IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧

特開2024-111875ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム
<>
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図1
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図2
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図3
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図4
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図5
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図6
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図7
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図8
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図9
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図10
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図11
  • 特開-ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111875
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/14 20060101AFI20240813BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20240813BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
E02D27/14
E02D27/32 Z
E02D27/52 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016548
(22)【出願日】2023-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片山 能輔
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA07
2D046DA05
(57)【要約】
【課題】費用を削減したジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供する。
【解決手段】複数のレグ10と、複数のレグ10のうちの1つである第1レグ11と、複数のレグ10のうち1つとは異なる1つである第2レグ12と、を結ぶ第1斜めブレース31aと、を備えるジャケット構造体100であって、洋上風車200を支持し、複数のレグ10によって支持されるトランジションピース40、を更に備え、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域S1であって第1斜めブレース31aが配置されていない第1省略領域S1が、トランジションピース40の下の領域の一部に設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
を備えるジャケット構造体であって、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピース、
を更に備え、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースの高さより、高い、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間において前記第1斜めブレースが位置する領域の高さより、低い、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記第1省略領域は、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記第1斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記第1省略領域には、前記トランジションピースと前記第1レグとを接続するリブ、が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記リブの大きさ又は形状は、前記第1レグと前記トランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状であり、
前記所定疲労強度は、前記リブが設けられていない場合であって前記第1省略領域に前記後施工斜めブレースが設けられた場合における前記疲労強度である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記第1省略領域は、前記トランジションピース及び前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第2斜めブレース、
を更に備え、
前記第2斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ水平ブレース、
を更に備え、
前記水平ブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ及び前記第2レグと異なる第3レグと、前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ、前記第2レグ、及び、前記第3レグと異なる第4レグと、を結ぶ第3斜めブレース、
を更に備え、
前記第3レグ及び前記第4レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第3省略領域であって前記第3斜めブレースが配置されていない第3省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材は、SA440である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材の強度は、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分と異なる部分であって前記第1レグの部分の鋼材の強度より、強い、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
地盤に打設される複数の杭に連結される複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピースと、
を備えるジャケット構造体の設計方法であって、
前記トランジションピースの剛性、前記レグの剛性、前記地盤の硬さに基づき、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されない第1省略領域を設ける位置を決定する決定ステップ、
を備えることを特徴とするジャケット構造体の設計方法。
【請求項16】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第1ジャケット構造体における前記第1省略領域の位置と、前記第2ジャケット構造体における前記第2省略領域の位置と、は、異なる、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項17】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられていない、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項18】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体、を備える洋上風車システムであって、
前記複数のジャケット構造体は、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
トランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、
前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグである第2レグと、
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含み、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられており、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれにおける前記省略領域の位置は、共通する、
ことを特徴とする洋上風車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洋上において風車(洋上風車)等を支持するために、ジャケット構造体が用いられることがある。例えば、特許文献1には、レグと杭とを接続する接続部材にリブを設けることで、荷重伝達をスムーズにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7113159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャケット構造体においては、設計及び施工に要する費用の削減について課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、費用を削減したジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、複数のレグと、前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、を備えるジャケット構造体であって、洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピース、を更に備え、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間の一部において、第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、トランジションピースの下の領域の一部に設けられている。例えば、トランジションピースが十分な剛性を備えている、又は、ジャケット構造体が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えている場合、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間の全体に亘って第1斜めブレースを設けることで、ジャケット構造体の剛性が必要以上に高くなることがある。第1斜めブレースが配置されていない領域を、第1省略領域として設けることで、ジャケット構造体が必要以上に補強されることを抑えることができる。これにより、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースの高さより、高いことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、トランジションピースの高さより、高い。これにより、確実にジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間において前記第1斜めブレースが位置する領域の高さより、低いことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間において第1斜めブレースが位置する領域の高さより、低い。これにより、例えば、第1斜めブレースによってジャケット構造体の剛性を向上させる効果を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。第1省略領域の高さを抑えることで、第1レグ又は第2レグが座屈する区間を短くすることができる。よって、例えば、レグの座屈耐力を向上させることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1省略領域は、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域であることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1省略領域は、第1レグと第2レグとを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である。これにより、例えば、ジャケット構造体の施工後に、ジャケット構造体を更に補強することが必要となった場合において、後施工斜めブレースを配置することで、施工後のジャケット構造体を補強することができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様1から態様4のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第1斜めブレースは、第1省略領域の下に設けられる。これにより、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間において第1斜めブレースが位置する領域を、地盤の近くに設けることができる。これにより、例えば、トランジションピースが十分な剛性を備えているのに対し、ジャケット構造体が配置される場所の地盤の硬さが比較的柔らかい場合において、トランジションピースの剛性を利用して、第1省略領域を設けることができる。よって、ジャケット構造体の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様1から態様5のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間の一部において、第1斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、トランジションピースが十分な剛性を備え、且つ、ジャケット構造体が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えている場合、第1斜めブレースの下に設けられた第2省略領域よりも下に更に第1斜めブレースを設けないようにすることで、地盤の硬さを利用して、ジャケット構造体が必要以上に補強されることを抑えることができる。よって、ジャケット構造体の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。また、第2省略領域と第1省略領域とを設けることで、トランジションピースの剛性及び地盤の硬さを利用して、ジャケット構造体の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の高さを高くすることができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様1から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1省略領域には、前記トランジションピースと前記第1レグとを接続するリブ、が設けられることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、第1省略領域には、トランジションピースと第1レグとを接続するリブ、が設けられる。これにより、トランジションピースと第1レグとの間に発生する応力集中を緩和することができる。具体的には、トランジションピースと比べて剛性が低いレグに集中する応力を緩和することができる。また、洋上風車の転倒モーメント等を円滑にレグに伝達することができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様7に係るジャケット構造体において、前記リブの大きさ又は形状は、前記第1レグと前記トランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状であり、前記所定疲労強度は、前記リブが設けられていない場合であって前記第1省略領域に前記後施工斜めブレースが設けられた場合における前記疲労強度であることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、リブの大きさ又は形状は、第1レグとトランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状である。所定疲労強度は、リブが設けられていない場合であって第1省略領域に後施工斜めブレースが設けられた場合における、第1レグとトランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度である。これにより、リブを設けることによって、ジャケット構造体に後施工斜めブレースを設ける前の状態においても、ジャケット構造体の疲労強度を十分に確保することができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様1から態様8のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1省略領域は、前記トランジションピース及び前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、第1省略領域は、トランジションピース及び第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、ジャケット構造体が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えているのに対し、トランジションピースの剛性が比較的低い場合において、地盤の硬さを利用して、第1省略領域を設けることができる。よって、ジャケット構造体の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様1から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第2斜めブレース、を更に備え、前記第2斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第1レグと第2レグとを結ぶ第2斜めブレースが、第1省略領域の下に設けられる。これにより、例えば、ジャケット構造体が配置される場所の地盤の硬さが比較的柔らかい場合において、第1斜めブレースの剛性と第2斜めブレースの剛性とを利用して、第1省略領域を設けることができる。よって、ジャケット構造体の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様1から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ水平ブレース、を更に備え、前記水平ブレースは、前記第1省略領域の下に設けられることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、第1レグと第2レグとを結ぶ水平ブレースは、第1省略領域の下に設けられる。ここで、水平ブレースは、ジャケット構造体において斜めに配置されない。このため、水平ブレースによって、ジャケット構造体において上下方向に大きな領域を占めることなく、ジャケット構造体を補強することができる。したがって、例えば、第1省略領域を大きく設けることができる。よって、よりジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0028】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様1から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ及び前記第2レグと異なる第3レグと、前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ、前記第2レグ、及び、前記第3レグと異なる第4レグと、を結ぶ第3斜めブレース、を更に備え、前記第3レグ及び前記第4レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第3省略領域であって前記第3斜めブレースが配置されていない第3省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられていることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第3レグ及び第4レグが含まれる平面状の空間の一部において、第3斜めブレースが配置されていない第3省略領域が、トランジションピースの下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、ジャケット構造体の備えるレグの数が4であり、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間と、第3レグ及び第4レグが含まれる平面状の空間と、が対向している場合に、ジャケット構造体の構造を対称にすることができる。ジャケット構造体の構造を対称にすることで、ジャケット構造体の構造計算を比較的容易にすることができる。よって、ジャケット構造体の構造計算に要する時間を短縮し、費用を抑えることができる。
【0030】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様1から態様12のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材は、SA440であることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、第1レグの部分であって第1省略領域に対応する部分の鋼材は、SA440である。これにより、例えば、第1レグのうち、第1省略領域に対応する部分の強度を強くすることができる。例えば、第1レグの終局耐力を大きくすることができる。
【0032】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様1から態様13のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材の強度は、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分と異なる部分であって前記第1レグの部分の鋼材の強度より、強いことを特徴とする。
【0033】
第1レグの部分であって第1省略領域に対応する部分の鋼材の強度は、第1レグの部分であって第1省略領域に対応する部分と異なる部分であって第1レグの部分の鋼材の強度より、強い。これにより、第1レグのうち、第1省略領域に対応する部分の強度を強くすることができる。
【0034】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体の設計方法は、地盤に打設される複数の杭に連結される複数のレグと、前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピースと、を備えるジャケット構造体の設計方法であって、前記トランジションピースの剛性、前記レグの剛性、前記地盤の硬さに基づき、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されない第1省略領域を設ける位置を決定する決定ステップを備えることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、ジャケット構造体の設計方法は、トランジションピースの剛性、レグの剛性、地盤の硬さに基づき、第1レグ及び第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって第1斜めブレースが配置されない第1省略領域を設ける位置を決定する決定ステップを備える。これにより、ジャケット構造体を、トランジションピースの剛性及び地盤の硬さを利用した適切な構造とすることができる。よって、ジャケット構造体が必要以上の剛性となることを抑えることができる。これにより、ジャケット構造体の費用を抑えることができる。
【0036】
<16>本発明の態様16に係るジャケット構造体システムは、第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、を含む第1ジャケット構造体と、第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、を含む第2ジャケット構造体と、を備えるジャケット構造体システムであって、前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、前記第1ジャケット構造体における前記第1省略領域の位置と、前記第2ジャケット構造体における前記第2省略領域の位置と、は、異なることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。第1ジャケット構造体には第1省略領域が設けられ、第2ジャケット構造体には第2省略領域が設けられる。第1ジャケット構造体における第1省略領域の位置と、第2ジャケット構造体における第2省略領域の位置と、は、異なる。このように、1つのウインドファーム又は海域に設けられる複数のジャケット構造体について、一部の構造を共通にしつつ、その他の部分の構造を異なるようにすることで、複数のジャケット構造体の設計の効率を向上させることで費用を抑えつつ、複数のジャケット構造体それぞれに求められる条件等に適応しやすくすることができる。
【0038】
<17>本発明の態様17に係るジャケット構造体システムは、第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、を含む第1ジャケット構造体と、第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、を含む第2ジャケット構造体と、を備えるジャケット構造体システムであって、前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられていないことを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。第1ジャケット構造体には第1省略領域が設けられ、第2ジャケット構造体には第2省略領域が設けられていない。このように、1つのウインドファーム又は海域に設けられる複数のジャケット構造体について、一部の構造を共通にしつつ、その他の部分の構造を異なるようにすることで、複数のジャケット構造体の設計の効率を向上させることで費用を抑えつつ、複数のジャケット構造体それぞれに求められる条件等に適応しやすくすることができる。
【0040】
<18>本発明の態様18に係る洋上風車システムは、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体、を備える洋上風車システムであって、前記複数のジャケット構造体は、第1グループ又は第2グループに属し、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、トランジションピースと、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグである第2レグと、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第1斜めブレースと、を含み、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられており、前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれにおける前記省略領域の位置は、共通することを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、複数のジャケット構造体は、第1グループ又は第2グループに属する。第1グループに属する複数のジャケット構造体それぞれには、省略領域が設けられている。第1グループに属する複数のジャケット構造体それぞれにおける省略領域の位置は、共通する。このように、1つのグループに属する複数のジャケット構造体の構造を共通にすることで、複数のジャケット構造体の設計の効率を向上させ、費用を抑えることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、費用を削減したジャケット構造体、ジャケット構造体の設計方法、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】ジャケット構造体の第1例の斜視図である。
図2】ジャケット構造体の第2例の斜視図である。
図3】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第1例である。
図4】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第2例である。
図5】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第3例である。
図6】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第4例である。
図7】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第5例である。
図8】ジャケット構造体におけるブレースの配置の第6例である。
図9】ジャケット構造体の変形例の斜視図である。
図10】ジャケット構造体システムの第1例の斜視図である。
図11】ジャケット構造体システムの第2例の斜視図である。
図12】洋上風車システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(ジャケット構造体100の構成について)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。図1に示すように、ジャケット構造体100は、洋上風車200を支持する。
図1に示すように、ジャケット構造体100は、レグ10と、リブ20と、ブレース30と、トランジションピース40と、接続部材50と、を備える。
【0045】
レグ10は、ジャケット構造体100において複数設けられる。レグ10には、例えば、鋼管が用いられる。レグ10の上端は、トランジションピース40に接続される。レグ10の下端は、地盤に打設される複数の杭Pに、接続部材50を介して連結される。これにより、レグ10は、洋上においてトランジションピース40を支持する。
本実施形態において、ジャケット構造体100の備えるレグ10の数は4である。レグ10は、第1レグ11と、第2レグ12と、第3レグ13と、第4レグ14と、を含む。以下、これらを区別しない場合に、レグ10という。
【0046】
第1レグ11は、複数のレグ10のうちの1つである。第2レグ12は、複数のレグ10のうち、前記1つとは異なる1つである。第3レグ13は、複数のレグ10のうちの1つであり、且つ、第1レグ11及び第2レグ12と異なる1つである。第4レグ14は、複数のレグ10のうちの1つであり、且つ、第1レグ11、第2レグ12、及び、第3レグ13と異なる1つである。
【0047】
レグ10には、ブレース30が接続される。以下、レグ10の部分であってブレース30が接続される部分を、レグキャン10Cという。本実施形態において、レグキャン10Cの長さ方向の端部は、例えば、レグ10とブレース30との接続部のうち、レグ10の長手方向の端部から、少なくともブレース30の直径の1/4の長さだけ、レグ10の長手方向に離れた部分に位置する。
レグキャン10Cの長さは、例えば、1つのレグキャン10Cに接続されるブレース30の数によって変化する。すなわち、例えば、レグキャン10Cの長さは、ブレース30がレグ10の長手方向に沿って複数接続される場合の方が長く、1本のみ接続される場合の方が短い。
【0048】
レグキャン10Cの長さは、あるいは、レグ10とブレース30との交差角によって変化する。すなわち、レグ10とブレース30との接続部であるレグキャン10Cのうち、レグ10の長手方向の端部同士の距離は、例えば、レグ10とブレース30との接続部の形状(ブレース30の断面形状)が、略真円に近い場合に短く、略楕円状になる場合に長くなる。本実施形態において、略真円とは、真円がレグ10の表面に投影されたものであって、レグ10の表面に沿って湾曲したものをいう。略楕円とは、楕円がレグ10の表面に投影されたものであって、レグ10の表面に沿って湾曲したものをいう。
レグ10とブレース30との接続部の形状は、例えば、レグ10とのブレース30交差角が90°である場合に略真円となり、90°よりも角度が大きく又は小さくなるにつれて略楕円状に変化する。したがって、レグキャン10Cの長さは、レグ10とのブレース30交差角が90°である場合に最も短くなり、90°よりも角度が大きく又は小さくなるにつれて長くなる。
【0049】
本実施形態において、第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分の鋼材の強度は、第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分と異なる部分の鋼材の強度より、強い。第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分の鋼材には、例えば、SA440等が用いられる。第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分以外の部分の鋼材には、例えば、SM490Y、SM520等が用いられる。
上記は第1レグ11に限らず、例えば、その他のレグ10においても同じ形態であってもよい。
【0050】
リブ20は、例えば、トランジションピース40と第1レグ11とを接続する。リブ20は、レグ10と接続部材50との間を接続してもよい。リブ20は、例えば、鋼板である。リブ20の大きさ又は形状は、第1レグ11とトランジションピース40の下フランジ42との溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状である。所定疲労強度は、リブ20が設けられていない場合であって第1省略領域S1(後述する)に後施工斜めブレース(不図示)が設けられた場合における疲労強度である。
【0051】
ブレース30は、複数のレグ10同士を結ぶ。これにより、ブレース30は、ジャケット構造体100を補強する機能を有する。ブレース30には、例えば、鋼管が用いられる。ブレース30は、斜めブレース31と、水平ブレース32と、を含む。
斜めブレース31は、複数のレグ10同士の間において、長手方向が斜めに位置するように配置される。斜めブレース31とレグ10との交差角は、例えば、レグ10のバター角によって決定される。レグ10のバター角とは、レグ10の上端と下端との間の部分の傾斜角であって、レグ10の下端から上端にかけてトランジションピース40の側に近づくように傾斜した角度をいう。このとき、レグ10と、斜めブレース31との交差角度は、30°以上であることが好ましい。
図1に示すように、斜めブレース31は、例えば、X字状に配置される。前記X字状は、例えば、上下方向に亘って1段設けられる。また、図2に示すように、前記X字状は上下方向に亘って2段設けられてもよい。
【0052】
以下、斜めブレース31の例として、第1斜めブレース31a、第2斜めブレース31b、第3斜めブレース31c、及び第4斜めブレース31dについて図6を用いて説明する。
図6に示すように、第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bは、それぞれ第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ。第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dは、それぞれ第3レグ13と第4レグ14とを結ぶ。
水平ブレース32は、例えば、図1及び図2に示すように、複数のレグ10同士の間において、長手方向が水平に位置するように配置される。水平ブレース32は、第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ。水平ブレース32は、例えば、第1省略領域S1の下に設けられる。
斜めブレース31及び水平ブレース32の配置の詳細については後述する。
【0053】
トランジションピース40は、ジャケット構造体100の上部に位置する。トランジションピース40には、洋上風車200の下端部が接続される。これにより、トランジションピース40は、洋上風車200を支持する。トランジションピース40は、複数のレグ10によって支持される。
図1に示すように、トランジションピース40は、上フランジ41と、下フランジ42と、ウェブ43と、受口部44と、を備える。
上フランジ41は、トランジションピース40の上側において水平方向に配置される。図1に示すように、上フランジ41は十字状であり、中央に受口部44が配置される。
【0054】
下フランジ42は、トランジションピース40の下端において水平方向に配置される。以下において、下フランジ42を示す際に、単にトランジションピース40の下端と呼称することがある。図1に示すように、下フランジ42は上フランジ41と同様に十字状であり、中央に受口部44を備える。これにより、トランジションピース40において受口部44を上下2箇所で支持する。
ウェブ43は、上フランジ41と、下フランジ42と、受口部44と、後述するレグ10と、との間を補強する部材である。図1に示すように、ウェブ43は略四角形状の板である。ウェブ43は、前記略四角形状の4辺を、上述の上フランジ41と、下フランジ42と、受口部44と、レグ10と、にそれぞれ接続する。これによりトランジションピース40を補強する。
受口部44は筒状の部材であり、トランジションピース40の中央に配置される。受口部44は、上フランジ41、下フランジ42、及びウェブ43によって支持される。本実施形態において、受口部44には洋上風車200が接続される。これにより、トランジションピース40によって洋上風車200を支持する。
【0055】
接続部材50は、レグ10と、レグ10に対応する杭Pと、を接続する。接続部材50は、図1に示すように、上フランジ51と、下フランジ52と、スリーブ53と、を含む。
上フランジ51及び下フランジ52は、それぞれスリーブ53の上部及び下部に配置される板状の部材である。上フランジ51及び下フランジ52は、例えば、それぞれ水平に配置される。図1に示すように、上フランジ51及び下フランジ52は、それぞれレグ10の下端に取り付けられる。
【0056】
スリーブ53は、鉛直方向に沿って配置される筒状の部材である。スリーブ53の上端及び下端には、図1に示すように、それぞれ上フランジ51及び下フランジ52に取り付けられる。スリーブ53には、内部に杭Pが挿入される。これにより、接続部材50によって、レグ10と杭Pとを接続する。
【0057】
(ブレース30の配置の詳細について)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体100におけるブレース30の配置の詳細について説明する。ブレース30の配置は、複数の形態を含む。本実施形態において、ジャケット構造体100には、ブレース30の配置によって、省略領域Sが形成される。
省略領域Sは、上下方向を軸としたジャケット構造体100の周方向において、互いに隣り合う2つのレグ10が含まれる平面状の空間の一部の領域であって、ブレース30が配置されていない領域である。以下、省略領域Sの例として、第1省略領域S1、第2省略領域S2、第3省略領域S3、及び第4省略領域S4について説明する。
【0058】
第1省略領域S1は、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部の領域であって、第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bが配置されていない領域である。第1省略領域S1は、トランジションピース40の下の領域の一部に設けられている。
【0059】
本実施形態において、第1省略領域S1の高さ(鉛直方向に沿った長さ)は、水平方向に沿って見て、トランジションピース40の高さより、高い。第1省略領域S1の高さは、水平方向に沿って見て、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間において第1斜めブレース31aが位置する領域の高さより、低い。第1省略領域S1の高さは、例えば、ジャケット構造体100の高さの30%~50%である。
【0060】
第1省略領域S1は、例えば、第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である。後施工斜めブレースとは、例えば、ジャケット構造体100の施工後に、ジャケット構造体100を更に補強することが必要となった場合に、後から取り付けられる斜めブレース31である。第1省略領域S1には、図5に示すように、上述したリブ20が設けられる。
【0061】
第2省略領域S2は、例えば図5に示すように、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部の領域であって、第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bが配置されていない領域である。第2省略領域S2は、第1斜めブレース31aの下の領域の一部に設けられている。本実施形態に係るジャケット構造体100において、第2省略領域S2は、設けられていない場合があってもよい。
【0062】
第3省略領域S3は、図1に示すように、ジャケット構造体100における省略領域Sのうち、第1省略領域S1に対向する位置にあるものである。すなわち、第3省略領域S3は、例えば図5に示すように、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間の一部の領域であって、第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dが配置されていない領域である。第3省略領域S3は、トランジションピース40の下の領域の一部に設けられている。
【0063】
本実施形態において、第3省略領域S3は、第1省略領域S1と対称になるように形成される。すなわち、例えば、第3省略領域S3の高さは、水平方向に沿って見て、トランジションピース40の高さより、高い。第3省略領域S3の高さは、水平方向に沿って見て、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間において第3斜めブレース31cが位置する領域の高さより、低い。第3省略領域S3の高さは、例えば、ジャケット構造体100の高さの30%~50%である。
第3省略領域S3は、例えば、第3レグ13と第4レグ14とを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である。第3省略領域S3には、図5に示すように、上述したリブ20が設けられる。
本実施形態に係るジャケット構造体100において、第3省略領域S3は、設けられていない場合があってもよい。
【0064】
第4省略領域S4は、ジャケット構造体100における省略領域Sのうち、第2省略領域S2に対向する位置にあるものである。すなわち、第4省略領域S4は、例えば図5に示すように、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間の一部の領域であって、第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dが配置されていない領域である。第4省略領域S4は、第3斜めブレース31cの下の領域の一部に設けられている。本実施形態において、第4省略領域S4は、第2省略領域S2と対称になるように形成される。本実施形態に係るジャケット構造体100において、第4省略領域S4は、設けられていない場合があってもよい。
【0065】
上述のように、本実施形態において、ジャケット構造体100の備えるレグ10の数は4である。このため、図1及び図2に示すように、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間と、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間とは、互いに対向する。したがって、上述のように、第1省略領域S1と第3省略領域S3とは、ジャケット構造体100において対向する。第2省略領域S2と第4省略領域S4とは、ジャケット構造体100において対向する。本実施形態において、第1省略領域S1と第3省略領域S3とは、上下方向に延びるジャケット構造体100の中心軸を基準として対称に設けられる。第2省略領域S2と第4省略領域S4とは、上下方向に延びるジャケット構造体100の中心軸を基準として対称に設けられる。
以下、上述の第1省略領域S1、第2省略領域S2、第3省略領域S3、及び第4省略領域S4の配置によるジャケット構造体100の例について、図3図8を用いて説明する。
【0066】
(ブレース30の配置の第1例)
第1例に係るブレース30の配置は、図3に示すように、X字状の第1斜めブレース31aが上下方向に1段設けられている。第1省略領域S1は、トランジションピース40及び第1斜めブレース31aの下の領域の一部に設けられている。言い換えれば、トランジションピース40と第1斜めブレース31aとの間に第1省略領域S1は設けられていない。
第1例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間にのみ設けられる。トランジションピース40とレグ10との間にリブ20は設けられていない。
【0067】
第1例においては、X字状の第3斜めブレース31cが上下方向に1段設けられている。第3省略領域S3は、トランジションピース40及び第3斜めブレース31cの下の領域の一部に設けられている。言い換えれば、トランジションピース40と第3斜めブレース31cとの間に第3省略領域S3は設けられていない。
第1例において、第2斜めブレース31b及び第4斜めブレース31dは、設けられていない。第1例において、第2省略領域S2及び第4省略領域S4は、設けられていない。
【0068】
(ブレース30の配置の第2例)
第2例に係るブレース30の配置は、図4に示すように、X字状の第1斜めブレース31aが上下方向に1段設けられている。第1斜めブレース31aは、第1省略領域S1の下に設けられる。言い換えれば、第1省略領域S1は、トランジションピース40と第1斜めブレース31aとの間に設けられている。
第2例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間と、トランジションピース40とレグ10との間と、に設けられる。
【0069】
第2例においては、X字状の第3斜めブレース31cが上下方向に1段設けられている。第3斜めブレース31cは、第3省略領域S3の下に設けられる。言い換えれば、第3省略領域S3は、トランジションピース40と第3斜めブレース31cとの間に設けられている。
第2例において、第2斜めブレース31b及び第4斜めブレース31dは、設けられていない。第1例において、第2省略領域S2及び第4省略領域S4は、設けられていない。
第2例等のように、ジャケット構造体100の上方に第1省略領域S1及び第3省略領域S3を設けると、例えば、トランジションピース40とレグ10との間のリブ20を大きく設けることができる。また、例えば、第1省略領域S1及び第3省略領域S3が水面よりも上に位置するようにすることで、洋上において生じる波による衝撃の影響を受けにくくすることができる。
【0070】
(ブレース30の配置の第3例)
第3例に係るブレース30の配置は、図5に示すように、X字状の第1斜めブレース31aが上下方向に1段設けられている。第1斜めブレース31aは、第1省略領域S1の下に設けられる。第2省略領域S2は、第1斜めブレース31aの下に設けられる。言い換えれば、第1省略領域S1は、トランジションピース40と第1斜めブレース31aとの間に設けられている。第1斜めブレース31aは、第1省略領域S1と第2省略領域S2との間に設けられる。
第3例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間と、トランジションピース40とレグ10との間と、に設けられる。
【0071】
第3例においては、X字状の第3斜めブレース31cが上下方向に1段設けられている。第3斜めブレース31cは、第3省略領域S3の下に設けられる。第4省略領域S4は、第3斜めブレース31cの下に設けられる。言い換えれば、第3省略領域S3は、トランジションピース40と第3斜めブレース31cとの間に設けられている。第3斜めブレース31cは、第3省略領域S3と第4省略領域S4との間に設けられる。
第3例において、第2斜めブレース31b及び第4斜めブレース31dは、設けられていない。
【0072】
(ブレース30の配置の第4例)
第4例に係るブレース30の配置は、図6に示すように、X字状の第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bが上下方向に2段設けられている。第1省略領域S1は、トランジションピース40、第1斜めブレース31a、及び第2斜めブレース31bの下の領域の一部に設けられている。言い換えれば、トランジションピース40と第1斜めブレース31aとの間、及び第1斜めブレース31aと第2斜めブレース31bとの間に第1省略領域S1は設けられていない。
第4例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間にのみ設けられる。トランジションピース40とレグ10との間にリブ20は設けられていない。
【0073】
第4例においては、X字状の第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dが上下方向に2段設けられている。第3省略領域S3は、トランジションピース40、第3斜めブレース31c、及び第4斜めブレース31dの下の領域の一部に設けられている。言い換えれば、トランジションピース40と第3斜めブレース31cとの間、及び第3斜めブレース31cと第4斜めブレース31dとの間に第3省略領域S3は設けられていない。
第1例において、第2省略領域S2及び第4省略領域S4は、設けられていない。
【0074】
(ブレース30の配置の第5例)
第5例に係るブレース30の配置は、図7に示すように、X字状の第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bが上下方向に2段設けられている。第1省略領域S1は、第1斜めブレース31aの下に設けられる。第2斜めブレース31bは、第1省略領域S1の下に設けられる。言い換えれば、第1省略領域S1は、第1斜めブレース31aと第2斜めブレース31bとの間に設けられる。
第5例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間にのみ設けられる。トランジションピース40とレグ10との間にリブ20は設けられていない。
【0075】
第5例においては、X字状の第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dが上下方向に2段設けられている。第3省略領域S3は、第3斜めブレース31cの下に設けられる。第4斜めブレース31dは、第3省略領域S3の下に設けられる。言い換えれば、第1省略領域S1は、第3斜めブレース31cと第4斜めブレース31dとの間に設けられる。
第5例において、第2省略領域S2及び第4省略領域S4は、設けられていない。
【0076】
(ブレース30の配置の第6例)
第6例に係るブレース30の配置は、図8に示すように、X字状の第1斜めブレース31a及び第2斜めブレース31bが上下方向に2段設けられている。第1斜めブレース31aは、第1省略領域S1の下に設けられる。第2斜めブレース31bは、第1省略領域S1及び第1斜めブレース31aの下に設けられる。言い換えれば、第1省略領域S1は、トランジションピース40と第1斜めブレース31aとの間に設けられている。第1斜めブレース31aと第2斜めブレース31bとの間に第1省略領域S1は設けられていない。
第6例において、リブ20は、接続部材50とレグ10との間と、トランジションピース40とレグ10との間と、に設けられる。
【0077】
第6例においては、X字状の第3斜めブレース31c及び第4斜めブレース31dが上下方向に2段設けられている。第3斜めブレース31cは、第3省略領域S3の下に設けられる。第4斜めブレース31dは、第3省略領域S3及び第3斜めブレース31cの下に設けられる。言い換えれば、第3省略領域S3は、トランジションピース40と第3斜めブレース31cとの間に設けられている。第3斜めブレース31cと第4斜めブレース31dとの間に第3省略領域S3は設けられていない。
第6例において、第2省略領域S2及び第4省略領域S4は、設けられていない。
【0078】
以上、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間と、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間と、について説明した。これに限らず、例えば、第1レグ11及び第4レグ14が含まれる平面状の空間と、第2レグ12及び第3レグ13が含まれる平面状の空間と、について同様の形態としてもよい。
上記形態により、ジャケット構造体100を構成する。
【0079】
(ジャケット構造体100の設計方法)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体100の設計方法について説明する。本実施形態に係るジャケット構造体100の設計方法は、例えば、決定ステップと、解析ステップと、材料選択ステップと、を備える。
【0080】
決定ステップでは、ジャケット構造体100において第1省略領域S1を設ける位置を決定する。第1省略領域S1を設ける位置とは、例えば、第1斜めブレース31aの上又は下のいずれに設けるか、及び、第1省略領域S1の高さをいう。決定ステップでは、具体的には、トランジションピース40の剛性、レグ10の剛性、地盤の硬さに基づき、第1省略領域S1を設ける位置を適宜決定する。これにより、ジャケット構造体100の形状を決定する。決定ステップにおいて、上述した所定疲労強度の条件を満たすリブ20の大きさ又は形状を検討の上決定してもよい。
【0081】
解析ステップでは、決定ステップにおいて決定されたジャケット構造体100の形状等の条件により、ジャケット構造体100の構造解析を行う。この結果により、ジャケット構造体100の構造設計が問題ないことを確認する。また、ジャケット構造体100の各部位において必要な終局強度を算定する。
材料選択ステップでは、解析ステップにおいて算定されたジャケット構造体100の各部位の終局強度に合わせて、レグ10及びブレース30に使用する材料を決定する。例えば、レグ10及びブレース30の各部位に求められる耐力から、SA440、SM490Y、SM520等の材料から適宜使用する材料を選択する。
上記各ステップにより、ジャケット構造体100を設計する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部において、第1斜めブレース31aが配置されていない第1省略領域S1が、トランジションピース40の下の領域の一部に設けられている。例えば、トランジションピース40が十分な剛性を備えている、又は、ジャケット構造体100が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えている場合、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の全体に亘って第1斜めブレース31aを設けることで、ジャケット構造体100の剛性が必要以上に高くなることがある。第1斜めブレース31aが配置されていない領域を、第1省略領域S1として設けることで、ジャケット構造体100が必要以上に補強されることを抑えることができる。これにより、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0083】
また、第1省略領域S1の高さは、水平方向に沿って見て、トランジションピース40の高さより、高い。これにより、確実にジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0084】
また、第1省略領域S1の高さは、水平方向に沿って見て、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間において第1斜めブレース31aが位置する領域の高さより、低い。これにより、例えば、第1斜めブレース31aによってジャケット構造体100の剛性を向上させる効果を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。第1省略領域S1の高さを抑えることで、第1レグ11又は第2レグ12が座屈する区間を短くすることができる。よって、例えば、レグ10の座屈耐力を向上させることができる。
【0085】
また、第1省略領域S1は、第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である。これにより、例えば、ジャケット構造体100の施工後に、ジャケット構造体100を更に補強することが必要となった場合において、後施工斜めブレースを配置することで、施工後のジャケット構造体100を補強することができる。
【0086】
また、第1斜めブレース31aは、第1省略領域S1の下に設けられる。これにより、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間において第1斜めブレース31aが位置する領域を、地盤の近くに設けることができる。これにより、例えば、トランジションピース40が十分な剛性を備えているのに対し、ジャケット構造体100が配置される場所の地盤の硬さが比較的柔らかい場合において、トランジションピース40の剛性を利用して、第1省略領域S1を設けることができる。よって、ジャケット構造体100の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0087】
また、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部において、第1斜めブレース31aが配置されていない第2省略領域S2が、第1斜めブレース31aの下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、トランジションピース40が十分な剛性を備え、且つ、ジャケット構造体100が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えている場合、第1斜めブレース31aの下に設けられた第2省略領域S2よりも下に更に第1斜めブレース31aを設けないようにすることで、地盤の硬さを利用して、ジャケット構造体100が必要以上に補強されることを抑えることができる。よって、ジャケット構造体100の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。また、第2省略領域S2と第1省略領域S1とを設けることで、トランジションピース40の剛性及び地盤の硬さを利用して、ジャケット構造体100の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の高さを高くすることができる。
【0088】
また、第1省略領域S1には、トランジションピース40と第1レグ11とを接続するリブ20、が設けられる。これにより、トランジションピース40と第1レグ11との間に発生する応力集中を緩和することができる。具体的には、トランジションピース40と比べて剛性が低いレグ10に集中する応力を緩和することができる。また、洋上風車200の転倒モーメント等を円滑にレグ10に伝達することができる。
【0089】
また、リブ20の大きさ又は形状は、第1レグ11とトランジションピース40の下フランジ42との溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状である。所定疲労強度は、リブ20が設けられていない場合であって第1省略領域S1に後施工斜めブレースが設けられた場合における、第1レグ11とトランジションピース40の下フランジ42との溶接部の疲労強度である。これにより、リブ20を設けることによって、ジャケット構造体100に後施工斜めブレースを設ける前の状態においても、ジャケット構造体100の疲労強度を十分に確保することができる。
【0090】
また、第1省略領域S1は、トランジションピース40及び第1斜めブレース31aの下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、ジャケット構造体100が配置される場所の地盤が十分な硬さを備えているのに対し、トランジションピース40の剛性が比較的低い場合において、地盤の硬さを利用して、第1省略領域S1を設けることができる。よって、ジャケット構造体100の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0091】
また、第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ第2斜めブレース31bが、第1省略領域S1の下に設けられる。これにより、例えば、ジャケット構造体100が配置される場所の地盤の硬さが比較的柔らかい場合において、第1斜めブレース31aの剛性と第2斜めブレース31bの剛性とを利用して、第1省略領域S1を設けることができる。よって、ジャケット構造体100の剛性を十分に保ちつつ、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0092】
また、第1レグ11と第2レグ12とを結ぶ水平ブレース32は、第1省略領域S1の下に設けられる。ここで、水平ブレース32は、ジャケット構造体100において斜めに配置されない。このため、水平ブレース32によって、ジャケット構造体100において上下方向に大きな領域を占めることなく、ジャケット構造体100を補強することができる。したがって、例えば、第1省略領域S1を大きく設けることができる。よって、よりジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0093】
また、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間の一部において、第3斜めブレース31cが配置されていない第3省略領域S3が、トランジションピース40の下の領域の一部に設けられている。これにより、例えば、ジャケット構造体100の備えるレグ10の数が4であり、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間と、第3レグ13及び第4レグ14が含まれる平面状の空間と、が対向している場合に、ジャケット構造体100の構造を対称にすることができる。ジャケット構造体100の構造を対称にすることで、ジャケット構造体100の構造計算を比較的容易にすることができる。よって、ジャケット構造体100の構造計算に要する時間を短縮し、費用を抑えることができる。
【0094】
また、第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分の鋼材は、SA440である。これにより、例えば、第1レグ11のうち、第1省略領域S1に対応する部分の強度を強くすることができる。例えば、第1レグ11の終局耐力を大きくすることができる。
【0095】
第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分の鋼材の強度は、第1レグ11の部分であって第1省略領域S1に対応する部分と異なる部分であって第1レグ11の部分の鋼材の強度より、強い。これにより、第1レグ11のうち、第1省略領域S1に対応する部分の強度を強くすることができる。
【0096】
また、ジャケット構造体100の設計方法は、トランジションピース40の剛性、レグ10の剛性、地盤の硬さに基づき、第1レグ11及び第2レグ12が含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域S1であって第1斜めブレース31aが配置されない第1省略領域S1を設ける位置を決定する決定ステップを備える。これにより、ジャケット構造体100を、トランジションピース40の剛性及び地盤の硬さを利用した適切な構造とすることができる。よって、ジャケット構造体100が必要以上の剛性となることを抑えることができる。これにより、ジャケット構造体100の費用を抑えることができる。
【0097】
(ジャケット構造体システムの第1例)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体システムの第1例(第1ジャケット構造体システム100J)について、図10を用いて説明する。第1ジャケット構造体システム100Jは、第1ジャケット構造体10Jと、第2ジャケット構造体20Jと、を有する。
【0098】
第1ジャケット構造体10Jは、第1洋上風車W1を支持する第1トランジションピース11Jと、第1トランジションピース11Jを支持する複数の第1レグ12Jと、複数の第1レグ12Jのうちの1つである第2レグ13Jと、複数の第1レグ12Jのうち第2レグ13Jとは異なるレグである第3レグ14Jと、第2レグ13Jと第3レグ14Jとを結ぶ第1斜めブレース1BJと、を含む。
【0099】
第2ジャケット構造体20Jは、第2洋上風車W2を支持する第2トランジションピース15Jと、第2トランジションピース15Jを支持する複数の第4レグ16Jと、複数の第4レグ16Jのうちの1つである第5レグ17Jと、複数の第4レグ16Jのうちの第5レグ17Jとは異なるレグである第6レグ18Jと、第5レグ17Jと第6レグ18Jとを結ぶ第2斜めブレース2BJと、を含む。
【0100】
第1ジャケット構造体システム100Jにおいて、第1ジャケット構造体10Jと第2ジャケット構造体20Jとが設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。
第1ジャケット構造体10Jには、第1省略領域S1Jが設けられる。第1省略領域S1Jは、第2レグ13J及び第3レグ14Jが含まれる平面状の空間の一部の領域のうち、第1斜めブレース1BJが配置されていない領域をいう。第1省略領域S1Jは、第1トランジションピース11Jの下の領域の一部に設けられる。
【0101】
第2ジャケット構造体20Jには、第2省略領域S2Jが設けられる。第2省略領域S2Jは、第5レグ17J及び第6レグ18Jが含まれる平面状の空間の一部の領域のうち、第2斜めブレース2BJが配置されていない領域をいう。第2省略領域S2Jは、第2トランジションピース15Jの下の領域の一部に設けられる。
第1ジャケット構造体システム100Jにおいて、第1ジャケット構造体10Jにおける第1省略領域S1Jの位置と、第2ジャケット構造体20Jにおける第2省略領域S2Jの位置と、は、異なる。
【0102】
以上説明したように、第1ジャケット構造体システム100Jによれば、第1ジャケット構造体10Jと第2ジャケット構造体20Jとが設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。第1ジャケット構造体10Jには第1省略領域S1Jが設けられ、第2ジャケット構造体20Jには第2省略領域S2Jが設けられる。第1ジャケット構造体10Jにおける第1省略領域S1Jの位置と、第2ジャケット構造体20Jにおける第2省略領域S2Jの位置と、は、異なる。このように、1つのウインドファーム又は海域に設けられる複数のジャケット構造体について、一部の構造を共通にしつつ、その他の部分の構造を異なるようにすることで、複数のジャケット構造体の設計の効率を向上させることで費用を抑えつつ、複数のジャケット構造体それぞれに求められる条件等に適応しやすくすることができる。
【0103】
(ジャケット構造体システムの第2例)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体システムの第2例(第2ジャケット構造体システム200J)について、図11を用いて説明する。第2ジャケット構造体システム200Jは、第1ジャケット構造体システム100Jと同様に、第1ジャケット構造体10Jと、第2ジャケット構造体20Jと、を有する。
第2ジャケット構造体システム200Jは、第2ジャケット構造体20Jが、第2トランジションピース15Jの下の領域の一部に設けられていない点でのみ、第1ジャケット構造体システム100Jと相違する。
【0104】
以上説明したように、第2ジャケット構造体システム200Jによれば、第1ジャケット構造体10Jと第2ジャケット構造体20Jとが設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。第1ジャケット構造体10Jには第1省略領域S1Jが設けられ、第2ジャケット構造体20Jには第2省略領域S2Jが設けられていない。このように、1つのウインドファーム又は海域に設けられる複数のジャケット構造体について、一部の構造を共通にしつつ、その他の部分の構造を異なるようにすることで、複数のジャケット構造体の設計の効率を向上させることで費用を抑えつつ、複数のジャケット構造体それぞれに求められる条件等に適応しやすくすることができる。
【0105】
(洋上風車システム)
次に、本実施形態に係る洋上風車システム100Wについて、図12を用いて説明する。洋上風車システム100Wは、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車Wをそれぞれ支持する複数のジャケット構造体10W、を備える。
洋上風車システム100Wにおいて、複数のジャケット構造体10Wは、第1グループG1又は第2グループG2に属する。具体的には、例えば、複数のジャケット構造体10Wのそれぞれは、ウインドファーム又は海域においてジャケット構造体10Wのそれぞれが設置される場所(サイト)のそれぞれの水深又は地盤条件に応じ、第1グループ及び第2グループのいずれかにグルーピングされる。
【0106】
第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれは、トランジションピース11Wと、トランジションピース11Wを支持する複数のレグ12Wと、複数のレグ12Wのうちの1つである第1レグ13Wと、複数のレグ12Wのうち1つとは異なるレグである第2レグ14Wと、第1レグ13Wと第2レグ14Wとを結ぶ第1斜めブレース15Wと、を含む。
【0107】
第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれには、省略領域16Wが設けられている。省略領域16Wは、第1レグ13W及び第2レグ14Wが含まれる平面状の空間の一部の領域のうち、第1斜めブレース15Wが配置されていない領域をいう。省略領域16Wは、トランジションピース11Wの下の領域の一部に設けられている。
洋上風車システム100Wにおいて、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれにおける省略領域16Wの位置は、共通する。
【0108】
図12に示すように、第2グループG2に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれは、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれに対して、省略領域16Wの位置が異なる点でのみ相違する。
なお、洋上風車システム100Wにおいて、第2グループG2に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれにおける省略領域16Wの位置は、共通する。
【0109】
以上説明したように、洋上風車システム100Wよれば、複数のジャケット構造体10Wは、第1グループG1又は第2グループG2に属する。第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれには、省略領域16Wが設けられている。第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10Wそれぞれにおける省略領域16Wの位置は、共通する。このように、1つのグループに属する複数のジャケット構造体10Wの構造を共通にすることで、複数のジャケット構造体10Wの設計の効率を向上させ、費用を抑えることができる。
【0110】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
ジャケット構造体100は、接続部材50を備えなくてもよい。つまり、レグ10の下端と杭Pの上端とは、例えば、いずれかがいずれかの内側に挿入されることで接続されてもよい。すなわち、例えば、ジャケット構造体100の接続部材50に代えて、図9に示すような構造を採用してもよい。具体的には、例えば、複数のレグ10または地盤に打設された鋼管杭それぞれが、対応する鋼管杭またはレグ10に挿入されて接続される構造としてもよい。
水平ブレース32は、例えば、第1斜めブレース31aと第2斜めブレース31bとの間、又は第3斜めブレース31cと第4斜めブレース31dとの間に設けられてもよい。
トランジションピース40と第1斜めブレース31a又は第3斜めブレース31cとの間に省略領域Sが設けられていない場合であっても、トランジションピース40とレグ10との間にリブ20が設けられてもよい。
【0111】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 レグ
10C レグキャン
11 第1レグ
12 第2レグ
13 第3レグ
14 第4レグ
20 リブ
30 ブレース
31 斜めブレース
31a 第1斜めブレース
31b 第2斜めブレース
31c 第3斜めブレース
31d 第4斜めブレース
32 水平ブレース
40 トランジションピース
41 上フランジ
42 下フランジ
43 ウェブ
44 受口部
50 接続部材
51 上フランジ
52 下フランジ
53 スリーブ
100 ジャケット構造体
200 洋上風車
P 杭
S 省略領域
S1 第1省略領域
S2 第2省略領域
S3 第3省略領域
S4 第4省略領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に打設される複数の杭と、
前記複数の杭の上部に配置される接続部材と、
前記複数の杭に、前記接続部材を介して連結される複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
を備えるジャケット構造体であって、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピース、
を更に備え、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースの高さより、高い、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間において前記第1斜めブレースが位置する領域の高さより、低い、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記第1省略領域は、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記第1斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記第1省略領域には、前記トランジションピースと前記第1レグとを接続するリブ、が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記リブの大きさ又は形状は、前記第1レグと前記トランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状であり、
前記所定疲労強度は、前記リブが設けられていない場合であって前記第1省略領域に前記後施工斜めブレースが設けられた場合における前記疲労強度である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記第1省略領域は、前記トランジションピース及び前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第2斜めブレース、
を更に備え、
前記第2斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ水平ブレース、
を更に備え、
前記水平ブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ及び前記第2レグと異なる第3レグと、前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ、前記第2レグ、及び、前記第3レグと異なる第4レグと、を結ぶ第3斜めブレース、
を更に備え、
前記第3レグ及び前記第4レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第3省略領域であって前記第3斜めブレースが配置されていない第3省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材は、SA440である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材の強度は、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分と異なる部分であって前記第1レグの部分の鋼材の強度より、強い、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
地盤に打設される複数の杭に連結される複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピースと、
を備えるジャケット構造体の設計方法であって、
前記トランジションピースの剛性、前記レグの剛性、前記地盤の硬さに基づき、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されない第1省略領域を設ける位置を決定する決定ステップ、
を備えることを特徴とするジャケット構造体の設計方法。
【請求項16】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第1ジャケット構造体における前記第1省略領域の位置と、前記第2ジャケット構造体における前記第2省略領域の位置と、は、異なる、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項17】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられていない、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項18】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体、を備える洋上風車システムであって、
前記複数のジャケット構造体は、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
トランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、
前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグである第2レグと、
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含み、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられており、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれにおける前記省略領域の位置は、共通する、
ことを特徴とする洋上風車システム。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に打設される複数の杭と
記複数の杭に連結される複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
を備えるジャケット構造体であって、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピース、
を更に備え、
前記複数のレグのそれぞれは、前記トランジションピースから前記杭に向けて傾斜姿勢で直線状に延在しており、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記トランジションピースの高さより、高い、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記第1省略領域の高さは、水平方向に沿って見て、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間において前記第1斜めブレースが位置する領域の高さより、低い、
ことを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記第1省略領域は、前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ後施工斜めブレースを配置可能な領域である、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記第1斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記第1省略領域には、前記トランジションピースと前記第1レグとを接続するリブ、が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記リブの大きさ又は形状は、前記第1レグと前記トランジションピースの下フランジとの溶接部の疲労強度が所定疲労強度以上となる大きさ又は形状であり、
前記所定疲労強度は、前記リブが設けられていない場合であって前記第1省略領域に前記後施工斜めブレースが設けられた場合における前記疲労強度である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記第1省略領域は、前記トランジションピース及び前記第1斜めブレースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第2斜めブレース、
を更に備え、
前記第2斜めブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ水平ブレース、
を更に備え、
前記水平ブレースは、前記第1省略領域の下に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ及び前記第2レグと異なる第3レグと、前記複数のレグのうちの1つであり、且つ、前記第1レグ、前記第2レグ、及び、前記第3レグと異なる第4レグと、を結ぶ第3斜めブレース、
を更に備え、
前記第3レグ及び前記第4レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第3省略領域であって前記第3斜めブレースが配置されていない第3省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材は、SA440である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分の鋼材の強度は、前記第1レグの部分であって前記第1省略領域に対応する部分と異なる部分であって前記第1レグの部分の鋼材の強度より、強い、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
地盤に打設される複数の杭に連結される複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、前記複数のレグのうち前記1つとは異なる1つである第2レグと、を結ぶ第1斜めブレースと、
洋上風車を支持し、前記複数のレグによって支持されるトランジションピースと、
を備え
前記複数のレグのそれぞれは、前記トランジションピースから前記杭に向けて傾斜姿勢で直線状に延在しているジャケット構造体の設計方法であって、
前記トランジションピースの剛性、前記レグの剛性、前記地盤の硬さに基づき、前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されない第1省略領域を設ける位置を決定する決定ステップ、
を備えることを特徴とするジャケット構造体の設計方法。
【請求項16】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第1ジャケット構造体における前記第1省略領域の位置と、前記第2ジャケット構造体における前記第2省略領域の位置と、は、異なる、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項17】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、
前記第1トランジションピースを支持する複数の第1レグと、
前記複数の第1レグのうちの1つである第2レグと、
前記複数の第1レグのうち前記第2レグとは異なるレグである第3レグと、
前記第2レグと前記第3レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、
前記第2トランジションピースを支持する複数の第4レグと、
前記複数の第4レグのうちの1つである第5レグと、
前記複数の第4レグのうちの前記第5レグとは異なるレグである第6レグと、
前記第5レグと前記第6レグとを結ぶ第2斜めブレースと、
を含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1ジャケット構造体と前記第2ジャケット構造体とが設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1ジャケット構造体は、前記第2レグ及び前記第3レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第1省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない第1省略領域が、前記第1トランジションピースの下の領域の一部に設けられ、
前記第2ジャケット構造体は、前記第5レグ及び前記第6レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である第2省略領域であって前記第2斜めブレースが配置されていない第2省略領域が、前記第2トランジションピースの下の領域の一部に設けられていない、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項18】
同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体、を備える洋上風車システムであって、
前記複数のジャケット構造体は、第1グループ又は第2グループに属し、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
トランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
前記複数のレグのうちの1つである第1レグと、
前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグである第2レグと、
前記第1レグと前記第2レグとを結ぶ第1斜めブレースと、
を含み、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれは、
前記第1レグ及び前記第2レグが含まれる平面状の空間の一部の領域である省略領域であって前記第1斜めブレースが配置されていない省略領域が、前記トランジションピースの下の領域の一部に設けられており、
前記第1グループに属する前記複数のジャケット構造体それぞれにおける前記省略領域の位置は、共通する、
ことを特徴とする洋上風車システム。