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特開2024-111864ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造
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  • 特開-ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111864
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240813BHJP
   E05D 13/00 20060101ALI20240813BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240813BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
E05D15/06 121
E05D13/00 Z
E06B3/46
E05D15/06 125A
A01G9/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016531
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大
【テーマコード(参考)】
2B029
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2B029BB11
2E014AA01
2E034CA13
2E034CB01
2E034DA11
(57)【要約】
【課題】ビニルハウスのドア用の上辺レールに上端戸車がしっかりと嵌合して、ドアが揺動不可状態で確実に支持される支持構造を廉価に提供する。
【解決手段】上辺レール2は、横断面形状が、上面20の両端につづく両側面21が下向きに開口する溝形鋼状をなし、側面21の中間は内向きに台形状の段差部22が形成されている。リム部30の上端にフランジ部32を有し、下端に車軸部31を有するトロ車型戸車2は、フランジ部32が最上位置で水平に配置されて、リム部30の車軸部31がドア4の上部40に軸支され、上辺レール2の台形状の段差部22を形成する上方斜辺部22aの上方スペースS1に、トロ車型戸車3のフランジ部32の下面が配設され、上辺レール2内でトロ車型戸車3が嵌合してドア4が揺動不可状態で支持されて成る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルハウスの入口で下端戸車が下辺レールに沿って移動する際に、前記入口に設けられた上辺レールに対し、スライド移動する前記ドアの上部が支持される構造であって、
前記上辺レ-ルは、その上面の両端につづく両側面が下向きに開口する溝形鋼状をなし、前記側面の中間に内向きの段差部が形成されて成る一方、
前記ドアの抜け落ちを防ぐフランジ部を有する上端戸車の前記フランジ部が最上位置で水平となる配置状態で、前記上端戸車は前記ドアの上部に軸支して設けれ、
前記上辺レ-ルの段差部の上方スペースに前記上端戸車のフランジ部が配設され、前記フランジ部が前記段差部に係止可能状態で前記上辺レールに対して前記上端戸車が嵌合することにより、前記ドアが揺動することなく支持されて成ること、
を特徴とするビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造。
【請求項2】
ビニルハウスの入口で下端戸車が下辺レールに沿って移動する際に、前記入口に設けられた上辺レールに対し、スライド移動する前記ドアの上部が支持される構造であって、
(a)前記上辺レールは、横断面形状が、その上面の両端につづく両側面が下向きに開口する溝形鋼状をなし、前記側面の中間は内向きに台形状の段差部が形成され、
(b)リム部の上端にフランジ部を有し、下端に車軸部を有する上端戸車たるトロ車型戸車は、前記フランジ部が最上位置で水平に配置されて、前記リム部の車軸部が前記ドアの上部に軸支され、
(c)前記上辺レールの台形状の段差部を形成する上方斜辺部の上方スペースに、前記トロ車型戸車のフランジ部の下面が配設され、前記フランジ部が前記段差部の上方斜辺部に係止可能状態で前記上辺レールに対して前記トロ車型戸車が嵌合することにより、前記ドアが揺動することなく支持されて成ること、
を特徴とするビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造。
【請求項3】
前記上辺レ-ルの台形状の段差部間で形成される中間スペースに、前記トロ車型戸車のリム部が嵌合されることにより、前記ドアが揺動不可状態で支持されて成ること、
を特徴とする請求項2に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造。
【請求項4】
前記トロ車型戸車の下端の車軸部には、縦長の調整用の長孔が穿設されており、前記ドアの上部たる横桟に設けた固定ネジが、前記調整用長孔に挿通されて所望の高さ位置で前記ドアが前記車軸部に固定自在に構成されていること、
を特徴とする請求項2に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造。
【請求項5】
前記上端戸車又はトロ車型戸車は、前記ドアの上部に後付け自在であること、
を特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造に関し、さらに言えば、ビニルハウスの入口に設けられたドア用の上辺レールに対し、上端戸車が係可能状態で嵌合してドアが揺動することなく支持される上辺レールへの支持構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造として、図6に示したように、ドアcの下端に設けた戸車で下辺レールをスライド移動し、前記ドアcの上部に設けた脱着金具(突出金具)aを上辺レールd内に配設すると共に、ドアcの上部から側部にかけてレールガイドbを介在させてドアcの揺動を防ぐ構成の支持構造が実施されている。
これに関し、本出願人が開発した特許文献1の図3及び段落[0020]に、左右のスライド式ドア30(30A、30B)が下辺レール13内で戸車40を備え、上辺レール13内で当該ドア30(30A、30B)の抜け落ちを防ぐ突出金具31a(図3B)を備えた例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7199663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や図6に示したような従来のスライド式ドアの抜け落ちを防ぐ突出金具(脱着金具)aは、ドアcの下端に設けた戸車が下辺レール上をスライド移動する際に、当該ドアcの上部が上辺レールdから抜け落ちないように構成されているものである。そのため、抜け落ち防止用の突出金具aやレールガイドbが必要となって部品点数が増え、点検作業も面倒である。しかも、そのような突出金具aはシンプルな突起状で成り、抜け落ちの観点からはレールガイドbが無ければ不安定であり、かかる点が解決すべき課題とされている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ビニルハウスの入口に設けられたドア用の上辺レールに、上端戸車がしっかり係止して嵌合し、ドアの揺動が防止された支持構造を廉価で実現し、ドアへの取り付け施工も容易なビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明は、ビニルハウス1の入口10で下端戸車5が下辺レール6に沿って移動する際に、前記入口10に設けられた上辺レール2に対し、スライド移動する前記ドア4の上部40が支持される構造であって、
前記上辺レ-ル2は、その上面20の両端につづく両側面21が下向きに開口する溝形鋼状をなし、前記側面21の中間に内向きの段差部22が形成されて成る一方、
前記ドア4の抜け落ちを防ぐフランジ部32を有する上端戸車3の前記フランジ部32が最上位置で水平となる配置状態で、前記上端戸車3は前記ドア1の上部10に軸支して設けれ、
前記上辺レ-ル2の段差部22の上方スペースS1に前記上端戸車3のフランジ部32が配設され、前記フランジ部32が前記段差部22に係止可能状態で前記上辺レール2に対して前記上端戸車3が嵌合することにより、前記ドア4が揺動することなく支持されて成ること、
を特徴とするビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造である。
【0007】
請求項2に記載した発明は、ビニルハウス1の入口10で下端戸車5が下辺レール6に沿って移動する際に、前記入口10に設けられた上辺レール2に対し、スライド移動する前記ドア4の上部40が支持される構造であって、
(a)前記上辺レール2は、横断面形状が、その上面20の両端につづく両側面21が下向きに開口する溝形鋼状をなし、前記側面21の中間は内向きに台形状の段差部22が形成され、
(b)リム部30の上端にフランジ部32を有し、下端に車軸部31を有する上端戸車たるトロ車型戸車2は、前記フランジ部32が最上位置で水平に配置されて、前記リム部30の車軸部31が前記ドア4の上部40に軸支され、
(c)前記上辺レール2の台形状の段差部22を形成する上方斜辺部22aの上方スペースS1に、前記トロ車型戸車3のフランジ部32の下面が配設され、前記フランジ部32が前記段差部22の上方斜辺部22aに係止可能状態で前記上辺レール2に対して前記トロ車型戸車3が嵌合することにより、前記ドア4が揺動することなく支持されて成ること、
を特徴とするビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造である。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記上辺レ-ル2の台形状の段差部22間で形成される中間スペースS2に、前記トロ車型戸車3のリム部30が嵌合されることにより、前記ドア4が揺動不可状態で支持されて成ること、
を特徴とする請求項2に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造である。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記トロ車型戸車3の下端の車軸部31には、縦長の調整用の長孔31aが穿設されており、前記ドア4の上部40たる横桟に設けた固定ネジ7が、前記調整用長孔31aに挿通されて所望の高さ位置で前記ドア4が前記車軸部31に固定自在に構成されていること、
を特徴とする請求項2に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造である。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記上端戸車又はトロ車型戸車3は、前記ドア4の上部40に後付け自在であること、
を特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載したビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造によれば、ドアの抜け落ちを防ぐフランジ部を有する上端戸車(トロ車型戸車)の前記フランジ部が最上位置で水平となる配置状態で、上端戸車はドアの上部に軸支して設けれる一方、溝形鋼状をなす上辺レ-ルに形成した段差部の上方スペースに上端戸車のフランジ部が配設されるので、簡便構造ながら上辺レールに対し上端戸車が係止して確実に嵌合し、ドアが揺動することなく支持されて安全である。しかも、この上端戸車は部品点数が少なく、経済性にも優れる上、施工が容易で後付けもできる自在性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造を側面からみた図であり、Aは、図5AのI部分における部分拡大図、Bは、図5BのII-II線矢視断面図である。
図2】上辺レールの側面図である。
図3】トロ車型戸車(上端戸車)を示した正面図である。
図4】Aは、図3のトロ車型戸車を斜め上方から示した斜視図と、Bは、同斜め下方から示した斜視図である。
図5】ビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造を示した全体図であり、Aは、側面図、Bは、正面図である。
図6】従来のビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造を側面方向から示した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のビニルハウス用ドアの上辺レールへの支持構造は、図5に示したように、ビニルハウス1の入口10において、ドア4の下端に設けられた下端戸車5が下辺レール6に沿って移動する際に、前記入口10に設けられた上辺レール2に対し、スライド移動するドア4の上部40が支持されるものである。
【0014】
前記この上辺レ-ル2は、図2に示した横断面形状において、上面20の両端につづく両側面21が下向きに開口する溝形鋼状をなし、前記側面21の中間は内向きに台形状の段差部22が形成され、前記段差部22につづく下端縁は内向きに若干折曲されたリップ23に形成されている。そして、前記台形状の段差部22の上方斜面部22aの上面には、後述するように、トロ車型戸車2のフランジ部32が係止される。
【0015】
本実施形態の上端戸車2は、図3図4に示した所謂トロ車型戸車で好適に実施され、リム部30の上端にフランジ部32を有し、下端に車軸部31を有している。
このトロ車型戸車2は、車輪を90度倒したように前記フランジ部32が最上位置で水平に配置されて、リム部30の車軸部31がドア4の上部40に軸支されている。
すなわち、トロ車型戸車2を構成するリム部30とフランジ部32の中央に、上下に貫する貫通孔33が形成されている(図1B参照)。一方、車軸部31は、厚さが約5.5mm程度の強度ある部材に形成された本体部分に、ネジ止め調整が可能な縦長の長円形状の長孔31aが、上下に2箇所穿設されている。本実施形態では、下方の調整用長孔31aが上方のそれより大きく形成されているが、調整用長孔31aの大きさや数はこれに限定されるものではない。
よって、前記フランジ部32の貫通孔33に、上方から六角ボルト34を挿し込み、トロ車型戸車2が回転自在状態で、前記ボルト34が前記構成の車軸部31の上端部に固定されている。
【0016】
前記トロ車型戸車2のドア4への取り付け要領は次のように行う。
図1B図5Bに示したように、ドア4の上部40たる横桟に設けた固定ネジ7を、トロ車型戸車2の車軸部31の上下2つの調整用長孔31aに挿通し、ドア4の上部40(横桟)が上辺レール2内に収まる適切な高さ位置が決まったら、車軸部31に対しナット8でそれぞれ固定する。
前記トロ車型戸車2とドア4(上部40)の間隔は、図1に図示したように、それ程長くならない形態で実施するのが好ましい。間隔が長くなってドア4の上部40が上辺レール2からはみ出すと、養生を別途設ける必要があって面倒な上、ドア4の揺動を惹起する恐れがあるためである。
【0017】
したがって、上辺レール2の台形状の段差部22を形成する上方斜辺部22aの上方スペースS1に、トロ車型戸車3のフランジ部32の下面が配設されている。と共に、上辺レ-ル2の台形状の段差部22間で形成される中間スペースS2に、トロ車型戸車3のリム部30が嵌合されている(図1A図2参照)。
これにより、前記フランジ部32が段差部22の上方斜辺部22aに係止可能状態で上辺レール2に対してトロ車型戸車3が嵌合することにより、ドア4が揺動することなく上辺レール2に確実に支持された安全設計となっている。
なお、上述した上端戸車たるトロ車型戸車3は、既存のドア4の上部40に備わる突出金具(図6参照)に変えて、自由に後付けすることができる。
【0018】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために申し添える。
【符号の説明】
【0019】
1 ビニルハウス
10 入口
2 上辺レール
20 上面
21 側面
22 段差部
22a 上方斜辺部
23 リップ
3 上端戸車(トロ車型戸車)
30 リム部
31 車軸部
31a 調整用長孔
32 フランジ部
33 貫通孔
34 ボルト
4 ドア
40 上部(横桟)
41 上方側面
5 下端戸車
6 下辺レール
7 固定ネジ
8 ナット
S1 上方スペース
S2 中間スペース


図1
図2
図3
図4
図5
図6