(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111859
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/30 20140101AFI20240813BHJP
E05B 77/36 20140101ALI20240813BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
E05B83/30 A
E05B77/36
B60R7/06 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016520
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】加庭 尭
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ09
2E250LL11
2E250PP04
2E250QQ01
3D022CA08
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD14
(57)【要約】
【課題】ロック装置の組立て作業効率と工数を改善すること。
【解決手段】ロック装置10は、リッド40に回動可能に支持された操作部材50に設けられるラッチ70と、このラッチ70を係合可能に収納本体20に設けられるストライカ80と、このストライカ80に前記ラッチ70が係合した状態で前記ストライカ80に対して前記リッド40を開き方向R2へ付勢する板バネ90を備える。前記板バネ90は、前記リッド40に組付ける基端部91と、前記ストライカ80に当接する自由端93を有する。前記リッド40は、前記基端部91を重ねるバネ取付面101と、前記基端部91の位置決め孔91bを嵌合する位置決めピン102を備える。前記操作部材50は、前記自由端93側を仮り保持するバネ保持部120を備える。上向き状態の前記バネ取付面101に対して、前記基端部91が仮り組み状態で、前記バネ保持部120は前記自由端93側を保持する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有している収納本体に対し、前記開口を開閉する方向へ回動可能に支持されているリッドを、ロックすることが可能なロック装置において、
前記リッドに回動可能に支持されている操作部材と、
この操作部材に設けられているラッチと、
このラッチを係合可能に前記収納本体に設けられているストライカと、
このストライカに前記ラッチが係合している状態で、前記ストライカに対して前記リッドを開き方向へ付勢する板バネとを備え、
前記板バネは、前記リッドに組み付け可能な基端部と、前記ストライカに当接可能な自由端となる先端部を有し、
前記基端部は、前記板バネの板面方向に貫通した位置決め孔を有し、
前記リッドは、前記基端部を重ね合わせ可能なバネ取付面と、このバネ取付面に重なった前記基端部の前記位置決め孔を嵌合可能な位置決めピンとを備え、
前記操作部材は、前記リッドに組み付けられている状態のときに、前記板バネのなかの前記自由端側を仮り保持することが可能なバネ保持部を備え、
このバネ保持部は、上向き状態の前記バネ取付面に対して前記基端部が重なっている仮り組み状態の場合に、前記板バネの前記自由端側の自重を保持することが可能に、前記板バネに向いている、ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記バネ取付面が前記上向き状態の場合に、前記バネ取付面の位置に対して、前記バネ保持部の、前記板バネに向いている先端が少なくとも同じ高さに位置しており、
前記バネ保持部の前記先端によって、前記板バネの前記自由端側の自重を保持している状態では、前記位置決め孔は前記位置決めピンに対して嵌合している、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記バネ保持部は、前記操作部材に形成されている補強リブによって構成されている、請求項1に記載のロック装置。
【請求項4】
前記板バネの前記基端部が前記バネ取付面に対して完全に取り付けられた状態では、前記板バネの前記自由端側は、前記バネ保持部から離反している、請求項1に記載のロック装置。
【請求項5】
第1部材に回動可能に支持されている第2部材を、前記第1部材に対してロックすることが可能な、ロック装置において、
前記第2部材に回動可能に支持されている操作部材と、
この操作部材に設けられているラッチと、
このラッチを係合可能に前記第1部材に設けられているストライカと、
このストライカに前記ラッチが係合している状態で、前記ストライカに対して前記第2部材を開き方向へ付勢する板バネとを備え、
前記板バネは、前記第2部材に組み付け可能な基端部と、前記ストライカに当接可能な自由端となる先端部を有し、
前記基端部は、前記板バネの板面方向に貫通した位置決め孔を有し、
前記第2部材は、前記基端部を重ね合わせ可能なバネ取付面と、このバネ取付面に重なった前記基端部の前記位置決め孔を嵌合可能な位置決めピンとを備え、
前記操作部材は、前記第2部材に組み付けられている状態のときに、前記板バネのなかの前記自由端側を仮り保持することが可能なバネ保持部を備え、
このバネ保持部は、上向き状態の前記バネ取付面に対して前記基端部が重なっている仮り組み状態の場合に、前記板バネの前記自由端側の自重を保持することが可能に、前記板バネに向いており、
前記板バネの前記基端部が前記バネ取付面に対して完全に取り付けられた状態では、前記板バネの前記自由端側は、前記バネ保持部から離反していることを特徴とするロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に回動可能に支持されている第2部材を、第1部材に対してロックすることが可能な、ロック装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用グローブボックス等の収納装置は、開口を有している収納本体(第1部材)と、この収納本体に対して開口を開閉する方向へ回動可能に支持されているリッド(第2部材)とを備えている。この収納装置のロック装置は、収納本体に対してリッドを閉鎖状態にロックするとともに、操作ハンドルの操作によってロック状態を解除することができる。このようなロック装置に関する従来技術として、例えば特許文献1(
図2、
図5参照)に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるロック装置は、収納本体のストライカにリッドのラッチが係合している状態で、ストライカに対してリッドを開き方向へ付勢する板バネとを備えている。このため、閉じた状態のリッドの、がたつきを抑えることができる。
【0004】
板バネの取付構造は次のとおりである。リッドの裏面には、ロックボディが固定されている。このロックボディの裏面には、起立した位置決め用のピンが設けられている。さらに、ロックボディの縁の一部から裏側へ起立した起立片には、ロックボディの裏面に沿う方向へ貫通した係合孔が形成されている。ロックボディの裏面には、板バネの基端部が重ねられる。この基端部の縁には、係合孔に係合するための係合突部(係合爪)が形成されている。さらに基端部には、ピンに嵌め込む係合孔を有する。
【0005】
リッドのロックボディに板バネの基端部を取り付けるには、先ずロックボディの係合孔に基端部の係合突部を差し込む(掛け止める)。次に、ピンに係合孔を嵌め込んで位置合わせをしつつ、ロックボディの裏面に板バネの基端部を重ねる。この結果、板バネの基端部は、ロックボディに対して仮り組み状態となる。この仮り組み状態の場合に、係合突部が係合孔に係合されているので、板バネの自由端側が自重によって下方へ倒れることはない。最後に、ロックボディに対して基端部をボルトによって完全に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示されるロック装置の板バネを仮り組みするには、係合孔に係合突部を掛け止める工程(第1工程)と、ピンに係合孔を嵌め込みつつロックボディの裏面に板バネの基端部を重ねる工程(第2工程)とが、必要である。しかも、ロックボディの縁に起立片を設けるとともに、この起立片に係合孔を形成する工程が必要がある。従って、組立て作業効率及び組立て工数の改善を図るには改良の余地がある。
【0008】
本開示は、ロック装置の組立て作業効率及び組立て工数の改善を図る技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、第1に、開口を有している収納本体に対し、前記開口を開閉する方向へ回動可能に支持されているリッドを、ロックすることが可能なロック装置において、
前記リッドに回動可能に支持されている操作部材と、
この操作部材に設けられているラッチと、
このラッチを係合可能に前記収納本体に設けられているストライカと、
このストライカに前記ラッチが係合している状態で、前記ストライカに対して前記リッドを開き方向へ付勢する板バネとを備え、
前記板バネは、前記リッドに組み付け可能な基端部と、前記ストライカに当接可能な自由端となる先端部を有し、
前記基端部は、前記板バネの板面方向に貫通した位置決め孔を有し、
前記リッドは、前記基端部を重ね合わせ可能なバネ取付面と、このバネ取付面に重なった前記基端部の前記位置決め孔を嵌合可能な位置決めピンとを備え、
前記操作部材は、前記リッドに組み付けられている状態のときに、前記板バネのなかの前記自由端側を仮り保持することが可能なバネ保持部を備え、
このバネ保持部は、上向き状態の前記バネ取付面に対して前記基端部が重なっている仮り組み状態の場合に、前記板バネの前記自由端側の自重を保持することが可能に、前記板バネに向いている、ことを特徴とするロック装置が提供される。
【0010】
第2に、好ましくは、第1に記載のロック装置であって、前記バネ取付面が前記上向き状態の場合に、前記バネ取付面の位置に対して、前記バネ保持部の、前記板バネに向いている先端が少なくとも同じ高さに位置しており、
前記バネ保持部の前記先端によって、前記板バネの前記自由端側の自重を保持している状態では、前記位置決め孔は前記位置決めピンに対して嵌合している。
【0011】
第3に、好ましくは、第1~第2に記載のロック装置であって、前記バネ保持部は、前記操作部材に形成されている補強リブによって構成されている。
【0012】
第4に、好ましくは、第1~第3に記載のロック装置であって、前記板バネの前記基端部が前記バネ取付面に対して完全に取り付けられた状態では、前記板バネの前記自由端側は、前記バネ保持部から離反している。
【0013】
本発明によれば、第5に、第1部材に回動可能に支持されている第2部材を、前記第1部材に対してロックすることが可能な、ロック装置において、
前記第2部材に回動可能に支持されている操作部材と、
この操作部材に設けられているラッチと、
このラッチを係合可能に前記第1部材に設けられているストライカと、
このストライカに前記ラッチが係合している状態で、前記ストライカに対して前記第2部材を開き方向へ付勢する板バネとを備え、
前記板バネは、前記第2部材に組み付け可能な基端部と、前記ストライカに当接可能な自由端となる先端部を有し、
前記基端部は、前記板バネの板面方向に貫通した位置決め孔を有し、
前記第2部材は、前記基端部を重ね合わせ可能なバネ取付面と、このバネ取付面に重なった前記基端部の前記位置決め孔を嵌合可能な位置決めピンとを備え、
前記操作部材は、前記第2部材に組み付けられている状態のときに、前記板バネのなかの前記自由端側を仮り保持することが可能なバネ保持部を備え、
このバネ保持部は、上向き状態の前記バネ取付面に対して前記基端部が重なっている仮り組み状態の場合に、前記板バネの前記自由端側の自重を保持することが可能に、前記板バネに向いており、
前記板バネの前記基端部が前記バネ取付面に対して完全に取り付けられた状態では、前記板バネの前記自由端側は、前記バネ保持部から離反していることを特徴とするロック装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ロック装置の組立て作業効率及び組立て工数の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1Aは実施例による開放状態のロック装置を備えた収納装置を説明する図、
図1Bは実施例による全閉状態のロック装置を備えた収納装置を説明する図である。
【
図2】
図1Bに示されるリッドを裏側から見た斜視図である。
【
図3】
図2に示されるロック装置を3矢視線方向から見て上下逆さに示した拡大図である。
【
図6】
図5に示される板バネとバネ取付部とバネ保持部とを分解した斜視図である。
【
図7】
図5に示されるバネ取付部に板バネを仮り組みした状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
【0017】
<実施例>
図1~
図8を参照しつつ、実施例のロック装置10を説明する。
【0018】
図1Aは、ロック装置10を備えた収納装置20を示している。この収納装置20は、例えば車両用グローブボックスとして用いられる。この収納装置20は、開口31を有している樹脂製の収納本体30(第1部材30)と、この収納本体30に対し、開口31を開閉する方向へ回動可能に支持されている樹脂製のリッド40(第2部材40)とを備えている。
【0019】
ロック装置10は、収納本体20に対してリッド40をロックすることが可能な構成である。
図1Bに示されるように、このロック装置10は、リッド40の全閉状態から、操作部材50を開き操作(矢印R1方向にスイング操作)することによって、
図1Aに示されるリッド40の開放状態にできる。
【0020】
説明中、前、後、左、右、上、下とは、収納装置20をリッド40の開閉方向から見た左、前、後、右、上、下をそれぞれ意味することとする。図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0021】
図2に示されるように、リッド40は、裏面41の下端部41aの左右に、収納本体30に支持軸(図示せず)によって回動可能に支持される被支持部42,42を備えている。さらに、リッド40の上端部43には、
図1A及び
図2に示されるように、操作部材50を配置するための操作用開口44と、この操作用開口44からリッド40の裏面41側へ窪んだ操作用凹部45とが形成されている。この操作用凹部45は、リッド40から裏面41側へ膨出した膨出部46によって形成される。
【0022】
図2~
図5に示されるように、操作部材50(操作ハンドル50)は、樹脂成型品であって、リッド40の操作用開口44に位置している。この操作部材50は、水平な支持軸51によってリッド40に回動可能(スイング可能)に支持されている。操作部材50の裏面52には、ストッパ53,53が一体に設けられている。つまり、このストッパ53,53は、操作部材50に一体に形成されている樹脂成型品である。このストッパ53,53がリッド40の裏面41に当接することによって、閉鎖状態の操作部材50の表面54は、リッド40の表面47に面一に位置する(
図5参照)。さらに、操作部材50は、リターンスプリング61によって閉鎖側へ付勢されている。このリターンスプリング61は、例えば、ねじりコイルばねによって構成される。
【0023】
図1Bに示されるように、操作部材50の下縁に手を掛けて手前に引くことにより、操作部材50はリターンスプリング61の付勢力に抗して、反時計回り(
図1Bの矢印R1方向)に回動する。その後に、操作部材50から手を離すと、この操作部材50はリターンスプリング61の付勢力によって、元の閉鎖位置に自動復帰する。
【0024】
図3~
図5に示されるように、ロック装置10は、操作部材50に設けられているラッチ70と、このラッチ70が係合可能に収納本体30(
図1A参照)に設けられているストライカ80と、このストライカ80を付勢するようにリッド40に取付けられている板バネ90と、を備えている。
【0025】
ストライカ80は、収納本体30からリッド40の裏面41に向かって延びた、略U字状(コ字状)の部材である。詳しく述べると、このストライカ80は、収納本体30からリッドの裏面41に向かって延びた一対のアーム81,81と、このアーム81,81の先端同士を繋いでいるストライカ本体82とによって構成されている。このストライカ本体82は、閉鎖状態の操作部材50の裏面52に対して平行なバーである。
【0026】
ラッチ70は、例えば、操作部材50の裏面52の一端(上端)からストライカ80へ向かって延びた、逆L字状の構成である。このラッチ70は、操作部材50の裏面52からストライカ80に沿うように延びた脚部71と、この脚部71の先端からストライカ本体82へ掛け止め可能に延びた掛け止め爪部72とによって構成されている。このラッチ70は、操作部材50に一体に形成されている樹脂成型品である。
【0027】
操作部材50がリッド40に対して閉鎖状態にある場合には、ラッチ70の掛け止め爪部72はストライカ本体82へ当接した状態、つまり掛け止められた係合状態(ロック状態)にある。その後、操作部材50を回動させることにより、掛け止め爪部72は操作部材50と共に回動して、ストライカ本体82から離反して外れる(ロック解除)。
【0028】
図5に示されるように、板バネ90は、ストライカ80に対するラッチ70の係合時(ロック状態のとき)に、ストライカ80に当接することによって、ストライカ80に対してリッド40を開き方向R2(矢印R2方向)へ付勢する。
【0029】
図6も参照すると、この板バネ90は、基端部91をリッド40のバネ取付部100に組み付けられているとともに、先端を自由端93としている。基端部91は、バネ取付部100に取り付け可能な貫通した取付孔91aと、この取付孔91aの中心線CLに沿って貫通した位置決め孔91b及び位置決め凹部91cとを有している。
【0030】
図3~
図6に示されるように、リッド40は、裏面41に一体に形成された樹脂製のバネ取付部100を備えている。このバネ取付部100は、操作用開口44に対し、支持軸51の軸線方向の一方側に位置している。バネ取付部100のバネ取付面101は、板バネ90の基端部91の板面を重ね且つ取り付け可能な平坦面であって、リッド40の裏面41に対して平行である。さらに、
図5に示されるように、リッド40が閉鎖状態にあるときには、バネ取付面101はストライカ本体82よりもリッド40の裏面41寄りに位置している。
【0031】
さらに
図4及び
図6に示されるように、バネ取付部100は、板バネ90の基端部91の位置決め孔91bに嵌合可能な位置決めピン102と、基端部91の位置決め凹部91cに嵌合可能な位置決め凸部103とを備えている。位置決めピン102及び位置決め凸部103は、バネ取付部100から板バネ90の基端部91へ向かって延びている。バネ取付面101に板バネ90の基端部91を重ね合わせ、位置決めピン102に基端部91の位置決め孔91bを嵌め込むとともに、位置決め凸部103に基端部91の位置決め凹部91cを嵌め込むことによって、リッド40に対する板バネ90の位置を正確に合わせることができる。
【0032】
さらに、板バネ90の基端部91は、バネ取付部100に固定手段110によって固定される。この固定手段110は、例えば板バネ90の取付孔91aを挿通したビスやタッピングビス等のネジ部材111によって構成される。バネ取付部100に有しているネジ孔104に、取付孔91aを挿通したネジ部材111をねじ込むことによって板バネ90の基端部91は、バネ取付部100に取り付けることができる。なお、固定手段110は、ネジ部材111に限定されるものではなく、例えばリベットや熱カシメであってもよい。
【0033】
板バネ90について、より詳しく説明する。
図5及び
図6に示されるように、この板バネ90は、バネ取付部100に取り付けられた上述の水平な基端部91と、この基端部91の端91dからストライカ本体82(リッド40の裏面41とは反対側)へ向かって斜め上に延びている弾性部92と、この弾性部92の先端に有している当接部93(自由端93)とによって構成されている。
【0034】
図5に示されるように、ストライカ80に対するラッチ70の係合時(ロック状態のとき)に、板バネ90の当接部93は、弾性部92の付勢力によって、ストライカ本体82をラッチの掛け止め爪部72へ向かって押し付ける。
【0035】
図7に示されるように、板バネ90は、バネ取付面101を上向き状態にして組み付けることが好ましい。その場合に、上向き状態のバネ取付面101に対して基端部91が重なっている仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側は自重によって、リッド40側へ倒れようとする。つまり、
図8に示されるように、板バネ90は、基端部91の端91d(基端部91と弾性部92との境界91d)の位置を、支点Suとして、自由端93側へ倒れる。
【0036】
これに対して本実施例では、
図7に示されるように、操作部材50は、リッド40に組み付けられた状態で、板バネ90のなかの自由端93側を仮り保持することが可能なバネ保持部120を備えている。このバネ保持部120は、上向き状態のバネ取付面101に対して板バネ90の基端部91が重なっている(載置されている)仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側の自重を保持することが可能に、板バネ90に向いている。
【0037】
このバネ保持部120は、操作部材50に形成されている補強リブ121によって構成されている。この補強リブ121は、例えば
図3に示されるように、操作部材50とストッパ53とラッチ70の脚部71とを繋いでいる(一体成型されている)、縦板状の部材によって構成されている。この補強リブ121によってバネ保持部120を兼ねることができる。なお、補強リブ121の用途、種類、形状、大きさは任意である。
【0038】
図7及び
図8に示されるように、バネ取付面101が上向き状態の場合に、バネ取付面101の位置に対して、バネ保持部120の、板バネ90に向いている先端122が、同じ高さまたは上位に位置している。例えば、バネ保持部120の先端122は、バネ取付面101よりも上位に位置している。バネ取付面101に対する弾性部92の傾き角はθである。この傾き角θの大きさは任意であり、
図5に示されるように、板バネ90がバネ取付面101に完全に取り付けられた状態で、板バネ90の動作にバネ保持部120の先端122が干渉しない適切な大きさに設定される。
【0039】
図7及び
図8に示されるように、バネ取付面101に対する位置決めピン102の長さL1は、バネ保持部120によって板バネ90の自由端93側を保持している状態では、位置決めピン102が位置決め孔91bに嵌合している長さL2よりも長い。このため、位置決め孔91bは位置決めピン102に対して嵌合している。
【0040】
図5に示されるように、板バネ90の基端部91がバネ取付面101に完全に取り付けられた状態では、板バネ90の自由端93側は、バネ保持部120から離反している。
【0041】
図5に示されるように、ストライカ80にラッチ70が係合している状態では、板バネ90の自由端93は、ストライカ80のストライカ本体82をラッチ70の掛け止め爪部72へ向かって付勢している。この結果、板バネ90には反力が作用する。板バネ90は、ストライカ本体82に当接している自由端93を支点とし、ストライカ80に対してリッド40を開き方向R2(矢印R2方向)へ付勢する。
【0042】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、リッド40に対する板バネ90の組み付け手順を説明する。
【0043】
先ず、
図7に示されるように、リッド40に操作部材50を組み付ける。
次に、リッド40の表面47を下向きにして、水平な組み付け台200(載置台200)の上に載置する。この状態では、閉鎖状態の操作部材50の表面54は、リッド40の表面47に面一に位置している。
【0044】
次に、上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねる。このときには、
図6に示されるように、位置決めピン102に基端部91の位置決め孔91bを嵌め込むとともに、位置決め凸部103に基端部91の位置決め凹部91cを嵌め込むことによって、リッド40に対する板バネ90の位置を合わせる。バネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねたときには、板バネ90の自由端93が自重によって下がるものの、バネ保持部120の先端122によって保持される。従って、板バネ90の傾きは、バネ取付面101に対する安定した仮り組み状態を、維持することができる。
【0045】
次に、固定手段110によって、バネ取付部100に基端部91を完全に固定する。この結果、板バネ90の自由端93側は、バネ保持部120から離反する。
これで、リッド40に対する板バネ90の組み付け作業を完了する。
【0046】
上記実施例の説明をまとめると、次の通りである。
【0047】
図1~
図8に示されるように、ロック装置10は、開口31を有している収納本体20(第1部材30)に対し、開口31を開閉する方向へ回動可能に支持されているリッド40(第2部材40)を、ロックすることが可能な構成である。このロック装置10は、リッド40に回動可能に支持されている操作部材50と、この操作部材50に設けられているラッチ70と、このラッチ70を係合可能に収納本体20に設けられているストライカ80と、このストライカ80にラッチ70が係合している状態で、ストライカ80に対してリッド40を開き方向R2(矢印R2方向)へ付勢する板バネ90とを備えている。
【0048】
板バネ90は、リッド40に組み付け可能な基端部91と、ストライカ80に当接可能な自由端となる先端部93を有している。基端部91は、板バネ90の板面方向に貫通した位置決め孔91bを有している。リッド40は、基端部91を重ね合わせ可能なバネ取付面101と、このバネ取付面101に重なった基端部91の位置決め孔91bを嵌合可能な位置決めピン102とを備えている。操作部材50は、リッド40に組み付けられている状態のときに、板バネ90のなかの自由端93(先端部93)側を仮り保持することが可能なバネ保持部120を備えている。このバネ保持部120は、上向き状態のバネ取付面101に対して基端部91が重なっている仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側の自重を保持することが可能に、板バネ90に向いている。
【0049】
図7及び
図8に示されるように、リッド40のバネ取付部100に板バネ90を組み付けるときには、バネ取付部100のバネ取付面101を上向き状態にする。上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねる、仮り組み状態の場合に、基端部91の位置決め孔91bを、位置決めピン102に位置合わせをして嵌め込むことになる。
【0050】
しかし、上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねる、仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側は自重によって下方へ倒れようとする。
【0051】
これに対し、板バネ90の自由端93側を、バネ保持部120によって仮りに保持することにより、自由端93側の倒れを規制することができる。このため、バネ取付面101に対する板バネ90の基端部91の仮り組み状態を、安定して維持することができる。この結果、バネ取付面101に対する、板バネ90の脱落を防止することができる。位置決め孔91bが位置決めピン102から外れないので、バネ取付面101に対する板バネ90の位置を確実に維持することができる。
【0052】
このように、上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねつつ、この基端部91の位置決め孔91bを、位置決めピン102に嵌め込むだけの、単一の工程によって、バネ取付面101に対する板バネ90の仮り組み状態を、容易に且つ確実に維持することができる。その後に、バネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を固定手段110により完全に取り付けることができる。この結果、ロック装置10の組立て作業効率及び組立て工数の改善を図ることができる。
【0053】
さらには、
図7に示されるように、バネ取付面101が上向き状態の場合に、バネ取付面101の位置に対して、バネ保持部120の、板バネ90に向いている先端122が少なくとも同じ高さに位置している。バネ保持部120の先端122によって、板バネ90の自由端93側の自重を保持している状態では、位置決め孔91bは位置決めピン102に対して嵌合している。
【0054】
このように、バネ保持部120の先端122が、バネ取付面101に対して少なくとも同じ高さなので、板バネ90の自由端93側の倒れを極力抑制することができる。このため、バネ取付面101に対する板バネ90の基端部91の傾きを、極力抑制することができる。その分、位置決めピン102の長さを短く設定しても、位置決めピン102に対する位置決め孔91bの嵌合状態を維持することができる。位置決めピン102の長さを短くすることによって、位置決めピン102に対する位置決め孔91bの嵌め込み作業が容易となる。
【0055】
さらには、
図3及び
図7に示されるように、バネ保持部120は、操作部材50に形成されている補強リブ121によって構成される。このように、操作部材50の補強リブ121によってバネ保持部120を構成する(兼ねる)ので、このバネ保持部120を構成するための別個の部材は必要ない。このため、バネ保持部120を簡略化することができる。
【0056】
さらには、
図5に示されるように、板バネ90の基端部91がバネ取付面101に対して完全に取り付けられた状態では、板バネ90の自由端93側は、バネ保持部120から離反している。このため、操作部材50の操作に影響を及ぼすことがない。例えば、
図1Bに示されるようにリッド40の全閉状態において、操作部材50を開き操作(矢印R1方向にスイング操作)したときには、
図3に示されるストッパ53及びバネ保持部120の先端122も同方向へ回動して、板バネ90に接近する。しかし、板バネ90とバネ保持部120が互いに離反している(隙間を有している)ことにより、操作部材50の操作時であっても、バネ保持部120が板バネ90に干渉することはない。このため、操作部材50の操作に影響を及ぼすことはない。
【0057】
図1~
図8に示されるように、ロック装置10は、言い換えると、第1部材30(収納本体30)に回動可能に支持されている第2部材40(リッド40)を、第1部材30に対してロックすることが可能な構成である。このロック装置10は、第2部材40に回動可能に支持されている操作部材50と、この操作部材50に設けられているラッチ70と、このラッチ70を係合可能に第1部材30に設けられているストライカ80と、このストライカ80にラッチ70が係合している状態で、ストライカ80に対して第2部材40を開き方向R2(矢印R2方向)へ付勢する板バネ90とを備えている。
【0058】
板バネ90は、第2部材40に組み付け可能な基端部91と、ストライカ80に当接可能な自由端93となる先端部93を有している。基端部91は、板バネ90の板面方向に貫通した位置決め孔91bを有している。第2部材40は、基端部91を重ね合わせ可能なバネ取付面101と、このバネ取付面101に重なった基端部91の位置決め孔91bを嵌合可能な位置決めピン102とを備えている。操作部材50は、第2部材40に組み付けられている状態のときに、板バネ90のなかの自由端93側を仮り保持することが可能なバネ保持部120を備えている。このバネ保持部120は、上向き状態のバネ取付面101に対して基端部91が重なっている仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側の自重を保持することが可能に、板バネ90に向いている。板バネ90の基端部91がバネ取付面101に対して完全に取り付けられた状態では、板バネ90の自由端93側は、バネ保持部から離反している。
【0059】
図7及び
図8に示されるように、リッド40のバネ取付部100に板バネ90を組み付けるときには、バネ取付部100のバネ取付面101を上向き状態にする。上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねる、仮り組み状態の場合に、基端部91の位置決め孔91bを、位置決めピン102に位置合わせをして嵌め込むことになる。
【0060】
しかし、上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねる、仮り組み状態の場合に、板バネ90の自由端93側は自重によって下方へ倒れようとする。
【0061】
これに対し、板バネ90の自由端93側を、バネ保持部120によって仮りに保持することにより、自由端93側の倒れを規制することができる。このため、バネ取付面101に対する板バネ90の基端部91の仮り組み状態を、安定して維持することができる。この結果、バネ取付面101に対する、板バネ90の脱落を防止することができる。位置決め孔91bが位置決めピン102から外れないので、バネ取付面101に対する板バネ90の位置を確実に維持することができる。
【0062】
このように、上向き状態のバネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を上から重ねつつ、この基端部91の位置決め孔91bを、位置決めピン102に嵌め込むだけの、単一の工程によって、バネ取付面101に対する板バネ90の仮り組み状態を、容易に且つ確実に維持することができる。その後に、バネ取付面101に対して、板バネ90の基端部91を固定手段110により完全に取り付けることができる。この結果、ロック装置10の組立て作業効率及び組立て工数の改善を図ることができる。
【0063】
しかも、
図5に示されるように、板バネ90の基端部91がバネ取付面101に対して完全に取り付けられた状態では、板バネ90の自由端93側は、バネ保持部120から離反しているので、板バネ90の付勢力の安定化を図ることができる。
【0064】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
例えば、ラッチ70の形状は逆L字状の構成に限定されるものではなく、例えばU字状の構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のロック装置10は、車両用グローブボックスとして用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0066】
10 ロック装置
20 収納装置
30 収納本体(第1部材)
31 開口
40 リッド(第2部材)
50 操作部材
70 ラッチ
80 ストライカ
90 板バネ
91 基端部
91b 位置決め孔
93 自由端(先端部)
100 バネ取付部
101 バネ取付面
102 位置決めピン
110 固定手段
120 バネ保持部
121 操作部材に形成されている補強リブ
122 バネ保持部の先端
R2 ストライカに対する第2部材の開き方向