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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111872
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】装着型音響出力装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240813BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20240813BHJP
   G11B 27/00 20060101ALI20240813BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H04R3/00 310
G11B20/10 321Z
G11B27/00 A
H04R1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016544
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】森高 冬毅
(72)【発明者】
【氏名】有田 光希
(72)【発明者】
【氏名】小長井 裕介
【テーマコード(参考)】
5D044
5D110
5D220
【Fターム(参考)】
5D044AB05
5D044JJ02
5D110AA27
5D110DA04
5D110DA11
5D110FA06
5D220AA50
5D220AB08
(57)【要約】
【課題】利用者の聴覚をより適切に保護する。
【解決手段】装着型音響出力装置は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、前記利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御処理部を備える。前記制御処理部は、前記出力音の出力が連続して中断されている再生中断期間が、予め設定された初期化閾値に達した場合に、前記連続再生期間を初期化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、
前記利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御処理部を備える
装着型音響出力装置。
【請求項2】
前記制御処理部は、前記出力音の出力が連続して中断されている再生中断期間が、予め設定された初期化閾値に達した場合に、前記連続再生期間を初期化する
請求項1に記載の装着型音響出力装置。
【請求項3】
利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、
前記利用者の耳に出力する出力音によって前記利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御処理部を備える
装着型音響出力装置。
【請求項4】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の出力を停止する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項5】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて、前記出力音の出力を継続する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項6】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、前記出力音の出力を再開する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項7】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の出力を停止した後に、警告音を出力する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項8】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、さらに前記出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて、前記出力音の出力を再開する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項9】
前記制御処理部は、前記出力音への特定の処理として、前記出力音の出力を停止した後に、警告メッセージを、前記装着型音響出力装置に接続可能な外部装置に出力させる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項10】
前記制御処理部は、前記出力音の出力を中断した後に、前記出力音の出力を再開する場合に、前記出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて再開する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項11】
前記制御処理部は、前記出力音の出力を中断した後に、前記出力音の出力を再開する場合に、前記出力音の音量値を、前記装着型音響出力装置に接続可能な外部装置によって予め設定された音量初期値に変更して再開する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項12】
前記制御処理部は、前記音量初期値が、現在の前記出力音の音量値より小さい場合に、前記出力音の音量値を、前記音量初期値に変更して再開する
請求項11に記載の装着型音響出力装置。
【請求項13】
前記制御処理部は、前記出力音に対して、ノイズ除去処理が開始された場合に、前記出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装着型音響出力装置。
【請求項14】
利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置の制御方法であって、
制御処理部が、前記利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する
制御方法。
【請求項15】
利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置の制御方法であって、
制御処理部が、前記利用者の耳に出力する出力音によって前記利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型音響出力装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、聴覚保護のために、単位時間あたり(例えば、1週間)の音響暴露量の積算値が閾値を上回った場合に、注意喚起を表示する技術が知られている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-157240号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「iPhone、iPod touch、Apple Watch のヘッドフォン通知」、[online]、Apple Inc.、[令和4年9月20日検索]、インターネット<URL: https://support.apple.com/ja-jp/HT211903>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、利用者が自覚して主体的に聴覚保護を行うことを前提としており、聴覚保護の自覚がない利用者は使用できずに保護されないという課題があった。また、利用者の聴覚をより適切に保護することができる技術が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、利用者の聴覚をより適切に保護することができる装着型音響出力装置、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、前記利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御処理部を備える装着型音響出力装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、前記利用者の耳に出力する出力音によって前記利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御処理部を備える装着型音響出力装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置の制御方法であって、制御処理部が、前記利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御方法である。
【0010】
また、本発明の一態様は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置の制御方法であって、制御処理部が、前記利用者の耳に出力する出力音によって前記利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値が、予め設定された処理閾値に達した場合に、前記利用者に前記耳への過負荷を認識させる前記出力音への特定の処理を実行する制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態による音響システムの一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態におけるホスト装置の基本制御アプリによる表示例を示す図である。
図3】第1の実施形態におけるヘッドホンの動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態におけるヘッドホンの動作の別の一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態による音響システムの動作の一例を示す図である。
図6】第2の実施形態による音響システムの一例を示すブロック図である。
図7】第2の実施形態による音響システムの動作の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態におけるヘッドホンの動作の一例を示すフローチャートである。
図9】第3の実施形態による音響システムの一例を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態におけるヘッドホンの動作の一例を示すフローチャートである。
図11】第4の実施形態による音響システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による装着型音響出力装置、及び制御方法について、図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態による音響システム1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、音響システム1は、ヘッドホン10と、ホスト装置20とを備える。
【0015】
ホスト装置20(外部装置の一例)は、ヘッドホン10が出力する出力音を制御する装置であり、例えば、スマートホン、ミュージックプレーヤ、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などの外部装置である。本実施形態では、ホスト装置20が、スマートホンであるものとして、説明する。
ホスト装置20は、無線通信部21と、入力部22と、表示部23と、ホスト記憶部24と、ホスト制御部25とを備える。
【0016】
無線通信部21(通信部の一例)は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信デバイスであり、ヘッドホン10との間で、無線通信による通信を行う。
入力部22は、例えば、キーボードやタッチセンサなどの入力装置であり、利用者からの各種入力情報を受け付け、受け付けた各種入力情報をホスト制御部25に出力する。
【0017】
表示部23(出力部の一例)は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置である。表示部23は、ホスト制御部25から供給された各種情報を表示する。
ホスト記憶部24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの記憶部である。ホスト記憶部24は、ホスト装置20が利用する各種情報を記憶する。ホスト記憶部24は、楽曲データ記憶部241と、音量設定記憶部242とを備える。
【0018】
楽曲データ記憶部241は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成され、後述するプレーヤ処理部252によって、ヘッドホン10に再生出力される楽曲データを記憶する。
【0019】
音量設定記憶部242は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成され、ヘッドホン10の音量値を記憶する。
【0020】
ホスト制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、ホスト装置20を統括的に制御する。ホスト制御部25は、OS(Operating System)に基づいて各種処理を実行する。OSは、例えば、iOS(登録商標)や、Android(登録商標)、Windows(登録商標)などである。
ホスト制御部25は、OS処理部251と、プレーヤ処理部252と、基本制御部253とを備える。
【0021】
OS処理部251は、CPUに不図示の記憶部が記憶するOSプログラムを実行させることで実現される機能部である。OS処理部251は、OSが備える各種機能の処理を実行する。
【0022】
プレーヤ処理部252は、CPUに不図示の記憶部が記憶するオーディオプレーヤのアプリケーションプログラム(以下、アプリということがある)を実行させることで実現される機能部である。プレーヤ処理部252は、例えば、楽曲データ記憶部241が記憶する楽曲データを音信号の再生データに変換して、無線通信部21を介して、ヘッドホン10に送信する。
【0023】
また、プレーヤ処理部252は、入力部22を介した利用者の操作に応じて、ヘッドホン10の音量設定を実行する。プレーヤ処理部252は、例えば、ヘッドホン10の音量設定を行う際に、無線通信部21を介して、ヘッドホン10に音量値を送信する。また、プレーヤ処理部252は、ヘッドホン10の音量設定を行う際に、音量設定記憶部242を、音量設定に応じた音量値に変更する。
【0024】
基本制御部253は、CPUに不図示の記憶部が記憶する基本制御アプリのプログラムを実行させることで実現される機能部である。基本制御アプリは、ヘッドホン10の基本制御を実行するアプリケーションプログラムであり、例えば、ヘッドホン10のバッテリ充電状態の表示、オートパワーオフ時間の設定、信号処理(例えば、ノイズキャンセル、イコライザ処理など)の設定、及び聴覚保護のための設定、等を実行する。
【0025】
基本制御部253は、例えば、聴覚保護のための設定処理を行う場合に、無線通信部21を介して、ヘッドホン10から聴覚保護のための各機能の設定情報を取得し、表示部23に表示するとともに、入力部22による各機能の設定変更を可能にする。基本制御部253は、聴覚保護のための各機能の設定変更があった場合に、変更された設定情報を、無線通信部21を介して、ヘッドホン10に送信する。
ここで、図2を参照して、基本制御部253(基本制御アプリ)による表示例について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態におけるホスト装置20の基本制御アプリによる表示例を示す図である。
図2(a)は、基本制御アプリのメニュー画面G1の表示例を示している。図2(a)に示すように、基本制御部253は、基本制御アプリのメニュー画面G1として、バッテリ充電状態、「LISTENING CARE」の指定ボタンBT1、「AMBIENT SOUND」の設定ボタンBT2、オートパワーオフ時間の設定ボタンBT3を表示部23に表示する。
【0027】
図2(a)に示す例では、基本制御アプリのメニュー画面G1は、「AMBIENT SOUND」の設定が、“OFF”(環境音の透過処理がオフ設定)状態であり、オートパワーオフ時間の設定が、“OFF”(オートパワーオフ時間の機能をオフ設定)状態であることを示している。
【0028】
また、図2(a)において、利用者による入力部22の操作によって、「LISTENING CARE」の指定ボタンBT1が押下されると、基本制御部253は、図2(b)に示すような聴覚保護のための各機能の設定画面G2を、表示部23に表示する。
【0029】
図2(b)に示す例である設定画面G2では、聴覚保護のための各機能の設定(Listening Care Volumeオプション設定)として、「パワーオン時VOLダウン」の機能が有効であり、ダウン量(音量低下量)が“2dB”であり、「ポーズ再生時VOLダウン」の機能が有効であり、ダウン量が“2dB”であることを示している。また、設定画面G2では、「ANC時VOLダウン」(ノイズ除去処理のANC(Active Noise Control)時のVOLダウン)の機能が有効であり、ダウン量が“3dB”であり、「最大ボリューム制限」(最大音量制限)の機能が有効であり、設定値が“85dB” であることを示している。また、設定画面G2では、「連続再生アクション」の機能が有効であり、詳細設定が可能であることを示している。
【0030】
図1の説明に戻り、ヘッドホン10(装着型音響出力装置の一例)は、利用者の耳に装着可能であり、例えば、ワイヤレスヘッドホンである。ヘッドホン10は、利用者の耳に挿入するイヤホンタイプでもよいし、利用者の頭部に装着するタイプであってもよい。ヘッドホン10は、ホスト装置20から供給された再生データに基づく音を出力(放音)する。
【0031】
ヘッドホン10は、無線通信部11と、HPアンプ12(ヘッドホンアンプ)と、スピーカ13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
無線通信部11は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信デバイスであり、ホスト装置20との間で、無線通信による通信を行う。無線通信部11は、ホスト装置20からの再生データ、及び音量設定の受信や、上述した聴覚保護のための各機能の設定情報の送受信に利用される。
【0032】
HPアンプ12は、制御部15から取得した音データを増幅した音信号をスピーカ13に出力して、スピーカ13から音を出力させる。HPアンプ12は、制御部15からの制御指示に基づいて、音信号の出力、出力停止、音量変更などの処理を実行する。
【0033】
記憶部14は、例えば、RAM、フラッシュメモリなどの記憶部である。記憶部14は、ヘッドホン10が利用する各種情報を記憶する。記憶部14は、音量設定記憶部141と、処理設定記憶部142と、再生時間記憶部143と、中断時間記憶部144とを備える。
【0034】
音量設定記憶部141は、例えば、RAMなどにより構成された記憶部であり、HPアンプ12において設定されている音量値を記憶する。
【0035】
処理設定記憶部142は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成された記憶部であり、上述した聴覚保護のための各機能の設定情報を記憶する。処理設定記憶部142が記憶する各機能の設定情報は、ホスト装置20によって予め設定された情報である。
【0036】
再生時間記憶部143(再生期間記憶部の一例)は、例えば、RAMなどにより構成された記憶部であり、ヘッドホン10による連続再生時間Tplay(連続再生期間)を記憶する。
【0037】
中断時間記憶部144(中断期間記憶部の一例)は、例えば、RAMなどにより構成された記憶部であり、ヘッドホン10による音出力の再生が中断した時間(期間)を示す再生中断時間Tpause(再生中断期間)を記憶する。
【0038】
制御部15は、例えば、CPUを含むプロセッサであり、ヘッドホン10を統括的に制御する。制御部15は、信号処理部151と、制御処理部152とを備える。
【0039】
信号処理部151は、ホスト装置20から無線通信部11を介して受信した再生データに対して、例えば、音質調整などの信号処理を実行した音データを生成し、HPアンプ12に音データを出力する。また、信号処理部151は、音質調整などの信号処理を行わない設定である場合に、受信した再生データを音データとして、HPアンプ12に出力する。
【0040】
制御処理部152は、無線通信部11を介して、ホスト装置20から受信した音量定情報に基づいて、HPアンプ12の音量設定変更を行うとともに、音量設定記憶部141に音量設定を記憶させる。
また、制御処理部152は、予め定められた所定の条件を満たした場合に、利用者に耳への過負荷を認識させるヘッドホン10の出力音への特定の処理を実行する。
【0041】
制御処理部152は、例えば、利用者の耳に出力する出力音の連続再生時間Tplayを計測し、当該連続再生時間Tplayが、予め設定された処理閾値に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行する。
制御処理部152は、出力音への特定の処理として、例えば、下記の(処理1)~(処理6)の処理を実行する。
【0042】
(処理1)制御処理部152は、出力音の出力を停止する。
(処理2)制御処理部152は、出力音の音量値を、予め設定された音量分(例えば、1レベル(=3dB)分)を低下させて、出力音の出力を継続する。低下させる音量分は、処理設定記憶部142に記憶されており、ホスト装置20によって設定された情報である。
【0043】
制御処理部152は、音量設定記憶部141から音量値を取得し、取得した音量値を、低下させる音量分(例えば、1レベル分)低下させて、HPアンプ12の設定変更を行うとともに、低下させた新しい音量値を音量設定記憶部141に記憶させる。また、制御処理部152は、無線通信部11を介して、新しい音量値を、ホスト装置20に送信する。
【0044】
(処理3)制御処理部152は、出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、出力音の出力を再開する。なお、警告音は、注意を喚起するメッセージの音声であってもよい。
(処理4)制御処理部152は、出力音の出力を停止した後に、警告音を出力する。
(処理5)制御処理部152は、出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、さらに出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて、出力音の出力を再開する。
【0045】
(処理6)制御処理部152は、出力音の出力を停止した後に、警告メッセージを、ヘッドホン10に接続可能なホスト装置20に出力させる。制御処理部152は、無線通信部11を介して、警告メッセージの出力要求をホスト装置20に送信し、ホスト装置20の基本制御部253は、警告メッセージの出力要求に応じて、表示部23に、警告メッセージを表示させる。
【0046】
ここで、警告メッセージは、例えば、「耳が休みを求めています!今日をお休みすれば、明日も楽しく聴けますよ!」、「今日は少し耳を休めましょう」などである。
また、制御処理部152は、例えば、処理設定記憶部142が記憶している処理設定に応じて、上述した(処理1)~(処理6)のいずれかの処理を選択して、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理として実行する。
【0047】
また、制御処理部152は、例えば、1秒ごとのタイマ割り込み処理に応じて、出力音が再生中である場合に、下記の式(1)を用いて、連続再生時間Tplayを算出する。
【0048】
Tplay+=1 ・・・ (1)
【0049】
制御処理部152は、再生時間記憶部143が記憶する連続再生時間Tplayを取得し、式(1)により、“1”を加算して、新たな連続再生時間Tplayを算出し、算出した新たな連続再生時間Tplayを再生時間記憶部143に記憶させる。
【0050】
また、制御処理部152は、出力音の出力が連続して中断されている再生中断時間Tpauseが、予め設定された初期化閾値に達した場合に、連続再生時間Tplayを初期化する(“0”(ゼロ)にする)。制御処理部152は、例えば、1秒ごとのタイマ割り込みに応じて、出力音が再生中でない場合に、下記の式(2)を用いて、再生中断時間Tpauseを算出する。
【0051】
Tpause+=1 ・・・ (2)
【0052】
制御処理部152は、中断時間記憶部144が記憶する再生中断時間Tpauseを取得し、式(2)により、“1”を加算して、新たな再生中断時間Tpauseを算出し、算出した新たな再生中断時間Tpauseを中断時間記憶部144に記憶させる。
【0053】
制御処理部152は、中断時間記憶部144が記憶する再生中断時間Tpauseが、初期化閾値に達した場合に、連続再生時間Tplayを初期化する。すなわち、制御処理部152は、連続再生時間Tplayとして、“0”を、再生時間記憶部143に記憶させる。
【0054】
また、制御処理部152は、出力音の出力を中断した後に、出力音の出力を再開する場合に、出力音の音量値を、予め設定された音量分(例えば、1レベル(=3dB)分)を低下させて再開する。なお、低下させる音量分及び当該処理を実行するか否かの情報は、処理設定記憶部142に記憶されており、ホスト装置20によって設定された情報である。
【0055】
また、制御処理部152は、ヘッドホン10の電源投入時(電源オン時)に、出力音の音量値を、予め設定された音量分(例えば、1レベル(=3dB)分)を低下させる。なお、低下させる音量分及び当該処理を実行するか否かの情報は、処理設定記憶部142に記憶されており、ホスト装置20によって設定された情報である。
【0056】
また、制御処理部152は、ヘッドホン10の出力音に対して、ノイズ除去処理が開始された場合に、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させる。なお、低下させる音量分及び当該処理を実行するか否かの情報は、処理設定記憶部142に記憶されており、ホスト装置20によって設定された情報である。
【0057】
次に、図面を参照して、本実施形態による音響システム1の動作について説明する。
まず、図3及び図4を参照して、音響システム1のヘッドホン10の動作について説明する。
【0058】
図3は、本実施形態におけるヘッドホン10の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、特定の単位期間ごと(例えば、1秒ごと)に実行されるヘッドホン10の割り込み処理の一例について説明する。
【0059】
図3に示すように、ヘッドホン10の制御処理部152は、例えば、1秒ごとのタイマ割り込みが発生すると、まず、音再生中であるか否かを判定する(ステップS101)。制御処理部152は、例えば、信号処理部151による音再生を示すフラグの状態を参照して、音再生中であるか否かを判定する。制御処理部152は、音再生中である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、制御処理部152は、音再生中でない場合(ステップS101:NO)に、ステップS106に進める。
【0060】
ステップS102において、制御処理部152は、連続再生時間Tplayに“1”を加算する。制御処理部152は、再生時間記憶部143が記憶する連続再生時間Tplayを取得し、上述した式(1)により、“1”を加算して、新たな連続再生時間Tplayを算出し、再生時間記憶部143に記憶させる。
【0061】
次に、制御処理部152は、再生中断時間Tpauseを初期化する(ステップS103)。制御処理部152は、再生中断時間Tpauseとして、“0”を、中断時間記憶部144に記憶させる。
【0062】
次に、制御処理部152は、連続再生時間Tplayが、処理閾値(例えば、閾値Ts1)に達したか否かを判定する(ステップS104)。制御処理部152は、連続再生時間Tplayが、処理閾値に達した場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、制御処理部152は、連続再生時間Tplayが、処理閾値に達していない場合(ステップS104:NO)に、割り込み処理を終了し、割り込み前の処理に戻す。
【0063】
ステップS105において、制御処理部152は、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理(聴覚保護のための処理)を実行する。制御処理部152は、例えば、処理設定記憶部142が記憶している処理設定に応じて、上述した(処理1)~(処理6)のいずれかの処理を実行して、割り込み処理を終了する。
【0064】
また、ステップS106において、制御処理部152は、再生中断時間Tpauseに“1”を加算する。制御処理部152は、中断時間記憶部144が記憶する再生中断時間Tpauseを取得し、上述した式(2)により、“1”を加算して、新たな再生中断時間Tpauseを算出し、中断時間記憶部144に記憶させる。
【0065】
次に、制御処理部152は、再生中断時間Tpauseが、初期化閾値(例えば、閾値Tr1)に達したか否かを判定する(ステップS107)。制御処理部152は、再生中断時間Tpauseが、初期化閾値に達した場合(ステップS107:YES)に、処理をステップS108に進める。また、制御処理部152は、再生中断時間Tpauseが、初期化閾値に達していない場合(ステップS107:NO)に、割り込み処理を終了し、割り込み前の処理に戻す。
【0066】
ステップS108において、制御処理部152は、連続再生時間Tplayを初期化する。制御処理部152は、連続再生時間Tplayとして、“0”を、再生時間記憶部143に記憶させる。ステップS108の処理後に、制御処理部152は、割り込み処理を終了し、割り込み前の処理に戻す。
【0067】
次に、図4を参照して、ヘッドホン10の出力音に対して、ノイズ除去処理(例えば、ANC処理)が開始された場合に、出力音の音量値を低下させる特定の処理(聴覚保護のための処理)を実行する一例について説明する。
図4は、本実施形態におけるヘッドホン10の動作の別の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図4に示すように、ヘッドホン10の制御処理部152は、ノイズ除去処理がオフ状態からオン状態になって開始されたか否かを判定する(ステップS111)。制御処理部152は、ノイズ除去処理がオフ状態からオン状態になって開始された場合(ステップS111:YES)に、処理をステップS112に進める。また、制御処理部152は、ノイズ除去処理が開始されていない場合(ステップS111:NO)に、処理をステップS111に戻す。
【0069】
ステップS112において、制御処理部152は、音量値を1レベル(1段階)下げて設定する。制御処理部152は、処理設定記憶部142から音量値の低下する音量分(レベル分)を取得する。また、制御処理部152は、音量設定記憶部141から音量値を取得し、取得した音量値を、処理設定記憶部142から取得した音量分(レベル分)低下させて、HPアンプ12の設定変更を行う。
【0070】
また、制御処理部152は、低下させた新しい音量値を音量設定記憶部141に記憶させる。また、制御処理部152は、無線通信部11を介して、新しい音量値を、ホスト装置20に送信する。
【0071】
次に、制御処理部152は、ノイズ除去処理がオン状態からオフ状態になったか否かを判定する(ステップS113)。制御処理部152は、ノイズ除去処理がオン状態からオフ状態になった場合(ステップS113:YES)に、音量値を元に戻して(ステップS114)、処理をステップS111に戻す。また、制御処理部152は、ノイズ除去処理がオフ状態になっていない場合(ステップS111:NO)に、処理をステップS113に戻す。
【0072】
次に、図5を参照して、本実施形態による音響システム1の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態による音響システム1の動作の一例を示す図である。ここでは、ヘッドホン10の電源オン時、及び再生中断後の再生時における出力音の音量値を低下させる特定の処理(聴覚保護のための処理)について説明する。
【0073】
図5に示すように、音響システム1のヘッドホン10は、まず、電源オンを検出したか否かを判定する(ステップS201)。ヘッドホン10の制御部15は、利用者の電源オンの操作によって、電源オンを検出した場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、制御部15は、電源オンを検出していない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0074】
ステップS202において、ヘッドホン10は、ホスト装置20との間で、ペアリング処理を実行する。ヘッドホン10は、ペアリング処理として、無線通信接続する。
【0075】
次に、ホスト装置20は、音量値をヘッドホン10に送信する(ステップS203)。例えば、ホスト装置20のプレーヤ処理部252は、音量設定記憶部242が記憶する音量値を、無線通信部21を介して、ヘッドホン10に送信する。
【0076】
次に、ヘッドホン10の制御処理部152は、受信した音量値を、レベルを下げて設定する(ステップS204)。制御処理部152は、受信した音量値を、処理設定記憶部142から取得した音量分(レベル分)低下させて、HPアンプ12の設定変更を行う。また、制御処理部152は、低下させた新しい音量値を音量設定値として、音量設定記憶部141に記憶させる。
【0077】
次に、制御処理部152は、音量設定値をホスト装置20に送信する(ステップS205)。制御処理部152は、無線通信部11を介して、音量設定値をホスト装置20に送信し、ホスト装置20は、受信した音量設定値を、音量設定記憶部242に記憶させる。
【0078】
次に、ホスト装置20は、楽曲再生処理を開始する(ステップS206)。ホスト装置20のプレーヤ処理部252は、利用者による入力部22の操作に応じて、楽曲データ記憶部241が記憶する楽曲データを読み出して、楽曲再生処理を開始する。
【0079】
次に、ホスト装置20は、再生データをヘッドホン10に送信する(ステップS207)。プレーヤ処理部252は、楽曲データ記憶部241が記憶する楽曲データを音信号の再生データに変換して、無線通信部21を介して、ヘッドホン10に送信する。なお、プレーヤ処理部252は、再生データの送信を継続する。
【0080】
次に、ヘッドホン10は、再生データの音出力を開始する(ステップS208)。
次に、ホスト装置20は、利用者の操作に応じて、再生データの送信を中断する(ステップS209)。
次に、ヘッドホン10は、ホスト装置20からの再生データの送信中断に応じて、再生データの音出力を中断する(ステップS210)。
【0081】
また、ホスト装置20は、利用者の操作に応じて、再生データの送信を再開する(ステップS211)。プレーヤ処理部252は、無線通信部21を介して、再生データをヘッドホン10に送信する(ステップS212)。
【0082】
次に、制御処理部152は、音量値を、レベルを下げて設定する(ステップS213)。制御処理部152は、音量設定記憶部141から取得した音量値を、処理設定記憶部142から取得した音量分(レベル分)低下させて、HPアンプ12の設定変更を行う。また、制御処理部152は、低下させた新しい音量値を音量設定値として、音量設定記憶部141に記憶させる。
【0083】
次に、制御処理部152は、音量設定値をホスト装置20に送信する(ステップS214)。制御処理部152は、無線通信部11を介して、音量設定値をホスト装置20に送信し、ホスト装置20は、受信した音量設定値を、音量設定記憶部242に記憶させる。
【0084】
次に、ヘッドホン10は、ホスト装置20からの再生データの送信に応じて、再生データの音出力を再開する(ステップS215)。
【0085】
なお、上述した図5に示す処理において、制御処理部152は、ヘッドホン10の電源オン時の音量設定値を、ヘッドホン10の音量設定記憶部141から取得してもよい。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によるヘッドホン10(装着型音響出力装置)は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、制御処理部152を備える。制御処理部152は、利用者の耳に出力する出力音の連続再生時間Tplay(連続再生期間))を計測し、当該連続再生時間Tplayが、予め設定された処理閾値(例えば、閾値Ts1)に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行する。
【0087】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10(装着型音響出力装置)は、連続再生時間Tplayが、処理閾値(例えば、閾値Ts1)に達した場合(特定条件を満たした場合)に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行するため、利用者の耳への負担を低減することができる。また、本実施形態によるヘッドホン10は、利用者が聴覚保護の自覚がない場合でも、利用者の耳への負担を低減することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0088】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音の出力が連続して中断されている再生中断時間Tpause(再生中断期間)が、予め設定された初期化閾値(例えば、閾値Tr1)に達した場合に、連続再生時間Tplayを初期化(ゼロクリア)する。
【0089】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、一定期間、再生が中断した場合に、連続再生時間Tplayを初期化するため、連続再生時間Tplayを適切に計測することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0090】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の出力を停止する(例えば、音量値を“0”にする、上述した(処理1))。
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、出力音の出力を停止する(再生停止する)ことで、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0091】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて、出力音の出力を継続する(上述した(処理2))。
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、出力音の音量値を低下させて再生継続することで、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0092】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、出力音の出力を再開する(警告音を出力した再生再開、上述した(処理3))。
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、警告音により利用者に注意喚起を行うため、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0093】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の出力を停止した後に、警告音を出力する(再生停止して、警告音を出力、上述した(処理4))。
【0094】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、警告音により利用者に注意喚起を行うとともに、出力音の出力を停止する(再生停止する)ことで、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0095】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の出力を中断した後に、警告音を出力して、さらに出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて、出力音の出力を再開する(再生中断して、警告音を出力後、音量値を低下させて再生再開、上述した(処理5))。
【0096】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、警告音により利用者に注意喚起を行うとともに、出力音の音量値を低下させて再生継続することで、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0097】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音への特定の処理として、出力音の出力を停止した後に、警告メッセージを、ヘッドホン10に接続可能なホスト装置20(外部装置)に出力させる(再生停止した後、警告メッセージをホスト装置20に表示、上述した(処理6))。
【0098】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、出力音を再生停止した後に、警告メッセージにより利用者に注意喚起を行うことで、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0099】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音の出力を中断した後に、出力音の出力を再開する場合に、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させて再開する。また、制御処理部152は、ヘッドホン10が電源オンされた場合に、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させる。
【0100】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10は、例えば、利用者が楽曲などをヘッドホン10で聴いているうちに、徐々に音量値が大きくなった場合に、出力音の再生の再開時、又は、電源オン時に、音量値を低下させることで、利用者の耳への負担を自動的に軽減することができる。よって、本実施形態によるヘッドホン10は、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0101】
また、本実施形態では、制御処理部152は、出力音に対して、ノイズ除去処理が開始された場合に、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させる。
【0102】
なお、ノイズ除去処理が実行されると、環境雑音が低減するため、出力音が聴き易くなるため、その分、出力音の音量値を低下させることが可能である。そのため、本実施形態によるヘッドホン10は、ノイズ除去処理が開始された場合に、出力音の音量値を低下させることで、出力音の聴き易さを維持しつつ、利用者の耳への負担を自動的に軽減することができる。よって、本実施形態によるヘッドホン10は、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0103】
また、本実施形態による制御方法は、利用者の耳に装着可能なヘッドホン10(装着型音響出力装置)の制御方法であって、制御処理ステップを含む。制御処理ステップにおいて、制御処理部152が、利用者の耳に出力する出力音の連続再生期間を計測し、当該連続再生期間が、予め設定された処理閾値に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行する。
これにより、本実施形態による制御方法は、上述したヘッドホン10と同様の効果を奏し、利用者の耳への負担を低減することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0104】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による音響システム1a及びヘッドホン10aについて説明する。本実施形態では、出力音の再生の再開時、又は、電源オン時に、最後に設定されている音量値を、予め設定された音量初期値に低下(再設定)させる変形例について説明する。
【0105】
図6は、第2の実施形態による音響システム1aの一例を示すブロック図である。
図6に示すように、音響システム1aは、ヘッドホン10aと、ホスト装置20とを備える。なお、図6において、上述した図1と同一の構成について、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0106】
基本制御部253は、入力部22を介して、利用者によって指定された音量初期値を取得し、取得した音量初期値を、無線通信部21を介して、ヘッドホン10aに送信する。基本制御部253は、例えば、メニュー画面に、音量初期値を指定する指定ボタンを設けて、利用者が当該指定ボタンを押下した際に、音量設定記憶部242に記憶されている音量値を、音量初期値として取得する。
【0107】
なお、音量初期値は、例えば、利用者が最も聴き易い音量値であり、利用者がヘッドホン10aの出力音を聞きながら指定ボタンを押下することで設定される。
【0108】
ヘッドホン10aは、無線通信部11と、HPアンプ12と、スピーカ13と、記憶部14aと、制御部15aとを備える。
記憶部14aは、音量設定記憶部141と、処理設定記憶部142と、再生時間記憶部143と、中断時間記憶部144と、音量初期値記憶部145とを備える。
【0109】
音量初期値記憶部145は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成され、ホスト装置20の基本制御部253の処理により、利用者によって設定された音量初期値を記憶する。
【0110】
制御部15aは、例えば、CPUを含むプロセッサであり、ヘッドホン10aを統括的に制御する。制御部15aは、信号処理部151と、制御処理部152aとを備える。
【0111】
制御処理部152aは、第1の実施形態の制御処理部152と同様であるが、音量初期値に関する処理が追加されている点が、第1の実施形態と異なる。
制御処理部152aは、無線通信部11を介して、ホスト装置20から音量初期値(音量初期値)を受信した場合に、受信した音量初期値(音量初期値)を音量初期値記憶部145に記憶させる。
【0112】
また、制御処理部152aは、出力音の出力を中断した後に、出力音の出力を再開する場合に、出力音の音量値を、音量初期値記憶部145が記憶する音量初期値によりHPアンプ12の設定変更を行う。また、制御処理部152aは、音量初期値を音量設定記憶部141に記憶させるとともに、無線通信部11を介して、音量初期値を、ホスト装置20に送信する。
【0113】
このように、制御処理部152aは、出力音の出力を中断して再開する場合に、音量値を音量初期値に変更する。
なお、制御処理部152aは、音量初期値が、現在の音量値以上である場合に、音量初期値への変更を実行しない。
【0114】
また、制御処理部152aは、ヘッドホン10aが電源オンされた場合も同様に、最後に設定された出力音の音量値を音量初期値に変更する。なお、制御処理部152aは、処理設定記憶部142が記憶する各機能の設定情報に応じて、この後の処理の可否を判定する。
【0115】
次に、図面を参照して、本実施形態による音響システム1aの動作について説明する。
図7は、本実施形態による音響システム1aの動作の一例を示す図である。
図7に示す音響システム1aの処理は、上述した図5に示す第1の実施形態の処理に、本実施形態を適用した場合の一例である。
【0116】
図7において、ステップS401からステップS403までの処理は、図5に示すステップS201からステップS203までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0117】
ステップS404において、ヘッドホン10aの制御処理部152aは、音量初期値記憶部145が記憶する音量初期値を取得する。
【0118】
次に、制御処理部152aは、音量初期値を設定する(ステップS405)。制御処理部152aは、音量初期値をHPアンプ12に設定し、音量初期値を音量設定記憶部141に記憶させる。
【0119】
続く、ステップS406からステップS413までの処理は、図5に示すステップS205からステップS212までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。なお、ステップS409の処理では、ヘッドホン10aは、音量初期値の音量値により、音出力を行う。
【0120】
また、ステップS414において、制御処理部152aは、ステップS405と同様の処理を実行する。
また、続く、ステップS415及びステップS416の処理は、図5に示すステップS214及びステップS215の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0121】
なお、図7に示す一例では、第1の実施形態の図5に示す処理に、本実施形態の処理を適用しているが、第1の実施形態の図5に示す処理に、本実施形態の処理を適用してもよい。
【0122】
次に、図8を参照して、本実施形態におけるヘッドホン10aの動作について説明する。
図8は、本実施形態におけるヘッドホン10aの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、上述した図7に示すS405又はS414の処理の詳細について説明する。
【0123】
図8に示すように、ヘッドホン10aの制御処理部152aは、音量初期値を使用する際に、音量設定値が、音量初期値以下(音量初期値が、現在の出力音の音量値以上)であるか否かを判定する(ステップS451)。制御処理部152aは、音量設定値が、音量初期値以下(音量初期値が、現在の出力音の音量値以上)である場合(ステップS451:YES)に、処理を終了する。また、制御処理部152aは、音量設定値が、音量初期値より大きい(音量初期値が、現在の出力音の音量値より小さい)場合(ステップS451:NO)に、処理をステップS452に進める。
【0124】
ステップS452において、制御処理部152aは、音量値を音量初期値に設定する。制御処理部152aは、音量設定記憶部141から取得した音量設定値に代えて、音量初期値記憶部が145が記憶する音量初期値をHPアンプ12に送信して設定変更を行う。また、制御処理部152aは、音量初期値を音量設定記憶部141に記憶させる。ステップS452の処理後に、制御処理部152aは、S404又はS414の処理を終了する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態によるヘッドホン10aでは、制御処理部152aは、出力音の出力を中断した後に、出力音の出力を再開する場合に、出力音の音量値(音量値)を、ヘッドホン10aに接続可能なホスト装置20によって予め設定された音量初期値(音量初期値)に変更して再開する。また、制御処理部152aは、ヘッドホン10aが電源オンされた場合に、最後に設定された出力音の音量値を、音量初期値(音量初期値)に変更する。
【0126】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10aは、例えば、利用者が楽曲などをヘッドホン10aで聴いているうちに、徐々に音量値が大きくなった場合に、出力音の再生の再開時、又は、電源オン時に、適切な音量初期値に低下させることで、利用者の耳への負担を自動的に軽減することができる。よって、本実施形態によるヘッドホン10aは、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0127】
また、本実施形態では、制御処理部152aは、音量初期値が、現在の出力音の音量値より小さい場合に、出力音の音量値を、音量初期値に変更して再開する。
これにより、本実施形態によるヘッドホン10aは、音量初期値により、適切、且つ確実に、音量値を低下させることができる。
【0128】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による音響システム1b及びヘッドホン10bについて説明する。本実施形態では、上述した出力音への特定の処理を実行する所定の条件に、連続再生時間Tplayの代わりに、音響暴露量を適用する変形例について説明する。
【0129】
図9は、第3の実施形態による音響システム1bの一例を示すブロック図である。
図9に示すように、音響システム1bは、ヘッドホン10bと、ホスト装置20とを備える。なお、図9において、上述した図1と同一の構成について、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0130】
ヘッドホン10bは、無線通信部11と、HPアンプ12と、スピーカ13と、記憶部14bと、制御部15bとを備える。
記憶部14bは、音量設定記憶部141と、処理設定記憶部142と、音響暴露量記憶部146とを備える。
【0131】
音響暴露量記憶部146は、例えば、RAMにより構成され、音響暴露量の積算値Eを記憶する。なお、音響暴露量記憶部146は、ヘッドホン10bの電源オン時に初期化され、音響暴露量の積算値Eとして“0”が記憶される。
【0132】
制御部15bは、信号処理部151と、制御処理部152bとを備える。
制御処理部152bの基本的な処理は、第1の実施形態の制御処理部152と同様であるが、連続再生時間Tplayの代わりに、音響暴露量の積算値Eを用いている点が、第1の実施形態と異なる。
【0133】
制御処理部152bは、利用者の耳に出力する出力音によって利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値Eが、予め設定された処理閾値(例えば、閾値Es1)に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理として、上述した(処理1)~(処理6)のいずれかの処理を実行する。制御処理部152aは、例えば、1秒ごとのタイマ割り込み処理を利用して、音響暴露量の積算値Eを計測する。制御処理部152aは、音響暴露量の積算値Eを計測する際に、1秒ごとのタイマ割り込みに応じて、出力音が再生中である場合に、下記の式(3)を用いて、出力音の実効値に基づいて、音響暴露量の積算値Eを算出する。
【0134】
E += RMS値×Const ・・・ (3)
【0135】
ここで、RMS値は、単位期間における出力音の実効値を示している。また、Constは、正規化定数を示している。
【0136】
制御処理部152bは、音響暴露量記憶部146が記憶する音響暴露量の積算値Eを取得し、式(3)により、新たな音響暴露量の積算値Eを算出し、音響暴露量記憶部146に記憶させる。
【0137】
また、制御処理部152bは、例えば、処理設定記憶部142が記憶している処理設定に応じて、上述した(処理1)~(処理6)のいずれかの処理を選択して、出力音への特定の処理として実行する。その他の処理は、第1の実施形態の制御処理部152と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0138】
次に、図面を参照して、本実施形態による音響システム1bの動作について説明する。
図10は、本実施形態におけるヘッドホン10bの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、特定の単位期間ごと(例えば、1秒ごと)に実行されるヘッドホン10bの割り込み処理の一例について説明する。
【0139】
図10に示すように、ヘッドホン10bの制御処理部152bは、例えば、1秒ごとのタイマ割り込みが発生すると、まず、音再生中であるか否かを判定する(ステップS501)。制御処理部152bは、例えば、信号処理部151による音再生(音出力)を示すフラグの状態を参照して、音再生中であるか否かを判定する。制御処理部152bは、音再生中である場合(ステップS501:YES)に、処理をステップS502に進める。また、制御処理部152bは、音再生中でない場合(ステップS501:NO)に、割り込み処理を終了し、割り込み前の処理に戻す。
【0140】
ステップS502において、制御処理部152bは、出力音のRMS値に基づいて音響暴露量を積算する。制御処理部152bは、音響暴露量記憶部146が記憶する音響暴露量の積算値Eを取得し、上述した式(3)により、新たな音響暴露量の積算値Eを算出し、算出した新たな音響暴露量の積算値Eを音響暴露量記憶部146に記憶させる。
【0141】
次に、制御処理部152bは、音響暴露量の積算値Eが、処理閾値(例えば、閾値Es1)に達したか否かを判定する(ステップS503)。制御処理部152bは、音響暴露量の積算値Eが、処理閾値に達した場合(ステップS503:YES)に、処理をステップS504に進める。また、制御処理部152bは、音響暴露量の積算値Eが、処理閾値に達していない場合(ステップS503:NO)に、割り込み処理を終了する。
【0142】
ステップS504において、制御処理部152bは、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理(聴覚保護のための処理)を実行する。制御処理部152bは、例えば、処理設定記憶部142が記憶している処理設定に応じて、上述した(処理1)~(処理6)のいずれかの処理を選択して、出力音への特定の処理として実行する。ステップS504の処理後に、制御処理部152bは、割り込み処理を終了する。
【0143】
以上説明したように、本実施形態によるヘッドホン10b(装着型音響出力装置)は、利用者の耳に装着可能な装着型音響出力装置であって、制御処理部152bを備える。制御処理部152bは、利用者の耳に出力する出力音によって利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値Eが、予め設定された処理閾値(例えば、閾値Es1)に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行する。
【0144】
これにより、本実施形態によるヘッドホン10bは、音響暴露量の積算値Eが、処理閾値(例えば、閾値Es1)に達した場合(所定の条件を満たした場合)に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行するため、利用者の耳への負担を低減することができる。また、本実施形態によるヘッドホン10bは、利用者が聴覚保護の自覚がない場合でも、利用者の耳への負担を低減することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0145】
また、本実施形態では、制御処理部152bは、出力音の実効値(RMS値)に基づいて、音響暴露量を算出する。
これにより、本実施形態によるヘッドホン10bは、出力音の実効値を用いることで、より正確に音響暴露量を算出することができる。
【0146】
また、本実施形態による制御方法は、利用者の耳に装着可能なヘッドホン10bの制御方法であって、制御処理ステップを含む。制御処理ステップにおいて、制御処理部152bが、利用者の耳に出力する出力音によって利用者が受けた音響暴露量を計測し、当該音響暴露量の積算値Eが、予め設定された処理閾値(例えば、閾値Es1)に達した場合に、利用者に耳への過負荷を認識させる出力音への特定の処理を実行する。
これにより、本実施形態による制御方法は、上述したヘッドホン10bと同様の効果を奏し、利用者の耳への負担を低減することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0147】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による音響システム1cについて説明する。
第4の実施形態では、装着型音響出力装置として、ヘッドホン10(10a、10b)の代わりに、左右に分離された挿入イヤホンであるワイヤレスイヤホン10cを用いた場合の変形例について説明する。ここでは、一例として、第1の実施形態のヘッドホン10の代わりにワイヤレスイヤホン10cを用いた場合の例を説明する。
【0148】
図11は、本実施形態による音響システム1cの一例を示すブロック図である。
図11に示すように、音響システム1cは、ワイヤレスイヤホン10cと、ホスト装置20とを備える。
【0149】
なお、図11において、上述した図1と同一の構成について、同一の符号を付与して、その説明を省略する。ここでは、第1の実施形態から変更になっている構成のみ説明する。
ワイヤレスイヤホン10c(装着型音響出力装置の一例)は、左右のイヤホンが独立したワイヤレス方式のイヤホンである。ワイヤレスイヤホン10cは、左イヤホン10c-Lと、右イヤホン10c-Rとを備える。
【0150】
左イヤホン10c-Lは、無線通信部11と、HPアンプ12aと、スピーカ13aと、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0151】
HPアンプ12aは、モノラル出力である点を除いて、第1の実施形態におけるHPアンプ12と同様である。
スピーカ13aは、モノラル出力である点を除いて、第1の実施形態におけるスピーカ13と同様である。
【0152】
また、右イヤホン10c-Rの構成は、左イヤホン10c-Lと同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、本実施形態による音響システム1cの動作は、ホスト装置20が、ヘッドホン10の代わりに、ワイヤレスイヤホン10cの左イヤホン10c-Lと右イヤホン10c-Rとの2つのイヤホンに対して無線通信で接続する点を除いて、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0153】
以上説明したように、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10cは、左イヤホン10c-Lと、右イヤホン10c-Rとを備える。左イヤホン10c-Lと、右イヤホン10c-Rとのそれぞれは、上述した制御処理部152を備える。
【0154】
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10cは、第1の実施形態と同様の効果を奏し、利用者が聴覚保護の自覚がない場合でも、利用者の耳への負担を低減することができ、利用者の聴覚をより適切に保護することができる。
【0155】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、ヘッドホン10(10a、10b)又はワイヤレスイヤホン10cと、ホスト装置20との間を無線通信によって接続する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、有線通信により接続してもよい。
【0156】
また、上記の各実施形態において、制御処理部152(152a、152b)が、出力音の音量値を、予め設定された音量分を低下させる例を説明したが、例えば、低下させる音量値の下限値を設定して、当該下限値以下の音量値にならないように、制御してもよい。
【0157】
また、上記の各実施形態において、ホスト装置20がヘッドホン10(10a、10b)又はワイヤレスイヤホン10cの音量値の設定を変更する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ヘッドホン10(10a、10b)又はワイヤレスイヤホン10cに設けられた設定ボタンにより、音量値の設定が変更されてもよい。
【0158】
また、上記の各実施形態において、ヘッドホン10(10a、10b)又はワイヤレスイヤホン10cが、信号処理や音量設定変更の処理を行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、ホスト装置20が、信号処理や音量設定変更の処理を行うようにしてもよい。
【0159】
また、上記の第3の実施形態において、制御処理部152bが、出力音の実効値に基づいて、音響暴露量を算出する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、音量値など、他のパラメータに基づいて、音響暴露量を算出してもよい。
【0160】
なお、音量値を用いて音響暴露量を算出する場合には、簡易処理により音響暴露量を算出できるとともに、音量値による音響暴露量は、RMS値による音響暴露量に比べて大きめの値で算出されるため、安全マージンを確保できる。
【0161】
また、上記の第3の実施形態において、第1の実施形態に適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、第3の実施形態を第2の実施形態に適用してもよい。
また、上記の第4の実施形態において、第1の実施形態に適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、第4の実施形態を第2又は第3の実施形態に適用してもよい。
【0162】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個片にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1,1a,1b,1c…音響システム、10,10a,10b…ヘッドホン、10c…ワイヤレスイヤホン、10c-R…右イヤホン、10c-L…左イヤホン、11,21…無線通信部、12,12a…HPアンプ、13,13a…スピーカ、14,14a,14b…記憶部、15,15a,15b…制御部、20…ホスト装置、22…入力部、23…表示部、24…ホスト記憶部、25…ホスト制御部、141,242…音量設定記憶部、142…処理設定記憶部、143…再生時間記憶部、144…中断時間記憶部、145…音量初期値記憶部、146…音響暴露量記憶部、151…信号処理部、152,152a,152b…制御処理部、241…楽曲データ記憶部、251…OS処理部、252…プレーヤ処理部、253…基本制御部
図1
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図11