(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111846
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ、画質保全制御方法
(51)【国際特許分類】
G07C 5/02 20060101AFI20240813BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G07C5/02
H04N7/18 U
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016486
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100141232
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 達
(72)【発明者】
【氏名】三浦 成彦
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138CC01
3E138MB08
3E138MB12
3E138MC13
3E138MD01
3E138MD05
3E138ME04
5C054DA09
5C054EJ07
5C054GA01
5C054GA02
5C054GA04
5C054GB05
5C054GB06
5C054GD01
5C054GD09
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】指定した時間と位置において撮影された映像の高画質での保全を可能にする。
【解決手段】撮影部20は移動体の周辺を撮影して映像データを生成する。位置情報取得部231は現在位置の位置情報を取得する。計時部232は現在日時の日時情報を取得する。変換部233は、映像データを変換して、変換後の映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させる。受付部234は領域及び期間を指定する指定情報を受け付ける。変換制御部235は、設定された解像度が所定の解像度よりも低い場合に変換部233を制御して、指定情報により指定された領域及び期間の範囲内で撮影部20が撮影して生成した指定映像データで表される映像についての変換後の解像度が所定の解像度以上の解像度になるように指定映像データの変換を行わせる。記憶部25は、変換部233による変換後の映像データと位置情報及び日時情報とを対応付けて記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、前記移動体の周辺を撮影して映像データを生成する撮影部と、
現在位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
現在日時を示す日時情報を取得する計時部と、
前記映像データを変換して、前記変換後の映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させる変換部と、
領域及び期間を指定する指定情報を受け付ける受付部と、
前記設定された解像度が所定の解像度よりも低い場合に前記変換部を制御して、前記指定情報により指定された前記領域及び前記期間の範囲内で前記撮影部が撮影して生成した指定映像データで表される映像についての前記変換後の解像度が前記所定の解像度以上の解像度になるように前記指定映像データの変換を行わせる変換制御部と、
前記変換部による変換後の映像データと、前記位置情報及び前記日時情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記所定の解像度は、前記変換部に設定可能な解像度のうちの最高の解像度であることを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記受付部は、前記指定情報を外部装置から受け付け、
前記ドライブレコーダは、前記記憶部に記憶されている前記指定映像データを、前記外部装置からの要求に応じて送信する送信部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記要求が所定期間内にない場合には、前記変換制御部は、前記変換部を制御して、前記変換後の前記指定映像データで表される映像が、前記設定された解像度になるように前記指定映像データの変換を行わせることを特徴とする請求項3に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記指定情報は、視野角を指定する情報を含み、
前記撮影部は、前記指定情報により指定された前記領域及び前記日時では、前記指定情報により指定された視野角で前記移動体の周辺を撮影して映像データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
移動体に搭載された撮影部が前記移動体の周辺を撮影して生成した映像データを変換して、該変換後の映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させ、
前記変換後の映像データと、現在位置を示す位置情報及び現在日時を示す日時情報とを対応付けて記憶部に記憶し、
領域及び期間を指定する指定情報を外部装置から受け付け、
前記設定された解像度が所定の解像度よりも低い場合には、前記指定情報により指定された前記領域及び前記期間の範囲内で前記撮影部が撮影して生成した映像データに対する前記変換によって、前記変換後の映像データで表される映像の解像度が前記所定の解像度以上の解像度になるように前記変換を制御する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする画質保全制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載されるドライブレコーダが記録した映像データの画質保全制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダを搭載した車両が位置情報を交通情報配信センターに定期的に送信するようにしておき、当該センターからの要求に応じて、渋滞区間を走行中の当該車両が当該渋滞区間を撮影した映像を当該センターに送信し、映像を受信した当該センターが当該映像を他の車両に配信することで、他の車両の搭乗者が渋滞状況を確認できるようにするという技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブレコーダには、映像データを記録してから一定時間経過した後に映像データをダウンコンバートして映像の画質(解像度)を落として記録するものや、記録する映像データで表される映像の画質の設定をユーザが行えるものがある。このようなドライブレコーダからセンターへ送信される映像データで表される映像は低画質である可能性がある。
【0005】
1つの側面において、本発明は、指定した時間と位置において撮影された映像の高画質での保全を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様のひとつであるドライブレコーダは、撮影部と、位置情報取得部と、計時部と、変換部と、受付部と、変換制御部と、記憶部とを備える。撮影部は、移動体に搭載され、当該移動体の周辺を撮影して映像データを生成する。位置情報取得部は、現在位置を示す位置情報を取得する。計時部は、現在日時を示す日時情報を取得する。変換部は、映像データを変換して、変換後の映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させる。受付部は、領域及び期間を指定する指定情報を受け付ける。変換制御部は、設定された解像度が所定の解像度よりも低い場合に変換部を制御して、指定情報により指定された領域及び期間の範囲内で撮影部が撮影して生成した指定映像データで表される映像についての変換後の解像度が所定の解像度以上の解像度になるように指定映像データの変換を行わせる。記憶部は、変換部による変換後の映像データと、位置情報及び日時情報とを対応付けて記憶する。
【0007】
本開示の態様の別のひとつである画質保全制御方法は、移動体に搭載された撮影部が当該移動体の周辺を撮影して生成した映像データを変換して、当該変換後の映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させ、変換後の映像データと、現在位置を示す位置情報及び現在日時を示す日時情報とを対応付けて記憶部に記憶し、領域及び期間を指定する指定情報を外部装置から受け付け、設定された解像度が所定の解像度よりも低い場合には、指定情報により指定された領域及び期間の範囲内で撮影部が撮影して生成した映像データに対する変換によって、変換後の映像データで表される映像の解像度が所定の解像度以上の解像度になるように前記変換を制御する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面において、本発明は、用途に適した映像の提供が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ドライブレコーダ1の構成例を示した図である。
【
図2】記憶データのデータ構造例を示した図である。
【
図3】コンピュータのハードウェア構成例を示した図である。
【
図4】録画処理の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図5】指定映像データ処理の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0011】
【0012】
ドライブレコーダ1は、移動体の一例である不図示の車両に搭載され、当該車両の現在位置を不図示の交通情報配信センターへ繰り返し送付する。また、ドライブレコーダ1は、地球上の物理的な位置の範囲を示す領域の情報と開始日時から終了日時まで継続する時間の範囲を示す期間の情報とを含む指定情報を当該センターから受け取る。この指定情報は、例えば、当該センターが認知した交通渋滞の発生場所及び発生日時に関する情報である。
【0013】
ドライブレコーダ1は、指定情報で示される領域内に当該車両が位置している場合に、指定情報で示される期間内に撮影して生成した当該車両の周辺の映像についての映像データを当該センターに送付する。当該センターは、ドライブレコーダ1から受け取った映像データを他の車両に配信して、当該周辺の映像、例えば交通渋滞の状況を映した映像を、当該他の車両の搭乗者が確認できるようにする。
【0014】
図1のドライブレコーダ1は、例えば上述した用途に供されるものである。但し、このドライブレコーダ1は、当該センターに送付する映像データで表される映像については所定の解像度以上の解像度を確保するようにして、当該周辺の鮮明な映像を提供できるようにする。
【0015】
このドライブレコーダ1は、撮影部20、通信部21、位置検出部22、制御部23、入出力部24、及び記憶部25を備えている。
【0016】
撮影部20は、カメラを備えており、ドライブレコーダ1が搭載される車両の周辺の映像を当該カメラで撮影して当該映像を表している映像データを生成する。撮影部20には水平方向の視野角の設定が可能であり、設定に応じて最大で360度の視野の映像を撮影部20は取得可能である。なお、以下の説明では、ドライブレコーダ1が搭載される車両を単に「車両」と称することとする。
【0017】
通信部21は、例えば不図示の無線通信ネットワークを介して、交通情報配信センターの通信装置との間で各種のデータの授受を行う。配信センターの通信装置は、外部装置の一例である。なお、以下の説明では、配信センターを単に「センター」と称することとする。
【0018】
位置検出部22は、例えばGPS(Global Positioing System)機器であって、車両の地球上での現在の位置を経度及び緯度の情報として検出する。
【0019】
制御部23は、位置情報取得部231、計時部232、変換部233、受付部234、変換制御部235、及び記録部236のそれぞれの機能を提供する。
【0020】
位置情報取得部231は、位置検出部22により検出された車両の現在位置を示す位置情報を取得する。
【0021】
計時部232は、現在日時を示す日時情報を取得する。
【0022】
変換部233は、撮影部20により生成された映像データを変換して、変換後の当該映像データで表される映像の解像度を、設定された解像度に低下させるダウンコンバータである。従って、変換部233には、変換前の映像データで表される映像の解像度以下の解像度が設定可能である。なお、変換前の映像データで表される映像の解像度と同一の解像度が設定された場合には、変換部233は、変換前の映像データを変換結果としてそのまま出力してよい。
【0023】
受付部234は、領域及び期間を指定する指定情報を受け付ける。この指定情報は、例えば、センターから送信されて通信部21によって受信される、交通渋滞の発生場所及び発生日時に関する指定情報である。
【0024】
変換制御部235は変換部233の制御を行う。例えば、変換制御部235は、変換部233に対する解像度の設定が、予め定められている所定の解像度よりも低い場合に変換部233を制御して、変換後の映像データで表される映像が当該所定の解像度以上の解像度になるように、映像データの変換を行わせる。この制御は、受付部234が受け付けた指定情報により指定された領域及び期間の範囲内で撮影部20が撮影して生成した映像データに対する変換を変換部233が行うときに変換制御部235により行われる。なお、所定の解像度は、例えば、変換部233に設定可能な変換後の解像度のうちの最高の解像度であってもよい。
【0025】
なお、以下の説明では、受付部234が受け付けた指定情報により指定された領域及び期間の範囲内で撮影部20が撮影して生成した映像データを「指定映像データ」と称することとし、指定映像データにより表されている映像を「指定映像」と称することとする。
【0026】
記録部236は、各種の情報を記憶部25に記憶させて保存させる。
【0027】
入出力部24は、表示部241と操作部242とを備えている。
【0028】
表示部241は、例えば、撮影部20により撮影された映像や、各種の情報の表示を行って車両の搭乗者に提供するディスプレイ装置である。
【0029】
操作部242は、車両の搭乗者によって操作がされるスイッチ類であり、当該操作に対応付けられている各種の指示を当該搭乗者から取得する。
【0030】
記憶部25は、例えば、録画設定情報251、指定情報252、及び録画データ253などといった各種のデータを記憶して保存する。ここで、これらの記憶データの詳細について説明する。
図2は、記憶データのデータ構造例を示している。
【0031】
録画設定情報251は、車両の搭乗者によって入出力部24を介して入力される。録画設定情報251は、ドライブレコーダ1による映像録画動作に対する設定情報であって、「解像度」と「視野角」との情報とが含まれている。「解像度」は、ドライブレコーダ1による映像録画動作によって録画される映像の解像度を設定する情報である。また、「視野角」の情報は、当該映像録画動作によって録画される、車両周辺の映像についての水平方向の視野角を設定する情報である。
【0032】
指定情報252は、センターから送られてくる情報である。指定情報252は、「指定領域」と「指定期間」と「指定視野角」との情報が含まれている。「指定領域」は、地球上の物理的な位置の範囲を指定する情報であり、「指定期間」は、開始日時から終了日時まで継続する時間の範囲を指定する情報である。これらの「指定領域」と「指定期間」とによって指定された領域及び期間の範囲内で撮影部20が撮影して生成した映像データが、指定映像データとなる。また、「指定視野角」は、指定映像についての水平方向の視野角を指定する情報であり、この情報に従って視野角の設定を撮影部20に対して行うことによって、指定された視野角での車両の周辺の指定映像の撮影が行われる。
【0033】
録画データ253は、変換部233による変換後の「映像データ」と、「位置情報」及び「日時情報」とを対応付けたデータである。「位置情報」は、「映像データ」で表されている映像が撮影された位置を示す情報であって、当該映像の撮影時に位置検出部22により検出されて位置情報取得部231により取得された車両の位置を示す情報である。「日時情報」は、「映像データ」で表されている映像が撮影された日時を示す情報であって、当該映像の撮影時に計時部232によって取得された情報である。
【0034】
図1のドライブレコーダ1は以上の構成要素を備えている。
【0035】
なお、センターの通信装置から、指定映像データの送付の要求が送られてくることがある。この送付要求が通信部21により受信されると、受付部234は、この送付要求を受け付けると、録画データ253として記憶部25で保存されている指定映像データを読み出して通信部21に渡す。通信部21は、このときには送信部として機能し、指定映像データをセンターへ送信する。
【0036】
一方、所定の期間が経過しても指定映像データの送付の要求を通信部21が受信しない場合には、変換制御部235は、変換部233の新たな制御を行う。この制御では、変換部233に対する変換後の解像度の設定を、前述した所定の解像度から設定変更前の元の解像度に戻した上で、指定映像データの変換を変換部233に行わせて、変換後の指定映像データで表される映像が当該元の解像度になるようにする。記録部236は、録画データ253として記憶部25で保存されていた指定映像データを、変換部233による変換後の指定映像データに置き換えて記憶部25に記憶させる。
【0037】
なお、ドライブレコーダ1の要素の一部を、ソフトウェアを組合せたコンピュータを用いて構成するようにしてもよい。
【0038】
図3はコンピュータ30のハードウェア構成例を示している。
【0039】
コンピュータ30は、構成要素として、例えば、プロセッサ31、メモリ32、記憶装置33、読取装置34、通信インタフェース36、及び入出力インタフェース37の各ハードウェアを備えている。これらの構成要素はデータバス38を介して接続されており、構成要素間で相互にデータの授受を行える。
【0040】
プロセッサ31は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサ及びマルチコアであってもよい。プロセッサ31は、メモリ32を利用して、例えば、後述する録画処理の各処理の手順を記述したプログラムを実行することによって、制御部23の各機能を提供する。
【0041】
メモリ32は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含む。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0042】
記憶装置33は、例えばフラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。コンピュータ30を用いてドライブレコーダ1を構成する場合には、記憶装置33が記憶部25の機能を提供する。
【0043】
読取装置34は、プロセッサ31の指示に従って着脱可能記憶媒体35にアクセスする。着脱可能記憶媒体35は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD-ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0044】
通信インタフェース36は、例えば、プロセッサ31の指示に従って、各種の通信回線を介してデータを送受信する。コンピュータ30を用いてドライブレコーダ1を構成する場合には、通信インタフェース36が通信部21の機能を提供する。
【0045】
入出力インタフェース37は、撮影部20、位置検出部22、及び入出力部24と、制御部23として機能するプロセッサ31とのインタフェースを提供する。
【0046】
このコンピュータ30のプロセッサ31により実行されるプログラムは、例えば、下記の形態で提供される。
【0047】
(1)記憶装置33に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体35により提供される。
(3)プログラムサーバなどから通信ネットワーク等を介して通信インタフェース36へ提供される。
【0048】
なお、コンピュータ30のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部または全部の機能がFPGA及びSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0049】
次に、ドライブレコーダ1の制御部23により行われる各種の処理について説明する。
【0050】
なお、
図3のコンピュータ30にソフトウェアを組み合せてドライブレコーダ1の一部の要素を構成する場合には、これより説明する処理を記述した情報処理プログラムをプロセッサ31に実行させるようにすればよい。
【0051】
まず、
図4について説明する。
図4は、録画処理の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0052】
この録画処理は、車両の搭乗者が入出力部24の操作部242を操作して、録画設定情報251の入力によって録画設定の指示を行うと共に、所定の操作によって録画開始の指示とを行うことによって開始される。
【0053】
図4の処理が開始されると、まず、S101では、車両の搭乗者により入力された録画設定情報251によって指示された視野角を撮影部20に設定する処理が行われる。
【0054】
次に、S102では、車両の搭乗者により入力された録画設定情報251によって指示された解像度を、変換部233による変換後の映像データについての映像の解像度として、変換部233に設定する処理が行われる。
【0055】
以下、S103からS110の処理が、S110の判定処理の結果がYESとなるまで繰り返し実行される。
【0056】
まず、S103では、車両の現在の位置を示す情報を含むプローブ情報を、センターに宛てて通信部21に送信させる処理が行われる。車両の現在の位置を示す情報は位置検出部22によって検出されるので、この処理により、制御部23は、位置情報取得部231として当該情報の取得を行って通信部21に送信させる。このS103の処理の実行が繰り返されることによって、車両の現在位置の情報がセンターへ繰り返し送付される。
【0057】
S103の処理に続き、S104では、撮影部20を制御して、移動体の周辺の映像を撮影させて当該映像についての映像データの生成を行わせる処理が行われる。この処理において、撮影部20は、S101の処理により設定された、録画設定情報251によって指示された視野角の映像を撮影する。
【0058】
次に、S105では、S104の処理により生成された映像データを変換して、変換後の映像データで表される映像の解像度が、設定された解像度となるようにする、変換部233としての処理が行われる。この処理において、制御部23は、S104の処理により生成された映像データを、S102の処理によって設定された、録画設定情報251によって指示された解像度の映像についての映像データに変換する。
【0059】
次に、S106では、S105の処理による変換後の映像データと、車両の現在の位置を示す位置情報、及び、現在の日時を示す日時情報とを対応付けて、録画データ253として記憶部25に記憶させる処理が行われる。この処理において、制御部23は、位置情報取得部231として位置情報を位置検出部22から取得すると共に、計時部232として日時情報の取得を行う。そして、制御部23は、記録部236として、S105の処理による変換後の映像データと取得した位置情報及び日時情報とを対応付けて、録画データ253として記憶部25に記憶させる。
【0060】
以上のS104からS106までの処理の実行が繰り返されることによって、ドライブレコーダ1として本来の機能である、移動体の周辺の映像についての映像データを逐次保存する機能の提供が行われる。
【0061】
S106の処理に続き、S107では、センターの通信装置から送信されて通信部21で受信される指定情報252を受け付けたか否かを受付部234として判定する処理が行われる。この判定処理において、指定情報252を受け付けたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS108に処理を進め、指定情報252を受け付けていないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS110に処理を進める。
【0062】
S108では、S107の処理で受け付けたと判定された指定情報252から指定領域と指定期間との情報を取得し、車両の現在の位置が指定領域内であって、且つ、現在の日時が指定期間内であるか否かを判定する処理が行われる。この処理において、制御部23は、位置情報取得部231として位置情報を位置検出部22から取得すると共に、計時部232として日時情報の取得を行い、取得した位置情報と位置情報とを用いて上述した判定処理を行う。
【0063】
S108の判定処理において、車両の現在の位置が指定領域内であって、且つ、現在の日時が指定期間内であると判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、S109の指定映像データ処理が行われ、その後にS110に処理を進める。一方、S108の判定処理において、車両の現在の位置が指定領域内ではない、若しくは、現在の日時が指定期間内ではないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、S109の処理をスキップしてS110に処理を進める。指定映像データ処理の詳細については後述する。
【0064】
S110では、録画終了の指示を取得したか否かを判定する処理が行われる。録画終了の指示は、車両の搭乗者が入出力部24の操作部242に対して所定の操作を行うことによって行われる。この判定処理において、録画終了の指示を取得したと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、
図4の録画処理が終了する。一方、この判定処理において、録画終了の指示を取得していないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、S103に処理を戻して、S103以降の処理が繰り返される。
【0065】
以上までの処理が録画処理である。
【0066】
次に、
図4のS109の指定映像データ処理の詳細について説明する。
図5は、指定映像データ処理の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図5の処理が開始されると、まず、S201では、撮影部20に対する視野角の設定を、
図4のS107の判定処理において受け付けたと判定された指定情報252に含まれている指定視野角に変更する処理が行われる。
【0068】
次に、S202では、変換部233に設定されている、変換後の映像データについての映像の解像度、すなわち、
図4のS102の処理により変換部233に設定された解像度が、所定の解像度よりも低いか否かを判定する処理が行われる。前述したように、所定の解像度は、例えば、変換部233に設定可能な変換後の解像度のうちの最高の解像度であってもよい。
【0069】
S202の判定処理において、変換部233に設定されている解像度が所定の解像度よりも低いと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、S203に処理を進める。一方、S202の判定処理において、変換部233に設定されている解像度が所定の解像度以上の解像度であると判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、S203の処理をスキップしてS204に処理を進める。
【0070】
S203では、変換部233に対する、変換後の映像データについての映像の解像度の設定を、当該所定の解像度、若しくは当該所定の解像度よりも高い解像度に変更する処理が行われる。
【0071】
S204では、タイマ計時を開始する処理が行われる。この処理は、例えば、計時部232により取得される現在日時を、所定の格納領域に格納しておく処理でもよい。
【0072】
以下、S205からS211の処理が、S209若しくはS211の判定処理の結果がYESとなるまで繰り返し実行される。
【0073】
まず、S205では、車両の現在の位置を示す情報を含むプローブ情報を、センターに宛てて通信部21に送信させる処理が行われる。車両の現在の位置を示す情報は位置検出部22によって検出されるので、この処理により、制御部23は、位置情報取得部231として当該情報の取得を行って通信部21に送信させる。なお、このプローブ情報に、車両の車速の情報や、この処理時点において撮影部20に設定されている視野角の情報を、更に含めるようにしてもよい。このS205の処理の実行が繰り返されることによって、車両の現在位置の情報がセンターへ繰り返し送付される。
【0074】
次に、S206では、撮影部20を制御して、移動体の周辺の映像を撮影させて当該映像についての映像データの生成を行わせる処理が行われる。
【0075】
図5の処理は、
図4のS108の判定処理の結果がYESの場合に実行される処理であるので、S206の処理によって撮影部20が撮影する映像は指定映像であり、撮影部20が生成する映像データは指定映像データである。また、前述したS201の処理によって視野角の設定が指定視野角に変更されているので、S206の処理によって、撮影部20は、指定視野角の指定映像を撮影して指定映像データを生成する。
【0076】
次に、S207では、S206の処理により生成された指定映像データを変換して、変換後の指定映像データで表される映像の解像度が、設定された解像度となるようにする、変換部233としての処理が行われる。
【0077】
前述したS202及びS203の処理により、変換部233には前述した所定の解像度以上の解像度が設定されているので、S207の処理による変換後の指定映像データで表される映像の解像度は、所定の解像度以上の解像度となる。
【0078】
次に、S208では、S207の処理による変換後の指定映像データと、車両の現在の位置を示す位置情報、及び、現在の日時を示す日時情報とを対応付けて、記憶部25で一時保存させる処理が行われる。この処理において、制御部23は、位置情報取得部231として位置情報を位置検出部22から取得すると共に、計時部232として日時情報の取得を行う。そして、制御部23は、記録部236として、S207の処理による変換後の指定映像データと取得した位置情報及び日時情報とを対応付けて、記憶部25で一時保存させる。
【0079】
以上のS206からS208までの処理の実行が繰り返されることによって、指定映像の撮影と、指定映像データの生成及び一時保存とが行われる。
【0080】
次に、S209では、センターの通信装置から送信されて通信部21で受信される指定映像データの送付要求を受け付けたか否かを受付部234として判定する処理が行われる。この判定処理において、指定映像データの送付要求を受け付けたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS210に処理を進め、指定情報252を受け付けていないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS211に処理を進める。
【0081】
S210では、S208の処理の繰り返しによって一時保存されている指定映像データを読み出して、センターに宛てて通信部21に送信させる処理が行われる。この通信部21は、指定映像データを送信する送信部の一例である。このS210の処理を終えると、S212に処理を進める。
【0082】
S211では、前述したS204の処理によりタイマ計時を開始させてから所定期間が経過したか否かを判定する処理が行われる。この処理は、例えば、S204の処理により所定の格納領域に格納した日時から、計時部232により取得される現在日時までの経過時間が所定期間を上回ったか否かを判定する処理でもよい。このS211の判定処理において、所定期間が経過したと判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS212に処理を進める。一方、このS211の判定処理において、所定期間を未だ経過していないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS205に処理を戻して、S205以降の処理が繰り返される。
【0083】
S212からS215にかけての処理は、指定映像データを変換して、変換後の指定映像データで表される映像の解像度を、指定映像データ以外の通常の映像データで表される映像の解像度と同一になるようにした上で、記憶部25に記憶させる処理である。この処理が実行されるのは、S210の処理によって指定映像データをセンターへ送付した後、若しくは、S209及びS211の判定処理によって、指定映像データの送付要求が所定期間内になかったと判定された場合である。S212からS215にかけての処理が実行されることで、指定映像データと通常の映像データとが記憶部25において特段区別されることなく保存される。
【0084】
まず、S212では、変換部233に対する、変換後の映像データについての映像の解像度の設定を、S203の処理以前の設定である
図4のS102の処理による設定、すなわち、録画設定情報251によって指示された解像度に戻す処理が行われる。
【0085】
次に、S213では、S208の処理の繰り返しにより記憶部25で一時保存されている指定映像データを読み出す処理が行われる。
【0086】
S214では、S213の処理により読み出された指定映像データを変換して、変換後の指定映像データで表される映像の解像度が、S212の処理に設定された、設定変更前の元の解像度となるようにする、変換部233としての処理が行われる。
【0087】
S215では、S208の処理の繰り返しによって、位置情報及び日時情報と対応付けられて一時保存されている指定映像データを、S214の処理による変換後の指定映像データに置き換えて、録画データ253として記憶部25に記憶させる処理が行われる。
【0088】
S216では、撮影部20に対する視野角の設定を、S201の処理以前の設定である
図4のS101の処理による設定、すなわち、録画設定情報251によって指示された視野角に戻す処理が行われる。そして、その後は
図5の指定映像データ処理を終了して、
図4のS110へ処理を戻す。
【0089】
以上までの処理が指定映像データ処理である。
【0090】
以上までに説明した録画処理を制御部23が行うことで、指定した時間と位置において撮影された指定映像の高画質での保全が可能になる。
【0091】
以上、開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
例えば、前述した実施形態では、センターに送付する指定映像データで表される映像の解像度を、予め定められている所定の解像度以上としていた。この所定の解像度を予め定めておく代わりに、例えば、所定の解像度をセンターにより指定可能にしてもよく、また、所定の解像度を車両の搭乗者により指定可能にしてもよい。
【0092】
また、例えば、前述した実施形態においてドライブレコーダ1からセンターに送付されるプローブ情報として、車両の位置を示す情報と共に、車両の車速の情報や、撮影部20に設定されている視野角の情報を更に含めるようにしてもよい。この場合、センターは、ドライブレコーダ1を各々搭載している複数の車両のそれぞれから受け取ったプローブ情報に基づいて車両の選択を行い、指定映像データを取得するための指定情報252を、選択した車両に送付するようにしてもよい。この選択では、例えば、設定されている視野角が広い車両を優先して選択するようにし、また、車速の低い車両を優先して選択するようにしてもよい。この選択は、視野角の広い映像の方が当該映像から得られる情報量が多いと推定され、また、車速の低い車両での撮影の方が鮮明な映像が得られると推定されることによるものである。より具体的には、例えば、設定されている視野角を、その広さに応じて点数化すると共に、車両の車速を、その低さに応じて点数化し、この両者の点数の合計が最良であるプローブ情報の発信元の車両を、指定情報252の送付先として選択するようにしてもよい。
【0093】
上述の実施形態では、所定の期間が経過しても指定映像データの送付の要求を通信部21が受信しない場合には、変換制御部235は、変換部233の新たな制御を行う、としたが、車両が移動を停止してイグニション・オフされるまでに、指定映像データの送付の要求を通信部21が受信しない場合は、変換制御部235は、変換部233に所定の低解像度の映像データに変換させる、としてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 ドライブレコーダ
20 撮影部
21 通信部
22 位置検出部
23 制御部
24 入出力部
25 記憶部
30 コンピュータ
31 プロセッサ
32 メモリ
33 記憶装置
34 読取装置
35 着脱可能記憶媒体
36 通信インタフェース
37 入出力インタフェース
231 位置情報取得部
232 計時部
233 変換部
234 受付部
235 変換制御部
236 記録部
241 表示部
242 操作部
251 録画設定情報
252 指定情報
253 録画データ