(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111856
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】光源判別装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
G01J1/42 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016515
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真弓 敏貴
(72)【発明者】
【氏名】清家 将文
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA02
2G065AB02
2G065AB04
2G065AB26
2G065AB27
2G065AB28
2G065BA07
2G065BA09
2G065BB25
2G065BC28
2G065BC33
2G065BC35
(57)【要約】
【課題】光源をより正確に判別することができる光源判別装置を提供する。
【解決手段】光源判別装置(10)は、受光した光からフリッカを検出するように構成される第1検出部(1A,13,5)と、受光した光から赤色光成分と緑色光成分と青色光成分のうち少なくともいずれかと、赤外線成分を検出するように構成される第2検出部(1B)と、前記第2検出部により検出された前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの、前記第2検出部により検出された前記赤外線成分に対する比率を算出するように構成される算出部(5)と、前記第1検出部により検出された前記フリッカの有無、および前記算出部により算出された前記比率に基づき、光源に関する判別を行うように構成される判別部(5)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光からフリッカを検出するように構成される第1検出部と、
受光した光から赤色光成分と緑色光成分と青色光成分のうち少なくともいずれかと、赤外線成分を検出するように構成される第2検出部と、
前記第2検出部により検出された前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの、前記第2検出部により検出された前記赤外線成分に対する比率を算出するように構成される算出部と、
前記第1検出部により検出された前記フリッカの有無、および前記算出部により算出された前記比率に基づき、光源に関する判別を行うように構成される判別部と、
を備える、光源判別装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの検出値および前記赤外線成分の検出値をそれぞれ標準値で除算することにより各検出値を算出し、算出された各検出値に基づいて前記比率を算出する、請求項1に記載の光源判別装置。
【請求項3】
前記算出部は、
(前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの検出値)×(所定値/前記赤外線成分の検出値)
を計算することにより前記比率を算出する、請求項1または請求項2に記載の光源判別装置。
【請求項4】
前記所定値=1である、請求項3に記載の光源判別装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記フリッカが無い場合に、前記比率と第1閾値との比較に基づき、光源がDC電源光源か自然光かを判別する、請求項1に記載の光源判別装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記フリッカの有無、および前記比率が第2閾値以下であるかに基づき、光源が自然光か、自然光と人工光による混合光かを判別する、請求項1に記載の光源判別装置。
【請求項7】
前記判別部は、前記フリッカが有る場合に、前記比率と第3閾値、第4閾値、および第5閾値との比較に基づき、光源が人工赤外光か、人工光か、白熱灯か、混合光かを判別し、
第3閾値<第4閾値<第5閾値である、請求項1に記載の光源判別装置。
【請求項8】
前記判別部は、前記フリッカが有る場合に、前記比率が前記第5閾値を上回る場合、前記フリッカの周波数に基づき前記人工光の種類を判別する、請求項7に記載の光源判別装置。
【請求項9】
前記判別部は、前記フリッカが有る場合に、前記比率が前記第3閾値以上かつ前記第5閾値以下であり、前記第4閾値以上の場合、前記フリッカの周波数に基づき前記混合光の種類を判別する、請求項7または請求項8に記載の光源判別装置。
【請求項10】
前記光源に関する判別は、屋内・屋外に関する判別である、請求項1に記載の光源判別装置。
【請求項11】
前記判別部は、前記フリッカが無い場合に、前記比率と第6閾値との比較に基づき、屋内か屋外かを判別する、請求項10に記載の光源判別装置。
【請求項12】
前記判別部は、前記フリッカが有る場合、
前記比率が第7閾値より低い、または第9閾値より高い場合、屋内と判定し、
前記比率が第7閾値以上、かつ第9閾値以下の場合、前記比率と第8閾値との比較に基づき屋内か屋内外かを判別し、
前記第7閾値<前記第8閾値<前記第9閾値である、請求項10または請求項11に記載の光源判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光センサを用いて光源の種類を判別する技術が存在する(光センサの一例は、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、光源の種類をより正確に判別することが要望されている。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、光源をより正確に判別することができる光源判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示の例示的な光源判別装置は、
受光した光からフリッカを検出するように構成される第1検出部と、
受光した光から赤色光成分と緑色光成分と青色光成分のうち少なくともいずれかと、赤外線成分を検出するように構成される第2検出部と、
前記第2検出部により検出された前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの、前記第2検出部により検出された前記赤外線成分に対する比率を算出するように構成される算出部と、
前記第1検出部により検出された前記フリッカの有無、および前記算出部により算出された前記比率に基づき、光源に関する判別を行うように構成される判別部と、を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の光源判別装置によれば、光源をより正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る光源判別装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、各成分のセンサ値の標準値を例示的に示す表である。
【
図3】
図3は、センサ値の事前処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、DC電源光源と蛍光灯の場合のそれぞれのパワースペクトルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、光源がDC電源光源である場合と自然光である場合のRGB各成分およびIR成分の各センサ値の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、光源が自然光である場合と自然光+蛍光灯である場合のRGB各成分およびIR成分の各センサ値の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、自然光と混合光の場合のそれぞれのパワースペクトルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、各種光源のフリッカ有無、および、RGB成分とIR成分の各センサ値の例を示す表である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る光源判別処理に関するフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る屋内・屋外判別処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<光源判別装置の構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る光源判別装置の構成を示す図である。
図1に示す光源判別装置10は、カラーセンサ1と、制御部5と、を備える。
【0011】
カラーセンサ1は、入力光の色成分(赤色光成分R、緑色光成分G、青色光成分B、および、赤外線成分IR)を検出する光センサIC(集積回路)の一種であり、第1光検出回路1Aと、第2光検出回路1Bと、赤外線遮断フィルタ14と、ロジック回路13と、を有する。
【0012】
第1光検出回路1Aは、受光素子11Eと、AD[analog-to-digital]変換器12Dと、を含み、入力光の光量に応じた第1光検出信号S10を出力する。なお、第1光検出回路1Aは、蛍光灯あるいはLED照明機器などの人工照明に起因する入力光のフリッカ成分を検出するために設けられている。フリッカは、光量が周期的に変動する現象である。
【0013】
受光素子11Eは、赤外線遮断フィルタ14を介して入射される入力光の光量に応じたアナログ電流信号を生成する。受光素子11は、入力光の可視光成分(およそ波長400~700nm)を検出する。受光素子11としては、フォトダイオードやフォトトランジスタなどを好適に用いることができる。
【0014】
AD変換器12Dは、受光素子11Eからのアナログ電流信号をデジタル(例えば13ビット)の第1光検出信号S10に変換する。
【0015】
第2光検出回路1Bは、受光素子(11A、11B、11C、11D)と、AD変換器(12A、12B、12C)と、各種透過フィルタ(15A、15B、15C、15D)と、を含み、入力光の色成分(R、G、B、IR)に応じた第2光検出信号(S20a、S20b、S20c)を出力する。
【0016】
受光素子11Aは、赤外線遮断フィルタ14および赤色光透過フィルタ15Aを介して入射される赤色光の光量に応じたアナログ電流信号を生成する。なお、受光素子11Aは、入力光の赤色成分R(およそ波長620~750nm)を検出する。
【0017】
受光素子11Bは、赤外線遮断フィルタ14および緑色光透過フィルタ15Bを介して入射される緑色光の光量に応じたアナログ電流信号を生成する。なお、受光素子11Bは、入力光の緑色成分G(およそ波長495~570nm)を検出する。
【0018】
受光素子11Cは、赤外線遮断フィルタ14および青色光透過フィルタ15Cを介して入射される青色光の光量に応じたアナログ電流信号を生成する。なお、受光素子11Cは、入力光の青色成分B(およそ波長450~495nm)を検出する。
【0019】
受光素子11Dは、赤外線透過フィルタ(=可視光遮断フィルタ)15Dを介して入射される赤外線の光量に応じたアナログ電流信号を生成する。なお、受光素子11Dは、入力光の赤外線成分IR(およそ波長750~1400nm)を検出する。
【0020】
上記の受光素子(11A、11B、11C、11D)としては、それぞれ、フォトダイオードやフォトトランジスタなどを好適に用いることができる。
【0021】
AD変換器(12A、12B、12C)は、受光素子(11A、11B、11C、11D)からのアナログ電流信号をデジタル(例えば16ビット)の第2光検出信号(S20a、S20b、S20c)に変換して出力する。
【0022】
なお、本図では、4つの受光素子(11A、11B、11C、11D)で3つのAD変換器(12A、12B、12C)を共用する例を挙げたが、AD変換器の個数については、何らこれに限定されるものではなく、1つまたは2つに減らしてもよいし、逆に、4つに増やしてもよい。
【0023】
赤外線遮断フィルタ14は、受光素子11E、赤色光透過フィルタ15A、緑色光透過フィルタ15B、および、青色光透過フィルタ15Cそれぞれの上流側で、入力光に含まれる赤外線成分IRを遮断する。このような赤外線遮断フィルタ14を設けることにより、入力光の光量およびRGB成分(延いては色温度)を精度良く検出することができる。
【0024】
ロジック回路13は、ADCロジック機能(=AD変換器の時分割制御機能)、I2Cインターフェイス機能(=データ信号SDAとクロック信号SCLの通信機能)、INTインターフェイス機能(=割込信号INTの通信機能)、並びに、FIFO[first in, first out]機能(=フリッカ検出用のデータバッファ機能)を備えている。
【0025】
ロジック回路13は、制御部5との間で通信を行う。制御部5は、例えばマイコンにより構成される。
【0026】
第1光検出信号S10、および第2光検出信号(S20a、S20b、S20c)は、ロジック回路13により制御部5に伝送される。制御部5は、伝送された第1光検出信号S10に対してFFT(周波数解析)を行うことでパワースペクトルを取得し、パワースペクトルのピークを検出することでフリッカを検出する。
【0027】
すなわち、第1光検出回路1A、ロジック回路13、および制御部5からフリッカを検出する第1検出部(フリッカセンサ)が構成される。また、第2光検出回路1Bから色成分を検出する第2検出部が構成される。
【0028】
<カラーセンサ値の事前処理>
制御部5は、第2光検出信号(S20a、S20b、S20c)に基づきRGBおよびIR各成分のセンサ値を取得する。しかしながら、
図2に各成分のセンサ値の標準値を例示するように、各成分によってセンサ値は異なる感度を有する。
【0029】
ここで、
図3上段には、一例として光源が蛍光灯の場合と自然光の場合とでそれぞれ取得されるセンサ値の例を示す。上記のように各センサ値の感度は異なるので、各成分のセンサ値の値を
図3上段のまま単純には比較できない。
【0030】
そこで、
図3中段に示すように、各成分のセンサ値を各成分のセンサ値の標準値で除算することで、感度を統一することができる。さらに、
図3下段に示すように、IR成分のセンサ値を1とするように、RGB各成分のセンサ値をIR成分のセンサ値で除算することで、IR成分のセンサ値を1とした場合のRGB各成分のセンサ値を算出する。これにより、RGB各成分のセンサ値が1より大きい場合、RGB各成分のセンサ値がIR成分のセンサ値より大きいことになり、RGB各成分のセンサ値が1より小さい場合、RGB各成分のセンサ値がIR成分のセンサ値より小さいことになる。このようにして、RGB各成分のセンサ値のIR成分のセンサ値に対する比率を算出することで、RGB成分をIR成分と比較することができる。
【0031】
なお、RGB成分については、そのうちの2つ、または1つの成分のみを検出するようにしてもよい。また、RGB成分のうち1つの成分のみを検出する場合、検出した成分のセンサ値を1とするように、IR成分のセンサ値を上記検出した成分のセンサ値で除算することにより上記比率を算出してもよい。
【0032】
また、(RGB成分のセンサ値)×(所定値/IR成分のセンサ値)として上記比率を算出するとして、上記所定値は1以外としてもよい。なお、所定値=1とした場合が、上記のIR成分のセンサ値で除算する方式に相当する。
【0033】
また、センサ値の標準値のばらつきが小さい場合など、必ずしもセンサ値の感度を統一する必要はない。
【0034】
<DC電源光源と自然光の判別>
一般的な家庭用電源に接続される光源、あるいはLED照明機器等には、フリッカが存在する。
図4には、蛍光灯の場合のパワースペクトルを例示しており、このようにフリッカによるピークが検出されており(フリッカ周波数=120Hz)、フリッカが存在している。
【0035】
一方、自然光には、フリッカが存在しない。そこで、フリッカの有無を検出することで、光源を判別することが考えられる。しかしながら、スマートフォンなどに搭載されるライトは、DC電源により駆動されるため、フリッカが存在しない。そのため、フリッカの検出のみで光源の判別を行うと、フリッカが無いことからDC電源光源が自然光と誤判定される可能性がある。
図4には、DC電源光源の場合のパワースペクトルを例示しており、このようにフリッカは検出されない。
【0036】
ここで、
図5は、光源がDC電源光源である場合と自然光である場合のRGB各成分およびIR成分の各センサ値を示す。なお、ここでのセンサ値は、先述したようにIR成分のセンサ値が1となるように事前処理を行っている。
図5に示すように、DC電源光源と自然光のRGB成分のセンサ値(RGB値)とIR成分のセンサ値(IR値)を比較すると、自然光のIR値はRGB値と同程度であるのに対し、DC電源光源のIR値はRGB値の1/3程度の値である。これにより、フリッカが無くても、DC電源光源であるか自然光であるかを判別できる。
【0037】
<自然光と混合光の判別>
一方で、白熱灯、ヒーター、あるいは自然光等の光源は、特徴的なIR成分を有する。これらの光源では、RGB成分のセンサ値に対してIR成分のセンサ値が大きくなるため、IR値とRGB値を用いてこれらの光源を判別することが考えられる。
図6には、自然光のRGB値およびIR値を例示的に示す。なお、
図6のセンサ値は、先述した事前処理が行われている。
【0038】
しかしながら、人工光(蛍光灯など)と自然光が混じった混合光の場合、
図6に例示的に示すようにIR値は自然光の場合と同様にふるまうため、混合光が自然光と誤判定される可能性がある。
【0039】
ここで、
図7は、自然光と混合光の場合のそれぞれのパワースペクトルの例を示すグラフである。このように、自然光ではフリッカは存在しないが、混合光ではフリッカによるパワーのピークが検出されている(フリッカ周波数=120Hz)。このように、混合光では明確にフリッカが検出されるため、混合光と自然光と判別することができる。
【0040】
以上のように、フリッカ検出と、RGB成分およびIR成分のセンサ値を両方用いることにより、判別が難しい光源についても光源判別を行うことが可能となる。また、これにより、後述するように屋内・屋外の判別を行うことも可能である。
【0041】
<光源判別方法>
図8は、各種光源(蛍光灯、ヒーター、白熱灯、DC電源光源、フリッカを有するLED、自然光、混合光(自然光+蛍光灯))のフリッカ有無、および、RGB成分とIR成分の各センサ値の例を示す表である。なお、
図8で示すセンサ値は、先述した事前処理を行っている。
【0042】
このように、蛍光灯、ヒーター、白熱灯、および混合光(自然光+蛍光灯)は、いずれもフリッカが存在しないが、RGB成分のセンサ値のレベルが異なっているため、判別を行うことができる。
【0043】
また、蛍光灯とフリッカを有するLEDでは、RGB成分のセンサ値が同様のレベルであるが、フリッカの周波数が異なるため、判別を行うことができる。
【0044】
また、DC電源光源と自然光では、いずれもフリッカが存在しないが、RGB成分のセンサ値のレベルが異なるため、判別を行うことができる。
【0045】
このような結果に基づき、本実施形態に係る光源判別装置10においては、以下のような方法で光源判別が行われる。
図9は、本実施形態に係る光源判別処理に関するフローチャートである。なお、
図9の処理の主体は、制御部5である。
【0046】
図9の処理が開始されると、まずステップS1で、先述したセンサ値の事前処理が行われる。次に、ステップS2では、フリッカの有無が判定される。ここでは、第1光検出回路1Aから出力される第1光検出信号S10を制御部5においてFFT処理し、得られたパワースペクトルにおけるフリッカによるパワーのピークの有無により、フリッカの有無が判定される。
【0047】
もしフリッカが無い場合は(ステップS2のN)、ステップS3に進む。ステップS3で、RGB値と所定の閾値THCとが比較される。ここで、
図10に示すように、光源判別のために所定の閾値THA,THB,THCが設けられる。THA<THB<THCである。例えば、THA=0.1、THB=0.5、THC=2である。
【0048】
ステップS3でRGB値が閾値THC以下の場合は(ステップS3のN)、ステップS4に進み、光源が自然光であると判定される(
図10下段)。一方、RGB値が閾値THCを上回る場合は(ステップS3のY)、ステップS5に進み、光源がDC電源光源であると判定される(
図10)。
【0049】
また、ステップS2で、フリッカが有る場合は(ステップS2のY)、ステップS6に進む。ステップS6では、RGB値と閾値THAとが比較される。ステップS6でRGB値が閾値THAを下回る場合は(ステップS6のY)、ステップS15に進み、光源が人工赤外光(ヒーター等)であると判定される(
図10上段)。一方、ステップS6でRGB値が閾値THA以上の場合は(ステップS6のN)、ステップS7に進み、RGB値と閾値THCとが比較される。
【0050】
ステップS7でRGB値が閾値THCを上回る場合は(ステップS7のY)、光源が人工光と判断され(
図10上段)、ステップS16に進み、フリッカ周波数=120Hzであるか判定される。すなわち、人工光の詳細が判別される。フリッカ周波数=120Hzである場合(ステップS16のY)、ステップS14に進み、光源は蛍光灯であると判定される。一方、フリッカ周波数=120Hzでない場合(ステップS16のN)、ステップS13に進み、光源はフリッカを有するLEDであると判定される。
【0051】
また、ステップS7で、RGB値が閾値THC以下の場合は(ステップS7のN)、ステップS8に進み、RGB値と閾値THBとが比較される。RGB値が閾値THBを下回る場合は(ステップS8のY)、ステップS12に進み、光源は白熱灯であると判定される(
図10上段)。一方、RGB値が閾値THB以上の場合は(ステップS8のN)、混合光(自然光+人工光)であると判断され(
図10上段)、ステップS9に進む。ステップS9で、フリッカ周波数=120Hzであるか判定される。すなわち、混合光の詳細が判別される。
【0052】
フリッカ周波数=120Hzである場合(ステップS9のY)、ステップS11に進み、光源は自然光+蛍光灯による混合光であると判定される。一方、フリッカ周波数=120Hzでない場合(ステップS9のN)、ステップS10に進み、光源は自然光+LEDによる混合光であると判定される。
【0053】
<屋内・屋外の判別>
図11は、本実施形態に係る光源判別装置10における屋外・屋内判別処理に関するフローチャートである。屋外・屋内判別は、光源判別の一種である。先述した
図10に示す閾値(THA,THB,THC)と光源との関係は、
図12に示すように閾値(THA,THB,THC)と屋外・屋内との関係に置き換えることができる。
図11に示す処理の主体は、制御部5である。
【0054】
図11の処理が開始されると、まずステップS21で、先述したセンサ値の事前処理が行われる。次に、ステップS22では、フリッカの有無が判定される。
【0055】
もしフリッカが無い場合は(ステップS22のN)、ステップS23に進む。ステップS23で、RGB値と閾値THCとが比較される。ステップS23でRGB値が閾値THC以下の場合は(ステップS23のN)、ステップS24に進み、屋外であると判定される(
図12下段)。一方、RGB値が閾値THCを上回る場合は(ステップS23のY)、ステップS25に進み、屋内であると判定される(
図12下段)。
【0056】
また、ステップS22で、フリッカが有る場合は(ステップS22のY)、ステップS26に進む。ステップS26では、RGB値が閾値THAを下回る、または閾値THCを上回るかが判定される。ここで、RGB値が閾値THAを下回る、または閾値THCを上回ると判定された場合は(ステップS26のY)、ステップS30に進み、屋内であると判定される(
図12上段)。一方、RGB値が閾値THAを下回らず、かつ閾値THCを上回らないと判定された場合は(ステップS26のN)、ステップS27に進み、RGB値が閾値THBと比較される。
【0057】
もしRGB値が閾値THBを下回る場合は(ステップS27のY)、ステップS29に進み、屋内であると判定される(
図12上段)。一方、RGB値が閾値THB以上の場合は(ステップS27のN)、ステップS28に進み、屋内外であると判定される(
図12上段)。
【0058】
<その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0059】
<付記>
以上のように、本開示の一態様に係る光源判別装置(10)は、
受光した光からフリッカを検出するように構成される第1検出部(1A,13,5)と、
受光した光から赤色光成分と緑色光成分と青色光成分のうち少なくともいずれかと、赤外線成分を検出するように構成される第2検出部(1B)と、
前記第2検出部により検出された前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの、前記第2検出部により検出された前記赤外線成分に対する比率を算出するように構成される算出部(5)と、
前記第1検出部により検出された前記フリッカの有無、および前記算出部により算出された前記比率に基づき、光源に関する判別を行うように構成される判別部(5)と、
を備える構成としている(第1の構成)。
【0060】
また、上記第1の構成において、前記算出部(5)は、前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの検出値および前記赤外線成分の検出値をそれぞれ標準値で除算することにより各検出値を算出し、算出された各検出値に基づいて前記比率を算出する構成としてもよい(第2の構成)。
【0061】
また、上記第1または第2の構成において、前記算出部(5)は、
(前記赤色光成分と前記緑色光成分と前記青色光成分のうち少なくともいずれかの検出値)×(所定値/前記赤外線成分の検出値)
を計算することにより前記比率を算出する構成としてもよい(第3の構成)。
【0062】
また、上記第3の構成において、前記所定値=1である構成としてもよい(第4の構成)。
【0063】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが無い場合に、前記比率と第1閾値(THC)との比較に基づき、光源がDC電源光源か自然光かを判別する構成としてもよい(第5の構成)。
【0064】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカの有無、および前記比率が第2閾値(THC)以下であるかに基づき、光源が自然光か、自然光と人工光による混合光かを判別する構成としてもよい(第6の構成)。
【0065】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが有る場合に、前記比率と第3閾値(THA)、第4閾値(THB)、および第5閾値(THC)との比較に基づき、光源が人工赤外光か、人工光か、白熱灯か、混合光かを判別し、第3閾値<第4閾値<第5閾値である構成としてもよい(第7の構成)。
【0066】
また、上記第7の構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが有る場合に、前記比率が前記第5閾値(THC)を上回る場合、前記フリッカの周波数に基づき前記人工光の種類を判別する構成としてもよい(第8の構成)。
【0067】
また、上記第7または第8の構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが有る場合に、前記比率が前記第3閾値(THA)以上かつ前記第5閾値(THC)以下であり、前記第4閾値(THB)以上の場合、前記フリッカの周波数に基づき前記混合光の種類を判別する構成としてもよい(第9の構成)。
【0068】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記光源に関する判別は、屋内・屋外に関する判別である構成としてもよい(第10の構成)。
【0069】
また、上記第10の構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが無い場合に、前記比率と第6閾値(THC)との比較に基づき、屋内か屋外かを判別する構成としてもよい(第11の構成)。
【0070】
また、上記第10または第11の構成において、前記判別部(5)は、前記フリッカが有る場合、
前記比率が第7閾値(THA)より低い、または第9閾値(THC)より高い場合、屋内と判定し、
前記比率が第7閾値以上、かつ第9閾値以下の場合、前記比率と第8閾値(THB)との比較に基づき屋内か屋内外かを判別し、
前記第7閾値<前記第8閾値<前記第9閾値である構成としてもよい(第12の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示は、例えば、各種用途の光源判別に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 カラーセンサ
1A 第1光検出回路
1B 第2光検出回路
5 制御部
10 光源判別装置
11A~11E 受光素子
12A~12D AD変換器
13 ロジック回路
14 赤外線遮断フィルタ
15A 赤色光透過フィルタ
15B 緑色光透過フィルタ
15C 青色光透過フィルタ
15D 赤外線透過フィルタ