(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011189
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】自動充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H02J7/00 301E
H02J7/00 301B
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113005
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】竹上 功起
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】電極同士が半当たりした状態におけるバッテリの充電を抑制することができる自動充電システムを提供する。
【解決手段】自動充電システム1は、自律走行ロボット3の周囲物体を検出するレーザセンサ25と、充電装置2に設けられ、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lを反射させる高反射材13と、充電器6に電気的に接続された電極端子8とバッテリ4に電気的に接続された電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定する接続状態判定部34と、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されると、バッテリ4の充電を開始するように充電器6を制御する充電制御部36,43とを備え、接続状態判定部34は、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したかどうかを判定することで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器を有する充電装置を用いて、走行体に搭載されたバッテリの自動充電を行う自動充電システムにおいて、
前記走行体に搭載され、前記走行体の周囲にレーザ光を照射して前記レーザ光の反射光を受光することにより、前記走行体の周囲に存在する物体を検出するレーザセンサと、
前記充電装置に設けられ、前記レーザセンサから照射されたレーザ光を反射させる反射材と、
前記レーザセンサの検出データに基づいて、前記充電装置を認識する認識部と、
前記認識部により前記充電装置が認識されると、前記充電器に電気的に接続された電極端子と前記バッテリに電気的に接続された電極受け部とが接続可能な充電位置まで前記走行体を前記充電装置に向かって走行させるように制御する走行制御部と、
前記走行体が前記充電位置に到達したときに、前記レーザセンサの検出データに基づいて、前記電極端子と前記電極受け部との接続状態が正常であるかどうかを判定する接続状態判定部と、
前記接続状態判定部により前記電極端子と前記電極受け部との接続状態が正常であると判定されると、前記バッテリの充電を開始するように前記充電器を制御する充電制御部とを備え、
前記反射材は、前記レーザセンサから照射されたレーザ光を前記充電装置における前記反射材以外の領域よりも高い強度で反射させ、
前記接続状態判定部は、前記レーザセンサにより前記反射材での反射光を受光したかどうかを判定することで、前記電極端子と前記電極受け部との接続状態が正常であるかどうかを判定する自動充電システム。
【請求項2】
前記接続状態判定部は、前記レーザセンサにより受光されたレーザ光の輝度が予め決められた閾値以上であるかどうかを判断し、前記レーザ光の輝度が前記閾値以上であるときは、前記レーザセンサにより前記反射材での反射光を受光したと判定することで、前記電極端子と前記電極受け部との接続状態が正常であると判定する請求項1記載の自動充電システム。
【請求項3】
前記充電装置は、前記充電装置の認識に使用されるマーカを有し、
前記マーカは、第1の反射材と、前記第1の反射材の上側及び下側にそれぞれ配置された第2の反射材とを有し、
前記第1の反射材は、前記レーザセンサから照射されたレーザ光を前記第2の反射材よりも高い輝度で反射させ、
前記認識部は、前記レーザセンサの検出データに基づいて前記マーカを検知することで、前記充電装置を認識し、
前記接続状態判定部は、前記レーザ光の輝度が前記閾値以上であるときは、前記レーザセンサにより前記第1の反射材での反射光を受光したと判定することで、前記電極端子と前記電極受け部との接続状態が正常であると判定する請求項2記載の自動充電システム。
【請求項4】
前記充電装置は、前記充電器を収容する筐体と、前記筐体の前側に対して凹状を呈する凹状部材とを有し、
前記電極端子は、前記筐体の前端部に取り付けられており、
前記反射材は、前記凹状部材の凹底面に接合されている請求項2または3記載の自動充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動充電システムとしては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の自動充電システムは、無人車側機器と地上側設備とから構成されている。無人車側機器は、バッテリと、このバッテリと接続され、正負充電端子を含む充電端子ユニットとを備えている。地上側設備は、充電器と、この充電器と接続された正負充電端子と、この正負充電端子間の電圧を測定する電圧検出器とを備えている。無人車側機器の正負充電端子(無人車側正負充電端子)と地上側設備の正負充電端子(地上側正負充電端子)とが接触すると、充電器によるバッテリの充電前に、電圧検出器により地上側正負充電端子間の電圧が測定され、その測定結果に基づいて無人車側正負充電端子と地上側正負充電端子との接続状態が判定される。具体的には、電圧検出器により測定された地上側正負充電端子間の電圧が規定値以上であるときは、無人車側正負充電端子と地上側正負充電端子との接続状態が正常であると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、無人車が地上側設備に向かって走行する走行路上にケーブルやゴミ等の落下物が存在する場合、無人車側正負充電端子(無人車側電極)が地上側正負充電端子(地上側電極)に接続される直前に無人車が落下物に乗り上げると、無人車側電極と地上側電極とが上下方向にずれて半当たりの状態で接触することがある。そのように電極同士が半当たりした状態で、充電器によるバッテリの充電が行われると、電極同士の接触抵抗の増大による電極の発熱を引き起こす可能性がある。上記従来技術では、電極同士が半当たりした状態でも、電極の一部同士が接触していれば、電極同士の接続状態が正常であると判定される。このため、バッテリの充電が開始されることとなる。
【0005】
本発明の目的は、電極同士が半当たりした状態におけるバッテリの充電を抑制することができる自動充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、充電器を有する充電装置を用いて、走行体に搭載されたバッテリの自動充電を行う自動充電システムにおいて、走行体に搭載され、走行体の周囲にレーザ光を照射してレーザ光の反射光を受光することにより、走行体の周囲に存在する物体を検出するレーザセンサと、充電装置に設けられ、レーザセンサから照射されたレーザ光を反射させる反射材と、レーザセンサの検出データに基づいて、充電装置を認識する認識部と、認識部により充電装置が認識されると、充電器に電気的に接続された電極端子とバッテリに電気的に接続された電極受け部とが接続可能な充電位置まで走行体を充電装置に向かって走行させるように制御する走行制御部と、走行体が充電位置に到達したときに、レーザセンサの検出データに基づいて、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であるかどうかを判定する接続状態判定部と、接続状態判定部により電極端子と電極受け部との接続状態が正常であると判定されると、バッテリの充電を開始するように充電器を制御する充電制御部とを備え、反射材は、レーザセンサから照射されたレーザ光を充電装置における反射材以外の領域よりも高い強度で反射させ、接続状態判定部は、レーザセンサにより反射材での反射光を受光したかどうかを判定することで、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であるかどうかを判定する。
【0007】
このような自動充電システムにおいては、走行体において充電装置が認識されると、走行体が充電装置に向かって充電位置まで走行するように制御される。充電位置は、充電装置の充電器に電気的に接続された電極端子と走行体に搭載されたバッテリに電気的に接続された電極受け部とが接続可能な位置である。そして、走行体が充電位置に到達したときに、レーザセンサの検出データに基づいて、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であるかどうかが判定される。具体的には、レーザセンサにより反射材での反射光を受光したと判定されたときは、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であると判定される。そして、バッテリの充電が開始されるように充電器が制御される。一方、レーザセンサにより反射材での反射光を受光していないと判定されたときは、電極端子と電極受け部との接続状態が正常でないと判定される。従って、走行体が充電位置に到達する前に落下物に乗り上げることで、走行体が充電装置に対して上下方向に傾いた状態となり、電極端子と電極受け部とが半当たりした状態となった場合には、レーザセンサにより反射材での反射光が受光されず、電極端子と電極受け部との接続状態が正常でないと判定されることとなる。この場合には、充電器によるバッテリの充電が開始されない。このように電極同士が半当たりした状態におけるバッテリの充電が抑制される。
【0008】
接続状態判定部は、レーザセンサにより受光されたレーザ光の輝度が予め決められた閾値以上であるかどうかを判断し、レーザ光の輝度が閾値以上であるときは、レーザセンサにより反射材での反射光を受光したと判定することで、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であると判定してもよい。
【0009】
反射材で反射されたレーザ光の輝度は、充電装置における反射材以外の領域で反射されたレーザ光の輝度よりも高い。そこで、レーザセンサにより反射材での反射光を受光したかどうかの判定において、レーザセンサにより受光されたレーザ光の輝度を用いることにより、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であるかどうかの判定が容易に行われる。
【0010】
充電装置は、充電装置の認識に使用されるマーカを有し、マーカは、第1の反射材と、第1の反射材の上側及び下側にそれぞれ配置された第2の反射材とを有し、第1の反射材は、レーザセンサから照射されたレーザ光を第2の反射材よりも高い輝度で反射させ、認識部は、レーザセンサの検出データに基づいてマーカを検知することで、充電装置を認識し、接続状態判定部は、レーザ光の輝度が閾値以上であるときは、レーザセンサにより第1の反射材での反射光を受光したと判定することで、電極端子と電極受け部との接続状態が正常であると判定してもよい。
【0011】
このような構成では、充電装置の認識に使用されるマーカの上下方向の寸法が大きくなるため、レーザセンサによりマーカの検知が行いやすくなる。従って、走行体において充電装置の認識精度が向上する。
【0012】
充電装置は、充電器を収容する筐体と、筐体の前側に対して凹状を呈する凹状部材とを有し、電極端子は、筐体の前端部に取り付けられており、反射材は、凹状部材の凹底面に接合されていてもよい。
【0013】
このような構成では、凹状部材の凹底面が凹状部材の先端よりも筐体の後側に位置することになる。このため、走行体が充電位置にある状態において、レーザセンサから反射材までの距離が長くなる。従って、レーザセンサにより受光されたレーザ光の輝度の精度が高くなるため、レーザセンサにより反射材での反射光を受光したかどうかの判定精度が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極同士が半当たりした状態におけるバッテリの充電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動充電システムを示す側面図(一部断面を含む)である。
【
図2】
図1に示された自動充電システムの平面図(一部断面を含む)である。
【
図4】
図1に示された自動充電システムにおける自律走行ロボットに具備された構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示された自動充電システムにおける充電装置に具備された構成を示すブロック図である。
【
図6】
図4に示された自律走行ロボットの走行制御部により実行される走行制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図4に示された自律走行ロボットの接続状態判定部により実行される接続状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図4に示された自律走行ロボットの充電制御部により実行される充電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図4に示された自律走行ロボットの充電完了判定部により実行される充電完了判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図5に示された充電装置の到達判定部により実行される到達判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図5に示された充電装置の充電制御部により実行される充電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】電極端子と電極プレートとの接続状態が正常である場合と、電極端子と電極プレートとの接続状態が正常でない場合とを比較して示す側面図(一部断面を含む)である。
【
図13】電極端子と電極プレートとが半当たりした状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動充電システムを示す側面図(一部断面を含む)である。
図2は、
図1に示された自動充電システムの平面図(一部断面を含む)である。
図1及び
図2において、本実施形態の自動充電システム1は、充電装置2を用いて、自律走行ロボット3に搭載されたバッテリ4の自動充電を行うシステムである。
【0018】
充電装置2は、指定の充電エリアに設置されている。充電装置2は、
図1~
図3に示されるように、平面視四角形状の筐体5と、この筐体5内に収容され、バッテリ4の充電を行う充電器6とを備えている。
【0019】
筐体5の前面5aの下部には、樹脂製の取付用突起7が設けられている。取付用突起7には、2つの電極端子8及びリミットスイッチ9が充電装置2の上下方向に並ぶように取り付けられている。つまり、電極端子8及びリミットスイッチ9は、筐体5の前端部に取り付けられている。
【0020】
電極端子8は、取付用突起7の先端面7aから突き出るように固定されている。電極端子8は、充電器6と電気的に接続されている。リミットスイッチ9は、電極端子8の下側に配置されている。リミットスイッチ9は、取付用突起7の先端面7aから突き出るように筐体5に支持されている。リミットスイッチ9は、バネ(図示せず)により取付用突起7の先端面7aに対して進退自在となっている。
【0021】
筐体5の前面5aにおける取付用突起7の上側には、レーザ光を照射する発光器10が取り付けられている。
【0022】
筐体5の上部には、筐体5の前面5aに開口した収容部11が設けられている。収容部11には、充電装置2の認識に使用されるマーカ12が配置されている。マーカ12は、平面視で筐体5の前側に対してV字状を呈している。つまり、マーカ12は、筐体5の前側に対して凹状を呈する凹状部材である。マーカ12は、例えば鋼板等の金属板の表面に塗装が施されている。
【0023】
マーカ12の左右方向の中央部に位置するV字底面12a(凹底面)には、高反射材13及び2つの低反射材14が接合されている。高反射材13及び低反射材14は、例えば反射テープまたは反射シールで構成され、V字底面12aに貼り付けられている。高反射材13及び低反射材14は、光が当たると明るくなる材料で形成されている。高反射材13は、マーカ12の上下方向の中央部に配置された第1の反射材である。低反射材14は、高反射材13の上側及び下側にそれぞれ配置された第2の反射材である。なお、高反射材13及び低反射材14については、後で詳述する。
【0024】
自律走行ロボット3は、例えばピッキング作業等で使用され、荷物(図示せず)を搬送する無人搬送車(走行体)である。自律走行ロボット3は、車体であるロボット本体15と、このロボット本体15の前後左右に配置された4つの車輪16と、上記のバッテリ4とを備えている。ロボット本体15は、略円柱状の基台17と、この基台17の上に配置され、荷物が置かれる荷台18とを有している。
【0025】
車輪16は、例えば45度オムニホイールである。これにより、自律走行ロボット3は、水平面内の全方向に移動可能である。水平面内の全方向は、前後方向、左右方向、斜め方向及び旋回方向である。各車輪16は、走行モータ(図示せず)により個別に回転駆動される。バッテリ4は、自律走行ロボット3の電気部品に電力を供給する。
【0026】
基台17の下部には、樹脂製の取付板19が固定されている。取付板19には、2つの電極プレート20が自律走行ロボット3の上下方向に並ぶように取り付けられている。電極プレート20は、バッテリ4と電気的に接続されている。電極プレート20は、充電装置2の電極端子8を受ける電極受け部である。
【0027】
取付板19における電極プレート20の下側には、充電装置2のリミットスイッチ9と係合する直方体状の突起部21が設けられている。突起部21がリミットスイッチ9を押圧すると、通常は電極端子8と電極プレート20とが接触して接続された状態となる。電極端子8と電極プレート20とが接続された状態では、充電器6とバッテリ4とが電極端子8及び電極プレート20を介して電気的に接続される。このため、充電器6によりバッテリ4の充電が可能となる。
【0028】
基台17における取付板19の上側には、充電装置2の発光器10から照射されたレーザ光を受光する受光器22が取り付けられている。リミットスイッチ9が突起部21により押圧されるときは、受光器22が発光器10と向き合っている状態であるため、発光器10から照射された光が受光器22により受光される。
【0029】
また、自律走行ロボット3には、2Dのレーザ光Lを照射するレーザセンサ25が搭載されている。レーザセンサ25は、自律走行ロボット3の前方を含む周囲に向けてレーザ光Lを照射し、レーザ光Lの反射光を受光することにより、自律走行ロボット3の周囲に存在する物体を検出する。自律走行ロボット3の周囲に存在する物体には、充電装置2も含まれる。レーザセンサ25としては、例えば赤外線レーザを照射するレーザレンジファインダまたはLIDAR(light detection andranging)等が使用される。
【0030】
上記の高反射材13及び低反射材14は、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lを充電装置2における高反射材13及び低反射材14以外の領域よりも高い強度で反射させる。
【0031】
高反射材13は、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lを低反射材14よりも高い輝度で反射させる。つまり、高反射材13で反射されたレーザ光Lの輝度は、低反射材14で反射されたレーザ光Lの輝度よりも高い。低反射材14で反射されたレーザ光Lの輝度は、マーカ12における高反射材13及び低反射材14以外の領域で反射されたレーザ光Lの輝度よりも高い。
【0032】
高反射材13は、レーザセンサ25と同等の高さ位置に配置されている。具体的には、高反射材13は、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾いていない通常状態(
図12(a)参照)において、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lが当たってレーザセンサ25に向けて反射させる高さ位置に配置されている。
【0033】
高反射材13は、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾くことで、電極端子8と電極プレート20とが半当たりした状態(
図13参照)となったときに、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lが当たらないような高さ寸法Wを有している。電極端子8と電極プレート20とが半当たりした状態は、電極端子8の一部が電極プレート20に当たり、電極端子8の他の一部が取付板19に当たる状態である。
【0034】
図4は、自動充電システム1における自律走行ロボット3に具備された構成を示すブロック図である。
図4において、自動充電システム1は、上記のレーザセンサ25と、上記の受光器22と、電圧センサ26と、駆動部27と、警報器28と、通信機29と、コントローラ30とを備えている。
【0035】
レーザセンサ25は、自律走行ロボット3の周囲に存在する物体までの距離を検出すると共に、受光したレーザ光Lの輝度を検出する。受光器22は、発光器10から照射されたレーザ光を受光したときに、受光信号(ON信号)を出力する。電圧センサ26は、バッテリ4の電圧を検出するセンサである。駆動部27は、自律走行ロボット3の各車輪16を走行させる走行モータ(前述)である。
【0036】
警報器28は、充電装置2の電極端子8と自律走行ロボット3の電極プレート20との接続状態が正常でないときに、その旨の警報を行う。警報器28は、例えばライト、タブレットまたは音により警報を行う。通信機29は、充電装置2の通信機39(後述)と無線通信を行う。
【0037】
コントローラ30は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ30は、自己位置推定部31と、マーカ検知部32と、走行制御部33と、接続状態判定部34と、警報制御部35と、充電制御部36と、充電完了判定部37とを有している。
【0038】
自己位置推定部31は、レーザセンサ25の検出データと地図メモリ(図示せず)に予め記憶された地図データとに基づいて、自律走行ロボット3の自己位置を推定する。具体的には、自己位置推定部31は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、レーザセンサの検出データと地図データとをマッチングさせて自律走行ロボット3の自己位置を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置の推定を行う自己位置推定技術である。
【0039】
マーカ検知部32は、レーザセンサ25の検出データに基づいて、充電装置2のマーカ12を検知することで、充電装置2を認識する認識部である。
【0040】
走行制御部33は、自己位置推定部31により推定された自律走行ロボット3の自己位置に基づいて、自律走行ロボット3が充電装置2に向かって走行するように駆動部27を制御する。
【0041】
また、走行制御部33は、マーカ検知部32により充電装置2が認識されると、受光器22の出力信号に基づいて、自律走行ロボット3を充電装置2に向かって充電位置JP(
図1及び
図2参照)まで走行させるように駆動部27を制御する。充電位置JPは、充電装置2の手前において、充電器6に電気的に接続された電極端子8とバッテリ4に電気的に接続された電極プレート20とが接続可能となる位置である。
【0042】
接続状態判定部34は、受光器22の出力信号に基づいて、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したかどうかを判断すると共に、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したときに、レーザセンサ25の検出データに基づいて、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定する。接続状態判定部34は、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したかどうかを判定することで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定する。
【0043】
警報制御部35は、接続状態判定部34により電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常でないと判定されると、警報動作を行うように警報器28を制御する。
【0044】
充電制御部36は、接続状態判定部34により電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されると、充電器6によるバッテリ4の充電を開始するための充電開始指示信号を通信機29を介して充電装置2に送信する。充電制御部36は、後述する充電完了判定部37によりバッテリ4の充電が完了したと判定されると、バッテリ4の充電を終了するための充電終了指示信号を通信機29を介して充電装置2に送信する。
【0045】
充電完了判定部37は、電圧センサ26により検出されたバッテリ4の電圧に基づいて、充電器6によるバッテリ4の充電が完了したかどうかを判定する。
【0046】
図5は、自動充電システム1における充電装置2に具備された構成を示すブロック図である。
図5において、自動充電システム1は、上記のリミットスイッチ9と、通信機39と、上記の発光器10と、上記の充電器6と、コントローラ40とを備えている。
【0047】
リミットスイッチ9は、自律走行ロボット3の突起部21との接触を検出する。リミットスイッチ9は、突起部21と接触しない状態ではOFF信号を出力し、突起部21と接触した状態ではON信号を出力する。通信機39は、自律走行ロボット3の通信機29と無線通信を行う。発光器10及び充電器6は、上述した通りである。
【0048】
コントローラ40は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ40は、到達判定部41と、発光制御部42と、充電制御部43とを有している。
【0049】
到達判定部41は、リミットスイッチ9の検出信号に基づいて、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したかどうかを判定する。
【0050】
発光制御部42は、到達判定部41により自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したと判定されると、発光器10からレーザ光を照射するように発光器10を制御する。
【0051】
充電制御部43は、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達した後、自律走行ロボット3からの充電開始指示信号及び充電終了指示信号に応じて充電器6を制御する。
【0052】
ここで、上記の接続状態判定部34は、発光制御部42、発光器10及び受光器22と協働して、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したときに、レーザセンサ25の検出データに基づいて、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定する接続状態判定部を構成する。
【0053】
上記の充電制御部36及び充電制御部43は、接続状態判定部により電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されると、バッテリ4の充電を開始するように充電器6を制御する充電制御部を構成する。
【0054】
図6は、自律走行ロボット3の走行制御部33により実行される走行制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0055】
図6において、走行制御部33は、まず自己位置推定部31により取得された自律走行ロボット3の自己位置データを取得する(手順S101)。そして、走行制御部33は、自律走行ロボット3の自己位置に基づいて、自律走行ロボット3を充電装置2に向かって走行させるように駆動部27を制御する(手順S102)。充電装置2の設置位置は、予め分かっている。
【0056】
続いて、走行制御部33は、マーカ検知部32により充電装置2のマーカ12が検知されたかどうかを判断する(手順S103)。走行制御部33は、マーカ12が検知されていないと判断したときは、自律走行ロボット3において充電装置2が認識されていないと判定し、上記の手順S101を再度実行する。
【0057】
走行制御部33は、マーカ12が検知されたと判断したときは、自律走行ロボット3において充電装置2が認識されたと判定し、自律走行ロボット3を充電装置2の正面に向かって前進させるように駆動部27を制御する(手順S104)。充電装置2の正面は、筐体5の前面5aに相当する。
【0058】
続いて、走行制御部33は、受光器22の出力信号を取得する(手順S105)。そして、走行制御部33は、受光器22の出力信号がON信号であるかどうかを判断する(手順S106)。走行制御部33は、受光器22の出力信号がON信号でなくOFF信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達していないと判定し、上記の手順S104を再度実行する。
【0059】
走行制御部33は、受光器22の出力信号がON信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したと判定し、自律走行ロボット3を停止させる(手順S107)。
【0060】
図7は、自律走行ロボット3の接続状態判定部34により実行される接続状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
図7において、接続状態判定部34は、まず受光器22の出力信号を取得する(手順S111)。そして、接続状態判定部34は、受光器22の出力信号がON信号であるかどうかを判断する(手順S112)。接続状態判定部34は、受光器22の出力信号がON信号でなくOFF信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達していないと判定し、上記の手順S111を再度実行する。
【0062】
接続状態判定部34は、受光器22の出力信号がON信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したと判定し、レーザセンサ25の検出データを取得する(手順S113)。
【0063】
そして、接続状態判定部34は、レーザセンサ25の検出データに基づいて、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が予め決められた充電開始閾値以上であるかどうかを判断する(手順S114)。充電開始閾値は、低反射材14で反射されるレーザ光Lの輝度よりも高く、且つ高反射材13で反射されるレーザ光Lの輝度よりも低い値である。
【0064】
接続状態判定部34は、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値以上であると判断したときは、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したと判定することで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定する(手順S115)。
【0065】
接続状態判定部34は、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値よりも低いと判断したときは、レーザセンサ25により低反射材14での反射光を受光したと判定することで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常でないと判定する(手順S116)。
【0066】
そして、接続状態判定部34は、警報通知信号を警報制御部35に出力する(手順S117)。これにより、警報制御部35により警報器28が制御されることで、警報器28による警報が行われる。
【0067】
図8は、自律走行ロボット3の充電制御部36により実行される充電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
図8において、充電制御部36は、まず接続状態判定部34により電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されたかどうかを判断する(手順S121)。充電制御部36は、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されたと判断したときは、上記の充電開始指示信号を通信機29を介して充電装置2の通信機39に送信する(手順S122)。
【0069】
続いて、充電制御部36は、充電完了判定部37によりバッテリ4の充電が完了したと判定されたかどうかを判断する(手順S123)。充電制御部36は、バッテリ4の充電が完了したと判定されたと判断したときは、上記の充電終了指示信号を通信機29を介して充電装置2の通信機39に送信する(手順S124)。
【0070】
図9は、自律走行ロボット3の充電完了判定部37により実行される充電完了判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
図9において、充電完了判定部37は、まず電圧センサ26の検出値を取得する(手順S131)。そして、充電完了判定部37は、電圧センサ26の検出値に基づいて、バッテリ4の充電率(SOC:State of charge)を推定する(手順S132)。具体的には、充電完了判定部37は、電圧センサ26の検出値からバッテリ4の開放電圧を求め、バッテリ4の開放電圧からバッテリ4の充電率を求める。なお、バッテリ4は、開放電圧が高くなるほど充電率が高くなるような特性を有している。
【0072】
続いて、充電完了判定部37は、バッテリ4の充電率が予め決められた規定値以上であるかどうかを判断する(手順S133)。規定値は、バッテリ4の充電率の上限値(例えば85%~95%)に設定されている。
【0073】
充電完了判定部37は、バッテリ4の充電率が規定値よりも低いと判断したときは、充電器6によるバッテリ4の充電が完了していないと判定し(手順S134)、上記の手順S131を再度実行する。充電完了判定部37は、バッテリ4の充電率が規定値以上であると判断したときは、充電器6によるバッテリ4の充電が完了したと判定する(手順S135)。
【0074】
図10は、充電装置2の到達判定部41により実行される到達判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0075】
図10において、到達判定部41は、まずリミットスイッチ9の出力信号を取得する(手順S141)。そして、到達判定部41は、リミットスイッチ9の出力信号がON信号であるかどうかを判断する(手順S142)。
【0076】
到達判定部41は、リミットスイッチ9の出力信号がON信号でなくOFF信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達していないと判定し(手順S143)、上記の手順S141を再度実行する。到達判定部41は、リミットスイッチ9の出力信号がON信号であると判断したときは、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したと判定する(手順S144)。
【0077】
図11は、充電装置2の充電制御部43により実行される充電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0078】
図11において、充電制御部43は、まず自律走行ロボット3の通信機29から送信された充電開始指示信号を通信機39を介して受信したかどうかを判断する(手順S151)。充電制御部43は、充電開始指示信号を受信したと判断したときは、充電器6の電源をON制御する(手順S152)。これにより、充電器6によるバッテリ4の充電が開始される。
【0079】
続いて、充電制御部43は、自律走行ロボット3の通信機29から送信された充電終了指示信号を通信機39を介して受信したかどうかを判断する(手順S153)。充電制御部43は、充電終了指示信号を受信したと判断したときは、充電器6の電源をOFF制御する(手順S154)。これにより、充電器6によるバッテリ4の充電が終了する。
【0080】
以上のような自動充電システム1において、充電装置2により自律走行ロボット3のバッテリ4の自動充電を行うときは、自律走行ロボット3の自己位置を推定しながら、自律走行ロボット3が充電装置2に向かって自動的に走行する。そして、自律走行ロボット3が充電装置2の手前側に到達し、レーザセンサ25により充電装置2のマーカ12が検知されると、自律走行ロボット3が充電装置2の正面に向かって前進する。
【0081】
そして、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達すると、自律走行ロボット3の突起部21により充電装置2のリミットスイッチ9が押され、リミットスイッチ9からON信号が出力される。すると、充電装置2の発光器10からレーザ光が照射され、そのレーザ光が自律走行ロボット3の受光器22で受光されることで、受光器22からON信号が出力され、自律走行ロボット3が停止する。
【0082】
そして、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したかどうかが判定されることで、充電装置2の電極端子8と自律走行ロボット3の電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかが判定される。
【0083】
具体的には、
図12(a)に示されるように、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾いていない通常状態では、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lが高反射材13で反射され、その反射光がレーザセンサ25により受光される。従って、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値以上となるため、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定される。
【0084】
この場合には、自律走行ロボット3から充電装置2に通信機29,39を介して充電開始指示信号が送信されることで、充電器6が電源ONとなり、バッテリ4の充電が開始される。具体的には、充電器6からの電流が電極端子8及び電極プレート20を流れてバッテリ4に供給される。その後、バッテリ4の充電率が規定値に達すると、自律走行ロボット3から充電装置2に通信機29,39を介して充電終了指示信号が送信されることで、充電器6が電源OFFとなり、バッテリ4の充電が終了する。
【0085】
一方、
図12(b)に示されるように、自律走行ロボット3が充電装置2に向かって走行する走行路上にケーブルやゴミ等の落下物Aが存在する場合に、電極端子8と電極プレート20とが接続される直前に自律走行ロボット3が落下物Aに乗り上げると、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾いた状態となる。
【0086】
その状態では、リミットスイッチ9が自律走行ロボット3の突起部21に押されたとしても、電極プレート20が電極端子8に対して上方にずれるため、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lが上側の低反射材14で反射され、その反射光がレーザセンサ25により受光される。従って、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値よりも低いため、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常でないと判定される。
【0087】
この場合には、充電器6によるバッテリ4の充電が開始されず、警報器28によりユーザに対して警報が行われる。そして、ユーザが落下物Aを取り除くことで、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾かない通常状態となる。その後、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されると、充電器6によるバッテリ4の充電が開始される。
【0088】
ところで、自律走行ロボット3が落下物Aに乗り上げることで、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾いた状態になると、
図13に示されるように、電極端子8の一部が電極プレート20に当たり、電極端子8の他の一部が樹脂製の取付板19に当たるという、いわゆる電極端子8及び電極プレート20が半当たりした状態になることがある。電極端子8及び電極プレート20が半当たりした状態で、充電器6によるバッテリ4の充電が開始されると、電極端子8と電極プレート20との接触抵抗が増大し、電極端子8及び電極プレート20の発熱を引き起こす可能性がある。
【0089】
そのような課題に対し、本実施形態では、自律走行ロボット3において充電装置2が認識されると、自律走行ロボット3が充電装置2に向かって充電位置JPまで走行するように制御される。充電位置JPは、充電装置2の充電器6に電気的に接続された電極端子8と自律走行ロボット3に搭載されたバッテリ4に電気的に接続された電極プレート20とが接続可能な位置である。そして、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したときに、レーザセンサ25の検出データに基づいて、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかが判定される。具体的には、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したと判定されたときは、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定される。そして、バッテリ4の充電が開始されるように充電器6が制御される。一方、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光していないと判定されたときは、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常でないと判定される。従って、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達する前に落下物Aに乗り上げることで、自律走行ロボット3が充電装置2に対して上下方向に傾いた状態となり、電極端子8と電極プレート20とが半当たりした状態となった場合には、レーザセンサ25により高反射材13での反射光が受光されず、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常でないと判定されることとなる。この場合には、充電器6によるバッテリ4の充電が開始されない。このように電極同士が半当たりした状態におけるバッテリ4の充電が抑制される。これにより、電極端子8と電極プレート20との接触抵抗の増大によって電極端子8及び電極プレート20の発熱を引き起こすことが抑えられる。
【0090】
また、本実施形態では、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値以上であるときは、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したと判定されることで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定される。高反射材13で反射されたレーザ光Lの輝度は、充電装置2における高反射材13以外の領域で反射されたレーザ光Lの輝度よりも高い。そこで、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したかどうかの判定において、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度を用いることにより、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかの判定が容易に行われる。
【0091】
また、本実施形態では、高反射材13の上側及び下側には、低反射材14がそれぞれ配置されている。この場合には、充電装置2の認識に使用されるマーカ12の上下方向の寸法が大きくなるため、レーザセンサ25によりマーカ12の検知が行いやすくなる。従って、自律走行ロボット3において充電装置2の認識精度が向上する。
【0092】
また、本実施形態では、マーカ12は、充電装置2の筐体5の前側に対して凹状を呈しており、高反射材13及び低反射材14は、マーカ12のV字底面12aに接合されている。この場合には、マーカ12のV字底面12aがマーカ12の先端よりも筐体5の後側に位置することになる。このため、自律走行ロボット3が充電位置JPにある状態において、レーザセンサ25から高反射材13までの距離が長くなる。従って、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度の精度が高くなるため、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したかどうかの判定精度が向上する。
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、マーカ12は、高反射材13と、この高反射材13の上側及び下側にそれぞれ配置された2つの低反射材14とを有しているが、特にそのような形態には限られない。低反射材14は、高反射材13の上側のみに配置されていてもよい。
【0094】
また、レーザセンサ25から照射されたレーザ光Lを反射させる反射材の種類としては、特に高反射材13及び低反射材14といった2種類には限られず、1種類(例えば高反射材13)のみであってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、高反射材13及び低反射材14は、充電装置2の筐体5の前側に対してV字状を呈するマーカ12のV字底面12aに接合されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、筐体5の前側に対して矩形凹状や湾曲凹状等を呈する凹状部材の凹底面に反射材が接合されていてもよい。また、筐体5に取り付けられた平板等に反射材が接合されていてもよいし、或いは筐体5自体に反射材が接合されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、レーザセンサ25により受光されたレーザ光Lの輝度が充電開始閾値以上であるときは、レーザセンサ25により高反射材13での反射光を受光したと判定されることで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であると判定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、充電装置2の上下方向に沿って横幅寸法が異なる形状(例えば三角形状)の反射材を使用し、レーザセンサ25の検出データに基づいて反射材の横幅寸法を検出することで、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定してもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、充電装置2に取り付けられたマーカ12を検知することで、充電装置2が認識されているが、特にそのようなマーカ12を使用しなくてもよく、例えば、レーザセンサ25の検出データに基づいて充電装置2を直接認識してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、充電装置2のリミットスイッチ9が自律走行ロボット3に押されると、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したと判定されているが、特にその形態には限られず、例えばレーザセンサ25の検出データに基づいて、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したかどうかを判定してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、充電装置2の発光器10から照射されたレーザ光が自律走行ロボット3の受光器22により受光されると、レーザセンサ25の検出データに基づいて、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかが判定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、自律走行ロボット3が充電位置JPに到達したときに、充電装置2から自律走行ロボット3に接続状態判定指示信号を送信してもよい。この場合には、自律走行ロボット3において接続状態判定指示信号を受信すると、レーザセンサ25の検出データに基づいて、電極端子8と電極プレート20との接続状態が正常であるかどうかを判定してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、レーザセンサ25の検出データによるSLAM手法を用いて、自律走行ロボット3の自己位置が推定されているが、特にそのような形態には限られない。自律走行ロボット3の自己位置を推定する手法としては、例えばカメラの画像データによるSLAM手法、或いは自律走行ロボット3の移動量及び移動方向を検出するオドメトリセンサ等を用いてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット3の自動充電が行われているが、本発明は、フォークリフトやトーイングトラクタ等の走行体の自動充電にも適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…自動充電システム、2…充電装置、3…自律走行ロボット(走行体)、4…バッテリ、5…筐体、6…充電器、8…電極端子、10…発光器(接続状態判定部)、12…マーカ(凹状部材)、12a…V字底面(凹底面)、13…高反射材(第1の反射材)、14…低反射材(第2の反射材)、20…電極プレート(電極受け部)、22…受光器(接続状態判定部)、25…レーザセンサ、32…マーカ検知部(認識部)、33…走行制御部、34…接続状態判定部、36…充電制御部、42…発光制御部(接続状態判定部)、43…充電制御部、JP…充電位置。