(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111863
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】喫煙検知装置、喫煙検知システム、喫煙検知方法及び喫煙検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/08 20060101AFI20240813BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240813BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240813BHJP
【FI】
G08B25/08 E
G08B21/24
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016530
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】水野 文聞
(72)【発明者】
【氏名】山野辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】衣川 英明
(72)【発明者】
【氏名】熊野 和也
(72)【発明者】
【氏名】井筒 恵一郎
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA38
5C086BA01
5C086DA08
5C086DA14
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB74
5C087DD24
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG06
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ること
【解決手段】煙センサ2による煙の検知と、特異成分濃度センサ4によるTSNAs濃度の測定に基づく当該TSNAs濃度の上昇と、の両方を検知した場合にのみ、喫煙が発生したと判定する(ステップS102~S108)。これにより、例えば、部屋で調理をしたことに起因する煙の発生や、部屋で線香(蚊取り線香含む)を焚いたことに起因する煙の発生を、「喫煙の発生」と誤検知することを防止できる。また、部屋の外で喫煙した人や当該喫煙者の近くに居た人が、部屋に入ったことに起因してTSNAs濃度が上昇したことを、「喫煙の発生」と誤検知することを防止できる。この結果、喫煙検知精度の向上を図ることができる。なお、室内を撮像する必要がないため、プライバシーの侵害が問題となることもない。これにより、本発明を制約なく適用することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室を有する有価値物における前記室内での喫煙を検知するための喫煙検知装置であって、
前記室内において煙が発生したことを示す煙発生情報を取得可能であると共に前記室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を示す濃度情報を取得可能な情報取得部と、
該情報取得部が取得した前記濃度情報に基づいて前記濃度が上昇したか否かを判定し、前記情報取得部が前記煙発生情報を取得すると共に前記濃度が上昇したと判定したときに、前記室において喫煙が発生したと判定する喫煙判定部と、
を備える喫煙検知装置。
【請求項2】
前記喫煙判定部は、前記濃度が閾値より大きいときに、前記濃度が上昇したか否かを判定する
請求項1に記載の喫煙検知装置。
【請求項3】
前記喫煙判定部によって喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に警告を行う警告部をさらに備える
請求項1に記載の喫煙検知装置。
【請求項4】
前記喫煙判定部によって喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に警告を行う警告部をさらに備える
請求項2に記載の喫煙検知装置。
【請求項5】
前記警告部は、前記喫煙判定部によって喫煙が所定期間中に所定日数以上発生したと判定したときに、前記室の使用者に警告を行う
請求項3に記載の喫煙検知装置。
【請求項6】
前記警告部は、前記喫煙判定部によって喫煙が所定期間中に所定日数以上発生したと判定したときに、前記室の使用者に警告を行う
請求項4に記載の喫煙検知装置。
【請求項7】
少なくとも前記有価値物の所有者および/または前記有価値物の管理者に喫煙が発生した事実,および/または,喫煙が発生した場所を通知する通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記警告部による警告の後、前記喫煙判定部によって再度喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に前記室の使用料の値上げを通知する
請求項3に記載の喫煙検知装置。
【請求項8】
少なくとも前記有価値物の所有者および/または前記有価値物の管理者に喫煙が発生した事実,および/または,喫煙が発生した場所を通知する通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記警告部による警告の後、前記喫煙判定部によって再度喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に前記室の使用料の値上げを通知する
請求項4に記載の喫煙検知装置。
【請求項9】
少なくとも前記有価値物の所有者および/または前記有価値物の管理者に喫煙が発生した事実,および/または,喫煙が発生した場所を通知する通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記警告部による警告の後、前記喫煙判定部によって再度喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に前記室の使用料の値上げを通知する
請求項5に記載の喫煙検知装置。
【請求項10】
少なくとも前記有価値物の所有者および/または前記有価値物の管理者に喫煙が発生した事実,および/または,喫煙が発生した場所を通知する通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記警告部による警告の後、前記喫煙判定部によって再度喫煙が発生したと判定されたときに、前記室の使用者に前記室の使用料の値上げを通知する
請求項6に記載の喫煙検知装置。
【請求項11】
前記室の使用料の値上げ分を算定する値上げ算定部をさらに備え、
該値上げ算定部は、喫煙に起因するリスクに基づいて前記室の使用料の値上げ分を算定し、
前記通知部は、前記値上げ算定部によって算定された前記室の使用料の値上げ分および/または前記室の使用料の値上げ分を加味した前記室の使用料を前記室の使用者に通知する
請求項7に記載の喫煙検知装置。
【請求項12】
前記室の使用料の値上げ分を算定する値上げ算定部をさらに備え、
該値上げ算定部は、喫煙に起因するリスクに基づいて前記室の使用料の値上げ分を算定し、
前記通知部は、前記値上げ算定部によって算定された前記室の使用料の値上げ分および/または前記室の使用料の値上げ分を加味した前記室の使用料を前記室の使用者に通知する
請求項8に記載の喫煙検知装置。
【請求項13】
前記室の使用料の値上げ分を算定する値上げ算定部をさらに備え、
該値上げ算定部は、喫煙に起因するリスクに基づいて前記室の使用料の値上げ分を算定し、
前記通知部は、前記値上げ算定部によって算定された前記室の使用料の値上げ分および/または前記室の使用料の値上げ分を加味した前記室の使用料を前記室の使用者に通知する
請求項9に記載の喫煙検知装置。
【請求項14】
前記室の使用料の値上げ分を算定する値上げ算定部をさらに備え、
該値上げ算定部は、喫煙に起因するリスクに基づいて前記室の使用料の値上げ分を算定し、
前記通知部は、前記値上げ算定部によって算定された前記室の使用料の値上げ分および/または前記室の使用料の値上げ分を加味した前記室の使用料を前記室の使用者に通知する
請求項10に記載の喫煙検知装置。
【請求項15】
室を有する有価値物における前記室内での喫煙を検知するための喫煙検知システムであって、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の喫煙検知装置と、
前記室内における煙の発生を検知可能なよう前記室内に配置された煙検知部と、
前記室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を測定可能なよう前記室内に配置された濃度測定部と、
を備え、
該情報取得部は、前記煙検知部から前記煙発生情報を取得すると共に前記濃度測定部から前記濃度情報を取得する
喫煙検知システム。
【請求項16】
室を有する有価値物における前記室内での喫煙を検知するための喫煙検知方法であって、
前記室内において煙が発生したことを示す煙発生情報を取得すると共に前記室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を示す濃度情報を取得する情報取得工程と、
取得した前記濃度情報に基づいて前記濃度が上昇したか否かを判定すると共に、前記煙発生情報を取得し、かつ、前記濃度が上昇したと判定したときに、前記室において喫煙が発生したと判定する喫煙判定工程と、
少なくとも前記有価値物の所有者および/または前記有価値物の管理者に喫煙が発生したことを通知する通知工程と、
を備える喫煙検知方法。
【請求項17】
室を有する有価値物における前記室内での喫煙を検知するためのプログラムであって、
請求項16に記載の喫煙検知方法の各工程をコンピュータに実行させる
喫煙検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室を有する有価値物における当該室内での喫煙を検知するための喫煙検知装置、喫煙検知システム、喫煙検知方法及び喫煙検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-74636号公報(特許文献1)には、煙濃度を周期的に検知する煙センサおよびたばこの火を周期的に検知する炎センサを有すると共に建造物の複数の部屋の外側に配置された複数の喫煙検知装置と、当該複数の喫煙検知装置から送信される喫煙検知データに基づき当該喫煙検知データが閾値を超えた部屋を管理者に通知する管理サーバーと、を備える喫煙監視システムが記載されている。
【0003】
当該喫煙監視ステムは、炎センサからの炎検知データに基づいて喫煙のあった部屋を特定すると共に、当該特定した部屋と煙センサからの煙濃度データとに基づいて煙の影響範囲を特定する。これにより、管理者は、各部屋の入居者への通知や警告を適切に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の喫煙監視システムは、例えば、居室内で調理が行われたことに起因する炎や煙の発生や、蚊取り線香を焚いたことに起因する炎や煙の発生などを、喫煙があったと誤検知する可能性があり、喫煙検知精度という点において、なお改良の余地がある。なお、居室内を撮像して、当該撮像した画像と併せて喫煙を検知することも考えられるが、プライバシーの侵害が懸念される場所には適用できないなど制約がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ることができる喫煙検知装置、喫煙検知システム、喫煙検知方法及び喫煙検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の喫煙検知装置、喫煙検知システム、喫煙検知方法及び喫煙検知プログラムは、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
第1の発明に係る喫煙検知装置は、室を有する有価値物における前記室内での喫煙を検知するための喫煙検知装置であって、情報取得部と、喫煙判定部と、を備えている。情報取得部は、室内において煙が発生したことを示す煙発生情報を取得可能であると共に室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を示す濃度情報を取得可能である。喫煙判定部は、情報取得部が取得した濃度情報に基づいて、たばこ特異的ニトロソアミンの濃度が上昇したか否かを判定する。そして、喫煙判定部は、情報取得部が煙発生情報を取得すると共にたばこ特異的ニトロソアミンの濃度が上昇したと判定したときに、室において喫煙が発生したと判定する。ここで、本発明における「室」は、有価値物が建物である場合には、建物の中の区切られた各区画がこれに該当し、例えば、浴室や化粧室,洗面所を含む部屋や、廊下、玄関、ロビー、調理室などがこれに該当し、有価値物が移動物体である場合には、運転室や乗務員室,乗客室を含む車室などがこれに該当する。
【0009】
第1の発明によれば、煙の発生と、たばこ特異的ニトロソアミンの濃度の上昇と、の両方を検知した場合にのみ、室において喫煙が発生したと判定するため、例えば、室内で調理をしたことに起因する煙の発生や、室内で線香(蚊取り線香含む)を焚いたことに起因する煙の発生を、「喫煙の発生」と誤検知することを防止できる。これにより、喫煙検知精度の向上を図ることができる。なお、室内を撮像する必要がないため、プライバシーの侵害が問題となることもない。これにより、制約なく第1の発明を適用することができる。
【0010】
第2の発明に係る喫煙検知装置は、煙判定部は、濃度が閾値より大きいときに、濃度が上昇したか否かを判定する。ここで、本発明における「閾値」は、たばこ特異的ニトロソアミンの発生が、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因するものであるのか、あるいは、副流煙に曝されて衣服や家具や壁面に付着したニコチンなどの残渣と大気中の亜硝酸が反応したことに起因するものであるのか、を判定するために設定される値である。なお、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因して発生するたばこ特異的ニトロソアミンの濃度は、副流煙に曝されて衣服や家具や壁面に付着したニコチンなどの残渣と大気中の亜硝酸が反応したことに起因して発生するたばこ特異的ニトロソアミンの濃度に比べて極めて大きい。
【0011】
第2の発明によれば、閾値を、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因して発生するたばこ特異的ニトロソアミンの濃度と、副流煙に曝されて衣服や家具や壁面に付着したニコチンなどの残渣と大気中の亜硝酸が反応したことに起因して発生するたばこ特異的ニトロソアミンの濃度と、を区別可能な値に設定することで、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因して発生するたばこ特異的ニトロソアミンの濃度の上昇のみを、喫煙発生検知に用いることができる。これにより、室外で喫煙した人や当該喫煙者の近くに居た人が、室内に入ったことに起因して発生したたばこ特異的ニトロソアミンを「喫煙の発生」と誤検知することを良好に防止できる。この結果、喫煙検知精度のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
第3の発明に係る喫煙検知装置は、第1または第2の発明に係る喫煙検知装置であって、喫煙判定部によって喫煙が発生したと判定されたときに、室の使用者に警告を行う警告部をさらに備えている。ここで、本発明における「室の使用者」とは、継続的に室を使用している者のみならず、一時的に室を使用している者を好適に包含する。また、本発明における「使用者に警告を行う」態様としては、使用者が有する端末(携帯端末を含む)を介した警告のみならず、室に設置された報知手段、例えば、ディスプレイやスピーカーなどを介した警告を好適に包含する。
【0013】
第3の発明によれば、室の使用者に喫煙を止めるよう注意喚起することができる。これにより、室の使用者による室内での喫煙を抑制することができる。この結果、喫煙による有価値物の資産価値低下の抑制を図ることができる。また、喫煙に起因する有価値物の改装や清掃に係る費用(維持修繕費用)の発生、喫煙に起因する火災保険料の増加、喫煙に起因する有価値物の使用者間でのトラブルの発生などを抑制することができる。さらに、二次喫煙および三次喫煙に起因する有価値物の使用者を含む有価値物関係者の健康被害の発生を抑制することができる。
【0014】
第4の発明に係る喫煙検知装置は、第3の発明に係る喫煙検知装置であって、警告部は、喫煙判定部によって喫煙が所定期間中に所定日数以上発生したと判定したときに、室の使用者に警告を行う。
【0015】
第4の発明によれば、喫煙者に適度な警告を行うことができる。これにより、喫煙者が警告に対する耐性を獲得することを抑制することができる。
【0016】
第5の発明に係る喫煙検知装置は、第3または第4の発明に係る喫煙検知装置であって、少なくとも有価値物の所有者および/または有価値物の管理者に喫煙が発生した事実,および/または,喫煙が発生した場所を通知する通知部をさらに備える。そして、当該通知部は、警告部による警告の後、喫煙判定部によって再度喫煙が発生したと判定されたときに、室の使用者に室の使用料の値上げを通知する。ここで、本発明における「通知」態様としては、有価値物の所有者や有価値物の管理者が有する端末(携帯端末を含む)を介した通知のみならず、室に設置された報知手段、例えば、ディスプレイやスピーカーなどを介した通知を好適に包含する。また、本発明における「室の使用料」は、有価値物が建物である場合には、賃貸料金やレンタル料金などがこれに該当し、有価値物が移動物体である場合には、レンタル料金や運賃などがこれに該当する。
【0017】
第5の発明によれば、喫煙があった事実や喫煙が発生した場所を有価値物の所有者や有価値物の管理者に知らせることができる。これにより、有価値物の所有者や当該有価値物の管理者は、有価値物の室内で喫煙を行った者を特定することができる。この結果、有価値物の所有者や当該有価値物の管理者は、喫煙を行った者を適切に把握して注意することができる。なお、再度喫煙が発生したと判定されたときには、室の使用者に室の使用料の値上げを通知するため、喫煙を思い留まらせる強い動機付けを室の使用者に与えることができる。
【0018】
第6の発明に係る喫煙検知装置は、第5の発明に係る喫煙検知装置であって、室の使用料の値上げ分を算定する値上げ算定部をさらに備えている。当該値上げ算定部は、喫煙に起因するリスクに基づいて室の使用料の値上げ分を算定する。そして、通知部は、値上げ算定部によって算定された室の使用料の値上げ分および/または室の使用料の値上げ分を加味した室の使用料を室の使用者に通知する。ここで、本発明における「喫煙に起因するリスク」は、喫煙に起因する火災の発生や、喫煙に起因する有価値物の汚損などを挙げることができる。
【0019】
第6の発明によれば、室の使用料の値上げ分を適正に算定することができる。ここで、喫煙に起因する火災の発生に対しては、火災保険料の増額に基づいて使用料の値上げ分を算定することができる。火災保険料の増額分は、例えば、保険会社が提供するノンスモーカー割引などを考慮して算定することができる。また、喫煙に起因する有価値物の汚損に対しては、維持修繕費用の増額に基づいて使用料の値上がり分を算定することができる。維持修繕費用の増額分は、有価値物が建物である場合には、例えば、壁紙張替え費用の相場を考慮して算定することができ、有価値物が移動体の場合には、例えば、内張りやシートカバーなどの張替え費用の相場を考慮して算定することができる。これにより、適正な値上げ分を加味した室の使用料を室の使用者に通知することができる。
【0020】
第7の発明に係る喫煙検知システムは、室を有する有価値物における室内での喫煙を検知するための喫煙検知システムであって、煙検知部と、濃度測定部と、上述した第1から第6の発明のいずれか1つに係る喫煙検知装置と、を備えている。煙検知部は、室内における煙の発生を検知可能なように室内に配置されている。濃度測定部は、室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を測定可能なように室内に配置されている。そして、情報取得部は、煙検知部から煙発生情報を取得すると共に濃度測定部から濃度情報を取得する。
【0021】
第7の発明によれば、上述した第1から第6の発明のいずれか1つに係る喫煙検知装置が奏する効果と同様の効果、例えば、制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ることができるという効果や、有価値物の所有者や価値物の管理者が、有価値物の室内で喫煙を行った者に、適切に注意することができるという効果、室の使用者による室内での喫煙を抑制することができるという効果、喫煙者が警告に対する耐性を獲得することを抑制することができるという効果、喫煙を思い留まらせる強い動機付けを室の使用者に与えることができるという効果、適正な値上げ分を加味した室の使用料を室の使用者に通知することができるという効果などを奏することができる。
【0022】
第8の発明に係る喫煙検知方法は、室を有する有価値物における室内での喫煙を検知するための喫煙検知方法であって、情報取得工程と、喫煙判定工程と、を備えている。情報取得工程は、室内において煙が発生したことを示す煙発生情報を取得すると共に室内におけるたばこ特異的ニトロソアミンの濃度を示す濃度情報を取得する。喫煙判定工程は、取得した濃度情報に基づいて、たばこ特異的ニトロソアミンの濃度が上昇したか否かを判定する。そして、喫煙判定工程は、煙発生情報を取得し、かつ、濃度が上昇したと判定したときに、室において喫煙が発生したと判定する。ここで、本発明における「室」は、有価値物が建物である場合には、建物の中の区切られた各区画がこれに該当し、例えば、浴室や化粧室,洗面所を含む部屋や、廊下、玄関、ロビー、調理室などがこれに該当し、有価値物が移動物体である場合には、運転室や乗務員室,乗客室を含む車室などがこれに該当する。
【0023】
第8の発明によれば、上述した第1の発明に係る喫煙検知装置が奏する効果と同様の効果、例えば、制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ることができるという効果などを奏することができる。
【0024】
第9の発明に係る喫煙検知プログラムは、室を有する有価値物における室内での喫煙を検知するためのプログラムであって、上述した第8の発明に係る喫煙検知方法の各工程を1または複数のコンピュータに実行させる。当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなどに記録されていても良いし、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介して、あるコンピュータから別のコンピュータへ配信されても良いし、あるいは、その他如何なる態様で授受されても良い。
【0025】
第9の発明によれば、上述した第8の発明に係る喫煙検知装置が奏する効果と同様の効果、例えば、制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ることができるという効果などを奏することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、制約なく適用でき、かつ、喫煙検知精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係る喫煙検知システム1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図2】煙センサ2および特異成分濃度センサ4の配置の一例を示す図である。
【
図4】喫煙常習者利用可能性有部屋リスト142の一例を示す図である。
【
図5】喫煙常習者利用部屋リスト144の一例を示す図である。
【
図6】喫煙抑制対策処理ルーチンの一例を示すメインフローチャートである。
【
図7】
図6のメインフローチャートから分岐したサブフローチャートである。
【0028】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0029】
本発明の実施の形態に係る喫煙検知システム1は、例えば、複数の部屋を有する建造物の当該複数の部屋や、自動車の車内における喫煙の発生を検知するシステムである。複数の部屋を有する建造物としては、例えば、賃貸マンションや貸家などが挙げられ、自動車としては、レンタカーやカーシェアに用いられる自動車が挙げられる。この場合、複数の部屋および車内は、本発明における「室」に対応し、賃貸マンションや貸家を含む建造物および自動車は、本発明における「有価値物」に対応する実施構成の一例である。本実施例では、喫煙検知システム1の一例として、賃貸マンション90の各戸の複数の部屋における喫煙の発生を検知する場合について説明する。
【0030】
喫煙検知システム1は、
図1に示すように、賃貸マンション90の各戸に配置された煙センサ2および特異成分濃度センサ4と、本発明の実施の形態に係る喫煙検知装置としての管理サーバー10と、を備えている。喫煙検知システム1は、LANやインターネットなどを含むネットワークを介して煙センサ2および特異成分濃度センサ4と接続されている。
【0031】
煙センサ2は、筐体(図示せず)と、当該筐体内において一定方向に光(例えば赤外線)を放つ送光部(図示せず)と、筐体における当該一定方向に放たれた光を検知しない位置に配置された受光部(図示せず)と、を有している。煙センサ2は、筐体内に煙が侵入したときに、受光部が当該煙による光の散乱を検知することによって、煙の発生を検知する。なお、本実施例では、煙センサ2は、送光部と受光部とが一つの筐体内に配置されて、当該煙センサ2が配置された場所の煙を検知する光電式スポット型を用いたが、煙センサ2は、送光部と受光部とが離れた場所に配置されて、当該送光部から受光部までの間の領域の煙を検知する光電式分離型を用いるものとしても良い。また、煙センサ2は、光電式に替えて、煙による導電率の変化を測定することによって、煙を検知するものを用いるものとしても良い。煙センサ2は、
図2に示すように、賃貸マンション90の各戸の複数の部屋それぞれに設置される。例えば、部屋が、
図2に示すように、リビング・ダイニング・キッチン(以下、「LDK」という。)60と、寝室62と、浴室64と、トイレ66と、を有する場合には、各部屋に設置される。ここで、煙センサ2は、設置される部屋毎に識別情報が付される。例えば、「ABC」という名の賃貸マンション90の101号室の場合には、
図3に示すように、LDK60に設置される煙センサ2には識別情報「SSE0001」が付され、寝室62に設置される煙センサ2には識別情報「SSE0002」が付され、浴室64に設置される煙センサ2には識別情報「SSE0003」が付され、トイレ66に設置される煙センサ2には識別情報「SSE0004」が付される。煙センサ2は、本発明における「煙検知部」に対応する実施構成の一例である。また、LDK60、寝室62、浴室64およびトイレ66は、本発明における「室」に対応する実施構成の一例である。
【0032】
特異成分濃度センサ4は、ガラス板と、当該ガラス板上に配置された一対の金電極と、当該一対の金電極を接続するよう当該一対の金属電極間に引き伸ばされた単層カーボンナノチューブと、当該単層カーボンナノチューブ上に堆積されたコバルト(III)テトラフェニルポルフィリン分子と、を有している。特異成分濃度センサ4は、コバルト(III)テトラフェニルポルフィリン分子と、たばこ特異的ニトロソアミン(以下、「TSNAs」という。)と、が結合することによる金電極間の抵抗の変化に基づいて、TSNAsの濃度(以下、「TSNAs濃度」という。)を検知する。特異成分濃度センサ4は、煙センサ2と同様、
図2に示すように、賃貸マンション90の各戸の複数の部屋それぞれに設置される。例えば、部屋が、
図2に示すように、LDK60と、寝室62と、浴室64と、トイレ66と、を有する場合には、各部屋に設置される。ここで、特異成分濃度センサ4は、設置される部屋毎に識別情報が付される。例えば、「ABC」という名の賃貸マンション90の101号室の場合には、
図3に示すように、LDK60に設置される特異成分濃度センサ4には識別情報「TSNASE0001」が付され、寝室62に設置される特異成分濃度センサ4には識別情報「TSNASE0002」が付され、浴室64に設置される特異成分濃度センサ4には識別情報「TSNASE0003」が付され、トイレ66に設置される特異成分濃度センサ4には識別情報「TSNASE0004」が付される。特異成分濃度センサ4は、本発明における「濃度測定部」に対応する実施構成の一例である。
【0033】
管理サーバー10は、煙センサ2および特異成分濃度センサ4からの情報に基づいて、賃貸マンション90の各戸の複数の部屋のうちどの部屋で喫煙が発生したかを検知する喫煙検知処理を行う装置である。管理サーバー10は、
図1に示すように、LANやインターネットなどを含むネットワークを介して複数の端末80,82と接続されている。ここで、端末80は、賃貸マンション90の各戸の住人が使用する端末であり、各戸に設置された、あるいは、各戸の住人が有するパーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレットなどである。端末82は、賃貸マンション90の所有者あるいは管理業者が使用する端末であり、賃貸マンション90の所有者あるいは管理業者側に設置された、あるいは、賃貸マンション90の所有者あるいは管理業者が有するパーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレットなどである。また、管理サーバー10は、
図1に示すように、制御部12と、記憶部14と、入力部16と、表示部18と、を備えており、表示部18に表示されたカーソル等を操作者が入力部16を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。管理サーバー10は、本発明における「喫煙検知装置」に対応する実施構成の一例である。また、賃貸マンション90の所有者あるいは管理業者は、本発明における「有価値物の所有者」および「有価値物の管理者」に対応し、賃貸マンション90の各戸の住人は、本発明における「使用者」に対応する実施構成の一例である。
【0034】
制御部12は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートなどを備えており、装置全体を制御する。制御部12には、ハードウェア資源(CPUやROM、RAM、各種インターフェース、記憶部14など)とソフトウェア(インストールされたオペレーティングシステムを始めとするアプリケーションプログラムなど)との一方または双方の協働により、情報取得部20と、喫煙判定部22と、警告部24と、賃料計算部26と、通知部28と、が機能ブロックとして構築されている。換言すれば、これらの各部(情報取得部20と、喫煙判定部22と、警告部24と、賃料計算部26と、通知部28)は、記憶部14やROMからRAM上に展開されたアプリケーションプログラムを実行するCPUからの命令によって、各構成要素(CPUやROM、RAM、各種インターフェース、記憶部14など)が単独あるいは協働して動作することにより実現される機能であると言うことができる。制御部12は、記憶部14、入力部16および表示部18などにバス32によって、電気的に接続されている。なお、管理サーバー10が有する各機能部は、複数の機能部を一つの機能部にまとめても良いし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けても良い。
【0035】
情報取得部20は、煙センサ2からの煙発生信号を取得すると共に、特異成分濃度センサ4からのTSNAs濃度を取得する。また、情報取得部20は、取得したTSNAs濃度を記憶部14、より具体的には、記憶部14に格納された後述する喫煙管理情報140の該当するセンサIDに紐付けされた「TSNAs濃度」領域に格納する。さらに、情報取得部20は、日付を取得すると共に、取得した日付を記憶部14に格納する。
【0036】
喫煙判定部22は、情報取得部20によって取得された煙センサ2からの煙発生信号および特異成分濃度センサ4からのTSNAs濃度に基づいて、喫煙が発生したか否かの判定を行う。具体的には、喫煙判定部22は、煙センサ2からの煙発生信号を受信すると共に、特異成分濃度センサ4からのTSNAs濃度が閾値より大きい場合であって、当該TSNAs濃度の上昇が確認された場合にのみ、喫煙が発生したと判定する。
【0037】
ここで、閾値は、TSNAsの発生が、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因するものであるのか、あるいは、副流煙に曝されて衣服や家具や壁面に付着したニコチンなどの残渣と大気中の亜硝酸が反応したことに起因するものであるのか、を判定するために設定される値であり、例えば、5ngなどに設定することができる。
【0038】
参考までに、主流煙および副流煙に起因するTSNAs(特に、4-(N-メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン、以下、「NNK」という。)の量は、表1(大久保千代次, 受動喫煙の物理学, 公衆衛生研究, 1992;41:103-121より引用)に示す通りである。
【0039】
【0040】
また、副流煙に曝されて衣服や家具や壁面に付着したニコチンなどの残渣と大気中の亜硝酸が反応したことに起因して、当該副流煙に曝露後の最初の20分で発生するNNKの量は、0.4±0.08ng cm-2 であり、∂[NNK]/∂t = (2.0±0.4)10-2 ng cm-2 min-1であるため(「Sleiman M, Gundel LA, Pankow JF, Jacob P,Singer BC,Destaillats H.Formation of carcinogens indoors by surface-mediated reactions of nicotine with nitrous acid,leading to potential thirdhand smoke hazards.Proc. Natl.Acad. Sci. U.S.A. 2010;107(15): 6576-6581.」より引用)、例えば、身長175cm、体重60kgの人が衣服の全体にニコチンを付着させた状態で、賃貸マンション90の部屋に入ると、空間に入った後20分間でのNNKの量は、0.7ng程度となる。但し、衣服の表面積は、デュポア式で計算した体表面積≒1.79と同等とした。
【0041】
また、TSNAs濃度の上昇の確認は、本実施例では、今回、情報取得部20によって取得された特異成分濃度センサ4からのTSNAs濃度と、前回、情報取得部20によって取得されて記憶部14に格納されたTSNAs濃度と、を比較にすることにより行う構成とした。
【0042】
また、喫煙判定部22は、喫煙が発生したと判定したときには、喫煙が発生した場所を特定すると共に当該喫煙が発生した場所を記憶する。なお、喫煙が発生した場所の特定は、記憶部14に格納された喫煙管理情報140を用いて、煙発生信号を検知した煙センサ2のセンサIDおよび上昇したTSNAs濃度を測定した特異成分濃度センサ4のセンサIDに対応する設置場所IDを読み込むことにより行うことができる。また、喫煙が発生した場所の記憶は、当該設置場所IDと共に喫煙が発生した回数である喫煙回数nを記憶することにより行うことができる。さらに、喫煙判定部22は、管理期間dおよび喫煙日数dsのカウントや、喫煙常習者が利用している可能性がある部屋の後述する喫煙常習者利用可能性有部屋リスト142への登録、喫煙常習者が利用している部屋の後述する喫煙常習者利用部屋リスト144への登録も行う。
【0043】
警告部24は、喫煙判定部22によって、所定期間(本実施例では、7日間)内に所定日数(本実施例では、3日)以上の喫煙発生が判定されたときに、端末80に賃貸料金引き上げに関する警告信号を送信する。なお、端末80へ当該警告信号を送信する際に、警告信号を端末80に送信したことを示す信号を端末82に送信する構成としても良い。
【0044】
賃料計算部26は、喫煙に起因するリスクに基づいて賃貸料金の値上げ分を算定する。喫煙に起因するリスクとしては、本実施例では、喫煙に起因する火災の発生および喫煙に起因する部屋の壁紙などの汚損を考慮するものとした。そして、賃料計算部26は、喫煙に起因する火災の発生リスクに対しては、火災保険料の増額分に基づいて賃貸料金の値上げ分を算定し、喫煙に起因する部屋の壁紙などの汚損リスクに対しては、維持修繕費用に基づいて使用料の値上がり分を算定する。即ち、本実施例では、賃料計算部26は、火災保険料の月単位の増額分と、維持修繕費用を12で除した額と、を加算することにより、賃貸料金の値上げ分を算定する(賃貸料金の値上げ分=火災保険料の月単位増額分+維持修繕費用/12)。
【0045】
ここで、火災保険料の増額分は、例えば、保険会社が提供するノンスモーカー割引などを考慮して、次式(1)を用いて算定することができる。
【0046】
(数1)
所有者向け月単位の火災保険料×専有部分床面積/建造物延床面積×ノンスモーカー割引率 (1)
なお、ノンスモーカー割引率は、相場、例えば、3~4%を用いることができる。
【0047】
また、維持修繕費用は、壁紙張替え費用の相場を用いて、壁紙の経年劣化を考慮した定額法により、次式(2)を用いて算定することができる。
【0048】
(数2)
壁紙張替え費用×(天井面積+壁面積)×(1-(居住年数/壁紙の耐用年数)) (2)
なお、壁紙張替え費用は、相場、例えば、800~1000円/m2を用いることができる。また、壁紙の耐用年数は、例えば、6年を用いることができる。
【0049】
通知部28は、喫煙判定部22によって喫煙があったと判定されたときに、喫煙の発生を示す信号と共に喫煙が発生した場所を端末82に送信する。また、通知部28は、賃貸料金の引き上げ額、および、喫煙が発生した部屋が『喫煙常習者が利用している場所』として登録された旨を端末80に送信する。なお、通知部は、賃貸料金の引き上げ額を端末80に送信する際に、賃貸料金の引き上げ額を端末80に送信したことを示す信号を端末82に送信する構成としても良い。また、賃貸料金の引き上げ額のみならず、値上げ後の賃貸料金を端末80や端末82に送信する構成としても良い。
【0050】
記憶部14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量の記憶装置である。記憶部14は、日付や、喫煙管理情報140、喫煙常習者利用可能性有部屋リスト142、喫煙常習者利用部屋リスト144などが格納されている。
【0051】
喫煙管理情報140は、賃貸マンション90の各戸の各部屋を管理するための情報であり、
図3に示すように、管理物件IDと、設置場所IDと、センサIDと、TSNAs濃度と、住人IDと、喫煙回数nと、喫煙日数dsと、警告フラグfと、を含んでいる。
【0052】
管理場所IDは、管理物件(本実施例では、賃貸マンション90)の識別情報沿格納する領域である。設置場所IDは、煙センサ2および特異成分濃度センサ4が設置された場所の識別情報を格納する領域である。
【0053】
センサIDは、煙センサ2および特異成分濃度センサ4の識別情報を格納する領域である。
【0054】
TSNAs濃度は、特異成分濃度センサ4によって測定されたTSNAs濃度を格納する領域である。TSNAs濃度は、喫煙判定部22によって、TSNAs濃度が閾値よりも大きいと判定された場合にのみ、新しい値に更新される。即ち、TSNAs濃度に既に値(濃度)が格納されている場合において、情報取得部20が新たにTSNAs濃度を取得し、喫煙判定部22によって、当該TSNAs濃度が閾値よりも大きいと判定されたときに、当該新しい値(濃度)に置き換えられる。
【0055】
住人IDは、賃貸マンション90の各戸の住人を識別するための識別情報を格納する領域である。住人IDは、賃貸マンション90の各戸に対して一意な識別情報が割り当てられれば良く、各戸の住人全てに対して割り当てる必要は無い。なお、各戸の住人全てに対して一意な識別情報を割り当てても良いことは言うまでもない。
【0056】
喫煙回数nは、喫煙判定部22によって、喫煙が発生したと判定された回数を格納するための領域である。喫煙回数nは、喫煙判定部22によって、喫煙の発生が判定される毎に値1だけインクリメントされる。
【0057】
喫煙日数dsは、喫煙判定部22によって、喫煙が発生したと判定された日数を格納する領域である。喫煙日数dsは、異なる日付において喫煙が発生する毎に値1だけインクリメントされ、管理期間dが所定期間(本実施例では、7日間)経過したときに値0にセットされる。
【0058】
警告フラグfは、警告部24による警告が行われたか否かを示す値を格納する領域である。喫煙管理情報140に格納される値は「0」および「1」のいずれかである。警告フラグfが値0であれば、警告されていないことを示し、警告フラグfが値1であれば、警告されていることを示す。
【0059】
喫煙常習者利用可能性有部屋リスト142は、所定期間(本実施例では、7日間)内に所定日数(本実施例では、3日)以上の喫煙を行ってはいないが、所定期間(本実施例では、7日間)内に喫煙を行った部屋を、喫煙常習の可能性がある住人が利用している部屋として登録したリストであり、
図4に示すように、設置場所IDと、住人IDと、喫煙回数nと、を含んでいる。設置場所IDおよび住人IDは、それぞれ喫煙管理情報140の設置場所IDおよび住人IDと同一の領域である。また、喫煙回数nは、喫煙管理情報140の喫煙回数nと同一の領域である。
【0060】
喫煙常習者利用部屋リスト144は、所定期間(本実施例では、7日間)内に所定日数(本実施例では、3日)以上喫煙が行われたった部屋を喫煙常習者が利用している部屋として、警告回数Cwと共に登録したリストであり、
図5に示すように、設置場所IDと、住人IDと、警告回数Cwと、を含んでいる。設置場所IDおよび住人IDは、それぞれ喫煙管理情報140の設置場所IDおよび住人IDと同一の領域である。また、警告回数Cwは、警告した回数を格納する領域であり、警告部24が警告信号を送信する毎に値1だけインクリメントされる。
【0061】
入力部16は、各種入力を行うマウスやキーボードなどを含む。表示部18は、画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイである。
【0062】
次に、こうして構成された本実施例に係る喫煙検知システム1の動作、特に、喫煙が発生したか否かを判定し、喫煙が発生したと判定した際に、警告や賃料引上げの通告、リストへの登録などを行う際の動作について説明する。
図6は、制御部12により実行される喫煙抑制対策処理ルーチンの一例を示すメインフローチャートであり、
図7は、
図6のメインフローチャートから分岐したサブフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。喫煙抑制対策処理ルーチンは、主に、情報取得部20や、喫煙判定部22、警告部24、賃料計算部26、および、通知部28により実行される。
【0063】
喫煙抑制対策処理ルーチンが実行されると、まず、情報取得部20は、煙発生信号、TSNAs濃度を読み込むと共に、読み込んだ煙発生信号、TSNAs濃度を記憶部14に格納する処理を実行する(ステップS100)。続いて、喫煙判定部22は、煙が発生したか否かを判定する処理を実行する(ステップS102)。煙が発生したか否かの判定は、情報取得部20が煙センサ2からの煙発生信号を受信したか否かに基づいて行うことができる。煙が発生したと判定した、即ち、情報取得部20が煙センサ2からの煙発生信号を受信したときは、TSNAs濃度が閾値よりも大きいか否かを判定する処理を実行し(ステップS104)、TSNAs濃度が閾値よりも大きいとき、即ち、TSNAsの発生が、喫煙者が吐き出した煙やたばこから直接立ちのぼる煙(主流煙や副流煙)に起因するものであるときは、TSNAs濃度が上昇したか否かを判定する処理を実行する(ステップS106)。TSNAs濃度が上昇したか否かの判定は、情報取得部20が、今回、特異成分濃度センサ4から取得したTSNAs濃度と、情報取得部20が、前回、特異成分濃度センサ4によって取得されて記憶部14の喫煙管理情報140に格納されているTSNAs濃度と、を比較することにより行うことができる。
【0064】
TSNAs濃度が上昇したときは、喫煙判定部22は、喫煙が発生したと判定して、喫煙発生場所を特定する処理および当該喫煙発生場所を記録する処理を実行すると共に(ステップS108)、喫煙回数nを値1だけインクリメントする処理を実行する(ステップS110)。ここで、喫煙発生場所の特定は、喫煙管理情報140を参照して、煙発生信号を出力した煙センサ2のセンサIDと、TSNAs濃度の上昇を測定した特異成分濃度センサ4のセンサIDと、に対応する(紐付けされた)設置場所IDを特定することにより行うことができ、喫煙回数nのインクリメントは、当該特定した設置場所IDに紐付けされた住人IDに対応する喫煙回数nをインクリメントすることにより行うことができる。
【0065】
そして、通知部28が、喫煙が発生した事実、および、特定した喫煙発生場所を、賃貸マンション90の所有者あるいは管理業者に通知する処理、即ち、喫煙が発生した事実、および、特定した喫煙発生場所を端末82に送信する処理を実行する(ステップS112)。
【0066】
続いて、情報取得部20が、日付を読み込む処理を実行すると共に(ステップS114)、喫煙判定部22が、日付に変更があったか否かを判定する処理を実行する(ステップS116)。ここで、日付に変更があったか否かの判定は、情報取得部20が今回読み込んだ日付と、記憶部14に記憶された日付と、を比較することにより行うことができる。なお、喫煙抑制対策処理が初めて実行される場合には、記憶部14に日付が格納されておらず、日付の比較ができないため、本実施例では、喫煙抑制対策処理が初めて実行される場合には、日付に変更があったと判定する構成とした。
【0067】
日付に変更がなかった場合には、何もせずに本ルーチンを終了する。一方、日付に変更があった場合には、喫煙判定部22は、当該日付を記憶部14に格納すると共に(ステップS118)、管理期間dを値1だけインクリメントする処理を実行して(ステップS120)、管理期間dが値7以下であるか否か、即ち、管理期間dが7日以内であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS122)。ここで、本実施例では、管理期間dが値7、即ち、管理期間を7日としたが、これに限らず、任意に設定可能であることは言うまでもない。
【0068】
管理期間dが値7以下のとき、即ち、管理期間dが7日以内であるときには、喫煙判定部22は、喫煙日数dsを値1だけインクリメントする処理を実行すると共に(ステップS124)、警告フラグfが値0であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS126)。ここで、警告フラグfが値0であるか否かの判定は、喫煙管理情報140を参照して、特定した喫煙発生場所に該当する設置場所IDに紐付けされた住人IDの警告フラグfを読み込むことにより行うことができる。なお、警告フラグfは、後述する本ルーチンの処理において設定されるものであり、管理期間dが所定期間(本実施例では、7日)内に喫煙を行っていないか、あるいは、管理期間dが所定期間(本実施例では、7日)内の喫煙日数dsが所定日数(本実施例では、3日)未満であるときに値0が設定され、管理期間dが所定期間(本実施例では、7日)内に喫煙日数dsが所定日数(本実施例では、3日)以上であったときに値1が設定される。
【0069】
そして、ステップS126において、警告フラグfが値0であると判定されたときには、喫煙判定部22は、喫煙日数dsが値3以上であるか否か、即ち、喫煙日数dsが3日以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS128)。ここで、喫煙日数dsが3日以上であるか否かの判定は、喫煙管理情報140を参照して、特定した喫煙発生場所に該当する設置場所IDに紐付けされた住人IDの喫煙日数dsを読み込むことより行うことができる。なお、本実施例では、喫煙日数dsが値3、即ち、喫煙日数dsを3日としたが、これに限らず、任意に設定可能であることは言うまでもない。
【0070】
喫煙日数dsが値3以上であるとき、即ち、喫煙日数dsが3日以上であるときには、賃料計算部26は、賃貸料金の引上げ額を算定する処理を実行する(ステップS130)。なお、賃料計算部26は、上述した式(1)により火災保険料の月単位増額分を求めると共に、上述した式(2)により維持修繕費用を算定し、当該火災保険料の月単位増額分と、維持修繕費用を12で除した額と、を加算することによって、賃貸料金の引上げ額を算定する。
【0071】
続いて、警告部24は、当該住人(喫煙日数dsが3日以上である賃貸マンション90の住人)に警告する処理、即ち、当該住人の端末80に賃貸料金の引き上げに関する警告信号を送信する処理を実行する(ステップS132)。ここで、賃貸料金の引上げに関する警告は、典型的には、「賃貸料金の引上げ額」を端末82に送信する処理がこれに該当するが、「賃貸料金の引上げ額」に加えて、当該賃貸料金の引上げ額を加味した新たな賃貸料金(値上げ後の賃貸料金)を端末80に送信しても良い。
【0072】
そして、喫煙判定部22は、喫煙管理情報140における当該住人(喫煙日数dsが3日以上である賃貸マンション90の住人)の住人IDに対応する警告フラグfを値1にセットすると共に警告回数Cwを値1だけインクリメントし(ステップS134)、当該喫煙の発生が検知された部屋を「喫煙常習者が利用している部屋」として喫煙回数Cwと共に喫煙常習者利用部屋リスト144に登録する処理を実行する(ステップS136)。
【0073】
当該喫煙常習者利用部屋リスト144への登録処理が実行された後、通知部28は、賃料計算部26によって算定された賃貸料金の引上げ額、および、喫煙の発生が検知された部屋が喫煙常習者利用部屋リスト144に登録された旨の通知を、当該住人の端末80に送信する処理を実行する(ステップS138)。ここで、当該住人への通知は、典型的には、文字により視覚に訴える態様が考えられるが、光により視覚に訴える方法や、音による聴覚に訴える方法、振動による触覚に訴える方法などにより行うことができる。
【0074】
続いて、喫煙判定部22は、管理期間dが7日となったか否かを判定する処理を実行し(ステップS140)、管理期間dが7日となったときは、管理期間dおよび喫煙日数dsをそれぞれ値0にセットして(ステップS142)、本ルーチンを終了する。一方、管理期間dが7日でないときは、何もせずに本ルーチンを終了する。
【0075】
なお、ステップS102において、喫煙判定部22が、煙は発生していないと判定した場合や、ステップS104において、喫煙判定部22が、TSNAs濃度が閾値以下であると判定した場合、ステップS106において、喫煙判定部22が、TSNAs濃度は上昇していないと判定した場合には、情報取得部20が、日付を読み込む処理を実行すると共に(ステップS144)、喫煙判定部22が、日付に変更があったか否かを判定する処理を実行する(ステップS146)。ここで、喫煙抑制対策処理が初めて実行される場合には、上述した通り、日付に変更があったと判定する。
【0076】
日付に変更があった場合には、喫煙判定部22は、当該日付を記憶部14に格納すると共に(ステップS148)、管理期間dが値7以下であるか否か、即ち、管理期間dが7日以内であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS150)。管理期間dが値7以下のとき、即ち、管理期間dが7日以内であるときには、喫煙判定部22は、管理期間dを値1だけインクリメントする処理を実行すると共に(ステップS152)、管理期間dが7日となったか否かを判定する処理を実行し(ステップS140)、管理期間dが7日となったときは、管理期間dおよび喫煙日数dsをそれぞれ値0にセットして(ステップS142)、本ルーチンを終了する。一方、管理期間dが7日でないときは、何もせずに本ルーチンを終了する。
【0077】
一方、ステップS150において、管理期間dが値7より大きいと判定したとき、即ち、管理期間dが7日を超えていると判定したときには、喫煙判定部22は、現時点における管理期間dから値7を引いた値を新たな管理期間dに設定すると共に、喫煙日数dsを値0にセットして(ステップS154)、本ルーチンを終了する。
【0078】
また、ステップS122において、管理期間dが値7より大きいとき、即ち、管理期間dが7日を超えたときには、喫煙判定部22は、喫煙日数dsを値0にセットする処理を実行する(ステップS164)。続いて、喫煙判定部22は、現時点における管理期間dから値7を引いた値を新たな管理期間dに設定すると共に、喫煙日数dsを値1だけインクリメントする処理実行して(S166)、本ルーチンを終了する。
【0079】
さらに、ステップS126において、警告フラグfが値0でない、即ち、警告フラグfが値1であると判定されたとき、即ち、管理期間dである7日以内の喫煙日数dsが3日以上であるために当該住人が既に警告を受けているときには、賃料計算部26は、当該住人(警告を受けた後、7日以内に再び喫煙を行った賃貸マンション90の住人)の現時点における賃貸料金を、算定した賃貸料金の引上げ額を加算した新たな(賃上げ後の)賃貸料金に置き換える処理を実行する(ステップS156)。こうして賃貸料期の置き換え処理を実行した後、喫煙判定部22は、警告フラグfを値0にセットすると共に警告回数Cwを値1だけインクリメントする処理を実行し(ステップS158)、インクリメントされた警告回数Cwを記憶する処理を実行する(ステップS160)。その後、喫煙判定部22は、管理期間dおよび喫煙日数dsを値0にセットして(ステップS142)、本ルーチンを終了する。
【0080】
また、ステップS128において、喫煙日数dsが値3未満、即ち、喫煙日数dsが3日未満であると判定されたときには、喫煙の発生が検知された部屋(喫煙を行ったが喫煙日数dsが3日未満である賃貸マンション90の部屋)を、喫煙常習者が利用している可能性がある部屋として、喫煙回数nと共に喫煙常習者利用可能性有部屋リスト142に登録する処理を実行して(ステップS162)、本ルーチンを終了する。
【0081】
以上説明した本実施例に係る喫煙検知システム1によれば、煙センサ2によって煙を検知すると共に、特異成分濃度センサ4によって測定されたTSNAs濃度が閾値より大きく、かつ、当該TSNAs濃度の上昇を検知した場合にのみ、喫煙が発生したと判定するため、例えば、部屋で調理をしたことに起因する煙の発生や、部屋で線香(蚊取り線香含む)を焚いたことに起因する煙の発生を、「喫煙の発生」と誤検知することを防止できる。また、部屋の外で喫煙した人や当該喫煙者の近くに居た人が、部屋に入ったことに起因してTSNAs濃度が上昇したことを、「喫煙の発生」と誤検知することを防止できる。これにより、喫煙検知精度の向上を図ることができる。なお、室内を撮像する必要がないため、プライバシーの侵害が問題となることもない。これにより、喫煙検知システム1を制約なく適用することができる。
【0082】
また、本実施例に係る喫煙検知システム1によれば、喫煙が発生した事実、および、特定した喫煙発生場所を、賃貸マンション90の所有者や当該賃貸マンション90の管理者に通知するため、賃貸マンション90の所有者や当該賃貸マンション90の管理者は、賃貸マンション90の各戸の住人が部屋で喫煙を行った事実、および、喫煙発生場所を知ることができる。これにより、喫煙を行った住人を適切に把握して注意することができる。
【0083】
さらに、本実施例に係る喫煙検知システム1によれば、所定期間(本実施例では、7日)内に所定日数(本実施例では、3日)以上の喫煙の発生を検知した場合に、当該喫煙を行った賃貸マンション90の住人に賃貸料金の引き上げに関する警告や、当該喫煙が発生した部屋が喫煙者常習者利用部屋リスト144に登録された旨の通知を行うため、当該住人に喫煙を思い留まらせる強い動機付けを与えることができる。これにより、部屋での喫煙発生を効果的に抑制することができる。この結果、喫煙による賃貸マンション90の資産価値低下の抑制を図ることができる。また、喫煙に起因する賃貸マンション90の改装や清掃に係る費用(維持修繕費用)の発生、喫煙に起因する火災保険料の増加、喫煙に起因する賃貸マンション90の住人間でのトラブルの発生などを抑制することができる。さらに、二次喫煙および三次喫煙に起因する賃貸マンション90の住人を含む関係者(賃貸マンション90の所有者や管理人、賃貸マンション90の訪問者など)の健康被害の発生を抑制することができる。なお、当該警告や通知は、所定期間(本実施例では、7日)内に所定日数(本実施例では、3日)以上の喫煙の発生を検知した場合にのみ行われるため、喫煙者への警告や通知を適度なものとすることができる。これにより、喫煙者が警告や通知に対する耐性を獲得することを抑制することができる。
【0084】
また、本実施例に係る喫煙検知システム1によれば、喫煙に起因する火災保険料の増額分と、喫煙に起因する維持修繕費用と、に基づいて賃貸料金の引上げ額を算定するため、賃貸料金の引上げ額を適正に算定することができる。
【0085】
本実施例では、賃貸マンション90の各戸の部屋における喫煙発生の検知に、本発明に係る喫煙検知システム1を適用したが、これに限らない。例えば、貸家や、ホテル、オフィスビルなどの各部屋における喫煙の発生の検知に適用しても良いし、レンタカーや電車、旅客機、客船などの車内、機内、船内における喫煙発生の検知に本発明に係る喫煙検知システム1を適用することができる。ここで、本発明に係る喫煙検知システム1をホテルの各部屋における喫煙の発生の検知に適用する場合には、賃貸料金の引上げに替えて、宿泊代の増額を行うことができる。また、本発明に係る喫煙検知システム1をレンタカーや電車、旅客機、客船などの車内、機内、船内における喫煙発生の検知に適用する場合には、賃貸料金の引上げに替えて、レンタル料金の引上げや運賃の増額を行うことができる。
【0086】
本実施例では、端末82を介して、喫煙が発生した事実、および、特定した喫煙発生場所を賃貸マンション90の所有者や管理者に通知する構成としたが、これに限らない。例えば、スピーカーやディスプレイ、警告灯を含む通知ランプなどを介して、喫煙が発生した事実、および、特定した喫煙発生場所を賃貸マンション90の所有者や管理者に通知する構成としても良い。
【0087】
本実施例では、端末80を介して、賃貸マンション90の住人に警告を行う構成としたが、これに限らない。例えば、賃貸マンション90の各戸の各部屋にスピーカーやディスプレイ、警告灯を含む通知ランプなどが設置されている場合には、当該スピーカーやディスプレイ、警告灯を含む通知ランプなどを介して、賃貸マンション90の住人に警告を行う構成としても良い。
【0088】
本実施例では、喫煙に起因するリスクとして、喫煙に起因する火災の発生および喫煙に起因する部屋の壁紙などの汚損の両方を考慮したが、これに限らない。例えば、喫煙に起因する火災の発生および喫煙に起因する部屋の壁紙などの汚損のいずれか一方のみを考慮するものとしても良いし、その他のリスクを考慮しても良い。
【0089】
本実施例では、本発明を、喫煙を検知して喫煙者に警告や賃貸料金の引上げを通告する喫煙検知装置としての管理サーバー10の形態や、当該管理サーバー10を備える喫煙検知システム1の形態、あるいは、喫煙を検知して喫煙者に警告や賃貸料金の引上げを通告する喫煙検知方法として説明したが、例えば、管理サーバー10を喫煙検知装置として機能させるプログラムや、喫煙検知方法を実行するためのプログラムの形態に適用するものとしても良い。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなど)に記録されていても良いし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介して、あるコンピュータから別のコンピュータへ配信されても良いし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した喫煙抑制対策処理ルーチンの各ステップが実行されるため、本実施例の喫煙検知装置としての管理サーバー10や喫煙検知システム1、喫煙検知方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。