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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111854
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B60P1/44 E
B60P1/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016508
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000154912
【氏名又は名称】株式会社北村製作所
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
(72)【発明者】
【氏名】古川 威
(72)【発明者】
【氏名】八幡 純
(57)【要約】
【課題】接地する荷受台の先端に対する下方回動および上方回動を巧みに制御することで、常に上昇および下降のいずれの作動時には略水平姿勢とすることが可能な荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両に対して上下に回動可能なリフトアームと、リフトアームの先端に上下に回動可能に連結した荷受台と、リフトアームを上下に回動させて荷受台を略水平姿勢で昇降させるとともに略水平姿勢で接地した荷受台の先端部をさらに下方回動させるリフトシリンダと、リフトアームに対して荷受台を上下に回動させるチルトシリンダと、荷受台の傾斜姿勢を検知可能な傾斜センサと、傾斜センサの検知に基づいて荷受台の傾斜角度を制御する制御部とを備え、荷受台の上方回動において、両シリンダの伸縮が制御される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して上下に回動可能なリフトアームと、
前記リフトアームの先端に上下に回動可能に連結した荷受台と、
前記リフトアームを上下に回動させて前記荷受台を略水平姿勢で昇降させるとともに略水平姿勢で接地した前記荷受台の先端部をさらに下方回動させるリフトシリンダと、
前記リフトアームに対して前記荷受台を上下に回動させるチルトシリンダと、
前記荷受台の傾斜姿勢を検知可能な傾斜センサと、
前記傾斜センサの検知に基づいて前記荷受台の傾斜角度を制御する制御部と、
を備えており、
前記下方回動された前記先端部の上方回動において、前記リフトシリンダおよび前記チルトシリンダが前記制御部によって伸縮制御される
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記傾斜センサの検知に基づいて、前記上方回動から前記荷受台の上昇動作への移行が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記荷受台を下降させる際、前記略水平姿勢の前記荷受台の接地を検知する接地センサを備えており、
前記傾斜センサは、重力方向を基準に前記荷受台の傾斜姿勢を検知する第1傾斜センサを有し、
前記接地センサが前記荷受台の接地を検知していないとき、前記制御部は、前記第1傾斜センサによる前記荷受台の略水平姿勢の検知に基づいて前記荷受台を昇降させる
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記接地センサが前記荷受台の接地を検知していないとき、前記荷受台の昇降指令が入力された際には、前記第1傾斜センサが前記荷受台の略水平姿勢を検知するまで前記チルトシリンダの伸縮を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記伸縮制御において、前記リフトシリンダの伸長制御と前記チルトシリンダの収縮制御とを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
前記傾斜センサは、前記車両を基準に前記荷受台の傾斜姿勢を検知する第2傾斜センサを有し、
前記制御部は、前記伸縮制御における前記第2傾斜センサの所定値に基づいて、前記チルトシリンダの収縮制御が停止される
ことを特徴とする請求項5に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行リンクにより荷受台を昇降させる荷受台昇降装置に関し、特に荷受台を起立させて格納する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置には、車両の荷台に対してアーム(平行リンク)を上下に回動させることで、アームに取り付けた荷受台を上下に平行移動させて荷役作業を支援するものがある。こうした荷受台昇降装置として、アームを上下方向に回動させるリフトシリンダに加えて、アームに対して荷受台を回動させるチルトシリンダを備え、荷受台を荷台の後面に沿って起立させて格納するものが知られている(例えば、特許文献1等)。同文献の荷受台昇降装置では、チルトシリンダに設けた検出対象(センシングプレート)を近接スイッチで検出し、チルトシリンダの所定ストロークを検知することで荷受台の水平が推定される。また、荷受台の水平検知に関しては、重力方向を基準とするセンサを用いることで、停車箇所が傾斜面上であっても水平方向に安定して荷受台が展開された状態とする技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-238865号公報
【特許文献2】特許第3713704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1,2はいずれも下降した荷受台が接地する際、荷受台の回動基端部側が先に接地し、その接地に続いて、地面から離れた状態の回動先端側を接地させるための下方回動動作が行われる。この動作は、主に荷受台やその上に載置される荷物の重量に基づいて、リフトシリンダが収縮することで行われる。一方で回動先端側が接地した状態から荷受台を上昇させる動作においては、先ずは回動先端側を上方回動させる必要がある。このとき、下降時と同様の姿勢で荷受台を上昇させるには、リフトシリンダに対して、下方回動に要した収縮量と同等の伸長量を与えることが求められる。それによって、それ以降の上昇動作においても荷受台を所望な姿勢とすることができる。
【0005】
しかしながら、こうした荷受台の回動先端側に対する動作に関しては、下方回動と上方回動に対して常に同じ回動量が必要になるとは限らない。荷受台の姿勢設定に関して上述した特許文献1,2などは知られてはいるが、本発明者らは、どのようなタイミングでどのような応力を与えるか次第では、荷受台が下降する際と上昇する際とで姿勢が異なる恐れがある点まで留意することが、荷受台の昇降における荷受台の安定した姿勢に関する確実性向上の点で好ましいことを見出した。
【0006】
例えば、特許文献1,2の技術を用いて荷受台を略水平状態としても、荷台上の荷物を荷受台に移動させて載置すると、荷受台の回動先端が傾斜する(後ろ下がりの姿勢となる)恐れがある。こうした事態を予め想定し、荷物が載置されていない状態では、略水平姿勢よりも回動先端側が少し上側に持ち上げられた姿勢(後ろ上がりの姿勢)とし、下降時には荷受台が略水平姿勢とする場合が考えられる。ただし、こうして事前に上側に持ち上げようとしても、実際に載置する荷物の重さは様々なため、的確にその持ち上げ量を設定することは難しい。大きな重量を想定し過ぎると、地面から荷台に積むための上昇作業時に載せる荷物が軽くその重量差が大きいと、上昇時には荷受台が略水平姿勢にならない。
【0007】
特に、荷物の重さに応じ、荷受台に載置された荷物重量で荷受台の回動先端側が下がると、その回動先端側を上方に持ち上げるためにチルトシリンダを伸長させて荷受台を略水平姿勢とした後に、下降動作を行う場合も考えられる。こうした場合における下方回動動作では、荷受台の姿勢変更に要したチルトシリンダの伸長負荷にも抗してリフトシリンダを収縮させることなる。そのため、荷物を地面におろした後の上方回動動作の際には、上記負荷に抗して収縮した分だけ余分にリフトシリンダが伸長する。その結果、上方回動動作から上昇動作に移行する際に、荷受台が略水平姿勢にならず、後ろ上がり(前傾)の姿勢にもなり得る。
【0008】
本発明の目的は、接地する荷受台の先端に対する下方回動および上方回動を巧みに制御することで、上昇および下降のいずれの動作時において、略水平姿勢とすることが可能な荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次の構成を備えた荷受台昇降装置とする。車両に対して上下に回動可能なリフトアームと、前記リフトアームの先端に上下に回動可能に連結した荷受台と、前記リフトアームを上下に回動させて前記荷受台を略水平姿勢で昇降させるとともに略水平姿勢で接地した前記荷受台の先端部をさらに下方回動させるリフトシリンダと、前記リフトアームに対して前記荷受台を上下に回動させるチルトシリンダと、前記荷受台の傾斜姿勢を検知可能な傾斜センサと、前記傾斜センサの検知に基づいて前記荷受台の傾斜角度を制御する制御部と、を備えており、前記下方回動された前記先端部の上方回動において、前記リフトシリンダおよび前記チルトシリンダが前記制御部によって伸縮制御される。当該伸縮制御は、伸長制御および収縮制御が同時に行われること、一方の制御が行われた後に他方の制御が行われること、さらにはそれらが適宜組み合わされることのいずれの状態も指している。
【0010】
前記傾斜センサの検知に基づいて、前記上方回動から前記荷受台の上昇動作への移行が行われる構成を付加しても良い。なお、この移行に関しては、連続的に行われても、一部重複しても、短時間のタイムラグが設けられた設定としても良い。
【0011】
前記荷受台を下降させる際、前記略水平姿勢の前記荷受台の接地を検知する接地センサを備えており、前記傾斜センサは、重力方向を基準に前記荷受台の傾斜姿勢を検知する第1傾斜センサを有し、前記接地センサが前記荷受台の接地を検知していないときにおいて、前記制御部は、前記第1傾斜センサが前記荷受台の略水平姿勢の検知に基づいて前記荷受台を昇降させる構成としても良い。
【0012】
さらに、前記制御部は、前記接地センサが前記荷受台の接地を検知していないときにおいて、前記荷受台の昇降指令が入力された際には、前記第1傾斜センサが前記荷受台の略水平姿勢を検知するまで前記チルトシリンダの伸縮を制御する。
【0013】
また、前記制御部は、前記伸縮制御において、前記リフトシリンダの伸長制御と前記チルトシリンダの収縮制御とを行う構成としても良い。
【0014】
他にも、前記傾斜センサは、重力方向を基準に前記荷受台の傾斜姿勢を検知する第1傾斜センサを有し、前記制御部は、前記伸縮制御における前記第2傾斜センサの所定値に基づいて、前記チルトシリンダの収縮制御が停止される構成としても良い。
【0015】
前記制御部が、前記伸縮制御における前記第2傾斜センサの所定値に基づいて、前記チルトシリンダの収縮制御が停止された後には前記リフトシリンダの伸長制御だけでも荷受台の上方回動を行い、それに続いて荷受台を所望する姿勢で上昇させることができる。
【発明の効果】
【0016】
荷受台の傾斜姿勢を検知可能な傾斜センサの検知結果に基づいて前記荷受台の傾斜角度を制御する制御部を備え、前記下方回動された前記先端部の上方回動において、前記リフトシリンダおよび前記チルトシリンダが前記制御部によって伸縮制御されることで、下方回動に起因する荷物の重量の影響に左右されずに、上方回動時にも適切に荷受台を略水平姿勢とすることができる。したがって、荷受台を下降時および上昇時のいずれにおいても略水平姿勢にすることができるので、安全性確保に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る重力センサが設けられる荷受台昇降装置の要部拡大図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の油圧回路図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の電気回路図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る荷受台の動作制御の入出条件関連図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置の要部側面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る荷受台の動作制御の入出条件関連図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る荷受台の動作制御の入出条件関連図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る荷受台昇降装置について、図面を用いて実施形態の一例を説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置100を車両に取り付けた様子を表す斜視図、図2は荷受台昇降装置100の側面図である。本願明細書では車両を基準として前後を定義する。つまり車両の運転席(不図示)の正面方向(図1では左斜め上方向)を前方とする。図1および図2に示した荷受台昇降装置は平行リンクにより荷受台3を昇降させて荷役作業を支援する装置であり、荷受台3を起立させて格納する種のものである。この荷受台昇降装置100は、支持フレーム1、左右のリフトアーム2、荷受台3、左右のリフトシリンダ4、左右のチルトシリンダ5(図2)、荷受台3の傾斜姿勢を検知する傾斜センサおよび駆動システムなどを備えている。
【0020】
本実施形態では、荷受台3を駆動する駆動装置には2つの油圧シリンダが含まれる。上記リフトシリンダ4が荷受台3を昇降させる第1シリンダであり、上記チルトシリンダ5が荷受台3を傾斜させる第2シリンダである。荷役作業時には主に第1シリンダであるリフトシリンダ4が用いられ、荷受台3を格納する(格納姿勢に移行させる)際には、第2シリンダであるチルトシリンダ5が用いられる。リフトシリンダ4およびチルトシリンダ5は複動式でも良いが、本実施形態では単動式の油圧シリンダが用いられている。
【0021】
支持フレーム1は、荷受台昇降装置を車両に取り付けるための同装置の基部構造体であり、車両の車枠(シャシフレーム)の後部の下側に取り付けられている。支持フレーム1の後端面には左右に延びるバンパB1-B3が取り付けられている。バンパB1-B3は左右に並んでおり、中央のバンパB1と左右のバンパB2,B3との間には、上下に回動する左右のリフトアーム2を通すために所定の間隔が介在している。
【0022】
リフトアーム2は、車両に対して上下に回動する部材であり、チルトアーム7を介して支持フレーム1に連結されている。チルトアーム7は左右に延びるピンP0を介して上端部が支持フレーム1に連結されており、ピンP0を中心に支持フレーム1に対して回動自在である。リフトアーム2の基端部(前端部)はピンP0よりも下側の位置で左右に延びるピンP1を介してチルトアーム7に連結されている。リフトアーム2はピンP1を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトアーム2の先端部(後端部)は左右に延びるピンP2を介して荷受台3の基端部分の上部に連結されている。つまり荷受台3はリフトアーム2の先端にピンP2を中心にして上下に回動自在に連結されている。
【0023】
チルトシリンダ5は、リフトアーム2に対して荷受台3を上下に回動(傾斜)させる油圧シリンダである。チルトシリンダ5の基端部(前端部)はピンP1よりも下側の位置で左右に延びるピンP3を介して支持フレーム1に連結されている。チルトシリンダ5はピンP3を中心に支持フレーム1に対して回動自在である。チルトシリンダ5の先端部(後端部)は左右に延びるピンP4を介して荷受台3の基端部分の下部に連結されている。チルトシリンダ5と荷受台3はピンP4を中心に相対的に回動自在である。
【0024】
リフトシリンダ4は、リフトアーム2を上下に回動させて荷受台3を昇降させる油圧シリンダである。リフトシリンダ4の基端部(前端部)はピンP3よりも下側の位置で左右に延びるピンP5を介してチルトアーム7に連結されている。リフトシリンダ4はピンP5を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトシリンダ4の先端部(後端部)は左右に延びるピンP6を介してリフトアーム2の先端付近の下部に連結されている。リフトシリンダ4とリフトアーム2はピンP6を中心にして相対的に回動自在である。
【0025】
ここで、チルトシリンダ5は、チルトアーム7およびリフトアーム2と共に平行リンクを構成するリンクアームを兼ねる。例えば図2においてチルトシリンダ5が収縮して荷受台3が水平になった場合(二点鎖線3a)ピンP4は位置Xに移動する。ピンP4が位置Xにあり荷受台3が接地していない状態では、ピンP1-P4を頂点とする四角形が平行四辺形になるように構成されている。ピンP1-P4が平行四辺形の頂点を形成する状態でリフトシリンダ4が伸縮すると、ピンP1,P3を支点としてリフトアーム2およびチルトシリンダ5が平行を保って矢印bのように回動し、荷受台3が上下に平行移動する。但し、荷受台3が接地(二点鎖線3b)してからリフトシリンダ4が更に収縮すると、チルトアーム7が矢印cのようにピンP0を支点に後方(図2では反時計回り)に回動する。これにより支持フレーム1に装着されたピンP3に相対してチルトアーム7に装着されたピンP1が後方に移動し(チルトシリンダ5に対してリフトアーム2が後方に移動し)、先端が接地する(二点鎖線3c)まで荷受台3が矢印dのように後傾する。
【0026】
チルトシリンダ5を伸縮させると、矢印aのように荷受台3はリフトアーム2に対してピンP2を支点に回動し傾斜動作する。荷受台3が荷台Aの床面の高さにある場合にチルトシリンダ5を伸長させると、図2に実線で示したように(図1も参照)車両の荷台Aの後面に沿って荷受台3が起立し格納姿勢に移行する。反対にチルトシリンダ5を収縮させれば、格納姿勢の荷受台3を基準角度(例えば水平)に展開して荷役作業に使用できる状態にできる。
【0027】
次に、本実施形態に係る傾斜センサについて図2および図3を用いて説明する。本実施形態に係る荷受台昇降装置100は、重力方向を基準として荷受台3の傾斜姿勢を検知する第1傾斜センサ81と、車両(具体的には荷台Aの床面)を基準として荷受台3の傾斜姿勢を検知する第2傾斜センサ82とを有する。
【0028】
第1傾斜センサ81は、車両の停車位置や姿勢に関わらず、重力方向に対する荷受台3の傾斜角度を測定するセンサであり、例えばジャイロセンサを用いることができる。ただし、ジャイロセンサの他にも、振り子式またはフロート式の傾斜センサ(吊るした錘や液面に対する荷受台3の傾きを検出するセンサ)や加速度センサ、慣性センサ等を第1傾斜センサ8として用いることができる。第1傾斜センサ81が設置される荷受台3の部位は、図2に示す例えば左右の少なくとも一方(本例では図3(a)に示す左側)のスチフナ3Aである。本実施形態におけるスチフナ3Aは中空の部材であり、荷受台3の下面(荷受面と反対側の面であって格納時に後方を向く面)の左右の領域に1本ずつ設けられている。荷受台3の荷受面が水平な状態を想定して説明すると、左右から見てスチフナ3Aは前後方向に細長い三角形状であり、上面は水平で厚みが後方(荷受台3の先端)に向かうにつれて薄くなっている。本実施形態では、スチフナ3Aの内部における比較的広い前部(荷受台3の基部側の部分)の空間に第1傾斜センサ81を収容してある。第1傾斜センサ81の配線もスチフナ3Aの内側に通してある。
【0029】
第2傾斜センサ82は、車両に対する荷受台3の傾斜角度を測定するセンサであり、例えば近接センサを用いることができる。ただし、近接センサの他にも、リミットスイッチなども同様に用いることができる。第2傾斜センサ82は、シャシフレームCFに対して車両外側に設けられたリフトシリンダ4とチルトシリンダ5のレイアウトを示す模式平面図となる図3(b)のとおり、チルトシリンダ5のピストンロッド5aの先端側に取り付けられている。また、チルトシリンダ5のシリンダチューブ5bの先端側にはチルトシリンダ5の伸縮方向を長手方向とするセンシングプレート82Aが設けられており、チルトシリンダ5の収縮時にセンシングプレート82Aが図中左側に移動し、第2傾斜センサ82がセンシングプレート82Aを検知可能となっている。この第2傾斜センサ82によって、荷受台3が荷台Aの床面高さの位置で展開された状態(図2の二点鎖線3a)を検知することができる。つまり、車両が略水平状態(荷台Aの床面が略水平な状態)の際には、荷受台3の略水平姿勢を検知することが可能となる。
【0030】
さらに、傾斜センサ81,82の検知信号に応じて各シリンダ4,5の伸縮制御に寄与する駆動システム6について、図4および図5を用いて説明する。駆動システム6は、支持フレーム1の左右方向の一方側(本実施形態では左側)に取り付けられたユニットボックス9(図1)に収容されている。ユニットボックス9には、荷受台昇降装置を操作するための操作装置30(図5)の収容スペースも備わっている。駆動システム6は、図4の油圧回路図に示すように、リフトシリンダ4およびチルトシリンダ5を駆動するシステムである。操作装置30はコネクタ35(図5)を有する有線操作式のリモコンである。この操作装置30は、ユニットボックス9の内部に配置されたコネクタ50(図5)に接続して地上で使用することができ、荷台Aの内部に配置されたコネクタ(不図示)に接続して荷台A上(荷箱内)や荷受台3上で使用することもできる。無線操作式のリモコンが操作装置として使用される場合もある。以下の説明においては、代表して操作装置30を操作した場合を適宜例に挙げて説明するが、他の操作装置を用いた場合の荷受台昇降装置の動作も同様である。
【0031】
図4に示したように、荷受台昇降装置には、作動油タンク21、油圧ポンプ22、モータ23、切換弁V1-V6が備わっている。油圧ポンプ22は、作動油タンク21に貯留された作動油を吸い込んでポンプ油路L22に吐出する。図5に示したようにモータ23はコンタクタリレーCTを介して電源BT(例えば車両のバッテリ)に接続しており、電源BTからの給電により駆動されて油圧ポンプ22を駆動する。ポンプ油路L22にはリリーフ弁RVが設けられており、リリーフ弁RVによってポンプ油路L22の圧力の最大値が規定されている。
【0032】
ポンプ油路L22は、チェックバルブC1を介して油路L4に接続しており、リフトシリンダ4の油室と油圧ポンプ22とがポンプ油路L22および油路L4を介して接続している。油路L4には上昇動作用の切換弁V1が設けられている。切換弁V1はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁により油路L4を遮断しているが、ソレノイドS1が励磁されると開いて油路L4を開通させる。
【0033】
切換弁V1とポンプ油路L22との間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT1が油路L4から分岐している。タンク油路LT1には下降動作用の切換弁V2が設けられている。切換弁V2はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT1を遮断しているが、ソレノイドS2が励磁されると開いてタンク油路LT1を開通させる。
【0034】
本実施形態では切換弁V1,V2および後述する切換弁V5でリフトシリンダ4の動作を制御するように構成されているが、1つの3位置切換弁でリフトシリンダ4を制御する構成とすることもできる。タンク油路LT1における切換弁V2の下流側には絞り弁TV1が設けられている。絞り弁TV1には可変絞りが用いてあるが、流量調節機能が不要であれば固定絞りに変更しても良い。
【0035】
ポンプ油路L22は油路L5を介してチルトシリンダ5の油室にも接続している。油路L5の入口(ポンプ油路L22からの分岐部)は切換弁V1と油圧ポンプ22との間にある。油路L5には前傾動作用の切換弁V3が設けられている。切換弁V3はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁により油路L5におけるチルトシリンダ5への作動油の流れを遮断しているが、ソレノイドS3が励磁されると開いて油路L5を開通させる。
【0036】
切換弁V3とチルトシリンダ5との間の位置において、油路L5には切換弁V6が設けられている。切換弁V6はノーマルクローズタイプの電磁方向切換弁であり、ソレノイドS6が励磁されるとチルトシリンダ5からの作動油の排出を許容する。反対にソレノイドS6が消磁されると、切換弁V6はチェック弁によりチルトシリンダ5への作動油の供給を許容すると共に、チルトシリンダ5からの作動油の排出を禁止する。
【0037】
切換弁V3,V6の間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT2が油路L5から分岐している。タンク油路LT2には後傾動作用の切換弁V4が設けられている。切換弁V4はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT2を遮断しているが、ソレノイドS4が励磁されると開いてタンク油路LT2を開通させる。
【0038】
本実施形態では3つの切換弁V3,V4,V6で各チルトシリンダ5の動作を制御する構成であるが、1つの3位置切換弁でチルトシリンダ5を制御する構成とすることもできる。タンク油路LT2における切換弁V4の下流側には絞り弁TV2が設けられている。絞り弁TV2には可変絞りが用いてあるが、流量調節機能が不要であれば固定絞りを用いても良い。
【0039】
上昇動作用の切換弁V1とリフトシリンダ4との間の位置において、作動油タンク21に接続するタンク油路LT3が油路L4から分岐している。タンク油路LT3は油路L4から分岐してタンク油路LT1をバイパスし、絞り弁TV2およびタンク油路LT2を介して作動油タンク21に接続している。つまり、リフトシリンダ4の油室と作動油タンク21は、第1タンク管路であるタンク油路LT1を介して作動油タンク21に接続される他、第2タンク油路であるタンク油路LT3を介して作動油タンク21に接続されている。この第2タンク油路であるタンク油路LT3には第2の下降動作用の切換弁V5が設けられている。切換弁V5はノーマルクローズタイプで電磁駆動式の開閉弁であり、通常の状態(消磁状態)ではチェック弁によりタンク油路LT3を遮断しているが、ソレノイドS5が励磁されると開いてタンク油路LT3を開通させる。
【0040】
タンク油路LT3には切換弁V5とリフトシリンダ4との間の位置に接地センサ24が設けられている。接地センサ24は荷受台3の接地を検出する検出器であり、本実施形態では圧力センサが用いられている。荷受台3が接地すると、荷受台3の下降中に比べてリフトシリンダ4の油室の圧力が低下する。リフトシリンダ4の油室の圧力を接地センサ24により検出し、例えば制御装置(図5)でその検出値を予め設定した値と比較し、検出値が設定値以下である場合に荷受台3の接地を検知できる。なお、接地センサ24はリフトシリンダ4の油室の圧力が測定できれば良いため、油路L4における切換弁V1とリフトシリンダ4の間の位置に設けることもできる。また、例えばピンP1,P3,P5の回転角を検出する角度センサ、リフトシリンダ4のストロークを検出するストロークセンサ(近接センサや距離計)を接地センサとして用いることもできる。リフトアーム2またはリフトシリンダ4の傾斜角を検出する傾斜センサや近接センサを接地センサとして用いることもできる。
【0041】
図5は駆動システム6の電気回路図である。同図に示したように、荷受台昇降装置100には、操作装置(有線式リモコン)30、制御部(マイコンボード)40、コネクタ50,60,70が備わっている。無線操作式の操作装置も使用可能であるが、同図では図示省略してある。コネクタ50は通常操作用であり、制御装置41(後述)に接続している。コネクタ60,70は緊急操作用であり、制御装置41をバイパスして駆動装置(リフトシリンダ4、チルトシリンダ5およびモータ23)の駆動系に直結している。コネクタ60,70は例えばユニットボックス9に設けることができるが、レイアウトは適宜変更可能である。第1の緊急操作用のコネクタ60は、リフトシリンダ4およびモータ23の駆動系に直結し、第2の緊急操作用のコネクタ70は、チルトシリンダ5およびモータ23の駆動系に直結している。
【0042】
操作装置30は、押しボタン式の3つのボタン(上スイッチ31、下スイッチ32および開閉スイッチ33)を配した操作部の他、コネクタ35を有している。荷受台3の上昇(リフトシリンダ4の伸長)を指示する場合は上スイッチ31、荷受台3の下降(リフトシリンダ4の収縮)を指示する場合は下スイッチ32を操作する。開閉スイッチ33は上スイッチ31および下スイッチ32の操作対象をリフトシリンダ4からチルトシリンダ5に切り換えるボタンである。本実施形態では、荷受台3の閉動作(チルトシリンダ5の伸長)を指示する場合は開閉スイッチ33と上スイッチ31を同時操作し、荷受台3の開動作(チルトシリンダ5の収縮)を指示する場合は開閉スイッチ33と下スイッチ32を同時操作する。荷受台3の閉動作とは荷受台3を前傾つまり左側から見て左回り(反時計回り)に回動させる動作をいい、荷受台3の開動作とは荷受台3を後傾つまり左側から見て右回り(時計回り)に回動させる動作をいう。
【0043】
制御部40は、制御装置(マイコン)41および端子42a-42vを備えている。制御装置41は、主として傾斜センサ(第1傾斜センサ81、第2傾斜センサ82)、接地センサ24および操作装置30からの信号を基に駆動装置(リフトシリンダ4およびチルトシリンダ5)を制御し、荷受台3の姿勢を制御する演算処理装置である。この制御装置41による荷受台3の制御には、後述するモードスイッチ25、インタロック解除スイッチ26および角度設定スイッチ27の操作も適宜加味される。なお、制御装置41には、既知(例えば、特開2019-172207号公報)の構成または機能である荷受台駆動機能、モード設定機能、インタロック機能、インタロック解除機能が備わっている。
【0044】
「荷受台駆動機能」とは、操作装置30からの操作信号に基づいて生成した信号をリフトシリンダ4またはチルトシリンダ5の駆動系に出力し、荷受台3を昇降させたり傾斜させたりして駆動する機能である。荷受台3の展開や格納、荷役作業の際に実行される基本的な機能である。
【0045】
「モード設定機能」とは、第1モードおよび第2モードのどちらが選択されているかを判断し、選択されたモードに応じてインタロック機能に用いる荷受台3の基準角度θrを設定する機能である。
【0046】
「第1モード」では重力方向を基準に基準角度θrが設定され、具体的には第1設定角度θ1が基準角度θrに設定される。第1設定角度θ1は、第1傾斜センサ81の出力値が予め(例えば製造段階で)設定されている特定の値(デフォルトのプリセット値)である場合の荷受台3の角度(例えば水平)である。本実施形態では、荷受台3に対する第1傾斜センサ81の取り付け角度が、取り付け部材10により調節可能となっており、第1傾斜センサ81の取り付け角度によって基準角度θrを調節することができる。本実施形態では、荷受台3に対する第1傾斜センサ81の取り付け角度が標準角度となる際に、荷受台3の基準角度θrは0°(水平)となるように設定している。
【0047】
「第2モード」では車両を基準に基準角度θrが設定され、具体的には第2設定角度θ2が基準角度θrに設定される。第2設定角度θ2は、第2傾斜センサ82の出力値が製造時に設定される特定の値となる荷受台3の角度である。本実施形態では例えば、チルトシリンダ5を駆動して目視調節された荷受台3の所望の角度である。具体的には、荷台Aの床面高さ位置において、荷受台3の上面(荷物載置面)が床面と略面一状態となる角度に設定している。なお、「第2モード」の設定や検知に関しては、第2傾斜センサ82を用いずに第1傾斜センサ81を用いつつ、上記の第1設定角度θ1とは別の異なる角度に設定しても良い。また、上記の第1設定角度と合わせた設定とし、外部環境や車両の停止環境(停車地の傾斜角度など)に応じて第1モードまたは第2モードを使い分けるようにしても良い。
【0048】
「インタロック機能」とは、荷受台3の角度θが基準角度θrであることを条件としてリフトシリンダの駆動指令を実行する機能である。言い換えれば、荷受台3の角度θが基準角度θrに一致しない場合にはリフトシリンダの駆動系への信号出力を不能とする機能であって、荷受台3の角度θを基準角度θrに保って昇降させる機能である。
【0049】
「インタロック解除機能」とは、条件が満たされた場合にインタロック機能を解除し、荷受台3の角度θに関係なく操作に従ってリフトシリンダ4の駆動系に駆動指令を出力する機能である。インタロック機能を解除する条件の1つは、接地センサ24の信号を基に荷受台3が接地していると判定されていることである。また、本実施形態においては、インタロック解除スイッチ26が操作されてインタロック機能が解除されていることも、もう1つの解除条件である。
【0050】
続いて、荷受台昇降装置100に係る荷受台3の動作について説明する。制御装置41は、メモリ(不図示)に格納されたプログラムに従って操作装置30、第1傾斜センサ81、第2傾斜センサ82、接地センサ24からの信号を基に指令信号を生成し、ソレノイドS1-S6やコンタクタリレーCTに出力してリフトシリンダ4やチルトシリンダ5を駆動する。電源スイッチ28が入って電源が投入されると制御装置41は、まず第1傾斜センサ81の信号、第2傾斜センサ82の信号、接地センサ24の信号、モードスイッチ25の信号、インタロック解除スイッチ26の信号の入力を確認する。
【0051】
荷受台3の閉動作に関しては、制御装置41が、開閉スイッチ33からの信号が入力されているかを判定し、入力されていれば上スイッチ31からの信号が入力されているかを判定する。開閉スイッチ33および上スイッチ31が同時操作されていれば、制御装置41は閉動作指令をする。制御装置41により閉動作指令がされると、ソレノイドS1,S2,S4-S6は消磁状態のまま、コンタクタリレーCTおよびソレノイドS3が励磁される。これにより切換弁V1,V2,V4-V6が閉じた状態で、切換弁V3が開くと同時にモータ23が電源BTに接続して駆動される。その結果、油圧ポンプ22から供給される作動油によりチルトシリンダ5が伸長し、荷受台3が前傾(左側から見て左回りに回動)する。荷受台3が荷台Aの床面の高さにある場合には上記の閉動作が実行されることにより、荷受台3を荷台Aの後面に沿って起立させて格納することができる。
【0052】
荷受台3の開動作に関しては、第1傾斜センサ81の信号、第2傾斜センサ82の信号、接地センサ24の信号、モードスイッチ25の信号、インタロック解除スイッチ26の信号、および開閉スイッチ33の信号が入力され、上スイッチ31の信号の入力がない場合、制御装置41は、下スイッチ32からの信号が入力されているかを判定する。制御装置41は、下スイッチ32からの信号の入力がある場合には荷受台3の角度θが基準角度θrと異なっているかを判定し、異なっていれば開動作指令をする。制御装置41により開動作指令がされると、ソレノイドS1-S3,S5およびコンタクタリレーCTは消磁状態のまま、ソレノイドS4,S6が励磁される。これにより切換弁V1-V3,V5が閉じモータ23が停止した状態で、切換弁V4,V6が開く。その結果、荷受台3の重量がチルトシリンダ5の収縮方向に作用し、タンク油路LT2を介してチルトシリンダ5から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてチルトシリンダ5が収縮することにより、荷受台3が自重で後傾(左側から見て右回りに回動)する。
【0053】
また、開閉スイッチ33および下スイッチ32の同時操作が継続して行われるうちにθ=θrになった場合、制御装置41は開動作指令を中止する。例えば基準角度θrよりも荷受台3が前傾した姿勢から開動作を開始する場合、θ=θrとなった時点で一旦荷受台3の後傾動作が停止する。開閉スイッチ33および下スイッチ32の同時操作が継続して行われていても、その後も荷受台3は動作しない。なお、同時操作を中断し(開閉スイッチ33および下スイッチ32の少なくとも一方をオフにする)、開閉スイッチ33および下スイッチ32の同時操作が再開された場合、制御装置41はθ=θrであっても改めて開動作指令をすることが可能となっている。
【0054】
荷受台3の上昇動作に関しては、第1傾斜センサ81の信号、第2傾斜センサ82の信号、接地センサ24の信号、モードスイッチ25の信号、インタロック解除スイッチ26の信号が入力され、開閉スイッチ33の信号の入力がない場合、制御装置41は後述するインタロック機能が解除されているかを判定する。解除されている場合、上スイッチ31からの信号が入力されていれば、制御装置41は上昇動作指令をする。制御装置41により上昇動作指令がされると、ソレノイドS2-S6は消磁状態のまま、コンタクタリレーCTおよびソレノイドS1が励磁される。これにより切換弁V2-V6が閉じた状態で、切換弁V1が開くと同時にモータ23が電源BTに接続して駆動される。その結果、油圧ポンプ22から供給される作動油によりリフトシリンダ4が伸長し荷受台3が上昇する。
【0055】
荷受台3の下降動作に関しては、第1傾斜センサ81の信号、第2傾斜センサ82の信号、接地センサ24の信号、モードスイッチ25の信号、インタロック解除スイッチ26の信号が入力され、開閉スイッチ33および上スイッチ31の信号の入力がなく、インタロック機能が解除されている場合、制御装置41は、下スイッチ32からの信号が入力されているかを判定する。制御装置41は、下スイッチ32が操作されていれば、制御装置41は、荷受台3が接地しているかを判定し、接地していない場合は第1の下降動作指令をする。この判定時に荷受台3が接地している場合、制御装置41は第2の下降動作指令をする。
【0056】
制御装置41により第1の下降動作指令がされると、ソレノイドS3-S6およびコンタクタリレーCTは消磁状態のまま、ソレノイドS1,S2が励磁される。これにより切換弁V3-V6が閉じモータ23が停止した状態で、切換弁V1,V2が開く。その結果、荷受台3、リフトアーム2、リフトシリンダ4およびチルトシリンダ5の重量、さらに荷受台3に荷物が載置されている場合にはその重量がリフトシリンダ4の収縮方向に作用し、タンク油路LT1を介してリフトシリンダ4から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてリフトシリンダ4が収縮することにより、荷受台3が自重で下降する。
【0057】
制御装置41により第2の下降動作指令がされると、ソレノイドS3-S4,S6およびコンタクタリレーCTは消磁状態のまま、ソレノイドS1,S2,S5が励磁される。これにより切換弁V3-V4,V6が閉じてモータ23が停止した状態で、切換弁V1,V2に加えて切換弁V5が開く。その結果、荷受台3の重量、またはその重量に加えて荷受台3に載置された荷物の重量の影響でリフトシリンダ4が収縮方向に作用し、タンク油路LT1を介するルートの他、タンク油路LT3,LT2を介するルートを介して、リフトシリンダ4から作動油タンク21に作動油が抜ける。こうしてリフトシリンダ4が収縮することにより、接地状態の荷受台3は、その先端部が接地するまで下方回動(後傾)する。
【0058】
上述のとおり、荷受台3の上昇動作、下降動作、前傾動作、後傾動作は、いずれか選択的に実行されるようになっており、複数の動作(例えば上昇と前傾)が同時に実行されることはない。無操作状態では荷受台3は駆動されない。インタロックが機能している場合には荷受台3の傾斜動作のみ実行され、昇降動作は禁止される。インタロック機能が解除されている場合は、昇降動作も傾斜動作も可能である。但し、傾斜中に荷受台3の角度が基準角度θrになった場合には一旦荷受台3の動作が停止し、操作装置30のスイッチ類から一度手を放すことで傾斜動作が再開できる。
【0059】
本実施形態に係る荷受台昇降装置100は、インタロック機能を備えており、モードスイッチ25に基づく第1モードまたは第2モードの設定に応じて、インタロック機能を有効に利用できる。
【0060】
制御装置41はまず、モードスイッチ25の信号Smが第1モードの指定を識別する信号Sm1であるかを判定する。Sm=Sm1であれば、制御装置41はモード設定を第1モードにし、前述した第1設定角度θ1を基準角度θrとして設定する。信号Smが第2モードの指定を識別する信号Sm2であれば、制御装置41はモード設定を第2モードにし、前述した第2設定角度θ2を基準角度θrとして設定する。θ1,θ2はメモリ(不図示)に記憶される。
【0061】
第1モードが指定されている場合、制御装置41は第1傾斜センサ81の信号を基に演算した荷受台3の角度θが基準角度θrであるかを判定する。θ=θrであれば、制御装置41はインタロック機能を解除し、θ≠θrであれば、制御装置41はインタロック解除スイッチ26により操作者により意図的にインタロック機能が解除されているかを判定する。解除されていれば、制御装置41はインタロック機能を解除し、インタロック機能が意図的に解除されていなければ、制御装置41は接地センサ24の信号を基に荷受台3が接地しているかを判定する。荷受台3が接地していれば、制御装置41はインタロック機能を解除し、荷受台3が接地していなければ、制御装置41はインタロック機能を有効のまま維持する。インタロック機能が無効化された場合、制御装置41はモード設定や荷受台3の角度または荷受台3が接地しているかに関わらず、操作に応じてリフトシリンダ4の動作指令が可能となる。
【0062】
一方で、インタロック機能が有効な場合、制御装置41は、第1モード下であれば荷受台3の角度θが第1設定角度θ1であることを条件に、操作に応じてリフトシリンダ4の動作指令をし、荷受台3の角度θを第1設定角度θ1に保って昇降させる。第1設定角度θ1は重力方向を基準とする絶対的な角度であり、車両の姿勢(角度)とは無関係に昇降動作中の荷受台3の角度θが第1設定角度θ1(例えば略水平姿勢)に保たれる。ただし、荷受台3の角度θは、載置される荷物によって変化し得る。特に、荷受台3の先端側(回動先端側)には、車両後方側に荷物が落下することを防止するための既知のストッパ部材に当接させた状態とすることも多く、荷受台3の先端側に荷物の荷重負荷が及びやすい。そこで本実施形態では、荷受台3の先端側が下方に傾斜(後ろ下がりの姿勢)し、第1設定角度θ1から外れると、制御装置41は上述した荷受台3の閉動作を行う(姿勢調整を行う)ようにチルトシリンダ5を伸長させる。したがって、荷受台3に荷物が置かれる前の状態と同様に、荷受台3は略水平姿勢で昇降動作を行うことができる。なお、この場合、第2傾斜センサ82がセンシングプレート82A(図2および図3(b)参照)を検知していたON状態から、チルトシリンダ5を伸長したことによってOFF状態と変化する。
【0063】
荷物の重量の影響を受ける場合であっても、上記「姿勢調整を行う」と荷物を安定状態で下降させることができる。そのまま荷受台3の下降動作を接地するまで継続し、さらに荷受台3の先端部が接地する(図2の二点鎖線3c)ように荷受台3の下方回動(図2の矢印d)が行われる。このとき、下方回動に伴うリフトシリンダ4の収縮作動は、上記「姿勢調整を行う」チルトシリンダ5が伸長された状態のまま行われる。このため、チルトシリンダ5の伸長が無い(姿勢調整を行わない)場合と比較して、チルトアーム7に装着されたピンP1(図2参照)の後方移動に要する負荷が、わずかに大きくなる。なお、荷受台3が接地したことで接地センサ24が作用し、インタロック解除機能が作用しているので、上記下方回動が可能となっている。
【0064】
そして、荷物の次の積みおろしのために荷受台3を荷台Aの床面高さに戻す際には、荷受台3の先端を上方に回動して荷受台3を略水平姿勢(図2の二点鎖線3b)とする上方回動(図2の矢印d)と、略水平姿勢となったことでその姿勢を維持したまま上昇させる上昇動作とが行われる。このとき、本実施形態に係る荷受台昇降装置100では、図6に示す各条件に基づいて上方回動(第1の上方回動と第2の上方回動)と上昇動作が制御される。
【0065】
図6は、制御装置41が入力信号に基づいて行う判定と、出力信号に基づく指令と、その指令によって制御されるシリンダ4,5の動作と、その動作に基づいて行われる荷受台3の動作とを示している。なお、入力項目および出力項目がON(励磁)状態を「〇」、OFF(消磁)状態を「×」で表示している。
【0066】
先ず、上方回動を開始するため上スイッチ31が押されると、第1の上方回動を行うために、ソレノイドS3,S5が消磁状態のままソレノイドS1,S2,S4,S6およびコンタクタリレーCTが励磁される。このとき駆動システム6は、第1の上方回動として、リフトシリンダ4が伸長するとともにチルトシリンダ5が収縮する方向に作動油が流れるように機能する。第1の上方回動が開始される時点では、荷受台3は先端部が接地している姿勢(図2の二点鎖線部3c)ではあるが、リフトシリンダ4の伸長によって荷受台3の先端部が上方回動することに伴って、チルトシリンダ5が収縮する方向に内部の作動油が流れる。つまり、リフトシリンダ4の伸長とチルトシリンダ5の収縮が巧く協働するように駆動システム6が機能する。また、ソレノイドS2も励磁されるので、リフトシリンダ4の伸長速度が低減される。上記のチルトシリンダ5の収縮は、第2傾斜センサ82がOFF状態からON状態に変化するまで継続される。リフトシリンダ4の伸長速度が低減されていることで、チルトアーム7に装着されたピンP1が荷受台3の上昇動作を可能とする位置(具体的には図2で示すピンP1の位置)まで移動(前方移動)する前に、上記「姿勢調整を行う」際に行ったチルトシリンダ5の伸長を解消した状態とすることができる。このように巧くチルトシリンダ5の伸長状態を解消できることで、リフトシリンダ4の伸長とチルトシリンダ5の収縮とが行われても、作業者の目視上、荷受台3の揺動(上下動)が目立たず、良好な荷受台3の上方回動動作を確認できる。
【0067】
第2傾斜センサ82がON状態となると、続いて第2の上方回動に移行する。具体的には、第2傾斜センサ82がON状態となることは、上記「姿勢調整を行う」ために伸長されたチルトシリンダ5が補正された状態になっていることを指している。ON状態となる検知によって、ソレノイドS4,S6は消磁状態とされ、チルトシリンダ5の収縮作動は停止される。その状態のまま、第2の上方回動として、リフトシリンダ4の伸長作動が継続される。これにより、ピンP1の前方移動が完了され、第2の上方回動も完了し、荷受台3が略水平姿勢とされる。なお、第1の上方回動において、第2傾斜センサ82がON状態となるようにチルトシリンダ5の姿勢が補正されることで、第2の上方回動の完了時には上記「姿勢調整を行う」ことの影響を受けずに荷受台3を略水平姿勢の良好な状態にすることができる。
【0068】
そして、その後も上スイッチ31が押されていると、リフトシリンダ4の伸長作動が行われるので、荷受台3の上昇動作が連続して開始される。上昇動作の開始とともに接地センサ24がOFF状態となり、ソレノイドS2も消磁状態に変わる。そのため、リフトシリンダ4の伸長速度の低減も解消される。第1の上方回動動作が含まれていることで、ピンP1-P4間におけるリンク機構の圧縮力に基づくチルトシリンダ5の収縮作動を生じさせることができ、第2の上方回動時には略水平姿勢を採ることができる。したがって、上述したような下降動作の際に「姿勢調整を行う」場合であっても、その後の上昇動作の際には略水平姿勢で上昇動作を行うことができる。本実施形態に係る荷受台昇降装置100では、第1の上方回動において、チルトシリンダ5が所望する長さ(収縮状態)となることを検知し、第2の上方回動において、チルトアーム7が所望する姿勢(図2の状態)に戻すことを順次行う構成となっている。ただし、第1の上方回動の終了時と同時にチルトアーム7が所望する姿勢に戻っているときは、第2の上方回動を省略する制御としても良い。
【0069】
上記「姿勢調整を行う」場合については、上述した第1モードが指定された状態としたが、第2モードが指定される状態であっても、「姿勢調整を行う」機能が作用するため、同様の下方回動、上方回動および上昇動作を行うことができる。また、第1の上方回動から第2の上方回動への変化に関し、第2傾斜センサ82の検知に基づく内容としたが、「姿勢調整を行う」作動量を把握できるものであれば、第1の上方回動から第2の上方回動に的確に切り替えできて同等の効果を得ることができるので、他の手段を用いても構わない。
【0070】
以上のとおり、上方回動に関しては第1の上方回動と第2の上方回動とを含んでなる制御が行われる実施形態としたが、これに限らず他の上方回動に係る制御を採っても構わない。そこで、第1実施形態に係る荷受台昇降装置100と異なる部分を中心に他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、第1実施形態と構成が同じ部材については同じ符号を付している。
【0071】
第2実施形態に係る荷受台昇降装置200は、図7(a)に示すように、下降して接地した荷受台3の下方回動時に姿勢変更するチルトアーム70が、第1実施形態とは異なる形状を有している。また、チルトアーム70の近傍に姿勢変更するリンクアームを検知するセンサSE1が設けられている点でも第1実施形態とは異なっている。なお、本実施形態ではセンサSE1として近接センサが用いられているが、他の手段でも適用可能である。
【0072】
第2実施形態に係るチルトアーム70は、図7(b)のように支持フレーム1に対して回動可能に組み付けられている。チルトアーム70は断面略L字状に形成されており、そのL字の折れ曲がり部位に回動軸が設けられている。荷受台3が略水平姿勢で接地した状態(図7(a)の実線部分)のとき、チルトアーム70の端部701は、図7(b)のようにセンサSE1よりも上方に位置しており、センサSE1によって検知されていない。次に、荷受台3が下方回動すると、図7(c)のようにチルトアーム7が回動軸P0を中心に反時計回りに回動し、その端部701がセンサSE1によって検知される。本実施形態では、チルトアーム70の回動可能な範囲に合わせてセンサSE1がチルトアーム70の端部701を検知可能となるように設けられている。つまり、図7(b)で示す姿勢からチルトアーム70が回動を開始するとセンサSE1が検知開始(ON状態)となり、上方回動の際に時計回りに回動するチルトアーム70が、その回動が不能となる位置まで戻ると同時にセンサSE1が非検知(OFF状態)となるように設けられている。
【0073】
制御部40は図示しないが、第1実施形態の構成に加えて上記センサSE1の信号も他のセンサと同様に信号が入力されて、制御装置41から駆動装置を制御し、荷受台3の姿勢を制御可能な構成となっている。そこで、本実施形態に係る荷受台3は、第1実施形態と同様、上述したような下降動作の際に「姿勢調整を行う」場合であっても、その後の上昇動作の際には略水平姿勢で上昇動作を行うことができるように、図8に示す各条件に基づいて上方回動(後述する第3の上方回動と、第3の上方回動に伴う姿勢調整とを含む)と上昇動作が制御される。
【0074】
先ず、上方回動を開始するため上スイッチ31が押されると、ソレノイドS2,S3,S5,S6が消磁状態のままソレノイドS1,S4が励磁されることで、第3の上方回動として、リフトシリンダ4が伸長する。センサSE1にチルトアーム70の検知状態(図7(c)参照)から非検知状態(図7(b)参照)となるまでリフトシリンダ4が伸長すると、センサSE1の検知がON状態からOFF状態に変化する。この変化によって、第3の上方回動に伴う姿勢調整として、略水平姿勢に対して先端側が上側に位置する姿勢(後ろ上がり(前傾))の荷受台3を略水平姿勢とすべく荷受台3の開動作(チルトシリンダ5の収縮作動)が行われる。このとき、ソレノイドS4,S6が励磁される。そして、第1傾斜センサ81が荷受台3の略水平姿勢を検知すると、荷受台3の略水平姿勢が確保された状態となる。そのため、上スイッチ31が押されていると、リフトシリンダ4の伸長作動が改めて開始されて荷受台3の上昇動作が開始される。上昇後すぐに接地センサ24の検知がON状態からOFF状態に切り替わる。上昇動作の開始時点では既に略水平姿勢を採ることができているので、第1実施形態と同様に略水平姿勢で上昇動作を行うことができる。なお、チルトアーム70の回動姿勢の検知については、チルトアーム70の下部が支持フレーム1に当接する状態となることを検知するようにしても良い。
【0075】
また、第2実施形態とも異なる第3実施形態についても説明する。第3実施形態に係る荷受台3でも、第1実施形態と同様、上述したような下降動作の際に「姿勢調整を行う」場合であっても、その後の上昇動作の際には略水平姿勢で上昇動作を行うことができるように、図9に示す各条件に基づいて上方回動(後述する第4の上方回動と、第4の上方回動に伴う姿勢調整と、第5の上方回動とを含む)と上昇動作が制御される。
【0076】
上方回動を開始するため上スイッチ31が押されると、ソレノイドS2,S3,S4,S5,S6が消磁状態のままソレノイドS1が励磁されることで、第4の上方回動として、リフトシリンダ4が伸長する。制御装置41は、荷受台3の略水平姿勢が第1傾斜センサ81によって検知されると、第4の上方回動に伴う姿勢調整として、ソレノイドS4が励磁されてチルトシリンダ5の収縮制御に移行する。チルトシリンダ5が収縮する方向に作用され、第2傾斜センサ82がOFF状態からON状態に変化すると、上記「姿勢調整を行う」際のチルトシリンダ5の伸長を解消した状態とすることができる。その後に第5の上方回動として、改めてリフトシリンダ4の伸長作動が開始される。このまま接地センサ24の検知状態がOFF状態まで継続されると、荷受台3の上昇動作が引き続いて行われる。接地センサ24がON状態からOFF状態に切り替わるタイミングで、荷受台3の略水平姿勢を確保できており、第1実施形態と同様に略水平姿勢で上昇動作を行うことができる。
【0077】
以上のとおり、本発明に係る各実施形態では、荷受台3の角度θが基準角度θrであることを条件に、リフトシリンダ4の駆動指令を実行するインタロック機能を備えているので、例えば荷受台3が大きく傾斜した状態で誤操作により操作者の意図に反して荷受台3が昇降するようなことを回避できる。また、荷受台3の角度θが基準角度θrと異なる場合には、チルトシリンダ5を用いて、その差異を解消して一致する状態となるように荷受台3の姿勢を調整した上で、荷受台3を昇降可能とすることもできる。これらは2種類の傾斜センサ81,82を車両の停止条件などに応じて巧く使い分けると、その効果は相乗的に発揮される。
【0078】
特に、各実施形態で説明したとおり、本発明は荷受台3を起立姿勢から展開した時点だけで「略水平姿勢であるか否か」を判断するだけでなく、展開した時点では荷受台3が略水平姿勢であったにもかかわらず、荷物を載置した時点で荷受台3が略水平姿勢でなく傾斜した姿勢(例えば後ろ下がりの姿勢)となっている事態まで考慮している。そのため、荷受台3の上方回動において、リフトシリンダ4の伸長制御とチルトシリンダ5の収縮制御を巧みに組み合わせている点が特徴となっている。荷物の積みおろしの安全性を高めるために、上昇および下降のいずれの動作時であっても、さらには荷受台3に荷物が載置されているときおよび載置されていないときのいずれの動作時であっても、荷受台3が略水平姿勢となる制御が可能な構成となっている。
【0079】
上述した各実施形態では、リフトアーム2と共に平行リンクを構成するリンクアームをチルトシリンダ5で兼ねたことで、荷受台3の昇降動作(平行移動)と傾斜動作を両立する機構をシンプルに構成することができる。但し、上述したような効果を得る限りにおいては、上述した構成は各実施形態に限定するものではなく、各実施形態の構成同士を互いに組み合わせても良い。例えば第2実施形態に係るチルトアーム70とセンサSE1とを第1実施形態に用い、第1の上方回動と第2の上方回動をセンサSE1の検知信号に基づいて制御する構成とすることもできる。また、例えば荷受台3を傾斜動作させるチルト機構を平行リンクとは別に構成し、平行リンクをリフトシリンダ4で駆動する一方で、平行リンクとは別途に設けたチルトシリンダでチルト機構を駆動する構成としても良い。
【0080】
また、各実施形態において、荷受台3は荷台Aの後方で起立した状態で格納される構成としたが、これに限定されない。荷受台3の姿勢が求められる荷受台昇降装置であれば、荷受台3を荷台Aの下方に収納するものであっても適用可能である。また、各センサや油圧回路に関しても上述のとおり適宜変更可能である。例えば、接地センサ24には圧力センサを用いたので、荷受台3の接地を検出するセンサを油圧回路に組み込む構成としたが、例えば荷受台3に地面との接触を検出するスイッチや距離計等を設けることでも荷受台3の接地を検出できる。また、リフトシリンダ4の一定のストロークやリフトアーム2の一定の角度を近接センサや距離計、角度計、回転センサ等で検出し荷受台3の接地を判定する構成も考えられる。油圧回路においても、第2の下降動作指令の際には切換弁V5およびタンク油路LT3を用いて、荷受台3の下方回動(後傾)が行われる構成(図4参照)としているが、切換弁V5やタンク油路LT3を用いない構成として部品点数を抑制した構成としても良い。こうした構成であっても、切換弁V2が開状態であるため、リフトシリンダ4は収縮方向に作用し、チルトアーム7が回動して荷受台3の先端部を接地させることができる。
【符号の説明】
【0081】
2…リフトアーム、3…荷受台、3A…スチフナ、4…リフトシリンダ、5…チルトシリンダ、81…第1傾斜センサ、82…第2傾斜センサ、25…モードスイッチ、27…角度設定スイッチ、41…制御装置、P2…ピン(荷受台の回動軸)、15…支点穴、O…傾斜センサの回動中心、β…標準角度、θ…荷受台の角度、θ1…第1設定角度、θ2…第2設定角度、θr…基準角度、100…荷受台昇降装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9