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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111853
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】染毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240813BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240813BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/60
A61K8/84
A61K8/46
A61K8/34
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016504
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】社本 行正
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB082
4C083AB282
4C083AB312
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC892
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD412
4C083AD452
4C083AD642
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD08
4C083DD47
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】 きめ細かい良質な泡状の染毛剤組成物を提供することができ、垂れ落ちることなく、トリートメント性に優れた染毛または脱色・脱染することができる染毛剤組成物を提供する。
【解決手段】
少なくとのアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む複数の剤から構成され、複数の剤の混合液をノンエアゾールタイプのフォーマー容器により泡状として毛髪に適用する染毛剤組成物であって、(A)両性界面活性剤 0.5質量%~6質量%、(B)アルキルグルコシド型界面活性剤 0.5質量%~15質量%、(C)アルキル硫酸塩 0.05質量%~2質量%、(D)高級アルコール 0.8質量%~2.5質量%、(E)カチオン性高分子を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとのアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む複数の剤から構成され、複数の剤の混合液をノンエアゾールタイプのフォーマー容器により泡状として毛髪に適用する染毛剤組成物であって、
(A)両性界面活性剤 0.5質量%~6質量%
(B)アルキルグルコシド型界面活性剤 0.5質量%~15質量%
(C)アルキル硫酸塩 0.05質量%~2質量%
(D)高級アルコール 0.8質量%~2.5質量%
(E)カチオン性高分子
を含有することを特徴とする染毛剤組成物。
【請求項2】
前記(A)両性界面活性剤、(B)アルキルグルコシド型界面活性剤および(E)カチオン性高分子が第1剤に含有され、前記(C)アルキル硫酸塩および(D)高級アルコールが第2剤に含有されることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
前記(E)カチオン性高分子がポリエチレンイミンまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
前記(E)カチオン性高分子の含有量が0.01質量%~2質量%を含有することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の染毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に染毛剤組成物として、染毛剤、脱染剤、脱色剤、脱染・脱色剤などが知られており、2種類以上の剤を用時混合して調合される。染毛剤組成物は少なくとも2種類以上の剤としてアルカリ剤や用途に応じて酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とがあり、用時混合して染毛剤組成物を調合し毛髪に塗布して用いられる。染毛剤組成物は含有するアルカリ剤および酸化剤によりメラニン色素を酸化分解し毛髪を明るくさせたり、酸化染料を毛髪中で発色させ毛髪内部に固定させることにより毛髪を染色する。
【0003】
しかし、染毛剤組成物は含有するアルカリ剤や酸化剤によって毛髪を損傷するため、毛髪に感触低下や質感低下が生じる場合がある。従来技術では、染毛後の毛髪の損傷を軽減するために、いわゆるシリコーン化合物を含有することにより毛髪の損傷を軽減する方法が提案されている。(特許文献1)
【0004】
また、染毛剤組成物は粉末状、液状、クリーム状、ジェリー状などの剤型で提供されており、複数の剤をアプリケーターやトレイなどに所定量排出して混合してから頭髪に塗布するものであったが、これら混合液を毛髪にムラなく塗布をすることが難しく、特に毛髪の根元部分や後頭部への塗布は、それなりのスキルと時間を要するものであった。これら問題を解決するために、ポンプ式フォーマー容器やスクイズ式フォーマー容器などのノンエアゾール容器を用いて、染毛剤組成物を泡状として用いることが提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-121104号公報
【特許文献2】特開2004-339216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ノンエアゾールフォーマー容器の特性上、混合液の粘度は低く設定しなければならないことから、毛髪への塗布後、泡が崩壊してしまうと毛髪から混合液が垂れ落ちることがある。また、シリコーン化合物等のトリートメント性に優れる成分の含有を試みる場合、原料特性から消泡作用を生じる場合が多く良好な泡の形成を阻害する場合があり十分なトリートメント性を付与できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとのアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む複数の剤から構成され、複数の剤の混合液をノンエアゾールタイプのフォーマー容器により泡状として毛髪に適用する染毛剤組成物であって、
(A)両性界面活性剤 0.5質量%~6質量%
(B)アルキルグルコシド型界面活性剤 0.5質量%~15質量%
(C)アルキル硫酸塩 0.05質量%~2質量%
(D)高級アルコール 0.8質量%~2.5質量%
(E)カチオン性高分子
を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供することによって本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誰でも簡易にきめ細かい良質な泡状の染毛剤組成物を提供することができ、垂れ落ちることなく、トリートメント性に優れた染毛または脱色・脱染をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、少なくとのアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む複数の剤から構成され、複数の剤の混合液をノンエアゾールタイプのフォーマー容器により泡状として毛髪に適用する染毛剤組成物であって、
(A)両性界面活性剤 0.5質量%~6質量%
(B)アルキルグルコシド型界面活性剤 0.5質量%~15質量%
(C)アルキル硫酸塩 0.05質量%~2質量%
(D)高級アルコール 0.8質量%~2.5質量%
(E)カチオン性高分子
を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供することである。
【0010】
本発明に用いる(A)両性界面活性剤は、特に限定されないが、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどのアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩などのグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩などのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのイミダゾリニウム型両性界面活性剤、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩などが挙げられる。これら(A)両性界面活性剤のうちアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤から選択される両性界面活性剤が好ましい。これらの(A)両性界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0011】
本発明に用いる(A)両性界面活性剤の含有量は0.5質量%~6質量%である。好ましくは1質量%~4質量%がよい。(A)両性界面活性剤が0.5質量%未満の場合、きめ細かい良質な泡を形成できない。(A)両性界面活性剤が6質量%を超える場合、きめ細かい良質な泡を形成できないだけでなく、トリートメント性を低下する。
【0012】
本発明に用いる(A)両性界面活性剤はアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤のどちらか一方に含有させておいてもよいし、両方の剤に含有させておいてもよい。(A)両性界面活性剤を第2剤に含有させた場合、酸化剤の安定性を低下させる恐れがあるため、第1剤に含有させ保存されることが特に好ましい。
【0013】
本発明に用いる(B)アルキルグルコシド型界面活性剤は、特に限定されないが、メチルグルコシド、エチルグルコシド、オクチルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、オクチルマルトシド、オクチルチオグルコシド、ラウリルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、アルキル(8-10)グルコシド、アルキル(12-16)グルコシド、アルキル(8~16)グルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドなどが挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、アルキルグルコシドにエチレンオキサイドおよび、またはプロピレンオキサイドを付加したものなどが挙げられる。なお、アルキルグルコシド型界面活性剤のアルキル基の炭素数は特に限定されないが炭素数8~16が好ましい。また、グルコシドの平均縮合度は、特に限定されないが1~2であることが好ましい。これら(B)アルキルグルコシド型界面活性剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0014】
本発明に用いる(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の含有量は0.5質量%~15質量%である。好ましく2質量%~10質量%がよい。(B)アルキルグルコシド型界面活性剤が0.5重量%未満の場合、きめ細かい良質な泡を形成できない。(B)アルキルグルコシド型界面活性剤が15質量%を超える場合、きめ細かい良質な泡を形成できないだけでなく、毛髪にべたつきを生じる。
【0015】
本発明に用いる(B)アルキルグルコシド型界面活性剤はアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤のどちらか一方に含有させておいてもよいし、両方の剤に含有させておいてもよい。(B)アルキルグルコシド型界面活性剤を第2剤に含有させた場合、酸化剤の安定性を低下させる恐れがあるため、第1剤に含有させ保存されることが特に好ましい。
【0016】
本発明に用いる(C)アルキル硫酸塩は、特に限定されないが、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、セチル硫酸塩、ステアリル硫酸塩、セトステアリル硫酸塩などが挙げられ、(C)アルキル硫酸塩の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンイオンなどが挙げられる。これら(C)アルキル硫酸塩のうち泡立ちおよび泡質の良さからラウリル硫酸塩、セチル硫酸塩が好ましい。これら(C)アルキル硫酸塩は1または2種以上を含有してよい。
【0017】
本発明に用いる(C)アルキル硫酸塩の含有量は0.05質量%~2質量%である。より好ましく0.1質量%~1質量%がよい。(C)アルキル硫酸塩が0.05質量%未満の場合、きめ細かい良質な泡を形成できない。(C)アルキル硫酸塩が2質量%を超える場合、ごわつきを生じる。
【0018】
本発明に用いる(C)アルキル硫酸塩はアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤のどちらか一方に含有させておいてもよいし、両方の剤に含有させておいてもよい。(C)アルキル硫酸塩を第1剤に含有させた場合、アルカリ剤の影響により析出を生ずる恐れがあるため、第2剤に含有させ保存されることが特に好ましい。
【0019】
本発明に用いる(D)高級アルコールは0.8質量%~2.5質量%である。好ましくは1質量%~1.5質量%がよい。(C)高級アルコールが0.8質量%未満の場合又は2.5質量%を超える場合、良質な泡の形成ができない。
【0020】
本発明に用いる(D)高級アルコールは、特に限定されないが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコールなどが挙げられる。これらの(D)高級アルコールのうち直鎖の高級アルコールが好ましく、特にミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが最も好ましい。これらの(D)高級アルコールは、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0021】
本発明に用いる(D)高級アルコールはアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤のどちらか一方に含有させておいてもよいし、両方の剤に含有させておいてもよい。(D)高級アルコールを第1剤に含有させた場合、アルカリ剤の影響により低温条件下で析出を生ずる恐れがあるため、第2剤に含有させ保存されることが特に好ましい。
【0022】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子は、特に限定されないが、天然由来の高分子をカチオン化した天然性カチオン化ポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、ポリエチレンイミンまたはその誘導体などが挙げられる。これらの(E)カチオン性高分子のうち良好な泡の形成を一切阻害せず、優れたトリートメント性を実現できることからポリエチレンイミンまたはその誘導体が特に好ましい。これら、(E)カチオン性高分子は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0023】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子のうち天然性カチオン化ポリマーとしては、特に限定されないが、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0024】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子のうちジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体としては、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0025】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子のうちポリエチレンイミンまたはその誘導体は、ポリエチレンイミンとしては1級、2級、3級のアミンを持つエチレンイミンの分岐状重合物である。ポリエチレンイミンの誘導体としては、ポリエチレンイミンの第二級アミノ基または第三級エチレンイミノ基に、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、炭素数4~22の分子鎖を有するアルキル基などが等モル以上で付加したポリエチレンイミン誘導体などが挙げられる。これらの(E)ポリエチレンイミンまたはその誘導体は、1または2種以上を含有してもよい。
【0026】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子は含有されていればよい。好ましくは0.01質量%~2質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%がよい。(E)カチオン性高分子が0.01質量%未満の場合、泡質改善や毛髪へのトリートメント性の向上を感じられない恐れがある。(E)カチオン性高分子が2%を超える場合、毛髪にべたつきを感じる恐れがある。
【0027】
本発明に用いる(E)カチオン性高分子はアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤のどちらか一方に含有させておいてもよいし、両方の剤に含有させておいてもよい。第2剤に含有させた場合、酸化剤の安定性を低下させる恐れがあるため、第1剤に含有させ保存されることが特に好ましい。
【0028】
本発明による、染毛剤組成物に用いるアルカリ剤は、特に限定されないが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、モルホリン、グアニジンなどの有機アミン類、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機アルカリ、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸およびそれらの塩などが挙げられる。これらアルカリ剤のうち、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの無機アルカリから選択されるアルカリ剤がよい。これらのアルカリ剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0029】
本発明による、染毛剤組成物に用いる酸化剤は、特に限定されないが、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウムなどが挙げられる。これら酸化剤のうち、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過硫酸アンモニウムから選択される酸化剤が最もよい。これらの酸化剤は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0030】
本発明による、染毛剤組成物に関して酸化染料を含有する酸化染毛剤に用いる酸化染料は、特に限定されないが、パラフェニレンジアミン、トルエン2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、2,6-ジアミノピリジン、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール、レゾルシンおよびそれらの塩類などが挙げられる。その他、「医薬部外品原料規格2006 統合版」(2013年11月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの酸化染料は、少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0031】
本発明に用いる直接染料は特に限定されないが、4-ニトロ-m-フェニレンジアミン、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミンおよびそれ
らの塩類、黄色202号(1)、8-アミノ-2-ブロム-5-ヒドロキシ-4-イミノ-6-[(3-(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]-1(4H)-ナフタリノン-クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)などが挙げられる。その他、直接染料や「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年厚生省告示)により定められた酸性染料や塩基性染料も適宜用いることができる。これらの染料は少なくとも1または2種以上を含有してもよい。
【0032】
本発明の毛髪化粧料組成物は、上記成分の他に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の各成分、例えば、水、多価アルコール、低級アルコール、油性成分である炭化水素、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン類、上記(A)、(B)および(C)成分以外の界面活性剤、水溶性増粘剤、金属封鎖剤、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆タンパク、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質、酸やアルカリや酵素などにより加水分解した加水分解物およびこれらを4級化したカチオン変性蛋白質などのポリペプタイド、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸などの保湿剤、パラベンなどの防腐剤、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどのpH調整剤、チオグリコール酸、亜硫酸塩、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、アミノ酸、植物エキス、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤などから選ばれる1または2種以上を含有してもよい。
【0033】
本発明によるアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤の剤型は、特に限定されないが、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、ジェルクリーム状などが挙げられ、ポリ容器、アルミチューブ容器などの各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0034】
本発明の染毛剤組成物の20℃における粘度は5~280mPa・sが好ましく、特に10~200mPa・sであることが好ましい。ここで、粘度はB型粘度計(東機産業株式会社製「TVB-10M」)を用いて測定し、B型粘度計のM2号ローターで60rpm(回毎分)で1分間回転させた後に測定される値である。
【0035】
本発明によるノンエアゾールタイプのフォーマー容器はエアゾールタイプのような高圧ガスである噴射剤を必要とせず、簡単な吐出操作により染毛剤組成物を泡状とすることができる。これにより、毛髪の根元部分や後頭部への塗布がしやすくムラなく容易に染毛することができる。
【0036】
本発明によるノンエアゾールタイプのフォーマー容器としては、ノズル部分を押すことにより、泡を吐出できるポンプフォーマー容器やボトルの腹部を押しつぶすことにより泡を吐出できるスクイズフォーマー容器などがある。
【0037】
以上、詳述した本発明の少なくとのアルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む複数の剤から構成され、複数の剤の混合液をノンエアゾールタイプのフォーマー容器により泡状として毛髪に適用する染毛剤組成物であって、
(A)両性界面活性剤 0.5質量%~6質量%
(B)アルキルグルコシド型界面活性剤 0.5質量%~15質量%
(C)アルキル硫酸塩 0.05質量%~2質量%
(D)高級アルコール 0.8質量%~2.5質量%
(E)カチオン性高分子
を含有することを特徴とする染毛剤組成物は、(A)成分から(D)成分を組み合わせることにより、非常にきめ細かい良質な泡状の染毛剤組成物を提供することができ、さらに(E)カチオン性高分子により良好な泡の形成を阻害せず、優れたトリートメント性を実現することができる。これにより、泡状の染毛剤組成物を短時間で手軽に色ムラなく毛髪に塗布することが出来ることから、トリートメント性に優れ短時間で手軽に色ムラなく毛髪を染毛または脱色・脱染することができる。
【実施例0038】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
本明細書に示す評価試験において、染毛剤組成物に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。染毛剤組成物および染毛操作で用いる各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。本明細書に示す評価試験における混合比は、第1剤と第2剤を混合する比率を示す。
【0040】
本明細書に示す評価試験において示す毛髪処理操作は、ポンプ式フォーマー容器(大和製罐株式会社製「ボトルF2-150、ポンプF5-L」)に第1剤と第2剤を記載の混合比率(重量比)で混合し得られた染毛剤組成物を100g投入し、ポンプを押し下げて吐出して得られる泡状の染毛剤組成物をゴム手袋を装着した手に泡を直接のせて、毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775S」)の毛髪全体に手で塗布し20分間放置後洗い流す脱色または染毛操作を行ない、乾かした毛髪を確認して評価した。
【0041】
本明細書に示す評価試験は25℃条件下において、専門のパネラー1名が毛髪処理操作を行い、毛髪処理操作を行っていない専門のパネラー5名が「泡のきめ細やかさ」「泡の取り扱いやすさ」を目視で確認するとともに、乾かした毛髪の「トリートメント性」(手触り感)および「毛髪の染毛性」を確認し評価した。
【0042】
評価基準として、次の通り評価しその平均(四捨五入)を評価結果とした。
【0043】
「泡のきめ細やかさ」の評価基準
5:泡のきめが非常に細かいもの
4:泡のきめが良好に細かいもの
3:泡のきめが細かいもの
2:泡のきめがやや粗いもの
1:泡のきめが非常に粗いもの
【0044】
「泡の取り扱いやすさ」の評価基準
5:塗布時に泡が全く流れず、手の上から全く垂れ落ちないもの
4:塗布時に泡がほぼ流れず、手の上から垂れ落ちないもの
3:塗布時に泡がやや流れるが、手の上から垂れ落ちないもの
2:塗布時に泡が流れ、手の上から垂れ落ちやすいもの
1:塗布時に泡が非常に流れ、手の上から非常に垂れ落ちやすいもの
【0045】
「トリートメント性」の評価基準
5:毛髪の指通りに全く引掛かりがなく手触り感が非常に良い
4:毛髪の指通りにほぼ引掛かりがなく手触り感が良い
3:毛髪の指通りにやや引掛かりがあるが問題ない程度で手触り感が良い
2:毛髪の指通りに引掛かりがあり手触り感が悪い
1:毛髪の指通りに非常に引掛かりがあり非常に手触り感が悪い
【0046】
「毛髪の染毛性」の評価基準
5:全くムラのない均一な染毛性を示した
4:ムラのない均一な染毛性を示した
3:ほぼムラのない均一な染毛性を示した
2:ややムラのある染毛性を示した
1:非常にムラのある染毛性を示した
【0047】
第1評価試験
第1評価試験では、各成分の含有量および、第1剤および第2剤との混合比を代えた染毛剤組成物に関して評価した。表1は染毛剤組成物の成分とその含有量、および第1評価試験の結果を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例1~7)
実施例1~7では(A)両性界面活性剤の種類と含有量および、第1剤および第2剤との混合比を代えた染毛剤組成物に関し評価した。
【0050】
第1評価試験の実施例1~7の結果から、(A)両性界面活性剤の種類、含有量および、第1剤および第2剤との混合比を代えたとしても良好な結果が得られた。さらに実施例1~5の結果から、染毛剤組成物中の(A)両性界面活性剤の含有量は0.5質量%~6質量%であり、好ましくは1質量%~4質量%がよいことがわかる。
【0051】
(比較例1および2)
比較例1および2では染毛剤組成物の(A)両性界面活性剤の含有量が0.5質量%~6質量%ではない染毛剤組成物に関し評価した。この結果、(A)両性界面活性剤の含有量が0.5質量%~6質量%ではない染毛剤組成物は良好な評価結果は得られなかった。
【0052】
第2評価試験
第2評価試験では、各成分の含有量を代えた染毛剤組成物に関して評価した。表2は染毛剤組成物の成分とその含有量、および第2評価試験の結果を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
(実施例8~12)
実施例8~12では(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の種類および含有量を代えた染毛剤組成物に関し評価した。
【0055】
第2評価試験の実施例8~12の結果から、(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の種類および含有量を代えたとしても良好な結果が得られた。さらに実施例8~11の結果から、染毛剤組成物中の(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の含有量は0.5質量%~15質量%であり、好ましく2質量%~10質量%がよいことがわかる。
【0056】
(比較例3および4)
比較例3および4では染毛剤組成物の(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の含有量が0.5質量%~15質量%ではない染毛剤組成物に関し評価した。この結果、(B)アルキルグルコシド型界面活性剤の含有量が0.5質量%~15質量%ではない染毛剤組成物は良好な評価結果が得られなかった。
【0057】
第3評価試験
第3評価試験では、各成分の含有量を代えた染毛剤組成物に関して評価した。表3は染毛剤組成物の成分とその含有量、および第3評価試験の結果を示す。
【0058】
【表3】
【0059】
(実施例13~17)
実施例13~17では(C)アルキル硫酸塩の種類および含有量を代えた染毛剤組成物に関し評価した。
【0060】
第3評価試験の実施例13~17の結果から、(C)アルキル硫酸塩の種類および含有量を代えたとしても良好な結果が得られた。さらに実施例13~16の結果から、染毛剤組成物中の(C)アルキル硫酸塩の含有量は0.05質量%~2質量%であり、より好ましく0.1質量%~1質量%がよいことがわかる。
【0061】
(比較例5および6)
比較例5および6では(C)アルキル硫酸塩の含有量が0.05質量%~2質量%ではない染毛剤組成物に関し評価した。この結果、(C)アルキル硫酸塩の含有量が0.05質量%~2質量%ではない染毛剤組成物は良好な評価結果が得られなかった。
【0062】
第4評価試験
第4評価試験では、各成分の含有量を代えた染毛剤組成物に関して評価した。表4は染毛剤組成物の成分とその含有量、および第4評価試験の結果を示す。
【0063】
【表4】
【0064】
(実施例18~22)
実施例18~22では(D)高級アルコールの種類および含有量を代えた染毛剤組成物に関し評価した。
【0065】
第4評価試験の実施例18~22の結果から、(D)高級アルコールの種類および含有量を代えたとしても良好な結果が得られた。さらに実施例18~21の結果から、染毛剤組成物中の(D)高級アルコールの含有量は0.8質量%~2.5質量%であり、好ましくは1.0質量%~1.5質量%がよいことがわかる。
【0066】
(比較例7および8)
比較例7および8では(D)高級アルコールの含有量が0.8質量%~2.5質量%ではない染毛剤組成物に関し評価した。この結果、(D)高級アルコールの含有量が0.8質量%~2.5質量%ではない染毛剤組成物は良好な評価結果が得られなかった。
【0067】
第5評価試験
第5評価試験では、各成分の含有量を代えた染毛剤組成物に関して評価した。表5は染毛剤組成物の成分とその含有量、および第5評価試験の結果を示す。
【0068】
【表5】
【0069】
(実施例23~27)
実施例23~27では(E)カチオン性高分子の種類および含有量を様々に代えた染毛剤組成物に関し評価した。
【0070】
第5評価試験の実施例23~27の結果から、(E)カチオン性高分子の種類および含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。さらに実施例23~26の結果から、染毛剤組成物中の(E)カチオン性高分子の含有量は、好ましくは0.01質量%~2質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%がよいことがわかる。
【0071】
(比較例9)
比較例9では(E)カチオン性高分子を含有しない染毛剤組成物に関し評価した。この結果、良好な評価結果が得られなかった。
【0072】
(実施例28)(染毛剤)
<第1剤> 成分含有量(質量%)
(A)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.20
(B)(カプリリル/カプリル)グルコシド 9.79
(E)ポリエチレンイミン 0.30
(E)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.40
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.05
トルエン-2,5-ジアミン 0.05
パラアミノフェノール 0.05
メタアミノフェノール 0.05
レゾルシン 0.05
5-アミノオルトクレゾール 0.05
プロピレングリコール 5.00
濃グリセリン 0.01
亜硫酸ナトリウム 0.50
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.20
アルモンド油 0.01
ブドウ種子油 0.01
スクワラン 0.01
シア脂 0.01
ホホバ油 0.01
ツバキ油 0.01
(加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール)
クロスポリマー 0.01
オレンジ果汁 0.01
リンゴ果汁 0.01
レモン果汁 0.01
モモ果汁 0.01
加水分解シルク液 0.01
加水分解コンキオリン液 0.01
海藻エキス(1) 0.01
ローヤルゼリーエキス 0.01
28%強アンモニア水 3.57
80%モノエタノールアミン液 7.00
アスコルビン酸 0.50
香料 0.70
精製水 67.38
合計 100.00
<第2剤> 成分含有量(質量%)
(C)セチル硫酸ナトリウム 0.60
(D)セタノール 2.20
35%過酸化水素水 16.60
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.08
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
精製水 70.32
合計 100.00
混合比「第1剤」:「第2剤」=1:1
実施例28を評価し良好な結果が得られた。
【0073】
(実施例29)(脱色剤)
<第1剤> 成分含有量(質量%)
(A)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.20
(B)(カプリリル/カプリル)グルコシド 9.79
(E)ポリエチレンイミン 0.30
(E)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.40
プロピレングリコール 5.00
濃グリセリン 0.01
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.20
アルモンド油 0.01
ブドウ種子油 0.01
スクワラン 0.01
シア脂 0.01
ホホバ油 0.01
ツバキ油 0.01
(加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール)
クロスポリマー 0.01
オレンジ果汁 0.01
リンゴ果汁 0.01
レモン果汁 0.01
モモ果汁 0.01
加水分解シルク液 0.01
加水分解コンキオリン液 0.01
海藻エキス(1) 0.01
ローヤルゼリーエキス 0.01
28%強アンモニア水 8.00
80%モノエタノールアミン液 1.00
香料 0.70
精製水 70.25
合計 100.00
<第2剤> 成分含有量(質量%)
(C)セチル硫酸ナトリウム 0.60
(D)セタノール 2.20
35%過酸化水素水 16.60
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.08
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
精製水 70.32
合計 100.00
混合比「第1剤」:「第2剤」=1:1
実施例29を評価し良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、きめ細かい良質な泡状の染毛剤組成物を提供することができ、垂れ落ちることなく、トリートメント性に優れた染毛または脱色・脱染することができる染毛剤組成物を提供することができる。