IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-金型装置 図1
  • 特開-金型装置 図2
  • 特開-金型装置 図3
  • 特開-金型装置 図4
  • 特開-金型装置 図5
  • 特開-金型装置 図6
  • 特開-金型装置 図7
  • 特開-金型装置 図8
  • 特開-金型装置 図9
  • 特開-金型装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111848
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】金型装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20240813BHJP
   B29C 45/33 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B22D17/22 A
B29C45/33
B22D17/22 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016491
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】俣野 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】横田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 元気
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和士
(72)【発明者】
【氏名】今泉 雄二
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CA15
4F202CB01
4F202CK27
4F202CK43
4F202CK52
4F202CK54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スライドユニットの外形寸法や配置が変更されても、可動側主型を変更する必要がない金型装置を提供する。
【解決手段】金型装置10は、型閉じ状態で、固定部ユニット122、可動部ユニット26及びスライドコア66によってキャビティ空間22が形成される。固定部ユニット122は固定本体フレーム構造120よりも可動金型12側に突出し、可動部ユニット26は可動本体フレーム構造24よりも固定金型16側に突出する。スライドユニット14は、固定本体フレーム構造120及び可動本体フレーム構造24に対して取り付けられていない状態で固定部ユニット122又は可動部ユニット26に装着されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定本体フレーム構造(120)と前記固定本体フレーム構造(120)に取り付けられた固定部ユニット(122)とを有する固定金型(16)と、
可動本体フレーム構造(24)と前記可動本体フレーム構造(24)に取り付けられた可動部ユニット(26)とを有する可動金型(12)と、
前記可動金型(12)の移動方向と交差する方向に移動するスライドコア(66)を有するスライドユニット(14)と、
を備え、
型閉じ状態で、前記固定部ユニット(122)、前記可動部ユニット(26)及び前記スライドコア(66)によってキャビティ空間(22)が形成される金型装置(10)であって、
前記固定部ユニット(122)は、前記固定本体フレーム構造(120)よりも前記可動金型(12)側に突出し、
前記可動部ユニット(26)は、前記可動本体フレーム構造(24)よりも前記固定金型(16)側に突出し、
前記スライドユニット(14)は、前記固定本体フレーム構造(120)及び前記可動本体フレーム構造(24)に対して取り付けられていない状態で前記固定部ユニット(122)又は前記可動部ユニット(26)に装着されている、金型装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の金型装置(10)であって、
前記スライドユニット(14)は、前記可動部ユニット(26)に着脱可能であり、
前記可動部ユニット(26)は、前記スライドユニット(14)が前記可動部ユニット(26)に装着された状態で前記可動本体フレーム構造(24)に着脱可能である、金型装置(10)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金型装置(10)であって、
前記固定本体フレーム構造(120)及び前記可動本体フレーム構造(24)の各々は、
多角環状に形成されており、且つ、
多角形の角部を形成する複数のキャビティベース(36、130)と、
前記複数のキャビティベース(36、130)を互いに連結する複数の連結バー(38、132)と、
を有する、金型装置(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の金型装置(10)であって、
前記複数のキャビティベース(36、130)の各々は、軸方向長さが異なる複数種類の連結バー(38、132)が着脱可能に形成されている、金型装置(10)。
【請求項5】
請求項3に記載の金型装置(10)であって、
前記複数のキャビティベース(36、130)の各々には、前記可動金型(12)を前記固定金型(16)に近接させる時に前記固定金型(16)に対して前記可動金型(12)を位置決めするためのガイド部(30、126)が設けられている、金型装置(10)。
【請求項6】
請求項1に記載の金型装置(10)であって、
前記スライドユニット(14)は、前記スライドコア(66)を進退させるためのシリンダ(62)を備え、
前記スライドコア(66)は、前記シリンダ(62)のシリンダロッド(72)に対して着脱可能である、金型装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生の大幅な削減に向けた取り組みが活発化している。この実現に向けて、金型装置の再利用に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、固定金型、可動金型及びスライドユニットを備えた金型装置が開示されている。可動金型は、可動側主型(可動本体フレーム構造)に取り付けられた可動側入子(可動部ユニット)を有する。スライドユニットは、可動側主型に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-276447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術では、スライドユニットが可動側主型に取り付けられているため、スライドユニットの外形寸法や配置が変更されると、変更後のスライドユニットに対応した可動側主型を準備する必要がある。そのため、金型装置の部品を効率よく再利用できないおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、固定本体フレーム構造と前記固定本体フレーム構造に取り付けられた固定部ユニットとを有する固定金型と、可動本体フレーム構造と前記可動本体フレーム構造に取り付けられた可動部ユニットとを有する可動金型と、前記可動金型の移動方向と交差する方向に移動するスライドコアを有するスライドユニットと、を備え、型閉じ状態で、前記固定部ユニット、前記可動部ユニット及び前記スライドコアによってキャビティ空間が形成される金型装置であって、前記固定部ユニットは、前記固定本体フレーム構造よりも前記可動金型側に突出し、前記可動部ユニットは、前記可動本体フレーム構造よりも前記固定金型側に突出し、前記スライドユニットは、前記固定本体フレーム構造及び前記可動本体フレーム構造に対して取り付けられていない状態で前記固定部ユニット又は前記可動部ユニットに装着されている、金型装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スライドユニットが固定本体フレーム構造及び可動本体フレーム構造に対して取り付けられていない状態で固定部ユニット又は可動部ユニットに装着される。そのため、スライドユニットの外形寸法や配置が変更されても固定本体フレーム構造及び可動本体フレーム構造を交換する必要がない。これにより、金型装置の部品を効率よく再利用できる。また、金型装置の開発において、金型装置の部品の製作回数を減らすことができるため、金型装置の製作期間を短縮できると共に開発費用を抑えることができる。さらに、固定部ユニットが固定本体フレーム構造よりも可動金型側に突出すると共に可動部ユニットが可動本体フレーム構造よりも固定金型側に突出している。そのため、固定本体フレーム構造及び可動本体フレーム構造の形状によってスライドユニットの設定が制約されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る金型装置の斜視図である。
図2】金型装置の側面図である。
図3】金型装置の一部省略断面図である。
図4】可動金型及びスライドユニットを固定金型側から見た平面図である。
図5】可動本体フレーム構造を裏側から見た平面図である。
図6】可動キャビティ部材とスライドユニットの分解斜視図である。
図7】スライドユニットの斜視図である。
図8】スライドユニットの一部省略断面図である。
図9】固定金型を可動金型側から見た平面図である。
図10】固定本体フレーム構造を裏側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る金型装置10について図面を用いて以下に説明する。本実施形態に係る金型装置10は、例えば、車両の部品を鋳造するダイカストに用いられる。なお、金型装置10は、ダイカスト以外の鋳造、射出成形、ブロー成形等に用いられてもよい。また、金型装置10によって成形される成形品は、車両の部品に限定されない。
【0011】
図1及び図2に示すように、金型装置10は、可動金型12と、複数のスライドユニット14と、固定金型16とを備える。可動金型12は、固定金型16に対して近接する方向(矢印A1方向)と離間する方向(矢印A2方向)とに移動可能である。
【0012】
図3に示すように、金型装置10では、型閉じ状態で、可動金型12の可動部ユニット26と、複数のスライドユニット14と、固定金型16の固定部ユニット122とによってキャビティ空間22が形成される。キャビティ空間22に溶融材料を充填することにより成形品が成形される。
【0013】
本実施形態において、金型装置10は、専用品と、準汎用品と、汎用品とからなる複数の部品が組み合わされて構成される。専用品は、成形品(製品)の形状変更によって影響を受ける全ての部品である。換言すれば、専用品は、ある特定の機種の成形品を成形する場合にのみ使用することができる部品である。すなわち、専用品は、例えば、キャビティ空間22の外形寸法が変更された場合に交換が必要な部品である。
【0014】
準汎用品は、複数機種の成形品に対応するために金型部品を規格化した部品である。準汎用品は、キャビティ空間22の外形寸法が一定の範囲内で変更された場合には交換する必要はない。すなわち、準汎用品は、キャビティ空間22の外形寸法が一定の範囲を超えて変更された場合に交換する必要がある部品である。例えば、成形品のサイズによってキャビティ空間22の大きさが変わるが、そのサイズに合わせて連結バー38、132等のような部品を規格化して、サイズごとに適用している。
【0015】
汎用品は、どのような成形品を成形する場合においても再利用することができる部品である。専用品の割合が少ないほど、成形品の設計変更に伴う金型装置10の製作期間の短縮及び金型装置10の製作コストの削減を図ることができる。
【0016】
図2図4に示すように、可動金型12は、可動本体フレーム構造24と、可動部ユニット26とを備える。可動本体フレーム構造24は、可動部ユニット26を可動プラテンに取り付けるための部材である。図1図2図4及び図5に示すように、可動本体フレーム構造24は、複数のキャビティベース36と、複数の連結バー38とを有する。
【0017】
図1図4及び図5に示すように、可動本体フレーム構造24は、多角環状に形成されている。具体的には、可動本体フレーム構造24は、概ね四角環状に形成されている。可動本体フレーム構造24の内側の孔32には、可動部ユニット26の一部が挿入されている(図3参照)。また、環状ベース部28の内側の孔32には、成形品を可動部ユニット26から離型するための押出板34が配設されている(図1参照)。
【0018】
キャビティベース36は、複数のキャビティベース36と、複数の連結バー38とを有する。キャビティベース36は汎用品であり、連結バー38は、準汎用品である。
【0019】
キャビティベース36は、可動本体フレーム構造24の各角部を形成する。本実施形態では、キャビティベース36は、4つのキャビティベース36を有する。キャビティベース36は、ブロック状に形成されている(図1参照)。キャビティベース36には、連結バー38の端部が挿入される挿入溝40が形成されている(図1図2及び図5参照)。キャビティベース36のうち固定金型16側(矢印A1方向)を向く面41には、可動部ユニット26を支持するための凹部42が形成されている(図3参照)。
【0020】
図1及び図5に示すように、連結バー38は、可動本体フレーム構造24の各辺を形成する。連結バー38は、互いに隣り合うキャビティベース36を連結する。連結バー38は、例えば角柱部材である。なお、連結バー38は、円柱部材であってもよいし、筒状に形成されてもよい。可動本体フレーム構造24の辺は、1本の連結バー38によって形成されてもよいし、複数本の連結バー38によって形成されてもよい。
【0021】
キャビティベース36は、一端から他端までの長さ(軸方向長さ)が異なる複数種類の連結バー38が着脱できるように形成されている。そのため、汎用品であるキャビティベース36を交換することなく準汎用品である連結バー38を交換することによって、キャビティベース36の各辺の長さを簡単に変更することができる。キャビティベース36には、可動部ユニット26の外形寸法に対応した軸方向長さを有する連結バー38が装着される。
【0022】
図2及び図4に示すように、複数のキャビティベース36の各々には、ガイドピン30が設けられている。ガイドピン30は、固定金型16の後述するガイドブッシュ126に挿入される。これにより、可動金型12を固定金型16に対して近接させる時に可動金型12を固定金型16に対して精度よく位置決めできる。ガイドピン30及びガイドブッシュ126は、ガイド部である。
【0023】
ガイドピン30は、汎用品である。ガイドピン30は、キャビティベース36に対して着脱可能であってもよいし、キャビティベース36に取り外しできないように固定されてもよい。ガイドピン30は、キャビティベース36から固定金型16側(矢印A1方向)に突出している(図2参照)。ガイドピン30は、円柱状に形成されている。なお、ガイドピン30は、角柱状に形成されてもよいし、筒状に形成されてもよい。
【0024】
図4及び図6に示すように、可動部ユニット26は、可動本体フレーム構造24に対して着脱可能である。可動部ユニット26は、可動キャビティ部材44と、分流子46と、キャビティバックプレート48と、キャビティフレーム50とを有する。可動キャビティ部材44、分流子46及びキャビティバックプレート48は専用品であり、キャビティフレーム50は準汎用品である。
【0025】
可動キャビティ部材44のうち固定金型16側(矢印A1方向)を向く表面52aには、キャビティ面54が形成されている。図3及び図6に示すように、可動キャビティ部材44の外周面には、外方に向かって突出する係止凸部56が設けられている。係止凸部56は、可動キャビティ部材44を囲むように環状に延在している(図6参照)。可動キャビティ部材44には、複数のスライドユニット14の一部が配置される複数の配置凹部58が形成されている。分流子46は、可動キャビティ部材44に取り付けられている。
【0026】
キャビティバックプレート48は、可動キャビティ部材44を支持する。キャビティバックプレート48は、平板状に形成されている。キャビティバックプレート48には、可動キャビティ部材44の裏面52bが接触する。キャビティバックプレート48の平面寸法は、可動キャビティ部材44の裏面52bの平面寸法よりも大きい。図3に示すように、キャビティバックプレート48の角部は、可動本体フレーム構造24のキャビティベース36の凹部42に配置される。キャビティバックプレート48は、キャビティベース36の凹部42の底面59に接触する。
【0027】
図4及び図6に示すように、キャビティフレーム50は、可動キャビティ部材44を可動本体フレーム構造24に対して取り付けるための部材である。キャビティフレーム50は、可動キャビティ部材44を囲むように多角環状に形成されている。具体的には、キャビティフレーム50は、概ね四角環状に形成されている。キャビティフレーム50の内側の孔60には、可動キャビティ部材44の一部が挿入される。図3に示すように、キャビティフレーム50の角部は、キャビティベース36の凹部42に挿入される。キャビティフレーム50は、可動キャビティ部材44の係止凸部56がキャビティバックプレート48とキャビティフレーム50とによって挟持されるように可動本体フレーム構造24のキャビティベース36に対して取り付けられる。
【0028】
図4及び図6に示すように、複数のスライドユニット14は、可動部ユニット26に着脱可能である。具体的には、複数のスライドユニット14は、キャビティフレーム50の各辺に対応する位置に着脱可能である。なお、図2及び図3に示すように、スライドユニット14は、固定金型16の後述する固定本体フレーム構造120と可動本体フレーム構造24とに対して取り付けられていない。具体的には、スライドユニット14は、固定本体フレーム構造120と可動本体フレーム構造24とに対して離間している。複数のスライドユニット14は、互いに同様に構成されている。
【0029】
図3及び図7に示すように、スライドユニット14は、シリンダ62と、シリンダ支持部64と、スライドコア66と、スライドストッパ67と、センターキー68とを有する。
【0030】
シリンダ62は、準汎用品である。シリンダ62は、スライドコア66を進退させるためのアクチュエータである。シリンダ62は、例えば、空気圧によって駆動する空気圧シリンダである。なお、シリンダ62は、電力によって駆動する電動シリンダであってもよいし、油圧シリンダであってもよい。シリンダ62は、シリンダ本体70と、シリンダ本体70から突出したシリンダロッド72とを有する。シリンダロッド72の先端部には、フランジ部74(図3参照)が設けられている。
【0031】
シリンダ支持部64は、準汎用品と汎用品とが組み合わされて構成されている。シリンダ支持部64は、シリンダ62を可動部ユニット26に対して支持する。シリンダ支持部64は、ベース板76と、一対の補強部78と、複数の第1支柱80と、複数の第2支柱82とを含む。ベース板76は準汎用品であり、補強部78、第1支柱80及び第2支柱82は汎用品である。ベース板76は、スライドコア66の外形寸法に応じて交換される部品である。
【0032】
ベース板76は、平板状に形成されている。ベース板76は、シリンダ本体70の端面に着脱可能である。ベース板76には、シリンダロッド72が挿通する挿通孔84(図3参照)が形成されている。一対の補強部78は、挿通孔84の両側に位置する。補強部78は、U字状に形成されている。補強部78は、U字の端部がベース板76に対してボルト等の締結部材85によって取り付けられる(図8参照)。補強部78は、ベース板76に対して着脱可能である。
【0033】
第1支柱80は、補強部78に着脱可能な角柱部材である。本実施形態では、複数の第1支柱80は、補強部78に1つずつ取り付けられる。第1支柱80は、補強部78からシリンダ本体70とは反対方向に向かって突出する。第1支柱80の先端部には、図示しない延長部材が着脱可能であってもよい。図8に示すように、第1支柱80には、軸方向に沿って延在した第1挿通孔87が貫通形成されている。第1挿通孔87には、第1支柱80を可動キャビティ部材44に取り付けるための第1締結部材89が挿通される。第1締結部材89は、可動キャビティ部材44に形成された第1係止孔86(ねじ孔)に螺合可能なボルトである。
【0034】
図3図7及び図8に示すように、第2支柱82は、第1支柱80と同様に構成されている。第2支柱82は、ベース板76の角部に取り付けられる。第2支柱82は、補強部78に対して隣接している。本実施形態では、シリンダ支持部64は、2本の第2支柱82を有する。第2支柱82の軸方向長さは、第1支柱80の軸方向長さよりも長い。第2支柱82の先端部には、図示しない延長部材が着脱可能である。図8に示すように、第2支柱82には、軸方向に沿って延在した第2挿通孔91が貫通形成されている。第2挿通孔91には、第2支柱82を可動キャビティ部材44に取り付けるための第2締結部材93が挿通される。第2締結部材93は、可動キャビティ部材44に形成された第2係止孔88(ねじ孔)に螺合可能なボルトである。
【0035】
シリンダ支持部64は、第1締結部材89が第1係止孔86に螺合すると共に第2締結部材93が第2係止孔88に螺合することにより可動キャビティ部材44に対して取り外し可能な状態で保持される。
【0036】
図3及び図7に示すように、スライドコア66は、準汎用品である。スライドコア66は、シリンダロッド72の先端部に着脱可能である。スライドコア66は、シリンダ62によって可動金型12の移動方向と交差する方向に移動する。具体的には、スライドコア66は、シリンダ62によって可動金型12の移動方向と直交する方向に移動する。スライドコア66は、コア支持部90と、コア本体92と、スライドストッパ67とを含む。
【0037】
コア支持部90は、ロッド接続部94と、保持部96とを含む。ロッド接続部94は、ブロック状に形成されている。ロッド接続部94は、シリンダロッド72の先端部に着脱可能である。ロッド接続部94のうちベース板76を向く基端面98には、シリンダロッド72の先端部(フランジ部74を含む部分)が挿入可能な接続凹部100が形成される。接続凹部100は、シリンダロッド72の軸方向と直交する方向の側面102にT字状に開口している。
【0038】
保持部96は、ロッド接続部94の先端面に設けられている。図3に示すように、保持部96は、ロッド接続部94よりも可動本体フレーム構造24とは反対側(矢印A1方向)に突出している。保持部96のうちベース板76を向く面104には、スライドストッパ67が取り付けられている。スライドストッパ67は、型閉じ状態で、固定金型16を形成する後述する固定キャビティ部材138の一部に接触する。これにより、キャビティ空間22に成形材料が注入された時にスライドコア66が後退することを抑制できる。
【0039】
図3及び図7に示すように、コア本体92は、保持部96の先端面に着脱可能である。コア本体92には、キャビティ面106が形成されている。
【0040】
センターキー68は、汎用品である。センターキー68は、スライドコア66を直線方向にガイドするための部品である。図3に示すように、センターキー68の一部は、ロッド接続部94に形成された貫通孔108に挿入されている。センターキー68の他の一部は、可動キャビティ部材44に形成されたキー孔110に挿入されている。
【0041】
スライドユニット14は、1本のセンターキー68を可動キャビティ部材44のキー孔110に挿入すると共にロッド接続部94の貫通孔108に挿通した状態で第1締結部材89及び第2締結部材93によって可動キャビティ部材44に取り付けられている。この場合、センターキー68が1本でよいためスライドユニット14の構成を簡便にできる。
【0042】
このように構成されたスライドユニット14では、成形品のサイズ等が変更された場合に、汎用品を交換することなく準汎用品であるスライドコア66、ベース板76及びシリンダ62を交換することにより対応できる。すなわち、成形品のサイズ等が変更された場合に、汎用品である補強部78、第1支柱80、第2支柱82及びセンターキー68を新たに製作することなく、そのまま流用できる。
【0043】
可動金型12では、可動部ユニット26は、複数のスライドユニット14が可動部ユニット26に装着された状態で可動本体フレーム構造24に着脱可能である。このような可動金型12では、可動部ユニット26を可動本体フレーム構造24から取り外した状態で、専用品である可動キャビティ部材44及び分流子46の交換作業と複数のスライドユニット14の着脱作業とが行われる。この時、可動本体フレーム構造24が交換作業及び着脱作業の邪魔になることがないため、専用品の交換を効率よく行うことができる。
【0044】
図1図3及び図9に示すように、固定金型16は、固定本体フレーム構造120と、固定部ユニット122とを備える。固定本体フレーム構造120は、固定部ユニット122を固定プラテンに取り付けるための部材である。
【0045】
図9及び図10に示すように、固定本体フレーム構造120は、多角環状に形成されている。具体的には、固定本体フレーム構造120は、概ね四角環状に形成されている。固定本体フレーム構造120の内側の孔128には、固定部ユニット122の一部が挿入されている(図2及び図3参照)。
【0046】
固定本体フレーム構造120は、上述した可動本体フレーム構造24と同様に構成されている。すなわち、固定本体フレーム構造120は、複数のキャビティベース130と、複数の連結バー132とを有する。キャビティベース130は汎用品であり、連結バー132は準汎用品である。なお、キャビティベース130には、連結バー132が挿入される挿入溝134(図1及び図10参照)と、固定部ユニット122を支持するための凹部136(図2及び図3参照)が形成されている。キャビティベース130と連結バー132の詳細な構成の説明については省略する。
【0047】
キャビティベース130は、一端から他端までの長さ(軸方向長さ)が異なる複数種類の連結バー132が着脱できるように形成されている。そのため、汎用品であるキャビティベース130を交換することなく準汎用品である連結バー132を交換することによって、固定本体フレーム構造120の各辺の長さを簡単に変更することができる。キャビティベース130には、固定部ユニット122の外形寸法に対応した軸方向長さを有する連結バー132が装着される。
【0048】
複数のキャビティベース130の各々には、ガイドブッシュ126が設けられている。ガイドブッシュ126は、汎用品である。ガイドブッシュ126は、キャビティベース130に対して着脱可能であってもよいし、キャビティベース130に取り外しできないように固定されてもよい。ガイドブッシュ126は、キャビティベース130から可動金型12側(矢印A2方向)に向かって突出している。ガイドブッシュ126は、円筒状に形成されている。
【0049】
図9に示すように、固定部ユニット122は、固定本体フレーム構造120に対して着脱可能である。固定部ユニット122は、固定キャビティ部材138と、湯口スリーブ140と、キャビティバックプレート142(図3参照)と、キャビティフレーム144とを有する。固定キャビティ部材138は専用品であり、湯口スリーブ140、キャビティバックプレート142及びキャビティフレーム144は準汎用品である。
【0050】
固定キャビティ部材138のうち可動金型12側(矢印A2方向)を向く表面146aには、キャビティ面148が形成されている。図3に示すように、固定キャビティ部材138の外周面には、外方に向かって突出する係止凸部150が設けられている。係止凸部150は、固定キャビティ部材138を囲むように環状に延在している。図3及び図9に示すように、固定キャビティ部材138には、型閉じ状態で、複数のスライドユニット14の一部が挿入される挿入凹部152が形成されている。これにより、型閉じを行う時に、スライドユニット14と固定キャビティ部材138とが互いに干渉することを防止できる。
【0051】
図9に示すように、湯口スリーブ140は、固定キャビティ部材138に取り付けられている。湯口スリーブ140は、円環状に形成されている。型閉じ状態で、湯口スリーブ140には、分流子46が挿入される。キャビティバックプレート142及びキャビティフレーム144は、可動部ユニット26のキャビティバックプレート48及びキャビティフレーム50と同様に構成されている。そのため、キャビティバックプレート142及びキャビティフレーム144の詳細な構成の説明については省略する。なお、図3に示すように、キャビティバックプレート142には、固定キャビティ部材138の裏面146bが接触する。キャビティフレーム144は、固定キャビティ部材138の係止凸部150がキャビティバックプレート142とキャビティフレーム144とによって挟持されるように固定本体フレーム構造120のキャビティベース130に対して取り付けられる。
【0052】
固定金型16では、固定部ユニット122を固定本体フレーム構造120から取り外した状態で、専用品である固定キャビティ部材138の交換作業が行われる。この時、固定本体フレーム構造120が交換作業の邪魔になることがないため、専用品の交換を効率よく行うことができる。
【0053】
本実施形態では、スライドユニット14が固定本体フレーム構造120及び可動本体フレーム構造24に対して取り付けられていない状態で可動部ユニット26に装着されている。そのため、スライドユニット14の外形寸法や配置が変更されても固定本体フレーム構造120及び可動本体フレーム構造24を交換する必要がない。これにより、金型装置10の部品を効率よく再利用できる。また、金型装置10の開発において、金型装置10の部品の製作回数を減らすことができるため、金型装置10の製作期間を短縮できると共に開発費用を抑えることができる。さらに、固定部ユニット122が固定本体フレーム構造120よりも可動金型12側に突出すると共に可動部ユニット26が可動本体フレーム構造24よりも固定金型16側に突出している。そのため、固定本体フレーム構造120及び可動本体フレーム構造24の形状によってスライドユニット14の設定が制約されることが無い。
【0054】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。金型装置10では、固定本体フレーム構造120にガイドピン30が設けられると共に可動本体フレーム構造24にガイドブッシュ126が設けられてもよい。スライドユニット14は、可動部ユニット26ではなく固定部ユニット122に着脱可能であってもよい。
【0055】
[実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0056】
本発明の一実施形態は、固定本体フレーム構造(120)と前記固定本体フレーム構造(120)に取り付けられた固定部ユニット(122)とを有する固定金型(16)と、可動本体フレーム構造(24)と前記可動本体フレーム構造(24)に取り付けられた可動部ユニット(26)とを有する可動金型(12)と、前記可動金型(12)の移動方向と交差する方向に移動するスライドコア(66)を有するスライドユニット(14)と、を備え、型閉じ状態で、前記固定部ユニット(122)、前記可動部ユニット(26)及び前記スライドコア(66)によってキャビティ空間(22)が形成される金型装置(10)であって、前記固定部ユニット(122)は、前記固定本体フレーム構造(120)よりも前記可動金型(12)側に突出し、前記可動部ユニット(26)は、前記可動本体フレーム構造(24)よりも前記固定金型(16)側に突出し、前記スライドユニット(14)は、前記固定本体フレーム構造(120)及び前記可動本体フレーム構造(24)に対して取り付けられていない状態で前記固定部ユニット(122)又は前記可動部ユニット(26)に装着されている、金型装置(10)である。
【0057】
このような構成によれば、スライドユニット(14)が固定本体フレーム構造(120)及び可動本体フレーム構造(24)に対して取り付けられていない状態で固定部ユニット(122)又は可動部ユニット(26)に装着される。そのため、スライドユニット(14)の外形寸法や配置が変更されても固定本体フレーム構造(120)及び可動本体フレーム構造(24)を交換する必要がない。これにより、金型装置(10)の部品を効率よく再利用できる。また、金型装置(10)の開発において、金型装置(10)の部品の製作回数を減らすことができるため、金型装置(10)の製作期間を短縮できると共に開発費用を抑えることができる。さらに、固定部ユニット(122)が固定本体フレーム構造(120)よりも可動金型(12)側に突出すると共に可動部ユニット(26)が可動本体フレーム構造(24)よりも固定金型(16)側に突出している。そのため、固定本体フレーム構造(120)及び可動本体フレーム構造(24)の形状によってスライドユニット(14)の設定が制約されることが無い。
【0058】
上記の金型装置(10)であって、前記スライドユニット(14)は、前記可動部ユニット(26)に着脱可能であり、前記可動部ユニット(26)は、前記スライドユニット(14)が前記可動部ユニット(26)に装着された状態で前記可動本体フレーム構造(24)に着脱可能であってもよい。
【0059】
このような構成によれば、可動部ユニット(26)に対するスライドユニット(14)の着脱作業を効率よく行うことができる。
【0060】
上記の金型装置(10)であって、前記固定本体フレーム構造(120)及び前記可動本体フレーム構造(24)の各々は、多角環状に形成されており、且つ、多角形の角部を形成する複数のキャビティベース(36、130)と、前記複数のキャビティベース(36、130)を互いに連結する複数の連結バー(38、132)と、を有してもよい。
【0061】
このような構成によれば、固定本体フレーム構造(120)及び可動本体フレーム構造(24)の構成を簡素にできる。
【0062】
上記の金型装置(10)であって、前記複数のキャビティベース(36、130)の各々は、軸方向長さが異なる複数種類の連結バー(38、132)が着脱可能に形成されてもよい。
【0063】
このような構成によれば、連結バー(38、132)を交換することにより固定本体フレーム構造(120)及び可動本体フレーム構造(24)の各辺の長さを簡単に変更できる。
【0064】
上記の金型装置(10)であって、前記複数のキャビティベース(36、130)の各々には、前記可動金型(12)を前記固定金型(16)に近接させる時に前記固定金型(16)に対して前記可動金型(12)を位置決めするためのガイド部(30、126)が設けられてもよい。
【0065】
このような構成によれば、可動部ユニット(26)又は固定部ユニット(122)に対するスライドユニット(14)のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0066】
上記の金型装置(10)であって、前記スライドユニット(14)は、前記スライドコア(66)を進退させるためのシリンダ(62)を備え、前記スライドコア(66)は、前記シリンダ(62)のシリンダロッド(72)に対して着脱可能であってもよい。
【0067】
このような構成によれば、成形品の外形形状が変更された場合に、スライドコア(66)を交換することにより対応できる。すなわち、シリンダ(62)を交換する必要がないため経済的である。
【0068】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0069】
10…金型装置 12…可動金型
14…スライドユニット 16…固定金型
22…キャビティ空間 24…可動本体フレーム構造
26…可動部ユニット 30…ガイドピン(ガイド部)
36、130…キャビティベース 38、132…連結バー
62…シリンダ 66…スライドコア
72…シリンダロッド 120…固定本体フレーム構造
122…固定部ユニット 126…ガイドブッシュ(ガイド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10