が一定値に保たれる。図1Aは、従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例1の実験結果である。比較例1では、周波数差は8Hzで一定である。図1Aを参照すると、このような周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳にはアルファ波がほとんど誘導されない。
【0029】
これに対し、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、第1の周波数と第2の周波数との周波数差が時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化する。図1Bは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例1の実験結果である。比較例1と実施例1の被験者は同一人物である。実施例1では、周波数差を8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に段階的に変化させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後10秒間は同一の周波数差を維持した。周波数差を8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に段階的に変化させるとは、例えば、8Hz~12Hzに徐々に変化させ、次に12Hz~8Hzに徐々に変化させ、例えば、8Hz~12Hzへ段階的な変化を繰り返し、又は、例えば、12Hz~8Hzへの段階的な変化の繰り返しである。図1Bを参照すると、実施例1と同様に周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳はほとんどの時間帯でアルファ波が誘導されていることが検出され、特に周波数差が8.6Hz、9.1Hz、9.6Hz、10.6Hz、10.7Hz、11Hz、11.3Hzの場合に、誘導されるアルファ波のエネルギーが特に高くなった。
【0030】
図1Aの比較例1の実験結果と図1Bの実施例1の実験結果を比較すると、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、従来技術よりも脳波の誘導効率がより高いことが明らかである。すなわち、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、周波数差が時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化することにより、顕著に効果的に脳波を誘導することができる。
【0031】
ユーザの左耳と右耳に周波数の異なる2種類の音波を提供するには、イヤーマフ型イヤホンセット、耳栓型イヤホンセット、カナル型イヤホンセット、他の異なるタイプのイヤホンセットなどのイヤホンセットを使用することができ、イヤホンセットは、例えば、有線イヤホンセット、Bluetoothイヤホンセット、又はその他のワイヤレスイヤホンセットを使用することができる。イヤホンセットは、環境ノイズの影響を避けるために、アクティブノイズキャンセリング(active noise cancellation、ANC)機能をさらに備えていても良い。
【0032】
本発明の様々な実施形態において、ユーザは、ポップソング、クラシック音楽、ラジオ番組、又は他の種類のオーディオなどのオーディオを選択することができる。自選択音声を受信した後、例えば、左耳に提供される自選択音声の音波をアップコンバートして第1の音波を生成し、右耳に提供される自選択音声の音波をダウンコンバートして第2の音波を生成して、これにより第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間に所望の周波数差を有し、第1の音波と第2の音波がそれぞれユーザの左耳と右耳に提供されるようにする。あるいは、左耳に提供される自選択音声の音波をダウンコンバートして第1の音波を生成し、右耳に提供される自選択音声の音波をアップコンバートして第2の音波を生成して、これにより第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間に所望の周波数差を有するようにしても良い。あるいは、左耳に提供される自選択音声の音波をアップコンバートして第1の音波を生成し、右耳に提供される自選択音声の音波を第2の音波として直接用い、これにより第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間に所望の周波数差を有するようにしても良い。あるいは、左耳に提供される自選択音声の音波を第1の音波として直接用い、右耳に提供される自選択音声の音波を第2の音波としてダウンコンバートして、これにより第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間に所望の周波数差を有するようにしても良い。どの方法を採用するにしても、第1の音波の第1の周波数と第2の音波の第2の周波数との間に所望の周波数差がある限り、本発明の構想は満足する。
【0033】
さらに、ユーザの自選択音声は、空白部分が含まれる可能性があるため、空白部分に脳波を誘導し続けるために、第1の音波及び第2の音波を提供する間に、第1の背景音波をユーザの左耳に提供し、第2の背景音波をユーザの右耳に提供することができる。第1の背景音波の第3の周波数と第2の背景音波の第4の周波数は、所望の周波数差を有する。背景音波は連続的で空白部分がないため、ユーザの自選択音声の空白部分に脳波を誘導し続けることができる。背景音波とは、例えば、風の音、海の波の音など、自選択音声に影響を与えにくい音波である。
【0034】
図2Aは、従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例2の実験結果である。比較例2では、周波数差を8Hzで一定としたが、比較例1とは被験者が異なる。図2Aを参照すると、周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳内では最初はアルファ波が誘導されていることが検出されたにすぎず、持続時間は30秒未満であった。
【0035】
図2Bは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例2の実験結果である。比較例2と実施例2の被験者は同一人物である。実施例2では、周波数差を8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に段階的に変化させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後10秒間は同一の周波数差を維持した。図2Bを参照すると、実施例2と同様に周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳はほとんどの時間帯でアルファ波が誘導されていることが検出され、特に、周波数差が8Hz、8.6Hz、10Hz、11Hzの場合に、誘導されるアルファ波のエネルギーが特に高くなった。
【0036】
図2Aの比較例2の実験結果と図2Bの実施例2の実験結果を比較すると、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、従来技術よりも脳波の誘導効率がより高いことが改めて証明される。すなわち、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、周波数差が時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化することにより、顕著に効果的に脳波を誘導することができる。
【0037】
さらに、図1Bの実施例1の実験結果と図2Bの実施例2の実験結果を参照すると、周波数差が異なる第1の音波と第2の音波が、異なる被験者の脳波の誘導に異なる効果を与えることが分かる。したがって、従来技術では、異なるユーザの脳波を誘導するために一定の周波数差が使用されているが、良好な誘導効果が得られない可能性がある。これに対し、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、自動的かつ周期的に変化する周波数差でユーザの脳波を誘導し、特定のユーザの脳波が特定の周波数差で良好な誘導効果を有さない場合でも、周波数差が自動的かつ周期的に変化するため、本発明の方法は、基本的に、変化の周期においてユーザの脳に良好な誘導効果をもたらすことができる。
【0038】
さらに、各ユーザの脳は、単一の周波数差に対して良好な誘導効果を有するだけでなく、通常、複数の周波数差に対しても良好な誘導効果を有する。本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、自動的かつ周期的に変化する周波数差でユーザの脳波を誘導するため、複数の周波数差でより良好な誘導効果を得ることができる。さらに、図2Aの比較例2からも分かるように、たとえ被験者が入力された単一の周波数差に対して良好な誘導効果を有していたとしても、その持続時間は長くない可能性がある。本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、自動的かつ周期的に変化する周波数差でユーザの脳波を誘導し、選択された範囲内で自動的かつ周期的に変化させることができるため、ユーザの脳が疲れた後に、別の周波数差に切り替えることで、再び良好な誘導効果を生み出すことができる。最後に、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、より長期間にわたってより良好な脳波誘導効果を生み出すことができる。
【0039】
本実施形態において、周波数差は、時間の経過とともに多段階に変化する。つまり、前の瞬間の周波数差と次の瞬間の周波数差の間には比較的明らかな差がある。各変化における周波数差の変化量は、0.1Hz~1Hzの間であって良く、例えば0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hzであっても良い。他の実施形態において、周波数差は、時間の経過とともに無段階的に変化させても良い。
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1を参照すると、一定の周波数差の音波による脳波誘導の試験を25人の被験者に対して行ったところ、9~12人は、5~30秒間において2Hz、6Hz、10Hz、及び/又は20Hzの脳波を誘導することが検出され、7~8人は、30~60秒間において脳波を誘導することが検出され、1~4人は、60~90秒間において脳波を誘導することが検出され、1~3人は、90~120秒間において脳波を誘導することが検出された。しかしながら、試験の最初の5秒間においては、2Hz、6Hz、10Hz、又は20Hzの脳波を誘導する人は検出されず、120秒間以上試験した後、2Hz、6Hz、10Hz、又は20Hzの脳波誘導が検出されていない人がなおも2~3人いた。すなわち、試験時間が5秒未満では、基本的には脳波を誘導するという目的を達成できない。一方、120秒間検査を継続しても被験者に脳波が誘導されない場合には、検査を継続しても脳波を誘導する目的を達成することはできない。
【0042】
本発明の各実施形態では、一定の周波数差の音波でユーザの脳波を所定時間誘導した後、第1の音波及び第2の音波の提供は自動的に停止されても良いが、これに限定されるものではない。
【0043】
図3Aは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例3の実験結果である。実施例3では、周波数差を8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に段階的に変化させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後4秒間は同一の周波数差を維持した。図3Aを参照すると、実施例3と同様に周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳はほとんどの時間帯でアルファ波が誘導されていることが検出されるが、誘導されたアルファ波のエネルギーは非常に低かった。
【0044】
図3Bは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例4の実験結果である。実施例3と実施例4の被験者は同一人物である。実施例4では、周波数差を8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に段階的に変化させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後5秒間は同一の周波数差を維持した。図3Bを参照すると、実施例4と同様に周波数差を入力し続けて8分間以内では、被験者の脳はほとんどの時間帯でアルファ波が誘導されていることが検出され、誘導されたアルファ波のエネルギーは継続的に高いレベルに維持されていた。
【0045】
表1の分析結果に基づいて、図3Aの実施例3の実験結果と図3Bの実施例4の実験結果を比較すると、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、各変化後5秒~120秒の間は同一の周波数差を維持することにより、より良好な脳波誘導効率を達成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
本実施形態において、周波数差は、デルタ波を誘導するために0.5Hz~4Hzで自動的かつ周期的に変化させても良く、周波数差は、シータ波を誘導するために4Hz~8Hzで自動的かつ周期的に変化させても良く、周波数差は、アルファ波を誘導するために8Hz~12Hzで自動的かつ周期的に変化させても良く、周波数差は、ベータ波を誘導するために12Hz~20Hzで自動的かつ周期的に変化させても良く、周波数差は、ガンマ波を誘導するために25Hz~40Hzで自動的かつ周期的に変化させてガンマ波を誘導しても良い。さらに、本実施形態では、時間が十分に長くない場合、周波数差は、徐々に大きくなるだけ、又は徐々に小さくなるだけであっても良い。
【0047】
本発明の別の実施形態に係るイヤホンセットを用いた音声提供方法において、周波数差は、より大きな値から目標値まで徐々に減少し、例えば、12Hz~0.5Hzまで徐々に減少する。周波数差が目標値よりも小さくなった場合には、脳波誘導手順を終了しても良い。本実施形態において、周波数差は、自動的に段階的に徐々に減少して良く、例えば、周波数差は毎回0.1Hzずつ減少する。
【0048】
図4Aは、従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例3の実験結果である。比較例3では、周波数差は2Hzで一定である。図4Aを参照すると、周波数差を入力し続けて30分以内では、最初の2分間だけ被験者の脳にデルタ波が誘導される。しかしながら、実験開始から2分後には、被験者の脳にデルタ波が誘導されているのを検出することはほとんどできなかった。
【0049】
これに対し、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、第1の周波数と第2の周波数との周波数差が時間の経過とともに自動的に徐々に減少する。図4Bは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例5の実験結果である。比較例3と実施例5の被験者は同一人物である。実施例5では、周波数差を12Hz~0.5Hzで自動的に段階的に減少させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後16秒間は同一の周波数差を維持した。図4Bを参照すると、実施例5と同様に周波数差を連続入力した最初の20分間では、周波数差とデルタ波との差が比較的大きいため、被験者の脳に誘導されるデルタ波はほとんど検出できなかった。しかしながら、実験開始から20分後には、ほとんどの場合、デルタ波が被験者の脳内で検出され、検出された誘導デルタ波のエネルギーは特に高かった。これは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法が、自動的に徐々に減少する周波数差で被験者に誘導するため、複数の周波数差でより良好な誘導効果が得られ、より長い時間において良好な脳波誘導効果を得ることができるからである。
【0050】
図4Aの比較例3の実験結果と図4Bの実施例5の実験結果を比較すると、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、従来技術よりも脳波の誘導効率がより高いことが明らかである。すなわち、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、周波数差が時間の経過とともに自動的に徐々に減少することにより、顕著に効果的に脳波を誘導することができる。
【0051】
図5Aは、従来技術のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた比較例4の実験結果である。比較例4では、周波数差を2Hzで一定としたが、比較例3とは被験者が異なる。図5Aを参照すると、比較例3と同様に、このような周波数差を入力し続けて30分間では、最初の2分間のみ被験者の脳内にデルタ波が誘導された。しかしながら、実験開始から2分後には、被験者の脳内でデルタ波が誘導されているのを検出することはほとんどできなかった。
【0052】
図5Bは、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法を用いた実施例6の実験結果である。比較例4と実施例6の被験者は同一人物である。実施例6では、周波数差を12Hz~0.5Hzで自動的に段階的に減少させ、各変化における周波数差の変化量は0.1Hzであり、各変化後16秒間は同一の周波数差を維持した。図5Bを参照すると、実施例5と同様に、実施例6と同様に周波数差を連続入力した最初の20分間は、周波数差とデルタ波との差が比較的大きいため、デルタ波が被験者の脳に誘導されることはほとんどできなかった。しかしながら、実験開始から20分後には、ほとんどの場合、デルタ波が被験者の脳内で検出され、検出された誘導デルタ波のエネルギーは特に高かった。
【0053】
図5Aの比較例4の実験結果と図5Bの実施例6の実験結果を比較すると、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、従来技術よりも脳波の誘導効率がより高いいことが改めて証明される。すなわち、本実施形態のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、周波数差が予め設定された範囲内で時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化することにより、顕著に効果的に脳波を誘導することができる。
【0054】
図6Aは、本発明の一実施形態による動作状態におけるイヤホンセットの概略図である。図6Bは、図6Aのイヤホンセットの回路ブロック概略図である。図6A及び図6Bを参照すると、本実施形態のイヤホンセット100は、左耳用イヤホン110と、右耳用イヤホン120と、第1の無線通信部130と、周波数調整器140とを含む。左耳用イヤホン110のスピーカ112は、ユーザの左耳ELに第1の音波W12を提供するように構成される。右耳用イヤホン120のスピーカ122は、ユーザの右耳ELに第2の音波W14を提供するように構成される。周波数調整器140は、左耳用イヤホン110のスピーカ112、右耳用イヤホン120のスピーカ122、及び第1の無線通信部130に電気的に接続される。第1の無線通信部130は、外部音声を受信し、周波数調整器140に送信するように構成される。周波数調整器140は、外部音声を第1の音声に調整し、第1の音波W12が放射されるように、左耳用イヤホン110のスピーカ112に送信する。周波数調整器140は、外部音声を第2の音声に調整し、第2の音波が放射されるように、右耳用イヤホン120のスピーカ122に送信する。第1の音波W12の第1周波数と第2の音波W14の第2周波数との間には周波数差がある。周波数調整器140は、周波数差を時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化させる。
【0055】
周波数調整器140は、周波数差を時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化させる。これは、この周波数差が一定ではないことを意味する。さらに、この周波数差は、人手を介することなく、予め設定された方法に従って自動的に変更される。また、この周波数差の変更方法はあらかじめ設定されており、ユーザが調整したり選択したりすることはできない。あるいは、変更方法が複数あっても良く、ユーザがどれを使用するかを選択しても良い。また、周波数差がどのように変化させるかが決定される前にユーザの生理的状態は検出されず、つまり、周波数差はユーザの生理的状態の違いに応じて変化しない。
【0056】
本実施形態のイヤホンセット100において、周波数調整器140は、ユーザの左耳EL及び右耳ELに提供される第1の音波W12及び第2の音波W14に周波数差を生じさせ、周波数差によりユーザが対応するバイノーラルビートを受信できるようにし、バイノーラルビートを受信した人間の脳は、対応する周波数の脳波を有するように誘導することができる。同時に、この周波数差は、時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化し、所望の脳波を顕著に効果的に誘導することができる。
【0057】
例えば、ユーザが、本実施形態のイヤホンセット100を装着して他者から送信される音声メッセージを聞く場合、例えば、ユーザが、団体旅行中に本実施形態のイヤホンセット100を装着して、ツアーガイドが送信するツアーナビゲーションを聞く場合、周波数調整器140は、第1の音波W12と第2の音波W14との間の周波数差を12Hz~20Hzで変化させても良い。これにより、ユーザは対応するバイノーラルビートを受信することができ、バイノーラルビートを受信した脳が刺激されてベータ波を生成するため、ユーザは集中した状態でツアーナビゲーションを聞くことができる。
【0058】
あるいは、ツアーグループが長距離を移動しており、ユーザが本発明のイヤホンセット100を装着し続ける場合、周波数調整器140はまた、第1の音波W12と第2の音波W14との間の周波数差を8Hz~14Hzで変化させても良い。これにより、ユーザは対応するバイノーラルビートを受信することができ、バイノーラルビートを受信した脳が刺激されてアルファ波を生成するため、リラックス感が得られ、次の旅行に備えて体力を回復するのに寄与する。
【0059】
あるいは、ツアーグループが長距離を移動しており、又は夜間ホテルで休憩している場合において、ユーザが本発明のイヤホンセット100を装着し続けるときは、周波数調整器140はまた、1の音波W12と第2の音波W14との間の周波数差を0.5~4Hzで変化させても良い。これにより、ユーザは対応するバイノーラルビートを受信することができ、バイノーラルビートを受信した脳が刺激されてデルタ波を生成するため、ユーザはすぐに眠りにつき、質の高い睡眠を得ることができる。
【0060】
あるいは、ユーザが雑念を排除して瞑想状態に入りたい場合において、ユーザが実施形態のイヤホンセット100を装着するときは、周波数調整器140はまた、第1の音波W12と第2の音波W14との間の周波数差を4Hz~8Hzで変化させても良い。これにより、ユーザは対応するバイノーラルビートを受信することができ、バイノーラルビートを受信した脳が刺激されてシータ波を生成するため、ユーザは非常に早く瞑想状態に入ることができる。
【0061】
本実施形態において、イヤホンセット100は、第2の無線通信器150をさらに含む。第1の無線通信部130は、左耳用イヤホン110内に配置される。つまり、第1の無線通信部130は、左耳用イヤホン110の筐体内に配置される。第2の無線通信部150は、右耳用イヤホン120内に配置される。つまり、第2の無線通信部150は、右耳用イヤホン120の筐体内に配置される。周波数調整器140は、第1の無線通信部130を介して第2の音声を第2の無線通信部150に送信する。第2の無線通信部150は、第2の音波W14が放射されるように、第2の音声を右耳用イヤホン120のスピーカ122に送信する。したがって、左耳用イヤホン110と右耳用イヤホン120とを、信号を伝送するために物理的な回路を用いて接続する必要がなく、物理的な回路によるユーザへの干渉を回避することができる。
【0062】
しかしながら、他の実施形態において、左耳用イヤホン110と右耳用イヤホン120は、ネックフレームや接続ワイヤなどの方法で接続されても良く、これにより、左耳用イヤホン110と右耳用イヤホン120のそれぞれを保管する手間を軽減することができる。このとき、第1の無線通信部130は、右耳用イヤホン120に第2の音声を直接送信しても良いし、又は第2の無線通信部150が右耳用イヤホン120に第2の音声を送信しても良い。
【0063】
本実施形態において、イヤホンセット100は、第1の無線通信部130電気的に接続され、ピックアップにより得られた第3の音声を第1の無線通信部130に送信するように構成されるピックアップ160をさらに含んで良い。第1の無線通信部130は、第3の音声を外部に送信する。例えば、ピックアップ160は、マイクロホン及びアナログデジタル変換器によって形成されるが、これに限定されるものではない。ピックアップ160により、イヤホンセット100は通話機能を有し、ユーザは他の装置にメッセージを送信することができる。
【0064】
本実施形態において、イヤホンセット100は、ピックアップ160及び周波数調整器140に電気的に接続され、ピックアップによって得られた環境音を反転して周波数調整器140に送信し、第1の音声と第2の音声を組み入れるように構成される、アクティブノイズキャンセル回路180をさらに含んで良い。すなわち、ピックアップ160が環境音を受信した後、反転された環境音を第1の音声と第2の音声に加えても良い。これにより、ユーザが聞く第1の音波W12及び第2の音波W14には環境音が含まれていないように見え、積極的なノイズ防止効果を得ることができる。このようにして、脳波を刺激する周波数差の効果を改善することもできる。
【0065】
本実施形態において、第1の無線通信部130は、例えば、低電力Bluetooth通信仕様に準拠し、低消費電力で環境に優しい効果を有する。本実施形態において、第1の無線通信部130は、位置情報を送信することもでき、これにより、ツアーガイドがグループ旅行中にグループメンバーの居場所を知ることが容易になり、その他のより関連したアプリケーションを使用することもできる。
【0066】
本実施形態において、イヤホンセット100は、第3の音声に含まれる第1の言語を受信して識別し、第1の言語を第2の言語に変換し、第2の言語を含む第4の音声を左耳用イヤホン110のスピーカ112及び右耳用イヤホン120のスピーカ122に送信するように構成された言語変換回路170をさらに含んでも良い。すなわち、イヤホンセット100は、言語翻訳の機能を有していても良い。ユーザが、海外旅行中又は非母国語環境にいる場合、イヤホンセット100は、ピックアップ160によって拾われた第3の音声をユーザが指定した言語に変換してユーザに再生することができる。
【0067】
本実施形態において、第1の無線通信部130は、携帯電話50と無線通信を行うことができる。携帯電話50は、WeChat(登録商標)、LINE(登録商標)、又は他の通信アプリケーションなどの音声通信アプリケーションを実行し、外部音声を第1の無線通信部130に送信することができる。ユーザが音声通信アプリケーションを利用して、イヤホン100と携帯電話50とを介して双方向通話を行う場合、周波数調整器140によって生成される周波数差は、ユーザの脳に対応する脳波を誘導し、集中力又は他の効果を生じさせることができる。
【0068】
本実施形態において、第1の無線通信部130は、携帯電話50と無線通信を行うことができる。携帯電話50は、差動周波数制御アプリケーションを実行して、周波数調整器140を介して周波数差を制御する。例えば、団体旅行中に、ツアーガイドは自身の携帯電話で差動周波数制御アプリケーションを実行することができる。これにより、ツアーガイド自身のイヤホンセット100の周波数差だけでなく、複数のスレーブイヤホンセットの周波数差も制御することができる。すなわち、ツアーガイドは、旅程の必要性に応じて調整できるように、携帯電話の差動周波数制御アプリケーションを通じてグループメンバーが着用するスレーブイヤホンセットを制御することができる。
【0069】
一般のユーザの場合、携帯電話50の差動周波数制御アプリケーションを通じて周波数調整器140を制御することもできる。これにより、刺激される脳波の種類を決定し、それに対応する望ましい効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態において、イヤホンセット100は、内部音声を周波数調整器140に送信するように構成された音源190をさらに含んで良い。周波数調整器140は、内部音声を第3の音声に調整し、第3の音波が放射されるように、左耳用イヤホン110のスピーカ112に送信する。周波数調整器140は、内部音声を第4の音声に調整し、第4の音波が放射されるように、右耳用イヤホン120のスピーカ122に送信する。第3音波の第3周波数と第4音波の第4周波数とは、上述したように同一の周波数差、すなわち第1の音波W12や第2の音波W14と同一の周波数差を有する。
【0071】
ツアーガイドのナレーションは連続的ではないため、ユーザが継続的に周波数差を受信して脳波を誘導できるように、第1の音波と第2の音波を提供する間、又はその間の空白期間中に、第3の音波をユーザの左耳ELに提供し、第4の音波をユーザの右耳ELに提供しても良い。このような背景音波は連続的で空白部分がないため、ガイドがナレーションを止めても脳波を誘導し続けることができる。背景音波とは、例えば、風の音、海の波の音などである。本実施形態において、上記内部音声は、音源190に予め格納されても良く、又は音源190が演算して上記内部音声を生成しても良い。音源190の演算工程は、背景音波の反復感を低減するために人工知能を適用することができる。
【0072】
図7は、他の装置と通信する際の、動作状態における図6Aのイヤホンセットの概略図であり、図6Aの左耳用イヤホン110及びイヤホンセット100の構成要素の一部のみが図示される。図7を参照すると、本実施形態において、第1の無線通信部130は、ブルートゥース(登録商標)ブロードキャストを行う。つまり、第1の無線通信部130は、他のイヤホンセット200に音声を送信するブロードキャストホストとして機能し、各イヤホンセット200の無線通信部230は、ブロードキャストを受信する。例えば、団体旅行中に、ツアーガイドが本実施形態のイヤホンセット100を装着し、発話してツアーのナレーションを行っても良く、グループメンバーは、イヤホンセット200を装着してツアーナレーションを聞くことができ、また、距離制限なく自ら自由に移動したり訪問したりすることができる。
【0073】
図8は、他の装置と通信する際の、別の動作状態における図6Aのイヤホンセットの概略図であり、図6Aの左耳用イヤホン110及びイヤホンセット100の一部の構成要素のみが図示される。図8を参照すると、本実施形態において、第1の無線通信部130は、多対多のBluetoothメッシュのノードとして機能する。すなわち、無線通信部330は、第1の無線通信部130と各イヤホンセット300との間の双方向通信に使用されても良い。例えば、団体旅行中に、ツアーガイドが本実施形態のイヤホンセット100を装着し、発話して案内指示を行っても良く、イヤホンセット300を装着してツアーガイドを聞くだけでなく、グループメンバーはいつでも質問することができるため、すぐに連絡を取ることができる。別の例として、大会議室で講座の講義を行う場合、講師が本実施形態のイヤホンセット100を装着して講演し、受講者がイヤホンセット300を装着して内容を聞いても良く、また、マイクを通さずにいつでも質問することができる。
【0074】
図9は、本発明の別の実施形態による動作状態におけるイヤホンセットの概略図である。図9を参照すると、本実施形態のイヤホンセット400は、図6Aのイヤホンセット100と実質的に同一であり、ここでは両者の相違点を中心に説明する。本実施形態のイヤホンセット400はピックアップ160も備えているため、通話機能を有しており、ユーザは他の装置に音声を送信することができる。例えば、団体旅行中、イヤホンセット400は、ツアーガイドのナレーションを受信することができ、グループメンバーが質問又は他の要望がある場合、音声はピックアップ160及び第1の無線通信部130を介してツアーガイドに送信されることができ、又は同時に他のグループメンバーに送信されることもできる。本実施形態において、イヤホンセット400は、ピックアップ160に電気的に接続され、ピックアップ160を有効又は無効にするように構成されるピックアップスイッチ462をさらに含む。すなわち、ユーザは、ユーザが話したいときにピックアップスイッチ462を用いてピックアップ160を有効にすることができ、又はユーザは、ツアーガイドの邪魔にならないよう、ユーザが話す必要がないときにピックアップスイッチ462を用いてピックアップ160を無効にすることができる。ピックアップスイッチ462は、例えば、機械式スイッチやタッチスイッチであっても良いし、信号によりスイッチ状態を切り替えるものであっても良い。
【0075】
図10は、本発明のさらに別の実施形態によるイヤホンセットの主要構成要素の回路ブロック概略図である。図10を参照すると、本実施形態のイヤホンセットは、図6Aのイヤホンセット100と類似しており、ここでは両者の相違点を中心に説明する。本実施形態のイヤホンセットは、無線通信部530及び無線通信スイッチ532をさらに含む。無線通信部530は、外部音声を受信するように構成される。無線通信スイッチ532は、第1のイヤホンのスピーカ112及び第2のイヤホンのスピーカ122を制御して、第1の無線通信部130又は無線通信部530に信号的に接続するように構成される。すなわち、第1の状態では、第1のイヤホンのスピーカ112及び第2のイヤホンのスピーカ122が周波数調整器140を介して第1の無線通信部130に信号的に接続される。第2の状態では、第1のイヤホンのスピーカ112と第2のイヤホンのスピーカ122とが無線通信部530に信号的に接続される。本実施形態において、周波数調整器140は、周波数差を時間の経過とともに自動的に変化させるが、時間の経過とともに自動的に変化することに限定されない。
【0076】
例えば、第1の無線通信部130と無線通信部530は、それぞれ異なる状況に適している。例えば、ツアーモードでは、無線通信機530を用いて、ツアーガイドからツアーナレーションを受信することができる。図6Aの実施形態とは異なり、ツアーモードでは周波数調整器140は使用されない。ツアーモードが終了した後、イヤホンセットは、第1の無線通信部130を用いてユーザ自身の携帯電話と無線通信を行うように切り替えられても良い。つまり、このとき、イヤホンセットは、ユーザが携帯電話で再生される音楽を聴いたり、携帯電話を介して他の人と会話したり、又は他の目的に使用するための通常のイヤホンとして使用することができる。同時に、周波数調整器140は、ユーザの脳を刺激して、異なる脳波を生成し、リラクゼーション、集中、又は他の効果を生み出すために使用することもできる。無線通信スイッチ532は、例えば、機械式スイッチやタッチスイッチであっても良いし、信号によりスイッチ状態を切り替えるものであっても良い。本実施形態において、第1の無線通信部130は、例えばBluetooth通信を行い、無線通信部530は、例えば周波数変調通信を行う。
【0077】
図11は、図10におけるイヤホンセットの無線通信部の回路ブロック概略図である。図11を参照すると、本実施形態の無線通信部530は、受信機530Aと、複数のアンテナ530Bと、周波数帯域スイッチャ530Cとを含む。アンテナ530Bは、異なる周波数帯域の信号を受信するように構成される。周波数帯域スイッチャ530Cは、アンテナ530Bのうちの1つに電気的に接続するように受信機530Aを制御するように構成される。本実施形態の無線通信部530は、例えば、周波数変調(FM)信号を受信するように構成される。異なる地域で許可されるFM信号の周波数帯域は異なる場合があるため、ユーザは、異なる地域に到着したとき、使用するアンテナ530Bが現地の周波数変調(FM)信号を受信できることを保証するために、周波数帯域スイッチャ530Cを用いて、使用するアンテナ530Bを切り替える必要がある可能性がある。また、本実施形態の無線通信部530は、無線通信部530に入力された信号を外部に無線送信することができる送信部530Dをさらに含んでも良い。また、本実施形態の無線通信器530のマルチアンテナ及び切り替え可能なアーキテクチャは、図6Aの実施形態の第1の無線通信部130にも適用することができる。
【0078】
まとめると、本発明のイヤホンセットを用いた音声提供方法では、周波数差が時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化するため、異なる周波数差を受信した後、異なるユーザが異なる脳波誘導効果を有するとしても、ほとんどのユーザは、周波数差を変化させることにより、より敏感な周波数差によって目的の脳波を誘導することができる。さらに、各ユーザがより敏感に感じる周波数差は、単一の特定の値ではなく、複数の特定の値である可能性がある。本発明のイヤホンセットを用いた音声提供方法は、時間の経過とともに自動的かつ周期的に変化する周波数差を利用するため、正しい周波数差に逐一対応して目標脳波を誘導し、脳波誘導が成功する時間を長くすることができる。本発明のイヤホンセットでは、音声内容を聞くことに加えて、周波数調整器によって制御される周波数差により、ユーザは自動的かつ周期的に変化するバイノーラルビートを受信することができ、これにより、ユーザの脳が特定の脳波を生成するように刺激することができるため、集中力の向上、睡眠、ストレスの緩和、瞑想への移行などの効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のイヤホンセットを用いた音声提供方法によれば、ユーザはバイノーラルビートを感じることができる。
【符号の説明】
【0080】
W12: 第1の音波
W14: 第2の音波
EL: 左耳
ER: 右耳
50: 携帯電話
100、200、300、400: イヤホンセット
110: 左耳用イヤホン
112、122: スピーカ
120: 右耳用イヤホン
130: 第1の無線通信部
140: 周波数調整器
150: 第2の無線通信部
160: ピックアップ
170: 言語変換回路
180: アクティブノイズキャンセル回路
190: 音源
230、330: 無線通信部
462: ピックアップスイッチ
530: 無線通信部
530A: 受信機
530B: アンテナ
530C: 周波数帯域スイッチャ
530D: 送信機
532: 無線通信スイッチ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】