(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111829
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20240809BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20240809BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D1/02
C11D1/66
C11D1/38
C11D1/04
C11D1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015365
(22)【出願日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2023015857
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 渉
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】久米 敏正
(72)【発明者】
【氏名】齊川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】福田 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】石炭 大輝
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AC08
4H003AE05
4H003BA18
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA12
4H003EA16
4H003EA19
4H003EA27
4H003EA28
4H003EB30
4H003EB36
4H003EC02
4H003FA04
4H003FA34
4H003FA40
(57)【要約】
【課題】洗浄剤組成物の溶け残りが抑制され、更に繊維製品の洗浄性に優れ、且つ繊維製品に付与する抗菌性に優れる洗浄剤物品を提供する。
【解決手段】下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、(d)成分の含有量が5質量%を超える洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える、洗浄剤物品。
(a)成分:ノニオン界面活性剤
(b)成分:アニオン界面活性剤
(c)成分:カチオン界面活性剤
(d)成分:アルカリ剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、(d)成分の含有量が5質量%を超える洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える、洗浄剤物品。
(a)成分:ノニオン界面活性剤
(b)成分:アニオン界面活性剤
(c)成分:カチオン界面活性剤
(d)成分:アルカリ剤
【請求項2】
前記洗浄剤組成物が、(a)成分を、1質量%以上40質量%以下含有する、請求項1に記載の洗浄剤物品。
【請求項3】
前記洗浄剤組成物が、(b)成分を、0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項4】
(b)成分が、脂肪酸又はその塩を含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項5】
(b)成分が、脂肪酸ナトリウムとアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項6】
前記洗浄剤組成物が、(c)成分を、0.5質量%以上20質量%以下含有する、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項7】
前記洗浄剤組成物中、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)が、0.1以上5以下である、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項8】
前記洗浄剤組成物中、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)が、0.4以上1以下である、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項9】
前記洗浄剤組成物が、(d)成分を、5質量%を超え50質量%以下含有する、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項10】
(d)成分に(b)成分の酸前駆体が噴霧されている、請求項1又は2に記載の洗浄剤物品。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の洗浄剤物品と水とを混合した洗浄液で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の簡便嗜好の高まりから、より使いやすい洗浄剤組成物が求められている。洗浄剤組成物の使用性を高める観点から、例えば、洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装した洗浄剤物品が開示されている。
一方で、最近では夜洗濯や部屋干しなどが増加しており、それに伴って菌由来の洗濯物のニオイ悩みも増加してきている。更には近年のコロナウイルスの影響で衛生意識がより高まってきており、洗剤の基本機能として菌に対する効果は必須となってきている。
また、近年、レスケミカル、環境負荷低減の観点から、洗浄剤組成物の使用量、特に界面活性剤の量を低減することが求められている。
【0003】
特許文献1には、所定の水溶性フィルムで、界面活性剤を含有する固体洗濯用組成物を包装してなる洗濯用物品が開示されている。
特許文献2には、界面活性剤を含有する洗濯用組成物を、所定の共重合体を含む水溶性フィルムで包装してなる洗濯用品が開示されている。
特許文献3には、(a)アニオン界面活性剤、(b)アルカリビルダーを含有し、かつ、(a)及び(b)成分中のカリウムイオンの合計量が組成物中の0.5重量%以上を占める洗剤組成物を、所定の変性ポリビニルアルコールからなるフィルムで単位包装した洗剤個装体が開示されている。
特許文献4には、(A)水不溶性無機塩を含むベース顆粒群1、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及びアルカリ性ビルダーを含有する洗剤粒子群が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-241799号公報
【特許文献2】特開2002-3897号公報
【特許文献3】特開平4-164998号公報
【特許文献4】国際公開第99/29830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体の洗浄剤組成物は、効率的に洗浄を行う観点では好ましいものの、溶け残りが生じることで、仕上がり性を損なうおそれがある。
本発明は、洗浄剤組成物と、洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムとを備える洗浄剤物品において、洗浄剤組成物の溶け残りが抑制され、更に繊維製品の洗浄性に優れ、且つ繊維製品に付与する抗菌性に優れる洗浄剤物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、(d)成分の含有量が5質量%を超える洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える、洗浄剤物品に関する。
(a)成分:ノニオン界面活性剤
(b)成分:アニオン界面活性剤
(c)成分:カチオン界面活性剤
(d)成分:アルカリ剤
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄剤組成物と、洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムとを備える洗浄剤物品において、洗浄剤組成物の溶け残りが抑制され、更に繊維製品の洗浄性に優れ、且つ繊維製品に付与する抗菌性に優れる洗浄性及び抗菌性を有する洗浄剤物品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の洗浄剤物品が、洗浄剤組成物の溶け残りが抑制され、更に繊維製品の洗浄性に優れ、且つ繊維製品に付与する抗菌性に優れる機構は定かではないが、以下のように推察される。
本発明の洗浄剤物品が備える洗浄剤組成物は、(a)成分のノニオン界面活性剤と、(b)成分のアニオン界面活性剤及び(d)成分のアルカリ剤を併用することで、洗浄性が向上すると推察される。
また、本発明の洗浄剤物品が備える洗浄剤組成物は、(b)成分を含むことで、本発明の洗浄剤物品を水に溶解させて洗浄液を調製する際に、塊状の(d)成分が形成された場合にも、(b)成分が(d)成分に作用することで、(d)成分の溶解を遅延することで塊状の(d)成分の生成を抑制し、仮に塊状の(d)成分が生成されたとしても該塊状の(d)成分の柔軟性が向上するため、塊状の(d)成分がより洗浄液中に溶解されやすくなると推察される。
更に、本発明の洗浄剤物品が備える洗浄剤組成物は、(a)成分~(d)成分を組み合わせることで、(c)成分の抗菌性能を損なうことなく、洗浄剤組成物の溶け残りが抑制され、更には洗浄剤物品の溶解性が向上されたものと推察される。
なお、本発明の洗浄剤物品は、上記の作用機構になんら限定されるものではない。
【0009】
[洗浄剤物品]
本発明の洗浄剤物品は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有する洗浄剤組成物と、該洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える。本明細書では、前記の洗浄剤組成物を、本発明の洗浄剤組成物という。
(a)成分:ノニオン界面活性剤
(b)成分:アニオン界面活性剤
(c)成分:カチオン界面活性剤
(d)成分:アルカリ剤
【0010】
<(a)成分>
(a)成分は、ノニオン界面活性剤である。(a)成分は洗浄性能の観点から、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド(グリコシド型ノニオン界面活性剤)、ソルビタン系ノニオン界面活性剤、長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した化合物、脂肪酸モノグリセライド、及び蔗糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0011】
(a)成分のノニオン界面活性剤としては、(a1)アルキレンオキシ基を含み、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が1以上30以下である、ノニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕が好ましい。
(a1)成分のアルキレンオキシ基は、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が好ましく、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基がより好ましい。
(a1)成分のアルキレンオキシ基の平均付加モル数は、洗浄性の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
【0012】
(a1)成分は、下記一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
R1a(CO)mO-(A1aO)n-R2a(a1)
〔式中、R1aは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2aは水素原子又はメチル基である。COはカルボニル基であり、mは0又は1の数である。A1aO基は炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上である。nはA1aO基の平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。〕
【0013】
一般式(a1)中、R1aの炭素数は、洗浄性の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。
R1aは、脂肪族炭化水素基であり、好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基である。
【0014】
一般式(a1)中、A1aO基は、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上、好ましくは炭素数2以上3以下のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上、より好ましくはエチレンオキシ基である。A1aO基が、異なる複数のアルキレンオキシ基を含む場合、異なるアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。
【0015】
一般式(a1)中、nは、A1aO基の平均付加モル数であって、1以上30以下の数である。一般式(a1)中、nは、洗浄性の観点から、1以上、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、そして、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。
一般式(a1)中、mは、洗浄性の観点から0が好ましい。
一般式(a1)中、R2aは、洗浄性の観点から、水素原子が好ましい。
【0016】
(a1)成分以外のアルキレンオキシ基を有さないノニオン界面活性剤の具体例としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、及びグリセリルモノエーテルから選ばれる1種以上が挙げられる。
【0017】
<(b)成分>
(b)成分は、アニオン界面活性剤である。(b)成分は、洗浄性能の観点から、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、アルカンスルホン酸型界面活性剤、オレフィンスルホン酸型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、スルホ脂肪酸エステル型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上が好ましく、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上がより好ましく、アルキルアリールスルホン酸型界面活性剤、並びに脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上が更に好ましい。
なお、(b)成分が塩の場合、(b)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等の無機塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩等の有機塩が挙げられる。(b)成分の塩は、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩から選ばれる無機塩であり、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩である。
【0018】
(b)成分は、溶解性制御の観点から、下記一般式(b1)で表される化合物〔以下、(b1)成分という〕及び下記一般式(b2)で表される化合物〔以下、(b2)成分という〕から選ばれる1種以上が好ましい。
(b)成分は、溶解性制御の観点から、(b1)成分から選ばれる1種以上と、(b2)成分から選ばれる1種以上と、を含むことがより好ましい。
R1b-B-SO3M (b1)
〔式(b1)中、R1bは炭素数9以上14以下のアルキル基を示し、Bはベンゼン環を示し、Bの炭素原子と結合するR1bの炭素原子が第2級炭素原子であり、Mは陽イオンを示す。Bに結合するR1bに対して、スルホン酸基はオルト位、メタ位又はパラ位に結合している。〕
R2b-COOM (b2)
〔式(b2)中、R2bは炭素数10以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mは陽イオンを示す。〕
【0019】
一般式(b1)中、R1bは、炭素数9以上、好ましくは10以上、そして、14以下、好ましくは13以下のアルキル基である。
一般式(b1)中、Mは、好ましくは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属(1/2原子)イオン、又は有機アンモニウムイオンである。有機アンモニウム塩は、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、又はモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオンであり、より好ましくはナトリウムイオンである。
【0020】
(b1)成分としては、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上14以下のp-アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩がより好ましい。すなわち、(b1)成分は、一般式(b1)中、R1bが炭素数11以上14以下のアルキル基、Mがナトリウムイオンである化合物が好ましい。
【0021】
一般式(b2)中、R2bは、炭素数10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは15以下、より好ましくは13以下のアルキル基又はアルケニル基である。R2bは、直鎖のアルキル基、分岐鎖のアルキル基、直鎖のアルケニル基及び分岐鎖のアルケニル基から選ばれる1種以上の基が挙げられ、直鎖のアルキル基が好ましい。
一般式(b2)中、Mは、好ましくは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属(1/2原子)イオン、又は有機アンモニウムイオンである。有機アンモニウム塩は、モノエタールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンによる塩であってよい。Mは、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、又はモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオンであり、より好ましくはナトリウムイオンである。
【0022】
(b2)成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上、更に好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上である。
(b2)成分は、一般式(b2)中、R2bが炭素数10以上18以下のアルキル基、Mが陽イオンである化合物が好ましく、Mが水素イオン又はナトリウムイオンである化合物がより好ましい。
【0023】
(b)成分は、塊り残り改善の観点から、脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上を含むアニオン界面活性剤が好ましく、(b2)成分を含むアニオン界面活性剤がより好ましい。
更には、(b)成分は、製剤化及び溶け残り改善の観点から、脂肪酸及びその塩から選ばれる1種以上と、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種以上と、を含むアニオン界面活性剤が好ましく、(b1)成分から選ばれる1種以上と、(b2)成分から選ばれる1種以上と、を含むアニオン界面活性剤がより好ましく、脂肪酸ナトリウムとアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムと、を含むアニオン界面活性剤が更に好ましい。
また、(b)成分は、塊り残り改善の観点から、(d)成分に噴霧されていることが好ましい。
【0024】
<(c)成分>
(c)成分は、カチオン界面活性剤である。(c)成分は、4級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。(c)成分は、殺菌性、抗菌性又は除菌性を有するカチオン性抗菌剤であってよい。
(c)成分の4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、下記一般式(c1)で表される化合物、及び下記一般式(c2)で表される化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
【0025】
【0026】
〔式中、R1cは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2cは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0027】
【0028】
〔式中、R5cは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R6c及びR7cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0029】
一般式(c1)において、R1cの炭素数は、洗浄力の観点から、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは16以下である。R1cは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
一般式(c1)において、R2cは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。
R2cが、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である場合、R2cは、洗浄力の観点から、好ましくは8以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0030】
一般式(c1)において、R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0031】
一般式(c1)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる1種以上の陰イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられる。また、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0032】
一般式(c1)の化合物の好ましい化合物としては、アルキル基の炭素数が12以上18以下であるN-アルキル-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上16以下であるN,N-ジアルキル-N,N-ジメチル-アンモニウム塩、及びアルキル基の炭素数が12以上16以下であるN-アルキル-N,N-ジメチル-N-エチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0033】
一般式(c2)において、R5cは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である。R5cの炭素数は、洗浄力の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。R5cは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0034】
一般式(c2)において、R6c及びR7cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R6c及びR7cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0035】
一般式(c2)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、及び炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンから選ばれる1種以上の陰イオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられる。また、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオンとしては、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0036】
一般式(c2)の化合物の具体例としては、N-ドデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、及びN-ヘキサデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0037】
<(d)成分>
(d)成分は、アルカリ剤である。(d)成分、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属ケイ酸塩及びトリポリリン酸塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上が挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
トリポリリン酸塩としては、トリポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0038】
(d)成分は、洗浄性能の観点から、好ましくはアルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩から選ばれる1種以上のアルカリ剤、より好ましくはアルカリ金属炭酸塩から選ばれる1種以上、更に好ましくは炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種以上、より更に好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0039】
(d)成分は、当該洗浄剤物品の水への溶解性を更に高める観点から、(d)成分の一部又は全部が(b)成分に被覆されていることが好ましい。(b)成分の被覆層は、(d)成分に(b)成分の酸前駆体を噴霧してなるもの、すなわち(d)成分の一部又は全部が、(b)成分の酸前駆体を噴霧してなる被覆層で被覆されているものであってよい。なお、本発明において、(b)成分の酸前駆体とは、(b)成分が塩の形態ではなく、酸の形態のものをいう。
(b)成分の被覆層の厚さは、溶解性制御の観点から、0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、そして、溶解速度の観点から、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
(b)成分の被覆層の厚さは、任意にサンプリングした(d)成分を、メス等の刃物を用いて切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、その厚さを算出する。
具体的には、任意にサンプリングした5個の(d)成分の切断面を、走査型電子顕微鏡で観察した画像(倍率:500倍)に基づいて、(d)成分粒子における(b)成分の被覆層の膜厚を算出し、その平均値により求める。
【0040】
<組成等>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分を、洗浄性能の観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、そして、粉末物性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは18質量%以下含有する。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物は、(b)成分を、洗浄性能及び溶解性制御の観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、そして、抗菌性能の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下、より更に好ましくは6.0質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下含有する。
なお、本発明において、(b)成分の質量に関する規定は、ナトリウム塩に換算した値を用いるものとする。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物は、(c)成分を、抗菌性能の観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下含有する。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は、(d)成分を、洗浄性能の観点から、前記洗浄剤組成物中、5質量%を超え、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは19質量%以上、そして、溶け残りの観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは22質量%以下含有する。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物中、該洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤の合計含有量に対する、(a)成分の含有量の割合(a)/(界面活性剤の合計含有量)は、洗浄性能の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、そして、抗菌性能及び溶解性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤の合計含有量は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び後に詳述する(f)成分の合計含有量であってよい。
【0045】
本発明の洗浄剤組成物中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(a)/(b)は、洗浄性能の観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.3以上、より更に好ましくは2.0以上、より更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは2.9以上、そして、洗浄性能及び溶解性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8.0以下、より更に好ましくは5.0以下、より更に好ましくは4.0以下、より更に好ましくは3.5以下である。
【0046】
本発明の洗浄剤組成物中、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)は、洗浄性能及び抗菌性能の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上、より更に好ましくは0.60以上、より更に好ましくは0.70以上、そして、洗浄性、溶解性、及び再汚染防止性の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下、より更に好ましくは3.0以下、より更に好ましくは2.0以下、より更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.90以下である。
【0047】
本発明の洗浄剤組成物中、(b)成分の含有量と(d)成分の含有量の質量比(b)/(d)は、洗浄性、及び溶解性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.10以上、より更に好ましくは0.15以上、より更に好ましくは0.20以上、より更に好ましくは0.23以上、そして、洗浄性能の観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.50以下、より更に好ましくは0.30以下である。
【0048】
本発明の洗浄剤組成物において、溶け残りの易破壊の観点から、(b)成分として、(b1)成分を含むことが好ましく、溶け残りの生成抑制の観点から、(b)成分として、(b2)成分を含むことが好ましい。(b)成分は、(b1)成分のみを含むものであってよいが、溶け残り改善の観点から、(b1)成分と(b2)成分とを含むものが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物が、(b1)成分と(b2)成分を含む場合、本発明の洗浄剤組成物中、(b1)成分の含有量と(b2)成分の含有量との質量比(b1)/(b2)は、溶け残り改善の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.5以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3.3以下、より更に好ましくは2.3以下、より更に好ましくは1.5以下である。
【0049】
<(e)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、任意に(e)吸油担体〔以下、(e)成分という〕を含むことができる。
(e)成分としては、その種類は特に限定はされないが、ノニオン界面活性剤を保持する観点から、吸油能が120mL/100g以上のものが好ましい。その上限値は特に限定はされない。本発明においては、上記観点から、吸油担体として、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、粘土鉱物、結晶性アルミノケイ酸塩、及び非晶質アルミノケイ酸塩から選ばれる1種以上が好ましく、粘土鉱物、及び結晶性アルミノケイ酸塩から選ばれる1種以上がより好ましい。なお、吸油担体の吸油能は、JIS K 5101-13-2に基づいて測定することができる。
(e)成分は、水不溶性吸油担体が好ましい。(e)成分について、「水不溶性」とは、20℃の水100gに1g以上溶解しないことをいう。
【0050】
(e)成分の平均一次粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。(e)成分の平均一次粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、HORIBA社、LA-950)により測定されたものである。この平均一次粒子径は、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)である。
【0051】
(e)成分としては、具体的には、特開平9-132794号公報、特開平7-10526号公報、特開平6-227811号公報、特開平8-119622号公報などに記載されている非晶質アルミノシリケート(吸油能:285mL/100g)等を挙げることができる。
更に具体的には、(e)成分のケイ酸カルシウムとして、フローライトR((株)トクヤマ製、吸油能:400~500mL/100g)、(e)成分の非晶質シリカとして、トクシールNR((株)トクヤマ製、吸油能:210~270mL/100g)、サイロピュア(富士シリシア化学(株)社製、吸油能:240~280mL/100g)、(e)成分の非晶質アルミノケイ酸塩として、TIXOREX25(韓仏化学社製、220~270mL/100g)、等の吸油担体を用いることができる。
【0052】
また、結晶性アルミノケイ酸塩は、ゼオライトが挙げられる。具体的なゼオライトとして、A型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノケイ酸塩を含有できる。結晶性アルミノケイ酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名「トヨビルダー」:東ソー(株)製、JISK 5101法による吸油能:40mL/100g以上)が好ましい。その他に、P型(例えば、商品名「Doucil A24」、「ZSEO64」等;いずれもCrosfield社製;吸油能60~150mL/100g)、X型(例えば、商品名「WessalithXD」、;Degussa社製;吸油能80~100mL/100g)、国際公開第98/42622号記載のハイブリッドゼオライトも好適なものとして挙げられる。
【0053】
(e)成分の粘土鉱物としては、ベントナイトが挙げられる。ベントナイトは、50~100meq/100gのイオン交換能力を有するものが好ましい。ベントナイトとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属モンモリロナイト、サポナイト又はヘクトライトからなる群から選択されるモンモリロン石群鉱物粘土(smectitic clay)、イライト、アタパルジャイト(attapulgite)及びカオリナイトから選ばれる1種以上が挙げられる。
ベントナイトは、粉末化したもの、粒状化したものを用いることができる。例えば、特開2008-189719号公報の粘土鉱物の造粒物を参照することができる。
【0054】
本発明の洗浄剤組成物が(e)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(e)成分を、溶け残りの観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32.5質量%以下含有する。
【0055】
<(f)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性能及び泡立ちの観点から、(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤〔以下、(f)成分という〕を任意に含有することができる。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0056】
(f)成分の両性界面活性剤としては、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、及びN-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタインから選ばれる1種以上を挙げることができる。これらにおいて、アルカノイル基は例えばラウロイル又はミリスチロイルである。また、これらにおいて、アルキル基は例えばラウリル基又はミリスチル基である。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物が(f)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(f)成分を、洗浄性能及び泡立ちの観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以下含有する。
【0058】
<(g)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(g)成分として、無機硫酸塩及び無機ハロゲン化合物から選ばれる1種以上の化合物を任意に含有することができる。(g)成分は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び塩化マグネシウムから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。(g)成分は、水和物であっても無水物であっても良い。
【0059】
本発明の洗浄剤組成物が(g)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(g)成分を、溶け残りの観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0060】
<(h)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(h)成分として、カルボン酸基又はその塩を有し、重量平均分子量が3,000以上のポリマーを任意に含有することができる。
(h)成分としては、ポリアクリル酸及びその塩、並びにアクリル酸とマレイン酸のコポリマー及びその塩から選ばれる1種以上のポリマー〔以下、(h1)成分という〕が挙げられる。
ポリアクリル酸及びその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリアクリル酸カリウム等から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウム、及びポリアクリル酸カリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
アクリル酸とマレイン酸のコポリマー及びその塩としては、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー、アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩等から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのナトリウム塩、及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマーのカリウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのモル比は、アクリル酸のモル数/マレイン酸のモル数として、好ましくは1/99以上、より好ましくは10/90以上、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは90/10以下である。
【0061】
(h1)成分は、本発明の効果の発現を妨げない程度であれば、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを含んだコポリマーであってもよい。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーとしては、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、より具体的にはメタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーの(h1)成分中のモル比は、(h1)成分中に、好ましくは0モル%以上、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下であり、0モル%であることが更に好ましい。従って、本発明のポリアクリル酸及びその塩、及び、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー及びその塩は、全構成モノマー中、アクリル酸及びマレイン酸以外のモノマーであって、アクリル酸及び/又はマレイン酸と共重合可能なモノマーを、0モル%以上5モル%以下の範囲で含むポリマー又はコポリマーであってよい。
【0062】
(h)成分の重量平均分子量は、3,000以上、好ましくは3,500以上、より好ましくは4,000以上、更に好ましくは5,000以上、より更に好ましくは6,000以上、より更に好ましくは7,000以上、より更に好ましくは8,000以上、より更に好ましくは9,000以上、より更に好ましくは10,000以上、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは25,000以下、より更に好ましくは15,000以下である。
この重量平均分子量は、下記の重量平均分子量の測定方法に従って測定することができる。
<重量平均分子量の測定方法>
(h)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定を行い、換算標準物質により重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
以下に、GPCの測定条件を示す。
・カラム:東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL guard PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G4000 PWXL
東ソー(株)製、商品名:TSK-GEL G2500 PWXL
・移動相:0.1mol/Lリン酸二水素カリウム及び0.1mol/Lリン酸二水素ナトリウムの水溶液/アセトニトリル=90/10(体積比)
・検出器:示差屈折率検出器
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・換算標準物質:ポリアクリル酸〔アメリカン・スタンダード・コーポレーション(AMERICANSTANDARDCORP)社製〕
・試料:固形分0.8gを含む重合体水溶液にイオン交換水を添加し、総液量が200mLとなるように調製し、この調製液から10μLを分取してカラムに注入する。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物が(h)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(h)成分を、洗浄性及び安定性の観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下含有する。
【0064】
<(i)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(i)成分として、重量平均分子量が100以上100,000以下のポリアルキレングリコールを任意に含有することができる。
(i)成分としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールから選ばれる1種以上が挙げられる。
(i)成分の重量平均分子量は、100以上、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上、そして、100,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは20,000以下、更に好ましくは15,000以下である。
ここで重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値である。
【0065】
本発明の洗浄剤組成物が(i)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(i)成分を、安定性の観点から、前記洗浄剤組成物中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0066】
<(j)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(j)成分として、任意に、プロテアーゼ、リパーゼ及びアミラーゼから選ばれる1種以上の酵素を含むことができる。
プロテアーゼは、例えば、セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)やメタロプロテアーゼ(EC3.4.17又はEC3.4.24)などが挙げられる。好適なプロテアーゼの例としては、サブチリシン(EC3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性セリンプロテアーゼがある。
リパーゼは、例えば、トリアシルグリセロールリパーゼ(EC3.1.1.3)、ホスホリパーゼA2(EC3.1.1.4)、リゾホスホリパーゼ(EC3.1.1.5)、モノグリセリドリパーゼ(EC3.1.1.23)、ガラクトリパーゼ(EC3.1.1.26)、ホスホリパーゼA1(EC3.1.1.32)、リポタンパク質リパーゼ(EC3.1.1.34)などが挙げられる。
アミラーゼは、例えば、α-アミラーゼ(EC3.2.1.1)、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2)及び/又はグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)などが挙げられる。好適なアミラーゼの例としては中性又はアルカリ性α-アミラーゼがあり、細菌や真菌などの微生物起源のものが好ましい。
【0067】
本発明の洗浄剤組成物が(j)成分を含有する場合、本発明の洗浄剤組成物は、(j)成分を、洗浄性能の観点から、前記洗浄剤組成物中、酵素タンパク質量として、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上、更に好ましくは0.008質量%以上、そして、好ましくは0.12質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.08質量%以下含有する。
本発明において、(j)成分の質量に関する規定は、酵素タンパク質の量として算出するものとする。
なお、(j)成分について、酵素たんぱく質の定量法は、例えば、ナカライテクス株式会社製のプロテインアッセイキット Lowryキットを用い、取り扱い説明書に準拠した方法を採用できる。
【0068】
本発明の洗浄剤組成物は、水を含有することができる。水は、イオン交換水、精製水、蒸留水が挙げられる。水は、(a)成分~(j)成分及び任意成分以外の残部として用いられる。水には、洗浄剤組成物の配合成分を投入するために用いられる水も含まれる。
【0069】
本発明の洗浄剤組成物は、その他の成分として、衣料用洗剤の分野で公知の他の成分、例えば漂白剤(過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、有機溶剤、香料、着色剤、抗菌剤等(但し、(a)成分~(j)成分に該当するものは除く)を任意に含有することができる。
【0070】
本発明の洗浄剤組成物は、固体洗浄剤組成物であってよい。溶解性の観点から、本発明の洗浄剤組成物は、粉末状、粒状及び顆粒状から選ばれる1種以上の洗浄剤組成物であることが好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、粉末洗浄剤組成物であってよい。
【0071】
本発明の洗浄剤組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、噴霧乾燥法、ドライ中和法、乾燥造粒法、ドライブレンド法、流動層乾燥法、薄膜乾燥法、押出し造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、圧密造粒法、界面活性剤担持法又はこれらから選択して組み合わせた方法を適用して、製造することができる。
【0072】
本発明の洗浄剤組成物の嵩密度は、製造方法によっても異なるが、好ましくは0.2g/cm3以上、より好ましくは0.3g/cm3以上、更に好ましくは0.35g/cm3以上、そして、好ましくは1g/cm3以下、より好ましくは0.95g/cm3以下、更に好ましくは0.9g/cm3以下である。
【0073】
本発明の洗浄剤組成物が粉末洗浄剤組成物である場合、本発明の洗浄剤組成物の平均粒子径は、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、更に好ましくは200μm以上、そして、好ましくは800μm以下、より好ましくは750μm以下、更に好ましくは700μm以下である。
この平均粒子径は、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める。
【0074】
<洗浄剤組成物の製造方法>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及びその他任意成分を混合して、製造することができる。
本発明の洗浄剤組成物の製造方法における、(a)成分~(d)成分及びその他の任意成分の混合量、及び各成分の混合量の質量比は、本発明の洗浄剤組成物における好ましい含有量を混合量に置き換えて適用することができる。
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、本発明の洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。
【0075】
本発明の洗浄剤組成物は、例えば、下記工程1~3で製造することができる。なお、本発明の洗浄剤組成物は、下記の製造方法になんら限定されるものではない。
工程1:(e)成分に(a)成分を含浸させる工程
工程2:(d)成分に(b)成分の被覆層を形成する工程
工程3:(a)成分を含浸させた(e)成分と、(b)成分の被覆層を有する(d)成分と、その他成分を混合する工程
【0076】
工程1では、(e)成分に(a)成分を混合して、(e)成分に(a)成分を含浸させることができる。なお、工程1では、担持顆粒、好ましくは(e)成分を含む担持顆粒を製造し、該担持顆粒に(a)成分を含浸させてもよい。
【0077】
工程2では、(d)成分の一部又は全部に(b)成分の被覆層を形成する。(d)成分に(b)成分の酸前駆体を噴霧することで、(d)成分の一部又は全部に(b)成分の被覆層を形成することができる。
本発明で用いることのできる(b)成分の酸前駆体としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、脂肪酸等が挙げられる。
(b)成分の酸前駆体の使用量としては、(d)成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下である。
【0078】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法では、(b)成分として、(b1)成分のみを配合、又は(b2)成分のみを配合してもよいが、(b1)成分と(b2)成分とを配合することで、混合機内における粉末洗浄剤組成物の付着量が低減し、粉末洗浄剤組成物を安定生産でき、粉末洗浄剤組成物の水溶性フィルムへの包装も容易となる。
本発明の洗浄剤組成物の製造方法において、(b)成分として(b1)成分と(b2)成分を混合する場合、(b1)成分の混合量と(b2)成分の混合量との質量比(b1)/(b2)は、溶解性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.5以上、そして、溶解性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3.3以下、より更に好ましくは2.3以下、より更に好ましくは1.5以下である。
【0079】
<洗浄剤物品>
本発明の洗浄剤物品は、本発明の洗浄剤組成物と、前記洗浄剤組成物を包装する水溶性フィルムと、を備える。換言すれば、本発明は、本発明の洗浄剤組成物と水溶性フィルムからなる洗浄剤物品であって、前記洗浄剤組成物が前記水溶性フィルムに包装されている、洗浄剤物品を提供する。
本発明の洗浄剤物品は、本発明の洗浄剤組成物を、水溶性フィルムで包装してなる、洗浄剤物品であってよい。
【0080】
本発明において水溶性フィルムにおける「水溶性」とは、1リットルのガラスビーカーに500gの30℃のイオン交換水を入れ、直径が8cmのテフロン(登録商標)製の撹拌子を入れ、その中に評価対象のフィルム1gを投入し、100rpmで30分間撹拌した後に、見かけ上、不溶物が見られないものをいう。
また、水溶性フィルムの厚さは、誤飲防止、溶解性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0081】
水溶性フィルムは、好ましくはポリマーを含んで構成される。水溶性フィルムは、当該技術分野において既知の方法、例えば、ポリマーの注型成形、吹込み成形、押出成形、射出成形などによって得ることができる。水溶性フィルムを製造するためのポリマーの非限定例として、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、(変性)セルロース、(変性)セルロース-エーテル又は-エステル又は-アミド、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸及びその塩、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、ポリアミノ酸つまりペプチド、ポリアクリルアミドなどのポリアミド、デンプン及びゼラチンなどの多糖、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムが挙げられる。ビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコールと他のモノマー、例えばエチレン、アクリル酸とのコポリマーである。好ましくは、水溶性フィルムは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。より好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれるポリマーを含む。更に好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール、例えば、株式会社アイセロから入手可能なソルブロンを含む。水溶性フィルムを製造するのに好適なポリマーは、例えば、米国特許第6995126号に記載されている。
【0082】
本発明の洗浄剤物品において、本発明の洗浄剤組成物と接触する水溶性フィルムの総面積は、製品安定性をより高める観点から、好ましくは2cm2以上、より好ましくは5cm2以上、更に好ましくは7cm2以上、より更に好ましくは15cm2以上、より更に好ましくは30cm2以上、そして、同じ観点から、好ましくは100cm2以下、より好ましくは70cm2以下、更に好ましくは60cm2以下、より更に好ましくは48cm2以下である。
【0083】
本発明の洗浄剤物品は、当該技術分野において既知の任意の好適なプロセス、例えば既知の洗剤パウチの作製プロセスによって作製できる。パウチの作製プロセス例は、米国特許第6,995,126号、同第7,127,874号、同第8,156,713号、同第7,386,971号、同第7,439,215号、及び米国特許出願公開第2009/199877号に記載されている。
【0084】
本発明の洗浄剤物品は、1個あたりの内容物の量が、好ましくは5g以上、より好ましくは8g以上、更に好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは30g以下、更に好ましくは25g以下である。
【0085】
本発明の洗浄剤物品の1個あたりの好ましい形状、大きさは、例えば四辺形の形状であり、1辺の長さが、好ましくは1cm以上5cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、更に好ましくは15g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。
【0086】
また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの別の好ましい形状、大きさは、例えば直方体の形状であり、縦の長さが、好ましくは5cm以上20cm以下、横の長さが、好ましくは1cm以上4cm以下、そして、厚みが好ましくは1cm以上5cm以下、より好ましくは1cm以上4cm以下である。また、本発明の洗浄剤物品の1個あたりの質量は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下、更に好ましくは20g以下である。
【0087】
本発明の洗浄剤物品は、繊維製品用、食器などの硬質表面用、又は自動食器洗浄機用として好適に用いることができ、繊維製品用として用いるのが好ましい。
【0088】
本発明の洗浄剤物品で繊維製品を洗浄する場合、洗浄する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(木綿、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
繊維は、仕上がり性の観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。繊維中の木綿繊維の含有量は、繊維の仕上がり性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、100質量%であってよい。
【0089】
本発明において繊維製品とは、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、Yシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品を意味する。
【0090】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明は、本発明の洗浄剤物品と水とを混合した洗浄液(以下、本発明の洗浄液という)で、繊維製品を洗浄する、繊維製品の洗浄方法を提供する。
本発明の繊維製品の洗浄方法は、本発明の洗浄剤物品及び本発明の洗浄剤組成物で記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の繊維製品の洗浄方法では、予め洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水を投入、混合して本発明の洗浄液を調製してから、被洗浄物である繊維製品を投入して、繊維製品を洗浄する方法でもよいが、本発明の効果を享受する観点から、洗浄槽に本発明の洗浄剤物品と水と繊維製品を投入し、本発明の洗浄剤物品を水に溶かしながら本発明の洗浄液を調製するのと同時に繊維製品を洗浄する方法が好ましい。
【0091】
本発明の洗浄液において、本発明の洗浄剤物品と水とを混合する際、水1Lに対して、本発明の洗浄剤物品に含まれる本発明の洗浄剤組成物の総量が、環境配慮及び洗浄性の観点から、好ましくは0.01g以上、より好ましくは0.1g以上、更に好ましくは0.3g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは1g以下、更に好ましくは0.5g以下の濃度となるように調製する。
【0092】
本発明の洗浄液は、(a)成分を、洗浄性能の観点から、前記洗浄液中、好ましくは15ppm以上、より好ましくは30ppm以上、更に好ましくは45ppm以上、そして、すすぎの観点から、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下含有する。
【0093】
本発明の洗浄液は、(b)成分を、溶解性の観点から、前記洗浄液中、好ましくは2ppm以上、より好ましくは3ppm以上、更に好ましくは5ppm以上、そして、抗菌性能の観点から、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、更に好ましくは40ppm以下含有する。
【0094】
本発明の洗浄液は、(c)成分を、抗菌性能の観点から、前記洗浄液中、好ましくは3ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは8ppm以上、そして、例えば50ppm以下含有する。
【0095】
本発明の洗浄液は、(d)成分を、洗浄性能の観点から、前記洗浄液中、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは15ppm以上、そして、溶け残りの観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下含有する。
【0096】
本発明の洗浄液が(e)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(e)成分を、溶け残りの観点から、前記洗浄液中、好ましくは30ppm以上、より好ましくは60ppm以上、更に好ましくは100ppm以上、そして、スジ残りの観点から、好ましくは160ppm以下、より好ましくは150ppm以下、更に好ましくは140ppm以下含有する。
【0097】
本発明の洗浄液が(f)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(f)成分を、洗浄性能及び泡立ち性能の観点から、前記洗浄液中、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは1.5ppm以上、そして、すすぎ性能の観点から、好ましくは20ppm以下、より好ましくは18ppm以下、更に好ましくは16ppm以下含有する。
【0098】
本発明の洗浄液が(g)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(g)成分を、溶け残りの観点から、前記洗浄液中、好ましくは20ppm以上、より好ましくは40ppm以上、更に好ましくは80ppm以上、そして、洗浄性能の観点から、好ましくは250ppm以下、より好ましくは220ppm以下、更に好ましくは200ppm以下含有する。
【0099】
本発明の洗浄液が(h)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(h)成分を、粒子汚れの洗浄性能の観点から、前記洗浄液中、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは15ppm以上、そして、例えば50ppm以下含有する。
【0100】
本発明の洗浄液が(i)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(i)成分を、安定性及び疎水性粒子の分散性の観点から、前記洗浄液中、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは1.5ppm以上、そして、例えば50ppm以下含有する。
【0101】
本発明の洗浄液が(j)成分を含有する場合、本発明の洗浄液は、(j)成分を、洗浄性能の観点からの観点から、前記洗浄液中、酵素タンパク質量として、好ましくは0.02ppm以上、より好ましくは0.04ppm以上、更に好ましくは0.06ppm以上、そして、肌への刺激性の観点から、好ましくは1.2ppm以下、より好ましくは1.0ppm以下、更に好ましくは0.80ppm以下含有する。
【0102】
近年、洗濯機が大型化し、繊維製品の質量(kg)と洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち洗浄液の水量(リットル)/繊維製品の質量(kg)(以下、この比を浴比とする場合もある)の値が小さくなる傾向にある。家庭用洗濯機を用いた場合に浴比が小さくなると、洗浄時の撹拌により繊維製品同士の擦れが大きくなり、繊維製品の仕上がり性が損なわれる場合がある。浴比は、洗浄性能の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上、そして、洗濯効率の観点から好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
【0103】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維製品が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。従って、本発明では、繊維製品がよりきれいに仕上げる点で、繊維製品の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、家庭用として市販されているものを使用することができる。
【実施例0104】
<配合成分>
実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
〔(a)成分:ノニオン界面活性剤〕
・AEO(10):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、オキシエチレンの平均付加モル数10)、エマルゲン110、花王株式会社製
〔(b)成分:アニオン界面活性剤〕
(b1)成分
・LAS:ラウリルベンゼンスルホン酸、ネオペレックスGS、花王株式会社製
(b2)成分
・脂肪酸:脂肪酸(炭素数12~18)、ルナックL-55、花王株式会社製
〔(c)成分:カチオン界面活性剤〕
・塩化ベンザルコニウム(アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキル基の炭素数:12~16)、サニゾールB-50、花王株式会社製
〔(d)成分:アルカリ剤〕
・炭酸ナトリウム:ライト灰、嵩密度600g/L、平均粒子径100μm、セントラル硝子株式会社製
〔(e)成分〕
・ゼオライト: ゼオビルダー、4A型、平均粒子径 3.5μm、ZEOBUILDER社製
・ベントナイト:スメクタイト型層状粘土鉱物「オドソルブK-400」、メジアン粒子径 10μm、主成分 [MgaAlb(Si2O5)4(OH)4]X-・MeX+、a=1、b=3、X=1、ナトリウム含有量:1.6%、モル比〔(Na+K+Li)/(Ca+Mg)〕=2.1、黒崎白土株式会社製
〔(g)成分〕
・硫酸ナトリウム:無水中性芒硝、四国化成株式会社製
・塩化ナトリウム:ナクル N、南海塩業株式会社製
〔(h)成分:ポリマー〕
・ポリアクリル酸:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量1万、商品名 ポイズ536、花王株式会社製
〔(i)成分:ポリマー〕
・ポリエチレングリコール:PEG13000 、重量平均分子量 10,000、固形分60%、三井化学株式会社製
〔(j)成分〕
・酵素:プロテアーゼ、サビナーゼ8.0T、ノボザイムズ社製
【0105】
<洗浄剤組成物の調製>
上記の配合成分を用いて下記の方法で表1に示す洗浄剤組成物を調製した。
混合槽にて硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、40%ポリアクリル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ゼオライト93kgを混合して、スラリーを調製した。このスラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルからスラリーを噴霧して、噴霧乾燥粒子を得た。次に表1の配合組成となるように得られた噴霧乾燥粒子及び残りの炭酸ナトリウムを混合し、(a)成分のノニオン界面活性剤、ポリエチレングリコール及び(c)成分のカチオン界面活性剤を混合した後に、(b)成分を用いて乾式中和を行った。次いで、ベントナイトを添加し、更に残りのゼオライトを添加した。最後に酵素及び香料をブレントして粉末状の洗剤組成物とした。
なお、表中の(j)成分以外の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値であり、(j)成分は有姿としての配合量(質量%)を示している。また表中の(b)成分の配合量(質量%)は、乾式中和後、すなわちナトリウム塩に換算した量を示している。
【0106】
<洗浄剤物品の作製>
ポリビニルアルコールからなる水溶性フィルム(縦12cm、横2cm、厚さ76μm、M8685、Monosol(株)製)を2枚重ね、ヒートシーラー(富士インパルス(株)製)を用い、ヒートシーラーのシール条件を8に設定して、水溶性フィルムの三辺をヒートシーラーで各辺の縁から幅2mm融着させ、一辺だけ開口した袋を作製し、この袋に表1に記載の各洗浄剤組成物を15g入れた。その後、ヒートシールで、袋の開口した一辺を融着して閉じて、各洗浄剤組成物が水溶性フィルムに包装された洗浄剤物品を得た。洗浄剤組成物と接触している水溶性フィルムの総面積は、48cm2であった。なお本発明の洗浄剤物品は、上記した製造方法に限定されるものではない。
【0107】
<洗浄性評価>
1.人工汚染布の作製
使用した人工汚染布は6cm×6cmの木綿/ポリエステルブロード混紡染着布(木綿/ポリエステル比=35/65、谷頭商店より購入)に、下記組成から成る人工汚垢を1枚当たり100mgになるようグラビア塗工したものである。
・人工汚垢
下記A、B、C、D、Eを含有する組成物を人工汚垢とした。それぞれの質量%は最終組成の人工汚垢の割合であり、合計が100質量%となるようにBの量を調節した。
A :モデル皮脂汚れ(人工汚垢中の質量%がラウリン酸0.44質量%、ミリスチン酸3.15質量%、ペンタデカン酸2.35質量%、パルミチン酸6.31質量%、ヘプタデカン酸0.44質量%、ステアリン酸1.60質量%、オレイン酸7.91質量%、パルミチン酸n-ヘキサデシル2.22質量%、スクアレン6.66質量%となる量で用いる)
B:塩化カルシウムの2水塩105mgを秤量し、蒸留水に溶かして1,000mLとして得た硬水
C:卵白レシチン液晶物1.98質量%(蒸留水80mLにアルギニン塩酸塩11.37g、ヒスチジン4.20g、セリン2.44gを溶解し、濃塩酸でpHを5.0に調整した後、この溶液と卵白レシチンをミキサーで十分混ぜ合わせて得た卵白レシチン液晶物)
D:鹿沼赤土8.11質量%
E:カーボンブラック0.025質量%
【0108】
2.洗浄性評価
上記で作製した人工汚染布4枚を、ターゴトメーター(Ueshima製、MS-8212)にて、100rpmで10分間洗浄した。具体的な洗浄条件は、表1に記載の各洗浄剤組成物を水溶性フィルムで包装した洗浄剤物品1つを1Lのイオン交換水に溶解させ、洗剤水溶液を調製した。その後、この洗剤水溶液20mLと水道水580mLを混合して洗浄液を調製した。人工汚染布4枚と上記洗浄液600mLをターゴトメーターに投入し、100rpmで10分間洗浄を行った。各洗浄液の水温は20℃であった。
洗浄後、市水(20℃)で1分間すすいだ。その後二層式洗濯機を用いてすすぎ後の人工汚染布の脱水処理を3分間行った後、20℃、50%RHの条件下で3時間放置し乾燥させた。
洗浄率(%)を下記の(1)式に基づいて算出し、4枚の平均値を求めた。なお、人工汚染布の原布、及び洗浄前後の人工汚染布の波長550nmにおける反射率は、分光色彩計(日本電色株式会社製、SE2000)にて測定した。結果を表1に示す。洗浄率が高いほど、洗浄性に優れた洗浄剤物品である。
洗浄率(%)=100×[(洗浄後の人工汚染布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)/(原布の反射率-洗浄前の人工汚染布の反射率)] (1)
【0109】
<抗菌性能の評価>
1.抗菌性の試験方法
(1)抗菌性試験に用いる布の調製
ターゴトメーターに、木綿布(木綿#2003、谷頭商店製)30g、及び前記の洗浄液600mLを投入し、85rpmで洗浄10分、すすぎ3分の操作を5回累積して行ったものを試験布とした。水は全て煮沸滅菌済みの水道水を使用した。
(2)抗菌性試験
着用済の衣料から分離したモラクセラ・オスロエンシスを用いて、JIS L 1902に則り抗菌性試験を行った。具体的には以下のように行った。上記方法で作製した試験布を2cm四方に裁断した試験片(1片あたりの質量は約0.4g)を検体とした。
(i)着用済みの衣類から分離されたモラクセラ・オスロエンシスをSCD-LP寒天培地を平板としたプレートに画線培養し、37℃、24時間培養したものを白金耳でかきとり、ニュートリエント(NT)培地10mLに入れて、37℃、110rpmの条件で24時間前培養した。前培養した培養液の濃度を吸光光度法によって推定し、菌濃度を約1×108個/mLに調整した。その後、1/20NT培地でさらに希釈し、菌濃度を1×105個/mLに調整し、試験菌液とした。
(ii)試験菌液をピペットで正確に0.2mL採取し、各検体又は未処理布である標準布(JIS L 1902の標準布)のそれぞれについて、1枚につき数ヵ所に接触させ、バイアル瓶に投入し、蓋を閉めた状態で、37℃で18時間培養した。試験菌液の接種、培養は、検体と標準布のそれぞれについて、複数を行った。
(iii)培養後の標準布及び接触直後の標準布を無作為に5つずつ選定し、洗い出し用LP希釈液20mLを加え、蓋を閉め、試験用撹拌器で30秒撹拌し、菌を洗い流し、菌数を計測した。培養後の検体を無作為に5つ選定し、検体ごとに、洗い流し用LP希釈液20mLを加え、蓋を閉め、試験用撹拌器で30秒撹拌し、菌を洗い流し、菌数を計測した。
静菌活性値を下記の式で求めた。結果を表1に示す。静菌活性値が高い程、洗浄剤物品の抗菌性が高いことを表す。
静菌活性値= LogB - LogC
A:接種直後の標準布から回収した菌数の平均値
B:18時間培養後の標準布から回収した菌数の平均値
C:18時間培養後の検体から回収した菌数の平均値
ただし、試験成立条件である、LogB - LogAが1.5を超えることを満たすものとする。
【0110】
<溶解性評価>
表1の実施例、比較例の各洗浄剤物品の溶解性を、洗浄後に溶け残った洗浄剤組成物の溶け残り残留物の直径に基づいて評価した。洗浄剤組成物の溶け残り残留物の直径は、下記の方法により測定した。
ズボン(UNIQLO社製)、トレーナー(UNIQLO社製)、ボクサーパンツ(UNIQLO社製)、靴下(UNIQLO社製)、上長袖(ヒートテック、UNIQLO社製)を各4セットずつと全体重量が8.0kgになるように 木綿シャツ(YG、グンゼ社製)にて調整をした。ドラム式洗濯機(NA-VG1000L、Panasonic社製)に、水溶性フィルムで包装した上記洗浄剤物品を1つ入れて、次いで先に準備した衣類を洗濯機に投入し、5℃に温調した水道水(和歌山市水)にて、標準コース、洗い9分、すすぎ1回、脱水6分で洗浄を行った。
洗濯終了後、洗濯をした衣類すべてを目視で確認し、洗浄剤組成物の溶け残り残留物を回収した。回収した残留物の直径(mm)をノギスで測定した。
そして、下記の指標に基づいて、洗浄剤物品の溶け残りの評価を行った。結果を表1に示す。点数が高いほど、洗浄剤組成物及び洗浄剤物品の溶解性が優れているといえる。
〔溶解性の指標〕
5:まったく溶け残りなし
4:1mm以上5mm以下の洗浄剤組成物の塊が1~5個確認された。
3:1mm以上5mm以下の洗浄剤組成物の塊が6個以上確認された。
2:5mm以上20mm以下の洗浄剤組成物の塊が確認された。
1:20mm以上の洗浄剤組成物の塊が確認された。
【0111】