IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移動体 図1
  • 特開-移動体 図2
  • 特開-移動体 図3
  • 特開-移動体 図4
  • 特開-移動体 図5
  • 特開-移動体 図6
  • 特開-移動体 図7
  • 特開-移動体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111847
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20240813BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20240813BHJP
   B64C 1/20 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B64D11/06
B64C29/00
B64C1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016490
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】アルカウド ギーム ビクトール
(72)【発明者】
【氏名】大門 路人
(72)【発明者】
【氏名】神吉 孝雄
(57)【要約】      (修正有)
【課題】好適に荷物を収容し得る移動体を提供する。
【解決手段】本開示に係る移動体は、客室28の床40に設置された座席と、前記座席の下方に備えられるとともに前記座席に着座する乗客の荷物を収容可能な収容部46と、を備え、前記収容部46のうちの少なくとも一部は、前記客室28の床面40Sより下方に位置する。座席は、乗客が着座する座部と、前記座部を鉛直方向に沿ってストロークさせることで、前記座部にかかる荷重を吸収する緩衝器42を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客室の床に設置された座席と、
前記座席の下方に備えられるとともに前記座席に着座する乗客の荷物を収容可能な収容部と、
を備え、
前記収容部のうちの少なくとも一部は、前記客室の床面より下方に位置する、移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体であって、
前記座席は、
前記乗客が着座する座部と、
前記座部を鉛直方向に沿ってストロークさせることで、前記座部にかかる荷重を吸収する緩衝器と、
を備える、移動体。
【請求項3】
請求項1に記載の移動体であって、
前記座席は、一対の脚部を備え、
前記収容部は、平面視において、前記一対の脚部の間に位置する、移動体。
【請求項4】
請求項1に記載の移動体であって、
前記収容部の前端は、平面視において、前記座席に備えられた座部の前端よりも後方に位置する、移動体。
【請求項5】
請求項1に記載の移動体であって、
前記収容部内における前記荷物の鉛直方向の変位を制限する変位制限部をさらに備える、移動体。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体であって、
前記変位制限部は、前記床に備えられた梁材の少なくとも一部からなる、移動体。
【請求項7】
請求項5に記載の移動体であって、
前記変位制限部は、前記収容部に備えられた蓋部材である、移動体。
【請求項8】
請求項7に記載の移動体であって、
前記収容部は、前記蓋部材を閉状態に維持するロック機構をさらに備える、移動体。
【請求項9】
請求項1に記載の移動体であって、
前記収容部内に前記荷物が収容されているか否かを検出するセンサと、
前記移動体が目的地に到着し、且つ、前記収容部内に前記荷物が収容されている場合に、前記収容部内に前記荷物が収容されていることを示す報知を行う報知部と、
をさらに備える、移動体。
【請求項10】
請求項1に記載の移動体であって、
前記収容部の下方には、前記移動体の部品が配設される空間が形成されている、移動体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の移動体であって、
前記移動体は、垂直離着陸機である、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗り物(移動体)のための荷物収納(収容)装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010-514618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より好適に荷物を収容し得る移動体が待望されている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、客室の床に設置された座席と、前記座席の下方に備えられるとともに前記座席に着座する乗客の荷物を収容可能な収容部と、を備え、前記収容部のうちの少なくとも一部は、前記客室の床面より下方に位置する、移動体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より好適に荷物を収容し得る移動体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る移動体の斜視図である。
図2図2は、客室と操縦室とを俯瞰する上面図である。
図3図3は、座席と客室の床とを示す側面図である。
図4図4は、座席と客室の床とを示す斜視図である。
図5図5は、収容部を示す模式図である。
図6図6は、変形例1に係る変位制限部を示す模式図である。
図7図7は、変形例2に係る収容部を示す模式図である。
図8図8は、変形例3に係る収容部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
移動体に備えられる座席には、緩衝器が備えられ得る。緩衝器は、座席に備えられている座部を鉛直方向にストロークさせることで、当該座部にかかる荷重を吸収する。
【0010】
ところで、特許文献1に係る荷物収容装置は、座部と床との間に設置される。このような荷物収容装置は、座部が下方にストロークすることを阻害する。そのため、特許文献1に係る荷物収容装置を、ストロークする座席の下方に設置することはできない。ストロークする座席の下方にも設置可能な荷物収容構造が待望されている。
【0011】
上述した問題を踏まえ、一実施形態について以下に記載する。
【0012】
[一実施形態]
図1は、本実施形態に係る移動体10の斜視図である。なお、図1には、前後方向Z(Z1、Z2)と鉛直方向Y(Y1、Y2)と幅方向Xとが示されている。前後方向Zと鉛直方向Yと幅方向Xとは、互いに直交する。下方向Y2は重力方向を示している。
【0013】
移動体10は、乗客を乗せて移動する乗り物である。本実施形態では移動体10が電動の垂直離着陸機(eVTOL : electronic Vertical Take-Off and Landing aircraft)である場合を説明するが、これに限定されない。例えば移動体10は、ヘリコプター等の垂直離着陸機(VTOL:Vertical Take-Off and Landing aircraft)でもよいし、自動車等でもよい。なお、eVTOL(VTOL)は航空機に属する。
【0014】
移動体10は機体本体(ボディ)12を備える。機体本体12は中心線LAに沿った円筒形状を有するが、これに限定されない。eVTOLである移動体10は、固定翼である主翼14と、主翼14の前方に配される前翼16と、複数の電動回転翼18とをさらに備え得るが、これらのより詳しい説明は割愛する。
【0015】
機体本体12には乗降口(出入口)20が形成されている。乗降口20は、乗客と乗務員とが移動体10に乗降し得るように形成された開口である。機体本体12に形成される乗降口20の数は、例えば1つであるが、これに限定されない。
【0016】
乗降口20には、乗降口扉22が開閉可能に設けられる。図1に示されている乗降口扉22は、閉状態である。乗降口扉22は、例えば前後方向Zにスライドすることで開閉されるが、これに限定されない。乗降口扉22は、片開きの扉でもよいし、両開きの扉でもよい。
【0017】
機体本体12は、客室28と操縦室30とをさらに備える。客室28と操縦室30とは、機体本体12の内部に形成される。
【0018】
図2は、客室28と操縦室30とを俯瞰する上面図である。
【0019】
操縦室30は客室28の前方に位置するが、これに限定されない。操縦室30には、例えば操縦席32と操作盤34とが備えられる。移動体10を操縦する乗務員が操縦席32に着座する。操作盤34は、移動体10を操作するために操作される。
【0020】
操縦室30と客室28とは連絡口36を介して連通する。乗務員は、連絡口36を介して、操縦室30と客室28とを行き来することができる。連絡口36には扉が設けられてもよい。
【0021】
客室28は、乗客に利用される。上述した乗降口20は、客室28に通じている。客室28の床40上には、1つ以上の座席38が設置される。図2に示される客室28には、複数の座席38が設置されている。より具体的に、図2に示される客室28には、4つの座席38が設置されている。なお、複数の座席38は機体本体12の内壁12iに隣接しているが、これに限定されない。また、客室28の後方には、不図示の動力室が備えられ得る。当該動力室には、移動体10を駆動させるための設備が備えられ得る。当該設備には、例えばエンジン、発電用モータ、バッテリ等が含まれ得る。
【0022】
図3は、座席38と客室28の床40とを示す側面図である。図4は、座席38と客室28の床40とを示す斜視図である。なお、図2に示される複数の座席38のうちの一部のみが図3図4には示されているが、以下における座席38に関する説明は、客室28に備えられる全ての座席38に共通し得る。
【0023】
客室28の床40は、梁材401と床材402とを備える。梁材401は、水平方向(前後方向Z、幅方向X)に延在する格子状の部材である。梁材401は、機体本体12の骨格をなすフレーム構造体の一部でもよい。床材402は、床面40Sを形成する平坦な部材である。梁材401によって、床材402が支持される。床材402の上面が、床面40Sを形成する。
【0024】
複数の座席38の各々は、座部381と一対の脚部382と背もたれ383とを備える。座部381は、乗客が着座する部分である。一対の脚部382は座部381を支持する。一対の脚部382は床40に設置されている。より具体的には、一対の脚部382は、床40に固定されている一対のシートレール43を介して、床40に設置されている(図3図4も参照)。座席38の各々は、一対のシートレール43によって、前後方向Zに変位可能に支持される。なお、一対の脚部382は床40に固定されてもよい。その場合には、一対のシートレール43は省略され得る。一対の脚部382は、座席38の幅方向において隣り合う。背もたれ383は、座部381に着座した乗客を背後から支持する。
【0025】
複数の座席38の各々は、緩衝器(一対の緩衝器)42をさらに備える。緩衝器42は、座部381を鉛直方向Yに沿ってストロークさせることで、座部381にかかる荷重を吸収する装置である。緩衝器42は、例えば不図示のエアシリンダ、弾性部材等を含む。緩衝器42は、例えばeVTOLである移動体10が鉛直方向Yに沿って移動する際に、乗客にかかる鉛直方向Yの負荷を低減することができる。
【0026】
緩衝器42によって座部381がストロークする範囲は、一対の脚部382の各々に備えられるレール(一対のレール)44によって制限され得る。この場合、緩衝器42は、レール44に沿って座部381をストロークさせる。換言すれば、座部381は、緩衝器42によって、レール44に沿って鉛直方向Yに変位し得る。なお、座部381がストロークする範囲は、床面40Sに対して下方を含まないことが好ましい。
【0027】
移動体10は、乗客が荷物を収容し得る収容部46をさらに備える。収容部46は座席38の下方に備えられる。具体的には、収容部46は座部381の下方に位置する。より具体的には、収容部46は、平面視において一対の脚部382の間に位置する。収容部46が座席38の下方に位置しているので、乗客は、座席38の近くにいながら、荷物を収容部46に収容することができる。
【0028】
収容部46の前端46fは、平面視において座部381の前端38fよりも後方に位置することが、好ましい。換言すれば、上面視において、収容部46の前端46fと座部381とがオーバラップすることが、好ましい(図2も参照)。これにより、平面視において座部381の前端38fよりも前方に床面40Sを存在させることができる。乗客は、座部381の前端38fよりも前方に位置する床面40Sに足を置くことができる。この場合における前方、後方は、座席38の向きに基づいて特定される。座席38の向きは、座席38に備えられている背もたれ383の向きによって特定され得る。
【0029】
図5は、収容部46を示す模式図である。
【0030】
収容部46のうちの少なくとも一部は、客室28の床面40Sより下方に位置する。収容部46の全部が、客室28の床面40Sより下方に位置することが好ましい。これにより、座席38の鉛直方向Yに沿ったストロークが収容部46によって阻害されることが、抑制される。このような収容部46は、例えば、床面40Sの下方に形成される凹部48によって、構成される。
【0031】
移動体10は変位制限部50をさらに備える。変位制限部50は、収容部46内における荷物の鉛直方向Yの変位を制限する。換言すれば、変位制限部50は、収容部46から荷物が飛び出すことを抑制する。
【0032】
変位制限部50は、例えば、上述した梁材401の少なくとも一部からなる。すなわち、梁材401の少なくとも一部は、収容部46の内部に位置し得る。収容部46の内部に位置する梁材401は、当該梁材401よりも下方に収容されている荷物が収容部46から飛び出すことを抑制するストッパーとして機能し得る。しかも、床材402を支持する梁材401を変位制限部50としても利用することで、移動体10に備えられる部品の点数を抑制することができる。
【0033】
移動体10は、荷物検出センサ52と報知部54(図2参照)とをさらに備える。
【0034】
荷物検出センサ52は、収容部46に荷物が収容されているか否かを検出するためのセンサである。荷物検出センサ52は、例えば後述する仕切部材66(図7参照)が受ける荷重を検出する重量センサであるが、これに限定されない。荷物検出センサ52は、収容部46に備えられる距離センサでもよい。
【0035】
報知部54は、例えば客室28内に設置されるディスプレイを備えるが、これに限定されない。報知部54は、移動体10が目的地に到着し、且つ、収容部46に荷物が収容されている場合に、収容部46に荷物が収容されていることを示す報知を行う。例えば、報知部54は、航空機である移動体10が目的地に着陸し、且つ、収容部46に荷物が収容されている場合に、収容部46に荷物が収容されていることを示す報知を行う。
【0036】
これにより、乗客が移動体10から降りる際に収容部46から荷物を回収し忘れることを防止することができる。収容部46に荷物が収容されていることを示す報知を移動体10が着陸した後に行うことで、移動体10が着陸する前に乗客が荷物の取り出しを開始することを防止することができる。
【0037】
移動体10は、遮蔽装置56をさらに備える(図2も参照)。遮蔽装置56は、一対のパーテーション58(581、582)と本体60とを備える。一対のパーテーション58は、本体60に展開可能に収容される。
【0038】
本体60には、不図示のアクチュエータが備えられる。不図示のアクチュエータは例えばモータを含むが、これに限定されない。不図示のアクチュエータは、パーテーション58を展開させることができる。
【0039】
一対のパーテーション58のうちの一方である第1のパーテーション581は、本体60の前方に展開される。これにより、本体60の前方に位置する2つの座席38の間が、第1のパーテーション581によって遮蔽される。
【0040】
一対のパーテーション58のうちの他方である第2のパーテーション582は、本体60の後方に展開される。これにより、本体60の後方に位置する2つの座席38の間が、第2のパーテーション582によって遮蔽される。なお、一対のパーテーション58のうちの少なくとも一方は、省略されてもよい。
【0041】
移動体10は、1つ以上のテーブル62をさらに備える(図2も参照)。テーブル62は客室28に設置される。テーブル62は、乗客が使用するために提供される。客室28には例えば座席38と同数のテーブル62が設置されるが、これに限定されない。
【0042】
テーブル62の形状は特に限定されない。テーブル62は、例えば壁部に収容可能な折り畳みテーブルであるが、これに限定されない。テーブル62は、必要に応じて、客室28の壁部に取り付けられ得る。テーブル62は、乗降口扉22に取り付けられてもよい。
【0043】
[変形例]
上記実施形態に係る変形例について、以下に記載する。なお、上記実施形態において既に説明されている要素には、特に断らない限り、上記実施形態と同一の参照符号を付す。また、上記実施形態と重複する説明は、適宜省略する。
【0044】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る変位制限部50(501)を示す模式図である。
【0045】
変位制限部501は、収容部46を塞ぐ蓋部材である。以下の説明において、変位制限部501は蓋部材501とも称される。
【0046】
蓋部材501は、収容部46を塞ぐことで、収容部46から荷物が飛び出ることを抑制する。蓋部材501は、例えばヒンジ等の連結部材502によって床40に開閉可能に取り付けられるが、これに限定されない。蓋部材501は、床面40Sに平行な方向にスライド可能に、床40に備えられてもよい。収容部46が蓋部材501によって塞がれている状態において、蓋部材501の上面501Sと床面40Sとは面一であることが好ましいが、これに限定されない。
【0047】
移動体10は、ロック機構64をさらに備えることが好ましい。ロック機構64は、蓋部材501を閉状態に維持する機構である。ロック機構64は、例えばコンピュータ制御可能な電磁ロックである。この場合、電磁ロックは、不図示のコンピュータによって制御される。
【0048】
不図示のコンピュータは、例えばeVTOLである移動体10が離着陸の準備態勢である場合に電磁ロックを制御して、蓋部材501を施錠する。これにより、移動体10が離着陸の準備態勢である場合に、収容部46から荷物が飛び出ることが、より確実に防止される。
【0049】
なお、ロック機構64は電磁ロックに限定されない。例えばロック機構64は、爪部と、当該爪部が係合する係合部とを備えてもよい。爪部と係合部とのうちの一方が、蓋部材501に備えられ得る。係合部と爪部とのうちの他方が床40に備えられ得る。
【0050】
ロック機構64による蓋部材501のロック状態を検出する不図示のロックセンサが、移動体10に備えられることが好ましい。蓋部材501がロックされていないことが当該ロックセンサによって検出された場合には、報知部54を用いて、蓋部材501がロックされていないことを乗客に知らせることができる。なお、移動体10は、蓋部材501の開閉状態(ロック状態)に応じて収容部46を照らす不図示の照明部をさらに備えてもよい。当該照明部は、例えば電球、蛍光灯、LED(light-emitting diode)等を備え得る。照明部は、例えば、蓋部材501が開状態(ロック解除状態)である場合に点灯する。これにより、例えば夜間帯等であっても、乗客が収容部46の中を確認することが容易となる。また、照明部は、蓋部材501が閉状態(ロック状態)である場合に消灯する。これにより、照明部の消費エネルギを抑制することができる。
【0051】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る収容部46(462)を示す模式図である。
【0052】
床40より下方に形成される凹部48の少なくとも一部は、移動体10の部品を収容するために使用されてもよい。移動体10の部品は例えばハーネスであるが、これに限定されない。
【0053】
凹部48の少なくとも一部が移動体10の部品を収容するために使用される場合には、当該部品と、乗客の荷物とが混在することは好ましくない。これを踏まえ、図7に示すように、凹部48の内部には仕切部材66が備えられてもよい。仕切部材66は、床面40Sと平行に延在する部材である。仕切部材66は、凹部48の内部を第1空間481と第2空間482とに仕切ることができる。
【0054】
第1空間481は、凹部48の開口端から仕切部材66までの空間である。第1空間481は、乗客の荷物を収容するための収容部462として使用され得る。この場合には、仕切部材66が、収容部462の底部を形成する。
【0055】
重量センサである荷物検出センサ52は、収容部462の底部である仕切部材66が受ける荷重を検出してもよい。これにより、本変形例においても、収容部462に荷物が収容されているか否かが、荷物検出センサ52によって検出され得る。
【0056】
第2空間482は、第1空間481の下方に位置する空間である。第2空間482は、仕切部材66から凹部48の下端までの空間である。
【0057】
第2空間482は、仕切部材66によって覆われることで、乗客の視界に入らない。このような第2空間482は、移動体10の部品を収容するための空間として使用され得る。
【0058】
(変形例3)
図8は、変形例3に係る収容部46(463)を示す模式図である。
【0059】
収容部463は、床面40Sと平行な底部463bを有する。このように、収容部46の形状は、適宜変更されてもよい。
【0060】
(複数の変形例の組み合わせ)
上述した複数の変形例は、矛盾しない範囲内で適宜組み合わされてもよい。
【0061】
[付記]
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0062】
(付記1)
本開示に係る移動体(10)は、客室(28)の床(40)に設置された座席(38)と、前記座席の下方に備えられるとともに前記座席に着座する乗客の荷物を収容可能な収容部(46)と、を備え、前記収容部のうちの少なくとも一部は、前記客室の床面(40S)より下方に位置する。これにより、乗客は、座席の近くにいながら、荷物を収容部に収容することができる。
【0063】
(付記2)
付記1に記載の移動体は、前記座席は、前記乗客が着座する座部(381)と、前記座部を鉛直方向(Y)に沿ってストロークさせることで、前記座部にかかる荷重を吸収する緩衝器(42)と、を備えもよい。これにより、乗客にかかる衝撃を低減することができる。
【0064】
(付記3)
付記1または付記2に記載の移動体であって、前記座席は、一対の脚部(382)を備え、前記収容部は、平面視において、前記一対の脚部の間に位置してもよい。これにより、座部の下方に収容部が位置する。
【0065】
(付記4)
付記1~付記3のいずれか1つに記載の移動体であって、前記収容部の前端(46f)は、平面視において、前記座席に備えられた座部(381)の前端(38f)よりも後方に位置してもよい。これにより、乗客は、座部の前端よりも前方に位置する床面に足を置くことができる。
【0066】
(付記5)
付記1~付記4のいずれか1つに記載の移動体は、前記収容部内における前記荷物の鉛直方向(Y)の変位を制限する変位制限部(50)をさらに備えてもよい。これにより、収容部から荷物が飛び出すことが抑制される。
【0067】
(付記6)
付記5に記載の移動体であって、前記変位制限部は、前記床に備えられた梁材(401)の少なくとも一部からなってもよい。これにより、収容部から荷物が飛び出すことが抑制される。しかも、床材を支持する梁材を変位制限部としても利用することで、移動体に備えられる部品の点数を抑制することができる。
【0068】
(付記7)
付記5に記載の移動体であって、前記変位制限部は、前記収容部に備えられた蓋部材(501)でもよい。これにより、収容部から荷物が飛び出すことが抑制される。
【0069】
(付記8)
付記7に記載の移動体であって、前記収容部は、前記蓋部材を閉状態に維持するロック機構(64)をさらに備えてもよい。これにより、収容部から荷物が飛び出すことがより確実に抑制される。
【0070】
(付記9)
付記1~付記8のいずれか1つに記載の移動体は、前記収容部内に前記荷物が収容されているか否かを検出するセンサ(52)と、前記移動体が目的地に到着し、且つ、前記収容部内に前記荷物が収容されている場合に、前記収容部内に前記荷物が収容されていることを示す報知を行う報知部(54)と、をさらに備えてもよい。これにより、乗客が移動体から降りる際に収容部から荷物を回収し忘れることを防止することができる。
【0071】
(付記10)
付記1~付記9のいずれか1つに記載の移動体であって、前記収容部の下方には、前記移動体の部品が配設される空間(482)が形成されてもよい。
【0072】
(付記11)
付記1~付記10のいずれか1つに記載の移動体であって、前記移動体は、垂直離着陸機でもよい。
【0073】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0074】
10…移動体
28…客室
38…座席
38f…前端(座部の前端)
40…床
42…緩衝器
46…収容部
46f…前端(収容部の前端)
50…変位制限部
52…センサ(荷物検出センサ)
54…報知部
64…ロック機構
401…梁材
482…空間(第2空間)
501…蓋部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8