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特開2024-111860麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111860
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/20 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A63F9/20 512G
A63F9/20 511Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016523
(22)【出願日】2023-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】300015104
【氏名又は名称】株式会社サン・コンピュータ
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】三浦 克之
(57)【要約】
【課題】専用の麻雀卓および麻雀牌を用意することなく麻雀の和了時の点数を計算できる麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラムを提供すること。
【解決手段】和了した対局者の手牌である和了手牌を含む所定の領域の画像を取得する画像取得部24と、対局者からの音声を取得する音声取得部25と、取得した画像の和了手牌500に含まれている牌の種類および取得した音声について記憶部26に記憶されている麻雀役データ261を参照して役を特定し、特定した役、取得した画像から認識した本場数、および認識した親番について、点数計算データ262を参照して和了時の点数を計算する制御部21とを備えた麻雀点数計算システム1とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麻雀の役を示す麻雀役データと、麻雀の点数計算に用いる点数計算データとを記憶する記憶部と、
和了した対局者の手牌である和了手牌を含む所定の領域の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に写った前記和了手牌に含まれている牌の種類を認識する和了手牌認識部と、
前記画像に写った前記和了手牌の周辺に配置された牌および点棒を認識する和了手牌周辺認識部と、
親番の前記対局者を認識する親番対局者認識部と、
前記対局者からの音声を取得する音声取得部と、
取得した前記音声の内容を認識する音声認識部と、
前記和了手牌認識部によって認識した前記和了手牌と、前記和了手牌周辺認識部によって認識した前記和了手牌以外の牌および点棒と、前記音声認識部によって認識した前記音声とに基づいて、前記麻雀役データを参照して役を特定する役特定部と、
前記役特定部によって特定した役、前記和了手牌周辺認識部によって認識した点棒、および前記親番対局者認識部によって認識した親番に基づいて、前記点数計算データを参照して和了時の点数を計算する和了点数計算部とを備えた
麻雀点数計算システム。
【請求項2】
前記麻雀役データは、役名を示す役名データと当該役名の役が成立する条件を示す成立条件データとを有し、
前記成立条件データは、成立条件となる麻雀牌の種別を示す牌種データと、成立条件となる点棒を示す点棒データと、成立条件となる音声を示す音声関連データを有し、
前記役特定部は、少なくとも、
前記和了手牌認識部で認識した和了手牌について前記牌種データに一致する牌種の役の有無の認識と、
前記和了手牌周辺認識部でドラ表示牌と認識した牌に基づいて前記和了手牌にドラに該当する牌が含まれるか否かの認識と、
前記和了手牌周辺認識部で認識した点棒から立直の有無と積み棒の数の認識と、
前記音声認識部で認識した役の有無の認識を行い、これらの認識に基づいて役を特定する構成である
請求項1記載の麻雀点数計算システム。
【請求項3】
前記和了手牌周辺認識部は、前記和了手牌の周辺の所定の領域である点棒認識領域に配置された千点棒を立直棒として認識し、前記点棒認識領域に配置された百点棒を積み棒として認識する
請求項2記載の麻雀点数計算システム。
【請求項4】
前記画像取得部は、麻雀卓の上方で前記麻雀卓の卓上と対向する位置に、前記卓上の全面を画像取得可能に配置されている
請求項3記載の麻雀点数計算システム。
【請求項5】
麻雀の役を示す麻雀役データと、麻雀の点数計算に用いる点数計算データとを記憶手段によって記憶し、
和了した対局者の手牌である和了手牌を含む所定の領域の画像を画像取得手段によって取得し、
前記画像に写った前記和了手牌に含まれている牌の種類を和了手牌認識手段によって認識し、
前記画像に写った前記和了手牌の周辺に配置された牌および点棒を和了手牌周辺認識手段によって認識し、
親番の前記対局者を親番対局者認識手段によって認識し、
前記対局者からの音声を音声取得手段によって取得し、
取得した前記音声の内容を音声認識手段によって認識し、
前記和了手牌認識手段によって認識した前記和了手牌と、前記和了手牌周辺認識手段によって認識した前記和了手牌以外の牌および点棒と、前記音声認識手段によって認識した前記音声とに基づいて、役特定手段によって前記麻雀役データを参照して役を特定し、
前記役特定手段によって特定した役、前記和了手牌周辺認識手段によって認識した点棒、および前記親番対局者認識手段によって認識した親番に基づいて、和了点数計算手段によって前記点数計算データを参照して和了時の点数を計算する
麻雀点数計算方法。
【請求項6】
コンピュータを、
麻雀の役を示す麻雀役データと、麻雀の点数計算に用いる点数計算データとを記憶する記憶部と、
和了した対局者の手牌である和了手牌を含む所定の領域の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に写った前記和了手牌に含まれている牌の種類を認識する和了手牌認識部と、
前記画像に写った前記和了手牌の周辺に配置された牌および点棒を認識する和了手牌周辺認識部と、
親番の前記対局者の席の位置を認識する親番対局者認識部と、
前記対局者からの音声を取得する音声取得部と、
取得した前記音声の内容を認識する音声認識部と、
前記和了手牌認識部によって認識した前記和了手牌と、前記和了手牌周辺認識部によって認識した前記和了手牌以外の牌および点棒と、前記音声認識部によって認識した前記音声とに基づいて、前記麻雀役データを参照して役を特定する役特定部と、
前記役特定部によって特定した役、前記和了手牌周辺認識部によって認識した点棒、および前記親番対局者認識部によって認識した親番に基づいて、前記点数計算データを参照して和了時の点数を計算する和了点数計算部として機能させる
麻雀点数計算プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、麻雀の和了の点数を計算する麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
麻雀の和了時の点数計算は、牌の組み合わせによる役、符、流局や親番の連荘によって変動する本場といった要素の組み合わせで行われる。このような点数計算は、麻雀を遊ぶ対局者が、あらかじめ各自で覚えるか、和了のたびに計算方法を調べることによって行われてきた。
このような麻雀の和了時の点数を計算する方法として、例えば、麻雀牌に非接触型ICチップを埋め込み、和了時において麻雀卓内に設けた読出し装置により非接触型ICチップのデータを読み出して、牌の位置から門前牌、副露牌及び和了牌を判断し、点数計算を行う麻雀牌和り点読み取り方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような麻雀牌和り点読み取り方法では、専用の麻雀卓と麻雀牌が必要であった。そのため、一般的な麻雀牌および麻雀卓を使用した場合であっても和了時の点数を計算できるシステムが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-8701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、専用の麻雀卓および麻雀牌を用意することなく麻雀の和了時の点数を計算できる麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、麻雀の役を示す麻雀役データと、麻雀の点数計算に用いる点数計算データとを記憶する記憶部と、和了した対局者の手牌である和了手牌を含む所定の領域の画像を取得する画像取得部と、前記画像に写った前記和了手牌に含まれている牌の種類を認識する和了手牌認識部と、前記画像に写った前記和了手牌の周辺に配置された牌および点棒を認識する和了手牌周辺認識部と、親番の前記対局者を認識する親番対局者認識部と、前記対局者からの音声を取得する音声取得部と、取得した前記音声の内容を認識する音声認識部と、前記和了手牌認識部によって認識した前記和了手牌と、前記和了手牌周辺認識部によって認識した前記和了手牌以外の牌および点棒と、前記音声認識部によって認識した前記音声とに基づいて、前記麻雀役データを参照して役を特定する役特定部と、前記役特定部によって特定した役、前記和了手牌周辺認識部によって認識した点棒、および前記親番対局者認識部によって認識した親番に基づいて、前記点数計算データを参照して和了時の点数を計算する和了点数計算部とを備えた麻雀点数計算システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、専用の麻雀卓および麻雀牌を用意することなく麻雀の和了時の点数を計算できる麻雀点数計算システム、麻雀点数計算方法、および麻雀点数計算プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】麻雀点数計算システムの構成の一例を示す正面図。
図2】麻雀卓の卓上における配置の一例を示す平面図。
図3】麻雀点数計算装置の外観の一例を示す斜視図。
図4】麻雀点数計算装置の構成の一例を示すブロック図。
図5a】点数計算時の牌および点棒の配置の一例を示す平面図。
図5b】点数計算時の牌および点棒の配置の別の一例を示す平面図。
図5c】点数計算時の牌および点棒の配置のさらに別の一例を示す平面図。
図6】麻雀役データ、点数計算データ、および一時記憶データのデータ構成図。
図7】麻雀点数計算のフロー図。
図8a】和了点数表示画面の一例を示す画面構成図。
図8b】支払い点数表示画面の一例を示す画面構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
麻雀は、萬子、索子、および筒子の図柄の各1から9までの牌(数牌)が各4枚ずつと、7種類の字の図柄の牌(字牌)が各4枚ずつの計136個の牌を用いて遊ぶ遊技である。参加している対局者は、これらの牌を14個組み合わせて、特定の牌の組み合わせで成立する役を完成させてあがり(和了)を目指す。和了した対局者は、完成した手牌を公開し、他の対局者から点数をもらう。点数は、完成した役の翻数、符といった手牌から判定される要因だけでなく、和了した対局者が親番であるか否かや、親番の連荘や流局によって増えた本場数がいくらかといった手牌以外の要因によっても変化する。役に対する翻数はその役の難易度を参照してあらかじめ決定されている。また、符は、和了した際の牌のつながり方によってあらかじめ決定されている。
【0010】
図1は、本実施例における本発明の麻雀点数計算システムの構成の一例を示す正面図である。
麻雀点数計算システム1は、麻雀点数計算装置2と、麻雀卓3とを備え、麻雀卓3を使用して行われている麻雀の対局について、和了した対局者の点数を麻雀点数計算装置2によって計算するシステムである。また、本実施例における麻雀点数計算システム1は、麻雀点数計算装置2を麻雀卓3の上方に配置させる吊り下げ式のスタンド4を備えている。
【0011】
図2は、麻雀卓3の卓上31における配置の一例を示す平面図である。
麻雀卓3は、平面視正方形のテーブル状の台であり、上面に麻雀牌および対局用の道具を配置する。麻雀卓3の卓上31には、136個の牌30について、4人の対局者のそれぞれの手牌301と、4人の対局者のそれぞれの捨て牌305と、ゲーム開始時の親番が誰であったかを示す起親表示札302と、対局者の前に積まれた山牌304と、卓上31の中央付近に配置されたサイコロ容器308と、サイコロ容器308に収容されたサイコロ306と、サイコロ306をサイコロ容器308内で駆動するためのサイコロスイッチ307とが配置されている。本実施例の麻雀卓3は、サイコロスイッチ307が操作された場合にサイコロ306を駆動する駆動部と、駆動部を制御する制御部(図示せず)を備えた自動麻雀卓である。
【0012】
牌30は、略直方体の形状を有し、最も広い面の一方において白地の無地、または白地に図柄が印刷または彫刻され、対向する他方の面が白色以外の無地となっている。
【0013】
起親表示札302は、一方の面に「東」、他方の面に「南」が書かれた薄板であって、卓上31の4角のいずれかに配置されている。また、起親表示札302は、起親の対局者から見て「東」または「南」の文字が正位置となる向きで配置されている。
【0014】
サイコロスイッチ307は、各対局者の正面に1つずつ配置され、各対局の開始時に親番の対局者によって操作される。サイコロスイッチ307が操作されると、図示省略する駆動部がサイコロ容器308の底面を回転させる等してサイコロ306をランダムに駆動する。また、サイコロスイッチ307は、内部に発光素子307aを備えている。そして、各対局の開始時に親番である対局者に最も近いサイコロスイッチ307の発光素子307aが、麻雀卓3の制御部によって発光および消灯されて点滅状態となる。したがって、発光素子307aは、親番の対局者を報知する親番対局者報知部として機能する。
【0015】
図3は、麻雀点数計算装置2の外観の一例を示す斜視図であり、図4は、麻雀点数計算装置2の構成の一例を示すブロック図である。
本実施例における麻雀点数計算装置2は、直方体の箱型であって、吊り下げ式のスタンド4によって麻雀卓3の上方に配置されている。また、麻雀点数計算装置2は、内部に制御部21および記憶部26を備え、麻雀卓3の卓上31と対向する面27(底面)に画像取得部24および音声取得部25を備え、底面と接する4つの面28(側面)に表示部23をそれぞれ備えている。麻雀点数計算装置2は、本発明におけるコンピュータとして機能する。
【0016】
制御部21は、演算部22を有し、麻雀点数計算装置2における各種演算および制御動作を実行する。演算部22は、CPUまたはMPUなどを含む演算処理部である。
【0017】
表示部23は、例えば、表示装置(ディスプレイ)である。表示装置としては、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)または有機ELディスプレイなどを用いることができる。表示部23は、4つの表示部23の面が4人の各対局者の正面上方となる位置に配置されている
【0018】
画像取得部24は、撮像素子(イメージセンサ)およびフォーカスレンズ等を有するカメラである。画像取得部24は、麻雀卓3の卓上31の全面を画像取得可能範囲200(図1参照)としている。
【0019】
音声取得部25は、例えば、音の波を電気信号に変換する機能を有するマイクである。なお、本実施例では、音声取得部25を底面27に備えているが、対局者から発せられた音声を取得可能であれば麻雀点数計算装置2のどこに設けられていてもよい。
【0020】
記憶部26は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの適宜のメモリで構成され、演算部22が麻雀点数計算装置2の動作を制御するための各種プログラムおよび各種データなどを記憶する。
【0021】
記憶部26は、本システムにおける麻雀点数計算装置2の点数計算の動作を実行するための点数計算プログラム264と、本システムの利用に必要となる認識用データ260と、麻雀役データ261と、点数計算データ262と、一時記憶データ263とを記憶している。
【0022】
認識用データ260は、制御部21が画像取得部24によって取得した画像に写っている麻雀牌および点棒の種類を判定するために参照する麻雀牌および点棒の各図柄の画像データと、和了宣言(「ロン」「ツモ」)、流局宣言(「流局」「テンパイ」「ノーテン」)、および役名の各音声データとにより構成されている。画像データは、1つの種類の牌および点棒の図柄について、正位置、逆位置、および横向きの画像を含む複数の画像データで構成されることが好ましい。これにより、牌および点棒の認識率を向上させることができる。
【0023】
制御部21は、音声取得部25によって取得した音声について認識用データ260の音声データを参照し、和了宣言およびその種類、流局宣言、または役名を認識する。より詳細には、制御部21は、対局中に発せられた音声について、その音声が認識用データ260の音声データ中のどの音声に該当するのかを特定する。特定方法としては、取得した音声と認識用データ260の音声データとの一致率が所定の閾値以上で、かつ最も一致率が高い音声と特定することができる。なお、制御部21による音声認識は、Apple Inc.のSiriや、Speach API Community GroupのWeb Speach APIなど、適宜の音声認識アプリケーションにより行ってもよい。この場合、音声取得部25によって取得した音声を音声認識アプリケーションに入力し、音声認識アプリケーションから出力された文字列が対象文字列か否かを判定するとよい。このような場合であっても、対象文字列である、和了宣言(「ロン」「ツモ」)、流局宣言(「流局」「テンパイ」「ノーテン」)、および役名を認識できる。
【0024】
図5aは、点数計算時の牌および点棒の配置の一例を示す平面図であり、図5bは、点数計算時の牌および点棒の配置の別の一例を示す平面図であり、図5cは、点数計算時の牌および点棒の配置のさらに別の一例を示す平面図である。
制御部21は、音声取得部25によって「ロン」または「ツモ」の音声を取得するとともに、画像取得部24によって取得した複数の連続した画像によっていずれかの対局者の手牌301が公開されたことを認識した場合にいずれかの対局者が和了したと判定する。このとき、制御部21は、取得した音声が「ロン」と「ツモ」のどちらであったかについて、認識用データ260の音声データを参照して特定する。また、制御部21は、音声取得部25によって取得した音声について、「流局」、「テンパイ」、または「ノーテン」のいずれかであることを認識用データ260の音声データを参照して特定し、かつ、画像取得部24によって取得した複数の連続した画像によって山牌304および全ての対局者の手牌301が崩されたことを認識した場合に、いずれの対局者も和了せずに流局した判定とする。
【0025】
制御部21は、卓上31において和了の判定後に山牌304と外縁との間の所定の領域で公開された手牌301(面前牌501)、手牌301の右側に配置された1つの牌(和了牌502)、および和了牌502のさらに右側に配置された複数の牌(副露牌506)を和了手牌500として認識する。本実施例では、山牌304と外縁との間の所定の領域として、和了手牌認識領域210が設けられている。そして、和了手牌認識領域210は、対局者から見て卓上31の右側の領域に配置された副露手牌認識領域213と、対局者から見て卓上31の正面の領域に配置された面前手牌認識領域214とを有する。より詳細には、制御部21は、対局開始時に卓上31において各山牌304の外側に立てて配置された複数の牌を手牌301と認識し、手牌301がすべて倒されて図柄が公開された場合、面前手牌認識領域214内で公開された手牌301を面前牌501として認識する。また、制御部21は、面前牌501の和了した対局者から見て右側に配置された1牌を和了牌502として認識する。さらに、制御部21は、和了した対局者から見て和了牌502のさらに右側に配置された副露手牌認識領域213内の3牌横並びまたは4牌横並びの牌のグループをそれぞれ副露牌506として認識する。このとき、図5aに示すように和了した副露手牌認識領域213内に牌が配置されていない場合は、副露牌506がないと認識する。また、図5cに示すように4牌横並びの牌のグループかつ両端が裏向けになっている副露牌506は、暗槓として認識する。
【0026】
制御部21は、和了手牌500の牌の枚数(面前牌501、和了牌502、および副露牌506の牌の数の合計)を認識する。このとき、副露牌506における4牌横並びの牌のグループ(槓材)は、3枚として扱う。そして、和了手牌500の牌の枚数が14牌である場合は、正しい和了手牌500として認識し、和了手牌500の牌の枚数が14牌でない場合は、「和了手牌を正しい位置に並べてください。正しい位置は、卓上における和了者の手前から牌山の間となります。和了手牌を横一列に隙間なく並べ、和了牌は一番右に少し間を空けて置いてください。鳴き牌は、和了者からみて卓上の右下に置いてください。ドラ表示牌は、表ドラ、裏ドラ共に和了手牌の向こう側に置いてください。立直棒と積み棒は和了手牌の手前に置いてください。」といったアナウンスを表示部23に表示する。このとき、立直棒や積み棒の位置もアナウンスすることで、立直の計算漏れや、積み棒の計算漏れを防止することができる。特に積み棒については、対局者により音声で発せられないこともあるため、そのような場合でもアナウンスにより積み棒の計算漏れを防止できる。なお、制御部21は、ゲーム進行を管理し、和了の有無と親番の移動を管理して、その対局中の積み棒を認識するように構成してもよい。この場合、制御部21が認識している積み棒の数と、点棒認識領域212に置かれた百点棒の数が一致するかどうか確認し、一致しない場合に点棒認識領域212に置かれている積み棒の数が正しいか問い合わせるアナウンスをすると良い。これにより、積み棒間違いをより精度よく防止することができる。
【0027】
制御部21は、面前牌501、和了牌502、および副露牌506を構成している牌の種類(図柄)を、認識用データ260の画像データを参照して特定する。より詳細には、制御部21は、面前牌501、和了牌502、および副露牌506を構成している牌について、その牌の図柄が認識用データ260の画像データ中のどの牌に該当するのかを特定する。特定方法としては、取得した画像に写った牌の図柄と認識用データ260の牌の画像データとの一致率が所定の閾値以上で、かつ最も一致率が高い牌と特定することができる。一致率の閾値は、適宜の値とすることができる。
【0028】
制御部21は、和了手牌500の周辺の所定の領域に配置された牌をドラ表示牌503として認識する。本実施例では、和了手牌500の周辺の所定の領域として、卓上31における公開された和了手牌500の向こう側にドラ表示牌認識領域211が設けられている。ドラ表示牌認識領域211は、和了手牌500の横幅と同程度の横幅で、山牌304から和了手牌500までの縦幅の範囲に設定されている。制御部21は、ドラ表示牌認識領域211内の表向きの牌をドラ表示牌503として認識する。そして、制御部21は、ドラ表示牌503の牌の種類を、認識用データ260の牌の画像データを参照して特定する。特定方法としては、取得した画像に写った牌の図柄と認識用データ260の牌の画像データとの一致率が所定の閾値以上で、かつ最も一致率が高い牌と特定することができる。一致率の閾値は、適宜の値とすることができる。このとき、図5aに示すようにドラ表示牌503が複数存在する(ドラ表示牌503a、503b)場合は、それぞれのドラ表示牌(503a、503b)の種類を特定する。また、制御部21は、ドラ表示牌認識領域211内の表向きの牌の枚数(ドラ表示牌503の牌の数)を認識する。そして、ドラ表示牌503の牌の数が8牌以下である場合は、正しいドラ表示牌503として認識し、ドラ表示牌503の牌の数が9牌以上である場合は、「ドラ表示牌を正しい位置に並べてください」といったアナウンスを表示部23に表示する。なお、和了手牌認識領域210、ドラ表示牌認識領域211、点棒認識領域212、副露手牌認識領域213、および面前手牌認識領域214は、4人の対局者に合わせて4つずつ設定されている。
【0029】
制御部21は、和了手牌500の周辺の所定の領域に配置された千点棒を立直棒504として認識する。本実施例では、和了手牌500の周辺の所定の領域として、卓上31における公開された和了手牌500の手前側に点棒認識領域212が設けられている。点棒認識領域212は、和了手牌500の横幅と同程度の横幅で、和了手牌500から卓上31の縁までの縦幅の範囲に設定されている。制御部21は、点棒認識領域212内に配置された点棒について認識用データ260の点棒の画像データを参照して、千点棒が配置されているかを特定する。特定方法としては、取得した画像に写った点棒と認識用データ260の千点棒の画像データとの一致率が所定の閾値以上であれば千点棒が配置されていると特定することができる。一致率の閾値は、適宜の値とすることができる。
【0030】
制御部21は、和了手牌500の周辺の所定の領域(点棒認識領域212)に配置された百点棒を積み棒505として認識する。本実施例では、制御部21は、点棒認識領域212内に配置された点棒について認識用データ260の点棒の画像データを参照して、百点棒が何本配置されているかを特定する。特定方法としては、取得した画像に写った点棒と認識用データ260の点棒の画像データとの一致率が所定の閾値以上であれば百点棒が配置されていると特定することができる。特定方法としては、取得した画像に写った点棒と認識用データ260の百点棒の画像データとの一致率が所定の閾値以上であれば百点棒が配置されていると特定することができる。一致率の閾値は、適宜の値とすることができる。
【0031】
なお、本実施例では、和了手牌500の向こう側にドラ表示牌認識領域211が設けられており、和了手牌500の手前側に点棒認識領域212が設けられているが、和了手牌500、ドラ表示牌認識領域211、および点棒認識領域212の位置関係は、これに限定されない。すなわち、山牌304と卓上31の縁との間で、ドラ表示牌認識領域211および点棒認識領域212が和了手牌500の周辺に設けられていれば、和了手牌500、ドラ表示牌認識領域211、および点棒認識領域212の奥手前方向の位置の順番を自由に設定することができる。例えば、対局者から見て和了手牌500が最も向こう側(山牌304側)に配置され、ドラ表示牌認識領域211が最も手前側(卓上31の縁側)に設けられ、和了手牌500とドラ表示牌認識領域211との間に点棒認識領域212が設けられていてもよい。
【0032】
図6は、麻雀役データ261、点数計算データ262、および一時記憶データ263のデータ構成図である。
麻雀役データ261は、各役について、役名を示す役名データ261a、役の成立条件を示す成立条件データ261b、役の翻数を示す翻数データ261cとが関連づけられて構成されている。成立条件データ261bは、1つの役名データ261aに対して1以上のデータで構成されており、画像により判別するための牌の種類を示す牌種データと、点棒(立直棒および積み棒)により判別するための点棒データと、音声認識により判別するための音声文字データと、自風または場風の一致で判断される風の条件を示す風条件データと、鳴きが行われたか否かの条件を判別するための鳴き条件データにより構成されている。牌種データは、1つの役が成立するためにあり得る全てのパターンが列挙して記憶されている。したがって、制御部21は、列挙されたパターンのどれか1つに該当すればその役の牌種を満たしたと判別する。例えば、一盃口の役であれば、牌種データとして、数牌の3種類(萬子、筒子、索子)それぞれについて、数字の7パターン(112233,223344,334455,445566,556677,667788,778899)が登録されており、鳴き条件データに「鳴き無し」の条件が登録されている。
なお、成立条件データ261bは1つのデータに1つのパターンを記憶して役名を示す役名データ261aと1対1対応とし、同じ役名のデータを複数記憶しておく構成としてもよい。この場合でも同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
すなわち、この成立条件データ261bは、制御部21が特定した面前牌501、和了牌502、および副露牌506を構成している牌の種類と、制御部21が特定した音声の種類の少なくとも一方について、制御部21が、和了手牌500において成立している役を判定するために参照するデータとして記憶されている。また、成立条件データ261bは、牌種データ、点棒データ、音声文字データ、風条件データ、および鳴き条件データをすべて有する構成であってもよいし、その役の判定に必要なデータのみを有する構成であってもよい。例えば、画像だけでは判定できない役(天和、嶺上開花など)、すなわち「牌種データ、点棒データ、風条件データ、および鳴き条件データのうちのいずれか1つ以上」から判定できない役の成立条件データ261bは、音声文字データを少なくとも有する。また、翻数データ261cには、役に対応した翻数がデータとして含まれているが、役満の役の翻数データ261cには、「役満」としてデータが含まれている。制御部21は、特定した面前牌501、和了牌502、および副露牌506の構成、これらを構成している牌の種類、これらを構成している牌の組み合わせ、制御部21が特定した点棒の種類、および制御部21が特定した音声の種類について成立条件データ261bを参照し、和了手牌500の成立役を特定する。なお、成立条件データ261bは、牌種データ、点棒データ、音声文字データ、風条件データ、および鳴き条件データをすべて有する構成であることが好ましい。このような構成であれば、制御部21が役の特定を行う場合に、より多くのデータを参照することができ、役の特定の精度を向上させることができる。
【0034】
例えば、立直の役の場合は、役名データ261aとして「立直」が記憶されており、成立条件データ261bとして「鳴き条件データが「鳴き無し」、点棒データとして「千点棒あり」であること」または「音声文字データが「立直」であること」のいずれかまたは両方が記憶されており、翻数データ261cとして「1」が記憶されている。また、例えば、嶺上開花の役の場合は、役名データ261aとして「嶺上開花」が記憶されており、成立条件データ261bとして音声文字データに「リンシャンカイホー」が記憶されており、翻数データ261cとして「1」が記憶されている。すなわち、画像から判定できる役(立直、平和など)の成立条件データ261bは、「牌種データ、点棒データ、風条件データ、および鳴き条件データのうちのいずれか1つ以上」および音声文字データの少なくとも一方を有し、画像から判定できない役(天和、嶺上開花など)の成立条件データ261bは、音声文字データを少なくとも有する。
【0035】
なお、制御部21は、和了手牌500に含まれている役を認識するときに、特定した面前牌501を構成している牌の種類(萬子、索子、筒子、および字牌)について、種類毎、かつ、数字が小さい順に並べ替える処理を行う。そして、面前牌501を構成している牌を面子毎に切り分ける。和了手牌500は、同じ種類の牌3つ、または連続した数字の牌3つを1つの面子として扱い、4つの面子を有している。また、和了手牌500は、同じ種類の牌2つを雀頭として有している。制御部21は、並べ替えた面前牌501について、面子および雀頭を特定する。このとき、制御部21は、面前牌501を複数の異なる面子として切り分けることが可能である場合は、それぞれの面子の組み合わせについて和了手牌500に含まれているすべての役を認識し、役による和了手牌500の点数を算出する際に、より高い点数であった方の和了手牌500の面子の組み合わせとする。また、制御部21は、面前牌501が「7組の同じ種類の牌2個ずつ」で構成されている場合は「七対子」の役と判定し、「萬子、索子、および筒子の1および9の牌とすべての字牌のうちいずれかが2つ、かつ残りが1つずつ」で構成されている場合は「国士無双」の役として判定する。なお、制御部21は、和了手牌500に役が1つも含まれていないと判定した場合は、「役なしです」といったアナウンスを表示部23に表示し、点数は表示しない。
【0036】
点数計算データ262は、手牌の組み合わせによる符の算出方法を示す符計算データ262aと、上位役の関係性を示す上位役関係データ262bと、合計翻数および符によって決定される素点の素点データ262cと、本場数によって決定される本場点データ262dとにより構成されている。
【0037】
符計算データ262aは、符数付与対象と、その符数付与対象が和了手牌500に含まれていた場合に付与される符数により構成されている。符数付与対象は、「基本符」「あがり方」「面子種別」「雀頭牌種別」「待ち形種別」の5つのタイプがある。制御部21は、特定した面前牌501、和了牌502、および副露牌506の構成、これらを構成している牌の種類、これらを構成している牌の組み合わせ、および音声の種類から、和了手牌500に含まれている符数付与対象をすべて抽出し、抽出した符数付与対象に割り当てられた符数をすべて加算して、和了手牌500の合計符数を算出する。例えば、ある和了手牌500が、符数付与対象として、基本符数(20符)と、「ツモ」による和了(2符)を含んでいた場合は、和了手牌500の合計符数は22符である。
【0038】
上位役関係データ262bは、制御部21が特定した和了手牌500の複数の成立役について、上位および下位の関係を示すデータである。制御部21は、和了手牌500において上位役と下位役の両方が成立していると特定した場合、上位役のみを成立役として認識する。例えば、と「二盃口」の役は、「一盃口」の上位役として上位役関係データ262bに記憶されている。したがって、制御部21は、和了手牌500において「一盃口」と「二盃口」が両方成立していると判定した場合は、上位役である「二盃口」のみを成立役として認識する。また、翻数データ261cが「役満」である役は、翻数データ261cが「役満」でない役すべての上位役として記憶されている。
【0039】
素点データ262cは、和了手牌500における成立役の翻数の合計、和了手牌500における符数、および和了した対局者が親番であるかによって決定される素点のデータである。例えば、和了した対局者が親番で、翻数の合計が3翻である場合は、22から30符が5800点、32から40符が7700点、42から50符が9600点、52から60符が11600点、62符以上が12000点として記憶されている。
【0040】
本場点データ262dは、制御部21によって特定された積み棒505の数によって決定される本場点のデータである。一般的に、麻雀のルールにおいては、本場数が1増加するごとに素点が300点増加する。したがって、例えば、制御部21によって特定された積み棒505の数が2本である場合は、素点に対して600点が加算される。
【0041】
一時記憶データ263は、対局の開始時に認識した場風のデータである場風データ263aと、対局の開始時に認識した親番の対局者の情報である親番情報データ263bと、制御部21が点数計算の過程で認識した結果である認識結果データ263cと、制御部21が点数計算の過程で算出した算出結果データ263dとを含む。
【0042】
図7は、麻雀点数計算装置2の制御部21が実行する点数計算プログラム264の麻雀点数計算フロー図である。
制御部21は、画像取得部24によって画像を取得し、取得した画像から場風を認識する(ステップS1)。場風の認識方法としては、例えば、画像に写った起親表示札302に書かれている文字(東または南)を認識して場風(東場または南場)を認識する方法とすることができる。制御部21は、認識した場風のデータを場風データ263aとして記憶する。
【0043】
制御部21は、画像取得部24によって画像を取得し、取得した画像から親番の対局者の席の位置を認識する(ステップS2)。親番の対局者の席の位置の認識方法としては、親番を示す発光素子307aを親番表示としてその方向の対局者を親番とする、あるいは最初に捨てられた捨て牌305を親番表示としてその方向の対局者を親番とするなど、適宜の方法とすることができる。より詳細には、制御部21は、対局中の卓上31の全面の画像を画像取得部24によって連続して取得しており、点滅しているサイコロスイッチ307に最も近い対局者の席の位置を親番の対局者の席の位置として認識する方法とすることができる。または、連続した複数の画像を取得し、サイコロスイッチ307にいずれかの対局者の指が被り、かつ、その後にサイコロ306が駆動した場合に、指が被ったサイコロスイッチ307に最も近い対局者の席の位置を親番の対局者の席の位置として認識する方法とすることができる。または、最初に捨て牌305を追加した対局者の席の位置を親番の対局者の席の位置として認識する方法とすることができる。制御部21は、認識した親番の対局者の席の位置のデータを、親番情報データ263bとして一時記憶データ263に記憶する。
【0044】
制御部21は、対局が進行し、いずれかの対局者が和了したか、いずれの対局者も和了せずに流局したかを判定する(ステップS3)。具体的には、制御部21は、対局中の音声を音声取得部25により連続して取得しており、「ロン」または「ツモ」の音声を取得したときに和了と判定し、「ノーテン」または「テンパイ」の音声を取得したときに流局と判定する。このとき、制御部21は、取得した音声が「ロン」、「ツモ」、「ノーテン」、「テンパイ」のいずれであったかについて、認識用データ260の音声データを参照して特定し、認識結果データ263cとして記憶する。制御部21は、いずれかの対局者が和了したと判定した場合は、和了の点数計算を行うステップに進み、いずれの対局者も和了せずに流局したと判定した場合は、対局が終了したかを判定するステップに進む。なお、このとき、制御部21は、「和了を認識しました。和了の手牌、点棒、および積み棒を並べてください」あるいは「流局を認識しました」といったアナウンスを音声または/および表示部23への表示により行うと良い。ここで、「和了」でも「流局」でもなかった場合、対局者が「まだあがっていない」や「まだ終了していない」等の音声を発し、あるいは図示省略する入力装置で未終了入力を行うことで、制御部21がこれを認識し、対局が続いていると判断してステップS3:NOへ処理を戻す構成とするとよい。これにより、対局中の会話等によって誤検知があっても訂正して対局を続けることができる。
【0045】
制御部21は、ステップS3でいずれかの対局者が和了したと判定した場合は、和了手牌認識領域210内に配置された複数の牌を和了手牌500として認識し、和了手牌500に含まれている牌の種類を特定し、麻雀役データ261の成立条件データ261bを参照し、和了手牌500において成立している役を特定する(ステップS4)。より詳細には、制御部21は、和了手牌500を構成している牌の種類について、認識用データ260の牌の画像データを参照して特定する。また、面前牌501を構成している牌について種類毎、かつ、数字が小さい順に並べ替える処理を行い、面子毎に切り分け、麻雀役データ261の成立条件データ261bを参照し、和了手牌500において成立している役を特定する。そして、制御部21は、認識した面前牌501、和了牌502、および副露牌506に含まれている牌の種類、並べ替え処理の結果、切り分けた面子、および成立している役を認識結果データ263cとして記憶する。なお、和了手牌500において複数パターンの面子の切り分けが可能である場合は、すべてのパターンについて成立している役を認識し、認識結果データ263cとして記憶する。
【0046】
制御部21は、ドラ表示牌認識領域211に配置された牌をドラ表示牌503として認識し、和了手牌500に含まれているドラ牌の数を特定する(ステップS5)。制御部21は、ドラ表示牌認識領域211内の表向きの牌をドラ表示牌503として認識する。そして、制御部21は、ドラ表示牌503の牌の種類を、認識用データ260の牌の画像データを参照して特定する。さらに、制御部21は、特定したドラ表示牌503の次の牌をドラ牌と決定し、和了手牌500に含まれているドラ牌の数を特定する。例えば、ドラ表示牌503が「萬子の1」であった場合の次の牌(ドラ牌)は「萬子の2」である。このとき、図5aに示すようにドラ表示牌503が複数存在する(ドラ表示牌503a、503b)場合は、それぞれのドラ表示牌(503a、503b)についてドラ牌を決定し、決定したすべてのドラ牌について和了手牌500に含まれている合計数を特定する。制御部21は、ステップS5で決定したドラ牌および和了手牌500に含まれているドラ牌の数を認識結果データ263cとして記憶する。
【0047】
制御部21は、点棒認識領域212に配置された千点棒を立直棒504として認識し、立直の有無を特定する(ステップS6)。制御部21は、点棒認識領域212内に配置された点棒について認識用データ260の千点棒の画像データを参照し、判定した千点棒を立直棒504として認識し、立直ありと判定する。制御部21は、ステップS6で特定した立直の有無を認識結果データ263cとして記憶する。
【0048】
制御部21は、点棒認識領域212に配置された百点棒を積み棒505として認識し、本場数を特定する(ステップS7)。制御部21は、点棒認識領域212内に配置された点棒について認識用データ260の百点棒の画像データを参照し、判定した百点棒を積み棒505として認識する。このとき、図5bおよび図5cに示すように積み棒505が複数存在する(積み棒505a、505b)場合は、積み棒505の数を特定する。そして、n本の積み棒505によって、その局がn本場であることを認識する。制御部21は、ステップS7で特定した本場数を認識結果データ263cとして記憶する。
【0049】
制御部21は、音声取得部25によって役名の音声を取得し、認識用データ260の音声データを参照して取得した音声が示す役名を特定し、麻雀役データ261の成立条件データ261bを参照して、成立している役を特定する(ステップS8)。制御部21は、ステップS8で特定した成立している役を認識結果データ263cとして記憶する。
【0050】
制御部21は、和了した対局者(和了者)の席の位置と、和了点数を支払う対局者(支払者)の席の位置とを特定する(ステップS9)。和了者の席の位置の特定方法は、例えば、ステップS3において手牌301が公開された対局者の席の位置とすることができる。支払者の席の位置の特定方法は、例えば、ステップS3において制御部21が「ツモ」の音声を取得した場合は、和了者以外の全員の席の位置とし、ステップS3において制御部21が「ロン」の音声を取得した場合は、その直前に捨て牌305を追加した対局者の席の位置とすることができる。制御部21は、ステップS9で特定した、和了した対局者(和了者)の席の位置と、和了点数を支払う対局者(支払者)の席の位置とを認識結果データ263cとして記憶する。
なお、ステップS4、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、およびステップS9の順番は、自由に設定することができる。
【0051】
制御部21は、ステップS4で認識した和了手牌500の成立役、ステップS5で認識した和了手牌500に含まれているドラ牌の数、ステップS6で認識した立直の有無、およびステップS8で認識した音声情報からの成立役について、点数計算データ262を参照し、最終的な成立役を特定する(ステップS10)。より詳細には、制御部21は、ステップS4で特定した和了手牌500の成立役と、ステップS8で特定した音声からの成立役について、上位役関係データ262bを参照して上位役のみを成立役とする。また、制御部21は、ステップS5で特定した和了手牌500に含まれているドラ牌の数によってドラの成立役の数を決定する。
【0052】
制御部21は、ステップS4で認識した和了手牌500、ステップS7で認識した本場数、および一時記憶データ263に含まれる親番情報データ263bについて、点数計算データ262を参照し、和了点数および支払点数を算出する(ステップS11)。より詳細には、制御部21は、ステップS4で認識した和了手牌500について、符計算データ262aを参照して符の数(符数)を決定する。また、制御部21は、親番情報データ263bを参照し、和了者の席の位置と親番の対局者の席の位置とが同じであるかを判定する。そして、制御部21は、ステップS10で特定した全成立役の翻数を合計して合計翻数を算出し、合計翻数、符数、および和了者の席の位置と親番の席の位置との判定結果について素点データ262cを参照して手牌による和了点数(素点)を算出する。そして、制御部21は、ステップS9で特定した支払者の支払う点数について、支払者が1人の場合は素点をそのまま支払素点とし、支払者が3人の場合は、支払者が全員親番でない場合は素点を3等分して支払素点とし、支払者に親番が含まれる場合は和了点数を4等分して親番の対局者のみ他の支払者の2倍の点数を支払素点とする。また、制御部21は、ステップS7で認識した本場数について、本場点データ262dを参照して本場数による加算点数を決定し、素点と加算点数とを合計して最終的な和了点数および支払点数を算出する。なお、ステップS4で複数パターンの面子の組み合わせを認識した場合は、それぞれのパターンについて和了点数(素点)を算出し、最も素点が高い面子の組み合わせのパターンを採用する。
【0053】
図8aは、和了点数表示画面231の一例を示す画面構成図であり、図8bは、支払点数表示画面232の一例を示す画面構成図である。
制御部21は、和了点数表示画面231を和了者の正面かつ和了者から表示されている画面が見える位置に配置されている表示部23aに表示し、支払点数表示画面232を支払者の正面かつ支払者から表示されている画面が見える位置に配置されている表示部23bに表示する(ステップS12)。和了点数表示画面231は、成立役を示す成立役表示部231aと、合計翻数を示す翻数表示部231bと、符の数を示す符数表示部231cと、素点を示す素点表示部231dと、本場数を示す本場数表示部231eと、最終的な和了点数を示す最終和了点数表示部231fとを有する。また、支払点数表示画面232は、和了点数の素点を示す素点表示部232aと、本場数を示す本場数表示部232bと、正面下方に位置する支払者の最終的な支払点数を示す最終支払点数表示部232cとを有する。
【0054】
制御部21は、成立役表示部231aとして、ステップS10で特定した最終的な全成立役を1つずつ表示する。また、制御部21は、翻数表示部231bとして、ステップS11で算出した合計翻数を表示する。また、制御部21は、符数表示部231cとして、ステップS11で決定した符数を表示する。また、制御部21は、素点表示部(231d、232a)として、ステップS11で算出した素点を表示する。また、制御部21は、本場数表示部(231e、232b)として、ステップS7で認識した本場数nをn本場として表示する。また、制御部21は、最終和了点数表示部231fとして、ステップS11で算出した最終的な和了点数を表示する。さらに、制御部21は、最終支払点数表示部232cとして、ステップS11で算出した最終的な支払点数を表示する。
【0055】
また、制御部21は、ステップS10で特定した全成立役と、ステップS11で決定した符数、算出した素点、支払素点、最終的な和了点数、および支払点数とを算出結果データ263dとして記憶し、ステップS11で必要に応じて参照する。
【0056】
制御部21は、すべての対局が終了したがどうかを判定する(ステップS13)。対局終了の判定方法としては、例えば、ステップS12で各表示部23に和了点数表示画面231および支払点数表示画面232を表示してから、所定の時間経過後までに新たな山牌304が形成されたことを制御部21が画像取得部24の取得した画像によって認識できなかった場合に対局終了の判定とすることができる。逆に、ステップS12で各表示部23に和了点数表示画面231および支払点数表示画面232を表示してから、新たな山牌304が形成されたことを制御部21が画像取得部24の取得した画像によって認識した場合に対局継続の判定とすることができる。制御部21は、対局継続と判定した場合(ステップS13:NO)は、局移行の処理を行うステップに進み、対局終了と判定した場合(ステップS13:YES)は、点数計算プログラム264を終了する。
【0057】
制御部21は、ステップS12で対局継続と判定した場合、局の移行処理を行う(ステップS14)。より詳細には、制御部21は、一時記憶データ263に含まれている親番情報データ263b、認識結果データ263c、および算出結果データ263dを削除する。制御部21は、局の移行処理の後、ステップS2を実行し、新たな局の親番の情報を取得する。
【0058】
以上の構成により、専用の麻雀卓および麻雀牌を用意することなく麻雀の和了時の点数を簡単に計算できる麻雀点数計算システムを提供できる。
麻雀点数計算装置2は、卓上31の画像を取得する画像取得部24と、対局者からの音声を取得する音声取得部25とを備え、制御部21は、画像取得部24によって取得した卓上31の画像における和了手牌500の認識結果と、和了手牌500の周辺に設定されたドラ表示牌認識領域211内の牌の認識結果と、和了手牌500の周辺に設定された点棒認識領域212内の点棒の認識結果と、音声取得部25によって取得した音声の認識結果から和了点数を算出する。この構成により、専用の麻雀卓および麻雀牌を用意することなく、簡単に麻雀の和了時の点数を計算することができる。また、対局者は、自身で翻数や符の計算をすることなく和了点数を簡単に確認することができる。
【0059】
また、麻雀役データ261は、役名を示す役名データ261aと当該役名の役が成立する条件を示す成立条件データ261bとを有し、成立条件データ261bは、牌種データ、音声文字データ、点棒データ、風条件データ、および鳴き条件データの内1つ以上を有し、牌種データ、点棒データ、風条件データ、および鳴き条件データから判定できない役(天和、嶺上開花など)の成立条件データ261bは、音声文字データを少なくとも含む。この構成により、制御部21は、全ての役について確実に成立役を認識することができる。また、画像の情報から判定できない役についても対局者の別途入力等を必要とすることなく成立役として認識することができる。
【0060】
また、制御部21は、和了手牌500の周辺の所定の領域として設定された点棒認識領域212内の点棒について、千点棒を立直棒として認識し、百点棒を積み棒として認識する。この構成により、制御部21は、立直棒の有無による立直の役の有無と、積み棒の数による本場数を加味した和了点数および支払点数を算出することができる。すなわち、対局者は、麻雀点数計算装置2に、本場数や立直の有無といった和了状況の詳細を別途手作業で入力するといった操作を行うことなく、公開した和了手牌500の周辺にあらかじめ設定された点棒認識領域212に千点棒および百点棒を配置することで、簡単に立直の役の有無および本場数を加味した和了点数および支払点数を確認することができる。
【0061】
また、画像取得部24は、卓上31と対向する位置に配置され、卓上31の全面を画像取得可能範囲200としている。この構成により、画像取得部24を複数備える必要がなく、利便性を向上することができる。また、制御部21は、画像取得部24によって取得した画像から、親番の対局者の席の位置と、和了者の席の位置および支払者の席の位置とを特定し、和了点数だけでなく支払点数を算出することができる。
【0062】
また、面前牌501、和了牌502、および副露牌506を含む和了手牌500の位置や、立直棒504および積み棒505の位置が適切でない場合にアナウンスをすることにより、不適切な点数計算となることを防止できる。特に、このような配置に関するアナウンスをすることにより、点数計算ができない対局者であっても正しい配置に和了手牌500、立直棒504および積み棒505を置くことができ、適切な点数計算を実行して正しい点数を知ることができる。
【0063】
この発明と本実施例について、
この発明の和了手牌認識部および和了手牌認識手段は、ステップS4を実行する制御部21に対応し、以下同様に、
画像取得手段は、画像取得部24に対応し、
音声取得手段は、音声取得部25に対応し、
記憶手段は、記憶部26に対応し、
和了手牌周辺認識部および和了手牌周辺認識手段は、ステップS5、ステップS6、およびステップS7を実行する制御部21に対応し、
親番対局者認識部および親番対局者認識手段は、ステップS2を実行する制御部21に対応し、
音声認識部および音声認識手段は、ステップS8を実行する制御部21に対応し、
役特定部および役特定手段は、ステップS10を実行する制御部21に対応し、
和了点数計算部、および和了点数計算手段は、ステップS11を実行する制御部21に対応し、
音声関連データは、音声文字データに対応するが、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0064】
例えば、麻雀点数計算装置2は、スマートフォンといった携帯端末であってもよい。この場合は、携帯端末が備えるカメラを画像取得部とし、携帯端末が備えるマイクを音声取得部とし、携帯端末が備える表示部に和了点数および支払点数を表示する形態とすることで、上述した実施例と同一の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、本実施例では、麻雀卓3をサイコロスイッチ307が操作された場合にサイコロ306を駆動する制御部(図示せず)を備えた自動麻雀卓としたが、例えば、サイコロ306を駆動する機能を備えない麻雀卓であってもよい。この場合は、ステップS3において最初に捨て牌305を追加した対局者の位置を親番の対局者の位置と認識することで、上述した実施例と同一の作用効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明は、麻雀の和了時の点数を自動で計算する麻雀点数計算システムを提供する産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…麻雀点数計算システム
2…麻雀点数計算装置
200…画像取得可能範囲
21…制御部
22…演算部
23…表示部
24…画像取得部
25…音声取得部
26…記憶部
260…認識用データ
261…麻雀役データ
262…点数計算データ
263…一時記憶データ
264…麻雀点数計算プログラム
3…麻雀卓
31…卓上
301…手牌
302…起親表示札
304…山牌
305…捨て牌
307…サイコロスイッチ
307a…発光素子

図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b